コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

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帰宅部オーバーワーク!【まさかの番外編!!】
日時: 2016/07/29 21:54
名前: ガッキー (ID: 4IM7Z4vJ)

初投稿です。初心者ですが、よろしくお願いします。夜のテンションでバーッと書いているので、誤字があるかも分かりません。一応、チェックは入れてはいますが、見付けた際はご指摘いただけると嬉しいです。
ルールも、『参照』の意味も分からないですが、感想もしくはKAKIKOのルールを教えて下さる心優しい方がいらっしゃるのなら、どうか教えていただけると私が喜びます。部屋で小躍りします。
最後までお付き合い下さいな♪

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Re: 帰宅部オーバーワーク! ( No.3 )
日時: 2015/11/07 23:24
名前: ガッキー (ID: apTS.Dj.)

「『帰宅部というだけで、馬鹿にされた事は無いか?帰宅部というだkーー続きはWebで!』とかどうでしょうか」
「その回答のどこが名案なんですか!?」
「最近の学生はスマホやパソコンが大好き、という言葉が何かの本に書いてあったので」
「うん、でもね、青山君」
「?」
「そもそも帰宅部のWebサイトとか無いから」
怒りを通り越して、前野は呆れた。本当に青山は学年トップの秀才なのだろうか?と思わず疑問に思ってしまう。
「かのマリー・アントワネットは言いました」
「あ、Webサイトを今から作ったりするのは駄目だからね」
「( ゜д゜)」
「はいそこ驚かないの!」
こんな感じで、地の文も殆ど使わずに楽しく(?)会話していた前野と青山。しかし、そんな二人の携帯が同時に鳴り響いた。
「電話ですね、失礼します」
「うん、私も」
「「もしもし?」」
『おう、二人共無事か?今、考地きょうじと前野の二人に電話をしているんだが、・・・聞こえてるか?』
イタズラ電話だろう、前野も青山もそう思った。何せこういうイタズラを日常的に仕掛けてくるのが、帰宅部の創設者ーー古泉なのだから。
しかし、前野と青山。互いに互いの顔を見合わせて、
これがいつものイタズラではないのだと悟った。
仮に、この不可思議な行為がイタズラではないとしよう。
なら、何故なのだ?幾つもの『何故』が脳内を駆け巡る。
何故、古泉はこんな事ーー二人同時に電話を掛けるような事をする?
何故、古泉はいつものように「冗談だ」もと言わない?

何故、前野や青山、古泉達の帰宅部部室のドアが、バンバン!と強く叩かれている?

『良いか、よく聞けよ』
古泉は一呼吸分置いてから、まるで感情を抑制しているかのように、言葉を震わせながらこう言った。
『生徒会の奴等が帰宅部の部員全員を拘束しようとしている。早くそこから逃げろ』
逃げろって・・・。
どこから?

Re: 帰宅部オーバーワーク! ( No.4 )
日時: 2015/08/17 00:36
名前: ガッキー (ID: KqRHiSU0)

唯一の入口のドアからは、バンバン!と何度も、ノック等と生易しい表現は出来ない乱暴で乱雑な音が聞こえ、それに合わせてドアも揺れていた。
「・・・どうしましょうか」
「ねぇ学年トップ。名案出して下さいよ」
「・・・・・・」
「まさかのだんまり!?」
どうしようどうしよう!?前野は考える。良くも悪くもない、平凡な頭脳でーー名案とはとても言えない、誰かが考えられるような陳腐な案を。
現状打破?
無理無理無理無理。
打音が一層前野の焦りを増幅させる。ドアのどこかがミシミシと軋み始めた。そろそろドアが破壊される。
帰宅部部員全員を拘束、ね。
拘束されたら、一体どうなるのだろうか。
良い展開、即ちハッピーエンドにならないのは確かだ。
悪い展開、即ちバッドエンドになるのは確かだ。
「いっそ、窓から飛び降りでもしますか」
自棄になった前野の呟きに、青山が俯かせていた顔を上げた。
「それですよ・・・!」
眼鏡をクイッ。クイックイッ。頭良さそうな人がやる仕草をここぞとばかりに連発する青山。
「な、なにがですか?」
何故青山が眼鏡をクイクイさせているのか分からない前野は、頭上に疑問符を浮かべる。
青山は、夕日で朱色に染まった空が映る窓を指差して言った。
「飛び降りましょう」
「マジですか!?」

Re: 帰宅部オーバーワーク! ( No.5 )
日時: 2015/11/07 23:26
名前: ガッキー (ID: apTS.Dj.)

青山は、廊下を歩くようにスタスタと窓際に向かって歩いてゆく。そこに恐れや躊躇は感じられない。
「頭が可笑しくなっちゃったんですか?何も死ぬ事は」
拘束されるのは嫌だ。下手したら内申や学校内での評価に関わる。
だが、それを避ける為に死ねるか?と問われたら、答えはNOだ。
「可笑しくなった訳ではありません。僕は平常で正常です」
「だったら、何で飛び降りなんかを?」
「前野さん・・・、ここは何階か分かりますか?」
前野はそう問われた。
何階かって?そんなの、難解な問いではない。
「3階です」
「そう。でしたら、飛び降りても大丈夫です」
「いやいやいやいや!それは可笑しいですから!!」
良くて骨折だ。
「大丈夫です。すぐに終わりますから」
「終わるのは人生でしょ!?」
あーだこーだ。口論を続ける事数十秒。乱暴な打音とは違う、静かな、コンコンッという音が耳に入った。
「?」
音源へと首を曲げる。そこは窓。
窓にへばり付いている、金髪の外国人がいた。ここは3階。
異常だ。
「・・・・・・」
『◯◯◯!』
金髪の外国人は、何事かを話している。だが、ガラス一枚隔ててある為よく聞き取れない。
「?」
「◯・◯・◯!」
読唇術を習っていなくても分かった。
母音は、「あ・え・え」
つまり。
「あ・け・て!」
前野は、窓の錠を開錠して、後ろに数歩下がった。
「いやー、危なかった!」
金髪の外国人は、爽やかな笑顔で開口一番そう言った。
「何がですか?」
「もう少しで落ちちゃう所だったよ!」
金髪の外国人ーー名前は、ベネディクト。ベネディクトは笑いながら言うが、前野と青山は笑えなかった。
「ベネディクト先輩。先輩は大丈夫だったのですか?」
青山が、ベネディクトの額に滲む汗に気が付き、ハンカチを渡しながら言う。ベネディクトは「ありがとう」とハンカチを受け取って汗を拭い、青山に返した。洗って返せや。
「ボクは大丈夫だよ。古泉君にあらかじめ言われてたからね。『前野と考地を頼んだぞ』って」
「その言い方だと古泉先輩死んでるよね?」
前野はベネディクトにタメ口だ。ベネディクトは三年生で、前野は二年生。これが野球部だったら、先輩にボコられている所だが、ベネディクト曰く「気軽にタメ口で良いよ〜」らしい。
だから前野は、ベネディクトにはタメ口で接している。青山は敬語で貫いている。
「多分生きてるよ!心配いらない!」
多分。
「それじゃ駄目でしょ・・・って、あれ?」
あらかじめ?ベネディクトは今、『あらかじめ』と言ったか?
という事は、古泉先輩はこうなる事をーー帰宅部の部員全員が生徒会に拘束される事を、知っていた?
冷や汗が頬を伝った。
私も青山君からハンカチを借りようか?
それよりも、状況を理解しないと。
前野が前野なりに頑張ろうとした矢先、帰宅部部室の入口のドアが倒れ、生徒会が入ってきた。

Re: 帰宅部オーバーワーク! ( No.6 )
日時: 2015/08/17 23:33
名前: ガッキー (ID: KqRHiSU0)

「生徒会だ!全員頭の後ろで両手を組め!!」と、ドアを蹴破った生徒会の人達が言った。
前野は言われた通りに頭の後ろで手を組んだが、青山とベネディクトは組まなかった。まだ抵抗する、と言わんばかりにせっせと窓を開けて何かを確認していた。
「そこの二人、言われた通りにしろ!停学させられたいか!?」
生徒会の(前野の記憶が確かなら、役職は副会長)ガタイの良い男が威嚇として壁を叩いた。前野は驚いてビクッと飛び上がったが、やはり青山とベネディクトは動じない。ここまで行くと、最早意地になっていると言っても良いかも知れない。
「ほら、青山君、ベネディクト君、言われた通りにしないとーー」
宥めるように前野がこの言葉を言い終える前に、ベネディクトがおもむろに生徒会の人達の方へと歩き出した。ゆっくりと、ゆったりと。この部屋を包み込んでいる緊張感とは不相応な程、日常的な足取りで。廊下を歩くように。
(何する気?お願いだから事態をややこしくしないで!)
前野が心の中で懇願する。もう前野の中では、逃げるという選択肢は失われていた。
「何をしている」
てのひらを怪我しちゃってさ・・・、いたたた」
顔をしかめて、右掌を押さえるベネディクト。ここに来る迄の道中、怪我をしたらしい。まあ、3階までよじ登って来たのだから怪我をしても可笑しくはない。
「? 見せてみろ」
副会長や生徒会の人達がベネディクトに注意が言っている時。前野さん、と前野の耳元でやたら優しい声が。ゆっくり振り返ると、青山の顔が至近距離にあった。
「っ!」
脊髄反射で後ろに仰け反る。そんな事をしたら、運動神経が人並み以下な前野は背中から床にダイブする事はお約束。
「危ないですよ?」
しかし、イケメンがヒロイン(?)のピンチに手を差し伸べるのもお約束な訳で。前野は青山に抱き締められるような形になる事で、怪我は免れた。
「〜〜!!」
「暴れないで下さい」
「抱き締めないで下さい・・・!」
失礼しました、と青山はあっさり離れた。それから、
「準備をお願いします」
と、真面目な顔で青山は言った。勿論、その顔は文字通り、前野の目と鼻の先にある。
「じゅ、準備って・・・何のですか?」
「決まっているじゃないですか。この状況から、この部屋からの脱出です」
「・・・・・・」
どうやら、前野が思っていた以上に青山は往生際が悪いらしい。

Re: 帰宅部オーバーワーク! ( No.7 )
日時: 2015/08/19 00:18
名前: ガッキー (ID: KqRHiSU0)

「失礼しました、説明がまだでしたね」
前野の(´・_・`)←みたいな顔に気付いたのだろう。青山が自らの言葉に補足を入れる。
「ベネディクト先輩が生徒会の方々の注意を引き付けている間に、僕と前野さんの二人で窓から脱出します」
青山の説明は短く、とても分かり易かった。
裏に潜む問題点も、分かり易かった。
「ベネディクト君はどうするんですか?」
そう。囮となったベネディクトは、帰宅部部室に一人(生徒会メンバーもいるのだが)取り残される。前野と青山の為に、ベネディクトは捕らわれてしまう。
「・・・・・・」
実際、この決断は青山にとって苦渋の決断だった。いくらベネディクト本人からの願いとは言え、先輩を犠牲に出来る程青山は『友情』とやらを軽視していない。反論もした。「三人で脱出出来る方法を考えますから」と。
しかし、そんな悠長に思考する時間も無いし、何より状況が状況だ。話す瞬間さえ殆ど無かった。気付いたら、ベネディクトは歩き始めていた。
会話の強制終了。それは、青山の双眸に映るベネディクトの背中が「ボクは自分の意思を曲げないよ」と語っているようだった。
「怪我何てしてないじゃないか」
副会長が咎めるようにベネディクトに。
「うんーー怪我するのは、君達だよ!」
外国人は、日本人よりも背が高い。それは皆が知っている事。
ベネディクトは、フランスと日本のハーフ。
ギリギリ外国人の枠に入る訳で。
身長、目測180cmから繰り出された飛び蹴りの威力等、推して知るべし。
「うご!?」
まさか、この後に及んで抵抗されるとは思っていなかっただろう。受け身も何も出来ずにガタイの良い副会長が、後ろに控えていた書記や会計の人を巻き込んで倒れた。
「今だ!早く!」
ベネディクトが振り向かずに、前野と青山に言う。
「っ、・・・行きましょう」
「でも!」
青山に掴まれた手を、前野は振りほどいた。
駄目な気がした。ここで素直に従うのは、どうしようも無く駄目な気がしたのだ。
「ベネディクト先輩の行動を無駄にする気ですか?僕達に出来るのは、ベネディクト先輩の想いに応える事でしょう!」
青山がまた前野の手を掴む。
今度は、振りほどかなかった。


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