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別れという物は、時に偶然で、時に必然で、誰も、防げない──そんな事は分かってた、絶対に捨てられる時が来る、その時を──僕はただ、見守る事しか出来ないのか? 僕は……僕は……この『別れ』は見たくなかった、見る機会が与えられていようとも、僕はただ目を逸らすだろう──この『別れ』は……絶対にしたくなかった──だから神様、僕の代わりにこの『別れ』を無かった事にして下さい……僕はもう悲しみたくも無い、『拾ってくれた親』の『別れ』なんて……僕は、僕は……どうして避けられなかったのか、後悔するのみだ──
しりとりシリーズ 『太刀』の『その後』 風凪光輝の殺人記録 8 最終章 風凪光輝の復讐記録 (前篇)
数時間前、学校──
「あぁ、疲れたなぁ、先生の授業の扱きはキツいよ……」
僕は一人欠伸をしながら靴箱で運動靴に履き替え、校門へ向かった、するとアリスが校門前で待っていた、そういえば今日はアリスの二十歳の誕生日だったな、そう思いながら僕はアリスに声をかける。
「おぅい、アリス? ゴメン、待ったかな?」
僕がそう言うと、少し涙目のアリスが僕の胸に飛び込んで泣き始める、はて?僕は悪い事をしたかな? 入院していたから勉強を皆に追い付く様に教えられていただけなのに──
「バカ! 遅いわよ! 今日は私の誕生日よ!? 忘れたのかと思ったじゃない!」
「流石に忘れる訳無いだろう? 僕は入院していたから、先生に勉強を教えられていただけさ」
僕が何とか機嫌を直そうと慌てながら今迄の説明する、すると何とか泣き止んでくれた様だ、ふぅ危ない危ない……
「じゃぁ一緒に帰りましょう? ……てっ、手を繋がない!? 今日は特別に私の手を繋いでも良いわよ!?」
僕は思う、完全に照れてるなぁ、と、人前で滅多に泣かないから僕に対して泣いたのも恥ずかしかったのだろう、そう思いながら僕は仕方なく手を繋ぐ、まるでカップルみたいだった、って僕結構生きているけど、こんな事は初めてでドキドキしていたのは誰にも言えない──
そしてボスの基地の中に入って、靴を脱ぎ、靴を綺麗に直してから、室内に入る、さぁ、今日はどんな仕事があるのだろうか? そう思いながら僕は何時でも暗殺が出来る様服を着替え、方に太刀を背負う。
さぁ、今日に仕事は何だろうなぁ……、その瞬間だった、ドガン、気持ち良い爆発音が聞こえ、僕は爆風の衝撃で少しだけ浮いてしまった、えっ? 誰かが爆薬の配合を失敗したのかな? いや、流石に爆薬を扱うのは僕の暗殺家業でも相当な手練な筈の口舌味先(くぜつ みさき)だけだろう、流石に彼女が失敗する筈は無いのだが──すると何だか外が騒がしい、一体何だろう? そう思いながら僕は今居る部屋から扉を開けて廊下に出る、すると爆発していたのはボスの部屋だった。
「!?」
僕は急いでボスの部屋に入る、すると左半身を火傷したボスがいた、少しだけ呻いていて居たそうだ、僕はローンバスに電話しようとしたが、右手でボスが止める。
「光輝か……? こんなざまだ、もう死ぬだろう、どうせ私は殺し屋だった、長く生きられないと思っていたが、今此処で死ぬとは少し苛付いてしまうが、それは仕方が無い事だろう……お前に言っておく事がある、敵襲だ、敵が私の部屋に爆弾を設置して私に爆撃を──そして、私が死んだら自由になれ、このまま暗殺業を続けても良いし、もう普通の人間として生きても良いんだ、今の今迄人を殺す道具として扱ってきてすまんな、もう自由なんだ……」
「僕はもっと人を殺しても良いし、アンタの言う通りに生きたいんだよ! もっと指図して欲しい!」
僕が涙ぐみながら言うと、ボスは言った。
「そうか……だったら、自由に生きて、暗殺業を辞めなさい……もうこれ以上人を殺さなくても良い様に生きるんだ……」
そしてボスはベッドの近くの机に指を刺して、息が切れ切れの状態で言う、もう痛みと寿命が……
「あの……机に、私の……遺書がある、それを最後に読んでくれ……」
そう言いながら机に指を刺した手は急にガクンッと下がって、ボドンッと床に落ちる、僕は流石に死ぬ訳無いと思いながら心臓部分に耳を当てる、少し熱いが、それはどうでもいい──そして心臓の鼓動を確認する──止まっている、心臓は停止した──嘘だろ! 起きてくれよ! もっと僕に指図を! ……そんな事を言ってももう無駄なんだ、そう思いながら俯きながら目頭が熱くなる、どうしてだろう? 肉体を若返らせたから涙腺が弱くなっているのかな? そう思いながら僕はわんわんと泣き始めた──その姿が発見されるのは案外早かった──
「これはどういう事? 貴方がやったの?」
そう言いながらアリスは泣いている僕に向かって言う、僕は答えない、『これは何なのか?』アリスが言う、僕は答えられない、『何でボスが死んでいるの?』、僕は答える事が出来ない、泣くしかない、泣くしか──
「殺された、という事ですよ、アリスさん?」
そう言いながら白衣のメガネの長身の女性──口舌味先(くぜつ みさき)だ──が言う、そして味先は言う。
「結構大量の火薬だ──完全に殺す気で敵はボスに投げたんだろうねぇ、さぁこの仕事はどうする? 私はお前ら二人に依頼したいんだ」
「それは……何よ?」
アリスが言う、すると味先は言う。
「ボスの仇を取ってくれ、それが今の私の依頼さ」
それを聞いた瞬間、僕はいきなり立ち上がる、いきなり立ち上がってアリスは驚く。
「い、い、い、いきなり何よ!?」
「味先、敵は何処に居るんだ?」
そう言う僕にニヤニヤしながら味先は言う。
「ハッ! 実際分かってんじゃないの? ボスが探知機つけた事位?」
「だろうね、あの人はただで転ばない人だったからなぁ──アリス、行こうか」
僕がそう言うとアリスは不思議がる。
「い、一体何処よ?」
「そんなのは簡単さ、爆弾を使ってボスを殺した奴らに」
僕は今復讐心で動いている、この復讐心はアリスを傷つけてしまうかもしれない、それでも僕は動かないといけない、これが最後の僕の依頼であっても、ボスを殺した奴らには報復を受けさせないとね……僕はそのまま地下の基地へ行って探知機を確認する──此処か、そう思いながら僕は外へ出た、さぁ、殺し返そうか。
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