ダーク・ファンタジー小説
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- ミステリ作家のリアルトリック【オリキャラ求ム】
- 日時: 2013/12/01 11:19
- 名前: はる (ID: JK5a7QPr)
- 参照: http://www.pixiv.net/member_illust.php?mode=big&illust_id=39522763
はるです。シリアスダークに書くのは二度目ですね…
そんなこんなで今回はミステリー。更新不定期です。
〜CAST〜
【久楽々 洋介】 〈kurara yousuke〉
Age 27
occpation 小説家
height 182㎝
weight 65kg
taste 読書、料理
【来栖 李亞霧】〈kurusu riamu〉
Age 16
occpation 高校生
height 158㎝
weight 42㎏
taste 運動
オリキャラ募集中!応募はこちらから→>>8
応募状況
李亞霧の友人・クラスメート 10人募集!(現在)
洋介の友人・ライバル 3人募集!(現在)
警察関係者 15人募集!(現在)
- Re: ミステリ作家のリアルトリック【オリキャラ求ム】 ( No.67 )
- 日時: 2013/12/20 14:45
- 名前: はる (ID: JK5a7QPr)
新島沙有は木下瞳を呼び出し、来栖李亞霧が来たのを確認してから校庭へと飛び降りる。
それを見てパニックになった瞳は、そこから慌てて逃げ出す。
同じくパニックになった李亞霧は、動転して瞳の姿に気づかない。
新島沙有の考えでは、「ツツジ」のおかげで命が助かるはずだった。
そして、「瞳さんに突き飛ばされた」というつもりだった。
しかし、ツツジはそこになかった。
ある人物が、ツツジを取り払ってしまったからだ。
そして最近になってその人物はツツジの植え込みを再び植えた。そのおかげで、洋介は助かったのだから。
「その人物とは誰か?……限られてきますよね。学校関係者で、一日の間にツツジを植えることができる人物。…普通、人の目があるところではツツジの植え替えなんてしませんよね?だから、学校に誰もいなくなった時に、ツツジを植えることのできる人物といった方が正しいでしょうか?それなら業者はまず無理ですね。校舎に人がいなくなるときに業者たちが出入りするのは無理ですから。
したがって、ツツジの植え込みを取り払ったのは、」
洋介はそこまで行ってから口をつぐんだ。
その眼は真っ直ぐドアの方へ向けられている。
…不審に思った李亞霧は、そっと振り返った。
目の前に、黒い穴があった。
「李亞霧くん!」
洋介が叫び、そのおかげで我に返った李亞霧は前に倒れこむ。
瞳と楽太、そして柳太と驟雨はイスを蹴倒して立ち上がった。
「……あれ、先輩!あれ、あれ、ピストルですよ!」
混乱する驟雨に、柳太は「煩い!」と怒鳴る。
そのピストルの先には、
学園長がいた。
「……ツツジの植え込みを取り払ったのは、教師か学園長か、と言おうとしたのですが……調べるまでもなかったみたいだな」
洋介はゆっくりと両手をあげる。
「真犯人は、貴方だ」
- Re: ミステリ作家のリアルトリック【オリキャラ求ム】 ( No.68 )
- 日時: 2013/12/22 16:53
- 名前: はる (ID: JK5a7QPr)
「学園長…!?」
地面に膝をつきながら李亞霧が再び振り返った。そこには、青ざめた顔の学園長がいる。
洋介が、何かを悟ったふうに問いかける。
「あの晩、誰かと喋っていたのはあなただったんですね?」
あの晩。
李亞霧と洋介が出会った夜、ボイスチェンジャーの男と会話していた中年女性———それは、学園長だったのだろうか?
学園長は答えずに、震える銃口を洋介に向けた。
それを答えととった洋介は、ホールドアップの体制のまま彼女を睨む。
しかし、学園長はその視線に戸惑うこともなく、引金を引こうと手に力を入れた。
その瞬間、拳銃が吹き飛んだ。
地面に倒れこんだ姿勢のまま李亞霧が彼女の手を蹴りあげたのだ。
呆気にとられる彼女の足をつかみ、李亞霧は立ち上がる。それに比例して学園長は地面に倒れた。それをひっくり返し、両手の自由を奪う。
プロのボディーガード顔負けの動きに、しばらくその場は静まり返った。
その沈黙を破ったのは、李亞霧の
「容疑者一名確保しました」
という報告のことばだった。
☆★☆
柳太と驟雨が学園長を連れてパトカーに乗り込んでいる間、洋介と李亞霧、瞳、楽太は病室で大人しくしていた。
設定はこうだ。
学校の屋上から不注意で落ちた洋介。
そのお見舞いに来た現職警察官。
そして、その二人に運悪くピストルを見つけられてしまった『銃刀法違反者』の学園長。
彼女はそれ以外の罪に問われることはないし、この話も騒ぎにはならないだろう。
彼女は名門青花の学園長だ。学園の子供たちの親は、大手グループ会長に華族の血を引くご令嬢。もちろん、マスコミ関係の人物もいるだろう。彼らが全力を使って学園を守るので、きっとこれは、ここにいた洋介達しか知らない真実。
「……沙有は」
李亞霧が口を開いた。
ピストルを向けられたあとだと言うのに、あっという間にいつもどおりに戻っている。これは良いことなのだろうか?
「どうして死のうとしたんでしょう」
「……」
痛いところを突かれた。
これはきっと、彼女が知らなくても良い真実だ。
「……知ってるんでしょ?先生は」
「……ああ」
それでも、それでも彼女が真実を求めると言うのなら、答えない理由はない。
「沙有ちゃんは嫉妬したんだよ、きっと」
「し…嫉妬…?」
「そう。自分だけの友達だった李亞霧くんが、いつの間にか木下さんに取られていた。木下さんさえいなければ、私達は永遠に二人だけだったのに、と。」
彼女は、瞳を犯人に仕立て上げようとした。それはきっと、李亞霧に瞳を軽蔑対象として見せようとしていたのではないか。
瞳が李亞霧に嫌われて、自分だけが李亞霧と友情を育むことが出来る…その優越感にひたりたかったのではないだろうか。
「……そ…んな……」
「わ…私のせいだ」
顔面蒼白の李亞霧の隣で、瞳は顔を両手に埋めた。
「私がいなければ、きっと…彼女は死ななかった……今回だって、私が……最初に言っておけば……!」
彼女の両目から涙がこぼれおちる。
「こ…こわ、かったんだ…!私は、自分が、悪く、おもわれ、たくなくて……」
「木下さんは悪くない」
そういったのは李亞霧だ。
さっきまで白かった顔は、優しげな微笑みで押し隠されている。
「悪いのは、学園長よ。木下さんは別に、何もしてないんだから」
少女の静かな泣き声と、それを慰める声だけが、いつまでも、病室に響いていた。
- Re: ミステリ作家のリアルトリック【オリキャラ求ム】 ( No.69 )
- 日時: 2013/12/22 17:07
- 名前: はる (ID: JK5a7QPr)
「……じゃあ、さようなら」
楽太は洋介に頭を下げた。
さっきまで泣いていた瞳も、今はすっかり落ち着いている。
「…ありがとうございました」
瞳はそういって黒い髪を揺らしながら頭を下げた。
彼女の心にできた傷は、きっと無くならないだろう。手術の跡がいつまでも残っているのと同じで。
けれど、その傷痕はいつしか痛みを失って、その代わりに懐かしさがあふれるようになる。
丁度、小さいころ作った傷痕を大人になって見つけた時に懐かしく思うのと同じで。
「それじゃ来栖、また明日」
「え?」
楽太の言葉に、李亞霧は素っ頓狂な声を出す。
しかし、それを気にせずに楽太と瞳は出て行った。
「……なんなんですかね?新田君、もしかして木下さんと帰りたかったのかな」
少し不思議そうな李亞霧。
しかし、洋介にはわかっていた。これは、楽太少年なりの気遣いなのだ。
それがわかっていたから、
———わかっていたから、洋介は言った。
「泣いていいぞ」
「……え?…な、何言ってるんですか先生」
「あの二人がいたら、泣けないだろ?」
彼女は、きっと自分も傷ついているはずなのに、瞳を慰めていた。
優しく、気高く、彼女は前向きな「ふり」をしていた。
痛いときは思い切り泣かなければ。
他人なんて関係なく、もっと自分勝手に生きなければ。
「……じゃあ俺、ちょっとトイレいってくる」
「え、あの、先生?」
「ついでにナースセンターで痛みどめもらってくる。あと、外で柳太と電話してくる。編集にも電話してくる」
そういって、洋介はベッドから降りた。
三十分くらいは戻ってこない方がいいだろう。
洋介は、廊下に出る。
ドア越しに、小さなすすり泣きが聞こえたのを確認してから、彼はゆっくりと歩いて行った。
- Re: ミステリ作家のリアルトリック【オリキャラ求ム】 ( No.70 )
- 日時: 2013/12/23 10:08
- 名前: はる (ID: JK5a7QPr)
これにて、第一幕第一部が完結しました。
ミステリーで謎解き完結が出来るとは…自分でもびっくりです。
また、謎の方では「これつじつま合ってない」とか、「これ絶対推測だよね」というものがあるかと思われます。どうか、生ぬるい目でスル—しておいてください…!
今後の予定ですが、警察関係オリキャラ様は次の回でがっつり出演、生徒関係オリキャラ様は次の回の前半+ラスト出演、その次でがっつりだす予定です。
また、こちらでオリ募集!とは書いていましたが、出来ればリク・依頼のほうでお願いします…!
とりあえず、読者の皆さま(いるの?ww)ありがとうございましたー!
- Re: ミステリ作家のリアルトリック【オリキャラ求ム】 ( No.71 )
- 日時: 2014/01/05 11:51
- 名前: はる (ID: JK5a7QPr)
第二幕『ポイズン・ミステリー』
あれから一週間がたった。
普通の高校なら夏休みに入っているところだが、お金持ちの学校はどうなのだろうか。
まあ、それを知ったことでどうという事はない。
——あれから、彼女達とは一度も会っていなかった。
洋介にとって、あの事件はもう白昼夢のようなモノ。
唯一、それが現実だったと思わせてくれるのは、その時一緒に居た警察官二人ぐらいのものだろう。
洋介は書きかけの原稿を手に取った。
今度『School出版』から出るはずの青春ミステリー。探偵役の少女はショートカットで気が強く、友達思いで意地っ張りな運動神経抜群。
まるで、『あの少女』のような性格だ。
携帯電話が鳴ったので、洋介は画面を開き相手を確認する。いまだに古いガラパゴスケータイだ。正直言ってそろそろスマートフォンに変えたい。
液晶画面には『担当 代々木』…洋介は通話ボタンを押した。
「もしもし久楽々ですが」
「あ、せんせ!締め切り近いんですけどどうなってます?」
「おー、代々木くんにしては落ち着いてるね」
「どうなってます?」
「そして安定の話を聞かない」
「どうなってます?」
「……できてるよ」
「そーですか。良かったよかった。そうだせんせ、School出版のパーティ行きますー?」
「は?行かない行かない」
「駄目です。行きましょう。これからの事も考えて、しっかり媚を売っとかないと!」
「えー、やだよ。俺が行ったら女が五月蠅いじゃん」
「……まーそーですよね。実はせんせを呼ぶように指示したのは社長令嬢らしいんですよ」
「あー…また俺目当て?」
「多分…高校生ですからね—、そういうことに興味がでてくる年頃なんでしょう」
「…………まあいいよ。しょうがないからいくよ」
「えっ、ほんとですか!せんせ、珍しい!」
「いいから。俺寝るから。おやすみ—」
「あ、ちょっと、せんせ!?」
洋介は携帯を閉じた。
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