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しりとりシリーズの『その後』
作者: 彩都  (総ページ数: 108ページ)
関連タグ: しりとり 短編集 長編 ミステリ 推理 多ジャンル 
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 しりとりシリーズ 『村雨』の『その後』 不生の戦い 8 『八咲』のその先へ

「フフフ……斬られる覚悟があるようじゃのう……」
「あぁ、あるさ、だけど、『やり返す』って言うのも忘れんなよ?」
 不生はそう言って、不動を挑発する、だが、不動はそんな挑発には乗らない。
「さっさと殺してしまおう、さようなら、忍者、そしてその後ろのくの一も後を追わせてやる」
 不動はそう言って、『村雨』を上に上げて、一気に下に降ろした──だが、気付いた時には目の前に不生は無く、『トンッ』と後ろで、足踏みをした不生の足音が聞こえる。
「えっ?」
 不動は自分の胴体を見る、すると九回胴体が切られていた、『一体何が起きた』? 『いや、一体何をした』!? 不動はそう思いながら、胴体の切り傷の痛みに苦しむ。
「で、出来た……まだだ……まだ、自分の憎しみは消えないんだ! 不萌を攻撃した事、自分の『村雨』を奪った事! まだまだやり返さないといけないんだ!」
 不生はそう言いながら鼻血を少し垂らしながら言う、不萌は不思議がっていた、何をしたの、不生は……? そう思いながら一気に深呼吸して、後ろに下がる、やった事は分かる、不生が行ったのは『ゾーン』での、『八咲』、だけど、八回切っていない、切ったのは九回なのだ、可笑しい、どうやってそこ迄進化したのだろうか? そう考えて、不生を見つめる。
「さぁ、返してもらおうか、自分の『村雨』を……?」
 不生がそう言うと、不動は笑って、言い返す。
「誰が返すか! この刀は私の物だ! 私の所有物にするのだ!」
 不動はそう言って、『村雨』を振り回す、だが『ゾーン』を持っている不生には意味が無い。
「甘いんだよ、『ゾーン』で、大体は見切れるし、避けれるんだぞ? もう渡した方が早いんだ……」
 不生がそう言うと、不動と不萌がぶつかる、すると不動は『村雨』を不萌の首に当てて叫ぶ。
「フハハハハハ! どうだ!? 人質だ! もしも今からその場を離れ、『村雨』を渡すというのなら、この小娘くの一は助けてやる、もしも私に『村雨』を返せ、とまだ言うのなら、この子娘くの一の命は無い!」
「えっ……? ちょっ、ちょっとぉ!?」
 不敵な笑みを浮かべる不動に対し、完全に堪忍袋の尾が切れる不生、不生は不動を見ながら集中する、そしてクナイを持つ手の力を強める。
「いい加減にしろ、てめぇはどれだけの人間を傷つけたら気が済むんだ!?」
 そう言って、不生は不動に近付く、そして『ゾーン』発動、不生は不動に対して、胴体に、十回、切り傷を作った、十回、無意識に不生は切っていた、八回切った、と思ったら、追加で二回も切っていた、これはどういう事だろうか? 今はそんな事はどうでもいい、とりあえずは不萌を不動の手から離さないと、そう思いながら不動から不萌を離す、そして少し移動して、『ゾーン』解除。
「はぁはぁ……『八咲』だから十分咲、十分咲だから、満開、ってか……よし、この技の名前は『満開』にしよう」
 不生がそう言うと、不萌は不思議がっている。
「えっ? 何を言っているの不生は?」
「えーと、大まかに言えば、新技、『ゾーン』発動中に、『八咲』の更に二回切った技、『満開』って技を作った、つまり十回切り刻む技!」
 不生がそう言うと、不萌は驚いていた、どこ迄成長するの、不生は!? そう思いながら不動を見る。
「ぐっ、ぐふっ……まだだ、まだなんだ……」
「もう、返してもらいますよ、貴方はもうじきくたばる」
「知っている、私は何としても、この刀が欲しかった、だから総理大臣になって、権力を使用して欲しかったのだ……なのにそれでも無理とは……お前の『村雨』の思いが良く分かった」
「そうかい、それじゃあ、返してもらう」
 不生はそう言って、不動の手の中の『村雨』を返してもらう、そして『村雨』を鞘の中に収める。
「とりあえず、不萌の言う通り、一番上を叩いたけど、まだまだ『村雨』を欲しがる人はいそうだなぁ……この刀を守るのに、まだまだ大変そうだなぁ……」
 はぁ、と大きく溜息を吐いてから、不生は頭を掻いた──不萌は『アンタも大変ねぇ』と思いながら、腕を組んで、不生を見続けた──

「行くよ? 行くよ? 行っちゃうよ? それじゃあ親父、不萌、丸太宜しく! 不生、一気に行かせてもらいます、『村雨』を奪われた時に手に入れた新技、『満開』です! 来いやぁ!」
 不生はそう言って、二人に十本の丸太を投げてもらうよう、支持する、今から見せるのは不生の新技、『満開』だ、さぁ、行くぞ! そう思って『ゾーン』を発動し、『村雨』で丸太を斬っていく、だが八本目を斬った後、急に『ゾーン』が解けてしまい、残った二本の丸太が不生の体に当たってしまう。
「ぐっはぁ!?」
「だ、大丈夫!?」
 不萌がそう言って、不生に近付く、不生は完全に気絶していた。
「あーあ、信じた私がバカだったのかな?」
 不生がそう言うと、不消が笑いながら、不萌に言った。
「まぁまぁ、もしも使えたとしても、本当に焦っていたり、集中していた時だろう、それ程君を守り、そして助けたかったのだろう……」
 不消がそう言うと、不萌は少し微笑んだ。
「有難う、不生……」
 そう言って、不萌は不生の頭を撫でた──不萌が不生の頭を撫でた事は不生は知らない──

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