二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
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- ポケットモンスターBW *道標の灯火*
- 日時: 2020/09/15 16:16
- 名前: 霧火# (ID: HEG2uMET)
初めまして、霧火と申します。
昔からポケモンが好きで、今回小説を書こうと思いました。
舞台はポケットモンスターブラック・ホワイトの世界です…と言っても舞台はゲーム通り
イッシュ地方ですが、時間軸はゲームの【数年前】でオリジナル・捏造の要素が強いです。
そして、別地方のポケモンも登場します。Nとゲーチスは出ないかもしれません(予定)。
!注意事項!
↓
1.本作のメインキャラは【最強】ではありません。負ける事も多く悩んだりもします。
2.書く人間がお馬鹿なので、天才キャラは作れません。なんちゃって天才キャラは居ます。
3.バトル描写や台詞が長いので、とんとん拍子にバトルは進みません。バトルの流れは
ゲーム<アニメ寄りで、地形を利用したり攻撃を「躱せ」で避けたりします。
4.文才がない上にアイデアが浮かぶのも書くペースも遅いため、亀先輩に土下座するくらい
超鈍足更新です。
3〜4ヵ月に1話更新出来たら良い方で、その時の状態により6ヵ月〜1年掛かる事があります。
申し訳ありません。
新しいタイトルが発表されてポケモン世界が広がる中、BWの小説は需要無いかもしれませんが
1人でも多くの人に「面白い」「続きが気になる」と思ってもらえるよう精進致しますので、
読んでいただけたら有り難いです。
**コメントをくれたお客様**
白黒さん パーセンターさん プツ男さん シエルさん
もろっちさん 火矢 八重さん かのさん さーちゃんさん
有り難うございます。小説を書く励みになります++
登場人物(※ネタバレが多いのでご注意下さい)
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出会い・旅立ち編
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サンヨウシティ
>>20 >>21 >>22 >>23
vsプラズマ団
>>26 >>29 >>30 >>31
シッポウシティ
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ヒウンシティ
>>65 >>66 >>67 >>68 >>69 >>70 >>71 >>72 >>75 >>76 >>78 >>79
ライモンシティ
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>>149 >>150 >>151
修行編
>>152 >>153 >>155 >>156 >>157 >>160 >>163 >>166 >>167 >>168 >>169 >>170 >>171 >>173 >>174 >>175 >>176 >>177 >>178 >>180 >>182 >>183
>>185 >>187
番外編(敵side)
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- Re: ポケットモンスターBW 道標の灯火 ( No.5 )
- 日時: 2011/10/13 22:36
- 名前: 白黒 ◆KI8qrx8iDI (ID: GSdZuDdd)
- 参照: http://www40.atwiki.jp/altair0/pages/308.html
見事にミルホッグがムードブレイカーになってますね。
確かに、あの辺に出てくるミルホッグは怒りの前歯や怪しい光で随分体力削られますからね……やられる事はほとんどないですが。
それにしても数十匹のミルホッグに囲まれるとは……リオとアキラ、そしてヒトモし、大ピンチですね。
この危機をどう乗り越えるのか、そして何故ミルホッグが出て来たのかが気になりますね。
- Re: 3章 戦い ( No.6 )
- 日時: 2020/06/23 15:27
- 名前: 霧火 (ID: HEG2uMET)
突如現れたミルホッグの群れに、リオ達は為す術も無くあっという間に取り囲まれてしまった。
「ど、どうするリオ」
「じっとしてよう。ミルホッグ達も、戦う気は無いみたいだし」
ミルホッグ達はリオとアキラをジロジロ見ているだけで(それでも目付きの所為でかなり恐いが)、
一切攻撃をしてこない。
きっとこの付近はミルホッグ達の縄張りで、ずっと滞在していた自分達を不審に思ったんだろう。
それなら自分達が無害だと証明する為にも大人しくしておいた方が良い。
それが、リオの出した答えだった。
ヒトモシはというと、目を瞑って小刻みに震えている。
ミルホッグ達が姿を現してからずっとこんな調子だ。
(突然攻撃して来ただけでも恐いのに、自分より大きい相手がこんなに沢山居るんだもん。
恐いのは当たり前よね……)
ヒトモシの為にも早くこの場から抜け出したいという気持ちと、焦ったらダメだという気持ちが
リオの中で交差する。
『……』
無害だと分かったのか、1匹のミルホッグが道を開けた。
——刹那。
リオの横を白い球状の物が飛んで行き、道を開けたミルホッグに当たった瞬間——爆発した。
突然の出来事にミルホッグ達は勿論リオとアキラも反応が遅れたが、黒焦げになって目を回している仲間を
見た瞬間、ミルホッグ達の敵意は一斉にリオ達に向けられた。
「違う!俺達がやったんじゃない!!」
アキラが誤解を解こうと前に出るが頭に血が上っているのか、ミルホッグの1匹が飛び上がり鋼鉄の尻尾を
アキラ目掛けて振り下ろそうとした。
「アキラ!!」
「《熱風》じゃ!」
尻尾がアキラに当たる直前に、リオでもアキラの物でもない低い声が辺り一面に響いた。
そして間髪入れず、尻尾を振り下ろそうとしていたミルホッグを熱を帯びた風が襲った。
突然の襲撃に防御が間に合わなかったミルホッグは吹き飛ばされ、そのまま戦闘不能となった。
「無防備な子供と恐がっておるポケモンに対し大勢で襲うとは……恥を知れ!」
声のする方を振り返ると、塔から1人の人物が出て来た。
茶色のシャツとくすんだ黒のズボンに使い古したサンダルを履き、鼻の下に生えた立派な髭と
太陽が無くともキラリと眩しく光り輝く頭。
その傍らには黄金色の美しい毛並みと長い9本の尾を持つポケモン——狐ポケモンのキュウコン。
「お、お爺ちゃん!」
「ムトーさん!?」
それは間違いなく、リオの祖父であるムトー本人だった。
「ん?何じゃリオか!てっきりアキラ君の男友達かと思ったわい!」
「確かにズボン履いてるけど……」
眩しい笑顔で言う祖父に(ついでに頭も眩しい)リオは肩を落とす。
自分でも女らしさが欠けている事は自覚していたが、流石に男と間違えられるのは凹む。
しかも毎日顔を見合わせている身内に。
「楽しんでるとこ悪ぃけど、ゆっくり話してる場合じゃなさそうっすよ」
「おお!そうじゃった」
アキラの言葉で思い出したかの様にミルホッグ達と対峙するムトー。
かなりのマイペースっぷりである。
「キュウコン、先程は挨拶代わりじゃったが今度は本気で《熱風》じゃ!」
キュウコンは口を開けるとミルホッグ目掛けて熱を帯びた息を吐きだす。
その息は先程の物より数倍も熱く、攻撃が当たったミルホッグは戦闘不能に、攻撃が掠っただけの
ミルホッグも体に軽い火傷を負った。
半分以上に削られた戦力に焦ったのか、ミルホッグ達は顔を見合わせると一斉に手を回し始めた。
「む?あの動きは《催眠術》か。キュウコン、目を閉じるんじゃ」
ムトーは指示と同時に目を閉じる。
それを確認したキュウコンもまた、ムトーと同じく目を閉じた。
「確かにミルホッグの動きを見なけりゃ大丈夫だとは思うが……」
「でもお爺ちゃん!それだと何も見えないわ!電気技を使うミルホッグも何処かに居るみたいだし、
目は開けておいた方がっ」
多くの敵を前にして視界を絶つなど、攻撃をして下さいと言っている様な物だ。
見守る事しか出来ないリオは半ば叫ぶ様に言う。
「慌てるでない、リオ」
静かに制したムトーに、リオは口を閉じる。
「わしはお前達に比べれば遥かにトレーナー歴が長い。色々なポケモンと出会い、バトルもして来た。
当然、ミルホッグともな」
リオとアキラはムトーの話に耳を傾ける。
少し前まで狼狽ていたのが嘘の様に、静かに。
「何度も同じポケモンと戦っていると、自然とそのポケモンの癖や行動パターンが見えて来る。
それを逆手に取り、自分の流れへと変える……これほど愉快な物は無いじゃろう?」
目を閉じたまま笑みを浮かべるムトーとキュウコンに、リオ達は言葉では言い表せない、
圧倒的な力を感じた。
「例えばミルホッグの癖は、」
《催眠術》が効かないと分かるや否や半数のミルホッグが歯を剥き出して、残りのミルホッグは
各々尻尾を硬化させ、黒い塊を生成してキュウコンとムトーに襲い掛かる。
「成程。ならば《エナジーボール》」
しかしムトーは目を閉じたまま3匹のミルホッグの攻撃を躱すとキュウコンに指示を出す。
キュウコンもまた同じ状態で口から緑色の球体を数個出現させ、全弾ミルホッグ達に命中させる。
「ど、どうして?2人共目を瞑ってるのに、まるで居場所が分かってるみたい……!」
「そうか、音だ!」
「音?」
「ああ。ミルホッグは戦う時、尻尾を上下に動かして背中に打ち付ける癖があるんだ。
自分を奮い立たせる様にな。ムトーさんはきっと、その時に鳴る音を頼りに
ミルホッグの居場所を特定してるんだ」
ミルホッグを見ると、確かにアキラの言う通り大半が尻尾で体を叩いている。
「でもバトル中だと色んな音がしてそんな小さな音、聞こえ辛いのに……」
「俺達には聞こえないけどムトーさんには聞こえてんだろ。経験の差ってヤツだな」
そう呟いたアキラは尊敬の眼差しをムトーに向ける。
しかし言葉とその眼差しとは裏腹に、リオにはどこか悔しがってる様に見えた。
気が付くとムトー達の周りには気絶したミルホッグ達が転がっていて、起き上がっているのは
1匹だけとなっていた。
「お前さんで最後じゃぞ。どうする、降参するか?」
ミルホッグが怒りの形相で歯を伸ばして飛び掛る。
ミルホッグの《怒りの前歯》だ。
「そうか。ならばキュウコン!《神通力》で終いじゃ!!」
キュウコンの体が紫色に光り、飛び掛ろうとしたミルホッグを天高く吹き飛ばす。
宙を舞ったミルホッグは地面に叩き付けられて暫く身じろいだが、そのまま戦闘不能となった。
ミルホッグ50匹との戦いは、ムトーとキュウコンの勝利で幕を閉じたのだった。
リオとアキラ、ヒトモシのピンチを救ったのはまさかのリオのお爺ちゃんでした。
最初はリマを助けに行かせようかと思いましたが、ゲームのあるセリフを思い出し、
急遽ムトーさんに変更しました。
ヒトモシが活躍してませんが、恐がってるので仕方ありませんね。
では長話もこれくらいにして(本編がかなり長くなったので)
次回もお楽しみに。
- Re: 4章 動き出す ( No.7 )
- 日時: 2020/06/23 15:57
- 名前: 霧火 (ID: HEG2uMET)
「お爺ちゃん凄い!あんなに居たミルホッグ達を全部倒しちゃうなんて!」
「これこれ、落ち着きなさいリオ」
「俺と居る時は冷静で堅っ苦しいのにな。何だ、ギャップ萌えでも狙ってんのか〜?」
けらけら笑うアキラを持っていたモモンの実を口の中に突っ込む事で黙らせる。
ここで鞄の中にあったマトマの実を突っ込まなかったのはリオの良心だろう。
ヒトモシはミルホッグが気絶した事により安心したのか、今はキュウコンの尻尾を弄って遊んでいる。
「それに全部は倒してはおらんわい。厄介な者に逃げられた」
悔し気に髭を撫でるムトーにアキラは首を傾げる。
「厄介な者ってどんな奴っすか?」
「リオが忠告してくれたじゃろう、電気技を使うミルホッグが居ると。遠距離持ちは厄介じゃから
戦いながらその者を捜したが、見付からなかった。恐らく他のミルホッグに攻撃を任せ自分は
安全な場所から指示しとったんじゃろう。そういう狡賢い者ほど野放しにしておいたら後々
面倒なんじゃ。またいつ悪さを仕出かすか……」
唸るムトーだったが、すぐに諦めたように息を吐いた。
「しかし逃げられてしまったものは仕方ない。今度会った時に悪さをしとったら、
再びお灸を据えてやるとしよう。のう、キュウコン?」
キュウコンにウインクするその姿は、先程まで戦っていた人物とは思えないほど茶目っ気たっぷりだ。
「コホン……さて、と。ミルホッグについては一件落着したっつー事で、続きやんないとな」
「続き?何の?」
リオはこの際肩を抱いているのは無視して、アキラの顔を見る。
「だーかーら!さっきの続きだよ。チビ助の返事、聞いてねぇだろ?」
「あ、そうだった。ヒトモシ」
リオが呼ぶとヒトモシは遊ぶのをやめ、よちよちと覚束ない足取りでリオの足元まで来る。
「さっき言おうとしてた事の続きなんだけどね」
ヒトモシはリオの目を見つめる。
「あなたさえよければ、私と友達に……きゃっ!」
言い終わるより先に、ヒトモシはリオに抱き着いた。
その小さな目から大粒の涙を零して。
「返事は聞くまでもなかったみたいじゃな」
「よっぽど嬉しかったんっすね。俺、ヒトモシが泣くとこ初めて見ましたよ。仲間が周りに居て、
いつも笑ってるヒトモシが泣くなんて……」
泣き止まないヒトモシをあやす様に、背中を優しく撫でるリオを見ながらアキラは笑う。
(出会って3時間程度しか経ってないのが嘘みたいだな。リオが相手だから、かな)
「回復したら一緒に家に帰ろう。これからはずっと一緒だからね」
『モシ!』
「リマ達も待っておる。遅くならぬうちにポケモンセンターへ急ぐとしよう」
「はい」
ムトーはキュウコンをボールに戻してリオ達を促す。
最初にアキラが動き出し、リオもヒトモシを抱き直して歩き出す。
「!」
2、3歩歩いた所で突然リオが振り返った。
後ろに居たムトーは衝突しない様に足を止め、目を瞬かせる。
「どうしたんじゃリオ」
「え、あ、ううん。何でもないの」
(今、誰かに見られていた様な……)
しかし自分の後ろに居るのは祖父だけで他には誰も居ない。
「リオー!ムトーさーん!」
(気のせい、よね)
「今行くー!」
リオは前を向くと手を振るアキラの近くまで走って行く。
じゃれ合う2人の姿に和んでから、ムトーは後ろに聳え立つ塔を見上げる。
「また来年来るからの、モンメン」
笑顔で手を振ると、ムトーは先を行く2人の後を追いかけた。
「……チッ」
その時リオ達の後姿を見ている者が居た事など、リオ達は知る由も無い。
┼ ┼ ┼ ┼ ┼ ┼ ┼ ┼ ┼ ┼
帰り道は割りと楽で、ヒトモシの回復を済ませたリオ達はあっという間に家に着いた。
そしてリオがドアを開けた瞬間、オボンの実が顔面目掛けて飛んで来た。
(こんな事をするのは1人しか居ない)
飛んで来た実を手で受け止め、後ろに居たアキラに手渡す。
その際「俺にどうしろと……食えってか?食って良いのか?」という、困惑したアキラの呟きが
聞こえた気がするが、今は気のせいにしておこう。
「いきなりは酷いんじゃない?お姉ちゃん」
「そうよマオ〜当たったら痛いじゃない」
母にまで軽く注意され、胸の位置まで伸びた緩くウェーブがかった金髪を指先でくるくると
弄っていたリオの姉であるマオは、挑発的な笑みを浮かべたまま妹を見た。
赤い瞳がギラり、と光る。
「私は悪くないわ。お爺ちゃんは兎も角、妹のアンタが姉である私を待たせるのが悪いの。
よって、悪いのはアンタよ」
「あー、うん……何かもうそれで良いや」
長い足を組み直して開き直る姉にリオは諦めて椅子に座る。
そこでふと、アキラが家の中に入らないのに気付き、声を掛ける。
「どうしたのアキラ。入らないの?」
「いや……俺、今日はもう家に帰るわ」
「残念ね〜でもまたいらっしゃい。アキラ君ならいつでも大歓迎よ〜」
「ありがとうございます。では、俺はこれで」
「なっ、ちょっと待ってよ!ごめんお母さん!私、途中まで一緒に行って来る!」
頭を下げて背を向けたアキラの後をリオは追った。
「俺さ、今日の事で思い知らされた。知識だけじゃ何も出来ねぇんだって」
アキラは【ホドモエの跳ね橋】を歩いている途中で立ち止まり、空を見上げて呟いた。
いつもより声のトーンも低く、落ち込んでいるのが分かった。
しかし、それはリオも同じだった。
「私だってそうよ。ヒトモシが恐がってたのに何も出来なかった」
握り拳を作るリオを一瞥して、アキラは持っていたオボンの実をリオに投げ渡す。
「俺、いつかポケモントレーナーとして旅に出る!もっとこの世界を知りてぇんだ」
「私も。ヒトモシと一緒に色んな所に行きたい……冒険したい!」
「あ!旅に出る時は俺にも連絡しろよ?俺もすぐ準備して旅に出っから」
ビシィッと指を突き立てるアキラに溜息を吐く。
「別に待ってなくて良いのに」
「バーカ、それじゃあフェアじゃねぇし面白くねぇだろ?スタートは同じじゃねぇと」
「な、何でよ」
「俺達は幼馴染で親友で……ライバルなんだからな」
暫く沈黙が続いたが、少し経ってからお互いに噴出す。
気付けば、空はオレンジ色に染まっていた。
同刻——
「成る程、失敗したんだねぇ」
「も、申し訳ありません!ミルホッグを忍ばせ、野生のミルホッグ達を誘導するまでは
順調に行っていたのですが邪魔が入りましてっ、折角ミルホッグまで貸して頂いたのに……!」
「無傷でミルホッグを連れ帰ってくれただけでも充分だよ。深追いしても良い事なんて
な〜んにも無いからねぇ」
白衣の男は首を垂れる男からモンスターボールを受け取り机の上に置く。
そして傍にあった写真を手に取ると薄気味悪い笑みを浮かべた。
「それで……いかがいたしましょうか?」
「その件については保留で良いよ。それより僕らはこっちを優先しようね」
「はっ!」
首を垂れていた男が出て行ったのを確認して、白衣の男は写真に写った人物を撫でる。
「そのうち、向こうから来てくれるだろうしねぇ」
写真を机の引き出しに入れ、白衣を翻し男は部屋を出た。
今回、遂にリオとヒトモシは友達となり、一緒になる事になりました!
そしてアキラとリオはポケモントレーナーとして、いつか旅に出る決意をしました。
……なんだかここに至るまでかなり長くなりました。
長くしたのは自分なんですがね。
前回に引き続き長くなりましたが、次回もお楽しみに。
- Re: 5章 battle for depart ( No.8 )
- 日時: 2020/06/23 18:34
- 名前: 霧火 (ID: HEG2uMET)
リオとヒトモシが出会い、友達 兼 家族になってから4年の歳月が流れた。
4年というのは長いようで、短い。
しかし周りの景色や人は確実に変わっていた。
勿論、リオも——
「リオー!早くしないと来ちゃうわよ〜」
「はーい!」
キャミソールの上に丈が長いフード付きの白のパーカーを羽織り、短パンと黒のニーソックスを履く。
腰のベルトにモンスターボールを6個セットして左手首には赤色のライブキャスターを装着し、
最後に前日に用意してあった着替えと手鏡とブラシ(手鏡とブラシは母に強引に持たされた)、
地図と方位磁石、ハサミとロープとゴム手袋とゴミ袋、ポケモンフーズと傷薬等ポケモン用の薬、
木の実と擂り鉢と擂り粉木、お財布とバッジケース、その他悪天候に必須の道具を
真新しいリュックに詰め込んで担ぐ。
フードの中にすっぽりと入って寛いでいるヒトモシを鑑越しに確認して、リオは自室のドアを閉めた。
「よっ!」
金色の髪を揺らしながら階段を降りて来たリオを笑顔で出迎えたのは、赤髪のメガネの少年——
リオの幼馴染でライバルでもあるアキラだった。
「久しぶりだなリオ。俺に会えなくて寂しかったんじゃねぇか?」
ニヤニヤしながら頬を突付くアキラにリオは頭に疑問符を浮かべる。
「?久しぶりって……1ヶ月前に会ったばかりじゃない」
「相変わらずお前はツレないっつーか……まぁ良いや。チビ助、じゃなかった。ヒトモシも元気だったか?」
アキラが微笑みかけるとヒトモシは嬉しそうに頷き、フードから出てアキラの肩に飛び乗った。
この4年間でリオとヒトモシは勿論、アキラとヒトモシも大分仲良くなった。
ヒトモシを抱き上げている姿は、まるで妹を可愛がっている兄の様だ。
「お前はいつも可愛げがあって良いよなー」
「人の事ちらちら見て言うのやめてくれない?ところであの子は一緒じゃないの?」
「ん?ああ、あいつなら近くの原っぱで遊んでるぜ。そろそろ『ブィー』ほら来た」
アキラが開けたドアから間髪入れずに入って来たのは、茶色の柔らかそうなふわふわとした尻尾と
首周りに白い体毛を持ったウサギの様な生き物。
このポケモンはイーブイ。
環境に合わせて7種類のポケモンに進化する可能性を持つ珍しいポケモンだ。
「ったく、尻尾に草付いてんじゃねぇか。男なら身嗜みに気を付けろよなー」
尻尾に付いた草を払い、アキラは鞄から取り出したブラシでイーブイの尻尾を梳かす。
アキラは1年前、10歳の誕生日を迎えた日にプレゼントとして祖父母から卵を渡された。
そして卵から孵ったのがこのイーブイで、そのままアキラのポケモン——パートナーとなった。
「……いよいよね」
「ああ。ずっと今日という日を待ち侘びてたぜ」
2人は今日、ポケモントレーナーとして旅に出る。
最初リオは家が離れてるからそれぞれ別々に旅立とうと提案したのだが、アキラはその提案を却下し、
約束の日までお互いポケモンを鍛えようと言った。
その理由は——
「よし!早速始めようぜ!」
「……何となく想像つくけど、何を始めるの?」
「その質問は野暮ってモンだぞリオ。そんなの、ポケモンバトルに決まってんじゃねぇか!」
目をキラキラと輝かせながら拳を固めるアキラにリオは数歩下がる。
そう、アキラはポケモンバトルをする為だけにリオの提案を却下し、こうして朝早くに
わざわざリオの家まで来ていたのだ。
「やっぱ最初のバトルは1番のライバルとしてぇだろ?」
「そ、それについては否定しないけど……アキラって本当にバトル大好きよね」
「リオもだろ?」
「まぁね」
お互い顔を見合わせてニヤリと笑う。
何だかんだ言って、リオとアキラはポケモンも、ポケモンバトルも好きな似たもの同士だった。
「勝負は1対1のバトルでいいな?」
「ええ。相手を先に戦闘不能にしたほうが勝ちね!」
リオとアキラは【電気石の洞窟】の前にある岩場に来ていた。
家の前でやると野生のポケモン達に攻撃が当たってしまうから、というリオの意見でここで戦う事となった。
「では審判はわしがやるからお互い全力で戦うと良い」
「Σお爺ちゃん!?」
(何時から居たの!?というか、何でそんな所に!?危ないでしょ!)
リオ達の身長の倍の高さはある大きな岩場に座っていたムトーにリオは驚愕する。
しかし自分の隣に立つアキラは別段驚いた様子も無く、何時もの調子でムトーに朝の挨拶をしている。
「細かい事を気にしているのは私だけなのね……」
「そんじゃ、お願いしますムトーさん」
「うむ」
岩場に座っていたムトーが2人の間に降り立つ。
「使用ポケモンは1体。先にポケモンが戦闘不能になった方の負けじゃ。では両者、ポケモンを」
リオとアキラはお互い肩に乗っていたパートナーと頷き合う。
「行くわよヒトモシ!強くなった私達の力、アキラ達に見せてあげましょ!」
「行けイーブイ!修行の成果をリオとヒトモシに見せてやれ!」
ヒトモシとイーブイは一鳴きすると地面に降り立つ。
「試合開始!」
「そっちが先攻で良いぜ、レディーファーストだ」
合図の直後に腕を組んで不敵な笑みを浮かべるアキラ。
イーブイもアキラと同じ表情をしていて、どこか自信に満ち溢れている。
「……余裕ってカンジね。まぁ良いか、遠慮なく行くよ!ヒトモシ《鬼火》!」
「《影分身》だ」
ヒトモシは頭の炎を振って小さな火の玉を6個生み出しイーブイ目掛けて放つが、イーブイは瞬時に
分身を20体近く作り出し、飛んで来た紫色の火の玉を躱す。
「さぁ、本物のイーブイはどれだと思う?」
「上手く躱したけど、ヒトモシにそんな小細工通用しないわよ!《弾ける炎》!」
ヒトモシは一回転すると頭の炎から先程の《鬼火》より大きな紫色の炎を飛ばす。
バチバチと火花を散らしながら炎は一直線に1番右端に居たイーブイに向かって飛んで行き、命中した。
命中と同時に分身が消え、攻撃をまともに喰らったイーブイはよろよろと立ち上がる。
「何で本物が分かったんだ……?」
アキラは戸惑いながらヒトモシを見る。
20体近く居た分身の中から迷わず本物に攻撃を当てたのだから、無理もないだろう。
「ヒトモシはポケモンの生命エネルギーを吸い取って炎を燃やしていると言われている。生命エネルギーを
辿って分身の中から本物を見付けるなんて朝飯前よ」
リオは自信満々に言うがあくまで「言われている」だけで真意は定かではない。
しかしこうして本物を見つけ技を命中させたので、生命エネルギーが見える事は間違いなさそうだ。
「オイオイ、マジかよ……そんなちっこいのにチートとか。俺の、じゃなかった。
俺達の活躍する場が減るだろーが!」
言葉とは裏腹にアキラの表情は楽しそうだ。
リオも笑みを浮かべるがすぐに表情を引き締める。
「このまま一気に攻めるわよ!《スモッグ》!」
ヒトモシは今度は口から黒い煙を出して視界を悪くする。
イーブイは鼻を押さえながらも耳を立て、辺りを警戒している。
(視界が悪いのは向こうも同じだけど、ヒトモシはチートだし地形を把握してるリオの方が
圧倒的に有利だな。なら、)
「《電光石火》で脱出!」
イーブイは《電光石火》のスピードを利用して、煙が無い上の方にジャンプする。
しかしその先には岩の上に乗ったヒトモシが待ち構えていた。
「もう1度《弾ける炎》!」
ヒトモシは先程と同じように一回転して火花を持った炎を飛ばす。
足が地についているヒトモシに対してイーブイはジャンプしている為、身動きが取れない。
(……この勝負、貰った!)
リオは勝利を確信して拳に力を入れるのだった。
- Re: ポケットモンスターBW 道標の灯火 ( No.9 )
- 日時: 2011/10/19 15:26
- 名前: 白黒 ◆KI8qrx8iDI (ID: GSdZuDdd)
- 参照: http://www40.atwiki.jp/altair0/pages/308.html
あれから四年、遂にリオ達も旅立つんですね。
それにリオ対アキラ戦。最近は進化系ポケモン同士のバトルばかり見てましたから、こうして進化前のポケモンが戦うのは懐かしくていいですね。
今のところはヒトモシが優勢なようですが、最後までどう転ぶかわからないのがポケモンですからね……先の展開も楽しみです。
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