二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
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- ポケットモンスターBW *道標の灯火*
- 日時: 2020/09/15 16:16
- 名前: 霧火# (ID: HEG2uMET)
初めまして、霧火と申します。
昔からポケモンが好きで、今回小説を書こうと思いました。
舞台はポケットモンスターブラック・ホワイトの世界です…と言っても舞台はゲーム通り
イッシュ地方ですが、時間軸はゲームの【数年前】でオリジナル・捏造の要素が強いです。
そして、別地方のポケモンも登場します。Nとゲーチスは出ないかもしれません(予定)。
!注意事項!
↓
1.本作のメインキャラは【最強】ではありません。負ける事も多く悩んだりもします。
2.書く人間がお馬鹿なので、天才キャラは作れません。なんちゃって天才キャラは居ます。
3.バトル描写や台詞が長いので、とんとん拍子にバトルは進みません。バトルの流れは
ゲーム<アニメ寄りで、地形を利用したり攻撃を「躱せ」で避けたりします。
4.文才がない上にアイデアが浮かぶのも書くペースも遅いため、亀先輩に土下座するくらい
超鈍足更新です。
3〜4ヵ月に1話更新出来たら良い方で、その時の状態により6ヵ月〜1年掛かる事があります。
申し訳ありません。
新しいタイトルが発表されてポケモン世界が広がる中、BWの小説は需要無いかもしれませんが
1人でも多くの人に「面白い」「続きが気になる」と思ってもらえるよう精進致しますので、
読んでいただけたら有り難いです。
**コメントをくれたお客様**
白黒さん パーセンターさん プツ男さん シエルさん
もろっちさん 火矢 八重さん かのさん さーちゃんさん
有り難うございます。小説を書く励みになります++
登場人物(※ネタバレが多いのでご注意下さい)
>>77
出会い・旅立ち編
>>1 >>4 >>6 >>7 >>8 >>12 >>15
サンヨウシティ
>>20 >>21 >>22 >>23
vsプラズマ団
>>26 >>29 >>30 >>31
シッポウシティ
>>34 >>35 >>39 >>40 >>43 >>46 >>47 >>48 >>49 >>50 >>51 >>52 >>55 >>56
ヒウンシティ
>>65 >>66 >>67 >>68 >>69 >>70 >>71 >>72 >>75 >>76 >>78 >>79
ライモンシティ
>>80 >>82 >>83 >>88 >>89 >>90 >>91 >>94 >>95 >>98 >>99 >>100 >>101 >>102 >>103 >>106 >>116 >>121 >>122 >>123 >>126 >>127 >>128 >>130 >>131 >>134 >>137 >>138 >>141 >>142 >>143 >>144 >>145 >>148
>>149 >>150 >>151
修行編
>>152 >>153 >>155 >>156 >>157 >>160 >>163 >>166 >>167 >>168 >>169 >>170 >>171 >>173 >>174 >>175 >>176 >>177 >>178 >>180 >>182 >>183
>>185 >>187
番外編(敵side)
>>188
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- Re: 19章 リマvsマオ③ ( No.40 )
- 日時: 2020/07/16 14:45
- 名前: 霧火 (ID: HEG2uMET)
リマとマオの親子対決。
戦況はリマがムーランドとスワンナを倒して2勝、マオがエアームドを倒して1勝しており、
現在リマが優勢だ。
「エアームドも頑張ってくれたし〜ここは貴女に任せるわ。ガルーラ!」
エアームドをボールに戻したリマが次に繰り出したのは、お腹の袋に子供を入れている
某有袋類に似た姿をしたポケモン──親子ポケモンのガルーラだ。
「ガルーラ……確かカントーのポケモンよね?初めて見た!」
「俺もだ。何でも、現在判明しているガルーラの生息地は全国で4カ所しか無ぇらしい」
「そうなんだ。結構少ないのね」
「ガルーラに適した環境が今後見付かって、今より生息地が増える可能性もゼロじゃないけどな」
(袋の中の子、ちっちゃくて可愛い〜!)
滅多に見れないポケモンの登場にリオは目を輝かせる。
表情はあまり変わってないがそれはアキラも同じらしく、不意に鞄の中を探り始めた。
「何してるの?」
「ガルーラは希少種だし、育て屋達の間でも謎のポケモンとして伝わってるからな……
今のうちにレポートを書いておこうと思ってさ」
「珍しいっていうのは分かるけど、何で謎のポケモンなの?」
アキラの言葉にリオはこてん、と首を傾げる。
特に奇怪な姿をしている訳でも、変わった生態を持っている訳でもないからだ。
「だってさ、タマゴから孵った時には既に袋の中に子供が居るんだぜ?不思議じゃねぇか!
そもそも袋の中の子供は3年で親離れするって言うが、その時までに親と同じ大きさまで
成長するのか、独り立ちした後に年月を経て大人の姿になるのかも不明なんだ。
親が子供を出すのは安全だと判断した場所でだけ、つまり子供が親の袋から自主的に出て
親に別れを告げる時も、敵の気配が無い場所で密かに行われるんだろう。目撃例がゼロに
等しいから、あくまで憶測だが……」
「わ、分かった!ほら、バトルが始まるみたいだから続き見よっ?」
ノートに絵を描きながら力説するアキラにリオは顔が引き攣りそうになるが、何とか堪えて
リマ達の方を指差す。
まだ話の途中だったアキラはリオに話を中断されて不服そうに眉間に皺を寄せたが、このバトル
自体が滅多に見れない物だと思い、アキラも2人を見る。
隣でリオがほっと胸を撫で下ろしたのは秘密だ。
「私の最後のポケモンは……ドレディアよ!」
マオが最後に繰り出したのは、ロングスカートを履いたお嬢様の様な姿をしたポケモン──
花飾りポケモンのドレディアだ。
「あらあら。貴女、あの小さかったチュリネね?綺麗になったわね〜」
「そう……このドレディアは私が最初にゲットしたチュリネが進化した姿。綺麗にもなったし、
強くもなったのよ」
そう語るマオの表情は今までと違い自信に満ち溢れていた。
「先攻は貰うわよ!ドレディア!《花弁の舞》!」
ドレディアは飛び上がり、自分の周りに無数の美しい花弁を出現させると、ガルーラを囲み
幾度となく切り裂く。
「ガルーラ〜《ダブルアタック》よ〜」
「《蝶の舞》!」
ドレディアはガルーラの1撃目をダンスの様な動きで華麗に避けながら自分の特攻と特防と
素早さを上げる。
この時マオはガルーラの攻撃を見て、小回りが利かず攻撃のモーションも大きいため、2撃目も
容易に避けられると思っていた。
「なっ!?」
しかし2撃目は小さい〝何か〟に目にも止まらぬ速さで顎を殴られ、ドレディアは後退した。
「一体誰が、……!」
マオの疑問はすぐに解けた。
涙目のドレディアの視線の先には袋の中に入っているガルーラの子供が居た。
「……まさか。いいえ、そんなはず、」
「うふふ。正解よマオ。2回目に攻撃したのはガルーラの赤ちゃんよ」
その言葉に反応したのはマオでなく、レポートを書いていたアキラだった。
「嘘だろ!?ガルーラは子供を危険な目に遭わせる事はしねぇのに……!それこそ、戦わせるなんて
危険な事は、」
「普通はそうなんだけどね〜何故かこの子は敢えて子供もバトルに参加させるのよ」
困った様に笑うリマにリオは遠慮がちに手を上げる。
「で、でもこれだと2対1になるから反則じゃない?」
「ガルーラは親と子で1匹のポケモンなのよ。このくらいで反則なんて固い事言ってると、
この先何かあった時に苦労するわよ」
「お姉ちゃん……!」
(こんな優しくアドバイスしてくれるなんて珍しい!)
「まぁ、そうなったとしても私には一切関係ない事だし、お腹抱えて笑ってあげるわ」
(あ、やっぱり前言撤回……)
がっくりと肩を落とすリオを鼻で笑い、マオはリマと向き合う。
「まさかの伏兵に驚いたけれど、ここからが攻め時よ。《エナジーボール》!」
ドレディアは自然から集めた力を緑色の球状にして発射する。
《蝶の舞》で素早さが強化されているため、攻撃はあっという間にガルーラの額に命中した。
「反撃よ〜《巴投げ》〜!」
ガルーラはドレディアを引っ張り体を前へ崩れさせると、ドレディアの足の間に片足を入れる。
そして後ろへ倒れ込んで勢いよくドレディアを投げ飛ばす。
「《花弁の舞》!」
体が地面に叩き付けられる前にドレディアは大量の花弁を出現させると、一気に地面へと舞い散らす。
大量の花弁はクッションとなり、ドレディアのダメージを最小限に抑える。
「「……うまい!」」
「うふふ、やるわねマオ。だったらこの技はどうかしら?」
今まで笑っていたリマの目が、スッと細められた。
「《敵討ち》」
ガルーラは怒りの形相を浮かべ咆哮すると、ドレディアに向かって行く。
「《花弁の舞》でガルーラの勢いを止めるのよ!!」
ドレディアは無数の花弁を出現させると、檻の様にガルーラの周りを囲んで一気にガルーラを
切り裂いた。
しかしガルーラの勢いは止まる事なく、傷だらけになりながらも花弁の檻を脱出してドレディアに
腕を振り上げる。
「《エナジーボール》!」
ドレディアは手の平に緑色の球体を作り出し、ガルーラ目掛けて振りかざす。
『『!』』
お互いの攻撃が直撃し、ガルーラは木に、ドレディアは【試しの岩】に体を打ち付ける。
「立ちなさいドレディア!貴女なら出来るはずよ!」
マオの言葉にドレディアはよろよろと立ち上がる。
──しかし。
『……ッ』
「ドレディア!!」
立ち上がったのも一瞬で、ドレディアの足は崩れ、前のめりに倒れた。
そして入れ代わるようにガルーラが立ち上がった。
周りに密集している木の葉っぱがクッション代わりとなり、ダメージが軽減されたのだ。
「…私の、勝ちね。マオ」
己の勝利を喜ぶ様に、ガルーラは雄叫びをあげた。
その声は風に乗り、遠くへと流れて行った──
リマvsマオの親子対決はリマの勝利で幕を閉じました。
今回は意外な伏兵……ガルーラの子供が最初だけ活躍しましたが、実際ガルーラの子供って
強いんでしょうか?
3年で親離れしますが、それまでにどのくらい強くなるのか……ううむ、疑問です。
アキラが語った〝タマゴから孵った時のガルーラの袋の中の子供〟については、
長年の自分の疑問をアキラに代弁して貰いました。
長くなりましたが、次回、いよいよジムに挑戦します。
それでは次回もお楽しみに!
- Re: ポケットモンスターBW 道標の灯火 ( No.41 )
- 日時: 2020/08/19 22:49
- 名前: 霧火 (ID: HEG2uMET)
*本作の登場人物*
名前:リオ 性別:女 年齢:10歳
容姿:肩まである金色の髪にパッチリとした黒目。
服装はキャミソールの上に丈が長いフード付きの白のパーカーを羽織り、
下には短パンと黒のニーソックスを履いている。
腰のベルトにモンスターボールをセットし首からはケルディオの水色の毛と赤い毛が
吊るされたネックレスを下げ、黄緑色のリュックを担いでいる。
ライブキャスターの色は赤色。
性格:正義感が強く、特にポケモンが絡むと熱くなりやすい。
大自然に囲まれて育ったせいか、結構たくましくて男前。
その性格故、周囲の人間を振り回す事も多いが、幼馴染や姉には逆に振り回されている。
バトルになると意外に機転が利き、誰も思いつかないような戦略で
自分の流れを作る。ただしそれ以外の事(ポケモンとは関係ない本や資料など)には頭が回らない。
備考:主にスポットライトが当たるキャラ(NOT主人公)。住んでいるのはカノコタウンではなく、
【電気石の洞穴】の手前にある一軒家(回復できる場所)で母、姉、祖父、自分の4人家族。
ポケモンに懐かれやすい体質で、野生のポケモンがよく寄って来る。
手持ち
ヒトモシ♀(特性:影踏み)
技 :煉獄・弾ける炎・目覚めるパワー(氷)・スモッグ
性格:控えめ、悪戯が好き
備考:4年前、空から落ちて来た所を【タワーオブヘブン】の近くに居たリオに助けられ、
そのまま友達 兼 家族となり、今では1番のパートナーでリオとアキラが大好き。
過去にミルホッグと何かがあったようだが…?
シビシラス♂(特性:浮遊)
技 :スパーク・チャージビーム・体当たり・電磁波
性格:大人しい、体が丈夫
備考:のんびり屋で怒る事が滅多にない大人しい子。
昔からリオとは知り合いで、リオが旅立つ前の日に自らバトルを挑み
激闘の末ゲットされた。
チラーミィ♀(特性:テクニシャン)
技 :アクアテール・スイープビンタ・スピードスター・歌う
性格:素直、物音に敏感
備考:ハジ達に貰ったタマゴから孵った(生まれたのは【ヤグルマの森】)。
生まれたばかりの子供だが、素早さと身軽さは現在の手持ちの中でNo.1。
バルチャイ♀(特性:鳩胸)
技 :騙し討ち・風起こし・乱れ突き・羽休め
性格:真面目、昼寝をよくする
備考:【スカイアローブリッジ】で失くした骨を探している所でリオと出会う。
自分のために一生懸命骨を探し、見付けてくれたリオを好きになり
ヒウンシティのポケモンセンターでリオの仲間となった。
登場人物の欄につきましては、新しいポケモンをゲット、
手持ちのポケモンが進化したりと、話が進む度に随時更新していきます。
- Re: ポケットモンスターBW 道標の灯火 ( No.42 )
- 日時: 2020/06/17 15:38
- 名前: 霧火 (ID: HEG2uMET)
名前:アキラ 性別:男 年齢:11歳
容姿:肩より少し長い赤髪で前髪を右に流している。
メガネを掛けているが、これは良すぎる自分の視力を抑えるためにワザと掛けている。
服装はチェック柄のTシャツの上に紺色のジージャンを着ていて(前は少し開けている)、
下は黒のジーンズとブーツを履いている。肩からショルダーバッグを掛けていて、
ボールやライブキャスターは外ポケットに入っている。
たまにしか冠らないが、チェック柄の帽子もこのバッグの中にある。
性格:楽観的で女の子大好き、正直軽くて鬱陶しい性格だが
幼馴染であるリオや家族を傷付ける奴には、例え女の子であっても容赦しない。
見た事ないポケモンに会うとレポートを取る癖がある。
備考:リオの幼馴染で親友、そして1番のライバル。
ライモンシティに住んでいてそこで母親と2人暮らし。
祖父母が育て屋をしていて小さい頃から遊びに行っていたため、
ポケモンに関する知識は中々のもの。
リオをからかう(ちょっかいを出す)のが大好きで、会うと必ずからかう。
手持ち
イーブイ♂(特性:適応力)
技 :噛み付く・電光石火・目覚めるパワー(水)・影分身
性格:真面目、物音に敏感。
備考:1年前、10歳の誕生日の時に祖父母から貰った卵から孵り、
アキラのパートナーとなる。自由を好み、ボールの中に入るのが嫌いなため、
基本的にボールから出ている。リオに懐いている。
ムンナ♀(特性:シンクロ)
技 :思念の頭突き・サイケ光線・催眠術・月の光
性格:穏やか、昼寝をよくする。
備考:【夢の跡地】でゲットした。常に欠伸をしていて、バトル以外では大抵寝ている。
モグリュー♂(特性:砂掻き)
技 :岩雪崩・穴を掘る・切り裂く・メタルクロー
性格:意地っ張り、血の気が多い
備考:【地下水脈の穴】でゲットした。自分より大きな相手にも
怯む事なく、果敢に挑む。
ポケモンのタマゴ
- Re: 20章 シッポウシティ ナチュラル ボーン ママ登場! ( No.43 )
- 日時: 2020/07/26 16:04
- 名前: 霧火 (ID: HEG2uMET)
リマvsマオの親子対決は、母親のリマの勝利で幕を閉じた。
そして4人はシッポウシティまで移動し、リオとアキラは2人を見送ろうとしていた。
「お母さんもお姉ちゃんも良いバトルだったわ!私、興奮しちゃった!」
「うふふ、ありがとう。2人はこれからジム戦よね?頑張ってね」
興奮気味に握り拳を作る娘を、微笑ましく見るリマ。
そんな母に負けず劣らずの笑顔で返事をしたリオだったが、誰かに鼻で笑われた事に気付いて
その人物を捜すと、案の定笑っていたのは姉のマオだった。
「ふん。それなら良いバトルを見せてあげたのだから、見学料として1人5000円払って貰おうかしら」
「Σごっ、ごせっ……!?」
「もう、マオったら。あまりイジワルしちゃ駄目よ」
邪悪な笑みを浮かべて掌を出すマオと、姉の言葉に固まるリオ、マオを注意しながらも
笑顔を絶やさないリマ。
そんな3人を遠くから見守っていたアキラは、肩に乗っているイーブイを撫でる。
「イーブイ。俺、マオさんを誤解してたよ」
『ブィヤー?』
突然の言葉にイーブイは不思議そうにアキラを見る。
(ドレディアの頭の花は手入れを怠るとすぐ枯れちまう。仮に手入れを毎日やっても、
少しの環境の変化やメシの味、疲れとかで大体色が燻んで、本来の美しさを保つのは難しい。
でも、マオさんのドレディアの花は見惚れるくらい綺麗で……あんな綺麗に咲いてるって事は、
マオさんがドレディアを本当に大切にしてる証拠。滅茶苦茶プライド高ぇ人だからポケモンにも
厳しいのかと思ってたけど、そんな事は無かったんだな。リマさんとのバトルに負けても
特に変化は無ぇし……リオを心配させるような事言ったけど、俺の思い過ごしだったみてぇだな)
「万が一アンタ達がジムバッジを全部集めて四天王を倒したら、チャンピオンになった私が
潰してあげる。覚悟する事ね」
「じゃあね2人共。家の近くまで来たら顔見せるのよ〜」
そう言ってマオとリマはポケモンに乗って飛び去っていった。
「じゃあ俺達もジム戦しに行くか!」
「そうね!……ところでジムって一体どこにあるの?見た限り無さそうだけど」
「えーと、ジムは……あった。ここみてぇだな」
アキラが指差した先にあったのは、シッポウシティに着いた時からその存在を主張していた
大きな博物館だった。
一瞬冗談かと思ったリオだったが、ジムも一緒に経営しているならこの大きさも理解出来る。
「大きな博物館だとは思ってたけど、まさかジムも兼ねてたなんてね」
「パンフレット見ねぇと分からねぇよな。初めて来たトレーナーとか、ジム探して
街中駆け回りそうだよな!」
楽しそうに笑うアキラに適当に相槌を打って中に入ると、大きな骨がリオ達を出迎えた。
その大きさと迫力に2人は圧倒される。
「……大きいわね。それになんだか綺麗」
「ドラゴンタイプの骨格だな。どことなくカイリューの骨格に似てるな」
「君達、見る目がありますね!!」
「あ?」
「え?」
興奮気味の声に驚いた2人が声が聞こえた方を見ると、階段を上がった先に眼鏡を掛けた
優しそうな男性が立っていた。
「何だ男かよ」
面倒臭そうな顔で呟くアキラの横腹を軽く肘で突き、リオは早足で来た男性に会釈する。
「えっと、貴方は?」
「これはこれは、自己紹介が遅れました!わたくし、副館長のキダチという者です」
お辞儀をした後にニッコリと笑うキダチ。
自然に差し出された手を握り、リオも笑顔で自己紹介をする。
「私はリオっていいます。今日はジムに挑戦しに来ました」
「……アキラです。俺もジム戦しに来ました」
笑顔で対応するリオとは対照的に、アキラは相手が男だからか、やはり愛想が良くない。
しかしそれに機嫌を悪くする事なく、握手を終えたキダチはリオの両肩をガシリ、と掴んだ。
驚きでリオの肩が微かに跳ね、アキラの片眉が上がる。
「折角いらしたのですから、わたくしが館内を案内しましょう!」
「え!?あの、私達は先にジム戦を、」
「いやはや……女性で、しかもこの年から化石の良さが分かるとは感心感激です!」
「確かにポケモンの化石とか骨とか、ポケモンに関する事には興味がありますけど、」
「そうですか!ポケモンの化石は勿論、隕石等の興味深い展示物も沢山あるので是非それ等も
見て行って下さい!」
「ま、また今度、時間がある時に見て良いですか?」
「大丈夫です、時間は掛かりませんから!」
人の話を聞いている様で全く聞かないキダチにリオが困っていると、アキラが前に出て
キダチの肩をぐっと押し退けた。
必然的にキダチの手もリオから離れる。
「キダチさん。俺、化石とかすごーく興味あるんすよ。俺に館内を案内して下さい」
「え、でもリオちゃんにも案内を……」
「 い い で す よ ね ? 」
「…………はい」
有無を言わさないアキラの威圧的な笑顔にキダチは冷や汗を流す。
しかしすぐに気を取り直しリオの方を向く。
「階段を上がった先がジムとなっております。1番奥で強くて優しいジムリーダーが待ってます。
因みに、ジムリーダーのアロエはわたくしの奥さんなのです」
最後の一言で一気に頬が緩んだキダチを見て、
((惚気か!))
2人が心の中で突っ込んだのは言うまでもない。
┼ ┼ ┼ ┼ ┼ ┼ ┼ ┼ ┼ ┼
「いらっしゃい!挑戦者かい?」
終わりの見えない会話に終止符を打って助けてくれたアキラにお礼を言い、アキラに強引に
引き摺られて行くキダチを複雑な気持ちで見送って奥に進むと、色黒で大柄な女性がリオを
笑顔で出迎えた。
この人がジムリーダーだと、リオは直感で分かった。
「はい、リオって言います。アロエさんに挑戦しに来ました」
「あははっ!リオ、アンタは運が良いね!」
「え?」
口を大きく開けて豪快に笑うジムリーダー……アロエに、リオは首を傾げる。
「本来挑戦者には本の問題と仕掛けを解いて、あたしが居る部屋に来て貰うんだけどね……
見ての通り、今日はここにある本を綺麗にして入れ替える、年に1度の特大・大掃除の日なんだ」
そう言われてみれば脚立に乗って本棚から本を取り出す人、同じ様に脚立に乗って空になった
本棚の上と中の埃を箒と掃除機で取り払い雑巾で拭く人、下に落ちた埃をゴミ袋に入れる人、
新聞紙の上に本を広げて扇風機を当てている人、洗剤と消しゴムと紙やすりを使って本の汚れや
黄ばみを落としている人、本をパラパラと捲って選別して仕分ける人、新しい雑巾とゴミ袋を
持って回る人等々……沢山の人が忙しなく動いていた。
「掃除中の皆の邪魔をするのも、掃除中だからって挑戦者のアンタを追い返すのも気が引ける。
だから仕掛けを解かずに、このままあたしとバトルして貰うよ。ついておいで」
アロエと一緒に地下へと続く階段を下りると、少し薄暗い部屋に辿り着いた。
部屋にはガラスショーケースが2つと、階段を上がった場所には大きな机と本棚があった。
恐らくアロエはこの地下で館長の仕事をしているのだろう。
「ここでバトルをするんですか?」
「ああ。どうしたんだい、そんな不安そうな顔をして」
「……バトルでガラスが割れて中の物が壊れたり、本が飛んで破れないかな、と」
ガラスショーケースの中には何かの骨と研究資料が入っており、どのくらい価値があるのか
リオには分からないが、地下にこうして大事に保管されているのだから大切な資料なのだろう。
奥にある本も先程見た大量の本よりも古びていて分厚く、難しいタイトルが書かれた物ばかりで、
貴重な資料だと分かる。
或いは思い出の品だから地下の、自分の目の届く場所に置いてあるのかもしれない。
(どちらにせよ、資料に傷と折り目の1つでも付けたらアロエさんに申し訳無い……!)
「大丈夫だよ」
リオの不安を払拭する様にアロエは笑うと、リオに背を向けて階段を上がった。
そして壁に掛けられたジムの入口で見る像と同じ形が描かれた絵をグッと押すと、音を立てて
ガラスショーケースと机と本棚が床下や壁に収納され、障害物が無くバトルをするには充分の
スペース……バトルフィールドが出来上がった。
「凄い、こんな仕掛けが……」
「これで思う存分暴れられるだろう?」
お茶目にウインクしたアロエにリオは胸に手を当て、大きく息を吐きいた。
「良かった〜!これでアロエさんの物を傷付けずに済む……」
「プッ……あっはっはっはっは!」
「!?」
突然大笑いをしたアロエにリオは肩を揺らす。
(今日は驚いてばかりね、私……)
リオはドキドキと脈打つ心臓を落ち着かせながらアロエの言葉を待つ。
リオの視線に気付いたアロエは片手を挙げて「笑ってすまないね」と軽く謝罪をして話を続ける。
「博物館をジムだと気付かない挑戦者は結構多くてね。ジムを探して走り回って、漸くジムに
着いたのに仕掛けを解かなきゃジムリーダーに挑戦出来ない。しかもわざわざ脚立を使って
本棚にある本を調べなきゃならない……その所為か、仕掛けを解いて地下に来る挑戦者は
疲れているか、あたしに対して苛ついている子ばかりだったんだ。過去にはリオみたいに
すぐにジムを見付けて、仕掛けを解かずにあたしに挑戦出来たトレーナーも数人居たが、
今日中に次の街に行きたいからとか、この後ゆっくりしたいからとか……色々な事情があったが
早くジム戦をしようと急かす子ばかりだった」
ふっと笑い、アロエはリオの頭をわしゃわしゃと撫でる。
その力強さにリオは抵抗も何も出来ず、ただされるがままだ。
「まさか、この部屋の仕掛けに大きな目を真ん丸にして驚いてくれるだけじゃなく、
あたしの研究資料と論文の心配までしてくれるなんてね。こんな面白い挑戦者は初めてだ」
「アロエさん、髪が!髪が爆発します!」
「ああ!すまないね」
やっとナデナデから解放されたリオは安堵の溜め息を吐いた。
しかしアロエ本人が至極嬉しそうなので文句を言う気にはなれなかった。
髪はバトル後にいくらでも整えられるので、とりあえずそのままにしておく。
「さて、と。審判の方はどうしようかね」
「ふむふむ、成る程。では審判は私が勤めましょう」
顎に手を当てて考え込むアロエの近くに歩いて来たのは黒髪で眼鏡を掛けた白衣の女性。
「ああ。旦那は博物館の方に行っちまったからね……悪いけど頼むよサトミ」
「はい。それではシッポウジム、ジム戦を始めます。使用ポケモンは2体。先に2体共、
戦闘不能になった方が負けです。ポケモンの交代は挑戦者のみ認められます。
では両者、ポケモンを!」
「それじゃあ、あたしからお披露目と行くよ!出て来な、ハーデリア!」
アロエが繰り出したのは顔に髭が生え、背中の黒いマントが特徴のヨーテリーの進化系──忠犬ポケモンの
ハーデリアだ。
「じゃあ私は……行くのよ、シビシラス!」
それに対してリオの先発はシビシラスだ。
「リオ、愛情込めて育てたポケモンでどんな戦い方をするのか……研究させて貰うよ!」
「望む所です!」
リオとアロエのバトルが今、始まる。
- Re: ポケットモンスターBW 道標の灯火 *参照500突破感謝* ( No.44 )
- 日時: 2011/11/26 23:36
- 名前: 白黒 ◆KI8qrx8iDI (ID: GSdZuDdd)
- 参照: http://www40.atwiki.jp/altair0/pages/308.html
マオ対リマのバトルは、やはりと言うか何と言うか、リマが勝利しましたね。
それにしてもガルーラの子供で攻撃するとは……完全に予想外でした。でも確かに、不意討ちとかには使えそうですよね。
そしてリオは遂にシッポウジム戦ですか。そういえばうちにいましたね、ジムを探して街中駆け回った少年が。
大掃除で運良く謎解きをせずに直接アロエとバトルに突入。アロエがどう戦うかと、それに対するリオの戦略はどうなのか。楽しみですね。
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