二次創作小説(紙ほか)

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蜜柑は潜入隊!!
日時: 2016/07/28 16:06
名前: あまいあじみみか (ID: PMN5zCv8)

初めまして〜!あまいあじみみかと申します!名前長くてすみません。長くてめんどい!という方はあじみとお呼びください。

さて、これは学園アリスの二次元小説です。
内容をご説明いたします。

初校長が高校長により死んでしまいました。そして盗みのアリスと入れるアリスを狙われていた行平柚香と行平蜜柑は無事自由の身に。
そんなある日蜜柑は学校に行きたいと言いだし、問題視されている初等部B組に入り、明るいクラスに戻すというミッションをするなら良いとされ、蜜柑はミッションを引き受けながら学校へ行く

という話です。(ざっくりですが…)凄く長くなってしまいすみません。あ、ちなみにZは、初校長のクローンがボスだったので無くなりました。

精一杯やるのでお願いいたします!!

Re: 蜜柑は潜入隊!! ( No.101 )
日時: 2024/11/30 15:11
名前: あまいあじみみか (ID: kI5ixjYR)

時の流れの速さを感じます…。久しぶりに気が向いたので書いてみます!
学園アリスを知ってる人がさらに減っているとは思いますが…;;

途中でなぜか話数を数え間違えていっていたことに気づいたので修正します。

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第27話(第十二話) 氷のあの子

季節は移り変わりあっという間にクリスマス寸前の23日!
明日は学園全員でのクリスマスパーティーが開催される。

「よー蜜柑」
巨大クリスマスケーキやパイ作り担当のケーキ班の集合場所に行くと、翼先輩に声をかけられた。隣には美咲先輩と、兄である未鈴もいる。
「翼先輩、お兄ちゃんーっ!」
「B組はいつものメンバーなんだね」
私と蛍、委員長、アンナちゃんを見て未鈴が言う。
「お、珍しい。棗にルカぴょんもケーキ班か。意外〜」
「……うっせー影」
くじ引きでケーキ班になったと相変わらずの棗が反応する。
「ははーん、さてはルカぴょん、ケーキじゃなくて蜜柑につられて…」
「う…うるさいバカ。だ、だまれハゲ! あ…違った…えっと…この、カゲ!えっと…お、お前みたいなヒキョー者に…」
頑張りながら翼を罵る流架を翼と美咲が撫でる。
お兄ちゃんと話してる間に何があったんだろ…?
「何か翼先輩とルカぴょんて仲良いねー。いつの間に…」

毎年クリスマスパーティーが開かれる本部の迎賓館に入ると、10mくらい高さがありそうな木が目に入る。
「木ーーーーーーーーっっ!?」
アリス学園のクリスマス会が初めてな未鈴と一緒に驚く。
木には飾りつけ班のキツネ目君やパーマがいるのが見える。こういう準備にはフライングとかテレキネシスとかのアリスの子がひっぱりだこになるんだ…。岬先生や…ピヨまで!?!?
ピヨがいることに驚いていると、ルカぴょんとピヨが2人の世界に行っていた。動物フェロモンのアリスだもんね…。
ピヨと一緒に作業することになり、ルカぴょんは飾りつけ班の方へ…。
「ルカぴょん、初めっからあっちの飾り班行ってた方がよかったんじゃ?すごくアリス役に立ってるー」
「蜜柑そういうこと言っちゃダメ…」
棗が無言で、翼先輩と美咲先輩が憐れむような顔で見てくる。

「あ、棗くーん!ねえこっちきて。オーブンの調子がよくないのー。棗くんのアリスで何とかしてー」
あ、棗中等部の先輩に連れてかれってった。
美咲先輩も翼先輩も蛍も…みんなアリスを役に立てるところを見つけてどっか行ってしまった…。
お兄ちゃんも何か中等部の女の子達に連れてかれちゃったし…。
1人で悲しんでいると、いきなり後ろから蹴られて倒れる。
「何やってんだよてめーは」
サボってんじゃねーよ、と棗に怒られる。が、すぐさっきの先輩にまた呼ばれて連れて行かれる。
「お前なんかに私の気持ちが分かるかーーっっ!」
っていうか蹴るな!痛い!
連れて行かれる棗が振り返り、目が合う。
「忙しい中わざわざ様子見に来てくれたとは」
帰ってきた翼先輩に声をかけられる。
「チビにも出来る仕事持ってきてやったぞ。アリスどうこう言ってないでおきなちゃい」
「えっ、本当!?」

焼きたての温かいスポンジにそのままクリームを塗ると溶けてしまうため、巨大ケーキ用のスポンジをひっくり返し冷やす作業を頼まれた。
他の人と協力しながら大きいスポンジをひっくり返していく。
たのしー!
「悪いんだけど、茨木さん…だよね?手伝ってもらう事特にないし…どこも今手足りてるし…」
誰かが話している声が聞こえて、振り返ると、中等部の女子生徒達が話していた。
あれは…危力系の茨木のばら…。お母さんやペルソナから話が聞いていたので知ってはいたが、見るのは初めてだ。
どこにも行けず悲しんでいる姿がさっきの自分と被って親近感が湧く。


「ほ、ほんとにいいの?私も手伝って」
こちらから茨木のばらに話しかけたら嬉しそうにしてくれた。
「へーきへーき、みんな助かるよー。でも食べ物扱うしその髪はくくって帽子被った方がいいね」
そう言って私は帽子とエプロンを手渡す。
帽子を被り、肩まで伸びているパーマがかった髪を仕舞い込んでいるため顔がはっきり見えるようになった。
か、かわいいっ!顔初めて見たけど、こんなにかわいい子だったんだ…!

「え、中等部1年!先輩だったとは知らず…」
学年までは把握していなかったので、ついタメ口で話しかけてしまっていた。
先輩なんて、敬語なんて…と言われたので、そのままタメ口で話すことにした。
「茨木のばらちゃんって言うんだ!名前もかわいー!私ね、佐倉蜜柑」
お互いに自己紹介をする
「か、可愛い名前…///」
「えへー♡ あ、これをひっくり返して冷ますの」
教えながら会話を弾ませる。
「あ、そうそう、のばらちゃんは何のアリス?」
「あ…私は…こ…氷系のアリス」
「えーじゃあじゃあ!空気とか涼しくしたりとかできるの?」
「あ……………えと………うん…」
「…じゃ、このスポンジを一気に冷やしたりとかもできるってこと?」
「あ…えと…、あ…う………………やってみる………」
そういってのばらがアリスを使うと、スポンジが全部一気に凍る。
「な、何事!?」
「スポンジが凍ってる!?」
「ひゃー何コレー!?」
あたりが騒然として人が集まってくる。
次の瞬間、火が出てきて氷が溶かされホカホカのスポンジに戻っていた。
集まっていた人が不思議そうにしながらもスポンジが元に戻ったため散っていく。
すると、棗が寄ってきた。
「な「……つめ君……」」
蜜柑とのばらの声が被る。
「…お前、何しにここに来た。さっさとお仲間んとこに帰れよ」
そう言ってスタスタ歩いて行ってしまった。
「ごめんね、みかんちゃん…。私…本当はアリスをうまく制御できなくて……」
この子も元初校長に使われて色々な仕事をさせられていたけど、ペルソナにも昔から優しいいい子…。
しゅんとしている彼女を元気づけてあげたい
「1回や2回の失敗なんてだれだってあるよ。大丈夫、もっかいやってみない?大丈夫、私がどうにかするから!信じて」
のばらが氷のアリスを出す瞬間に無効化のアリスでその力を弱める。すると、しっとりとしたスポンジができた。
「やったあ!すごいすごい!」
なにを根拠に大丈夫、どうにかするからと言っているのかわからないのにそれを信用してくれたのばらちゃんのおかげだ。
「信じてくれてありがとう!できて良かった、うれしーーーっっ!」
「こ、こちらこそ…なんでできたのかはわからないけど…ありがとう…!」
その後もスポンジをたくさん冷やし、クリームを塗りいちごで飾り付けをしてケーキを完成させた。

無効化のアリス使ったこと、伯父さんにバレませんように…。

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第27話 終わり

Re: 蜜柑は潜入隊!! ( No.102 )
日時: 2024/11/18 18:38
名前: あまいあじみみか (ID: kI5ixjYR)

第28話 クリスマスパーティー

待ちに待った、アリス学園主催クリスマスパーティーの日です!
初等部共通のサンタワンピースに身を包み、髪はポニーテールで纏め毛先を巻く。
会場に着くと色々な出店、豪華な食べ物、飾られたクリスマスツリーがあり、すべてが夢のようなパーティーだと騒いでいると…
「はしゃぐなアホ」
蛍にアホ虫シャットアウトと書かれたスプレーを吹きかけられた。

開会式のようなものが終わると、お兄ちゃん、殿先輩、翼先輩、美咲先輩に話しかけられる。
「チビー可愛いじゃん」
先輩達も中等部高等部共通の衣装に身を包んでいてかっこかわいいー!
「かーわいーなー、たべちゃうぞー」
そう言って殿先輩が抱き上げてきた。
「おいおっさん、本気臭漂ってんぞ」
「蜜柑から手を離せ!!みかーん!そんな奴のそばにいちゃダメだ!!」
お兄ちゃんめっちゃすごい顔してる…。
そんなやりとりをしていると、ナルが話しかけてきた。近くにはパーマとルカぴょん、よーちゃんもいる。
「よーちゃんも似あってるーっ!まほーつかい!」
そう言って近づいたら、はっと嫌そうな声を出してそっぽ向かれる。
相変わらずかわいくないのー…。

「はーいみなさん!プレゼント交換の時間でーす!!」
みんなでご飯を食べながら雑談していると、そんな声が聞こえてきた。
「前もって皆さんから集めたプレゼント達をテレキネシスでみなさんにふりわけまーす!」
そういうと、それぞれの手元にプレゼントが天から降ってきた。
「蜜柑ちゃーん、何のプレゼント当たった?」
野ノ子ちゃんに言われ、ウキウキしながら開いてみると癒しのアリスによるマッサージ回数券10日分が入っていた。
えー…全然いらない…。もっと可愛いのとか期待してたのにー…。
「あっ、ルカぴょん、よーちゃん。2人は何のプレゼントあたったー?」
近くにいた、2人に話しかける。
「わー、可愛いティーカップ!」
ルカぴょんは全自動保温ティーカップか、いいなぁ。よーちゃんは…アリスソプラノ歌手のサイン入り写真パネル…。
みんな気まずそうな顔してよーちゃんを見つめる。委員長が自分が当たったパペット人形と交換してあげることになった。
「…何か今日よーちゃん全体的に元気ないね。いつも無表情だし気づかなかったけど」
私のとも交換してあげるよー?と声をかけながらルカぴょんに話しかける。
「んー…昨日よーちゃん大事にしてたテディベアを失くしちゃったみたいで…」
テディベア?
「学園に来る時お母さんが持たせてくれた大事なぬいぐるみらしくて、昨日からずっと落ち込んじゃって…」
あ、そっか、お母さん代わりの大事なぬいぐるみ…。
どうしようかと悩んでいると、よーちゃんが会場を掃除していたベアを見つけたらしく、ベアと遊びたいと言ってきた。
仕事中のベアにかぁ。邪魔されるのも、子供も嫌いだしどうしたら…。既にこっちの企みに気づいて何か臨戦態勢取ってるし…。私にですら目が怖いよベア〜…!
「そういえば蜜柑ちゃん、棗君の誕生日の時よーちゃんとルカ君の命令まだうけてなかったんじゃなかったっけ?」
はっ…。

あれは11月下旬の棗の誕生日のこと…。みんなでプレゼントをそれぞれ選んだのを渡すことになった。そこで、棗が1番気に入ったプレゼントを渡した人が、棗が一番気に入らなかったプレゼントを渡した人に何でも命令出来るというルールになり、一番はルカぴょんとよーちゃん、ビリは私だったのだ…。

先月のその出来事を思い出しながら、みんなからの交渉してこいと目で訴えられていたので腹をくくる。

「べ…ベーア♡」
機嫌を取るように話しかけるが、話を聞く前からそっぽを向きNO!という態度だ。
「そ、そんなこと言わないでお願いベアー。よーちゃんと少しだけでも遊んであげてー。忙しいのは分かってるけど…私何でもするしー…」
交渉しても黙々と掃除をし続けるベアに必死にお願いする。

「え?よーちゃんもういいの?ベアのこと」
委員長がよーちゃんと後ろで話している声が聞こえる。
お母さんと小さいころから離れ、代わりとしていたテディベアも無くしてしまったよーちゃんが可哀想で、ベアにお願いを続ける。
「ベア、お願い、よーちゃんと少しでいいから遊んであげてくれない?私のこと殴ってもいいからっ」
ベアを抱き上げた翼先輩も、ベアと話してくれている。
「蜜柑。ベア曰く、お前が今日ベアがやるはずの会場掃除全部引き受けるなら"少しだけ"遊んでやっても構わないってさ」
会場そうじ!?そんなんでいいならやるやる!!
と会場をよくみると、意外にゴミだらけの床が目に入る。
ゔ…これ全部…?
「佐倉おれも…」
手伝ってくれようとするルカぴょんを制止する。
「だ、大丈夫!らくしょーらくしょー!本当に私がそれ引き受けたらよーちゃんと"じっくり"遊んでくれるんだよね?」
ベアにじっくり遊んでくれるように圧をかける。
「あの時の命令の件もあるし!私1人でやらなきゃね!ルカぴょんはよーちゃんと一緒にいてあげて」
改めてベアに話しかける。
「交渉せーりつだね?ベア!あ、いっとくけどよーちゃんに手出したりしたらだめだからね!」
翼先輩からよーちゃんを預かりよーちゃんに手渡す。
「はい、よーちゃん!今日はベアに思いっきり遊んでもらいな!」
嬉しそうにベアを撫でたり抱きしめたりしているよーちゃんを見て嬉しくなる。
離れろと言わんばかりに軽くベアに蹴られてるけど…。

はー…、ヘタしたら今日一日掃除三昧だ…。う〜せっかくおしゃれしたのに台無しだ〜…。変な目で見られるし…。
でも、約束は約束。さすがにクリスマスの日に手伝ってもらったりして他の人の楽しみ邪魔するような事できないし、よーちゃんもあんなに喜んでくれたんだし!
「頑張るもんねー!掃除大好きーーー!!」
ヤケクソになりながらそう呟く。
おそうじサンタとしてポイ捨てを注意しながら掃除をしていく。
「あ、蛍、いいんちょ!」
「僕らもまぜて。蜜柑ちゃん」
え…でも…
「ごちそういっぱい食べちゃって丁度運動したかったんだよね」
「それに、あたしたちの"楽しい"はあんた抜きじゃなきゃはじまらないでしょ」
ほ、蛍〜!!!!

ゴミ拾いが一段落したのでバルコニーで1人涼んでいると
「さくらっ」
ルカぴょんの声が聞こえて、そっちを向くとよーちゃんを抱き抱えながら走ってきている姿が見えた。
「探してくれてたの?」
「少しは手伝えたらなって思って…。ベアも目離したスキに逃げちゃって…」
え、ベア逃げたの!?私は掃除頑張ってたのにー!
「それによーちゃんが佐倉にお礼言ってなかったって」
お礼?私に?
すると、髪をグイッと引っ張られたと思ったら、よーちゃんに左頬にキスをされた。
「…え」
突然なことにびっくりしていると、バルコニーを掃除しにきたベアを見つけておいかけっこを始めていた。
「び…びっくりしたー!何今のお礼ー!?もうすっかり機嫌直ってるね」
笑ながらルカぴょんに話しかける。
「…さくら」
目の前に立つルカぴょんに名前を呼ばれそっちの方を向くと右頬にキスをされる。
「…オレからも、ありがとう。今の、みんなには内緒、な。オレからの"命令"」

それからもあっけに取られボケーとしていた。
さっきの、お礼の意味のキスて分かってるつもりなんだけど…何でだろ、ルカぴょんにキスされたホッペの方がドキドキするよーっ…。
「おたふく風邪なんじゃないの」
「ホッペがドキドキするわけないじゃん」
振り向くと、蛍と、ふーん、キスねぇ…と呟く心読みがいた。
「人の心読むなー!!!」
と怒っていると、隣にいた蛍が「かくしごとしてるのね…」と言っているような顔をしていた。
「ち、違うよ…?隠し事とかそういうんじゃ…これには深いわけがー…」
弁論しても蛍は拗ねたまま、空中を飛ぶ発明品に乗ってどっか行ってしまったのを嘆きながら必死に追いかける。

Re: 蜜柑は潜入隊!! ( No.103 )
日時: 2024/11/18 18:59
名前: あまいあじみみか (ID: kI5ixjYR)

続き

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流架side

「このクリスマスケーキって、大勢のいろんな人が作ってるからおいしいとこまずいとこいろいろあるんだって。だから配られたケーキがおいしいかまずいかで来年の運だめしっていわれてるんだってー」

アリス学園のジンクスの一つであるクリスマスケーキのことをみんながあちこちで話している。
けど、おれはそれどころじゃない。少し熱った顔を隠しながら棗達のところに戻る。
「ルカ」
ケーキを持っている棗に話しかけられる。
さっきのことを思い出して棗とうまく話せない。
「ルカ…?顔赤いぞ」
さっき…思わず気持ちにまかせてあんな事しちゃったけど…どうしよう。棗に…棗にこの事…
「あ…俺…」
伝えた方がいいのか迷って言い淀んでいると、棗が俺が変なことに疑問を持ちながら鼻をつまんできた。
「わ」
そんなことをしていると、クラスメイトが美味しそうなところのケーキを、と持ってきてくれた。
が、どこからか飛んできた今井が自分が持ってきたものと俺のためにと持ってきてくれていた美味しそうなケーキを入れ替えて渡してきた。
「これ、ルカ君のためにもらってきたケーキ。たべてね…特別おいしそうなとこ選んだから」
と怪しげな笑顔を浮かべている。
それを受けとると、「じゃ」と言ってどこかへ飛んでいってしまった。
その今井を追いかけている佐倉が少し遠くにいるのが見える。
「…今井に何かしたんですか?ルカ君…。それ絶対食べない方がいいっすよ。見るからに来年の運奪われそうなカンジっすよ…」
それには同感…。クリームが何かウニョウニョ動いていて見るからにまずそう…。でも、食べなかったら食べないで怖い…。

ーーーーーーーーーーーーーーー
流架side 終わり

Re: 蜜柑は潜入隊!! ( No.104 )
日時: 2024/11/30 16:21
名前: あまいあじみみか (ID: kI5ixjYR)

第29話 仮面舞踏会

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「まもなく今夜のメインイベント、仮面舞踏会です!」
アナウンスがクリスマスパーティー会場に響く。

やっと捕まえた蛍に、一緒に踊ろと声をかけるがすっぱり断られる。
「蛍ちゃーん、蜜柑ちゃーん、仮面どれにするー?」
野ノ子ちゃんとアンナちゃんに声をかけられる。
「このちょうちょ型がいいなー」
「私もー」
野ノ子ちゃんとちょうちょ型の仮面を手に取る。
蛍は…と思って隣を見てみると、目元だけでなく顔全体を隠す変な顔した仮面を手に取っていた。
踊る気0だ…。会場に潜り込んでる蛍ファンの大富豪達もいるし、正体分かりにくくて便利だよね…。
「蜜柑ちゃん知ってる?仮面舞踏会にもジンクスがあるんだよー!」
ジンクス好きだな、この学園…。
「仮面をつけたまま好きな人を間違えないでダンス中に告白して相手からOKをもらって仮面を交換すると一生もののカップルになれるってジンクスがあるんだよー♡」
野ノ子ちゃんとアンナちゃんが嬉々とした顔をしながら教えてくれる。
「でもね、この仮面舞踏会もうひとつの裏ジンクスというか、言い伝えがあってー…ダンスの最中そのつもりなく顔から仮面が外れてしまうと大切なものを失っちゃうんだってー」
えー何それー…。大切なもの…?


仮面舞踏会が始まったが、大人の世界でお子ちゃまは入りにくい雰囲気…。相手もいないし…。
と思っていると、少し離れているところに棗とルカぴょんを見つける。
ルカぴょんと目が合ったけど、つい恥ずかしくて思い切り目を逸らしてしまった。
き、気にしてないフリ!気にしてないフリしなきゃ…!あーもう、私1人意識してアホ!アホ!
いつも通り話そうとするけどぎこちない会話になってしまう。
「棗。そういえば、後夜祭の時佐倉と踊ってなかったよね」
え。
ルカぴょんからの言葉に驚く。
「踊ってきなよ二人共。オレ向こうにいるから」
え、え!?なにそれ
「おい、ルカ…」
棗の声にも反応せず歩いて行ってしまった。
なんでなの、ルカぴょん…。何ですか、この展開…。
カップルの中仮面を忘れて二人で佇んでいると、棗が手を取って引き寄せてきた。
「え」
「…何だよ、踊るんだろ」
いきなりくるから、びっくりした…。
「いくぞ」
そう言って踊り始める。
私と棗が大人しくただダンスしてるって、何か…やっぱすごく変っっっ!!
ダンスってこんなに体近かったけ…。そういえば、棗が私の手握るのって初めて…。
そんなことを思っていると棗と目が合う。
なぜかすごく恥ずかしくて、窮屈な感じで…音楽も聞こえない。
「……。ルカと踊る時はヘラヘラ笑ってやがった癖に…」
棗がつぶやく。
「え」
「…お前、ちったぁ笑えよ。ヘタクソブス」
は??
「何だと、このイヤミキツネーっっ」
そう叫ぶとなんだなんだと視線が集まりハッとした。何事もなかったかのようにダンスを再開する。
「き、キツネ」
「ブス」
「つり目」
「タレ目ブス」
「アホ」
「ドアホ」
「マネすんなっ」
「ブタ」
そんな文句の言い合いをしながら。
何か今叫んだせいで、何か色んな事どーでもよくなってしまった。さっきまでのことも、ルカぴょんのことも、1人でいちいち悩んでんのバカバカしくなってきたよ。
棗のにくまれ口のせいで私の中にいつもの私ちゃんと戻ってきたみたい。
「何笑ってんだよ」
「別に…教えなーい」
すると、後ろで踊っていた人に急にぶつかられてバランスを崩し、棗の方に倒れる。
「わ」
ん……?え…この感触は…。
「……のけ」
下から不機嫌そうな棗の声が聞こえ急いでどく。
今の何!?私の口…棗の口に、あたった…?公衆の面前で…。嘘…いや、考えすぎ、考えすぎ…。
「おい、お前ヘタクソなのはダンスだけじゃなくてキスもかよ。ぶつけてんじゃねぇよ、歯」
とくちびるから出ている血を拭いながら話しかけてくる。
ギ、ギーーーーーーーーーーーーー!!!
「キスとか言ってないで訂正しろ棗ーーー!」
棗の胸ぐらを掴みながら抗議する。
「ちょっと佐倉さん…っ?棗君と"キス"ですって…?」
鬼の形相のパーマが後ろに立っている。
な、棗のやつーーーっっ!


「はあー…そりゃまた注目の的なマネを…」
うおおおぉぉ、お兄ちゃんん翼先輩いいいぃ…!
お兄ちゃんに抱きつき泣き叫び、隣で翼先輩が苦笑いをして慰めてくれる。
「うちの蜜柑にそんなことする奴は誰だぁあ!」
お兄ちゃんはパーマみたいな鬼の形相で怒っている。
「それにしても、結構ダンス中仮面してない人多いのね」
蛍がチキンを食べながら話す。仮面で顔覆われているのにどうやって食べてるの…。
「知り合い同士とか恋愛対象外同士とかが踊る時は仮面外してる奴結構いるぜー。あと元からカップル同士の奴らとかさー」
そういう翼先輩に冗談っぽく話しかける。
「えーじゃあじゃあ翼先輩と美咲先輩がさっき仮面つけないで踊ってたのやっぱ2人つきあってるから!?」
「んーまぁそういう事になるかも…」
という翼先輩の言葉に被せるように美咲先輩が話し始めた。
「ばっか!あたしと翼がカップル!?ありえねー。ただの仲間!友達!大体こいつこーみえて結構女タラシだし彼氏になんかいらねっつーの。さいあくー」
み、美咲先輩…それはオーバーキルすぎるよ…。照れ隠しとかじゃなくてガチで思ってる感じだよ…。
「翼先輩…私美咲先輩にはハッキリ言わないと分からないと思う…。がんばって!」
美咲先輩が腹ごなしにまたダンスに誘われ行ってしまうところに声をかける。
よけーな事言ってごめん…。
「だってさルカぴょん☆」
殿先輩が急にルカぴょんに話を振っている。
「え」
うっかりシンパシーを感じてしまったルカぴょんであった……。

それから色々な先生やクラスメイト、知らない生徒と踊っていた。
すると、ある女性に声をかけられた。
「踊ってもらえるかしら?」
「あ、はい」
びっくりしたー、雰囲気が一瞬いきなり変わったから…。
服装的に生徒じゃなさそう…先生?いや、でもこの雰囲気の人なんて…。だれだろ、この人…。
「B組の佐倉蜜柑さんですよね?」
「え?」
「ずっと、会ってみたいと思ってたから。こんなに可愛らしい人だなんて思わなかった」
「あなたは…教員ですか?それとも…」
外部の学園の敵?そう聞こうとしたら、いきなりぶつかられ、仮面が外れる。仮面の落ちるカランという音が異様に耳に響く。
「…仮面、外れてしまったわね」
手渡してくる仮面を受け取る。
「…気をつけて、大切な何かを失わないように…」
そう言って去っていってしまった。結局顔は仮面で見えなかったけれど、教員だったようには思えない。
これは、後で報告だ。

何か…一気に落ち込みモードだ…。あの人の正体もわからずじまいだし。
お兄ちゃん…蛍…委員長…翼先輩…ルカぴょん…どこ…。
なんとなく誰かに話を聞いてほしくて、誰かといたくて。
巨大クリスマスツリーの上からみんなを探そうと登ると、木の幹で休んでいた棗と目が合う。
「な、棗だーーーっっ!」
なんとなく安心感からかブワッと涙溢れる。棗はその様子に少しびっくりしていた。
うおーむかつくーっ!でも話聞いてくれー!
違和感の話は隠しながらさっきの仮面が落ちた出来事を話す。
「ばっかくせー」
いきなり一方的に語られため不機嫌だ。
「よくそんなつまんねー事でそこまで悩めるなお前…。そんなくそつまんねー話聞かされるこっちのみにもなれっつーの。だいたいジンクスなんてアテになるかよ。一気に風が吹いて全員の仮面が吹き飛んだら全員不幸にでもなんのか?ああ!?バカかお前は」
怒涛の怒りの言葉が…。
「バーーカ」
もう一回言わなくてもいいのに!
でも、変なの…、今までもそうだったけど何か棗むかつくことばっかゆうけど、でもよく考えたらいつもそのむかつきのせいでさっきまでのやなことがどーでもよくなっていく。
そう思うと笑えてきて、自然と笑みが溢れる。
「何だよ」
「別にー」
「笑うな」

「そーいえば、お前さっきまでオレの事怒ってたんじゃねーのか」
は…っ
「そうだったー!ゆるすまじっ」
「…お前…ルカと何かあったのかよ」
「…何言ってんの。何も…ないよ」
疑いの目が痛い…。
「言えよ」
「な…何。あったとしてもそんなの私とルカぴょんの問題だし。あんたにはかんけーないでしょ」
「…」
じとーーっと見てくる。気まずい…。
「そ…そういえば誰かがゆってたけど棗だってキスとかしたことあるって…」
「…お前…。ルカとキスしたのか」
その言葉につい少し顔が熱くなる。
「あ…それは…。あ、あんたこそ人の事ばっかきくけどあんたこそキス、本当にした事あるの…」
棗の顔を見れなくて、そらしながら聞く。
「…お前なんか、ルカには似あわねーよ。ブーーーーーーース」
「な、何だとこの性悪キツネー!!お前こそお前なんかとキスする奴の気がしれんわー!!」
「そりゃてめーだ」
「お前とのさっきのキスと違うしカウントすんなー!バーーカ、バー」
カ…と言おうとした瞬間、ムカついている顔をした棗に服の首元部分を引っ張られ、口に柔らかい感触を感じる。
「…っ」
キス、してる…?
「なつ…」
口を離して名前を呼ぼうとするが、またキスをされる。
「…はっ」
息が限界を迎えてドンっと棗を押し無理矢理口を離す。息を整えていると、棗が口を開いた。
「…お前がキスじゃねぇとか言うからだ」
え?
「…フン、こんなもんか、キス。たいした事ねー」
そういって棗は木から飛び降りて行ってしまう。一瞬振り返った棗と目が合うが、放心状態のままで何も反応ができなかった。


ーーーーーーーーーーーーーーー

第29話 終わり

Re: 蜜柑は潜入隊!! ( No.105 )
日時: 2024/11/30 16:30
名前: あまいあじみみか (ID: kI5ixjYR)

記念すべき返信100個目がなつみかんでした、嬉しい;;
久しぶりに読みながら書いていましたが、めっちゃキュンキュンしてました!!やっぱなつみかんは最高だ〜〜。もしこのスレッドを開いてくれて学園アリスを読んだことがないっていう方がいたら、ぜひ読んでください!

ということで 次話です↓

第30話 大掃除

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

クリスマスパーティーが終わり、学園の敷地内にある自宅にお兄ちゃんと一緒に行く。
学園に通うようになってから寮生活だったから久しぶりだなー…。
「ただいまー」
扉を開けると、金髪が目の前に飛び込んでくる。
「みかーーん!!!!!」
ちょ、お父さん、くるじぃ…
「こら!やめなさい!蜜柑が苦しそうでしょ!」
お母さんが怒ると、すぐお父さんは私のことを抱きしめるのをやめシュンとしながら座っている。
「未鈴、蜜柑、おかえり」
「ただいま!」
お母さんとして久しぶりに会えたことが嬉しくて、お兄ちゃんと2人嬉々とした声をあげる。
みんなと寮で過ごしているのも楽しいけど、家族とこうして過ごせているのも嬉しいなぁ…。
「伯父さんも奥でもう待ってるわ」

リビングに集合し、この前のクリスマスパーティーであったことを伝える。
「蜜柑が知らない教員はいないはずだ。新任教員もしばらく取っていない」
伯父さんも思い当たらないようで不思議そうな顔をしながら言う。
「そうね、ダンスの時教員は教員で固まって話している人が多かったし…」
「外部の誰かが侵入していた可能性も…信じたくはねーけど高そうだな、一兄かずにい
「そうだな。中等部校長に確認し、警備をさらに強くしてもらう必要がありそうだ」
「蜜柑はそれ以外は特にされていないの?本当に大丈夫…?」
心配そうに見てくる兄に大丈夫だと言いながらお父さん達が相談していることに耳を傾ける。
心あたりあるのかな…?
「とりあえず伝えてくれてありがとう、蜜柑」
「もし何かあったらすぐ言えよ!すぐやっつけてやるからな!!」
「お母さん達も近くにずっといられるわけじゃないから…ごめんね。2人とも気をつけるのよ」
その日はそのまま家に泊まり、みんなでワイワイ過ごしていた。


クリスマスパーティーも起きた問題もひとまず終わり、あっという間に気がつけば大掃除の日です。
アリス学園の大掃除は思った通りやっぱりヘンテコ。
アンナちゃんは、叱られるのを怖がってロッカーに隠していた給食の食べ残しを「もったいないカビカビオバケ」にアリスで成長させてしまいナルに怒られていたり…薬の調合を間違えていたのを隠していた野ノ子ちゃんはその結果煙オバケを作ってしまっていて岬先生に怒られたり…自分の家だけでは起きなかったことが見れてとても面白い。
クラスの大掃除だからもちろん棗とルカぴょんもいる。けど…つい目を逸らしてしまう。
あの日の事を…考えれば考える程あたまがワケ分からなくなっていく…。
『…お前がキスじゃねぇとか言うからだ』という棗の言葉がよぎる。
特に棗〜〜〜…っ!
今日の吹雪みたくもうぐちゃぐちゃだー…。

そんな時に限ってジンジンが決めた掃除メンバー割りで、私、ルカぴょん、棗の3人が廊下掃除担当になってしまった。
うあーー!何でよりによってこないだの今日でこの3人きりなのー!?私この2人と全然向きあえないし全然話できないよー!むりむりあ゛ーー…。
しかもさっきから棗とルカぴょんも会話しないしー!
「おい」
後ろから棗に声をかけられ振り向く。
「足元に霊…」
「ギャーーーー!!」
「…がいるとは言っていない」
は??え…何…?何なんですかこいつ…。
「ふん…喋れんじゃねーか。ルカにまでシカトこいてんじゃねーよ、バーカ」
「だ、誰のせいだと…!」
「棗、2人とも…」
私と棗が喧嘩になりそうなのを見かねてルカぴょんが間に入ってくれようとした時…フッと電気が消えた。
え……停電?大雪のせい?


外は吹雪ということもあり、廊下もかなり暗くなってしまった。
とりあえず暗闇の中下手に動くのは止め、端に座って待機することにした。
「大丈夫?佐倉」
「うん…」
ついそう答えるが、かなり恐怖心でいっぱいだ。
「…本当に大丈夫?佐倉」
「う…うん…。ちょ、ちょっと暗いのが苦手だなーってだけで…」
はあ…暗闇も怖いけど棗とルカぴょんが左右に座ってて3人きりのこの状況の方がしんどいなあ…。
「…暖房も切れたみたいだな」
だってさっきからこの2人ちっとも目あわせないし、会話らしい会話もあんまりしてない。
何か…2人らしくないよ、こんなのいやだなぁ…。
沈んだ気持ちで丸まっていると、ふと両手に温かさを感じる。
左手はルカぴょん、右手は棗の手が重なっていた。
え…。
左を見ると少し顔が赤いように見えるルカぴょんと目が合い、右を見ると何事もないような普段通りの棗の横顔が見える。
う…うわー…、ど、どうしよう…っ。
どうしたらいいかわからず顔の熱さを感じながら困っていると…2人ともそれぞれ蜜柑の手に重ねていたことに気づいたらしく急にクスクスと笑い始めた。
「変なの…2人して佐倉困らして」
「フン」
「ばっかみたいだ俺ら。バカ棗」
「バーカ」
「ムッツリスケベ」
「……うっせ」
「負けず嫌いの気遣い。いじっぱり。子供」
「…いいたい放題かよ、てめー」
「じゃあ棗もいいかえせば?」
「…。女の趣味悪すぎ」
「アハハ、じゃあ棗もじゃん」
「一緒にすんな」
な…何なの2人とも…。何か…私を越えて2人で手を繋いで話しているみたい。
「俺負けないから」
ルカぴょんが言う。
「何だそら。勝つ気ねーっつーの」
「あまのじゃく」
「うっせ」
「バーカ」
…よかった、いつも通りの2人に戻って。そう思って笑っていると、また棗に憎まれ口を叩かれた。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

第30話 終わり


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