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「第25話暴走のギプス死闘ブーバーン」パート3
アイコ現在の手持ち
モウカザル(ひんし)、ゴローン(ひんし)、ムクバード(ひんし)、トゲピー、フワライド、ヨルノズク
暴れまわるブーバーンの猛攻の前に苦戦を強いられるアイコたち。とどめの一撃を受けようとしたまさにその時、ドガっ!
「ウウウ!」
ブーバーンの腹部に何かがぶつかった。アイコたちが見上げると、育て屋のカイリキーがパンチを食らわせていた。
「リキーっ!」
カイリキーはブーバーンにばくれつパンチをして攻撃した。
「ハピーっ!」
とどめにハピナスがはかいこうせんを放ってブーバーンに大ダメージを与えた。ブーバーンはドーンと音を立てて崩れ落ちた。
「大丈夫だったかい?」
「あ、育て屋の・・・」
アイコが振り向くと育て屋の夫婦が駆けつけた。
「さあハピナス」
「ハピ」
育て屋のおばあさんに言われてハピナスがげんきのかたまりをモウカザルたちに与えた。
「ありがとうございます」
コウキが礼を言った。
「無事で何よりじゃ。しかし、このような機会をポケモンに着けて暴れさせていたとは・・・」
「すぐに助けてやらんとな」
カイリキーはブーバーンに付いているプロテクターを外そうとした。しかし、がしっとブーバーンがカイリキーの腕を掴んだ。
「リキっ?!」
「しまった。仕留め損ねたか」
ブーバーンはカイリキーを掴むと、地面に叩き落とした。突然の不意打ちに動けないカイリキーをオーバーヒートで痛めつけた。
「ウ〜」
ストライクが目を覚ました。目の前で一番慕っているポケモンが痛めつけられているのを見せられた。それを見たストライクは何かが爆発するような感情がした。ブーバーンがとどめを刺そうとした時、ガシュっ
と切り裂く音が響いた。
ブーバーンの目の前にあのストライクがいた。だがその目は相手への敵意と怒りに満ちた激情の表情だった。ストライクはエアカッターを放ってブーバーンを痛めつけた。執拗な攻撃にプロテクターが外れたがそれでも攻撃をやめようとしなかった。
「ブー、ブー?!」
ブーバーンが待った、と両手を上げたが、ストライクは容赦をしない。最後の一撃を食らわそうと鎌を振り下ろした。しかし、切られたのは、
「何と?!」
「どうして?!」
殴られボコボコにされていたカイリキーだった。ストライクの切り裂きを受け止めたのだ。彼の胸に大きな切り傷が出来ていた。驚くストライクにカイリキーが諭した。
(お前の強さは何のためにある。お前の強さは力を誇示したり、憎い相手を痛めつけたりするためにあるのか。違うだろう)
カイリキーはそう言うかのように穏やかな顔をした。ストライクの目に熱い涙が落ちる。そして思い出した。カイリキーと特訓した日々を。それは大切な人を守るため、そして誰かの役に立つためにしてきたことであると。
ブーバーンが再び暴れようとした。その時、前方からバブルこうせんが飛んできた。誰かが来たのか、とアイコとコウキが後ろを見た。
「悪い、遅れちまったな」
ソウスケが駆けつけてきた。すぐそばにポッタイシがいた。
「ソウスケくん?!」
「来るのが遅いよ。こっちはボロボロだ」
「悪い悪い、けどヒーローは遅れて登場するもんだろ。あとは俺に任せておけ。行くぜポッタイシ!」
「ポッタイシ!」
ソウスケの意を汲み取ってポッタイシは、力を溜めてハイドロポンプをブーバーンに放った。効果抜群の技を食らって遂にブーバーンは崩れ落ちた。
「よし、それ!」
ソウスケはスーパーボールを投げた。ブーバーンはボールに入ってしばし動いた後ぴたりと止まった。ゲット成功である。
「よーし!」
ソウスケがガッツポーズを取った。コウキは心配になったが、育てや夫妻は彼は正しいトレーナーだから大丈夫だと言った。その後、遺跡に捕らわれていたポケモン達を救出、ズイタウンに平和が戻った。
コウキとソウスケが次の街へ行ったあと、アイコは育てや夫婦にあることを頼まれた。
「アイコちゃん、ストライクを旅の共に加えてやってくれんかね」
「え?」
「あの子は強い。じゃが心の強さがなければ危ういことをしてしまいかねん。一緒に旅をさせてやってほしい」
育て屋夫婦のお願いを聞いて、アイコは静かに頷くと、ストライクの鎌を撫でて言った。
「私はアイコ。これからよろしくね」
アイコの言葉にストライクは静かに頷いた。
「ストライク、立派になって帰ってくるんじゃよ」
「わしらは待っておるからな」
育て屋の夫婦、カイリキー、ハピナス、そして育て屋のポケモン達、皆がストライクを笑顔で見送った。ストライクは号泣しつつも、アイコと共に歩いて行った。ギンガ団、彼等は次に何をしてくるのか。次の街は、トバリシティ・・・。