コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
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- ハツコイ【移動】
- 日時: 2017/02/08 16:48
- 名前: てるてる522 (ID: VNP3BWQA)
- 参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel1a/index.cgi?mode=view&no=10554
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2017.2.8
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- Re: ハツコイ【参照20000突破記念イラスト掲載。】 ( No.750 )
- 日時: 2017/01/12 23:09
- 名前: てるてる522 ◆9dE6w2yW3o (ID: VNP3BWQA)
- 参照: http://From iPad@
〜夏海サイド〜
「あっ! 来た!! 夏海おはよ……!?」
教室に入るなり美佳の大声が耳を通り抜けた。
「夏海の髪が短い」
瑞希も目を丸くして「有り得ない」と一言ボソッと言った。
「どうかしたの? 失恋とか?」
百合が言った。
「いや……それはないから!」
「そんなことねぇよ」
私の声と一緒に雄太の声が重なる。
バチっと目が合い、サッと逸らす──。
「息ピッタリ」と百合は面白がった。
瑞希も美佳も「百合は本当に夏海のことからかうのが上手いね」と……褒めていた。
「で、どーなの佐野」
美佳がパッと雄太の方に顔を向けた。
「ほれほれ!!」と言った様子で動作をするが、なかなか雄太には伝わっていないらしく美佳の動作が次第に大きくなっていき……崩壊した。
「もう! なんか無いの?……夏海に」
私!?──美佳の言葉に再び驚かされ、思わず雄太の方へもう1度目をやる……目が合った。さっきよりも長い時間──。
恥ずかしさに思わずキュっと閉じたくなるこの時間だったけれど、私は(多分雄太も)必死にこらえた。
「別に」
雄太はそう言うとサッと席を立ち上がって、廊下に出てしまった。
「全く佐野のやつは……。女子心を分かっていなさすぎだ」
美佳は納得が行かないらしく、腕を組んでいる。
「まぁまぁ、良いから良いから」
私はそう言うことしか出来なかった。
まだそれでも、とでも言いたげな美佳に「夏海がいいならいいの!」と必死になだめてくれる百合と瑞希。
──……いいなら、いいの。
ちょっと自分の雰囲気を変えた日。
……他にも色々変わったことはあるけれど──必ずしも変わった方向がいい方向とは限らないみたいです。
「じゃあ私達も席座ろっか。佐野も戻って来づらいだろうし」
瑞希が廊下に目をやって、そう私たちに言った。
席に座った雄太の横顔をただただ見つめることしか、私には出来なかった。
【続く】
byてるてる522
- Re: ハツコイ【参照20000突破記念イラスト掲載。】 ( No.751 )
- 日時: 2017/01/15 17:03
- 名前: てるてる522 ◆9dE6w2yW3o (ID: VNP3BWQA)
- 参照: http://From iPad@
〜夏海サイド〜
結局あれから、雄太とは喋んないままだったなぁ……。
早かったような、遅かったような──そんな1日だった。
「じゃあ私はこのままピアノ行くからー、3人ともまた明日ね!」
私は急いで荷物をまとめ、百合と瑞希と美佳の3人にそう伝えて教室の入口に向かって軽く走りながらそう言った。
悲愴、なんていうか早く先生に聴いてもらいたいなぁ──。
私はそんな気持ちで昇降口までの階段を駆け下りた。
……と下駄箱のところに雄太が1人でいた。
「あれ? 雄太」
私の声を聞くなり、雄太は慌てて肩からずれ落ちた鞄をかけ直して「俺も今来たとこ」と言った。
お互いに靴を履き替えて、駅までの道を歩く──なんとなく朝のことがあったからか私も雄太も固い……。
なんとなく、授業の先生の話がくだらなかったとかどうでもいい会話して……ずっとお互い話してはいるけどぎこちない。
──居心地の悪い雰囲気。
私も雄太も悪いことしてないのにどうして……──?
「じゃあ私はこっちだから」
いつもと反対方向──ピアノ教室へ行く時に乗る方を指さして私は言った。
雄太はちょっと驚いたような表情を浮かべたけれど、「そっか」と寂しげに言った。
ホーム反対だからここでお別れかぁ……明日にはいつも通りだったらいいな。
──私がそう思った時に、
「夏海!」
駅だし、まだそんな離れてなかったから他の通行人が振り向くくらいの大声じゃなかったけれど私は驚いた……「ん?」となるべくいつも通りの表情を作って雄太の方へ振り向く。
「朝……は言えなかったけど、似合ってる!」
雄太がちょっとだけ目を泳がせながら言う姿が面白いのと、私の嬉しさでの恥ずかしさのごまかしでわざと意地悪く、
「ん? 何が似合ってるのー?」
とニヤっとしながら聞いた。
「わ、分かるだろ!」
限界になって来たのか更に顔を赤くする雄太──沸騰してどこかへ飛んでいってしまいそう……。
「分かりますよーだ」
私はそう言って体の向きをホームの方へと変える──が、
「ゆ、雄太!」
と大声で呼んだ。
さっき雄太に呼ばれた時の距離とほとんど変わらないのに大き過ぎる声を出したので数人近くを通った人に振り向かれる。
──私だけじゃなくって、雄太まで巻き込んじゃったなぁ……。
ちょっと反省しているところに、
「ん?」
とさっきの私に似たような反応をして、雄太は笑顔で振り返った。
「呼ぶような事じゃなかったかもしれないけど……ありがと。なんていうか髪切って良かった!」
私も雄太の笑顔に精一杯答えようと心から笑った。
駅での私と雄太とのやり取り。
──もしかしたら同じ高校の誰かに聞かれてたかもしれないけど、そんなことよりも私は今この瞬間が……今日の1番最高な瞬間だなと強く感じた。
「じゃあ」
「またね」
私と雄太の声が重なってお互い反対方向へ歩く。
……また明日。
早く雄太の姿を見たいと、強く──強く私は思った。
【続く】
ちょっと描写ごちゃごちゃしていてわかりづらいところあると思います。
すみませんm(*_ _)m
byてるてる522
- Re: ハツコイ【参照20000突破記念イラスト掲載。】 ( No.752 )
- 日時: 2017/01/20 17:00
- 名前: てるてる522 ◆9dE6w2yW3o (ID: VNP3BWQA)
- 参照: http://From iPad@
〜夏海サイド〜
教室で、ピアノの周りには私と先生だけ。
……けして音を吸収してしまうようなものはないし、人もいない……。
だけど、思うような音が弾けないのはなんでだろう──。私は少し「現実」へと頭を戻して楽譜と自分の手の動きに注目する。
楽譜の確認は、音じゃなくて書かれてる多分今の中では「一番的確な指示」だ。
強弱だけじゃなくて、装飾音とかも潰さないで弾けているか──ましてや指番号しっかり合ってるかな……。
よく聴くと、4分の2なのに4分の4の曲に聴こえる──音も関係しているとは思うけれど、やっぱり1番の問題は私の弾き方だろう。
そう思うと、私は何も考えていなかったという──ちょっぴり気づきたくなかった事実に気づく。
……こうやって、弾きながら色々考える時点で大事なことを考えずに余計なことばかりを考える人、というのが滲み……ではなく溢れ出ている。
きっと先生も気づいているんだろうなぁ、と思いながら最後の音を弾くと案の定、
「なんか色々考えながら弾いてたでしょう?」
と鋭い言葉が飛んでくる──その通りです。私は頷いた。
「特に目立ったミスはないけど、なんか不安定で……息を吹きかけたら飛んでいっちゃいそうな不安定な感じ」
と先生は私の音を上手い具合に例える。
「安定するには、何が必要ですか?」
私は堪らずに尋ねると、
「弾き込むこと」
とサラッと言うのだ。
「気持ちの問題もあるけど、まずは技術から」というのが先生の意見といったとこだろうか。
「はい、弾き込みます」
と私が言うと、「単純に弾き込めばいいわけじゃないからね」と先生は苦笑して言う。
沈黙が続く──先生が楽譜をじーっと見つめていることに気づき、私も一緒に楽譜を見つめる。
「でも」
「あ、でも」
同じタイミング。声が重なった。
「夏海、先良いよ」
先生が私に向かってそう微笑む。──軽く頷いて後に続けた……。
「なんか色々考えながら弾いていたけど、前よりもなんだか自分の手には馴染んでるのかな、って思いました。……そりゃもちろん満足じゃないけど」
「そう、それ! 私もそれ感じてて夏海は気づいてるの?って聞こうと思ってたとこ」
同じタイミングでそれを口にだそうとする先生と私──きっと今いる誰よりも長く私のことを知っている先生だからこそ。
「じゃあ改めて、私もそう思ってたので満足出来る演奏に近づけてまた来週持ってきます」
私はそう言って笑うと、先生も笑った。
暖かい、私が弾いた悲愴とはまた違った雰囲気の旋律が先生との間で流れた気がした──。
【続く】
byてるてる522
- Re: ハツコイ【コメント募集中(o´艸`)】 ( No.753 )
- 日時: 2017/01/25 18:37
- 名前: てるてる522 ◆9dE6w2yW3o (ID: VNP3BWQA)
- 参照: http://From iPad@
〜夏海サイド〜
帰りの電車は、少し空いていた。
空いている席を見つけて、座ると丁度真ん前に座る人がぐっすりと寝ている事に気がつき──私はその他以外にも、と周りを見回した。
すると、半分くらいの人が眠っている……。静かな寝息を立てて……──。
見ているだけで私も寝てしまいそう。
でもここから最寄駅までの距離はすぐだし、寝る暇もない。
仕方なく鞄から携帯を取り出した。
──誰かから連絡来てるかなぁ、なんて思って開いたが……誰からも来ていなかった。
こういう時に、誰かしらから電話があればいいのに……なんて思ってしまう。
仮にかかってきたとして、出れるわけないのに──。
電車に乗ると、みんながみんな他人で。
毎日同じ駅を利用しているかもしれないけれど、毎日お互いが同じ車両にのれるとも限らなくて……。
きっと最初で最後に会う人、と一緒に睡眠を取るなんて不思議でならない。
この世の中は、私にはまだ理解できないこともたくさん存在する。
考えれば考えるほど、分からなくなってくる……。
──と、携帯が振動した。
思わず手から滑り落ちそうになる携帯をもう片方の手でキャッチして、ホッとため息と吐いた。
……雄太からだった。
なんだろう、と届いたメッセージを読もうとした時に、丁度電車が止まって最寄駅まで着いたしまった。
見てからにしようか迷ったが、私以外にもゾロゾロと降りる人たちを見て、携帯を鞄に入れ込んだ。
今私が、思っていることはただ一つ。
──早く見たい。
ただ本当にそれだけで、たった一つのことでも私の足を速くさせるのだった。
【続く】
※重要なお知らせです。
この度、このハツコイは2月頃にて……新コメディ板へ引越しをします。
先日、管理人様の方より申請してきたら2月前後に引越し完了とのことだったので、それ以降はここではなくて新コメディ板の方で執筆させて頂きますm(*_ _)m
尚、これ以外の私が執筆している作品も全て引越しになりますので、よろしくお願いします!←
byてるてる522
- Re: ハツコイ【※重要なお知らせ】 ( No.754 )
- 日時: 2017/01/27 21:29
- 名前: てるてる522 ◆9dE6w2yW3o (ID: VNP3BWQA)
- 参照: http://From iPad@
〜夏海サイド〜
改札を出る。夜だというのにムシっとしている暑さ──顔を手でパタパタと仰ぎながら駅の階段を降りると、見慣れた背中があった。
「きた」
──その背中は雄太で、軽く手を挙げてそう言った……驚きと戸惑いを隠せない私はただ瞬きと目をこする事を繰り返して、漸く今自分の見ている光景を理解した。
「なんで──いるの?」
やっと喋った、と雄太は笑いながら「駅の前通った時にちょっと待ってたら来るかなって」と言って、サラっと帰ろう、と言って跨いでいた自転車から降りてゆっくりと押し始めた。
「そっか」
と私は呟いて、ササっと雄太の後ろについた。
びっくりしたけど、もしかしたらどこか心の片隅で……こんなことを思ってたような気がする。
「後ろにいないで、横にいて」
と雄太は少しだけ強引に私を引っ張って後ろから横にした。
「ごめん」
とそう言って、横目で雄太を見る。
──……と、パチっと目が合う、お互い逸らして……ため息までもが同じタイミング。
恥ずかしさなんてものは吹き飛んで、おかしさが込み上げてきた。
「なんか最近、タイミングとかよく被るよな」
「それ私も思ってたよ! ……変な感じー」
照れくさくて、私はついつい空を見上げて照れ隠しをした。
夏の星が綺麗に輝いていて、一粒一粒届きそうで思わず手を伸ばす──。
そのまま歩くと、少しだけフラっとして……雄太の方によろめいてしまった。
「ご、ごめん!」
きっと照れ隠しをする前よりも今の方が顔赤いんだろうなぁ……。
「全然! 気にしないでいーから」
ニヒっと笑う雄太がまた眩しくて、私は更に赤くなりかけていた頬を押さえた。
「でもやっぱ、あそこで待ってて良かった」
雄太が言った。
「私──も、雄太の姿見て嬉しくなったよ?」
そう言って雄太の顔を覗き込む……と同時に、元に戻りかけていた頬が再沸騰し始めた。
「え?」
雄太も少し赤くなっている。
「いや、まぁ冗談……ではないけど」
私は本当に何を言ってるんだろうか……。
もう恥ずかしくて、さっきから顔の色が戻らないよ……。
「まー、俺も夏海の姿見たくて待ってた訳だけどね」
赤い顔のまんま雄太はそう言って「お互い様」と笑った。
──本当に雄太には負けてしまう。……いっつも私の上を行って……。
「かなわないなぁ……」と私の呟きに雄太は「ん?」と振り向いた。
「何でもない!」
そう私は言って、またさっきみたいに横に並んで歩き始める──あともう少しで家に着いてしまう。
そう思うだけで歩くスピードが遅くなる。
「はい到着ー」
雄太は私の家の真ん前で、自転車を止めた。
「ありがとう」
やっぱりいつかは着いてしまう──長かったようで本当にあっという間だった。
「ありがとうね」
私の2回目のありがとう、に雄太も何か感じたのか首を傾げていた。
「おうよ、じゃあまた明日」
「うん、おやすみ」
雄太が自転車に乗って進み始めたのを見て、私も家の門を開けようとした時……
「夏海」
と名前を呼ばれた。──雄太だ。
雄太はそう言うなり、こっちに戻ってきた。
人通りがない中……真っ暗な空に細かい星の光が輝く。
スっと目を閉じると、口と口とが──そっと重なった。
恥ずかしさなんて無くて、ただ温かく包まれているような感覚。
でも離れてお互いの顔を見合った時に……少しだけ恥ずかしさが生まれる。
ちょっとだけ悪戯っぽく笑う雄太の顔。
「びっくりしたけど、ありがとう」
私は素直な今の気持ちを伝えた。
「おう。……じゃあまた明日」
自転車に乗って、雄太は「おやすみー」と一言。それで自分の家へと向かった。
「雄太気をつけてねー」
暗くて良く見えなかったけど、雄太が手を挙げた気がする。
──と、こんな時間にも関わらず大声をあげてしまった自分の口を押さえる。
まだ少しだけ、重なった感覚が残っていた。
【続く】
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季節感、そして私のリアルとはかけ離れておりますが、お気になさらず()
byてるてる522
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