ダーク・ファンタジー小説
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- (自由参加小説)異世界ぐらしはじめます(祝!閲覧1000!)
- 日時: 2016/11/01 22:50
- 名前: ミヤビ (ID: WVvT30No)
(紹介前に総合掲示板の雑談掲示板に「異世界ぐらしはじめます 雑談所」を設けました!お気軽にお聞き下さいませ♪Twitterにて基本活動しておりますので急ぎでしたらTwitterまで!)
はじめましてミヤビと言います。
異世界ぐらしでは中世チックなフィールドを好きなように駆け回り。
共闘するもよし自分で国をつくるもよし。
自分ならこうすると言ったことを書いちゃって下さい。
これはリレー小説形式で。
参加型の小説です。全てが正規ですべてが外伝であるこの世界にようこそ!
では下記に簡単な説明を乗せておこう。
また、【あくまで楽しむことを前提に】書いて下さい。
マナーを守り規則正しいもう一人の自分を小説で動かしましょう!
【異世界ぐらしはじめます】設定資料
世界観設定
【属性】
〔英雄〕基本人類のクラス、技術スキル高 基本値低
〔人外〕魔物相当のクラス、特殊スキル高 致命的な弱点有
〔自然〕精霊とかのクラス、保持スキル多 異常体勢低
【能力、職業】
能力
先天性、後天性のオリジナルスキル。
ストックは2まで。
強力な能力であればデメリットも付属させる。
例
能力(時を3秒止める)デメリット(次発動まで3時間チャージ)
職業(有利→不利)
〔英雄〕騎士→弓兵→魔術師→
〔人外〕死兵→呪士→死霊使→〔自然〕巨神→獣人→エルフ→
職業はオリジナルスキルの関係上でオリジナルの職業の作成可
例
能力(竜属性の召喚)職業(竜騎士『騎士』)
【武器】
武器や技術は中世17世紀ちょっと先程度、よくて蒸気機関までが好ましい。
(無論新型でボルトアクションのライフルから有線電気機材は可、
ただ量産する技術、発展途上の技術に留める)
【世界観】
世界が1度、人類文明が滅び再び現文明まで築き上げて17世紀。
過去の遺跡・遺産から可能な限り再現可能なものを生産しまた1から作り上げた物を使って
レンガ造りの建物や紙の作成。現歴史までなかった生命に宿る超能力『魔導力』によって可動する
乗り物や工具を作り。世界各地には『神殿』や『城都市』といった文化が確立されていった。
世界にはいくつかの大陸と無数の島があり、
上陸してすぐ山道を登ってはハルピュイアやマンドラゴラと遭遇する島もあれば
果てしない雪の平原で巨大な生物や奇妙な知的生命体に襲われる所も、
この世界で生き残ることは出来るか・・・
(参加者の視点)
あなたは普通の現実世界では人気ゲーム「ワールドレコード」をプレイしていたゲーマーで、
特殊ソフト(3DCG作成ソフト等)を使えば、自分好みの見た目をつくれたりする狩猟を目的にした
一大娯楽として確立されたゲームで早7年。
発信元の大企業『ノア』現社長『イズミ』はユーザーの期待に応えるべく。新技術の投入によって現ワールドレコードは
全く新しいゲームに生まれ変わると宣言。
同時刻、新デバイス『スフィア』と呼ばれる掌サイズのマウスの形のした機械(子機)を発売。
これと連動することで新感覚の体験ができるとのこと。
それを使うと一瞬白い閃光に包まれたと思ったら。
なんと自身が作成したキャラクターになっていた。
だが世界観は全くの別物。
土地勘無し、お金なし。ログアウト画面無し。
あるのは以前のステータスとスキル、アイテムのみ。
一応地理は現実世界の配備で問題なし
スタート地点は自由。
国を創るも奪うも自由。
この世界に入ったプレーヤーはここの住人となって元の世界に帰る方法を模索あるいは
世界征服を目論むことも自由。
* * * *
御用の方は下記まで御連絡下さい
(質問・感想お気軽に)
https://twitter.com/miyabi_virossa(ミヤビアドレス)
https://twitter.com/yawashigure(柔時雨)
- 異世界ぐらしはじめます(レックス視点、act8) ( No.53 )
- 日時: 2017/02/13 23:32
- 名前: ka☆zu ◆RfyqxjRpsY (ID: pNfZbSQl)
act8 女王蜘蛛と新たな仲間
「ドロップサンダー・改!」
ボルトの渾身の攻撃がヒットする。
電撃と落雷のダブルパンチに晒された女王蜘蛛アラクネは、痛みにハーミアを離した。
落下するハーミアを、ボルトはすかさずキャッチしたよ。
「何やってんだお前ハ!」
彼はそう怒鳴った後、一言付け加えた。
「だけど助かったゼ。ありがとナ」
それを聞いたハーミアの顔は、赤く火照っていたよ。
「さあ、あのデカブツをブッ倒すゼ!」
ボルトのその一言を合図に、僕達は攻撃を開始した。
「エレキパイカー!」
接近戦を行うボルトとスパーク。
「アローレイン!」
ボウガンを乱射して大量の弓を降らせる僕、
「秘剣、「大漁網」!」
バトラーの、二本の大剣による神速の剣技は、アラクネに網目状の切り傷を負わせた。
でもアラクネは立ち上がる。
普通の生物なら絶命しても可笑しくない程の傷を受けながらも動き続ける巨大生物。
こんな時に言っていいのかわからないけど、中々にグロテスクだ。
アラクネは辺りに糸を乱射すると、脚の一本を自切して貼り、弓の如く打ち出した。
巨大な蜘蛛の脚だ。
こちらからすれば大木レベルのものが飛んでくるのは、結構肝を冷やすよ。
ただ理性は失っているようで、すべての脚を打ち出した後は、自分が糸の弓に突進し、高速で体当たりをしてきた。
衝突すれば待ちは大きな被害を被る。
そんなピンチの時、ボルトが光ったんだ。
「・・・そうダ!おい姫さん!お前の魔法で俺を奴さんの方へ飛ばしてくレ!」
「何言ってんのよ!?アンタ死ぬ気!?」
一度はそう返したハーミアだったけど、ボルトの眼差しを見てすぐに準備を始めたよ。
「行くわよ!」
「おウ!」
ハーミアが魔法で作り出した大きな鏡にボルトが乗った。
「行ってこーい!」
「うおらァ!」
そしてそれをハーミアがアラクネに向かって撃ち出すと、ボルトはスパナを前に構えた。
その時に、ボルトの周辺に大きく浮かんだのは、「奥義発動」の文字だった。
「行くゼ!」
ボルトがスパナを前に突き出すと、それはまるで雷のミサイルの如くアラクネに突っ込んだ。
「これが俺の「奥義」ダ!」
”強引'g My Way”!!!
ボルトが変わった雷のミサイルは、アラクネの心臓部を貫いていた。
おぞましい断末魔をあげアラクネは消滅したけど、そこからは沢山の(麻袋入りの)糸や金貨、宝が落ちてきたんだ。
「よくやった。この量の糸があれば、服の作成も素材の流通も可能だな。」
オーベロン様が言う。
「じゃあ、すぐにお城に戻って作成するわね」
ティターニア様もそう言ってくれた。
「ありがとうございます!」
「助かるゼ!」
僕達は、感謝の言葉を伝えつつお城に戻ったんだ。
それからしばらく後。
ポロニアーナ城から少し離れた花ば・・・いや、茶畑の中。
ボルトはハーミアに呼び出されて、二人でその場に行ったんだ。
え、僕達?
勿論離れたところで聞いてるよ?
ハーミアが先に話しかけたんだ。
「ちょっと話、聞いてくれる?」
「ああ、良いゼ」
ボルトも答えた。
「笑わないで聞いてほしいんだけどさ・・・」
強張ったハーミアの口が開く。
あたし、アンタの事が好きになったみたい。
突然の言葉、ボルトはキョトンとして答えていたよ。
「・・・はァ?」
「・・・・・・だからさ、あたしと一緒に、この国にいて欲しいんだ。何処よりも素敵なこの国で、あたしはアンタと、ううん。 貴方と一緒に居たい」
「・・・悪いが、それは出来ねェ」
「・・・えっ? どうして・・・・・・」
ボルトが静かに、たしなめるように話す。
「俺はな、もっと広い世界を見てみたいんダ。そして見聞を広めて、もっと沢山の武器を作るっつう夢があル。それに、こんな俺を仲間に引き入れてくれたレックスや、付いてきてくれたスパークやバトラーと離れるつもりはねェ。あいつらと、一緒に行きたいんダ」
ハーミアはその言葉にハッとしたみたい。
でもすぐに表情を変えてさ、何かボルトに耳打ちしたみたい。
残念ながら、聞こえなかったけどね。
「すまぬ、彼のライセンスを見ても良いだろうか」
ふと、隣にいたオーベロン様が言った。
「はい。大丈夫ですよ。」
僕はボルトのライセンスから、適当に一枚取って渡した。
「・・・・・・やはりな」
「どうしたんですか?」
「これを見てくれ。」
ライセンスの名前欄には、ボルトの本名が書いてあった。
「ボルト・ライサンダー」と。
「やはり、ハーミアとライサンダーは結ばれる定めか・・・」
「そうみたいですね。」
ふとオーベロン様がこちらに向き直る。
「どうか、これから娘をよろしく頼みたい。」
「わかりました、お任せください。どうか僕が、彼らにとっての精霊パックのような存在になれれば良いのですが・・・」
「きっと、君ならば」
どうしてこんな話になったかわかるかい?
僕達はみんな察したんだ。
ハーミアがボルトに耳打ちした言葉の意味を。
だから、ハーミアがお城でオーベロン様とティターニア様に叫んだ事に、誰も驚かなかったよ。
寧ろ二人は、そしてお城の人達は、彼女を快く見送ってくれたよ。
彼女自身の恋を支えるために。
そう、
「あたし、ボルト達と一緒に行きたい!」
っていうハーミアの我が儘は、聞き入れられたんだ。
かくして人数も増えて、賑やかになった僕達は基地に戻ったんだ。
「でも人数増えたから、部屋を増やす必要があるね」
「そうですね・・・小型化して充電出来るスパークを抜いても4人、2人ずつの部屋か、ハーミア様を一人部屋で我々は3人部屋で寝るか、辺りの選択肢がございます。」
「じゃああたし二人部屋がいい!」
「オイオイ、男女を同室にするのはどうなんダ?道徳的に考えテ」
「ボルトが行けば問題ないよ」
「ハァ!?」
「私はマスターと同室にさせて頂きます故、ボルト様がそちらに移動を願います。」
「待てっテ!おかしいだロ!」
「スパークはこっちで良いよね。」
「良イゾ、レックス」
「スパークまで連れてくんじゃねえヨ!」
「決まりね!これからずっと同じ部屋よね! あ・な・た♪」
「待てっつってんだろォ!」
こうして部屋割りも決まって、僕達の冒険は新たなステージに突入するんだ!
・・・そんな時、僕のスフィアから、「ここなら安全ね・・・」なんて声が聞こえたのは、秘密にしておこう。
「おい待テコラァ!道徳的にアウトだろォ!!!」
パーティメンバー
レックス(英雄、弓兵、義賊)
ボルト(人外、死兵(アンデッド)、武器職人)
ハーミア(自然、エルフ、姫(&鏡魔道士))
サポーター
バトラー(自然、巨神、ドラゴン、執事(使用人))
スパーク(機馬)
???(???)
- Re: 異世界ぐらしはじめます(レックス視点) ( No.54 )
- 日時: 2020/05/18 00:33
- 名前: ka☆zu (ID: opY14I5d)
act9 拠点をレッツリフォーム!
ハーミアを加えて、僕達はそこそこの大所帯となってきた。
そのため一つ浮上した問題がある。
「なア…やっぱり男女が同室は倫理的にどうかと思うんだガ…」
「それはまあいいんだけど「良くねえヨ!」、普段は拠点を引いてくれるスパークや大きさの変わるバトラーは兎も角として、完全に僕とボルトの2人分で纏っちゃってる拠点の空間を、3人に対応できるようにリフォームしなきゃマズいよね…」
今までは僕とボルトの2人が快適に過ごせる分の広さと設備しか整えて来なかったけれど…
仲間が増え、しかも今まで居なかった女の子とあって、このままでは不便な気がするという事。
なので、拠点のリフォームを考えてたんだ。
「寝室は2人にしても、浴室などは分けなければ何かと不便で御座いますからね」
「あたしは別に気にしないけどなー」
「僕も年頃の男子だからね、気が気でなくって」
「元々城暮らしだった訳だし、今の環境だとお前にはかなり不便だゼ?」
「それもそっか…じゃあ賛成」
僕含めみんなに叫びをスルーされて諦めたボルトの言葉にハーミアが同意した所で、バトラーが提案を出した。
「世間の感覚としましては、正式にパーティとされるチームの人数は4人が望ましいとされております。なのでこの際、いつかの為に拠点を4人用まで広げてみては如何でしょう?」
「それもそうだナ。また仲間も増えるかも知れねえし、少し大きめに広げとこうゼ」
「それなら、バトラーも今より過ごしやすいようにしようよ!前にお茶を淹れるキッチンが欲しいって言ってたでしょ?」
「私の意向も汲んでくださるのですか…?」
「勿論!バトラーだって僕らの大切な仲間だし、僕の執事なんでしょ?それなら快適に過ごしてもらうのだって主人の務めだよ」
僕のかけた言葉に、バトラーは感嘆したとでも言うような爽やかな笑顔で言った。
「有難き幸せ…!このバトラー、マスターにこれまでよりも真摯に、奉仕の務めを果たす事をここに誓いましょう…!」
所変わってここは市場。
フロッグランパや女王蜘蛛アラクネの討伐報酬として、結構お金を貰ったのでリフォームに必要な素材なんかをあれこれ見てる。
そんな中でボルトが土や魔法の粉のコーナーを真剣に見ているのが気になったのか、ハーミアが話しかけていた。
「ねえあなた、何見てるの?」
「陶芸用の土ダ。この前陶芸をしてみたら中々楽しくてな、折角だしバトラーに茶器でも作ってやろうと思ってヨ」
「それ名案!だったらあたし模様入れるよ!こう見えても昔から絵は得意なんだー!」
「良いナ。じゃあ模様入れは頼んだゼ」
良い案だと思うし、それにとても微笑ましかったから、僕は終始ニコニコ顔で買い物をしていた気がする。
後々考えてみたら結構恥ずかしいかも。
そんな微笑みながら買い物をしていた僕は、鉱石や宝石のコーナーで面白いものを見つけた。
「ソルストーン」という赤く光る水晶形の宝石で、太陽光を浴びるとエネルギーに変換する作用があるらしい。
バトラーの鑑定でそれが本物であると確認し、少し値は張ったけど奮発して数十個買った。
するとその対になっている石で、変換したエネルギーを蓄積しつつ、夜の闇でそれを増幅させるという「ルナストーン」という黄色い宝石もサービスでいくつか分けてもらった。
思わぬ収穫に、僕はさらなるホクホク顔で帰路についた。
リフォームの前に今の拠点の状況を纏めるとこうだ。
・拠点前部右側にある入り口に入ると簡単な会議室があって、そこから奥に一つ、左側に二つの扉がある。
・会議室はテーブルといくつかの椅子、小さな本棚と棚、食器棚があるだけ
・奥の部屋は寝室。あの【タドミール・テルミヌス】にあったようなのとは違い、ガタガタのゴツゴツで立て付けも悪い、粗製濫造って感じのベッド(とは名ばかりの、骨組み入りの薄い布団)が並んでいる。(作ったのは僕だ)ハーミア加入後はそれを一つ増やし、部屋のど真ん中についたてを幾つか立てて別の部屋と言い張っていた
・会議室の左の扉、入口側の方は例のゲートの部屋。拠点内に突然知らない人に入ってこられても困るので、普段はゲートは閉じている
・もう一つ、寝室側の扉は脱衣所。そこから奥はシャワールームで、風か雷の能力が必要故に現在シャワーを起動できないハーミアの入浴時は、起動用のバッテリー替わりにスパークを持ち込んでいる
とまあ、作った当初こそ男2人で、割と雑に過ごしても平気だった為に中々杜撰というか、生活空間としてはまるでダメな感じになっている。
人数が増えた今、それはただただ不便なだけなので、この際拠点を思いっきり快適に作り替えることになった。
そして一週間ほどの作業を経て(その間は森の中に拠点を停めてその周りでテント生活だった)、ついに拠点のリフォームが完了した。
まず移動基地としてのスペックは、
・屋根にソルストーンを素体としたソーラーパネルを設置、更に大型の量産モーターを乗せてそのシャフトにプロペラ羽根を付け、風車の様な仕組みも作った
・その機構と繋げる形で、拠点屋根裏にルナストーンを設置、バッテリーとして使用。それをボックスで防護し、余った屋根裏は倉庫スペースに改良
・二輪だった駆動部を四輪に作り替え、バッテリーからエネルギーを供給出来る仕様に。また走力を蓄積する為に駆動部中枢の心臓部にもルナストーンを内蔵した
・拠点外部の前部にあるタイヤの操作ハンドルは、耐久性と操作性の向上を図った
・これら全てを追加したことによる重量の増加を、壁や屋根、タイヤシャフトなどにマジックインゴット製の骨組みを入れる事で耐久性を上げ対処。外観の材質は竹のまま
部屋も増築や改良を行い、
・拠点そのものが大きくなったため、入口を前方中央に
・入ってすぐはエントランスルーム。
後述のゲートルームから誰かが来た時は、ここで出迎える。もてなし用のカウンターテーブルを設置してあり、バトラーの趣向でバーのようになっている
・一つ奥に入った部屋を作戦会議室兼食堂に。木工の技術を高めたボルトによって、椅子やテーブル、収納家具は新調され、前より使い心地が良くなった
・作戦会議室から右に入ると厨房。お茶を淹れるバトラーや、料理も始めたボルトのために設備は整っている。調理器具もそこそこある。(ボルト作)
・厨房から奥の部屋は栽培室となっており、木製の足場の他は土で満たされたプランターが大部分を占めている。ルナストーンから供給されるエネルギーを栄養豊富な水にして散布するスプリンクラーも完備
・作戦会議室から左は脱衣所で、中で二つに分かれている。その奥はシャワールームになっていて、男女で浴室も分かれている。シャワーはスプリンクラー同様、ルナストーンからエネルギーを供給して変換する方式に作り替えた
・エントランスから右側にゲートルームを設置。拠点内に誰かがいる時は常に解放して、全員が出払っている時は自動で閉じる様にした。ちなみに目安として設けた就寝時間になっても閉じる
・また、ゲートを通して誰かがやってきた時には全ての部屋にアナウンスが入り、出迎え出来るようになっている
・エントランスから左はボルトの工房で、炉と金床、作業台、ろくろに錬金釜が置いてある。さらに男子脱衣所と直通の扉もあるので、作業で汗をかいたら即シャワーが可能に
・作戦会議室の奥は二つ扉があり、右は僕たちの、左はボルトとハーミアの寝室になっている。僕らの部屋にはスパークの充電台が、ボルト達の部屋には裁縫台が置いてある。ベッドはボルトが新調し、あの時のベッドとまではいかないまでもふかふかになっている。
・ちなみに仲間が増えた時用に両方の寝室にはある程度のスペースの余裕があり、新たな仲間や客人用のベッドを合計6つ予備として屋根裏に準備してある。客人が泊まるときは僕らの部屋が男部屋に、ボルト達の部屋が女部屋になる
…と、羅列するととても長くなる量の改良をした。
リフォームを通り越してもう建て替えの域だ。
とりあえず停泊地点で一晩過ごしてみたら相当快適になっていたので、意気揚々と旅に戻る事にした。
仮住まいにしていたテントを片付けている時に、ボルトとハーミアが言った。
「バトラー!リフォーム祝いのプレゼントだゼ!」
「あたしたち2人で作ったの!」
それは、童話にでも出てきそうな上品なデザインのティーポットとティーカップ。
ボルトがそのものを作り、ハーミアがデザインしたであろうそれは、新品のツヤめきを放っていた。
それに乗じて、僕も市場で買っていたものを出す。
「バトラー、僕からもプレゼント。これで僕にお茶を淹れてくれないかな」
僕が渡したのは茶葉の苗。
詳しいことは僕はわからないので、お店の人のおすすめを何種類か見繕ってもらったものだ。
僕たちのプレゼントにバトラーは満足してくれたみたいで、
「皆様、ありがとうございます!それでは本日から、皆様にアフターヌーンティーをお淹れしましょう!」
と言っていた。
テントの片付けの後、ボルトが言った。
「なあレックス。折角リフォームしたんだ、気持ちが締まるように、リーダーのお前がこの拠点に名前を付けてくレ!」
確かに拠点には名前があった方がやりやすい。
賛同した僕は、バトラーお手製のアフターヌーンティーを片手にこう宣言した。
「じゃあみんな!新しく生まれ変わったこの【T-Rex2号】で、また冒険に繰り出そう!」
「「「「オー!!!」」」」
こうして僕らは新拠点【T-Rex2号】に乗って、冒険を再開したんだ。
その日の夜。
みんなが寝静まった頃、僕は淡く光るスフィアに話しかけた。
「ここに誰かいるのは解ってる。あなたは誰?」
その声に応えるかのように、スフィアから女の人が出てきた。
現実のOLさんのような服を着ているが、サイズは小さく、背中に蝶の羽が浮かんでいる妖精のような姿だった。
「私の名前はイズミ…訳あって追われる身なの。しばらくキミのスフィアに匿って貰えないかな?」
妖精のような女の人…イズミさんは力なく言った。
「どんな事情かは知らないけれど…僕のスフィアで良ければ」
「ありがとう!冒険の邪魔はしないから、どうかここに居させてね」
そう言うとイズミさんはスフィアに入っていった。
僕はベッドの側のチェストにスフィアをしまい、少し遅い眠りについた。
####################
@Direct mail
for.アレン
from.レックス
アレンさん、久しぶりです。
拠点をリフォームしたので、挨拶のメールを送らせて貰います。
あれから僕達は無事に入ったゲートから戻り、新しい仲間も増えました。
それで拠点が狭くなり、改築したので記念品を送ります。
ボルト達が作ったものです、良ければ使ってください。
2セットありますので、1セットはお友達にでも渡していただけると嬉しいです。
p.s.
僕の執事が淹れたお茶が美味しかったので幾つかお裾分けします。
飲んでみたら1時間の間、ちょっとずつですが体力が回復し続けました。
添付:
ティーポット×2
ティーカップ×8
アフターヌーンティー×10
####################
パーティメンバー
レックス(英雄、弓兵、義賊)
ボルト(人外、死兵(アンデッド)、武器職人)
ハーミア(自然、ライトエルフ、姫(&鏡魔道士))
サポーター
バトラー(自然、巨神(ドラゴン)、執事(使用人))
スパーク(機馬)
???
イズミ(???)
- Re: 異世界ぐらしはじめます( アレン視点 ) ( No.55 )
- 日時: 2020/07/07 23:31
- 名前: 柔時雨 (ID: lU2b9h8R)
No.09 〜 竜殺しの竜の眷族 〜
タドミール・テルミヌス最上階・大広間。
「ん?」
「どうされました?主様。」
「レックスからメールと……何かアイテムが送られて来た。」
「レックス殿からですか。よかった……無事に帰還なされたようですね。安心しました。」
「メールの内容によると、拠点をリフォームして、新しい仲間が増えたそうだ。んで、送られてきたアイテムは同じ物が2つ。1つはウチで、もう1つは俺からライラプス達に渡してほしいそうだ。」
「なるほど……私達は彼等と交流しましたが、レックス殿達とライラプス殿達の交流は、まだ成されていないのですね。」
「アイテムの内容はティーポットにカップ、あと……紅茶の茶葉か?」
「これをボルト殿……と、新たな御仲間の方が作られたのでしょうか?素敵ですね。どうします?
早速、お茶の用意を致しましょうか?」
「ん〜……もうちょっと後でも良いかな。それにしても……ポットとカップだけなら、まだしばらく放置してても良かったんだろうけど、茶葉があるとなると……ライラプスにメール、送っとくか。」
俺はフレンドの項目を開き、ライラプス宛に『 茶葉 腐る 取りに来い 』という内容をしたためた。
「これで送信……っと。」
「大丈夫でしょうか?怪文章のような内容で……」
「あれで伝われば良し。もし伝わらなくても、気になって取りに来るだろうさ。それより……」
俺はレックスから貰ったメールを読み返す。
「どうされました?」
「いや……レックスのところに、新しい仲間が増えたんだなって……ウチもまた、仲間を増やすか。この間、マウトを仲間に…………マウトはどうした?」
「おそらく地下で、まだ寝ているかと……起こして来ましょうか?」
「……いや、そんな重要な話でもねえし、あとで伝えてやればいいだろう。それで……シルヴィアはどう思う?」
「仲間の増員についてですか?そうですね……以前、エルセアと対峙した際に、追い返すことはできましたが、未だあの者達は健在しています。いずれまた戦うことを考えると、味方の増員はしておくべきだと私も思います。」
「そっか。じゃあ、マウトは後で説得するとして、次の課題はどんな奴を仲間にするか……か。」
敵を殲滅する力を優先するか……味方をサポートできる奴を優先するか……
「ギャハハハハハッ!大将、此処に居るかァ!?」
仲間にする候補を考えていた時、大広間の扉が勢い良く開いてマウトが入って来た。
「またあなたは……一応此処は謁見の間でもあるのですから、もう少し静かに扉を開ける様にしてください。」
「堅いこと言うなよォ、シルヴィア。何事においても、ファーストインパクトって大事だろォ?」
「あなたと、私と、主様しか……仲間しか居ないこの現状で、何に対してのファーストインパクトですか!?」
「まぁまぁ……それより、どうしたんだ?お前から此処に来るなんて珍しい……」
「んァ?あァ。大将……最近、ドラゴン共がめっちゃ暴れてたの……知ってるか?」
「あぁ。俺は参加しなかったが、なんか《 VS deathdragon 》とかいう、かなり過酷なイベントがあったみてえだからな。それがどうした?」
「その余波っつゥのかな?未だにドラゴン共が暴れてるみてェだぜ。あの世の川渡しが愚痴ってたよ。ドラゴンに巻き込まれて死んで来た奴等が多いってなァ。」
「なるほど……何とかしてやりてえけど、そのドラゴンが今、何処に居るか……」
「目的のドラゴンかどうかは判りませんが、ドラゴン達の住処でしたらわかりますよ。」
「「マジで!?」」
「はい。」
そう言いながら、シルヴィアは机の上に地図を広げる。
「このタドミール・テルミヌスから南南東に馬で5時間の処にある、『 竜の里 』と呼ばれる山岳地帯に生息しています。」
「なるほど……それじゃあ、ちょいと遅れたがドラゴン狩りにでも行くとするか。聞いた話だと、ドラゴンの鱗だけでも宝の価値があるみてえだし。」
「ドラゴンの心臓は魔術の触媒として有名だぜェ。運良く確保できたなら、魔術を生業としてる連中に、高値で売り付けてやれ。」
「売りつけるなんて、もったいない!他者に売るくらいなら、私が使います!」
満場一致でドラゴンを余すトコなく使うという結論になり、俺達は地図を持つシルヴィアを先頭に
竜の里へと向かった。
***
竜の里。
周囲を険しく高い岩山が取り囲み、たまに岩の亀裂から高温の蒸気が噴き出している。
「此処が……いかにもって場所だな。」
「んじゃ、オレァ此処で待ってるからよ。大将とシルヴィアだけで頑張ってくれ。」
「あら?此処まで来て、一緒に来ないのですか?」
「シルヴィア……イイコトを教えてやる。オレァ、腐乱死体だ。んでもって、ドラゴンは口から火を吐く。これがどういう意味か……わかるか?」
「割と大丈夫な気もするけどな。日光の下でもそれだけ元気なんだし……」
「えぇ。私もそう思います。頭さえ燃えなければ、あなたは生きていけるのでしょう?」
「いや、まァ……そりゃそうなんだけどよォ……ん?」
「どうした?マウト。」
「大将、シルヴィア……一応、武器構えときな。何か来るぜ。」
「「……っ!」」
マウトが言われた通り、各々武器を構えて警戒していると、岩陰から1人の男性が現れた。
昔、某るろうにの漫画や、遊んでいた別のゲームで見た巨大な剣・『 斬馬刀 』を右肩に担ぎ、頭部を竜の頭部の剥製で作った兜、残りの身体を同じく竜の素材で作った鎧で包み隠している。
そして……左手には、たった今討伐して来たのか、巨大な黒いドラゴンを引き摺っていた。
「マジか……すげえ。」
「あれだけの大きなドラゴンを……あの、失礼ですが、そちらのドラゴンはあなた御一人で討伐されたのですか?」
「ん?あぁ、そうだが……もしかして、コイツを狙って此処まで来たのか?だとしたら、すまんな。一足先に狩らせてもらった。」
「いや、それは別にいいんだ。他のドラゴンを狩ればいいだけの話だし……あっ、俺はアレン。種族は【 英雄 】、クラスは【 暗黒騎士 】だ。」
「おぉ、俺も名乗りが遅れたな。俺は『 ザイン 』。種族は【 自然 】で、クラスは【 竜人( ドラゴニュート ) 】だ。」
「ドラゴニュートって、確か……竜の血を引く、龍の眷族だったか?」
「まぁ、そんなところだな。」
「ちょっと待ってください。竜の血を引くあなたが……何故、ドラゴンを狩っているのです!?親族のようなものでしょう!?」
「オレには解るぜ。アレだろォ?死んだ親父の葬式のときに、灰を鷲掴みにしてそのまま遺影にブチ撒ける感じなんだよな?ギャハハハハハ!なかなか、ロックじゃねェか!」
「多分、全然違うと思うぞ。あと、信長がぶち撒けたのは灰じゃなくてお焼香だ。」
「いずれにせよ、理由はお聴きしたいですね。」
「なに……それほど大したことではない。俺の故郷で崇拝していた竜神が、未だに原因は不明だが……ある日突然暴れ出してな。身内や郷の者の殆どが、巻き込まれてこの世を去ったよ。お前達に解るか?これまで自分達が崇拝して来た存在に裏切られたときの心境が……」
「いや……それはまだ、経験したことないから、わからない。」
「まぁ、普通に日常を生きていれば、そうだろうな。とりあえず俺は、郷を亡ぼした竜神……いや、邪竜を見つけ出して、この手で葬り……今、こうして鎧として扱っているわけさ。」
「主様……」
「あぁ。それじゃあ、目的を果たしたアンタが、今もそうしてドラゴンを狩っているのは……」
「俺と似たような境遇の者を極力減らすため、俺はドラゴニュートでありながら、ドラゴンスレイヤーを続けている。まぁ、単独作業だからな……1日1匹か2匹が限界ってところだ。」
「いやいやいや!1人でドラゴンを狩れてる時点で、お前は良い意味で充分おかしいんだからな?ところで、ザイン。」
「何だ?アレン殿。」
「俺達の仲間になってくれねえかな?」
「仲間?……ふむ……確かに俺がお前達と組むと、パーティの戦闘力は上がるだろう。だが、俺がお前達の仲間になって、何を得するというんだ?」
「ドラゴン討伐が、より効果的になる。」
「……なるほど、確かに。こんな人が好き好んで来るような場所でもないのに、来たという事は……それなりの実力の持ち主なのだろう。」
「まァ、此処に来たのは、オレ達の物欲センサーに従った結果なんだけどな。」
「それは……そう、そうなんだけどさ……もうちょっと、こう……言い方ってモンがあるだろ。」
「……アレン殿。今の仲間と思われるそこの2人。見たところ、ダークエルフとゾンビのようだが……この上亜人であるドラゴニュートの俺を勧誘して……どこかに攻め込む気なのか?」
「いや、そんなつもりは微塵も無いぞ!ただ、俺はこうして今、お前と話しているように、この2人とも話をして気に入ったから、仲間になってもらっただけさ。」
「私も本来居た里を追われ、こちらのマウトも訳あって天国にも地獄にも行けず、墓地で1人過ごしていたところを、アレン様に迎え入れてもらったのです。」
「安心しなァ。少なくとも、オレ達の大将は差別みてェな真似をしない人間さ。たとえアンタがドラゴニュート以外の種族だったとしても、受け入れてたと思うぜェ。」
「そうか。なるほど……仲間に『 なってもらった 』か。わかった……俺で良ければ、仲間にしてもらえないだろうか?アレン……いや、御館( おやかた )。」
「もちろんだ!いやぁ……『 俺を仲間にしたいなら、実力を示せ! 』とか言われなくて良かったよ。」
「そうしても面白かっただろうな。だが……見ての通り、俺はこの竜と1戦交えた後だからな。御館との手合わせは、また後日に願い出るとしよう。」
竜の兜で隠れた目は見えないが、口元は笑みをこぼしているザインと、彼の得物である斬馬刀を見て……そのままシルヴィアの方へ視線を送る。
「なぁ、シルヴィア……拠点で俺が斬殺されたら、丁重に葬ってくれ。そんで、マウトの仲間に……」
「縁起でもないこと、言わないでください。」
「んン〜〜!!オレはいつでも、ウェルカム・カモーンだぜェ。щ(゜Д゜щ)」
「……前言撤回。俺、死なないように頑張るよ。」
「オイオイオイ。そりゃァ、どういう意味かネ?大将。」
「お前達はいつもこんな感じなのか?」
「申し訳ありません。マウトの口は後程、縫い合わせておきますので。」
「!?Σ(((゜Д゜;)))」
「いや……今まで独りだったんでな、こう……賑やかなのを久しぶりに体感した。やはり良いものだな。」
「そうですか。あっ、申し遅れました。私、主様の側近をしています、シルヴィアと申します。種族は【 自然 】、クラスは御察しの通り【 ダークエルフ 】です。これから、よろしくお願いしますね。」
「あぁ、こちらこそ。ところで、御館。その……マウトだったか?彼と戯れているトコロ、申し訳ないが……拠点があるのなら、案内してもらえないだろうか?なるべく安全な場所で、コイツを捌きたいんでね。」
ザインはそう言いながら、左手に持っていたドラゴンの尻尾を揺らす。
「あ、あぁ……悪い。それじゃあ、タドミール・テルミヌスに戻るか。マウト、ドラゴンの半分持ってやれ。」
「はいよ。んじゃ、ザイン。悪いけど、頭の方を脇に抱えてもらっていいか?」
「ん?それは構わんが……」
「ありがとよ。いや、オレが頭の方を持っても良いんだけどよォ、重みに耐えきれなくなったら、オレの腕ごと抜け落ちる可能性があるからさァ。」
「なるほど、それは大変だな。案外、俺が思っていた以上に不便なのだな、死体の身体というものも。」
「まァ、慣れの問題だけどな。そう言って理解してくれて、オレァ嬉しいよ。アンタとも楽しくやっていけそうだ。」
こうして俺達は戦闘をすることなく、貴重な財産となるドラゴンと……新しい仲間を得ることができた。
いつかザインの武技を披露してもらえる日を楽しみにしつつ、日常がまた賑やかになることに、俺は嬉しさを感じていた。
- Re: 異世界ぐらしはじめます(アレン視点) ( No.56 )
- 日時: 2020/05/20 11:11
- 名前: 柔時雨 (ID: lU2b9h8R)
No.10 〜 劇的拠点改造 〜
タドミール・テルミヌス最上階・大広間。
「ん?これは……」
俺は玉座に座り、自分のステータスを確認していると、今まで使用してきた攻撃技とは別に、『 スキル・【 拠点改造 】 』とい項目が増えていた。
どう考えても、攻撃技じゃない。
「拠点改造ねぇ……コストは……無し!?」
詳しく見てみると、会得条件は『 自分の拠点となる建物を持っていること 』で、会得さえしてしまえば、後は勝手にやってくれ状態。
まぁ、ずっと宿とかギルドで部屋を借りてちゃ、発見できないわけだし……そういうトコロで、何かこう上手い事やってんのかな?
どこかの動物達が集まる森の守銭奴タヌキにも見習わせてやりたい親切設計だ。
「そういや、レックスのトコも拠点をリフォームとか言ってたな。なるほど、このスキルを使ったのか。」
もし違っていて、自腹出費によるものだとしたら…………運が悪かったんだなぁと思うことにしよう。
「それじゃあ、早速……とりあえず、領土拡大したいから、後ろの崖を大きく削るか。」
俺はスキル説明と一緒に表示されたこの拠点と周辺の地図を見て、今居る城の後方にある崖の大部分を選択して『 削除 』した。
「うっし!次はこの城を『 選択 』して、今できたスペースに『 移動 』させて……」
画面に表示されている地図を指先でタッチして、そのまま指を動かして元々崖があったスペースへ移動させる。
移動させるとき、激しく揺れるんじゃないかと思ったけど……そんなことは無かった。
「よし、じゃあ次は……ん?」
次の作業は何をしようかと考えていると、大広間の外にある石の階段を駆け上ってくる足音が聞こえ……大広間の扉を開けて、シルヴィアが入って来た。
「たっ、大変です!主様!我が城の後方にあった切り立った崖が、一瞬にして消えてしまいました!」
「あ……あぁ……うん、わかった。それについて説明するから、シルヴィア。マウトとザインを此処へ呼んで来てもらえないかな?皆揃ったら、ちゃんと説明するから。」
「?わかりました。」
− 数分後 —
俺は大広間に集まったシルヴィア、マウト、ザインに事情を説明した。
「なるほど。事情は把握しました。ですが!行動する前に一言申してください!いきなり地形が大きく変わってしまっては、流石に驚いてしまいます!」
「それに関しては本当に申し訳なかったと思ってる。」
「まァまァ、やっちまったモンは仕方ねェだろォ?んで?この無駄に広くなっちまった場所は、どうするつもりだ?大将。」
「ん?あぁ。そこには新しく城を建てようと思ってる。」
「同じ領内に城が2つ?俺は築城に関しては詳しくないが、そんなことが許されるのか?」
「俺にもわからん。まぁ、普通はそんなこと無いんだろうけど……今から作るのはダミーっつうか、客人の寝室用かな。」
「偽物( ダミー )……ですか?」
「あぁ。んで、新しく建てる方は、今俺達が居る城よりも大きい物を建てる。さて……此処に敵が侵入してきた際、小さい城と大きい城を見て……どっちに大将である俺が居ると思う?」
「俺なら大きな城の最上階に……あぁ、そういうことか。」
「ザインと同じ考えを持つ敵が、デカい建物の最上階まで行って……着いたのはいいけど、対象である俺が居なくて1度ガッカリ。仕方なくこの城を目指すことになるんだけど、来る時と同じように無駄に長い距離を移動しないといけないと思わせることで2度ガッカリ。」
「ギャハハハハハ!いいねェ、その考え方。オレァ好きだぜ!けどよォ……敵がその考えをしねェで、真っ先に此処を目指しちまったときは、どうするんだよ?」
「その時は、真っ向から此処で相手してやるだけさ。」
「んじゃ、何の問題もねェな!」
「あの……先程から築城すること前提で御話していますが……材料や費用はどうするおつもりですか?現在備蓄しているお金やドラゴンの素材で、そこまで立派な城が……」
「あぁ、それなら大丈夫。費用はかからねぇから。」
「え?」
俺は引き続き、表示されている画面を操作する。
「えっと、『 メニュー 』から『 建築 』を選択して……」
画面に表示されている【 建築 】 の文字をタッチすると、更に追加で 【 家 】と【 城 】の2つの選択肢が表示された。
今回は城を建てたいので 【 城 】 をタッチすると、新たに【 自分で建てる 】と【 カタログを見る 】 という、何ともありがたい御都合主義な追加表記が出たので
俺は迷わず 【 カタログを見る 】 の文字をタッチした。
すると、幾つかの明るい感じのする城や、禍々しい感じのする城が表示された。
最初はこの世界の基本的な建造物なのかと思って見ていたが、そうじゃない……俺は今、表示されているこの城を見たことがある。
そうだ……間違いない。ここに表示されているのは、俺がTVで観たり、プレイしたゲームに登場した城だ。
現に、明るい感じのする城は、俺がやり込んだゲームで主人公達の拠点になっていた場所だ。
どうやらリストアップされている選択肢は、スキルを会得したプレイヤーの記憶を頼りに作られる物らしい。
試しにその城を選択してみると、攻略本に載っているような展開図?みたいなマップが表示された。
「城はこれにするとして、今度は『 素材 』か……これはこの城と同じ【 黒曜石 】にして、空きスペースに『 配置 』っと。」
俺は選択した城の向きを変え、今居る城の右隣の空きスペースに配置した。
すると、今俺達の居る城と新たに配置された城とを繋ぐ渡り廊下が、地図上で自動的に配置された。
「これで良し。」
「……うおォォォォォォ!!すげェ!マジで新しい城が出来てやがる!!」
大広間の窓から、外を眺めて新しい城の存在を確認したマウトのテンションが上がっている。
「そうだ、お宝!!」
地下に貯めてあるお金や宝石が気になったのだろう。
マウトは勢い良く扉を開けて、地下へと駆け下りて行った。
− 数分後 —
「確認して来たぜェ!正直、少しは減ってるんじゃねェかと思ってたけど、そんなこたァなかった。オレ達がトレジャーハントして手に入れたお宝も、ザインが解体したドラゴンから得た鱗や角、牙の1本すら消費してなかったぜェ!!」
「本当に素材の消費無しで建築してしまうとは……御館のその力は、実に見事な物だな。」
「正直な話……俺も本当に消費無しで建築できるとは思ってなかったから、マジで驚いてる。」
「これは本当に素晴らしい力です!流石、主様!幸いなことに、この城の周囲は滅多に人の来ない山岳地帯と荒野です。」
「つまり……状況に応じて、好きなだけ御館の領土を拡張できると……」
「その通りです。」
「じゃあよォ、今建てた城以外にも、侵入者撃退用のためだけの迷路みてェなモンも、領内に作れるってことかよ?」
「その通りです。」
「オイオイオイ!マジかよ!テンション上がるなァ、おい!」
「そういうことですので、主様。私、城とは別に専用の図書館を建てていただきたいのですが……」
「おィィィ!抜け駆けしてんじゃねェぞ!シルヴィア!……とは言ってみたけど、今んトコ、オレが大将に作ってもらいてェモンが思い浮かばねェからな……」
「俺も、元々此処にあった訓練場で今のトコロ満足していて、今これを建てて欲しいという物が思い浮かばんな……」
「怒鳴って悪かったな、シルヴィア。オレ達のコトは良いから話を進めな。」
「いえ、私の方こそ確認を取らずに……ありがとうございます。それで、主様……お願いできますか?」
「図書館だろ?良いぜ。城以外の物も建てれるか試してみたかったし。えっと、図書館はっと……」
俺は『 建築 』 の文字をタッチして、今度は 【 家 】を選択してみた。
すると、今度は【 家 】と【 公共施設 】の2つの選択肢が表示され、【 公共施設 】をタッチしてみると
『 駅 』や『 学校 』、『 図書館 』の他に、『 動物園 』や『 水族館 』、『 遊園地 』や『 映画館 』みたいな娯楽施設、『 船着き場 』や『 空港 』の類まで含まれていた。
今度はシルヴィアの希望で図書館を建てたいので 【 公共施設 】の『 図書館 』 をタッチして、また【 カタログを見る 】を選んでリストを表示する。
今回のリストは俺が現実で行ったことのある場所や、テレビのCMで見覚えのある施設が表示されていた。
そりゃそうか。自分が遊んでいたゲームの内容によっては、登場しない施設とかもあるからな。
「シルヴィア。このリストの中から好きなの選んで良いぞ。」
「えっ!?宜しいのですか?」
「おう。だって、お前が建てたい施設だろ?だったら、建てたいと思ってる本人の意見を聞いて、尊重しねえと。」
「ありがとうございます。では……」
そうしてシルヴィアが選んだ煉瓦造りの図書館を、拠点マップ上の左下……この城の手前の空きスペースに配置した。
すると、先程の城と同じように自動的に、この城と図書館を繋ぐ渡り廊下が設置された。
「ありがとうございます、主様!大切に利用させていただきますね!」
「施設は建てたけど、中に本があるかは判らない。もし無かった場合は……すまねえけど、自分で集めてくれ。」
「はい!」
「とりあえずこんなトコか。マウトもザインも何か建てて欲しい物ができた時は、遠慮せずに言ってくれ。たぶん、これは俺しかできねえと思うから。」
「承知した。」
「おゥ!そんときは頼むぜ、大将!」
あの後、シルヴィアの希望で建てた図書館を見に行くと、本も一緒に導入されていた。
シルヴィアは『 主様の世界の本! 』と、テンションが物凄く上がっていたが、全部が全部必要と言うわけでは無いので
自分が気に入った本や必要だと思う本だけ残し、他は廃棄。こちらの世界の本も導入して自分の理想空間を作り上げるそうだ。
新しい非戦闘スキルは仲間内で好評。今後城壁を拡げて領土拡大したとき、さっき建てた城や図書館を配置し直せるのか……試したいことはいろいろあるけど、それはその時が来てからで良いだろう。
とりあえず……今度、ライラプス達やレックス達が来た時、どんな反応をするか楽しみだ。
- Re: (自由参加小説)異世界ぐらしはじめます(アレン視点) ( No.57 )
- 日時: 2023/11/03 04:09
- 名前: 柔時雨 (ID: LwOm547C)
No.11 〜拠点に迫る軍勢 〜
大都市エルセア・領主の館 軍議の間
「……お前は儂に確かにこう言ったよなぁ?『バルザック』将軍。『シフルールを必ず陥落させ、わがエルセアを更なる発展させてみせましょう!』……と、それをどうじゃ?えぇ?シフルールを陥落させるどころか、その手前の関所すら突破できなかったとはのぅ。」
玉座に座った肥満体型の中年の男性が、先日シフルールの関を攻めた将軍に語り掛ける。
将軍は片膝をついて頭を下げたまま、一瞬歯を食いしばり……そのまま言葉を続ける。
「もっ……申し訳ありません、ロニキス様。ですが!あれは、とんだ邪魔者が入ったせいで、兵達が我先にと逃げてしまったからなのでございます!あの邪魔が無ければ、今頃は……」
戦場から真っ先に逃げ出したのは自分なのに、バルザックは事実を隠蔽し、兵士に罪を擦り付けた虚偽の報告を、領主であるロニキスに伝える。
「ほう?シフルールの田舎者共め……いつの間に、そのような連中を……それで?その邪魔をしてきた奴等は何者なのか、判っておらんのか?」
「はっ!各地に間者を派遣してはいるのですが、未だ有力な情報が……」
「失礼します!」
ロニキスとバルザックが会話を遮るようにエルセア兵が1人、軍議の間に入って来た。
「何事だ!?軍議中だぞ!」
「申しわけありません!ですが、件の一団の拠点の場所が判明しましたので、その報告をと……」
「なにっ!?それは本当か!?」
「はい!」
そう言いながらエルセア兵が地図を広げる。
「敵はこのエルセアから東へ少し行った場所にある山岳地帯に囲まれた、この古城を拠点としているそうです。」
「そのような場所に!?なるほど、それで我等の背後を取ることができたのか……しかし、シフルールの奴等は、どうやってコイツ等に援軍要請を……?」
「バルザック将軍!ただちに一群を率いて、その者共を始末して来るのじゃ!もし失敗すれば……どうなるか、解っておるな?」
「は……はっ!必ずや、成果を上げてみせましょう!!」
◇◇◇
タドミール・テルミヌス最上階・大広間。
「御館。この城の城外なのだが……溶岩を流している部分を、いっその事底の見えない大穴にしてしまっては、どうだろうか?」
「めっちゃ深い穴か……よし!じゃあその部分を深く掘り下げて、谷底に溶岩を流そう。あとは……」
ザインと拠点の城壁内の話ではなく、外に関しての話し合いをしながら拠点の地図を開く。
この間拡張する前……元々の城が所有していた領土を確認した。
すると、城を中心に半径2.5Km……直径5Kmの区域が青い円で表示される。
「今俺達の居るこの城で、直径5Kmの領土……以前のこの城の所有者は、そこそこ権力があったんだろうな。」
「確かに規模としては広いかもしれんが、周囲を見てみろ。殆どが岩山と荒野だ。天然の城塞と言えば聞こえは良いが、日常生活に関しては難があったのだろう。現に、御館がシルヴィアと最初に此処を訪れた際、この領土内に人間の姿はおろか、民家すら無かったはずだ。」
「なるほど……生活するためじゃなく、一時的な避暑地っつうか、別荘みたいな目的で建てられた城ってことか。」
とりあえず、城門となる跳ね橋の下は抉る様に大穴を開けて火葬に溶岩を流しておき、青い範囲内にある邪魔な岩壁を削って更地にする。
今回は事前にシルヴィアにもマウトにも伝えてあるから、地形を弄っても怒られない。
「これで今度拠点を拡げる時……いや、もう城壁で囲んでおくか。その方が楽できそうだし。」
俺は青い円の演習に沿うように城壁を拡張した。前方だけを残し、側面と後方の城壁は岩山の中へと自動的に減り込んで隠される。
同時に、城前方に開けた大穴も同じように広がった。
「前方は谷底に溶岩が流れる大穴……後方は前回御館が少し抉ったとはいえ、未だ断崖が健在していて、周囲は岩山が連なっているか。城外の守りに関しては、概ね好条件になったのでは?」
ザインの言う通り、後方の断崖から源義経や弁慶がやった一ノ谷の鵯越みたいなことをされない限り、まぁ……大丈夫だろうとは思う。
「主様!失礼いたします!」
拠点周りの環境整備が一段落付いた頃、シルヴィアが慌てた様子で大広間に入って来た。
「どうした?シルヴィア。拠点周りを弄ることは事前に……」
「いえ、その件に関してではありません!申し上げます!現在、エルセアの1軍がこの城へ向けて接近しております!」
「なっ……敵襲だと!?」
「エルセアっつったら、シフルールの件で戦った連中か。シルヴィア、敵の具体的な数は判るか?」
「確か、エルセアの1軍の規模はだだいたい300人前後だったかと。申し訳ありません、主様。城壁の上から確認しただけですので、本来の人数は……もしかしたら、300人より多いかもしれません。」
「謝らなくてもいいよ、シルヴィア。むしろ、城壁の上からそれだけ判別できたのなら、大したもんだ。」
「主様……」
「よォ、大将。ちょっと良いか?」
シルヴィアの報告を聞いていると、マウトがゆっくりと大広間に入って来た。
「マウト。どうしたんだ?」
「いや、何か城門の向こう側でギャーギャーうるせェ連中が居てよォ。昼寝の邪魔だから殴って来ても良いか?っていうか……あいつ等、この間戦った、ヘタレのエルセア軍じゃねェのか?」
「くっ……!もう来てしまいましたか。」
「とりあえず、城壁に行ってみるか。城門は俺が判断するまで、絶対開けないように!」
「「「了解!!」」」
***
タドミール・テルミヌス 城壁。
俺達が城壁に到着した頃には既に、大穴を挟んだ向こう側、少し離れた荒野でエルセア軍が陣や天幕を展開していた。
「さてと……さっき、ザインと話し合って大穴を空けたけど……連中、どうやって此処を攻略するかな?」
「普通に考えて、櫓を作って弓で攻撃かと思いますが……前回、衝車を作ろうとしていた者達です。他の攻城兵器を用意していても不思議ではないでしょう。」
「なるほど……とりあえず、敵の出方を伺おうか。」
俺達が眺めている敵陣で、3台の櫓が建築されていく。
「あれは……シルヴィアの予想通り、櫓できたか。」
「けどよォ……あの櫓……遠くね?」
マウトの言う通り、敵が作った櫓は、奴等の陣営の内部に造られていて……俺達の居る城壁と、かなり距離が開いている。
「あの距離から此処まで矢を届かせる自信があるのでしょうか?仮にそうだとすると、敵には、よほど腕の良い射手が居るのですね。」
「ちなみにだけど……俺がシルヴィアに、あの櫓の上に居る敵を射抜け!と命令したとして、シルヴィアは射貫く自信がある?」
「いえ、申し訳ありませんが、主様の命令だとしても私が射貫く……いえ、届かせることができるのは、そうですね……現在、風が私達に対して追い風であることを考慮しても、敵陣の出入り口でたなびく軍旗まででしょうか。」
そう言いながらシルヴィアが、敵陣で風にたなびく軍旗を指さす。
「マジかよ。ザインはまだ見てねェから知らねェだろうけど、オレはよォ……シルヴィアの弓の腕前は純粋にスゲェって思ってる。なァ、大将!俺よりシルヴィアとの付き合いが長いアンタなら解るだろ?」
「おう!これまで、シルヴィアの弓にどれだけ助けられてきたことか!」
「ほう、それほどまでに。俺も早く見たいものだ。」
「マウト……主様、ザインも……ふふっ、ありがとうございます。」
「けど、そんなシルヴィアでも、あの櫓の上の敵は狙い撃ちできねェのか。」
「ということは、向かい風であるにも関わらず、此処まで矢を届かせることができたのなら……敵にはシルヴィアよりも凄い弓の使い手が居るってことか。」
「悔しいですが、そういうことになりますね。」
「……ん!?御館!敵の櫓だが……徐々にではあるが、こちらへ向けて迫って来ているぞ!!」
「なっ!?動くのかよ、アレ!」
「なるほど。私達の攻撃の届かない安全な陣内で車輪の付いた櫓を作り、完成したらこちらへ向けて進ませる……考えましたね。」
弓兵を乗せた車輪付きの櫓が敵陣から出てきて、こちらへゆっくりと迫って来る。
しかし、そこで敵側に問題が起こった。
移動式櫓が此処へ到着する前に、左右の岩壁に挟まれて身動きが取れなくなってしまったのだ。
しかもそれが先頭を走っていた櫓で、先頭の櫓がいきなり立ち往生したために後続の櫓は急に止まることができずにそのまま接触。
そして更に後ろの第3台目も……
敵の移動式櫓は、その威力を発揮できずに勝手に事故って、勝手に倒壊した。
「ギャハハハハハハ!!連中、勝手に自滅しやがった!!ザマァねェなァ、おい!」
「あの移動式の櫓を考えたまでは良かったんだけどなぁ……」
「どう思う?俺は今日はもう、敵は攻めて来ることはないと思うのだが……」
「そうですね。私も……おそらく本日はあれの撤去と、次の手段を考えるための軍議をするのではないかと思います。」
「そうか、わかった。じゃあ、マウト……」
「ん?何だ?大将。」
「日が完全に落ちたら、悪いんだけど寝ずの番を任せてもいいか?」
「おう!任せなァ。連中が何か変な真似をしたら、アンタを叩き起こしてやるよ。」
「頼む。日が沈むまでは俺が見張ってるから、シルヴィアとザインは明日に備えて早めに休んでくれ。」
「そんな……宜しいのですか?主様。」
「おう。俺も日が沈んだらちゃんと休むから。それに……あれは失敗したけど、あの櫓みたいに敵がまた遠距離で攻めてきた場合は、シルヴィアの力が必須になるだろうし、一騎討ちを申し出てきた場合はザインに出てもらうつもりでいるからさ。」
「主様……承知致しました!」
「俺も承知した。仮にそうなった場合、御館の期待を裏切らんようにせねばな……」
そう言ってシルヴィアとザインは拠点の中へと戻って行った。
「なァ、大将。」
「何だ?マウト。」
「もし、この籠城戦があんまり長引くようなことになったら、異世界のライラプス達やレックス達に援軍を要請することも、考えておいたほうがいいんじゃねェか?」
「そうだな……でも、異世界であいつ等だっていろいろ忙しいだろうからさ、あんまり迷惑を掛けたくねえんだよ。だから、ギリギリまで俺達だけで粘ってみようぜ。」
「へへっ……了解。夜襲が必要なら言ってくれよ?ウチで夜、1番自由に動けるのは多分、オレだろうからな。」
「あぁ、そうだな……マウト。お前、跳ね橋を下ろさなくても向こう岸に行けるか?」
「おう!この城壁が埋まってる岩山に穴を掘っていけば可能だぜ。」
「そうか!じゃあ、夜襲じゃないんだけど、お前に頼みたいことがあるんだ。引き受けてくれるか?」
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