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しりとりシリーズ 『メモ』の『その後』 蘭万屋録 CASE 7 メインキーは何処にある?
そういえばメインキーって何処に有るんだろう? だって少し前に無くなって今はサブキーを使用しているって事だろ? だったらメインキーがどっかにあるかもしれない、もしかして犯人が持っているかもしれないじゃないか、蘭はそう考えて、メインキーの話をする。
「なぁ、稲田ぁ? メインキーって何処にあると思う?」
「め、メインキー? 突然どうしたんだ蘭……? メインキーなんか捜しても無駄だって、メインキーがまず無いんだ、無いのにどうやってこの更衣室に入るんだ……あっ」
自分で言っていて、今更気付くとは……少し遅いぞ、稲田よ、そう思いながら稲田は頑張って自分の記憶を思い出す。
「あっ、思い出した、確かメインキーは御手洗さん、君がなくした、と言っていたね? 何処でなくしたんだい?」
「えっ? あぁ……確か何処で落としたかは忘れました、すいません……」
御手洗さんはそう言って頭を下げる、まさか、まさかな? 自分はそう思いながら御手洗さんの鞄を持って、脅迫する。
「ゴメンね、少し気になって……御手洗さん、もしもこの鞄の中にメインキーが入っていたらどうする? 有り得ないよねぇ、毎日弄る鞄だもの、『ある筈がない』よなぁ? ではもしも『この鞄の中にメインキーが入っていた』らどうする? もしもあった場合、この鍵は稲田に返すけど?」
自分は何度も同じ事を言って、脅迫する、すると御手洗さんは静かに頷いた。
「そうか、分かった」
自分はそう言って鞄を持ち上げて、反対方向にして、中身を全て落とした、すると中から、スマホ、教科書三冊、ノート四冊、筆箱、クッキー、財布、リボンケース、レオタード、ん? レオタード? 何でこんなのが……? そう思いながら後回しにする。
そして鞄の奥にキラリと光る物を見つけた、それを取り出すと稲田は驚いていた。
「蘭! それだ、それがこの更衣室のメインキーだ!」
稲田の言葉に対し、本当に見つかるとは、と思う、まさかカマかけしただけなのに本当に当たるとは……自分は不運だな、と考える。
「さて、このレオタード、何処から盗んだ?」
自分がそう言うと御手洗さんは怒鳴った。
「これは私のです! ちゃんと名前も書いています!」
そう言ってレオタードを手に取り、広げる、確かに『御手洗』という名前が入っている。
「本当だ、これは君のか……でも何でレオタードなんか?」
自分がそう言うと御手洗さんは自分の部活の事を説明する。
「実は私、『新体操部』の部員なんです、リボンを使ってクルクルしたりするんです、分かりますかね?」
そう言って御手洗さんはリボンケースからリボンを取り出し、リボンを自分の頭の上に上げて、華麗に回す、これ、どっかで見た事があるなぁ、そう思いながら自分は拍手する。
「おお、上手い上手い」
「そりゃそうですよ、部活で行うので、上手くないといけないですよ」
「そりゃそっか」
御手洗さんの言葉に自分は頷く、それにしても新体操部でリボンを扱うのか、何気に素晴らしいな、と思った、その瞬間だった、頭の中で電流が走る、確か新体操で使われるリボンって結構丈夫だったよな? そしてメインキーがある、と言う事は……?
「まさか『御手洗さんが犯人な訳無い』よねぇ」
と少し冗談交じりに言ったが、彼女、御手洗さんは小さな声で言った。
「やっぱり……蘭さんには分かりますか? この事件の犯人が私だって……!」
そう言ってその場に座り、急に泣き出す御手洗さん、あっれぇ? 何でこうなるんだぁ? 自分はそう思いながら頭を掻く。
「お前、まさか事件の犯人が御手洗さんと言いたいのか!?」
「いや、話を聞いていたら、自分で暴露したんだけど? 自分は冗談交じりに言ったんですけどぉ!?」
自分は稲田にツッコみながら冷や汗を掻く、本当、自分は事件の内容を理解していない、殺害方法は分かってもトリックとか分からないのだ、全く、どうしたものか、と考えながら自分は更衣室のベンチに座る。
「はぁ……実際言うけど、自分は殺害方法しか分からないんだ、もしもその殺害方法が合っていたら、自分でトリックを言ってくれるか? 自分は探偵では無いからね」
自分がそう言うと、御手洗さんは渋々頷いた、とりあえず、自分の中で思い付いた殺害方法だけど、これが合っているかはわからなかった……
「単純に言えば、御手洗さんはこの更衣室に尾長先生を呼んでいた、そしてその時間は『もう部活が始まっている』時間だったんだ、何時も集合する時間より少し遅れて御手洗さんは来た、そして尾長先生をその手に持っているリボンで首を絞めて尾長先生を殺害したんだ、次に御手洗さんは殺害する為に持ってきた縄で尾長先生の首を絞めたんだ、更に御手洗さんは更衣室で殺害しているのをバレない様に移動して、少し時間が経ってからこの更衣室に向かったんだ、そして悲鳴を上げる事で自分がやった、とは思われない、と言う事、つまり君が尾長先生を……!」
自分がそう言うと、御手洗さんは頭を垂れたまま、小さく頷いた。
「正解です、蘭さん……流石万屋です──物の見事に正解です、だけどトリックが説明出来ないので、不合格ですけどね、ですがよく当てましたね、私が犯人だなんて……」
「まぁね、鍵とリボンを見た時に思い付いたけど、流石に無いな、って思ってたんだけどね……」
自分がそう言うとえっ? と言いたそうな顔をする御手洗さん。
「えっ? まさか私を犯人扱いにしたのはたまたま、と言う事ですか?」
「うん、そうだけど?」
自分がそう言うと、御手洗さんは跪いた、何で言ったんだろう? 言ったら私が犯人って分かるじゃん? と背中のオーラから感じた。
そして自分は御手洗さんからトリックを聞く──犯人は御手洗さん、だけど自分にはトリックは分からない──そして何で殺人なんかしたんだろう? と思いながら……
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