二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
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- ドラゴンクエスト—Original— 漆黒の姫騎士
- 日時: 2012/09/13 22:54
- 名前: Chess ◆1OlDeM14xY (ID: bkovp2sD)
二つ目であります、漆千音です。元Chessです。
さて、ドラゴンクエスト、オリジナル、です。わたしが勝手に考えた奴です。
名はタイトルどおり——【漆黒の姫騎士】。
主人公はわたしの幼なじみモデルです。ま、誰も知らないからいっか(笑
・・・で、ドラクエⅨとかぶる名前がよく出て来るけど、一切関係ありません。
この名前が好きなんだろうって解釈して。みたいな。
【 お知らせ 】
最近自分の偽物が出現している! って人も多いみたいです。
で・・・わたしのトリップですけれど、1OlDeM14xYとJftNf0xVME、両方わたしです。本物です。
前者がかつてのパソコン、後者が今のパソコン。ある理由により使い分けていました。
・・・で、その理由及び問題が解決したんで、元通りになりましたわーわー(黙らっしゃい byレイサ)。
・・・つーわけで。はい。((殴
ぬはははは何故こんなにこちら側はやる気が起きん
それはノートに書いていない話を書き始めようとしているからであるそして
そのネタが思いつかないからである———スランプ中です。
いやそもそもスランプとか言える才能持っていませんけれども。
やる気を起こすまで今しばらく『星空の守り人』を更新しまくりますスイマセン・・・
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- Re: ドラゴンクエスト—Original— 漆黒の姫騎士 ( No.129 )
- 日時: 2011/07/24 22:59
- 名前: 苺川 らび (ID: J7WKW5tb)
全然おkです!
見に来てくれたなんて……
嬉しいです!(ノД`)。・。・
- Re: ドラゴンクエスト—Original— 漆黒の姫騎士 ( No.130 )
- 日時: 2011/07/31 21:02
- 名前: Chess ◆1OlDeM14xY (ID: fckezDFm)
——ぞわり、と。
シーナは、確かに感じた。嫌な気配、予感、・・・。
「・・・ヒール、戻ろう! なんか、」
だが、シーナの言葉は、そこで途切れた。切れさせられた。
シーナは見た。目の前に広がる闇、形ある——
セファルは唇を引き締めたまま、全神経を集中させて兵士を睨みつけた。
ヴェルダン・マラスィトム、そう呼ばれた兵士は、突きつけられた剣に怯むこともなく、
騎士が姫君の踊りの誘いを受けた時のように、ゆっくりと兜を降ろす。
癖のない黒髪、意志の宿る瞳、歳は四十ほど。
が、立ち居振る舞いからは、一人の戦士としての若々しさを感じ取れる。
「・・・お初にお目にかかる、マレイヴァ第一王女ヴェルシーナの[兄君]、セファル殿下」
「・・・こちらこそ」
一言で返してから、ヴェルダンが何か言えと言わんばかりの視線を送ってくるのに気づく。
念のために——言った。
「・・・あんたが、あいつの、本当の——」
「・・・さすがは殿下、よく御存じで」
「根拠は言わない、あいつが可哀想だからな」
くくっ、と、ヴェルダンが笑う。
「随分と、愛していらっしゃるのですね。——血もつながらない、[妹]のことを」
「・・・・・・・・・・」セファルは答えない。
「・・・来るべき時は来たのです。運命は変えられません、変えようとすれば、必ず何かの代償を支払わねばならない。
さぁ、その剣をお収め下さい」
「言ってろ」
ハイそうですかと、収めるはずがなかった。
変わらず、切っ先を相手に向けたまま、睨み続ける。
「・・・お前の運命とやらは、俺を殺すことだろう。だが、俺の運命は、あいつを——シーナを、守ることだけだ」
「名言ですな」ヴェルダンは笑う。
「ですが、運命は、一つだけ。二つあることは、許されないのです——さて、どちらが正しいのでしょうね・・・!」
二人はたがいに身を低くし——そして、地を蹴った。
金属音が響く———・・・。
悲鳴など、何年ぶりにあげたのだろう。
シーナの口から洩れたのは、あげることを忘れていた、つぶれた悲鳴だった。
頼れるはずだった兵士長、ヒールが、いきなり崩れ折れ、血を撒き散らす。
傷を負わせたものの正体は、すぐに分かった。ヒールの目の前に立っていたもの。
大きな鱗を何枚も重ねた、長く、太く、生々しい、大蛇の魔物。
「う、あっ・・・」
がくがくと震え、後退り、だが、足がもつれる。壁に背が当たる。金属音がする。
「・・・・・・っ・・・!」
壁とぶつかった、兄の剣。また会うための、証——
[また会うための]。
「うっ・・・うああああっ!」
シーナは気合の声を発す。震える手で、必死に剣を引き抜いて。
兄の剣は、今まで使った度の剣よりも、硬く、重かった。こんなものを先ほどの鍛錬で使われていたら、確実に
数秒ほどで負けていただろう。それだけの実力を秘めていながら、わざと手加減をした兄、おどけた顔、笑った目。
生きて、また会ってみせる。儚く、あっけなく死んでしまった、ヒールのためにも、絶対に。
怯えか、それとも剣の重さにか。シーナの手は震えていた。武者震いだ、と思ってみようにも、上手くいかない。
敵が向かってくる。だが、シーナは、そのとき—— 一人の、“騎士”となった———・・・。
- Re: ドラゴンクエスト—Original— 漆黒の姫騎士 ( No.131 )
- 日時: 2011/10/31 22:23
- 名前: Chess ◆1OlDeM14xY (ID: EetYfsjv)
狭い廊下、絶え間なく響く金属音。音は、それだけ。
他の声も、風も、襲撃の音も、二人の疲労の息遣いでさえ、聞こえない。
互いは、紛れもなく相当の実力者だった。戦場で鍛えた兵士と、生まれながら才能持つ王子。
ヴェルダンは思った。もし、我らの元に[この男の方が]いれば、間違いなく己と肩を並べる者だったろう、と。
否——考え直す。否、きっと、彼女も。彼女も、相当の実力者に違いない。
あれだけ、天賦の才だ、姫騎士だと騒がれていたのだから。
兵士は笑う。その強さは惜しいが、この男には死んでもらわなければならない。そう、運命は変えられ——
「だっ!!」
「っ!?」
笑みから出た若干の油断が、ヴェルダンのわずかな隙を生み出していた。セファルはそのわずかな間を狙ったのである。
「こっ・・・」
恐ろしいまでの集中力だった。驚愕から生まれ続ける“僅かな隙”を狙い違わず突き続け——
ついに、陰の喉に、剣が突きつけられた。
「運命とやらは——あんたの方が、間違っていたようだな」
「くっ」
「剣を捨てろ」
セファルは鋭く言い放った。
ヴェルダンは冷や汗を滲ませる。
敗北は潔く認めねばならない、だが、今回はそう言っていられなかった。認めるわけにはいかない。
何としてでも、生き延びねばならないのだ——
「————————————————————ぅぁぁぁっ!!」
「っ!!」
突如聞こえた短い悲鳴に、セファルは目を見開き、声の方向を見た。
今の声は。今の悲鳴は——
「・・・姫騎士、ですね。あなたの愛しい“妹”——」
最後まで言わせず、セファルは剣を横にし、兵士の首にあてる。
「シーナに何をした!?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・ふ、単に、魔物に会っただけでしょう。
まだ修行中の身には厳しい戦いだったのかもしれません」
「くそっ!」
セファルは今更後悔する。シーナを行かせたこと、戦わせてしまったこと——
「———————————ッ!?」
その時生じたセファルの隙を、ヴェルダンは見逃さなかった。
捨てると見せかけて——剣を、セファルの腹部に刺したのである。
セファルが全身の力を失くし、膝をつく。身体が震える。血が止まらない——
ぽた、と。シーナから預かったペンダントに、一滴の血が零れ落ちる。
何やってんだよ。セファルは、自分を叱咤した。
こんな傷が何だ。シーナは、シーナは、今、どうなっている?
助けなければならない、動け、動——
「やはり運命は、私のほうが正しかった」
ヴェルダンは笑い、セファルを置いて歩く。
悲鳴の聞こえた方へ。
「く・・・くそっ・・・」
「怪我人は大人しくしていることです。それとも、死に急ぎたいというのならば、止めはしま」
どっ、と。
セファルは、自分の剣で同じようにヴェルダンを貫く。
「きっ」
貴様、と言おうとした唇が動かない。膝を折り、ヴェルダンもまた、倒れる。
「・・・あんたを、行かせるわけには、いか、な——」
セファルの頭が、がくりと下がった。
Chess))あ〜生々しいよこれ絶対漫画にできないよ((何をする気だbyマイレナ
- Re: ドラゴンクエスト—Original— 漆黒の姫騎士 ( No.132 )
- 日時: 2011/08/30 06:35
- 名前: Chess ◆1OlDeM14xY (ID: Xn5/gwB3)
緊張と安堵の吐息が、シーナの口から漏れる。
「や・・・った」
手に収まる重い剣を、握りなおす。先からは、血の雫が零れ落ちていた。
目の前で、ぴくぴく蠢く、瀕死の大蛇のどす黒い血。
今ここで止めをささなくとも、直絶命するだろう。
シーナは目を伏せた。自分でさえ、驚いた。大蛇が向かってきた時から、記憶が曖昧だ。
ありえないほど身軽に跳躍し、ありえないほど早く重く剣を振り。そう——言うならば、この時だけ、
シーナの中に——自分の中に、何かがいて、そいつが動いているような・・・そんな感じがしたのだ。
「・・・・・・・・・・・・・っ」
シーナは血を拭い、鞘に納めた。後でよく手入れしておこう。無意識に、そう思った。
立ち上がる。どうしよう、と思った。
さっきは、嫌な予感がして、戻ろうとしたのだ。・・・だったら、そうすればいい。戻ろう。
「安らかに・・・ヒール」
素早く祈り、シーナは踵を返した
———時。
何かが、シーナの行く手を、遮った。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・ッ!!」
シーナの身体が大きく震えた。無意識に再び剣に手をかけようとする。まっすぐに見ることができない。
だが、瞳は険しく、その陰を睨みつける。
が、いかなる力が発動したのか。その手が、途中で動かなくなる。
「な・・・」
陰が、ふっと笑った—あくまで、シーナにはそう見えた—。
「敵意をむき出しにするものではない、わが妹よ」
「!?」
シーナは目を見開く。“妹”?
(・・・お兄ちゃ・・・)
思いかけて、ありえない、と思い直す。
全然違う者だ。顔は見えない。だが、声に覚えはない。
「・・・誰、お前はっ・・・」
震える声で、尋ねる。先ほどよりも、目つきは険しくなっていた。
が、陰は怯まない、なだめるように、穏やかに言うだけ。
「言った通り——お前の“兄”。—————“本当の”な」
「なっ」
険しかった眸が、驚愕に見開かれる。
「・・・は。何それ。わたしの兄はただ一人しかいない!」
「その通りだ」陰は言う。「ただし——その名は“セファル”ではない」
「馬鹿なことを・・・早く退きなさいよ」
「無理もないか」シーナの声を無視し、陰は言う。「記憶を奪われたままではな・・・仕方あるまい」
「!!」シーナはまたしても驚く。何故知っている、自分に記憶が——おそらく六歳以前の記憶がないことを。
もう声の出ないシーナに、陰は静かに囁く。
「[覚えておくがいい]・・・兄と思い込んでいるあの男は、全くの別人であることを。
そしてお前は——紛れもない、わが妹であるという事実を」
「・・・ふ、ざけないでっ!!」
シーナが強く意識を集中させる。先ほどの、“自分の中の何か”に力を委ねてもいい、この陰を斃さなきゃいけない、
そう思った、
——————————— ギンッ!!
「———————————うあああっ!!」
——が。
シーナは、強く胸を抑えうずくまった。その“何か”が——壊されたような、封じられたような、
そんな感覚に襲われたのだ。
「う、っ・・・・・・・・・・くっ」
「その力はまだお前には早い」陰はあくまで静かに、語り続ける。「お前の身体を破壊しかねない」
「ぁ・・・・っ」
何、と言おうとした。が、子音は言えることなく、頼りない息遣いが零れ落ちただけ。
「お前の力がその能力に耐えられるようになった時・・・そしてお前の記憶を解くに相応しくなった時、
その能力を開放しよう。・・・それまで、」
またしても、シーナは声にならない悲鳴を上げる。が、それは一瞬。
呆けたように、何も分かっていないように、目をしばたたかせる。
・・・今起きたことの、記憶を封じられたのだ。
「それまで・・・この剣は、預かっておこう。この瞬間があったことの、証としてな」
小さな、遠ざかる声がした。
- Re: ドラゴンクエスト—Original— 漆黒の姫騎士 ( No.133 )
- 日時: 2011/08/18 18:10
- 名前: Chess ◆1OlDeM14xY (ID: Xn5/gwB3)
どれくらいの時が経ったのか。
———気が付くと、シーナは、見慣れぬところに倒れていた。
「・・・・・・・?」
起き上がる。何故、こんなところに。何故、寝ていたりなど——
「!!」
すぐに、我に返る。真っ先に思い浮かんだのは、[先程別れた]“兄”の事。
(・・・別れて・・・ヒールについて行って・・・)
・・・それで、どうして倒れているのだろう。外にいるということは、逃げることができたんだろう。
・・・で、どうして?
頭を抑え、ゆっくりと気持ちを整理した——その時、目の前を黒いものが横ぎった。
驚いて、地面に落ちたそれを見てみる。
・・・何かの、焦げた跡だった。つまみあげると、ぱらぱらと散ってしまう。
火事? ——そこで、全てがはじかれたような衝撃がシーナを襲う。
立ち上がる、あたりを見渡した。そして—— 一番信じたくないことが、その目に映っていた。
城が黒い。
城が、燃やされていた。
「あ・・・・・・っ」
シーナは震える身体を自分で抱きしめ、歯を鳴らした。
先程まで威厳ある姿で建っていたであろうマレイヴァの王城が、見るも無残な様子に朽ち果てていた。
シーナは走り出す。人の多いところへ、何かが分かるところへ。
嘘だ、夢だと、言い聞かせたい。こんなのは現実じゃない。いつまで寝惚けているんだ。
・・・言いたいのに。
・・・言えない。
自分と同じくらいの年の少女が泣いていた。
人目を気にせず、若者が叫んでいた。
聞こえる。
絶望の声。
戻らない命への叫び。
受け入れられない事実への——
許せねぇよ。何でいきなり、魔物なんかが来るんだよ。
何で私たちが、こんな目に合わないといけないの。
何で、火なんか放ったんだ。
・・・泣き崩れる彼らの前に、もう息をしない者たちが横たわっていた。
火事で焼けた者。
崩れた壁に押し潰された者。
魔物に殺された者。
「王妃様は、姫様は!? セファル様も、どうなってしまわれたんだ!?」
誰かのその声に、シーナはようやく意識を取り戻す。
いない・・・いない! 母も、兄も。[この中]には、絶対にいない・・・!
シーナは今更、フードをかぶった。見られたくなかったのだ。
——わたしは、ひとり逃げ出したのだから——
「・・・っ!」
そこで初めて、シーナは気付く。兄の剣がなかった。生き延びて、返すはずだったのに。そこには、何もなかった。
(嘘・・・嘘! 一体、何処にっ・・・)
「おい!! これは・・・姫様の首飾りだ!!」
・・・違う者の声がした。
・・・シーナの中で、何かが壊れる音がした。
無我夢中で、人々を押しのけ、声の方向へ行く。
ペンダントを、まっすぐ見る。
それしかなかった。
その近くには、誰もいなかった。
兄の姿がない。
だが——シーナは、それを見て・・・拾い上げ・・・
「姫様!?」
「ヴェルシーナ殿下!!」
そして、そこに付いた一滴分の血に触れる。
[兄の血だ]。
「あ・・・・・・・・あぁぁぁっ・・・・・・・」
シーナの身体が、どうしようもないくらいに震える、涙が、絶望の形が、次々と溢れていく。
「うっ・・・うああああああああああああああっ!!」
そして、シーナは、声の限りに、叫んだ———
—————どこにいるの?
ここにいない兄の面影を、探しながら。
「——おい、城に火を放った奴の名が、分かったぜ」
どれくらい経ったのか。誰かが言う。シーナは、虚ろな目を、ゆっくりと開けた。
「どうやら・・・どこかの兵士らしい。フェイクス、とか言う奴らしいぞ」
どこから手に入れた情報だよ。やけに詳しいな。いや、ただの噂だ、確かに詳しすぎるのが気になるが・・・
あとの言葉は、聞こえなかった。
だが、十二歳の幼き姫君の眸は、先程とは打って変わった色を成していた。
『フェイクス』。
城に火を放った者の名。
——その眸は、抑えきれない強い感情を宿した、復讐の色だった——・・・。
・・・それから、何年たった?
[リーシア]は、目を細めた。
五年。そう、五年だ。
あれから——既にそれだけ経っているのに。未だ、何の収穫も得られていない。
母の消息も知れない。兄も——何もかも。
———————「・・・リーシャ? 夕飯だよ」
宿屋、マイレナは、戸惑いがちにリーシアの個室の扉を開いた。
彼女は寝ていた。だが、何処か、苦しそうに。
頼りない月明かりが、リーシアの顔面を白く濡らしている。何かが、小さく光った。
「リーシャ・・・泣いているの?」
返事はない。マイレナは哀しげに、唇を結んだ。ゆっくりと、扉を閉じる。
いつ気付くことになるのだろうか。十七歳の姫君の仇が、すぐ近くに見えていることは——
月が、ただ白く、夜を照らしている。
【 断章——リーシア 】 完結。
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