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しりとりシリーズの『その後』
作者: 彩都  (総ページ数: 108ページ)
関連タグ: しりとり 短編集 長編 ミステリ 推理 多ジャンル 
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 しりとりシリーズ 『乎古止点』の『その後』

 最近、とある本を読んだ、その本は飯尾宵(いいお よい)という作者の『日々を楽しみ、歩むこと』という本であった、何となく、図書館で見付けたこの本を僕は借りて読む事にした、そしてこの本の内容に自分は惚れてしまった、簡単に言えば、『歩く事は素晴らしい、若い間にもっと動いて、日本を一周しよう!』という内容である、自分はこの本を読んで、とても素晴らしく感じた、だから自分も高校を卒業したら日本を一周しようと考えた、そしてその事を父抜きで話してみた。
 お祖父ちゃんは『まぁ、良いんじゃないか? お前の道はお前で決めるべし』と、母は『お父さんの言う通りですね、自分の人生、自分で決めなさい』、と言われた、そして二人から、『家を出る時はお金を渡すから、のんびり日本を一周しなさい』と言われた、とても嬉しかった、だが後は父である、あの厳格な父の言葉を論破しないと自分は勝ち目が無い、実質保護者は父なのだから。

 そして日本を一周したい、と父に話す機会があった、するとそのまま自分は顔面にパンチを食らった、そして『そんな馬鹿な事は考えるな! その前に東大首席、卒業だろうがぁ!!』と言われた、もう厭だ、この父親。
 するとお祖父ちゃんが父の顔面を殴った、そして『お前は息子を束縛し過ぎだ! 息子はお前の道具では無い! お前には父親と言う資格がない!』と言って、父を一蹴したのだ。
 その時のお祖父ちゃんはカッコよかった、そして父はゆっくりと立ち上がって、お祖父ちゃんに『年寄りの話なんか関係ない! これは私と息子の会話! 父親だろうと赤の他人だ! 関わるなぁ!』と言って、お祖父ちゃんの胸倉を掴んだ。
 お祖父ちゃん、大丈夫かな? と思いながら見ていると、母が父の顔面に張り手をした、まさかの闖入者に僕は驚くばかりである、そして母が『息子に手を出す事は何事か!? 我が子に手を出す父親なんて父親ではありません! 父親失格です!』と言った、成程、そういう事もあるのか、と思った、だが父は『煩い! 父親失格ぅ!? だから何だ、『親』として東大首席、卒業が先だ!』と言った、するとお祖父ちゃんがまたも父を殴った。
「いい加減にしろ! お前は息子を束縛し過ぎている! いい加減目を覚ませ!」
 と言って、その場を離れる、その時、父は無言だった、母も、その場を離れ、お祖父ちゃんと同じ方向へと向かう、自分と父はその場で座り込んで、魂が抜けた様にその場に佇んでいた──

 そして自分は父に未だ認められぬまま日本一周の旅に出る日にちとなった、するとお祖父ちゃんと母が、封筒に大量に入った札束を渡してきた、流石に多過ぎないか? と思ったが、二人の気持ちが入っているので、返す訳にはいかないし、全部使うのも悪いと思い、少しだけ使う事を考えた、一応旅する事も思案してか、何となくお金を貯金しているのだ、なので、この札束を使用するのはまだまだ先だろう、自分はそう思いながら自転車に跨り、お祖父ちゃんと母親に手を振りながら、自分は自転車を漕ぎ始めた──あの後
父とはもう会話せずに毎日を過ごしてきた、そしてこれからは一人立ちをしなくてはならない、これは僕にとって小さな反抗であった、『家族と同じ道だけは行きたくない』という反抗だ、その反抗が出来て、自分は案外清清しい気分になっている、さぁ、頑張って前に進まないとな、これからは自分の人生の旅に出る、自分はそう思いながら自転車を漕ぎ続ける──これからどんな出会いがあるかは出会ってみないと分からない──

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