ダーク・ファンタジー小説
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- (自由参加小説)異世界ぐらしはじめます(祝!閲覧1000!)
- 日時: 2016/11/01 22:50
- 名前: ミヤビ (ID: WVvT30No)
(紹介前に総合掲示板の雑談掲示板に「異世界ぐらしはじめます 雑談所」を設けました!お気軽にお聞き下さいませ♪Twitterにて基本活動しておりますので急ぎでしたらTwitterまで!)
はじめましてミヤビと言います。
異世界ぐらしでは中世チックなフィールドを好きなように駆け回り。
共闘するもよし自分で国をつくるもよし。
自分ならこうすると言ったことを書いちゃって下さい。
これはリレー小説形式で。
参加型の小説です。全てが正規ですべてが外伝であるこの世界にようこそ!
では下記に簡単な説明を乗せておこう。
また、【あくまで楽しむことを前提に】書いて下さい。
マナーを守り規則正しいもう一人の自分を小説で動かしましょう!
【異世界ぐらしはじめます】設定資料
世界観設定
【属性】
〔英雄〕基本人類のクラス、技術スキル高 基本値低
〔人外〕魔物相当のクラス、特殊スキル高 致命的な弱点有
〔自然〕精霊とかのクラス、保持スキル多 異常体勢低
【能力、職業】
能力
先天性、後天性のオリジナルスキル。
ストックは2まで。
強力な能力であればデメリットも付属させる。
例
能力(時を3秒止める)デメリット(次発動まで3時間チャージ)
職業(有利→不利)
〔英雄〕騎士→弓兵→魔術師→
〔人外〕死兵→呪士→死霊使→〔自然〕巨神→獣人→エルフ→
職業はオリジナルスキルの関係上でオリジナルの職業の作成可
例
能力(竜属性の召喚)職業(竜騎士『騎士』)
【武器】
武器や技術は中世17世紀ちょっと先程度、よくて蒸気機関までが好ましい。
(無論新型でボルトアクションのライフルから有線電気機材は可、
ただ量産する技術、発展途上の技術に留める)
【世界観】
世界が1度、人類文明が滅び再び現文明まで築き上げて17世紀。
過去の遺跡・遺産から可能な限り再現可能なものを生産しまた1から作り上げた物を使って
レンガ造りの建物や紙の作成。現歴史までなかった生命に宿る超能力『魔導力』によって可動する
乗り物や工具を作り。世界各地には『神殿』や『城都市』といった文化が確立されていった。
世界にはいくつかの大陸と無数の島があり、
上陸してすぐ山道を登ってはハルピュイアやマンドラゴラと遭遇する島もあれば
果てしない雪の平原で巨大な生物や奇妙な知的生命体に襲われる所も、
この世界で生き残ることは出来るか・・・
(参加者の視点)
あなたは普通の現実世界では人気ゲーム「ワールドレコード」をプレイしていたゲーマーで、
特殊ソフト(3DCG作成ソフト等)を使えば、自分好みの見た目をつくれたりする狩猟を目的にした
一大娯楽として確立されたゲームで早7年。
発信元の大企業『ノア』現社長『イズミ』はユーザーの期待に応えるべく。新技術の投入によって現ワールドレコードは
全く新しいゲームに生まれ変わると宣言。
同時刻、新デバイス『スフィア』と呼ばれる掌サイズのマウスの形のした機械(子機)を発売。
これと連動することで新感覚の体験ができるとのこと。
それを使うと一瞬白い閃光に包まれたと思ったら。
なんと自身が作成したキャラクターになっていた。
だが世界観は全くの別物。
土地勘無し、お金なし。ログアウト画面無し。
あるのは以前のステータスとスキル、アイテムのみ。
一応地理は現実世界の配備で問題なし
スタート地点は自由。
国を創るも奪うも自由。
この世界に入ったプレーヤーはここの住人となって元の世界に帰る方法を模索あるいは
世界征服を目論むことも自由。
* * * *
御用の方は下記まで御連絡下さい
(質問・感想お気軽に)
https://twitter.com/miyabi_virossa(ミヤビアドレス)
https://twitter.com/yawashigure(柔時雨)
- Re: 異世界ぐらしはじめます( アレン視点 ) ( No.18 )
- 日時: 2016/09/20 22:35
- 名前: 柔時雨 (ID: d3Qv8qHc)
俺達が再びドラゴンゾンビと……その取り巻きのようなアンデッドモンスター達と交戦していた時
ドラゴンゾンビがゆっくりと頭を持ち上げ、大きく息を吸い込み始める。
「ん?おい、アレン。ドラゴンゾンビが何かしてるぞ。」
「え?……お前、さっきドラゴンと戦ったことあるって言ってたのに気付かねえのかよ!!
マズいぞ……ブレスが来る!!」
「何だ、ブレスか……じゃあ、俺に任せて!『 スキル・【 遮断 】 』!!」
ライラプスがそう叫んだと同時に、ドラゴンゾンビを囲うように光の壁が現れ
御丁寧に真上までしっかりと蓋をした瞬間、ドラゴンゾンビは光の箱の中でブレスを放った。
同時に毒々しい紫色のブレスが箱の中で充満して、一瞬で中が見えなくなる。
「これでよし。」
「おぉ!やるじゃねえか、ライラプス!」
「むしろ、ライラプス。これしかできないの。」
「そんなことないわ!!」
「……主様、ライラプス殿。お下がりください!準備ができました!!」
「おう、わかった!」
「サニーにはあとで教育的指導してやる……おっと、忘れるところだった。スキル解除!」
ライラプスが『 スキル・【 遮断 】 』を解除したと同時に、紫色の霧が真上へ昇っていき……
まだまだ元気(?)なドラゴンゾンビがゆっくりと動き始めた。
そして、俺とライラプスがシルヴィアとサニーの傍まで駆け寄ったと同時に、シルヴィアの周りに
6つの火の玉が浮かび上がる。
「主様の手を煩わせたアンデッドモンスターよ……火の塊となって沈みなさい!!
『 ゼーレンヴァンデルング・エクリクシス 』!!」
シルヴィアが放った6つの火の玉が横1列にならび、それぞれが1本の火炎放射となって
前方のアンデッドモンスターを焼き払う。
そのまま火炎放射は不規則にゆっくりと動きだし、寄り集まって1つの火の輪となると
今度はドラゴンゾンビの足元を取り囲んだ。
ゆっくりと回転し始めた火の輪は次の瞬間、ドラゴンゾンビの足元で大爆発を巻き起こし
そのまま1本の極太の火柱となってドラゴンゾンビと周囲のアンデッドモンスターを焼き払った。
「ふぅ………」
「おっと!」
術を使い、後ろに倒れそうになるシルヴィアを慌てて受け止める。
「主様……ありがとうございます。」
「いや、こっちこそ……よく頑張ってくれた。」
シルヴィアの髪を梳かすように頭を撫でていると、サニーがピクっと頭を動かした。
「……だめ。まだ終わってないの。」
「え?何言ってんだよ、サニー。たった今、シルヴィアさんがドラゴンゾンビを火葬……」
ライラプスの言葉を遮るように、消えかけていた火柱から這い出してきたドラゴンゾンビが
体を燃やしながら不気味な咆哮を発した。
「はぁ!?あれだってやって、まだ生きてるのか?呆れた生命力だな!」
「けど、あいつも満身創痍だろ……2人共、シルヴィアを頼む。」
「え?おい!アレン!!」
俺は燃え盛るドラゴンゾンビの前まで駆け寄ると、俺に噛みつこうと振り下ろしてきた頭を突撃槍で
刺し貫いた。
「屈辱的だよな……モンスターの王と謳われてるお前が……こんな姿になっちまうんだもんな。
安心しろ。すぐに楽にしてやる……『 エクリクシス・ フィンスターニス 』!!」
頭に刺さった突撃槍からオーラが発生し、そのままドラゴンゾンビの口の中へと入り込んで行った次の瞬間
俺の目の前でドラゴンゾンビの頭部が破裂した。
頭が無くなったドラゴンゾンビは力無く倒れ、やがて全身も黒い霧となって消滅した。
「……そんなことできるなら、最初っからアレン1人で良かったんじゃね?」
「手伝うって言ってくれたのは、お前だろ?ライラプス。」
ドラゴンゾンビの消滅と共に空を覆っていた灰色の雲が消え、俺達の後方からは
戦士達の勝利を喜ぶ声が聞こえてくる。
どうやら、雲の隙間から差し込んだ日の光によって、残っていたスケルトンやゾンビが
次々と消滅しているらしい。
「さてと……戦いも終わったし、拠点に戻るか。」
「はい。私は先に厩に行っていますので、主様は……」
「いつもどおり、報酬を受け取って来る……だろ?了解。ライラプスも一緒に来い。」
「え?あぁ……うん、わかった。」
* * * * *
陣営に戻った俺とライラプスは、大勢の戦士と一緒になって今回の報酬を受け取った。
「うん。まずまずの金額だな……ん?どうした?ライラプス。思ってたより少なかったか?」
「いや、よかった……俺の居た場所でも通用するお金で……」
「……そういや、まだお前達の事、詳しく聞いてなかったな。もうすぐ日も暮れるし……
よかったら、俺達の拠点に来ないか?」
「え?いいのか?」
「詳しい話も聞きたいし、野宿するよりはマシだと思うが……」
「ありがたい!お世話になります!」
腰をほぼ直角に曲げるように頭を下げたライラプスを厩まで案内し、シルヴィアに説明する。
「わかりました。私も御二人がこの後どうされるのか、少し心配でしたので……
詳しい話も聞きたかったですし。」
「決まりだな。それじゃあ……乗れ、ライラプス。」
俺はライラプスに自分の愛馬の後ろに乗るよう、指示する。
「え?馬?」
「何だ?シルヴィアの後ろに乗りたいのか?」
「構いませんが……変な事をしたら容赦なく叩き落としますよ?」
「ライラプス……」
「いや、そうじゃなくって!サニーもそんな軽蔑の目で俺を見るな!!本当にそうじゃなくって
俺達、まだ馬に乗って移動したことが無いんだよ!!」
「あぁ……まぁ、そんなに早いスピードを出さないし、しっかり前の人の腰を掴んでいれば大丈夫だから。」
「わかった……。」
- Re: 異世界ぐらしはじめます( アレン視点 ) ( No.19 )
- 日時: 2016/10/02 02:45
- 名前: 柔時雨 (ID: d3Qv8qHc)
陣営を離れてから数時間後。
俺達は無事にタドミール・テルミヌスに戻って来た。
「アレンが橋の下に溶岩とか言うからどんな場所かと思ったけど……ガチで魔王の城っていうか
ラスボスのダンジョンみたいになってんじゃねえか!!」
「しかも全部黒曜石作りだぜ。」
「では、主様。御二人を部屋に御案内してまいります。」
「頼むよ。俺は厩に行った後、大広間に居るから。」
「はい。」
タドミール・テルミヌス城内。
シルヴィアはライラプスとサニーを、多分特別なお客様を招いた時に使用していたと思われる
そこそこ立派な部屋へと案内していた。
「いろいろ訊きたい事はありますが、本日はお疲れでしょう。
こちらの部屋を好きに使ってくださって構いませんので、ごゆっくり休まれてください。」
「すまないな、シルヴィアさん。こんな立派な部屋使わせてもらって。」
「ライラプス!すごいの!このベッド、ふっかふかなの!!」
「先にちゃんと礼を言ってから使え、サニー!!」
「ありがとうなの!シルヴィア。」
「いえ、構いませんよ。では……明日の朝、また参ります。
それ以外で何か用がございましたら、私と主様は最上階に居ますので……御足労ですがそちらまで。」
「うん。わかった。」
タドミール・テルミヌス最上階・大広間。
「主様。ライラプス殿とサニー殿を客間へ御案内して参りました。」
「ご苦労様、シルヴィア。」
大広間に入って来たシルヴィアはそのまま、玉座の傍まで早足で接近し……
肘掛けに凭れかかる様に座り込んだ。
「なぁ、シルヴィア。」
「はい。」
「お前はあの2人のこと……どう思う?」
「そうですね……サニー殿は非武装でしたが、ライラプス殿は戦い慣れしているようでしたし
主様の言葉をお借りするのであれば『 ゲームをプレイし始めた者 』……ではないと思います。」
「そうだよなぁ。じゃあ、やっぱり他のサーバー……『 異世界 』から来たってことか。」
「おそらくは……ライラプス殿が使用していた剣、あのような物……私は今日、初めて見ましたし。」
「まぁ、詳しい話は明日、本人の口から聞こう。それより………」
俺は丁度、自分の手と同じ位置に高さにあったシルヴィアの頭を撫でる。
「あっ……主様?」
「いつも頑張ってくれているのは知ってるけど、今日は本当によく頑張ってくれたな……
ありがとう、シルヴィア。今度何かお礼しなきゃな……」
「そのような……私はこうして主様に褒めていただき、頭を撫でていただけるのでしたら……
他には何も要りません。」
「え?こんなんでいいのか?」
「はい。書物や物なら自分で買えますが、私をこうして褒めてくださることができるのは
主様だけですから……」
「そっか……結構、役得な立場に居たんだな、俺……。」
翌朝。
シルヴィアが起こしに行くよりも早く、ライラプスとサニーが大広間に入って来たので
とりあえず、机の上に広げた地図を見てもらった。
「どうだ?」
「……やっぱり、俺が居た場所とは違うな。知っている町の名前がどこにも無い。」
「そっか……。」
俺は玉座に腰かけたまま腕を組み、すぐ傍に立っていたシルヴィアが口を開く。
「貴方達が異世界から来たというのは信じましょう。しかし、どのように……転送石のような鉱石が
そちらの世界にもあるのですか?」
「それが俺にもよくわからねえんだ。何か、自分の周りで稲妻が発生したかと思うと
急に視界が白くなって……」
「気が付いた時には、俺達の世界に居たってわけか。」
「ピリピリで……白くなって、どっかーんって音がしたの!」
「どう思う?シルヴィア。」
「そうですね……異世界ですから、我々の知らない技術のようなものがあっても
何も不思議なことではないかと。」
「確かに……それで?お前達はこれからどうするんだ?
このままこの世界で生活するのか……元の世界へ戻りたいのか……」
「まぁ、始めた世界が違うからな。一応、元居た場所には戻りたいって思うけど……戻る手段が……」
「ん?手段ならあるぞ。」
「マジで!?」
「ついて来い。案内してやる。」
俺とシルヴィアは2人を地下にある……まだ1度も使用していないゲートの前まで案内した。
「これは……?」
「俺達が居るこの世界から別のサーバーへ行く手段だ。」
「ただ、私達はまだ使用したことがないので……どのような仕様なのか……
仮に御二人の住む世界に行けたとして、目的地に出るのか別の場所に出るのか……
また、ライラプス殿とサニー殿が別々の場所に出てしまうのか……解らないことだらけなのです。」
「本来なら自分達で確かめてから人に勧めるもんなんだろうけどな……申し訳無い。」
「いいって!そんな、気にしないで。この世界から他の世界に行ける手段があるってだけでも収穫だ!
シルヴィアさんが言ったことも、確かに不安だけど……それならそれで、次に出た場所で考えるよ。」
「ありがとうなの!アレン、シルヴィア!」
「いや、俺達の方こそ……モンスター討伐を手伝ってくれて助かった。」
「主様から聞きました。御二人の世界でもこちらのお金が使えるようだと……
こちらは少ないですが、路銀の足しにでもしてください。」
シルヴィアはそう言いながら、ライラプスに金貨が入った小包みを手渡す。
「えっ!?いいのか……?貰っちゃって……」
「向こうでも先立つ何かは必要だろ?俺達はまたモンスター討伐でもして稼ぐから
遠慮しねえで受け取ってくれ。」
「ここまでしてくれて……ありがとう、マジで助かる!」
ライラプスが小包みを受け取った直後、俺達の前にメッセージウィンドが表示された。
そこには【 『 ライラプス 』をフレンド登録しますか? 】と書かれている。
「こいつぁ……まぁ、せっかく会えたんだしな。」
「そうだな。」
俺もライラプスも頷き、互いの名前の下に書かれていた『 はい 』のボタンをタッチした。
同時に【 登録に成功しました 】のメッセージが表記され、自分の【 ステータス 】にある
【 フレンド 】の欄の1番上に『 ライラプス 』の名前が登録されていた。
「これで良しっと……」
「本当に世話になった!今度、俺の方でも移動できる手段をちゃんと確認できたら、また遊びに来るよ。」
「それまでバイバイなの!」
「おう。楽しみにしてるぜ。ライラプス、サニー。」
「御二人ならいつでも歓迎いたします。またいらしてください。」
互いに別れを告げ、ライラプスとサニーがゲートの向こう側に消えて行ってから
ゲートの横の石板に『 カラドリウス 』という見知らぬ土地の名前が浮かび上がったのは
それからすぐのことだった。
- 異世界ぐらしはじめます(ライラプス視点) ( No.20 )
- 日時: 2016/09/22 15:55
- 名前: ミヤビ (ID: WVvT30No)
『アイア○マンっていいよね。』
そうトンチンカンなことを言い出したのはライラプスであった。
異世界へ原因不明の転移をさせられるもどうにかスタート地点のある世界線へと戻って来たライラプス達。
扉は地下の空間にあったので、そのまま道沿いに風の感じる所へと向かい、
下水道へ出て柵をされた出口へと到達、横の通過用の扉があったのでそこから外へと出た。
どうやら向かっていたと思わしき都市(の麓)についたようだ。
都市はかなり巨大で、立地は崖付近までいっぱいいっぱいまで使ったもので、
恐らく立地に谷もあったのか、その空間を地下空間にし下水や旧式になっていた設備のものも見受けたので一時生活空間になっていたようだった。
正門は第一の崖を利用した長さ120mはあろう石橋に2人の見張りの兵、
門はまるで3階建ての建物はあろう巨大な赤い鉄の外開きの造り。
旅の者と言い、武器は携帯していたが狩人と言い、
携帯していた武器を預け代わりに預け札というまあ番号のついたもので、
出る際に返すと火薬も帰ってくるものだ。
湿気ないようにそこはしっかり管理してくれているようで助かった。
中は門から入るとそこは城下町のエリア。
武器屋や薬屋、宿屋に合成所や鍛冶屋、革屋に仕立屋と随分と揃っている。
ただ並びは縦横といった「原稿用紙」のように綺麗な並びではなく、
ぐねぐねと急カーブほどではないが緩やかなカーブを描いたような道の横や分岐点の正面に建てられたものだ。
所見ではまずこの町の見取り図を持っていないと迷うのは必然だった。
つまるところ4ブロックあるこの都市の1ブロックだけでこれほど迷ってしまうくらいの広さを持った所ということだ。
そんなライラプス達は正門入ってすぐの広場にあったオープンテラスのあるレストランで休息をとっていた。
『まあなぜそんなヒーローの名を言い出したかと言うとだな。』
『地味だから?』
認めたくはないがその通りだ。スキル「遮断」があるためそこまで苦労はしないが、
先日別のエリアへ転移したときのことだ。
暗黒騎士のアレンとの共闘した時俺は依然までは銃撃のみで対処していたことに比べ、
アレンは技を駆使し迅速に対処していた。
これは俺の引き出しの少なさ故に見栄えが悪い、つまる所この銃さえあれば特に一般の兵は問題ない。
だから今後、クエストをこなしていくには「俺にしか出来ない」と思わせるような力が無ければならない。
『俺は銃でなんとかしてきた、だが銃撃で対処できないような敵が現れた時、
対処できる手数は多く持っていたい。そこで今後は武器の製造またはカスタム、
まあ戦闘力の強化につながるような活動をしていこうと考える。』
『具体的には?』
『まだ考え中。』
前バージョンの時はドロップする素材や発掘していた物を使い、
あるいはオーパーツや聖骸をベースに製造をする。
だからクエストの報酬等で強化をしていた。
『とりあえず、こんな所だから何かあるだろう。傭兵所や集会所とかなんか探そう。』
『なんか難しそうな話してるねえ。』
そう言って注文していた料理を持ってきてくれたのはディアンドルのような服装をしたウエイターの女性だ。
『まあ仕事を探していてね、狩りはできるからそれを活かせると良いなあって。』
『それならギルドだねえ。』
コトッコトッと上品に皿をテーブルに置きギルドを勧めてくれる。
『ギルドですか、それは良いですね。どこにありますか?』
『ならまずは・・』
ウエイターの女性が指した方向には掲示板、どうやらクエストにもランクがあるようだ。
『あれの狩クエストを3件クリアすれば推薦してやるよ。
あ、じゃあ自己紹介だね。あたしはバネッサさよろしくな。』
『ライラプスって言います、この子はサニー。』
握手と言う名の握撃を受け手をヒリヒリさせた後、
バネッサは次のメニューの運搬に戻りこちらは食事を始める。
『で、受けるならゴブリンやオオカミあたりを狩るの?』
『いや、そんな単純な奴じゃないはずだ。恐らく裏ステータスのようなものがある。
狩った獲物にもランクはある、考えてみろ、雇うのなら小物を狙うやつと大物を率先してやるやつ。
つまりそれだけの腕前を持つ者が欲しいだろう。そしてそんな小物をふるいにかけるなら、
フェイク、つまり簡単そうで難しいクエストがあるはずだ。サニー、分かるか?』
『ンクンック・・・ぷへ。では薬草か何かの回収に紛れて危険なモンスターがいるクエスト、
もしくは護衛任務なんてどうでしょうか?』
なるほど、言明されていない物のために本来はランクが上の任務。
『それでいこう、サニー。食事のあと掲示板のチェックを頼む。』
数分し食事を終えたサニーは椅子からピョンっと降り、小走りで掲示板まで見に行く。
その間にライラプスの脳裏をよぎるのは技、剣撃ならいくらか考えは付く、
だが銃撃は本来戦闘能力が皆無の人間が手軽に使えるもの、
だから最低限「撃つ」ことが出来れば問題ない、
だから技となると限られる、斬撃を混ぜた銃撃か、属性を付与したもの。
『この2点か、ここまで戦って技が習得できない所を見ると自分で編み出すようだな。』
最悪の場合は、対プレーヤー戦かで「第二のスキル」を使わざるを得ない可能性も出て来る。
これは傷を負う可能性が多いからできれば使いたくない。
『見て来たの!』
そう言って椅子をよじ登って座り3枚分の依頼を書いた紙を持ってくる。
掲示している横に同内容の紙がパンフレットのようにかけてある。
『なになに?要人警護と幻の岳の採取、最後は・・・無くし物の捜索?』
『まず要人警護で隣町まで行って近くの森で採取、そのあとは同エリアで無くし物の捜索。
最短でいける素敵チョイスなの!』
そう言っている内にバネッサが来て
『なるほど、まず準備運動かい?狩りが得意なのにモンスターを選ばないとはねえ。』
『いえバネッサさん、サニーが俺の意図を汲んでチョイスしてくれたんです。』
ライラプスは人差し指を立て。
『これ、他のと比べて茶色く変色している、要人警護で使いまわすにしては依頼者が同じ、
依頼者がまだいるのには依頼を破棄しないのには理由がある。』
次に中指も立て
『次に幻の岳という曖昧であるかもわからない物を依頼として出すには存在が確認されたものだから受けた。
と思いたいが場所がこの森のどこかは書いていない。』
さらに薬指も立て
『さらに無くし物の捜索、詳細が書かれておらず受けた後に本人から聞く、
そう簡単に断れない仕組みだ違約金を払わされるからね。』
ゆっくり腕を机に下ろし
『以上の推測が正しいならこれは罠、注意深いやつならこれはまず受けない、
ふるいにかけるためのダミー、考察力がある人間を落とさないようにする仕組みかな?
だがもし、もしこの罠すら退ける腕を持つ者がいたなら、今までクリアしていないこのクエストを、
分かった上でクリアする者はどれほどの勝価値があるか。』
バネッサは少し笑い
『あんたら深読みし過ぎだよ、そんな深い意味は・・』
『いや、ある。俺が選んだんじゃあない・・サニーが選んだんだ。
サニーの「解析」を持ってすれば暗号なんて効果は意味を成さない。』
バネッサは驚き顔を近づけ
『あんたら、もしかしてプレーヤーかい?』
『いや、俺だけですよ。サニーはスキルを持ったこの世界の住人です。』
バネッサは真面目な顔つきになり、首でこっちへ来なと合図をライラプスたちにし、
店の扉を開け裏口へと入れる。
『あたしとしてはあんたらを合格にしたい、だが規則はあってね。
1つクエストを依頼したい。それで1発だ。』
『いや、気持ちは嬉しいけどあの依頼はほっといていいのか?』
『あれは確かに依頼されたものだ。けどね、もう依頼者は居ないんだよ。
死んじまったんだよ、護衛対象は道中で、幻の岳は毒があり食して、
最後に無くし物は、あたしの妹さね。』
じゃああれを受注してもそもそも依頼者がいないってわけか。
『どういう事かなサニー?』
『ん?いるよ依頼者の人たち、そこに。』
少し冷や汗を掻き部屋の窓から覗く
2つの人面相
『でたあああ!』
『あ、まあ結構慣れるもんだよここで依頼したのに失敗したらねえ。』
バネッサさん結構肝が据わってるよね。
『それで依頼はなにをするなの?』
『まずはこの遺骨の入った箱を隣町まで、こっちのは近くの森幻の岳付近へ、』
依頼はこれのことだったのか。
つまり故郷へ埋葬するのと幻の岳付近に埋葬すること。
『いやなんで2つめは自分を殺した岳まで?』
『遺言だとさ。まあ即死だったのになぜ遺書があるかわからないけど。』
遺書の文字は何故かシミのような字体だった
『霊体が書くとこうなるんだ。』
『で、最後に捜索するのは・・・あたしの妹の遺体さ。』
見つかっていない?それなのになぜ死んだと。
『帰ってこない理由はだいたい決まっていてね。どれも生きていることは無かったさ。
生贄にされるかモンスターに襲われるか。奴隷には向かないからね。』
『そこまでにしましょう。その以来受けました。
ただそれを受けた後ですが、その依頼は片づけるのですね?』
『いや、2つはダミーとして置いとくよ、これはこれで結構どうにかなるもんさ。』
少し時間を置き、ハッと先ほどの言葉を思い出す。
『そう言えば先ほどプレーヤーと言いましたね?他にも?』
『ああ、数人いるよ。ほとんどギルドにいるからねえ。』
どうやらようやく情報を手に入れれそうだ!そう思って忘れていたことを思い出し
『あと泊まる所を探しているのですが。良い所ありますか?あと図書館とか。』
『図書館はまだ使えないねえ、それなりのランクがないと先のゲートを通れないよ。
あと泊まる所かい?それなら良い所あるよ。』
- Re: 異世界ぐらしはじめます(レックス視点)act4 ( No.21 )
- 日時: 2016/09/22 22:12
- 名前: ka☆zu ◆RfyqxjRpsY (ID: pNfZbSQl)
act4 拠点を作ろう
僕達は、鉱山を抜けてからまた、情報を集めた街に戻ってきた。
拠点を見つけるため、近くに空き家や廃墟が無いか探していたんだ。
そうして話を聞いてみても、あまり良い情報は得られなかった。
やっぱり、都合よくある訳はないね。
だから目的を変えて、武器の強化施設に向かった。
鉱山で手に入れたオーパーツ、聖骸をトンファーに合成するためだ。
ボルト曰く、「こう言うのは手製の作業台でやって良いもんじゃねえんダ」とのこと。
歩いているとそんな施設を見つけたので、僕達はその中へ入っていった。
施設の中には、大きな壺やかまど、様々な植物があった。
武器を作るのが鍛冶屋なら、強化するのは魔力によるものなのだろう。
壺の隣に書いてあった説明書きに従い、聖骸とトンファーを壺に入れて、下にあるかまどに火をくべた。
すると聖骸が溶け始め、纏っていた赤いオーラがトンファーに吸収されたようだった。
それを手に取ってみると、握るだけで力がみなぎる。
どうやら効果は、単純に攻撃力の増加だったみたいだ。
その後は視点を変え、建築資材を探す事にした。
僕らの世界の古代モンゴルでいうゲルのように、移動できる拠点にする手もある。
加工された木材なんかが売っている店を見つけ、そこに入った。
その店で、僕達は珍しいものを見つけた。
「何だこレ?植物みてえだガ・・・」
「これは・・・竹?」
「知ってんのカ?レックス」
「うん。僕の元いた世界で住んでいた国でよく見た植物で、丈夫でよくしなるんだ。」
そう言うと、ボルトは目を輝かせた。
「そいつぁ、最高じゃねえカ!拠点だけじゃなくて、武器や防具、生活用品なんかにも出来るナ!」
僕達は満場一致でそれに決め、何本も竹を買って店を出た。
僕達は、最初に僕が目覚めた草原に行って、竹の加工を始めたんだ。
長さを計って穴を開け、そこに別の竹を通す、と言うのを繰り返す。
必要な部屋を分ける壁も作って、床を敷く。
綺麗好きなボルトのアイデアを聞き、風が電気の能力をチャージするとお湯に変換するシャワーを作った。
そして、動くというアイデアを参考に、家を載せて動く台車を作った。
タイヤやシャフトとかの機械部分は鉄で作ったけど、心臓部は竹の籠で包んである。
動力には、あのモーターの一つを分解して構造を理解したボルトによって、量産かつ大型化されたものを使った。
ちなみにタイヤやシャフトは僕の担当だ。
伊達に工業高校生やってないよ。
すると、目の前に石像と、何かを置けそうな台が現れた。
僕らはそれを、たまたま余ったスペースを囲った部屋に置き、石像の模様に似ているからと台に転送石を置いた。
すると部屋の中に、リング状のゲートが開いた。
これで、探索エリアが広がったわけだ。
と浮かれていると、拠点がモンスターに包囲されていた。
「成る程、拠点が襲われる場合もあるんだね。」
「防衛戦ってわけダ!」
僕はトンファーを握る。
二度目だが、なぜか力がみなぎってくる。
「双角乱撃!」
連続攻撃に重きをおく攻撃でさえ、一撃一撃で雑魚を蹴散らしていく。
聖骸の力は、相当計り知れないようだ。
統率者と思われる大型のモンスターが業を煮やして襲いかかってきた。
僕はトンファーの先端が赤熱しているのを確認して、突きかかった。
「灼熱鋼鉄拳!」
その統率者ですら、一撃で仕留めてしまった。
「強い・・・」
「これなら、今までよりも強い敵が襲ってきても何とかなるナ!」
その後僕達は、出来立てホヤホヤの竹で出来た拠点で、ゆっくり休んだんだ。
プレイヤー「レックス」
レベル20
武器スキルランク3(トンファー)
種族「英雄」
クラス「弓兵」
職業「義賊(オリジナル)」
オリジナルスキル「拡縮(物の大きさを自在に変えられる)」「疾風(風の力を借りて防御力と引き換えに、スピードを上げる)」
武器「トンファー」「ボウガン」
仲間1「ボルト」
レベル26
武器スキルランク4(バトルスパナ)
種族「人外」
クラス「死兵、アンデッド」
職業「武器職人(オリジナル)」
オリジナルスキル「工房(目の前に、その時に必要な物の作業台を出現させる)」「???」
武器「バトルスパナ」
本人の属性「電気」
弱点「毒と炎に弱い」
- Re: 異世界ぐらしはじめます ( アレン視点 ) ( No.22 )
- 日時: 2020/05/14 13:19
- 名前: 柔時雨 (ID: lU2b9h8R)
No.06 〜 地面の中からこんにちは!どうも、元気な屍です 〜
ライラプス達を見送った翌日、俺とシルヴィアは西の果てにある『 ミュンヘル墓地 』を訪れていた。
「この辺りは墓石しかねえのか。」
「近くの町で亡くなった人達を、そのまま1ヶ所に集めたという感じですね。」
「そういや、ここの宗教概念ってどうなってるんだろう?ゾンビやスケルトンが居たから
火葬じゃなくて土葬なのか……ん?」
そんなことを考えながら馬を歩かせていた時である。前方の地面が大きく盛り上がり、人の手が現れた。
「何だ。またゾンビか……」
「お待ちください、主様。何か……様子が変です。」
「え?」
前方で地中から這い出してきたゾンビ……
見える肉の部分は血の気が引いて青白く、髪も色素を失い白髪のそいつは
近くにあった墓石に腰を掛けると、ズボンのポケットから煙草を取り出し……
マッチまで使って器用に火を点け、呑気に一服を始めたのだった。
「……っはァァァァァァァ!久々の娑婆の空気は上手いぜェェェ………あん?」
ふっと、ゾンビと俺達の視線が合った。
「………何だ?お前等も欲しいのか?1本イっとく?」
「いや、いらない。」
「私も……使用したことすらないので、遠慮させていただきます。」
「そうかい。」
「……っていうか、お前……ゾンビだろ?火なんて使って大丈夫なのか?」
「あァん?大丈夫じゃねェよ。煙草を吸う時はいつだって命懸けだぜ。
まァ……もう既に1回死んでるんだけどな。ギャハハハハハ!!」
ゾンビはそう言って陽気に笑うと、手にしていた( まだ箱に中身が残っている )煙草とマッチを
前方の枯れた草むらに投げ捨てた。
「まァ、別に吸わなくってもいいんだけどな。生きてた頃の習慣っつうのか……そんな感じだ。」
「私、こんな豪気な性格のアンデッド、初めて見ました。」
「俺も……しかも、こんな流暢に言葉まで話して……」
小声で話していたのが聞こえたらしく、ゾンビがそのまま口を開いて言葉を続けた。
「まァ、オレは特別なんだよ……えっと、アレだ!奴隷として扱われてねェ
自由な死体だと思ってくれ。」
「奴隷……?」
「……おいおい、兄ちゃん。もしかして、ゾンビって何なのか……知らなかったりするワケ?」
「ん?アンデッドモンスターだろ。」
「先日も討伐するのに苦労しましたね。」
「討伐って……あァ、あんた等か。地獄へ落ちる下級なゾンビやスケルトン共が愚痴ってたなァ。
『 変な人間とエルフに討伐されたー! 』……って。」
「それは、あいつ等が人間に危害を加えようとするから……」
俺の話を聞きながら、ゾンビは溜め息を吐く仕草を見せる。
「まァ、スケルトン共はともかく、ゾンビはもうちょっと丁重に扱ってくれねェか?
あいつ等ってよォ……ゾンビ共な?あいつ等……死んだ後、奴隷として働かされてるんだよ。」
「さっきも奴隷って言ってたけど……え……?あいつ等って、腐乱死体なのは知ってるけど
元は何かよく解らない研究の事故によって、空気中に散布されてしまったウィルスに
感染した人達じゃないのか!?」
「兄ちゃんこそ、何ワケのわかんねェこと言ってんだよ。違う、違う!
やっぱり、ゾンビの事知らなかったかァ。」
「うぅ……すまん。」
この反応……流石に俺と同じ世界の住人なら、ゾンビゲームの概念の1つや2つは持ってそうなのに……
じゃあ、こいつもプレイヤーじゃなくって、シルヴィアと同じタイプってことか……。
「良いって!誰にだって知らねェことはあるからよ。えっと……何っつったかな……
すまねェ、オレも脳みそ腐ってて記憶が曖昧なんだけどよ。」
「「その自己申告はいらない。」」
思わず声を重ねてツっ込んでしまった俺とシルヴィアにはお構い無しに、ゾンビが言葉を続ける。
「名前は忘れちまったが、とある呪術師共がよォ、墓から腐り始める前の死体を掘り出して
その後、何やかんやして死体を動けるように……つまり、ゾンビにするんだよ。
で!そうしてゾンビにされちまった奴は使用人として農園とかに売り飛ばされちまって
未来永劫働くことになるってワケよ。」
「では、先程、『 地獄に落ちた 』と言っていたのは何なのです?」
「んァ?あァ……そいつ等は呪術師に操られてねェ、ただの腐乱死体だ。
いや、起き上がった時点で誰かに操られてるのか……?」
「要は奴隷目的とは違うけど、何らかの方法で生き返った腐乱死体ってことだろ?」
「なるほど。先日のドラゴンゾンビのように、悪霊が憑依したパターンですか。」
「あァ、うん。大体そんな解釈でいいぜ。」
「で……貴方は?奴隷として扱われているとは到底思えない……しかし
他の者にも操られているわけでもない……」
シルヴィアがジッとゾンビを眺めていると、ゾンビが痩せこけた青白い体で
ボディビルダーのように、一々ゆっくりとポージングを開始する。
「オイオイ!あんまりジッと見つめられると照れるぜ、姉ちゃん。
俺はよォ……ゾンビでありながらジャック・オ・ランタンでもあるのさ。」
「……言ってる意味が解んねえんだけど……ジャック・オ・ランタンって……あれだろ?
カボチャ頭の……」
「主様。ジャック・オ・ランタンの頭はカボチャではなく、カブです。」
「えっ!?ウソ!?」
「ギャハハハハハ!!兄ちゃんはちょいと、アンデッドモンスターの勉強をしたほうがいいかもなァ!」
ゾンビに馬鹿にされた……自分で脳みそ腐ってるとか言うような奴に馬鹿にされた……
「昔よォ、悪魔をも騙したジャックって野郎が居てよォ、そいつがまァ、言葉巧みに悪魔を騙して
『 自分が死んでも地獄に落ちない 』って契約を交わしたのさ。」
「そして、その契約は見事に守られ、生前悪事を繰り返していたジャックですが
死んだ後、地獄に落ちる事はありませんでした。」
「ところがだ!物語はハッピーエンドで終わらない。生前、散々悪事を繰り返してきた野郎だ。
当然、天国になんて入れてもらえるワケもなく、かといって地獄に入れるワケもなく
仕方がねェからジャックの魂はカブに憑依して安住の地を求め、永遠に彷徨ってるってワケさ。」
「ちなみに、ジャックの持つランタンの炎は、ジャックに言いくるめられた悪魔が投げつけた
地獄の炭だという話もあります。」
「なるほど……よぉく解った。」
やっぱり、他種族のことは他種族に聞くのが1番だな。
「……ということは、お前も天国にも地獄にも行けない魂ってコトか。」
「そういうコト!まァ……オレも生前、悪魔とくだらねェ取引をしちまったってワケよ。
他にも『 金が無かった 』って理由もあるんだけどな……。」
「その割には、あまり悲しそうに見えないのですが……」
「あァ?まァ……アレだ。人間、いっぺん死んじまうと、もう何も怖くねェっていうの?
地獄の罪人みてェに泣いて喚いたところでオレの場合、天国や地獄に行けるワケでもねェんだし
だったら、出来る限りこの永遠のように続くクソみてェな時間を笑って楽しく過ごしてェじゃん?」
「ふふっ……面白い奴だな、お前。そういや、自己紹介がまだだったな。
俺はアレン、種族は【 英雄 】、クラスは【 暗黒騎士 】だ。」
「私は主様のパートナーを務めるシルヴィアと申します。種族は【 自然 】
クラスは【 ダークエルフ 】です。」
「おうおう、随分禍々しい連中が来たもんだなァ!おい!」
「「お前が言うな。」」
「ギャハハハハハ!!違ぇねェ!オレの名は『 マウト 』!
種族ってヤツは【 人外 】、クラスは【 リビングデッド 】だ!!」
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