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作者: ロストメイドウィン ◆B/lbdM7F.E (総ページ数: 237ページ)
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クラマ
「神様は...どれくらい生きてるんですか?」
福ちゃん
「私と、クラマ君だけよ」
クラマ
「たった...それだけですか...!?」
福ちゃん
「そうよ、もうポッコちゃんもティーティー様も生きてはいない」
福ちゃん
「生き物は私達だけ」
クラマ
「.....」
福ちゃん
「帰りましょう、あの子達のハグレ王国へ」
クラマ
「...ええ」
...
福ちゃん
「...ふふふっ、マガイモノ屋も二人だけになったのね」
クラマ
「福の神様...」
福ちゃん
「ねぇ、神の私達がこんな話をするのも何だけど、クラマ君は天国や地獄って信じている?」
クラマ
「えっ、あるんじゃないんですか?」
福ちゃん
「神が魂を管理したりしているけど、その神が死んだ今、魂はどうなるか誰にも分からない」
福ちゃん
「神が死んだらどうなるのかしらね?」
クラマ
「.....」
福ちゃん
「クラマ君」
「もし、私が死にたいって言ったら...笑う?」
クラマ
「.....えっ」
福ちゃん
「神は刃物で斬られても毒を盛られても死なない存在」
福ちゃん
「自分の命に自分でケリを付けることも出来ないの」
クラマ
「.....」
福ちゃん
「私は福の神、その名の通り人々に幸福を与える存在」
福ちゃん
「でも、何もないこんな世界で誰が幸せを求めているの?」
福ちゃん
「寂しいよ...私は、もう...」
クラマ
「.....」
福ちゃん
「...やだ、私クラマ君に情けない姿見せちゃって...」
クラマ
「いえ...お気になさらずに」
クラマは考えた、自分に価値はあるのか
天狗神クラマ、風を吹かせる空の神。
...風は必要なのか?求めているのか?
そんな考えが頭の中に広がっていくと、どんどん風は弱くなっていく
クラマ
「.....」
福ちゃん
「クラマ君!?貴方、体が...」
クラマ
「体...?あっ」
クラマが体を見ると...段々薄く、透けていくのが分かった
クラマは、すぐに状況を察した
クラマ
「俺、消えるのか...」
福ちゃん
「嘘でしょ...駄目!消えないでクラマ君!!」
福の神は消えかかっているクラマの体を抱き締めた
福ちゃん
「お願い...行かないで...私を置いてかないで!!」
クラマ
「福の神様...」
福ちゃん
「嫌...消えないで...」
「.....」
誰からも必要とされなくなった時、神は死ぬ
クラマは消える直前に理解した
福の神は幸せを求める人が必要とする存在
福の神自身が...幸せを求めていることに気付きながら、福の神の泣き叫びを聞きながら...クラマの意識は薄れた