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しりとりシリーズ 『太刀』の『その後』 1
さて、問題だ、君が殺し屋なら、何を選択する? 簡単だ、普通はスナイパーを選択するだろう、だけれど僕は違う、『あえて』、『あえて』だ、『あえて僕は剣を選』んだ──
数十年前──
『えーん、えーん』と泣きじゃくる赤ん坊が居た──黒いマントに包まれた長身の男性は、ダンボールの中に居た赤ん坊を引き取った──そして何年が経っただろう? 少年は小学三年生になった、そして少年は小学校に通う──
「はぁ、大変だ──」
その小学三年生程度の身長の少年は、黒い格好に身に纏いながら、背中に一本の長い太刀を持っていた、そして少年は目の前に存在している刺客を背中の太刀で一薙ぎする──すると刺客は首を無くして、大量に出血をする──そして少年は虚空に向かって、剣を一振りする、そして剣に纏わり付いた血を虚空で拭う──
すると耳に着けたイヤホンから声が聞こえる。
「おい、大丈夫か? すまない、刺客の事は把握し切れなかった」
黒いマントの男性がマイクに向かって、少年に語り掛ける。
「まぁ、良いんだけどね、結局は倒す人が増えただけなんだから」
そう言いながら少年はイヤホンを奥に詰めながら前に進む、目指すは社長のボスなのだから──
「はぁ、昨日は大変だった……久しぶりに大きな仕事だった──」
そう言いながら少年──風凪光輝(かぜなぎこうき)は靴紐を結びながらランドセルを背負う、今日は月曜日、小学生として、相当嫌いな日にちの一つだろう──そう思いながら近くに居た少女──名前はコードネーム『アリス』だ──と共に外に出る、彼女もまた、赤いランドセルを背負っていた──
そして僕達は小学校へ向かう──そう、僕らは小学生だ──殺し屋だけど──
しりとりシリーズ 『太刀』 風凪光輝の殺人記録 開始──
風凪光輝、年齢9歳、身長、136cm、体重33kg、好きな物、殺人、好きな物(食べ物)、玉子焼き(醤油が入った物)、嫌いな物、じゃれ合い、嫌いな物(食べ物)、大根、牛肉、鶏肉、豚肉、得意科目、体育、苦手科目、数学、家庭科、国語、社会、理科、勉強類、趣味、無趣味、何か一言、『無言』。
まぁ、これが僕の記録だろう、そう、『表上』では──生憎、僕はガキとつるむ趣味は無いのだが──それでも仕方無い、だって僕は、『小学生』なのだから──
そして学校に着く、生憎僕はアリスと同じクラスだ──何でこうも『同じ』というのか──学校だけでも顔をあわせたくない──そう思いながらランドセルを置いて、僕は項垂れる、あーあ、今日もめんどくさいガキ共と会話しなくてはならないのか──これでは少し気が滅入る──
そう思いながら、僕は欠伸をする、すると学級委員長の女の子(メガネの可愛い少女)が僕に声を掛けてきた。
「全く──小学生がそんな諦めた様な目で世界を見ない! 私達は勇気ある小学生なのよ! もとしゃっきりしなさい!」
そう言われながら僕は思いっきり背中を叩かれた、凄く痛い……するとアリスが僕に助け舟を出した。
「まぁまぁ、委員長もそんな事を言わないで、彼は世界に絶望した顔をしているわよ?」
「えっ? どういう事? 僕はそんな顔をしていないけど!?」
驚きながら僕はツッコんだ、ってか、僕はそんな表情をしていたのか……?
まぁ、そんな顔はどうでもいい、僕は早くこの学校を卒業したいのだが──残り三年だ、少しは我慢しないと──
そう思いながら僕は教室を出る、そして思う、もう学校行きたく無いなぁ、と──
「今日は、タカラ製菓の次期社長を殺してくれ、今の社長は息子の太郎氏に継がせたいそうだ、そして現副社長の明日壁氏が次期社長の座を狙って──」
「つまり、今の社長は息子を継がせたいから、今の副社長を殺せ、という事だろ? それをさっさと言えよ、全く──」
そう言いながら僕は背中に太刀を背負う──そして僕は動き出す──
「んで、社長、どうするんです? どうせ私しか継げませんからねぇ、三年前、大ヒット商品を出した私が社長なら、この会社も安心ですからねぇ……」
そう言いながら明日壁は社長を見遣る、そして明日壁は拳銃を後ろを向いている現社長の高良に後頭部に当てる、そして言う。
「……まさか貴様は私を殺してでも手に入れたいと?」
そう言いながら明日壁は言う。
「正解です、それでは社長、辞世の句を一言」
「あったら良かったな? そんな辞世の句──」
その瞬間、拳銃が音を立てる、そして高良は椅子から崩れ落ちる──だが、拳銃の弾丸はガラスを貫いていた──『間に合った』、若い少年の声を聞こえた明日壁は後ろを振り向いた、すると光輝がドアを開けて笑っていた。
「いやいや、どうも間に合ったようだね、何とかセーフって奴ですかね、社長?」
そう言うと、椅子が少し動く。
そして部屋の箪笥の中から社長が現れる。
「いやいや──セーフとは言ったが、何とか、では無いだろう? まぁ、私が生きているからまぁ、良いのだがね──」
そう言いながら社長は箪笥から出る、そして椅子に居る社長が動く。
「ピピッ! ガーガー……」
「何だ、声が出る部分が壊れたのか? でも今日使って、今日壊れただけだからまぁ、良いか」
そう言いながら高良が欠伸をする、そして明日壁が驚く。
「なっ、何で、社長が生きているんだ!?」
「簡単だよ、社長はそもそも『この部屋の箪笥に隠れていた』だけだからね、オマケに椅子に座っているのは声が出せるただの機械さ」
「何だと?」
「何だとって? 簡単だよ、アンドロイドだよ、今時のアンドロって綺麗なもんだろう? つまり、お前は騙されただけさ、オマケにずっと箪笥で見張ってたぜ? 声を機械で通すだけで騙されるんだから」
光輝が言うと、明日壁は冷や汗を垂らしまくる──そして明日壁は言った。
「そ……そんなぁ……!?」
「という事で、明日壁君、君は解雇させて頂くよ──刑務所で罪を償ってくれ──」
高良はそう言って、背を向けた──こうして一つの殺人事件が起きずに済んだ──
「……って、僕ってそもそも活躍してないのでは?」
そう言いながら黒マントの男に聞く。
「まぁ、良いんじゃないかな? 君はただの制御役、としか決めてなかったし──」
「えっ? それは無いんじゃ……」
「だってそれを言ったら、キレるじゃん? だから言わなかったのだ」
「──えぇー……」
そう呟きながら僕は少し冷や汗を掻いた──
明日もこんな日なら僕はキレて離れるぞ……? そう思いながら僕は僕の部屋に戻る──
明日はどんな事が起きるかな? そう思いながら僕は居眠る──明日こそ、悪い人を殺せたら良いなぁ、そう思って、睡魔に襲われる──
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