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しりとりシリーズ 『帝都』の『その後』 8 帝都戦争 皇居の戦争
「おらぁ! おらおらぁ!!」
そう言いながら志摩が戦車に向かって攻撃をする、簡単な攻撃、パンチで戦車を攻撃する、すると殴った部分が簡単にへっこんだ、いや、押し潰されたのか──それは分からないが、志摩は殴って殴って、殴り散らかす、そして装甲の中から一人の男性が操縦しているのを見つける。
「…………」
無言のまま、志摩はその男性の胸倉を掴んで、その戦車の中から引き剥がす。
「うわぁっ!?」
悲鳴、それもそうだ、自分の体重を軽々と胸倉を掴んで戦車から引き剥がす、それは普通の女性では出来ない行為なのだ、だが目の前の女性は出来ている、そう、自分の目の前に居る女性は『異常』なのだ、簡単に言えば、『神が与えた二物』の存在なのだ、一つは、美貌、二つ目は、『怪力』、もしくは『強力な筋肉』、か──それは良く分からないが、今、自分が起こさなければならない事は一つ、それは──
「すいませんでしたぁ! だから、だから殺すのだけは勘弁して下さい!」
今、自分が起こさなければならない事は一つ、それは──『命乞い』である、何故なら、目の前に居る女性は力が強いのだ、そんな彼女に俺は殺されてしまうのか? と考えてしまうと、身の毛もよだつ思いだ、だから少しでも生存確率を上げる為にも、命乞いをしなくてはならない──
「…………」
だが志摩は無言のままだ、『生かしてやる』、も、『殺してやる』、も何も言わないのだ、それは不思議だ、ただ、自分の事を見るだけで、少しムスッとした顔のままそのまま自分の事を見続ける、そしてそのまま胸倉を掴んだまま志摩は戦車の中から引き摺り出した男性を遠くへと放り投げた。
「うわぁっ!?」
二回目の悲鳴、それも戦車から引き剥がされた時と同じ悲鳴である、いや、何が起きた? いや、『何で投げた』……? 頭の中で、迷宮を作り出す考え、その考えに少し戸惑いながら自分の状況を少しでも分かりやすく考える。
そうだ、俺は投げられたんだよ、つまり『生きる事が許された』って事だ、『殺していない』、つまり『生きても良い』って事だ! そう考えながら自分は立ち上がり、林の中へと向かった──これで生存確率を大幅に上げる事が出来る、完全に俺は今、此処で死ぬ事を逃れた人物だ! そう思いながら林の中へと駆け巡っていく──
はぁ、また命乞いされた、まぁ、無言のまま見つめてるのも悪い証拠なんだけどね──そう思いながら志摩は次の戦車へと近付く、はぁ、全く、そんな逃げ出さなくても、自分のカッコウを見れば分かるじゃないですか、『警邏』ですよ? け・い・ら! 全く、人を殺すのが警邏だなんて思われそうですねぇ……警邏は人を殺す時は犯罪者に面向かった時とか、戦争の時とか、今みたいな、戦車が皇居に攻め込んだ時とかですよ……って、殺す可能性あるじゃん……そう思いながら自分でセルフボケツッコミをする志摩、さて、もうすぐ皇太子様が乗る戦車が近付いてくる、もう他の戦車は粗方片付けただろう、さぁ、残りは二台、三台の戦車のみだ、さっさと片付けて、先輩達にバトンを渡さなければ、そう思いながら志摩は前へと進む、後ろに居る先輩達に楽をさせる為に──
「志摩……」
そう言いながら俺こと、久比里色也はそう呟く、目の前、いや、遠方に居る志摩を見つめながら言う。
「全く、先輩思いの良い後輩だなぁ……」
そう呟きながら俺は深呼吸をする、そして隣に居る本羅が言う。
「アッハッハッハ! お前は何を言っているんだ、後輩は先輩に尽くす、これが普通だろう?」
本羅はそう言いながら欠伸をする、何とも呑気に笑っている。
「……そうかいそうかい」
俺はそう呟いてから、深呼吸をする、さぁ、志摩、早く戻って来いよ……少し心配になってくる──
「おらよぉ!」
そう言いながら志摩は他の戦車を破壊していく、そして最後の一台を壊す。
「……やったか!?」
志摩はそう言って、周りを確認する、回りには皇太子様が乗っている戦車以外見当たらない。
「遂に……遂に出会えた──」
志摩は大きく深呼吸をしてから皇太子様が乗っている戦車に目をやる、後はこれを壊せば良いのだが──中々壊せそうに無い装甲だ、何重にも装甲を重ねていて、破壊かほぼほぼ不可能だろう、そう思いながら深呼吸を止める。
「仕方無い、『とっておきの『アレ』』でも使おうかなぁ……?」
そう思いながら周りを確認する、すると志摩の目の前に色也と本羅が近付いてくる。
「おーい、加勢しに来た! もう安心だろう」
本羅がそう言って志摩と合流する、全く、少しは待ってて欲しいものだが──まぁ、個より全体の力とも言うし、数の暴力とも言う事がある、仕方無い、一緒に倒してあげますか……そう思いながら志摩は体を少し動かして何時でも動ける様に準備する。
「さぁ、行きますか、本羅先輩、色也先輩!」
志摩がそう言うと二人は『おう!』と大声を上げる──三人の警邏は皇太子の戦車を壊し、皇太子を外に出す事が出来るのだろうか……それは誰にも分からない──
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