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作者: ロストメイドウィン ◆B/lbdM7F.E (総ページ数: 237ページ)
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*134*
海斗
「えっ...俺...なんで死んでるんだ...」
たくっちスノー
「君どころか、君の知り合いはほぼ全員死んだ、生き残ったのは黄葉と僕くらいだ」
たくっちスノー
「まぁ、僕は死なないんだけど」
海斗
「この世界で一体何が...」
たくっちスノー
「次の場所に向かいながら説明してやるよ」
かなちゃん
「.....」ソワソワ
たくっちスノー
「大明神様、お手洗い?」
かなちゃん
「違いますから!...もう」
...
たくっちスノー
「この街もね、僕が来たばかりの頃は賑やかだったんだよ」
たくっちスノー
「ほら!あのテレビ塔とかむっちゃ臨時ニュース流してて、それを見て君やヒーローが出撃し悪を倒す!これが日課だった」
ローズマリー
「端から聞いてると、凄い物騒な世界だな...」
たくっちスノー
「それでも楽しかったよ...でもある日の事、市民が街を捨てていった」
たくっちスノー
「戦いが想像以上に激しくなってな...ヒーローを置いて遠く何処かへと逃げていった」
海斗
「...カリギュラ達ヒーロー組織は?」
たくっちスノー
「当然街に残って戦い続けた...毎日救助活動もしていた...でも無駄だった、皆死んじゃったからね」
たくっちスノー
「海斗君だって諦めかけた事もあった、喧嘩だってしたけど...最期まで戦ってくれたんだ、最期までね」
たくっちスノー
「僕は君を止めることが出来なかった、僕が他世界と深く関わっちゃいけない時空監理局だったから」
たくっちスノー
「海斗君は僕が殺したようなものなんだ」
海斗
「そんなこと...」
たくっちスノー
「で、さっき話した40万人だけど...当然その中にはこの街の市民だった者も含まれている」
ローズマリー
「逃げたから殺したのか?」
たくっちスノー
「逃げたことに関しては仕方ないと思っているよ、命が1つだけならそれを守ることを優先するのは当たり前の事だから」
ローズマリー
「ならどうして...!!」
たくっちスノー
「この世界には地下都市プロジェクトというものがあった、まぁそのまま、地下にここみたいな街を作ったんだよ」
たくっちスノー
「海斗君みたいな幼い子もヒーローだからと置き去りにしたことを百歩譲るとしても...おとなしく隠れてれば良かったものを...」
デーリッチ
「.....?」
たくっちスノー
「地下都市に籠った市民は...賭け事を始めた」
海斗
「え?」
たくっちスノー
「はっきり言うよ海斗君、君たちヒーローは市民の遊び道具にされたんだ...安全なところから汚ならしく懸賞金を掛けていた」
海斗
「信じられないよ...」
たくっちスノー
「まぁそうだろうね、でも実際に起こったことだ、君の他にも懸けられてた奴はいるし、ヒーロー狩りだとか言って不人気のヒーローは切り捨てられてたらしいし」
たくっちスノー
「だけど海斗君はそれを分かっててヒーローとして街を守る選択をした、だから僕も何もしないようにしたかった」
ローズマリー
「だが結局お前はやった」
たくっちスノー
「そうだな...だって、どうしても許せなかったから」
たくっちスノー
「海斗君達が死んだ後に新しい人に移っていく市民が、海斗君を時代遅れと物のように切り捨てた市民が」
たくっちスノー
「そこからは行動が早かったよ、最後の海斗君のショーに参加した三十万人、掛け金を出した十万人を徹底的に調べあげて襲撃した」
たくっちスノー
「その後街の場所を世間に公表して...僕はこの街から逃げていった」
たくっちスノー
「...ははは、なぁ?僕も父さんと何も変わらないよな?」
たくっちスノー
「私怨で街を滅ぼす道を進めたんだよ?なら僕はヒーローの敵だよね?」
ローズマリー
「...」
デーリッチ
「...」
たくっちスノー
「理由は明かしたよ...やっぱり僕は悪なんだ、何なら王さま達もまとめてかかってきたっていいんだよ?」
...その時、海斗の背後に手が
かなちゃん
「...あっ!海斗君の後ろ...!!」
たくっちスノー
「知っている!!」ズバッ
名無しの怪物
「ウグエアアアッ!!」
たくっちスノーはすぐさま刀で手を切ると、渦から名無しの怪物が飛び出してくる
海斗
「名無しの怪物!?どうして...」
かなちゃん
「調べてみたら、貴方を探す奴の姿がありましてね...それで探してたんですよ」
海斗
「そうだったのか...でもどうして俺を?」
名無しの怪物
「ねぇたくっちスノー...分かっただろ?俺がどんなにつるぎちゃんに会いたくて苦しいのか、お前だけ...側にいるなんて贅沢なんだよ!つるぎちゃんの失敗作のくせしてさ!!」
たくっちスノー
「黙れ!!あの海斗君と目の前の海斗君は全然違う!」
海斗
「たくっちスノー...」
たくっちスノー
「こいつにはこいつの人生がある、海斗君は僕が関わらなくとも有意義な人生を送っている、ならそれでいい、僕が口を挟む道理はない...」
たくっちスノー
「だけど!もう海斗君が死ぬところは見たくない!!」
ローズマリー
「名無しの怪物...お前...!!」
名無しの怪物
「関係ないならなんで守るんだよ!?それは本物じゃない、大事な存在じゃないんだぞ!」
かなちゃん
「大事だからかと言って、生き物の生死をどうこうしていいはずがないでしょう!!」
ローズマリー
「黒影剣はお前の『モノ』じゃないんだぞっ!!」
名無しの怪物
「...モノ....」
たくっちスノー
「今度海斗君に近づいてみろ、海斗の人生に関わってみろ」
たくっちスノー
「お前をどんな手を使ってでも殺してやるからな」
名無しの怪物
「...じゃあ、別の手を使う」
名無しの怪物は液状化して消えていく
ローズマリー
「逃げたか...」
たくっちスノー
「これで海斗君の件は心配ないだろう、ハグレ王国に帰ろう」
海斗
「たくっちスノー、まさかこれを分かってて俺を?」
たくっちスノー
「それもあったけど...君に僕のことを話したかった、というのもある」
海斗
「.....」
たくっちスノー
「他人の僕が、こんなことを言うのもアレなんだけど...約束して、死ぬときは寿命で死んでくれ」
たくっちスノー
「せめて君は幸せに死んでくれ」
海斗
「...分かった、俺は寿命がくるまで生きるよ、ヒーローとして生き抜いたこっちの俺の分まで」
たくっちスノー
「それがいい...ありがとう、海斗君...」
...
「ねぇ、ローズマリー参謀」
「どうした?」
「前に、局長をやめたらどうするかって聞きましたよね?」
「ああ...」
「...死のうって思ってました」
「死ねないのにか?」
「この世から存在を消す装置を作って、たくっちスノーというモノを歴史から抹消すれば死ねなくはないよ」
「.....」
「でも僕には生き甲斐が出来たんです、罪を背負うという目的が」
「僕はヒーローが苦しんだ分を、この不死身の体にぶつけます...誰かが望むまで、何度でも、何度でも殺されてやるんです」
「.....」
「参謀、僕は正義とか悪というのは、他人が判断する物だって思うんです」
「決められた通りの物を倒すしかない、だからこそ本当に悪いやつに誰も気づけない」
「結局のところ、善悪なんてものは信用でしか判断できないと僕は思いますよ」
「『何故悪が倒されないといけない』と言う人だっています...でも名無しの怪物は正義は自分が正しいと思えばなんだって正義だと言いました」
「逆なんです、悪が倒されないといけないんじゃなくて、倒れてほしい、いなくなって欲しいから悪なんです」
「だから...僕は生き物というものがとても信じられません、皆王さまや海斗君のような純粋な人だったらいいのにね」
「...ああ、そうだな」
デーリッチは、たくっちスノーの心境を背負いハグレの世界へ帰還する...
世界に大事件が起きていることも知らずに...
デーリッチ
「あの頃のたくっちスノーに...戻ってきてほしいでち」
たくっちスノー
「その依頼は聞けないよ王さま」
[To be continued....]