ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
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- 時の魔術師(コメください
- 日時: 2009/11/15 14:52
- 名前: 白魔女 (ID: NqI69cgO)
こんにちは。白魔女です。元・魔女です。
これで四作目になります。ようやくなれてきているつもりですが、まだまだ未熟者ですので、みなさまの感想を聞きたいです。誤字・脱字も多いので……(汗
グロは、少ないと思います。でも、時たまでるかも……知れません。
これを読んでくれた人が、楽しい思いをしてくれたら……それが私の願いです。
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- Re: 時の魔術師(コメください ( No.74 )
- 日時: 2009/12/12 17:16
- 名前: 白魔女 (ID: fwxz9PQ9)
ありがとうございます、藍羽さんっ。
これから心臓食べちゃいま〜すw
ってことで、頑張りますっ。
- Re: 時の魔術師(コメください ( No.75 )
- 日時: 2009/12/13 16:23
- 名前: 白魔女 (ID: fwxz9PQ9)
まず、私は魔術でこの病室以外の時間をとめた。邪魔が入らないようにするためだ。
ミサコさんの体に、魔力を注ぎ込む。すると、体はまぶしく輝きだした。
「体があたたかい……」
「えぇ……」
人は皆、魔力を禍々しいモノか何かと思っているが、それは違う。神聖で、ミサコさんが言ったようにあたたかいものなのだ。時に、それは冷たく冷徹にもなるが。
そう思いながら、私は流し込んだ魔力で、ミサコさんの体に張り巡らされた神経を切断する。口だけは、動くようにした。最期の言葉を聞くために。
残った魔力を変形させ、刃のようにすると、内側から胸を切り裂く。血が飛び散るが、魔力で抑えた。
そこには、赤く輝く心臓があった。
弱々しく動く心臓は、それでも生きようと必死に鼓動していた。真っ赤な血は、これでもかと言わんばかりに心臓を染めている。
そこに、ゆっくりと手を差し入れた。血が、私の手を真っ赤に染め上げる。
心臓に到達すると、それをゆっくりとなでた。
「私の中に……あたたかい……優しい手が入ってる……」
ミサコさんが消え入りそうな声で呟いた。
ミサコさんの体の神経はほとんど切断したし、それにミサコさんはこっちのほうを見てはいない。なのに今の状況をズバリと言い当てた。
「えあ!?なんでわかるんですか?」
慌てふためく私に、ミサコさんはまた笑った。
「心でわかるのよ……」
……人ってのはつくづく不思議なものだと思う。
「ソラちゃんの手って、あたたかいのねぇ……。ケントがまだ私のおなかの中にいて、私のおなかを蹴っているみたい……」
ミサコさんは、幸せそうに呟いた。逝く時に笑っていられるのは、この上ない幸せだと、誰かが言っていたなぁ、と思う。
私は、またゆっくりとミサコさんの心臓を包み込んだ。そして、軽く持ち上げる。少し重みがあって、これぞ、「命の重み」だ、と思った。ミサコさんの心臓は小さく、あたたかく、小さな小さな子猫みたいだ。たとえるなら、その子猫は怯えておらず、安心してスヤスヤと眠りこけているような。こっちまで、安心してしまうような。
そして私は一気に心臓を取り出し、自分の胸元まで持っていった。ミサコさんが小さくうめくが、まだ生きている。私が魔術で命を繋いでいるのだ。しかしそれもあと少しだ。私がこの心臓を自分の中へ取り込んだが最期、ミサコさんは逝ってしまうだろう。
「ミサコさん……」
ミサコさんはまだ、天井を見上げ、微笑んでいた。
「私は幸せだった。幸せな人生を歩んだわ。ただ、それが短かっただけ。でも、私はそれだけ楽しんだと思うの……ケントにあえて……ケントが高校生になった姿も見れて……そして、ケントは私のためにはるばる時を越えてやってきてくれた……」
それは、自分に言い聞かすように聞こえた。それとも、私にこの言葉を聞かせて、ケントに「私は幸せだった」と言ってもらいたいのだろうか——。
「ソラちゃん」
ハッキリとした声で、ミサコさんは私を呼んだ。
「ケントに……お願いだから幸せになってと言って。幸せに、幸せに……と……」
ミサコさんが力尽きて逝くのを、私は見た。それでもまだ笑っていた。
「わかりました。ケントにしっかり伝えておきます」
そして、私は小さな心臓を、胸に押し当てた。スゥッと、吸い込まれてゆくように、心臓は私の中に消えてゆく。そして、ミサコさんは息絶えた。その瞬間、ミサコさんが私の中に入ってくるような感覚に襲われる。
ミサコさんの走馬灯——。
- Re: 時の魔術師(コメください ( No.76 )
- 日時: 2009/12/16 23:24
- 名前: 白魔女 (ID: I4tk7xLE)
——7話——ミサコさんの走馬灯
誰かが泣いていた。
いや、誰でもない。私自身が泣いている。
今、私はミサコさんの走馬灯の中にいる。
ミサコさんの幼い記憶を見ているのだ。
小さい頃のミサコさん。おさげをしていて可愛らしいが、ミサコさんは泣いていた。目の前には、自分のお父さんが、恐ろしい形相で立っている。
「泣くなと言っているだろうが!」
パン、と、お父さんは平手でミサコさんの幼い顔を打った。また大泣きするミサコさん。
幼い頃の、つらい思い出——。
フワッと画面は変わり、高校生くらいのミサコさんが映った。友達と話して、遊んで、楽しそう。しかし家に帰れば、また——。
ミサコさんに、こんな思い出があったなんて。あの優しいミサコさんに……。
また画面は変わって、大人になったミサコさんが笑っていた。そう、隣にはケントのお父さんが。二人が出会ったときのだろう。とても、幸せそうだ。
そして、ケントが生まれた——。
幼い頃のつらい思い出。それは、子を思う母親の気持ちを強めた。
——この子だけは幸せにする——。
強い決意。
その思いを抱いて、すくすく大きくなるケントを見守るミサコさん。とても幸せそうだった。幸せで、幸せで。
その幸せを奪うのは自分だとも知らずに。
ガン。気づいたときにはもう「幸せ」は音をたてて崩れてしまっていた。自分は入院して、治るかわからない自分に頑張って働いて治療代を出す夫。欲しい物を我慢して、一人で夕食を食べるケント。ミサコさんは、そんな姿を見ていられなかった。つらい思いをしているのに、自分の前だとニコニコする二人も。
自分のせいだと自らを追い詰める日々。
ケントともう長くいられない悔しさ。
そして、現れた一人の魔女。
ミサコさんは、魔女にあってから明るくなった。もう命が短いというのに、また前の幸せそうな顔をしていた。
最期に、高校生の息子にあえたことも、本当に喜んでいた。
走馬灯の最後に、ミサコさんの声がした。
「——私は幸せだった——」
甘い。本当はそれがしょっぱくっても、それを覆い隠してしまう甘さ。
——そう、ミサコさん。あなたは幸せだったのですよ——。
走馬灯を終え、私は現実に引き戻された。
冷たくなったミサコさんの体。命がなくっても、自分は幸せだと、表情が語っている。そして、ケントも幸せになれと——。
「ミサコさん。その命、大切に貰い受けます。どうぞ安らかな眠りにつくよう」
- Re: 時の魔術師(コメください ( No.77 )
- 日時: 2009/12/17 17:21
- 名前: (( `o*架凛 ◆eLv4l0AA9E (ID: 81HzK4GC)
ミサコさんにそんな過去が……!!
今の姿からは想像できないね……。
私も最後は「幸せだった」って言えるような人生を歩みたいなぁ〜(( `o
応援してるよぉ〜((o> <)o**
- Re: 時の魔術師(コメください ( No.78 )
- 日時: 2009/12/17 22:04
- 名前: 白魔女 (ID: I4tk7xLE)
架凛、ありがとーなのだぁーっ
いつもいつも、応援ありがとぅネっ
架凛もガンバ〜
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