ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
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- とうめいセカイ。 完結
- 日時: 2010/07/14 17:09
- 名前: アキラ (ID: STEmBwbT)
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だんだんココで書くのも、ちょっと慣れてきました。
◇お客様◇
風水様 白柊様 時雨様 空様
白兎様
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- Re: とうめいセカイ。 ( No.53 )
- 日時: 2010/07/10 17:35
- 名前: アキラ (ID: STEmBwbT)
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ⅴ
痛い。 つらい。 哀しい。 怖い。
優しいあの人は仮面を脱ぎすて、夜の王へと変貌していく。
どうしてだろう。
あの人はあんなにも、太陽のように優しかったのに。
「お前さ、よく初対面の男の家に乗り込めれるね」
「このケダモノ! ロリコン受けなら止めて下さいませよっ」
「誰がロリコンだ、貧乳アマ。 オレはぼいんが好きなんだよ」
「変態ッ! 一回地獄に落ちなさい!! 」
何故かあの後、セイを助けてくれとサクの部屋に乗り込んできた蓮華。
サクも諦め顔。
「大体なんでオレがそのセイって奴を助けないとダメなんだよ。 ケーサツ行けケーサツ」
「セイは……それを望まないもの。 それにここらは人も少ないから、セイを守れる人もいない。 そこにあなたが引っ越してきたのよ」
「バカ言うな。 オレ絶対やだから」
会ったばかりの蓮華に面倒くさそうな事を押しつけられそうになり、慌てて言い返す。
「サイの事、どうでもいいんですか!!? 」
「オレ、名前しかしらねぇよおおおっ」
「人類みな家族ですよ?? 助けてくださいよっ」
「何変な理屈で説得しようとしてんだッッ」
蓮華はムスッとした表情で、一枚のチラシを取り出した。
「これ、見て下さい!」
「?」
そこには、白いタキシードに身を包んだ、長髪の美しい男だった。
年齢も性別もそんなの無しにして、キレイという言葉が似合う男。
「これが……」
「セイの叔父の、神影 涼香です。 名字が違うのは、彼がセイのお母様の方の人ですから」
「……やけにべっぴんだな」
そう言うと、やけにドン引きしている蓮華。
「なんだよ」
「ああああああなたって人はっ! か、顔がよかったら幼女であろうと男性であろうと手を出すの? ケダモノねやっぱり!」
「キレーな面だって言っただけじゃねぇか! お前妄想激しいんだよ!!」
ギャアギャア。
ギャアギャア。
あーだこーだのそのあとで。
「セイの両親が死んでから、彼女は一人きり。 そんなセイを神影が引き取ってから、あの子は変わったのよ!! だから……助けたくてッ」
「お前一人でやれ! なんで関係ねぇオレなんだ」
「偶然よッ!! 」
堂々と言い放ち、ポカンとしているサクに向かって、指を指す。
「私はセイのためなら誰を利用しようとも構わないのッ! だからあなたは私に黙って利用されてなさいッ」
「………冗談じゃねぇぞ、糞ガキ」
- Re: とうめいセカイ。 ( No.54 )
- 日時: 2010/07/10 17:37
- 名前: アキラ (ID: STEmBwbT)
サクは二十代。 年上の男です。
セイはまだおちびです(*^_^*)
>時雨さん
- Re: とうめいセカイ。 ( No.55 )
- 日時: 2010/07/10 18:15
- 名前: 空 ◆EcQhESR1RM (ID: BwWmaw9W)
うわぁ〜w
すごい理屈で言いよってくるな、蓮華w
- Re: とうめいセカイ。 ( No.56 )
- 日時: 2010/07/11 08:26
- 名前: アキラ (ID: STEmBwbT)
蓮華は壊れた車です。
ブレーキなんてないです(*^_^*)
- Re: とうめいセカイ。 ( No.57 )
- 日時: 2010/07/11 08:40
- 名前: アキラ (ID: STEmBwbT)
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まいった。
本当に冗談じゃない。
「………やられた」
サクの手には、ピンクの携帯電話。
キーホルダーがじゃらじゃらついている。
10分前。
「もうわかりました……あなたの事は諦めるわ」
「そうしてくれて助かる。 あと、マジでヤベーんなら警察に言えよ。 オレなんかよりもっと役に立つから」
「……そうする」
あれだけ突っ走っていた蓮華もおれ、しょんぼりと帰って行った。
しかし。
何故か携帯電話を置いて。
「……………っ!?」
忘れたのかと、オロオロしていると、その電話が鳴った。
出ていいのかと思ったが、出てみると。
『その携帯、私のもう一つの携帯なの』
「………」
『セイから連絡が来たら、助けてやってちょうだいな』
「……………」
一方的に、切られた。
サクはしばらくポカンとして、
「あんのクソがきぃぃぃぃぃぃぃッッ」
そんな感じで、今に至る。
なんだ、これ。 してやられた。
油断したんだ、きっと。
「連絡が来たらって……マジかよ、こえーな」
携帯を机の上に置き、一日気にしてはいたけれど、けっきょく携帯は鳴らなかった。
ⅴ
どうしよう。 どうすればいい?
柔らかい血肉をほじくり出すと、中から赤いものが飛び出てくる。
死んでしまっているのか?
怖い、怖い、怖い。
自分もこうして、死んでいくのか?
彼には芸術品だと言われたけれど、本当に、私は人間ではないのか?
ⅴ
突如、ラブソングが部屋に響いて、サクは目を覚ました。
「…………んだよ、うっせー」
時間は深夜2時。
音が鳴る方に行くと、それは蓮華の携帯だった。
「…………………いや。 他の奴って事もありうるだろうが」
少し緊張しながら、画面を見る。
『水白 セイ』
「………っ!!」
心を落ち着けながら、深呼吸をし、電話に出る。
「はい、もしも 『殺しちゃった』
聴こえてきたのは、掠れた少女の声。
殺すという単語に、サクは驚く。
「おい、大丈夫かよ」
『………知らない、殺しちゃった。 たぶん死んでるよ。 あんなに私に仲良くしてくれたのにッ!』
「落ち着けって!」
よほど混乱しているのか、蓮華の声じゃない事にも触れてこない。
『たすけて……蓮華……』
「今いく!」
電話を切り、家から出る。
関わらないって決めたのに、体が動いた。
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