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しりとりシリーズ 『太刀』 風凪光輝の殺人記録 2 臭い者には蓋をしろ
数日後、学校──
僕こと、風凪光輝(かぜなぎこうき)は教室の黒板に向かって少し溜息を吐いた、それは何故か? そんなのは簡単だ、誰だって『教師が黒板に刺さっていたら』驚きか溜息しか出ないからだ──
そして普通に入口が騒がしい教室の中に入ってこの光景を目にしたのである、さて、自分の心境は何だと思う? 簡単に書けば、『どうでもいい』の一言だった──人が死ぬのは何回も見てきたし、殺してもきている、なので殺人はもう慣れている。
するとアリスが僕の肩を掴んで言う。
「どうする、殺し屋さん?」
……お前、完全に楽しんでんな? 顔には浮かべないが内心思う、そして僕は遺体をじっくりと見て判断する、これは『自殺では無い』という事だ、普通に書けば他殺、そして遺体はくの字になっている、そしてくの字の折れている部分を注視する、良く見るとナイフが突き刺さっている、しかも的確に心臓を刺している、これは結構な腕前で……そう思っているとアリスが頭を叩く。
「そんなに見ていると怪しいわよ?」
「おっとそうだね、少し離れておこう」
そう言って二人は遺体現場から離れる、そして、障害者用トイレに入る。
「さて光輝、貴方はどう感じた?」
「僕的に言えば、犯人は人を殺すのに熟練している、何故ならあんな綺麗に人の心臓にナイフが刺さるなんて普通の人間では考えられない、だから僕は自分と同じ様な『殺し屋』が殺した、と考えるのが妥当か? とか思っている」
「そう? 私は普通にただの人間が殺した、と考えるわ、殺し屋以外でも人の心臓を詳しく知っている人だって居るかもしれないわ、例えば──外科の医者とかね?」
そう言いながらアリスは良い事を思いつく。
「ねぇねぇ、警察が来る前にこの事件を解決してみましょう?」
「えっ? 何で?」
「面白いじゃない? 人殺しの犯人さ・が・し?」
「……少しだけ手伝うよ、少しだけ、ね?」
そう言いながら僕とアリスは犯人探しをする事にした──
「とは言っても、この学校の人間が殺した、とは限らないんだよねぇ──とりあえず、カメラを確認しないと──」
「あら? それは必要ないわよ? だって『この学校には監視カメラ自体存在しない』のだからね」
「そうか、あまり気にしなかったから知らなかったよ」
「へぇ? 『忘れやすい』の間違いでは?」
「てめぇ、喧嘩売ってる?」
僕がそう言うと、見回りをしている警備員の方が現れる。
「ねぇねぇ、警備員さん、警備員さん? 今日私のクラスの担任が殺されたんだけど、見回って不思議な事は無かった?」
華麗に猫を被って警備員に話を聞くアリス、だが有力な情報は無かった。
「とりあえず、今日は来て初めての見回りだそうで、だから知らないってさ」
「そうなのか……ってちょっと待って、今日来たって? だったら昨日、見回っていた人は?」
「それはあの警備員さんよ、月曜、火曜、木曜、金曜しか活動していないらしいわ、そして昨日見回りしていたけど先生は昨日は居残りしていないの、だから今日殺されたのよねぇ」
「へぇ、だったら、今日来た人、特に先生方が犯人の可能性が高いね」
「そう言う事、だから犯人は先生よ、そして先生より早く来ていた先生が犯人、もしくは先生より遅く来て生徒が来ない内に殺したか、の二つね」
「それでも殺した、つまり返り血はあるんじゃない?」
「そうね、その可能性が高い、だから服を着替えた先生が特に怪しい」
「だけれど、大体の先生は学校に来る時授業用に服を用意しているからね、普通にジャージ姿の体育教師がスーツをロッカーに常備している、みたいなね」
「そうなのよね、そして犯人は男性、女性にあんな押し込む力は無い、と仮定は出来る」
「そうだね、さて、もう少し練ろうか」
そして僕達は先生に話を聞いてみたりするが、有力な情報等無かった。
「……さて、物語は」
「振り出しに」
僕達はそう言って項垂れる、すると警察が学校に来た。
「遂に来たね」
「そうね、早く解かないとね──」
するとアリスが頭を抱えた、そしてアリスは『とんでもない』事を言った。
「馬鹿馬鹿馬鹿!! 何で『こんな簡単な事』に気が付かないの!?」
「おい、いきなりどうし──」
するとアリスは大声で言った。
「担任の先生を殺した人物が分かったかもしれないのよ!」
「えっ?」
そう言った瞬間、僕はアリスに引っ張られた、今は朝の八時、早くしないと一時間目が始まる──
「えっ? どうしたんだい君達?」
そう言いながら薬品を直す理科の荒波先生にアリスは聞いた。
「私のクラスの教師が『殺されたの』は分かりますよね? それで荒波先生に少し聞いておきたい、と思いましてね?」
そう言いながら荒波先生のぶよぶよとしたお腹に右手の人差し指で突付く、そしてアリスは言った。
「この先生殺し、犯人はアンタだろ?」
その瞬間、アリスはスカートの内側からナイフを取り出し荒波先生の首に当てる、そしてアリスは呟く。
「先生なら、『『梃子(てこ)の原理』や科学の力を使って、押し込む事も可能ですし、尚且つ『人間の心臓』も分かります』よね?」
静寂、少しの間隔の後、荒波先生は笑う。
「アハハハハ! 良く分かったね! それとも何だ? 借金の事とか聞いて知っていたのか?」
「知りませんけど? 私はただ単純に『優しい先生を殺したのは荒波先生ですか?』と聞いた迄なんですけどね、それでは警察に突き──」
アリスの言葉を切って、荒波先生はアリスに攻撃をする、そして先生は言う。
「甘いな、この肉体は『太った』と見せかけて筋力を何倍にもする機械を入れている、ガキ一人、簡単に殺せる!」
残った片手でアリスの口を塞ぐ、これでは窒息死してしまう──だが、それはさせない。
僕は袖に隠していたナイフを取り出し、口を塞いでいる手を『手首ごと斬り』取った、そして一言。
「ガキを舐めるな、もっと痛い目に合わせるぞ?」
そう言った瞬間、アリスは手に持っているナイフで、太った肉体と見せかけた体に触れ、その機械を探し、機械に向かって、ナイフを突き刺す。
「あっ! あぁっ!」
電流が流れ、荒波先生は気絶した──
その後荒波先生はロッカーに入っていた血の付いた白衣を見つけられ、その場で逮捕となった、白衣に付いた血は僕達の先生の血だった──こうして一つの事件が解決して、僕も安心した──
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