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しりとりシリーズの『その後』
作者: 彩都  (総ページ数: 108ページ)
関連タグ: しりとり 短編集 長編 ミステリ 推理 多ジャンル 
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 しりとりシリーズ 『帝都』の『その後』 7 帝都戦争 皇太子、暴走

 …………嘘だろ? あんな蹴り一発でどこ迄吹き飛んだ? そう思いながら死魔は考える、今は死魔になっている場合ではない、そう思いながら志摩に戻る死魔、早くこの事を先輩に伝えないと……そう思いながらゆっくりと林の中を歩く、バレない様にこっそりと移動してやろうか、志摩はそう思いながら血が付いた脚を引き摺りながら歩む──

「おい、志摩が林の方へ!」
 俺こと、久比里色也はそう言いながら本羅に言う。
「大丈夫なんかねぇ」
 本羅はそう言いながら林の方を見る、俺は仕方なく、戦線離脱を考える。
「おい、ここは俺に任せろ、本羅は志摩を探してくれ!」
「無理だぜ、俺はお前と一緒に戦うって決めたんだよ、だから離れられない」
「うるせぇ! そんな事より志摩の事が!」
 俺はそう言いながら戦車を出て、本羅の首元を掴む。
「志摩は俺の後輩なんだよ! 後輩を心配しない先輩が何処に居るんだよ!? だから……だから、本羅は志摩の事を頼む、ここは俺が努力して守ってやるからさ?」
 俺はそう言いながら、本羅を蹴って、林の中へ送る、そして俺は本羅に言う。
「じゃあな、生きてたら、一緒に酒を飲もうぜ?」
 そう言って俺は戦車に乗り込んで、前へ前へと進んだ……後ろから本羅が俺を叫ぶ声が聞こえたが、空耳だと考えて聞かなかった事にした、頼むぞ、本羅……!!

「……いってぇ、こりゃ完全に歯が折れてる──」
 志摩はそう言いながら自分の口に腰に下げていた水筒の水を入れて、口の中を濯ぐ、そして一気に吐き出す、中の水から血で濁った水と欠けた歯が数本出てきた──こりゃ、弁償して頂きたいものだ……そう思いながら志摩はその場で座り込んで休憩をする。
「全く、完全に戦いに支障が出る、これは参ったよ……」
 志摩はそう言いながら欠伸をする、まだまだ戦える、だが顔面を蹴られた痛みが強い、だからこの痛みを消さないと勝てない。
 そう思いながら深呼吸をした、その瞬間、ガサガサッと草木が揺れる音がした、その音の後、現れたのは本羅だった。
「あっ、先輩、どうしたんですか?」
 志摩がそう言うと、本羅は喜んでいた。
「よかったぁ……生きていて、いや、実はさ、俺、色也から『志摩を探してこい』って命令されてさぁ……」
「そうだったんですか……この通り、志摩は生きていますよ!」
 そう言いながら志摩は立ち上がって、元気な証拠を見せる。
「そうか、それは良かった──でも、もう動くのが辛いんだろう?」
 そう言いながら志摩の頬を触る、その瞬間、強烈な刺激が自分の頬に走った志摩は触れた本羅の手を払いのける。
「いたっ! あっ……すいません──」
「良いんだよ、それ程お前の体は消耗しているって事だ、生きている証拠だな」
 本羅はそう言いながら志摩の隣に座る、志摩も座る事にした。
「今さ、色也一人で戦車を使って戦ってるよ」
 そう言った瞬間、志摩は立ち上がる。
「だったら、だったらこんな所で休憩している場合では無いでしょう! 早く先輩の手助けを……」
 志摩はそう言いながら色也の方向へと向かう、だが本羅が止める。
「まぁまぁ、少しは休憩して手伝いに行こうや? 志摩ちゃんだって休憩しないと体が辛いでしょう?」
 本羅がそう言うと、志摩はプルプルと震えながら小さな声で言う。
「……この戦車を操っている人、その人の正体を先輩にも伝えないといけません……! だから、少しでも早く行動しないと!」
 そう言いながら引き摺られる本羅、本羅はその正体について聞いた。
「ねぇ、志摩ちゃん、自分だって君の先輩だ、だから自分にも言う権利はあるんだ、だから聞くよ? その『正体』は誰なんだい?」
 本羅が言うと、少し黙ってから、志摩は言い出した──
「その『正体』ですか……? その『正体』は──」

 ハァハァ、ハァハァ、戦車に乗り換えるのは中々キツいものだ……そう思いながら俺は志摩と俺が倒した戦車を乗り換えながら相手の戦車を壊していく、前よりも戦車の量は少なくなっている、だからもうすぐ相手の戦車も尽きるだろう──そう思いながら戦車の砲弾を乱発、すると二台の戦車が壊れる、一気に楽になった、そう思いながら砲弾が切れたので、戦車を乗り換えようとする、だが戦車の乗り換えはもう出来ない様だ、何と、俺と志摩が倒した戦車の在庫はもう切れてしまい、残っているのは壊れた戦車の残骸のみ──そして目の前に存在するのは五台程度の戦車と一番奥に見える今迄よりも巨大な戦車の計六台、程度か? そう思いながら俺は頭を掻く、さぁ、此処からは俺だけ肉弾戦かなぁ? そう思いながら深呼吸をする、さぁ、ここから本気で戦うかぁ……そう思っていると林から志摩と本羅が現れる。
「おぉ、二人共、生きていたか」
「まぁ、な──」
 そう言いながら本羅が下を向く、どうしたのだろう? すると死魔が言う、いや、今は志摩になっているのか。
「あの……先輩、あの巨大な戦車がありますよね? 一番遠くにあるあの巨大な戦車の事なんですが……あの戦車に乗っている人がこの戦車を動かす黒幕なんですよ──」
 志摩がそう言うと俺は驚いた、遂に黒幕の登場か、それは誰だろう? 俺は『黒幕は誰なんだ?』と聞くと、志摩は少し悲しそうに言う──
「それは──皇太子様です──!!」
 志摩の言葉を聞いた瞬間、俺は驚いた、えっ? 皇太子様? 次の天皇候補のあの皇太子様か?
 驚く俺に対して、志摩は言う。
「はい、その皇太子様です、その皇太子様が今の天皇様を殺す為に皇居に攻撃をしているんです」
 そう言いながら悔しそうな顔をしている、『何で皇太子様が……!』という様な感情だろうか? それは俺には分からないが、あの巨大な戦車を操っているのが皇太子様──そして俺は巨大な戦車を見つめる──あの中に皇太子様が居るのか──俺は深呼吸をしてもう一度見つめる、皇太子様だろうが何だろうが、悪い事をしたらダメなのだ、それを叱るのが俺達警邏の仕事である、さぁ、少し皇太子様を叱ろうか、そう思いながら俺は前へ進む──この戦い、俺は死ぬか生きるか、まだ分からない──

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