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しりとりシリーズの『その後』
作者: 彩都  (総ページ数: 108ページ)
関連タグ: しりとり 短編集 長編 ミステリ 推理 多ジャンル 
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 しりとりシリーズ 『太刀』の『その後』 風凪光輝の殺人記録 3 殺人鬼VS殺し屋VS怪盗ミラクル

 僕こと、風凪光輝は殺し屋である、そして僕は、小学三年生だ──

「えっ? どういう事?」
 僕が聞くと、長身の黒マントの男性は言う。
「とりあえず光輝、お前は『怪盗ミラクル』って奴を殺して欲しい、これは美術館の館長からの依頼だ」
 そう言って長身の黒マントの男性は立ち上がる、そして思いっきり笑った。
「アハハハハハ! 良いねぇ良いねぇ! 光輝、お前は怪盗を殺せるか? 否、殺せる! という事で『怪盗ミラクル』を殺して欲しい、それが依頼、出来るか光輝?」
「いけない事は無いけれど、相手がどうやって僕を倒すか、それが一抹の不安があるね」
「そうか、だったら依頼を受けてくれるか?」
「あぁ、受けよう、何だか面白そうだからね」
 そう言いながら僕は戦闘用の服に着替えて、太刀を持って、依頼された美術館へと向かった──

「えぇと、君ですか? 依頼を受けた殺し屋って言うのが……?」
「見た目は小さいですが、相当の実力はあります」
 そう言いながら美術館の館長こと、久喜沫姫(くき まつき)館長だ、因みに女性である、でもこんな綺麗な人が美術館の館長とは、この世も驚きの連続だ。
「まぁ、良いでしょう、殺し屋の中でもレベルが高い人材を選択された、という事でしょう──因みに『怪盗ミラクル』は知っていますかね?」
『怪盗ミラクル』──名前の通り、『奇跡』を操る怪盗だ、そして美術品や骨董品を奪っては売って、大金を色々な孤児院に送ったりしている、という噂だ、まぁ僕には関係ないからまぁ良いが──
「えーと、久喜さん、僕は『怪盗ミラクル』を殺せば良いんですね?」
「はい、美術品が奪われる前に殺してもらうのが私的には嬉しいですが──奪われても良いので、奪われた場合は、取り返して、殺してくれると有難いのですが、出来ますかね?」
「とりあえず、頑張って善処させて頂きます」
「えぇ、有難う御座います」
 そう言って、僕は話を終え、美術館の中に入った──

「もう終わったか?」
 木陰からちゃらちゃらした格好の少年──身長は光輝より頭一つ分高い位だ──が現れる、そして胸ポケットから小型のナイフを取り出して、峰を舐める。
「あぁ、今日もナイフが美味いぜ──んで、今日の依頼は何でしょう? 殺人鬼一家、『四季』家に何でもお任せあれ」
 少年は体を屈ませ、手を折り曲げて礼をした──その姿はまるでホストの接客の様だった──

「……何だ、これは?」
 そう言いながら絵画を見る、作者と作品名はヤルーオの『テラコワス』だ、他にもヤルーオの作品はあるが、この美術館には『テラコワス』以外の作品は無いらしい。
「まぁ、僕に美術は分からないから良いか……」
 そして僕はこの部屋の真ん中にある一つの美術品に目を向ける、これが盗まれる品か、そう思いながら考える、手の平大の粘土細工が何で500万以上するんだよ? そう思いながら溜息を吐く、僕は矢張り芸術が嫌いな様だ。
 するとガラスを割る音がする、僕は急いで背中に背負った太刀を取り出す、一体何処のガラスが割れたんだ? そう思っていると、白いシルクハットに赤いスーツのロングスカート──って『怪盗ミラクル』って女!?
「ん? お前は誰だ? まぁ良いか、ただの警備員かもしれないし──私は『怪盗ミラクル』、希代の怪盗よ! 今からこの中に入った美術品を奪いましょう!」
「させねぇよ」
 そう言いながら『怪盗ミラクル』に向かって、太刀を投げる、だが『怪盗ミラクル』はいとも簡単に避ける、そして太刀はあらぬ方向へと落ちる。
「危ない! 何て危ないガキなの!? 全く、私が盗むからほっときなさい!」
「ほっとけるか、僕は依頼されてお前を殺しに来たんだよ」
「ほう、私を殺しに? まぁ良いけれど──では、『殺し合い』ましょう?」
『怪盗ミラクル』がそう言った瞬間、後ろからナイフが飛んでいき、『怪盗ミラクル』の右腕に刺さる、すると『プシュウゥ』と煙が出そうな音が出た、その瞬間、『怪盗ミラクル』は少し冷や汗を掻いた。
「あ……やっべ」
「えっ?」
 僕も少し冷や汗を掻きながら、後ろのナイフを飛ばした人物を確認する、その人物は僕と同じ男で、僕より少し身長が高い位だ。
「えっ? お前は誰だ?」
「俺? 俺は殺人気一族、『四季』家の人間だ、俺も依頼されて、『怪盗ミラクル』を殺しに来た、つまり俺とお前の目的は一緒だ」
「そうか、でも僕が倒すから良いよ、君は下がっててよ」
「おいおい、お前は剣を投げて使えねぇじゃねぇか、だから俺のナイフを貸して一緒に倒そうじゃねぇか?」
「ていうか、私を見過ごすなよ」
 僕と四季の言い合いに『怪盗ミラクル』はツッコミを入れる、そして僕は『怪盗ミラクル』を睨む。
「煩いなぁ、君を倒すのは誰か決めているんだから」
「俺は一緒に倒そうぜって言っているんだがな、まぁいい、お前、さっさと倒せよ?」
 そう言いながら一本のナイフを渡される、これで倒さなければならないのか、まぁ行けるだろう、そう思いながら、思いっきりジャンプをする、目の前に『怪盗ミラクル』が見える。
「何でそんなに高く飛べるの!?」
「特訓のお陰だよ!」
 そう言いながら僕は『怪盗ミラクル』にナイフを投げた──

「はぁ、疲れた──」
 そう言いながら僕は当初の報酬より少し少ない金額の報酬を貰っていた、何故少ないかと言うと、『怪盗ミラクル』を殺せなかったからだ、あの後、僕はナイフを投げた、だが左目に突き刺さっただけで、何も取られずに逃げられたからだ。
「まぁ、取られないだけまだマシだ、さっさとずらかるぜ」
 四季が言うと、僕は四季に借りたナイフを返した。
「おっ、ちゃんと偉いぜ坊主、お前何歳だ?」
「僕? 君より年上」
「俺は中学一年だから、こんなに小さいガキは知らないぜ」
「知らなくてもいい」
「そうか」
 とまぁこんな会話をして、久喜館長に話をして、少し少ない報酬で許してもらった──そして僕は太刀を回収して、アジトへ戻った──
 そして『怪盗ミラクル』はと言うと──眼帯の怪盗として、少し知名度がアップしていた──何で知名度上げているんだよ、そう心の中でツッコみながらテレビの電源を消す、そして僕はランドセルを背負って、学校へ行った──

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