ダーク・ファンタジー小説

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(自由参加小説)異世界ぐらしはじめます(祝!閲覧1000!)
日時: 2016/11/01 22:50
名前: ミヤビ (ID: WVvT30No)

(紹介前に総合掲示板の雑談掲示板に「異世界ぐらしはじめます 雑談所」を設けました!お気軽にお聞き下さいませ♪Twitterにて基本活動しておりますので急ぎでしたらTwitterまで!)

はじめましてミヤビと言います。

異世界ぐらしでは中世チックなフィールドを好きなように駆け回り。
共闘するもよし自分で国をつくるもよし。
自分ならこうすると言ったことを書いちゃって下さい。

これはリレー小説形式で。
参加型の小説です。全てが正規ですべてが外伝であるこの世界にようこそ!

では下記に簡単な説明を乗せておこう。

また、【あくまで楽しむことを前提に】書いて下さい。
マナーを守り規則正しいもう一人の自分を小説で動かしましょう!

【異世界ぐらしはじめます】設定資料

世界観設定

【属性】

〔英雄〕基本人類のクラス、技術スキル高 基本値低
〔人外〕魔物相当のクラス、特殊スキル高 致命的な弱点有
〔自然〕精霊とかのクラス、保持スキル多 異常体勢低

【能力、職業】

能力

先天性、後天性のオリジナルスキル。

ストックは2まで。
強力な能力であればデメリットも付属させる。


能力(時を3秒止める)デメリット(次発動まで3時間チャージ)


職業(有利→不利)

〔英雄〕騎士→弓兵→魔術師→
〔人外〕死兵→呪士→死霊使→〔自然〕巨神→獣人→エルフ→

職業はオリジナルスキルの関係上でオリジナルの職業の作成可


能力(竜属性の召喚)職業(竜騎士『騎士』)

【武器】

武器や技術は中世17世紀ちょっと先程度、よくて蒸気機関までが好ましい。
(無論新型でボルトアクションのライフルから有線電気機材は可、
ただ量産する技術、発展途上の技術に留める)

【世界観】

世界が1度、人類文明が滅び再び現文明まで築き上げて17世紀。
過去の遺跡・遺産から可能な限り再現可能なものを生産しまた1から作り上げた物を使って
レンガ造りの建物や紙の作成。現歴史までなかった生命に宿る超能力『魔導力』によって可動する
乗り物や工具を作り。世界各地には『神殿』や『城都市』といった文化が確立されていった。

世界にはいくつかの大陸と無数の島があり、
上陸してすぐ山道を登ってはハルピュイアやマンドラゴラと遭遇する島もあれば
果てしない雪の平原で巨大な生物や奇妙な知的生命体に襲われる所も、

この世界で生き残ることは出来るか・・・


(参加者の視点)
あなたは普通の現実世界では人気ゲーム「ワールドレコード」をプレイしていたゲーマーで、
特殊ソフト(3DCG作成ソフト等)を使えば、自分好みの見た目をつくれたりする狩猟を目的にした
一大娯楽として確立されたゲームで早7年。
発信元の大企業『ノア』現社長『イズミ』はユーザーの期待に応えるべく。新技術の投入によって現ワールドレコードは
全く新しいゲームに生まれ変わると宣言。

同時刻、新デバイス『スフィア』と呼ばれる掌サイズのマウスの形のした機械(子機)を発売。
これと連動することで新感覚の体験ができるとのこと。

それを使うと一瞬白い閃光に包まれたと思ったら。
なんと自身が作成したキャラクターになっていた。

だが世界観は全くの別物。
土地勘無し、お金なし。ログアウト画面無し。
あるのは以前のステータスとスキル、アイテムのみ。

一応地理は現実世界の配備で問題なし

スタート地点は自由。
国を創るも奪うも自由。
この世界に入ったプレーヤーはここの住人となって元の世界に帰る方法を模索あるいは
世界征服を目論むことも自由。

* * * *

御用の方は下記まで御連絡下さい
(質問・感想お気軽に)

https://twitter.com/miyabi_virossa(ミヤビアドレス)

https://twitter.com/yawashigure(柔時雨)

異世界ぐらしはじめます(レックス視点)act7前編 ( No.48 )
日時: 2016/11/04 01:29
名前: ka☆zu ◆RfyqxjRpsY (ID: pNfZbSQl)

act7 エルフの王と姫君ハーミア





「送信完了っと」
アレンさん達に送った物の、その後がメールで送られてきたよ。
「送信されたメールとプレゼントは、無事「ヴァイナー大陸」、プレイヤー「アレン」に送られました。」
それを確認していると、後ろから鼻歌が聞こえた。
振り向くと、ボルトがバトラーとの戦いで破れたツナギを直していた。
(そういえば、ボルトのツナギって、何で出来てるんだろう・・・?)
僕はそれの素材が気になって、聞いてみることにした。
「そのツナギ、どんな素材なの?」
「中身は綿だが・・・表面はカエルの皮だナ。防水効果があるんダ」
「カエルの皮でそんな耐久力なんだね、凄いよ」
「何だと思ったんダ?」
「いや・・・またこの世界に無いはずのものだと思う・・・」
まあ、僕もよく知らないんだ。
どんなものなのか、ね。



「T/C繊維でしょうか」
ふいにバトラーが言う。
「何だそレ?」
「何で知ってるの!?てか何それ?実は僕もよく知らないんだ。」
僕らが言うと、バトラーが説明してくれた。
「T/C(タイロン/コットン)。綿とポリエステル生地を35/65の割合で合成した、合成繊維の事です。綿特有の着心地と、ポリエステルの耐火、耐水性能を持った、良質の繊維ですね。」
そこまでは流石に知らなかった・・・
バトラーは、どうやらゲームの外の世界にも詳しいみたいだね。
「ただ、ポリエステルに関しては、調達は無理と考えて良いでしょう。何か代わりの素材を探す必要があります。どうやらこの国は、他国との貿易も王が全て行っているようなので、流通情報を聞いてみるのがよろしいかと。」
って事で、町の北にあるお城に向かう事にした。



そして数分で西洋式のお城「ポロニアーナ城」に到着した。(今まで言ってこなかったけど、どうやら町はそのまま「ポロニアーナ城下町」、最初からよくいる平原は「ミラーノ平原」、盗賊と出くわした森は「ヴェルガモーレの森」、オーパーツを手に入れた廃坑は「ピサロ鉱山」って名前らしい。つまり、今まで僕達が冒険してきた世界は、ポロニアーナ王国の領地の中でしかなかったんだ。)
城門に着くと、門番に用件を聞かれた。
「ご用件は?」
「この付近に住んでいる者で、ある物の流通についてお尋ねしに来ました。」
「かしこまりました。謁見を許可します。王の前では、粗相のなきよう」
門番の言葉にはいと答え、僕達は城内に入っていった。



玉座の間に入る。
光と共に、荘厳な声が響く。
「私に用のある住民とは、其方らか」
「はい。ミラーノ平原に住んでいる、義賊のレックスと言う者です。繊維系の素材の流通について聞きにきました。」
僕がそう言うと、王様らしき声がこう聞いてきた。
「義賊か・・・それにその武器・・・一つ聞かせてくれ」
「はい。何でしょう?」
「其方・・・プレイヤーか?」
「・・・はい」
正直に答えるべきか迷ったが、信頼を得るには本当の事を話そうと思い、自分がプレイヤーであると明かした。
「そうか・・・久し振りに会う事が出来た・・・私のスフィアも数年ぶりに輝いている」



そう言うと影になっていた玉座に光が届き、豪華なガウンを纏った、厳かな顔の男性エルフが出てきた。
顔から察する限り、壮年だろうか。
豪華な衣装の胸の部分に、青く光るスフィアが取り付けられていた。
ふと見てみると、僕の腰についていたスフィアも青く光っていた。
「という事は・・・王様も!?」
「ああ。我が名はオーベロン。属性は「自然」、クラスは「ライトエルフ」。職業は「国王」。以前は「賢者」をしていたがな。してレックスよ。其方の事、そして仲間達の事を教えてくれぬか?」



ポロニアーナ王国の王、オーベロン様の命に、僕は答えて自己紹介をした。
「はい。僕はレックス。属性は「英雄」、クラスは「弓兵」、職業は「義賊」です。」
次にボルトを指して、
「彼はボルト。属性は「人外」、クラスは「死兵、アンデッド」、職業は「武器職人」です。」
そして部屋のサイズに合わせてボルト位に縮んでいたバトラーを指して、
「彼はバトラー。属性は「自然」、クラスは「巨神、ドラゴン」、職業は「執事」です。」
「私は正確にはパーティメンバーではなく、あくまで「使用人」でございます。」
僕の紹介に補足する形で、バトラーはオーベロン様に言う。
「僕達は現在、この三人で生活しています。」
「そうか。三人ともよろしく頼む。」



「してレックス、其方の言う繊維の事を聞かせてもらおう」
その声に、僕は嬉々として答えた。
「それでは・・・・・・僕達は、耐熱、耐水性を兼ね備えた布素材を探しています。」
「性能の高い布とな・・・?どんな理由で必要なのだ?」
僕は、さっきバトラーが言っていた事をオーベロン様に話した。
「成る程な・・・ではポリエステルの調達が出来ないので、代わりの素材を調達したいと」
「はい。城下町の市場でステンレス合金を見つけたので、もしかしたらと思ったのですが・・・失礼いたしました。」
頭を下げた僕に、オーベロン様が言う。
「いや待て。耐熱と耐水、それぞれを別の素材で補うというのはどうだ?その素材さえ見つければすぐにでも流通させられるかもしれん」
僕達はバトラーを見る。
彼は何かを考え込んで、こう話した。
「そうですね・・・耐水性は巨大なカエル、「フロッグランパ」の皮を使ってはどうでしょうか?耐熱性の方はまだ思いつきませんが、かのカエルの皮ならば、どんな酸性の雨でも溶けず、どんなアルカリの液体でも痛まないこれとない素材かと思われます。しかし問題が一つ。奴は湖の底に巣くい、戦いを挑む者にも水中戦を強いるそうです。また、水中では桁違いのスピードを誇り、更に水から上がると氷のブレスと、炎の魔法で襲ってくるとか。今挑んでも、一筋縄ではいかないでしょう・・・・・・」
それを聞いていたオーベロン様が、何か閃いたようだ。
「それなら、その氷に耐えられる防具は何とかなるかもしれん。それを作る素材までだが・・・」
「そんな素材があるのですか!?」
「今から作るのだ。これでもここに来る前は、金属加工会社の社長をしていたからな。」
「助かります!」
それに感化されたのか、ボルトがこんな事を言う。
「なら、その防具は俺が作ってやるゼ!バトラー、それどんな構造が良いんダ!?設計をやってくれヨ!」
「かしこまりました。ならば私の知識を持って、設計のお手伝いを致します。」
こうして、僕ら四人の作戦は始まった。



「そう言えば、素材は何にするのですか?」
「強い魔力の込められたこの世界ならではの金属、「マジックインゴッド」と、耐寒性の高い鉱石「スノーストーン」だ。」
「そんなのあるんですか!?」
「ああ。丁度城の地下でその元の鉱石が発掘されてな。精製すれば中々の質のインゴッドが出来るぞ!高い魔力は、魔法の力そのものを遮断できるのだ!」
「えっ・・・お城の地下で・・・?」
「さっき私の過去の職を話しただろう。この一帯でも特に大きく、発見されていないのか手つかずだった大鉱山の上に城を建て、その麓に城下町を造っただけだ。地下には大きな精錬所もあるぞ!」
それを聞いて、僕達はオーベロン様の先導の元、地下に降りて行った。



「これは凄い・・・・・・」
「城の地下にこんなデカイ精錬所があったのカ・・・」
「ハハハ!作業のし放題だぞ!」
「これなら何とかなりそうですね」
作業としてはこうだ。
まず、ボルトにシャベルを作ってもらい、僕とバトラー、城の兵士さん達で沢山の魔鉱石(マジックインゴッドの材料)とスノーストーンを掘り出す。
そしてその間に石炭で温めておいた鎔鉱炉に、その魔鉱石を放り込む。
そしてオーベロン様の指示のもと、何度も精錬を繰り返して大量の上質なマジックインゴッドを作成。
そこからバトラーの作った設計図を基に、ボルトが形を整えて仕上げ、紫を基調に水色が入った兜と鎧、レガースに小手、ブーツが一式出来た。
重装備が出来ない僕の為に、ボルトが材料二つを組合せてお守りも作ってくれたよ。



それで僕達は、フロッグランパの住むという森の奥の湖、「ベローナ湖」に来ていた。
僕はさっきのお守りを、ボルトは防具一式を装備している。
僕の手にはトンファー、ボルトの手には大きなスパナ。
そして杖を持ったオーベロン様と、何人かの護衛の兵士さん。
みんなで湖に行くと、唸り声がして、目の前にイカダが現れた。



そして、青い身体をして、口元に白く豊かなヒゲを蓄えた巨大なカエルが湖から出てきた。
そいつは高らかに鳴くと、再び湖に潜って、すぐに僕達のイカダに下から突進してきた。
イカダは壊れて、僕達は湖に投げ出された。
そしてすぐに岸に上がると、僕はボウガンを構えた。
そして影が通るタイミングを見計らって、撃つ!
「ラッシュアロー!」
何発か放った矢が、その内数発外しつつも確実にカエルにダメージを与える。
それでも倒し切る事は出来ず、勢いよく飛び出しつつ冷気のブレスを吐き出した。
でも、僕達には防具がある。
鎧やお守りに込められたスノーストーンが、冷気を遮断してブレスの威力を弱めてくれた。
その隙にスキルを腕にかけ、水に飛び込む前に矢を撃ち込んだ。
「ウィンドアロー!」
風を纏った一本の矢が、大ガエルの腹を貫いた。
カエルは血を吐きながらも、足掻きながら叫び、炎の魔法を撃ってきた。
僕達の防具は、それの魔力自体を吸収して、無効化してしまった。
そしてオーベロン様が魔法を放ち、湖に逃げた大ガエルの退路を塞ぐ。
「グランフレイム!」
特上級の炎魔法が湖の水を干上がらせ、特に深かったところが水溜りとして残るまでとなった。
大ガエルは狼狽える。
ボルトがスパナを振り上げ、そばの水溜りに打ち付けた。
「ドロップサンダー!」
すると纏った電流は水を走り、大ガエルに直撃した。
そして大ガエルに、追い打ちの雷が落ちる。
堪らずに大ガエルは倒れ、その場には何かが入った皮袋が幾つか落ちて、それだけが残った。

異世界ぐらしはじめます(レックス視点)act7後編 ( No.49 )
日時: 2016/11/04 01:23
名前: ka☆zu ◆RfyqxjRpsY (ID: pNfZbSQl)

お城に戻って袋をみんなで開けると、大量の「王ガエルの皮」が出てきた。
確かにこれは、耐水性が高そうだ。
それを見て、オーベロン様が何故か伝令を上に向かわせた。
何だろうと思っていたら、伝令に連れられて、控えめなドレスを纏った壮年の女性が降りてきた。
その人もどうやらエルフみたいだ。
そして、その人も胸の辺りにスフィアをつけていた。
その人を見て、オーベロン様は言う。
「来てくれたか、我が妻ティターニア」
「オーベロン、またハーミアが服を破いたのね?全く、もっとあの子には頑丈に作らなければならないわね・・・」
「いや、そうでは無いのだティターニア。彼らに新たな服を仕立たい。生憎素材がそろっていないので、この素材を布にしてすぐに使える様にやって欲しい」
「そう言う事ね・・・それで、その子達は?」
ティターニアと呼ばれた人に、僕達は自己紹介をした。
「そう、私はティターニア。属性は「自然」、クラスは「ライトエルフ」、職業は「王妃」よ。以前は「傭兵」だったわね。」
「ついでに言うとこのティターニアは、ここに来る前はどうやら、かなり有名なデザイナーだったそうだ。」
それは頼もしい。
ティターニア様に加工をお願いしたあと、僕達は案内された部屋に移動して休む事にした。



僕達がくつろいでいると、廊下から怒鳴り声が聞こえた。
「お待ちくださいハーミア様!客人方は休息中です!」
「うるさい!いいから会わせなさいよ!大ガエルを倒した奴らに会ってみたいの!」
その声を合図に、扉が蹴破られた。
そして部屋に、鎧と一体化したドレスを着て、水色の髪を前に丸く纏めた少女がずかずかと入ってきた。
その頭には、ティアラが被らされている。
その少女は、僕達を見るなり叫んだ。
「アンタ達が大ガエルを倒した冒険者ね!あたしはハーミア!さあ今すぐあたしと手合わせしなさい!」
いきなり戦闘を仕掛けられたけど、夢の世界に落ちかけていた僕は返事が出来ず、そのままうとうと・・・
しかし、ボルトが止めに入ってくれた。
「悪いが、そっとしといてくれねえカ・・・まだ、その戦闘の疲れが癒えてねえんダ。お嬢さん、静かにしててくレ・・・」
しかし少女は逆上して言う。
「何よ!しけた顔にムカつく態度!しかもゾンビ!死臭にまみれたムカつく奴ね!」
「うるせエ!」
この辺で僕は寝てしまったから聞いてないんだけど、後でバトラーが言うには、二人は数時間口論してたらしいね。
で、丁度僕が起きた頃に、少女がボルトに掴みかかってきた。
でも、何か様子が変だ。



「・・・なに・・・?死臭も異臭もしない!てか妙に清潔・・・・・・」
少女がボルトの清潔さに驚いている。
それにボルトは胸を張って答えた。
「ったりめーダ!俺は武器職人!ゾンビだけじゃねエ!人間もエルフも、獣人も、俺のクライアントには沢山居るんダ!リピーターを増やす為にも、不潔でなんて居られるカ!」
それを聞いた少女が一瞬驚いた顔をして、その後一瞬だけ頬を染めたのを僕は見ていたよ。
そして顔を背けて、
「へえそう、ちょっ、ちょっとだけ見直したわ!今はほっといてあげるから、後で手合わせしなさいよ!」
そのまま部屋からダッシュで出て行ったよ。
「何だったんダ・・・」
ボルトは唖然としている。
彼は、中々に鈍感みたいだね。こういう事には。



その後十分に休んだ僕達は、再びオーベロン様とティターニア様の前に出た。
そこで、次の目標について話したんだ。
「あれから考えたのですが、耐火性の素材は、「アラクネの糸」がこの地域で採れるもので最上なのではと思います。」
バトラーが言う。
「成る程。この国でも最強の蜘蛛である奴の糸ならば、それに最適と。」
「そういえば女王蜘蛛アラクネは、火に対する耐性を持ってるそうね。確かに耐火性はありそう。」
「それなら話は早い!そいつはどこにいますか?倒して糸を採取しましょう!」
「そいつはだな・・・ぐっ!」



突然、地ひびきが起こった。
「何だ今のは・・・」
「国王様!オーベロン様!」
兵士さんが謁見の間に入ってきた。
「何事だ!」
「城下町に巨大モンスター接近!襲撃の恐れあり!」
なんと、町にモンスターが近づいているという。
「それは本当か!そのモンスターの詳細を!」
「主導しているのは、女王蜘蛛アラクネです!」
「アラクネだと!?」
なんと、噂をすればかのアラクネが町に近づいてきたわけだ。
向こうから来てくれたのは感謝するけど、町は襲わないで・・・
「直ちに迎撃を行うぞ!其方らも手伝ってくれ!」
「はい!」



町から平原に出る門。
槍や弓を構えた沢山の兵士さんが既に迎撃を行っていた。
でも進行は止められそうにない。
オーベロン様は大きな杖を、ティターニア様は立派な剣を構えた。
そして僕はボウガン、ボルトはスパナ、バトラーは両手に大剣。
「行くゼ!」
ボルトはスパークに跨り、先陣を切る。
アラクネの攻撃もかわしつつ、スパナで一撃かました。
けれど、流石に倒れない。
隙を見せたボルトに襲いかかる攻撃を、何処からか飛んできた鏡が防いだ。
「何ダ!?」
その先には、水晶の様な装飾の沢山ついた、大きな杖を持った少女、ハーミアの姿があった。
「何をしているんだ!」
「危ないから戻りなさい!ハーミア!」
オーベロン様とティターニア様が止める。
でも彼女は一心不乱に魔法で鏡を作り出し、撃ちまくる。
それを知ったアラクネは、どうやら標的を彼女に変えた様だ。
魔物の撃った糸がハーミアを捕らえ、アラクネがハーミアを捕まえてしまったのだ。
「ハーミア!」
「ハーミア様!」
「姫様!」
みんなが口々に叫ぶ。
一方、助けられたボルトは、
「ちッ!余計な事しやがっテ!」
と叫び、スパナに最大級の電気を溜め、スパークと共にアラクネに大きく振りかぶった。

「ドロップサンダー・改!」

Re: (自由参加小説)異世界ぐらしはじめます(祝!閲覧1000!) ( No.50 )
日時: 2016/12/09 16:43
名前: ミヤビ (ID: WVvT30No)

『随分下まで落ちたな。』

ライラプスは落下する時、岩肌に接触しないように自分の周囲にスキル「遮断」を展開、
そのおかげで擦り傷は免れたが所謂「鉄製の箱に入った状態で落下した状態」なのだから、
当然全身打撲状態。
アルトリウスの攻撃によってライラプスの足場が吹っ飛び、数メートル落下した。
どうやらここら一帯は地下の洞窟が多く岩盤一枚の下は空洞だらけということなのだろう。

暫く休みたいが食料はサニーの所だ、1日でも早く脱出しないといけない。
ライラプスはサニーとはぐれた状態で現在は岩肌だらけの暗い洞窟にいる。

装備は弾薬数発と銃剣グラマン一丁、
もう一丁はぶっ壊れて納刀すら出来ない上に先ほど打ちどころが悪かったのか機関部もイってしまっている。
ここまでくるとイチから新規で製造するのが賢明かもしれん上に今はお荷物となる。

『すまんな、ここに置いていく。』

悲しい気持ちを抑えそっと壊れたグラマンを壁際に置く。
手慣れた武器なだけに愛着はあった。

『見た目も結構好きだったしな。』

ゆっくり動くくらいしか出来ないが、上を目指して壁にもたれ掛りながら歩き出す。
岩肌はなめらかで滑りやすく、材質は鍾乳洞に近い。
落ちて来た穴から光が差す間はなんとか道なりに進めるがその内暗くなってきた。
暗闇に目を慣らすなんてもの無意味となる完全な暗闇の洞窟・・・思ったより長い距離あるらしい。

ふと合図に使っていたカンテラを思い出し、火を着け青い光を灯す。
ガラス製ではなく金属製のもので助かった。
ちなみになぜ青い炎なのかは実の所分かっていない。
なんせこれは前バージョンの時に作った物だから原理を言うならば「偶然の産物」、
原料もサッパリ・・結構長持ちするから今のところ問題はない。
前の時はアルコールというアイテムを補充するんだが、
アルコールというのは数種類あり今はそのどれを補充すれば良いか分からない。

『バッテリー式にすればよかったな。』

* * * *

そうこうしている内に道中に人工物であろうレンガか何かで造られた柱が所々出て来た。
見た所岩に潰されたのか柱は埋まっているというより砕かれた感じだった。

そして進んで行く内、次第にあまり見たくない光景が見えて来た・・・「行き止まり」だ。

正確にはやや斜め右に回頭するように配置されたレンガの壁、
通路天井は屋根のように三角の形をしているのだがその頂点の所は潜れそうな穴が空いている。
だがここを潜るには1つ覚悟しなければならない。

「荷物を捨てる」

そう、痩せ型の人1人潜れる程度の穴。パンパンのカバン1つ通すにはキツいサイズだ。
レンガなので砕けば広げれるが洞窟が崩れる可能性がある。
生き埋めになるのは勘弁願いたい。

そう、リアルマネーで買った弾薬製造キットを捨てるのは死活問題だ。
つまりその他、今まで備蓄していた鉱物を廃棄する。
これは良い。
では何が問題か?

火薬類である。

黒色火薬はこの時代にあるのだが現代銃器に使用される無煙火薬はまだ開発されていない。
ちなみに銃に黒色火薬は使われていた時代はあったがすぐススだらけになるので数発撃ったらメンテしないといけない。
長期戦には向かずマスケット銃や火縄銃のように数発撃つ程度のものしか使い物にならない。

つまり簡単に説明するなら
「あなたは無人島まで泳がなければならない、あなたはナイフと数発入った銃を持っている。
だが重すぎて以下1つしか持てない。何を捨てる?
1、浄水装置 2、食料 3、医療キット」
くらいにヤバイのだ。

『こんなことなら剣士か弓兵にしときゃあこんな悩まなかったんだろうな。』

だが仕方がない・・この道を進んだのは俺自身だ。
そんな中着信音らしき音と同時にメッセージが届く。
魔力か何なのか、空中にウィンドウが表示される。

『フレンド登録か。レックスね・・・きっとアレンからの紹介だろう。
元気にしてるかなあ。「急募!弾薬造れる奴ちょっとこい」的なスレでも建てればなあ・・・』

使い方が分からないのでとりあえずOKを押して返事をし、今は目前の問題を解決することにした。
・・・ん?フレンド・・・「個別」・・・

『・・・てか荷物を出して個別で潜らせりゃあいいじゃねえか』
問題はアッサリ解決した。

* * * * 

『いやー知能って素晴らしいね。』

額の汗を裾で拭い潜り抜けた穴を「見上げる」。
どうやらここは元建物の中のようで穴から床までは2mの高差があった。
やはり建物の天井は岩が突き抜け部屋の空間は少ししかなく、
さらに岩が突き抜けた床の隙間からは下層が見える。
滑り台のように下層へ降り民家らしき建物の中、さらに外へと通じる道を見つける。
見た所どうもここはよくある「時が経ち砂に埋もれた古代遺跡」というより、
「何か落石があったような壊れ方」をしている。
谷かそこらにあった町か国かが落石で滅んだ・・そんな風に思える。

『つまりこの洞窟は岩と岩の隙間が奇跡的に道になっているだけなんだろう。
文字もサッパリ、何世紀か昔のものだろうな。
ただそこらにあるのはなんだろう、岩か何かを加工しただけのように見えるが、
技術レベルは高い・・錬金に力を入れず技術に力を入れた民族。
よほど資源が貧しかったと見えるな。』

ただ恐ろしく丁寧な作りだ。金属の部類が見えないが加工の仕上がりはまるで機械加工のようだ。
電動研磨機やドリル無しで勾玉のような滑らかな造りだ。

暫く数件の民家を潜り抜け。最後に大きなピラミッドの通路のような階段に出て来る。
入口が階段の建造物に入ったのだろう・・・

しかも地下行きのだ。

『最悪の場合はここで使える物を探してさっき置いてったグラマンの所へ戻ることになりそうだな、
ほぼ道なりに来たとは言っても滑り降りたりと登りのが辛い場面が多かったから帰れず生き埋め状態になるかもな・・・。』

暫く3階分くらいか階段を降り、ほぼ現存された状態の広間に出て来た。
どうやら何かの生産場所のようだ。

『木と岩のハンマー、誰が持つのかデッケぇペンチ。加工場のようだな。』

持つ部分に木、接触部分には岩製のものと重量は人が扱えるように、出来るだけ木を多用したものが目立つ。
だが食器は陶器ではなく岩を加工したような物だった。
恐らく粘土が取れない岩場の所なのだろう、おかげで岩ばかりだから隙間に砂とかあまり入らず通路として空間が確保されていた。

『ま、骨がないのは救いかな。怖くてちび・・・まてよ?
「なぜ遺体の1つもない」?避難した?本当に?』

凄く嫌な予感がした、なんせここはファンタジーの世界。
今までこっちでは会ったことはないがいないとは限らない。

『さっさと出るに越したことはなさそうだな。』

Re: (自由参加小説)異世界ぐらしはじめます(祝!閲覧1000!) ( No.51 )
日時: 2016/12/03 04:25
名前: ミヤビ (ID: WVvT30No)

さきほどより広い所を見つけ、そこは外と近かったのか半壊状態であった。
ここに何があったかは分からないがどうも大型の物があったみたいだ。

あたりをカンテラで見渡すように照らし、落石の所・・やや上を見ると何かがある・・

『まるでロボットのような奴だな。かなりデカい。』

岩石のモンスター「ゴーレム」、ファンタジー世界ではなんてことはないが・・・
問題はそのクオリティ。材質は鉱物が混ざっているのかそこらの岩より頑丈そうな外装。
だがゴツゴツした岩のイメージとは真逆で洗練されたシャープな造形。
詳細は分からないが胸から下部分が立ってか座ってかの状態で埋もれたようだ。

首回りに襟状の装甲、頭部は棺桶のような縦長の形状で目の部分は横一直線で隙間らしい黒い部分。見える部分だが胸は前に突き出た防御型。
肩はバイクのサイドカーの屋根付きのような前に突き出た印象のもので、
腕とではなく胴体と直結したもののようだ。

『頭部の高さまで3mはある、興味があるな・・起こせないだろうか。』

リアルならまだしもここはファンタジー、動力なんて意外と保っていそうだ。

『ま、動かせたらの話だが。』

とりあえず時間はかかりそうだが手前の動かせそうな岩からどかしていこう。
暫く腹まで岩をどかしていき、「胸の先が横にやや長い六角形をしている」のがわかる程度には掘り起こせれた。

『こいつ・・・首回りは細かいのに胸あたりはやたら頑丈そうなくらい隙間も何も飾ッ気がないな。
つまりこいつは、首あたり見てみるか。』

思った通り裏の首筋にいわゆるハッチらしき取手がある。
右手で取手を握り

『さて、開k』

グググ・・・

上に開こうとするがビクともしない・・・

『・・・・』

ググ・・・

『・・・んぎぎぎ・・・・っプはぁ』

カシャコン

息を吐くタイミング、左手で足場に手を、右手を時計回りに90度捻るとハッチが開いた。
開き方こうかよと心でツッコミ。中にパネルらしきものと綺麗なエメラルドのような石がパネルのように大半を占めていた。
そこに触れると少し弱い光を放ち微弱な振動がライラプスの足を伝わらせる。

頭部の目の位置に緑色の眼光が1つ点きサイドをスライドするように視線を移動させる。
何か言っているようなのだが言葉が古代語なのか全く理解出来なかった。

『お、起きたか。初めまして、言葉わかる?』

まあ分からんだろうが無言って訳にはイカンだろう。

『俺、ライラプス、言葉、分かる?』

まず自分の胸に手を当て、その次に口を指した後サムズアップする。
まあどこも手を使った会話なんぞニュアンスは似通ったものだ。

するとゴソゴソと動き始め

『@@@@ライラプス@@@@@@@』

名前を呼んだ、少しは通じたらしい。

『俺、君、見つけた、君、埋まってた』

自分の胸に手を当て、ゴーレム(仮)を指し、自分の目を指した後ゴーレム(仮)を指し、
一旦下ろしてから再びゴーレム(仮)を指し、岩をソフトに叩く。

『俺、埋まってた。』
ゴーレム(仮)が学習を始めた!
よっしこの調子だ!と心で叫びガッツポーズをとり。

『そう、埋まってた。俺・・・・・』

サムズアップし、岩をソフトに叩いた後自分の胸に手を当て、
首元から降り手前の岩を持ち上げ

『掘り起こしてた。』

右の開いている所へ投げる。

『@@@ライラプス@@@@俺@@@@@@』

うーんニュアンス的に感謝して貰ってると思いたいが表情無いからなあ。
出来れば自力で脱出して貰いたいんだが・・・どう伝えようか。

『君、出れる?』

ゴーレム(仮)を指し、両手を前に出して出る具体的な動きをした後。
一応安全のために横に移動した。

暫くの後、ゴーレム(仮)は凄い勢いで岩をブッ飛ばす。
関節部は思ったより精密で細かいと想像していたが。
分厚い岩の棒を出来るだけ部品点数を少なく耐久性を重視したような造りで、
例えるなら小学生の図工とかで作れそうな簡略したものだった。

腕の外装は厚さ10cmくらいの筒状。手は小指を除く4本の指。

そしてゆっくり立ち上がり下半身も露わになった。
ロボットアニメによくあるスカート型ではなく股関節は人間のようなハの字で、
かなりブッとい足をしていた・・見た所上半身より足のが重そうなくらいデカかった。

が、

割合は頭部が1m上半身が2m、下半身が2mの全高5m、
胴体と肩、それと股関節付近の所が前後に長い形なのでだいたい3mああると思う。

重心は低く接地面積は広く前後2m左右1mの楕円型。

『第一印象はあれだ、戦車だな。』

少し引きつった笑いと冷や汗をかくライラプス。
人生初の起動兵器は岩のロボットだった。

『@@@@@俺@@@@』

ライラプスは「なんだろう?」と思うとゴーレム(仮)は背を向け。
背中のハッチが上方向へ開く。中は中央にバイクのようなシートがあり、
取手や板などが規則的な配置がされている。

『はは・・人を収納するスペースもあるのか・・
そうさな、名前が無いと不便だな・・』

ゴーレム(仮)が開いたハッチに手を添え中の中央にあるシートに反対の手で掴み、
中へと入る。

シートに跨り前にある取手、グリップを握ると後ろのハッチが閉まる。

『さあ、脱出しよう・・・ゴーレム、【號】!』

Re: (自由参加小説)異世界ぐらしはじめます(祝!閲覧1000!) ( No.52 )
日時: 2016/12/11 17:14
名前: ミヤビ (ID: WVvT30No)

『さあ、脱出しよう。』

両足のペダルを踏み込み、ゴーレム「號」を立たせる。
造りは基本的には自立機動のゴーレムのようだが動かせるようだ。

発掘用か大型モンスターと戦うためのものか、ロボットというよりパワードスーツのように気軽に、
そして直感で動かせる。バイクに跨る態勢ではあるが両手両足は全く異質だ。
まずバイクならTの字で中央からグリップが伸びているが、
接続部は小指側の端に下の肘掛けを連想させる「ギアボックス」に伸びる形で接続している。

グリップは小指部分の接続部がスティックコントローラーのようでグリグリ回る。
親指の所には某任天堂ハード「ロク〇ン」のスティックキー、これもグリグリ回せる。
人差し指から小指までの4か所のトリガー状のボタンは指と連動しているみたいだ。

脚はハの字気味に開いている態勢だが上下左右、手前に上げたり奥へ踏み込んだり出来る。
腰は回らないようで方向転換や姿勢はほぼ足で。
作業等はほぼ手先でするようだ。

『あとは色々と宝石のような綺麗な石が光っているがボタンだろうな。
わからんから基本操作だけでも覚えようか。』

ちなみにリアル世界でバイクのMT免許を取得しているので少し懐かしかったりもする。
バイクでは右ブリップを上が手前へ、下が奥へと回るように捻るとアクセル・・つまり前進するのだが。

クイッ

ガンッガンッ!

どうやら自動で歩いてくれるようだ。
そらずっと脚で操作とかしんどいからな、この機能は便利だ。

そしてデカい工具の数々が纏められた所へと移動し腕を前へと伸ばして掴む。

『腕はグリップ・・・補助的な動きは親指のスティックと組み合わせか、
これは・・慣れがいるかも・・・。この棒、持ってみよう。』

試しに棒を握ってみるとバキャっと折れてしまった・・。
どうも出力が強すぎたようだ。

『そういえばこの肘掛け・・・ギアボックスみたいだ、
手前へ引いてみるか。』

ガココココン・・・

最弱にすると流石に持っても折れないようだ、だが困ったことに持ち上げれない・・
では片方だとどうだろう・・・左側を中くらいまで奥へ押し込み、手は持ったまま持ち上げれた。

『なんか右へハンドルをキった感覚だな。』

ある程度操作を覚えた所で、そろそろ脱出に入ろうと思う・・・・
いくつかコンテナらしきものを背中に担架できたので背負いきれない分ここで脱出のために使おう。

『この原始的だが手回しのドリルを使おう。』

全体を見ればふっとい短い鉛筆のシルエット、
機関の造りはまるで鉛筆削り・・まあハンドルは左向き、手前には底を向けた体であったか。
来た道の方角へ向かって岩をドリルで砕いて行く。

ガリガリガリ!

落石に注意しながら、岩の置き方を見つつ計算しもって砕いて行く。
燃料の概念がないのかパワーダウンする予兆も見せず順調に採掘を進めていく。

* * * * 

『ようやくここまで来たな。』

はじめの落下地点へ到着し、そのまま進めば崖・・つまり海岸まで出ることが出来る。
流石にこの高さでは上ることは出来ない、自分の腕前に自信が無いともいえる。

まあ外へと通じる穴だけでも作るとしようか。

『それに・・・「もう夜になる」。どこかにあった遺体が動き出す可能性もある。
そろそろここでキリをつけよう。』

丁度良い大きさの岩を進んできた洞窟の穴へと塞ぐように置き、
ライラプスはこの月夜の下で、このゴーレムの中・・・正確には後ろのスペースで寝る。
流石に一畳の空間に中型バイクを置いたくらいの間しかないので少し狭いが、
外よりは安全だし落ち着いた。

『今度工作が得意な仲間か知り合いが出来たらこいつを見せてみよう。
居住性とか色々解消しないとな。』

【某所前線駐屯地】

本日早朝9時頃謎の勢力と交戦、仮称として狩人と呼ぶ事とする。
それは奇怪な双剣を扱う男性・・可もなく不可もなく、ありふれたような雰囲気を纏った奴であった。

それは良い・・遺体は確認していないが解決した。
我が王アルトリウスによって消滅した・・地面ごと。

本日はここまで進軍し殉職した兵76名の簡易的な葬儀を行う予定だ。

私、ガウェインが思うに我らが民達が称する『円卓の騎士』という称号も悪くないと考え、
王に進言した所、「ならぬ、城で称するなら構わぬが進軍最中、外で称することは許さぬ。」
とおっしゃられた。何かを警戒して・・・いや、考えすぎであろう。
早朝の戦闘での事と言いいくつか心当たりはあるが、
あの強さを持った方が称号如きで心配するであろうか?

『いや、これは私が考えることではないな。』

しかし初めてお会いした時は綺麗な肌の少年と思ってはいたのだが。
暫くお仕えして今日に至って・・・たまに女性なのか男性なのか分からなくなる。
なにせ王の務めをなさっている最中や食事、その他作法を見て来た。

その上で考えても分からない、「人間味がない」のだ。

食事をしても「・・・ふむ、馳走であった。」と聞きなれない言葉、
ちなみにその時の王の表情はまるで旨くなかったのか「毎度子供が【今度は大丈夫。】と言ってやはり悪戯をして騙すそれに呆れながら付き合う」。
そんな期待はしていないとすら感じる表情。

戦のための食料を得るために「村1つの食料を上納させ」、普通ならば苦虫を噛みしめたような表情になるような所業も。
なんの躊躇いもなく書類にサインをするように無表情で行い、
これまでいくつもの村を潰して来た・・そのため王へ何度も情に訴えてくる民もいた。

「我が王、これ以上は民が飢えてしまいます。どうかご慈悲を。」

その度に王はこう述べられた。

「戦に勝つため、明日死ぬかもしれぬ兵のいる、皆耐えられよ。」

1+1=と聞かれたら2と答えるように事務的に、無表情で答えられる王。

『この戦、なんの為の戦なのだろうか。』

羽ペンをインク瓶に差し込み、記録を書き終えたガウェインは席から立ち上がり脱いでいた上半身の鎧を着こむ。
もうすぐ葬儀が始まる、内容は簡易的・・そう。王が殉職した兵へ形式的な言葉を送る。
「皆良く戦ってくれた、諸君の死は我らの糧となり永遠に生き続けるであろう。」
そんな内容だ。
他の地へ攻める理由も国を豊かにするためといざ来てみれば、この始末だ。
豊かにするために飢饉に陥る戦。この戦に果たして意味は?

* * * * 

【夜の某所前線駐屯地「棺置場」】

無理な進軍をして兵も限界近くになっていたので、
本日はここで留まっている所である。昼頃に葬儀を済ませ、後方から来る部隊と交代・棺とともに兵が帰還する為だ。

暫くして月光が大地を照らし、崖から見える海に星空の明かりを映し出した光景の先に祖国を見出す者。
明日死なぬ様にするため睡眠に徹する者。そして夜間哨戒する者。


その中で特に目立つ人物、夜の篝火に照らされた光を反射する銀の左腕を着ける齢16くらいの青年が見回りをしている。
騎士でありながらも、襲撃されれば真っ先に死ぬ可能性がある夜間哨戒。
しかも銀の腕を持つ彼はまさに「黒い紙に乗せられた銀貨」そのもの。
狙って下さいと言っているようなものだ。

そんな中棺置場から透き通った美しい声が聞こえる。

『ジョン、君はこの戦いが終わったら告白するために何の花を渡すか考えていたね。
祝う事が出来なくなってしまったではないか。』

その声の元へと銀の腕を持つ青年が歩み寄る。

『エレッタ、立派な騎士になって私を支えてくれるのではなかったのか?
死んでしまっては話すことすら出来なくなってしまうではないか。戻って来てくれんのか?』

その声の主は我が王アルトリウスであった。

『王、この時間まで起きていてはなりませぬ、お体に触ります。』

驚く様子もなくゆっくり銀の腕の青年の方へ振り向く。

『ああ、ベディか。それは貴殿も該当する内容だ。』

『そうですね。では訂正致します。
我が王、明日の指揮・兵の士気に影響を及ぼすので自室へお戻り下さい。』

少し遠慮気味にではあったが笑い。訂正する際は規律に沿った「形だけの世事」を言う。
王もそれが意地悪であることは容認している。

『すぐ戻る。だから安心して戻られよ。
貴公が他の哨戒している兵に危険が及ばぬようあえてその目立つ格好で歩いているのは知っている。』

『王に隠し事は出来ませんね。して王は・・・先ほど聞こえた内容からして・・・もしや1人1人に?』

王は傍から見てもそんな事をする人には見えないであろう。
勝つために村を犠牲にし、効率のために死んでいった者への言葉も形式的なものだ。
こんな「非効率的なことをする」人には見えないだろう。

『今まで死んでいった者も同様にしてきた、例外は認めぬ・・・それに日課のようなものだ苦ではない。
このセリエルも2つ前の丘で死んだ。特に口数の少ない者だったが、
よく城へ迷い込んだ猫や犬に城内の皆に内緒で捨てる野菜の切れ端を使った料理を食べさせていた。
玉葱は出すなよと注意した記憶がある。もうあの仔たちを喰わせてやれんな。』

『ええ、それで俺にも少しくれとせびったのは隣のこのガルデンでしたね。』

王は驚いたようにベディと呼ばれた青年を見て。

『貴公もなんだかんだで見ていたのか。驚いたな。』

それから暫く、王と2人で語り合った。
亡き戦友たちの日常を思い出に記す様に永く王と1人の騎士とで。

【王都 夜イーリア自室】

『本日は!有意義な!任務で!あった!』

カーテンで窓を遮り、蝋燭の明かりで照らされた部屋の主イーリアは
一言発する度に服を脱いでは力強くバスケットの中へと入れ。
女中のメルナが入れ終わったバスケットを回収。

早朝の洞窟で誤解がありながらも一戦交えたライラプスという男に負け、
悔しさ余って嬉しさが勝ったような気持ちを押さえようにも抑えきれないで、
実に14時間が経つ。

『イーリア様。今回の件の事なら分りましたので、もう落ち着かれては如何でしょう。
その様子では朝まで寝れずにいてしまいます。』

『何を言うメルナ!我はようやく好敵手を得たのだ!
長かった・・・この城にて戦術で勝る猛者はいたがいざ試合をすればいつも当たり前のように、
それも3分持つことすらなかった!どれもだ!
そんな中偶然とはいえ持ち堪えるどころか抑えられた!
この胸の高鳴り!・・ああこれが好敵手を得た喜びか・・。』

「恋ですね」と冗談を言おうものなら信じてしまいそうな空気なので、
暫く沈黙をしていたメルナ女中ではあったが、
もう時間が時間なので寝て頂かねばならない。

『イーリア様、お召し物です。』

スッと手渡されたパジャマを着こみ、ベッドへ寝込む。

『ではなメルナ寝るぞ。また明日。』

『お休みなさいませ、イーリア様。』

キィィ・・・・カチャン


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