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しりとりシリーズの『その後』
作者: 彩都  (総ページ数: 108ページ)
関連タグ: しりとり 短編集 長編 ミステリ 推理 多ジャンル 
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 しりとりシリーズ 『太刀』の『その後』 風凪光輝の殺人記録 10 最終章 風凪光輝の復讐記録 (後編)

 動けなかった、いきなりの行動で、僕の体は固まってしまった、アリスも動けなかった、復讐出来ずに死ぬのか、まるで走馬灯の様に色々な記憶が思い出される、四季との思い出、アリスと一緒のベッドで寝た思い出、色々な人を殺した思い出──全てが綺麗な思い出として、思い出される、そう思いながら僕は目を閉じた──

「で、何しに来たの光輝君?」
 委員長が言う、あれっ? 僕は死んでいない?
「死ぬ訳無いでしょう? だって張りぼてにただの照明だし──音はただ単純に録音したのを使用しただけだし──」
「成程──それでは言おうか、お前が殺したのか、僕のボスを?」
 無言、その後に委員長は言った。
「……そうよ、と言えば? ってその前に私の名前を言っていなかったわね、私の名前は四季識描(しき しきかく)、爆弾魔、とでも言えば良いわ、私は依頼を受けて殺したのでは無いわ、『殺害現場を見られた』から殺しただけ」
「そうか……」
 僕はそう言いながら識描の首に太刀を当てる、そして僕は言う。
「そうかそうか、『見られたから殺した』のか……」
 僕は太刀を下に下げて、識描に言う。
「それでも僕のボスを殺した、という事に変わりは無い、僕はボスを殺した奴を殺し返しに来ただけ、だから委員長、君を殺すよ」
「あらそう? 私は簡単に死なないわ、貴方と同じ肉体若返薬(ミニマム)使用者だから」
「……何歳だよ?」
 僕が不思議そうに聞くと、識描は答える。
「……女子に年齢を聞くなんて何て最低な男──年齢は32歳よ」
「……それは無いわぁ」
 そう言うと、識描は顔を赤くする。
「なっ!? いいじゃない! 若さを手に入れても!」
「確かにそうだけど……ってその前に殺す事を忘れていたよ、さようなら委員長、可愛かったよ、年齢を聞く前迄ね」
「あら? 私も貴方の年齢を聞く迄好きだったわ」
「そうか」
「そうよ」
 僕はそう言いながら太刀を横に振った、すると識描の首は吹っ飛んでいった──これで復讐は完了だ──

 数日後──

「あら? 光輝君? 何処へ行くのかしら?」
 そう言いながら巨乳のアリス──肉体若返薬(ミニマム)の逆の肉体成長薬(マグナム)を使用して元の姿に戻った──は頭を掻きながら僕に向かって尋ねる。
「僕か? 僕はー……」
 僕も肉体成長薬(マグナム)を使用して、元の姿に戻っていた、身長175cmの姿を玄関の鏡で見ながら懐かしいなぁ、と思う。
「知らないや、少しだけ日本をブラブラするよ」
「あら? 私も参加したいわね──」
「すまない、今回は僕だけで行動したいんだ」
「そう? それなら仕方無いわね」
「仕方無くないけれどね」
「煩いわね、燃やすわよ?」
「もう燃やせないだろ? 僕だって少しは強いんだから」
 そう言いながら自分の右手を見る、相当戦った右手を見ながら欠伸をする。
「もう、この家──いやこの組織から抜けるんだ、この世には『人を殺すよりももっと面白い事がある』かもしれないからね」
「私はこの家でもう少しこの体を慣らすわ、そして光輝、貴方を見つけて結婚する」
「おいおい、僕の結婚相手を勝手に決めるなよ、僕だって結婚する人を決める事だって可能だろう?」
「それもそうだけれど、その前に私と結婚してくれる人がいないもの」
「僕だって結婚してくれる人なんか居ないさ、だから探すんだろう?」
「だから私と結婚してしまえば楽なのに……」
「君だけとは結婚したくないけどね──さて、行くよ、こんな会話している暇があったら少しでも前に進みたいんだ、僕はこの日本の景色をもっと楽しみたいからね」
「あら? こんな会話がつまらないですって? それもそうね──じゃあね光輝君、また会えたら会いましょう?」
「もう会いたくないけれどね」
「酷いわねぇ、何れ出会ったら『カオスな光輝君』になりそうね、いや『闇輝』君かしら?」
「僕の名前で遊ぶなよ」
「あら? 面白いわよ? 名前弄りは」
「本当に君は腹立つね、早く殺したいよ、今はもう殺さないけれど」
「私も抱き締めて絞め殺したかったわ、体が小さい時にしか出来なかったけれど」
「んじゃ、もう本当に出るよ」
「えぇ、達者に生きなさい、風凪光輝」
「あぁ、達者に生きるよ、詠川有数(よみかわ アリス)」
 僕とアリスは相手の本名を言い合って、顔を逸らした、僕は玄関のドア越しで少しだけ涙を出していた、アリスも少しだけ泣きかけていた。
 僕の殺人話は識描の殺害で終わり、これからは僕の殺人記録じゃなくて、娯楽記録となるだろう、少しでもこの人生を楽しみたい、日本を楽しみたい、もっともっとこの世界を楽しみたい、そう思いながら僕は旅行用の鞄を牽きながら前に進む、僕の人生はどうなるか分からない、だから少しでも楽しまないといけない、僕は大きく深呼吸をしてから大空に向かって言う。
「さぁ、誰か僕を楽しませてくれよ──!」
 そう言いながら僕は走る、何処にゴールがあるか分からないけれど、僕は進むんだ、未来という道を──

 しりとりシリーズ 『太刀』の『その後』 風凪光輝の殺人記録 10 最終章 風凪光輝の復讐記録 (後編)

 終・わ・り……

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