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しりとりシリーズ 『村雨』の『その後』 不生の戦い 3 決着する戦い
刀と刀がぶつかる音がする、何とも重い音である、だがそんな音に構ってはいられない、と思う不生、それもその筈、何故なら不生の刀、『村雨』は目の前の男──忍者である──に奪われようとしているからだ。
なんとしてもこの刀は奪われてはいけない、そう思いながら不生は目の前に存在する忍者と戦う──
「おいおいぃ! 完全に遅いぞぉ! それでも忍者かよ!」
「……ッッ!」
「何だぁ? 反論出来ないってかぁ? こりゃ傑作!」
そう言いながら段々と剣戟が激しくなっていく、だって、自分はこんな戦い、初めてだし、実践も初めてだ! だから防御するのでさえ精一杯、手一杯なのだ、流石歴戦の勇士って奴? 自分はそんな場所にはまだまだ立てない──すると急に後ろから声が聞こえた。
「不生! 諦めないで! アンタはまだ『村雨』の力も使えていない! だから使える様になりなさい!」
えっ? 『村雨』の力……? 何だそれは? 初めて聞いたぞ、そんな言葉。
そう思いながら今迄の父との特訓を思い出すが、そもそも『村雨』の力の話なんか聞いていない。
「一体どうしたら良いんだよ!? 自分にまだ『村雨』の力なんか使えない!」
不生がそう言うと、不萌が心の中で呟く、そりゃそうだ、私も『村雨』の力は知らないのだ、だから不生の刀が覚醒しないと説明もそもそもも出来ない。
「諦めないで! ちゃんと! 刀の力を信じなさい!」
「はぁ!? 刀の力を信じる!? 出来る訳が無い! どうやって信じろってんだよ!?」
「私に聞かないでよ! 私だって直に見た訳じゃない!」
「だったら言うなよ!」
不萌と不生の言い合いに少し呆れる忍者、何か俺、ほっとかれている気がするんだが? というより、このガキ、まだ気付いていないのか? 自分の攻撃を見ずに刀で防御しているのだ! 普通何処から攻撃が来るか分からないと言うのに、全ての攻撃を防いでいる! 逆に凄いぞ、このガキ……忍者はそう呟きながら後方に移動する。
「全く……人の話を聞きながら剣戟はするもんじゃないよ、話をとっとと終わらせやがれ、ガキが」
「生憎、もう終わったよ、自分は『村雨』を信じる、さぁ、お前を倒したら全部全部終わりさ……!」
「フンッ! 何を言い出すかと思えば……? あれ? 体が動かな──」
「それもその筈、角さんが手伝ってくれましたし──『話し合いという時間稼ぎによく付き合ってくれましたね、貴方が動き回ったお陰で色々な糸が貴方の体の周りを包んでいる事をお知りに』?」
不萌がそう言った瞬間、自分の体に巻かれている超極細の糸が自分の体を包んでいる事に気がついた、まさか、俺は相手の罠に引っかかった、と言う事か……!?
「そう言う事、何気に避けるのが大変だったぜ、生憎自分は『まだ戦えない』んでね……」
不生はそう言って、右手で指を鳴らした、すると相手の忍者は焼豚の様に糸に巻かれた姿になり、一気に締め付けられ、肉塊となった──
すると急に人の気配を感じてくる、まさかコイツを倒したから、元の世界に戻る事が出来る様になったのか?
まぁ、何とか相手も倒したし、これにて全部解決したかな? と不生がそう思うと、不萌が言う。
「ねぇ、不生、何で襲ってきたのかしら……? しかも『村雨』だけを……?」
「そんなの決まっている、相当珍しい刀だからだ、『村雨』が──」
「本当にそれだけ? もしかして『村雨』を狙っている巨大な組織が私達を襲った、という考えは無いかしら?」
「……ある訳無いだろ、もしもそんなのだったら父上や他の忍者が動き回るでしょ? だからガキの自分や不萌は自由に過ごそうよ、全部大人が解決するんだから」
「……そうよね、それじゃあ買い物の続きよ!」
不萌がそう言うと、不生は厭な顔をする。
「……今度は何処へ行くの?」
「今度は新宿よ! 後々ぉ、秋葉原とか!」
「うわぁ、ついてこなきゃ良かった、こんな戦いも起きるし、荷物も多いし……」
不生はそう呟きながら欠伸をする──不萌はニコニコしながら前へと突き進む──不生達の周りには色々な人が存在していた、スーツ姿の男性、OL、小学生、オタクの男女、外国人、白人、黒人、キリスト教の人、仏教の人、イスラム教の人──色々な人種が存在していた、そんな中、たった二人の忍者が歩いていた、名前は不生、もう一人は不萌、この二人の忍者は巨大な戦いに巻き込まれるのだが、今はまだ知らない──
「……二人共死にました」
「そうか……中々強い存在を送ったつもりだが……『不の里』、中々手強いのう、だが『村雨』を手に入れるのは儂じゃがな……」
「『村雨』の持ち主は貴方様以外相応しくありませんからね、貴方様が持つ為に『村雨』は生まれた物──」
フッフッフッと笑いながら椅子に座った男性は言う、 『『村雨』で天下を、世界を取る』、と──それに対し、隣に居た男性は呟く。
「そうですね──」
そう言って、男性はその場を離れる──不生は『村雨』を奪われるか、それはまだ分からない──
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