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しりとりシリーズの『その後』
作者: 彩都  (総ページ数: 108ページ)
関連タグ: しりとり 短編集 長編 ミステリ 推理 多ジャンル 
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 しりとりシリーズ 『K子』の『その後』

 あぁ、どういう事だ? 俺の知り合いが変死しているんだが……? ていうか、アイツの家に呼ばれたから俺は来ただけなのに、何で死んだ現場を見せられているんだ? 意味が不明なんだが……
 そう思いながら俺は、警察に電話する、多分俺が第一発見者となるんだろうか? 結構面倒な話なんだが──
 ものの数分で警察が来て、事情聴取を取られる、まぁ、今来た事を話せば良いか、ていうか、何で変死なんだろうな? 俺には不可解だ──っと、ちゃんと空想彼女の事も伝えないとな……

「……ふむ、ふむふむ……つまり被害者は妄想の中の彼女と結婚して、その妄想の彼女に殺された、と……?」
「自分ではそう考えていますけどね……」
「そんなオカルトは止めて下さい、こっちは本気で捜査してるので」
「あっはい、ソウデスヨネ……」
 多分、自分の方がイタイ人扱いされそうだ……そう思いながら今日の事情聴取は終わった──さて、少し昔の知り合いの所に行くか──

 カポーンッ! と心地良い鹿威(ししおど)しの音に包まれながら、彼女──少女と言われそうな体格の女性──は巫女装束に緑茶、そして正座、場所は縁側という如何にも似合い過ぎている姿をしている──そこに俺が現れる。
「おい、クソ巫女、来てやったぞ」
「あら? 何か用かしら、『元・破壊異神さん?」
 二人の目から火花を散らす──そして溜息を吐きながら俺が言う。
「全く──此処で喧嘩する訳じゃないんだ、助けてくれ、幽霊事だ」
 そう言った瞬間、巫女装束の女性はいきなり立ち上がる、そして声を荒げる。
「何よ! 早く言いなさいよ! 今日はどんな依頼かしら!?」
 若干頬が火照っている感じはするが、まぁ、いい、俺は本題を告げる。
「俺の知り合いが変死だ、そして俺の知り合いは妄想の彼女が存在していた──」
「多分怨霊が殺したのかもね、結構怨念が強いなぁ」
「あぁ、そういえばこんな物を手に入れたぜ?」
 そう言いながら俺はポケットの中から財布を取り出す、とりあえず、警察が来る前に証拠はある程度奪っておいた、これらをこの巫女に見せないといけなかったからな──財布はその幽霊の物と思われる代物だった──それを巫女に渡す。
「ふむ、これは相当前に死んだ怨念じゃないのか?」
「やっぱそう思うか? だったら現場へ行こうぜ?」
「えっ? 今日、いきなり?」
「うん、その為にもう飛行機のチケットは二つある、急ごうか」
「……やっぱアンタの速攻性はイライラするわぁ……」
 彼女は縁側から中に入って鞄に服を詰めたりする。
 時間は昼の二時、突入するなら深夜かな?

 深夜零時──
 ホテルに泊まる事になった二人はチェックインを済まし、フロントに鍵を預けて外に出た。
 そして被害者の家に向かう、簡単には入れなさそうで、『KEEP OUT』と書かれている、仕方無く、そのテープの下から入る二人、そして巫女が言った。
「何これ!?瘴気が……」
「そう来たか、つまりまだ幽霊が居そうだな……ってもう御出座しかぁ……」
 そう言いながら幽霊の『K子』は膝を着いて何かを探している。
「お前の探し物はこれか?」
 そう言いながら財布と免許証を見せる、『K子』はそれを欲しがる。
「御願い! それを返して!」
「返してやるから成仏しろ」
 そう言いながら玄関の方へ後退る俺、そして良い距離迄来た瞬間に呪文を唱えていた巫女が『K子』の額にお札を貼る、巫女の存在を見ていなかった『K子』は呻きながら額から泡を出しながら消えていった……
 これで良いんだ、そう思いながら被害者の遺体のあった場所を見る──これでお前は報われるな、そう思いながら帰路に着こうとする、すると巫女が顔を赤らめながら俺の服の裾を握りながら言う。
「あ……あの……」
「ん? 何だ? 早く言え」
「何よ、誘ったのに……何だかヤル気もなくしたわ……さっさと金払え『元・破壊異神』」
「……へいへい……」
 そう言いながら二人でホテルに向かった後、三万を渡して一夜を過ごした。
 因みに部屋は一人部屋です、悪しからず。

 その後財布ごと巫女に預けて俺はホテルで寝る、まぁ、結構色々あった、昔よりかは楽しかったかな? そう思いながら今迄の事を思い出す、あぁ、この巫女やっぱ憎いわ、そう思いながら俺は起き上がってコーヒーを飲んだ、俺の寿命はまだ長い、のんびり生きてやる、あの巫女より──

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