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とうめいセカイ。 完結
日時: 2010/07/14 17:09
名前: アキラ (ID: STEmBwbT)

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だんだんココで書くのも、ちょっと慣れてきました。




◇お客様◇

     風水様  白柊様  時雨様  空様
     白兎様

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Re: とうめいセカイ。 ( No.23 )
日時: 2010/07/07 15:40
名前: アキラ (ID: STEmBwbT)

コメ、ありがとうございます(*^_^*)
時雨さんも双子なんですかっ。
それは羨ましい!!
>時雨さん


コメ、ありがとうございます(^.^)
詩は自前なので、なんか下手かなーと思っていたので
そう言ってくれて、ありがとうございます(>_<)

Re: とうめいセカイ。 ( No.24 )
日時: 2010/07/07 16:45
名前: アキラ (ID: STEmBwbT)

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翌日、潮音はあくびをしながらリビングに下りる。
6月という事もあり、外は雨が降っていた。


「がびんっ、雨だよ」
「傘持っていきなさいよ、潮音。 海香も」


普段とは違い、キレイな服を着ている母さん。
親戚の家に行くと言って、今日は帰らないらしい。


「潮音、ちゃんと迎えに来てよ?」
「わーってるって、10時だね」
「二人とも女の子なんだから、気をつけてね」


心配性の母さんは、何度も何度も二人を心配して、父さんも、親戚の家の電話番号を控えておいてくれて。


「じゃあ、行ってきます」


二人が学校に行って、その数時間後、父さんと母さんは車に乗って出かけて行った。


──魂が、終わる時。


「海香……オレの海香……」


凶暴な狂気が、うごめいている。
冷たくて、怖くて、卑小で。


そんな恐ろしい魂が、一つの弱い魂をじっと見ていた。




           ⅴ



「今思うと、初めて二人でお泊りするよねー」
「そうだね。 幼稚園のお泊まり保育以来かも」


弁当を囲みながら、潮音と海香が楽しそうに会話している。
クラスは違うけど、毎回潮音は海香のクラスに来て、二人で弁当を食べる。


「お前ら、まーた一緒に食ってんの」
「デート中なんですー、どっか行けヒロ」


二人の隣で食べているヒロに、いーっと潮音が舌を出す。
購買のパンを齧りながら、ヒロはじーっと二人を見ている。


「なにさ」 「お前らホント仲良いよな〜。 普通に二人で一人って感じ」
「よく言われるけど、アタシら別々の人間だから」


ピース。
ニカッと笑う。
内心、ヒロは子供っぽいなーと潮音を見て思ったわけだけど。
海香の方は落ち着きがある。 さすが姉。


「ヒロもそういや兄さんいるじゃん。 しかもチョー性格にてるじゃん」
「ばーか。 あんなバカ兄と一緒にすんな」


海香が笑って、


「私、いつも潮音に助けてばかりだから。 だって、潮音明るくて人気あるしねー。 私、あんまそーゆーのできない」


どこか寂しそうに言った。
潮音がフォローに入る。


「いや、でも! あのヒロみたいなバカと渡り合えるって凄いよ? すげーよ海香っ」
「ばーか。 俺は俺、お前はお前だろ」


ヒロの言葉に、海香がそっと。
……なんだろう。
なんだろう、この気持ち。


「あ、ありがと」



慌てて卵焼きをほおばる。
びっくりした。
李人が好きなのに、ヒロにもトキメいてしまった。

う………………

うわあぁぁっ。


軽くパニック状態に陥ってしまう。
不審な動きの海香を見て、潮音とヒロはポカンとした。


「「どしたの……」」

Re: とうめいセカイ。 ( No.25 )
日時: 2010/07/07 17:15
名前: アキラ (ID: STEmBwbT)

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学校が終わり、放課後。
珍しく、潮音と海香、ヒロ、李人の4人で帰っていた。
部活は無しで、野球部に入ってる李人も、美術部の海香も一緒。


「ちょっ、なんで転寝くんがいるのっ」
「誘ったんだよー。 進展なさそうだったから」


慌てる海香をよそに、潮音は平然と先頭を歩く。
ヒロと李人はそこそこ話す仲らしく、普通に会話をしている。


「今日夜更かししよーねー、海香っ」
「いいの? 母さんたちいないからって」
「今日くらいいいじゃん」
「今日、親いねーの?」


ヒロがずいっと興味津津に聞いてくる。


「親戚の家行ってるんだよ」
「マジ? 俺、お前らの家行こうかなー」
「ばっか!」


べしべしとヒロの腕を真っ赤になりながら叩く潮音。
海香は、ヒロとは違い寡黙な李人の大人っぽさにドキドキしていた。


「今日、星屑は塾があるんだろ?」
「え? えっと、うん。 ある。 なんで?」
「星屑……の妹に聞いた」


下の名前を呼ぶのに躊躇ったのか、李人が微妙な言い回しで潮音を指す。


「うん、10時に潮音に迎えに来てもらうんだ」
「夜のか? 危ないな……」
「大丈夫。 潮音は逞しいから」


少しでも李人と喋れて嬉しかった。
どうしよう。
嬉しい。
笑ってしまう。


トクンと、心がはねた。


顔が火照る。 
脈拍がやばい。


ヒロ、そして李人と別れ、海香と二人きりになったとき。


「どどどどどどうしようっ。 転寝くんと喋っちゃった! ひひひひひ、久しぶりでキンチョーしたっ」
「あはは、顔あかーい」


潮音がそっと海香の頬に触れる。


「熱い。 本気なんだね、李人の事」
「あ、当たり前だよっ。 私は、転寝くんが好き」


大好き。
世界で一番好き。

だけど、この日の夜。

海香は死んだ。




 
            ⅴ




電話が鳴って、受話器を持つ。
テレビを見ていて、ちょうどCMだった。


「はい、転寝です」


そう言い、チラと時計を見る。
10時 12分。
外は闇。


「………? もしもし?」


相手の息遣いは聞こえるけど、何も言ってこない。
いたずらか?
そう思ってきろうとした時。


「り……っ、李人……?」


受話器の向こうから、か細い声が聞こえた。
震えていて、弱々しい声。
壊れてしまいそうだった。


「えっと……、誰っすか?」
「あ、アタシ……潮音」
「星屑? どうした、こんな時間に。 てかお前、星屑姉の方の塾の迎え行くんじゃねーのか?」


黙りこむ。
なにかあったのか? ケンカとか。


「………だ」
「は?」


聞き取りにくい。
聞き返すと、先ほどとは変わった、冷静な声が響いた。


「海香が、死んだ」



Re: とうめいセカイ。 ( No.26 )
日時: 2010/07/07 17:42
名前: アキラ (ID: STEmBwbT)

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           ⅴ



苦しかった。 本当だよ。

潮音って呼んだけど、ダメだったみたい。

怖い、怖い、怖い!!

なんであの人が、私を殺すのか分からない!!

やめてっ、あの人を罵倒しないでっ!!

怖いよ、助けて。 やだ。

ずっとずっと、信じてきた。 

私を好いているって分かってたけど、ごめんなさい。

できなかったの。

ごめん、ごめん、ごめんね──。





          第3章
      うしなった、もうかたほう





ヒロは走っていた。
女の子に魂をみせられ、そのあまりの哀しみに絶望しながら。


ついたのは、星屑家。
インターホンを押す。 出てくれ、潮音!


『はい』
「あ、あのっ。 潮音……星屑はいますか?」
『潮音なら、海香の墓地に行ってるの。 ほら、もうすぐで一周忌だから』
「ありがとうございますっ」


走る。 走る。 走る。
海香の哀しみを伝えたい。
そして、海香を大好きだったことも──。


彼女の傍らである彼女に。
もう一人の、「海香」 に。





誰ひとりいない墓地。
ヒロは海香の眠る墓地に急いだ。
そこに、人影が見える。


「しお、」


潮音。
そう、呼ぶべきだった。
だけど、できなかった。


「“ヒロくん”、久しぶり」


そこにいたのは、潮音ではなく。

短い髪に、大人びた微笑み。 
それは決して、幼稚で無邪気な潮音ではなく、海香だった。


「だ……っ、海香……?」
「何でそんな慌ててるの、ヒロくん」
「お前……、死んだんじゃ……っ」


海香はそっと微笑む。


「違うよ。 死んだんじゃなくて、“殺された”の」
「どんなペテンだよ……っ、変だぞお前」
「変?」


キョトンとして、海香が目を見開く。
しかしすぐに。


「ふふふふふふふふっ」
「何がおかしいんだよっ」


確かに見た。
海香の声を。 魂を。 光を。
死んでいた。 

なのになんで。


「お前……誰だよっ」
「……………………………」
「死んだのは、“どっち” なんだよっ」





「死んだのは、海香だ」






現れたのは、ひどく壊れやすそうな透明な。
幻想的で、愛らしい少女。

彼女は、天使だった。

Re: とうめいセカイ。 ( No.27 )
日時: 2010/07/08 16:48
名前: 風水 (ID: STEmBwbT)

お久しぶりです(^.^)

海香が死んでるのに、そこにいるのは海香…。

最後にきた天使は、セイなんでしょうか。


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