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しりとりシリーズの『その後』
作者: 彩都  (総ページ数: 108ページ)
関連タグ: しりとり 短編集 長編 ミステリ 推理 多ジャンル 
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 しりとりシリーズ 『太刀』の『その後』 風凪光輝の殺人記録 4 一枚のゲーム

 えーと、これはどういう事だよボス!? 僕こと、風凪光輝は謎の驚きを見せる、それは何故か? そんなのは簡単だ、『目の前の暗殺対象がもう殺されていた』からだ──椅子に座る二人の人間、その内一人は暗殺対象の人間、そして目の前には仮面の人間が居た、そして仮面の人間の手元には数枚の赤いコインが……これは一体……?
「やぁ、殺し屋さん、待っていたよ、対象が死んでいて驚いたね、でもそんなの私には興味が無い、その対象は私との『賭け』で負けたから殺しただけ、だから殺し屋さんも私のとの戦いに勝って、私を殺しなよ?」
「おい、一寸待て、まずこの状況を説明するには今さっきの台詞だけでは足りない、もう少し説明をしてくれ」
「簡単に言えば、私との『賭け』に負けたから、私が『賭け』の対象として取っていた対象の『命』を貰った、って事かな? まぁまぁ、座って下さいな」
 機械音で話される、少し聞き取りずらいが、聞こえない訳ではない為、スルーする、そして僕は椅子に座る。
「んで、どんな賭けをしたんだ?」
「そんなのは簡単です、『二十枚のコイン取り(トゥエンティー・コイン)』ですよ、簡単に言えば、この19枚の赤いコインを取り合って、最後の一枚、この白いコインを取ったら、負けというゲームですよ、一人一回取れます、一回で取れる量は三枚、ではやりませんか?」
「一寸待て、いきなり過ぎて意味が分からないんだが!?」
「簡単ですよ、私が貰ったのは『命』以外にもありますからね、私は貰ったのは、ウィルスです、それも九割死ぬタイプのね──オマケに治療薬は存在しない特別なモノです、良いんですか? この世界にばら撒いても?」
「それはダメだ、それは僕が止めよう」
「だったらこのゲームで賭けをしませんか? 君が勝ったら私を殺して下さい、これでばら撒けないでしょう? もしも君が負けたら、私は『君がばら撒いた』と言います」
 !? それは……人類の危機じゃないか!? って小学生の姿の自分に運命を決められても!
「……分かった、受けてやるよ、てめぇの挑戦に──さぁ、勝負だ、仮面野郎!」
「やはり、命を賭けるゲームはこうでなくっちゃね……フフフ……」

「先攻は君で良いですよ、一回で取れるのは三枚迄です」
「OK、分かった」
 こうして僕と仮面野郎とのゲームが始まった──

「三枚取ろう、これで少しは費やせるだろ」
 僕はそう言い、三枚を取る、二十枚→十七枚。
「フフフ、堅実に行きましょう」
 笑いながら仮面野郎は一枚取る、十七枚→十六枚。
「…………」
 不思議だった、何で一枚なのかを──三枚取ればいいものを……そう思いながらまた三枚取る、十六枚→十三枚。
「ふむ、今回も一枚で良いでしょう」
 僕はそう言いながら仮面野郎は一枚取った、十三枚→十二枚。
「もうすぐ半分か……」
 相手はそう呟きながら、コインを取る、十二枚→九枚。
「もう十枚を切りましたか、案外速いゲームですね、これ」
 僕はそう言い、二枚を手に取る、九枚→七枚。
「お前、負けるかもよ?」
 僕はそう言ってまたもや三枚取る、七枚→四枚。
 すると仮面野郎が笑った。
「貴方の負けですね」
 相手がそう言って、仮面野郎は最後の赤のコイン三枚を取った、そして机の上に残っているコインは白のコイン一枚のみ。
「……!? 僕の負け……!?」
「正解です、ですが貴方はこのゲームを初めてしたプレイヤーなので、これは練習扱いにしておききましょう、では本番です」
 負けと思っていたが、何とか練習で助かった、さぁ、勝たなければ──

「今度は本番、私が先攻で」
 相手がそう言いながら一枚、手に取る、二十枚→十九枚。
「……僕は三枚」
 僕はそう言って、三枚を手に取る、十九枚→十六枚。
「ふむ、前と同じなら負けてしまいますよ?」
 相手はそう呟きながら仮面野郎は一枚、手に取った、十六枚→十五枚。
「それは分からないぜ?」
 僕はそう言い、三枚を手に取った、これでよし、十五枚→十二枚。
「……? 分からない? そうなのでしょうか、このゲームには『必勝法』というのがあります、それに則っただけですよ」
 仮面野郎はそう言って一枚を手に取った、十二枚→十一枚。
「そんな……! 僕は勝てないのか……!?」
 僕はそう言い、三枚を手に取った、十一枚→八枚。
「さぁさぁ、段々後がなくなってきましたよ!?」
 そう言いながら仮面野郎は一枚取った、八枚→七枚。
「僕は諦めないぞ!」
 そう言って僕は枚数が少なくなったので、取る枚数を減らした、七枚→五枚。
「おま!? 何て事を!?」
 そう言いながらコインが置いた机を投げようとする、だが、僕が押さえつける。
「さっさと取れよ、コイン」
「……ぐぅぅぅ!」
 仕方無く仮面野郎はコインを取った、五枚→四枚。
「これで最後だ!」
 そう言いながら僕は三枚を手に取った、四枚→一枚。
「嘘だろ……? 私がこんなガキに負けるなんて……」
「僕はガキじゃない、手順が変わったら負けるお前ってどうだよ? ていうか不思議だったんだよ、何時も一枚なのに、何で練習の時、二枚取っていたかを……」
 そう言いながら僕は方に背負った太刀を取り出して言った。
「んで、約束覚えてる? 僕が勝ったらお前を殺すって?」
「練習なら、君も大罪人になっているが?」
「お前は今さっきの戦いを『今度は本番』と言っているが? だから殺しても良い」
 そう言って、僕は太刀を振るった──

 そして僕は仮面野郎を殺した後、その部屋を出て、ボスの組織に迄戻った。
 結構難しいゲームだったが、生きていたら、もう一回している所だった──僕はそう思いながらベッドの中に凭れながら睡魔に襲われる──今日はとんでもない頭脳戦、だった気がするのは僕だけだろうか?

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