二次創作小説(紙ほか)

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ろくきせ恋愛手帖 (祝☆完結!)
日時: 2024/07/16 22:34
名前: むう (ID: X4YiGJ8J)
プロフ: http://www.kakiko.cc/novel/novel3a/index.cgi?mode=view&no=18233

 「君に出会えてよかった」

 
 ********


 こんばんにちは、むうです!
 東方、鬼滅、花子くんにハマっている高1女子です。
 知ってるよーって方、いつも応援ありがとうございます。
 誰コイツって方、この機に是非名前を覚えて帰ってください。

 この小説は、六人の軌跡のスピンオフです。
 前作は参照のURLや、「完結小説図書館」にて読むことが出来ますよ。

 タイトルにもある通り、この小説はキャラ恋愛関係を始め、
 キャラの過去や裏話をぎゅっと集めた短編集になっています。


 また、話にはイメージ曲をつけているのもあります。
 私のおすすめの曲なので、聴いてもらえたら嬉しいです。

 あなたの推しの話が載るかも?
 楽しんで読んで頂けたらキャラも私も幸いです。
 では、短編集も完結までどうぞよろしくお願いいたします。



 〈作者からのお願い〉

「脱! 台本書き」目指して現在、セリフ量<場面描写の構成を頑張る日々。
 まだまだ普通の文章にはなかなかできず、台本のようになってしまうことがあります。
 ちょっと読みにくいかもしれません。すみません。
 温かい目で見ていただけると幸いです。


 〈注意〉

 ●スマホだと読みにくいかも
 ●ネタバレ入るかも
 ●オリキャラあり
 ●時々東方キャラ登場


 〈ルール〉

 ●拡散〇
 ●不定期更新
 ●中傷行為や荒らし、作品に対してのネット上での暴言×
 ●キャラの貸し出し〇(その場合コメント)
 ●また、ネット上での自作発言×
 ●リクエストなどはコメントにて
 



 上を読んで、OKな方はゆっくりしていってね!



 ▼むうの雑談掲示板もあるヨ。

「スレタイなんて知らないよ」

「【地縛少年花子くん】好きな人語ろ!」

 良かったらチェックしてみてね。

 
 ▼占いツクールでも執筆してるよ。

 よかったら『紅羽むう』で検索してみてね。
 評価してくれると嬉しいです。


 ▼2020年冬☆小説大会入賞!!

 ほんっとうに感謝です!
 ありがとうございました!
 受験受かりました!

 
  ーーーーーーーーーーーーーー

 【目次】♪→イメージ曲




 ◆◇企画コーナー◇◆

 キャラに○○してみる>>09>>53>>55>>78
 むうのおススメ本紹介>>13
 英語で鬼滅・花子くん!>>27
 ろくきせを知ったら知って欲しいもの>>96
 ろくきせ閲覧数10000突破記念>>118>>120>>121

 
 ◆◇むうの執筆裏話◆◇

 第1回「むうのリスタート」>>36
 第2回「遅くなりましたが受賞の言葉」>>34
 第3回「お知らせ! 必読お願い!」>>38
 第4回「むうと柱とカオ僕と」>>40
 第5回「花子くん考察と2話までの裏話」>>46
 第6回「第1回☆謝罪フェスティバル!!」>>58
 

 ◆◇オリキャラ設定集◇◆

 瀬戸山亜門>>31
 七不思議8番>>43
 

 ◆◇本編◇◆

 一気読み>>01-

☆1.トモダチ☆(by睦彦)

 ♪from Y to Y/初音ミク

 登場キャラクター紹介>>01
 時系列の図>>10
 Prologue>>02
 第1話「出会い」>>03-05
 第2話「嫌い。」>>06-08
 第3話「合同任務」>>11-12 >>14
 第4話「本当の気持ち」>>15-16
 第5話「早すぎる別れ」>>17

★2.踊り場の花子★(by花子隊)

♪春を告げる/Yama

 Prologue>>18
 第壱の怪「となりの怪異くん」>>19-21
 第弐の怪「……嘘でしょ!?」>>22-24
 第参の怪「黒札と白札」>>25-26
 第肆の怪「花子VS花子」>>28>>29>>32
 第伍の怪「月原八雲」>>35>>37>>39>>41-42


 ☆3.快晴☆(by有為)

 ♪快晴/orangestar

 登場キャラクター紹介>>80
 第1話「忌子」>>81>>82
 第2話「生きる意味」>>83>>84>>85
 第3話「懐古」>>86-89
 第4話「夜月家と宵宮家」>>90>>91>>92>>93>>94
 第5話「快晴」>>97

 
あとがき>>125
 
 
 

 
 
 

 
 2020.8.21 スレ立て、執筆開始
 2020.8.30 第1話執筆開始
 2020.9.01 第1話完結
 2020.9.02 第2話執筆開始
 2020.9.22 第2話完結
 2020.10.23 キメツ学園執筆開始
 2020.11.09 受験勉強のため更新停止予定。
 2020.02.13 ろくきせシリーズ一周年!! いえーい!
 2021.09.04 本編完結。
 

Re: ろくきせ恋愛手帖【短編集】 ( No.65 )
日時: 2020/11/15 09:45
名前: むう (ID: 9Yth0wr6)

 閲覧数1000だぁぁぁぁ!
 ミリオンズOFだぁぁぁぁぁ(←ちがう)

 ****************************

 〈光side〉

 ずっと前に花子が言ったように、死んでしまった奴の運命を変えることはできない。
 でも、霊が見えたり、それに干渉する力が与えられたのは。
 そのどうにもならない部分をどうにかするためだって、オレは今でも思っている。

 でも……。
 今回の事件でオレを悩ませるのは、誰を責めたらいいか分からないことだ。
 三葉みつばの時は、明らかにアイツ(つかさ)が悪い。
 それは事実で、オレはアイツを一生許さねえ。

 でも今回の件は?
 亜門は刻羽に会いたいという純粋な思いのままに、アイツを呼び出し。
 アイツは「あもんの願いを叶えたい」という思いのままに睦彦の記憶を消し。
 そしてオレを含め、後の面々も、二人に協力したいという思いで作戦を呑んでいる。

 確かに、睦彦の『亜門の死に関する記憶』を奪ったって聞いたとき、本当なら今すぐにアイツに怒鳴り返したいところだった。
 何しやがったんだって、雷霆状を突きつけて、このまま消滅させてやっても良かったんだ。


 でも……。
 
 つかさ『ってわけでェ、みんなにキョーリョクしてほしいんだよねー!』
 一同『………は?』
 
 つかさ『サクラと夏彦とあまねと胡桃沢にはOKもらってるから、あとの人OKか教えて』
 光『……は、花子!? お、お前なんで……。いつもなら絶対こんなことしねーくせに……』


 花子は言った。
 刻羽と会うことで、瀬戸山が未練を晴らし成仏できるならいいんじゃないかって。
 刻羽の記憶が無くなっても、あとからまたつぎ足せばいいって。
 そんな願いすら叶えられないなら、あの子は永遠に天国へは行けやしないって。
 

 筋は通ってるし、花子が間違ったことを言っているわけじゃない。
 でもなんだろう、さっきから胸にしがみついているこの感情は。
 そしてそれはきっと、オレなんかより睦彦のほうが大きいはずだ。


 睦彦「………………」
 魔理沙「ごめんな睦彦。私も、霊夢たちも、皆協力した。でも、これでいいだろ?」
 無一郎「………そう、これが最善の方法」
 善逸「失望させたなら謝るよ。俺の頭ならいくらでも下げる!! でも分かってくれるだろ!?」

 
 睦彦は何も言わない。亜門も。
 ただ、俯いて肩を震わせるだけだった。
 睦彦だって、亜門に会えて嬉しくないわけではないだろう。

 でも、亜門が死んでいること、そして自分の記憶が操作されていたことのショックが大きくて。
 仁乃ちゃんやオレたちが協力したことも、喜んでないわけではない。
 オレたちの気持ちも、多分痛いほど分かっているんだろう。
 でも、それでも。


 
 「―――――――っざけんな!!」



 突如、このしいんとした空気を揺るがすような怒号が響き渡る。
 一同は驚いて、声を上げた者へと視線を移した。
 叫んだのは、睦彦ではない。亜門でもない。

 拳を震わせて、涙をこぼしながらつかさを睨んでいるのは、なんと宵宮だった。
 宵宮はつかつかと歩き出すと、つかさの胸倉をグッと掴んだ。

 つかさ「っ!? 宵宮……」
 有為「ふざけんな、お前は、なんてことを………っ!」

 有為「睦彦くんが、どういう気持ちで過去の話をボクにしたのか、貴方は想像できる!?」
 つかさ「よ、よいみや、苦し……」
 有為「人が死ぬってどういうことか、ちゃんと分かってるの!? 理解してるの??」


 その言葉を機に、つかさの態度が激変した。
 彼の周りを黒杖代が旋回し、風は渦を巻く。
 低い低い声で、つかさはポツリと呟く。


 つかさ「知ってるよ、………死ぬってどういうことか」
 有為「―――――-っ」
 つかさ「………分からないのは宵宮のほう。あもんは俺に願ったんだ。それでいいじゃん」
 

 良くねえよ。なにも良くねえよ!!
 誰が望んで、こんな結末を喜べるんだよ。
 そう怒鳴りたいのに、さっきの亜門の悲痛な叫びが、口に出しかけた言葉をまたしまい込ませた。


『もう死んだ奴が、運命なんて変えられるわけないだろ』

 そう言った亜門の表情は、何もかも諦めたように暗くて。
 それでも必死に笑おうとする様子がとっても痛々しくて。
 

 そんな顔しないでほしい。笑ってほしい。生きててほしい。
 そう誰よりも強く願ってるのは、その願いが一番強いのはオレじゃない。


 睦彦「………ホント、好き勝手してくれるよなぁ」
 カナヲ「睦彦?」

 呆れたように睦彦が言い、肩をすくめた。
 今の今まであんなにショックを受けていたはずなのに、どうして急に態度が変わったんだろう?
 もしかして睦彦は、もう全部、諦めてしまったってのか?

 花子「………刻羽。……ごめん。こんなことするつもりじゃ、……なかったんだ」
 睦彦「……そっか」
 花子「よ、4番に頼んで、絵空事の世界に連れ込んだりとか、か、考えたんだけど、ヤシロが反対したから……」
 睦彦「そっか」


 絵空事。七不思議が4番のシジマメイが作る、虚構の絵の世界。
 オレは前に柱やかまぼこ隊、東方陣たちと一緒に、2回目のエソラゴトの世界に行った。
 仁乃ちゃんが、鬼化したときだ。(詳しくはろくきせ最終章をcheck!)

 花子がエソラゴトの世界に睦彦を連れ込まなかったのは、きっと……。
 ちらりと、横に立っている先輩の表情を伺う。
 ま、そういうわけだよな。

 
 睦彦「……しっかし、そっちが俺抜きでコソコソやってたんなら話がはえぇな」
 亜門「刻羽、何を――」


 亜門が戸惑いの表情を見せる。
 そんな彼に、睦彦は安心しろとニカッと愛嬌のある笑顔を見せた。
 そして袴の隠しから、『あるもの』を取り出し、またニカッとほほ笑む。

 
 睦彦「じゃ~~ん!」


 睦彦がオレたちに掲げて見せたもの、それは。
 一冊の本だった。
 黒い装丁の表紙。背表紙に『瀬戸山亜門』と書かれた、分厚い一冊の本だった。

 

Re: ろくきせ恋愛手帖【短編集】 ( No.66 )
日時: 2020/10/24 20:33
名前: むう (ID: 9Yth0wr6)

 今日は、クラス各チームに分かれて創作ダンスを披露する、リズムダンス大会がありました!
 疲れたぁぁ……。今日は休んで明日勉強しよ。
 みなさん、一週間お疲れ様でした―。
 癒しのご提供でーす(癒し?)
 ****************************

 〈亜門side〉

 刻羽が掲げて見せたもの、それは一冊の本だった。
 背表紙にはなぜか、僕の名前が書かれたり、それを除けば真っ黒な表紙。
 その本は、確か……。

 寧々「16時の書庫の本!? ど、どうして睦彦くんが持ってるのっ?」
 蜜璃「16時の書庫……って、なんだったかしら?」
 桜「あら、知らないんですか。では、ここらへんで行くわよ。せーのっ」


 ☆教えて 土籠 16時の書庫とは?☆

 16時の書庫っつーのは、かもめ学園が五番目、俺が管理する書庫のことだ。
 その名の通り、16時になると現れるその書庫には、学園にいる人物の記録が書かれた本がある。
 白い本は生きてる奴。黒い本が死んでる奴。
 過去も現在も未来も、学園でそいつが何をしたか、これからなにをするか。
 まァその本には全部乗ってるっつーわけだな。


 そうだ、これはあの、口が耳まで裂けてて、やたらとドSな蜘蛛野郎の本だ。
(『土籠先生だ』)
 それをなぜ刻羽が持ってんだ? しかもなんで僕の本を……。
 さてはあの野郎、刻羽にいらないことを吹き込みやがったな。この蜘蛛野郎め!
(『土籠先生だ』)


 ルーミア「なんだその本? 土籠の本だよなー?」
 パチュリー「ええ、そうね。彼の本をなぜ貴方が持っているの?」


 それは僕も聞きたい。
 どうやってその本を手に入れたのか、教えてほしいし、それに……。
 もしその本に、僕の恥ずかしい思い出とか乗ってたらっ!!

 その暁には今すぐ刻羽の手から本を奪い取り、可燃ごみに入れて捨ててやるっ!
(土籠『やめろ!!』)


 亜門「刻羽、なななな、なんでそれをッ」
 睦彦「つかさたちが裏で協力してたように、俺もある人と協力してたっつーこと」

 刻羽は実にあっけからんといい、ある人物を指で指し示す。
 向けた人差し指の先にいたのは、先ほどから眼鏡の奥の瞳を細めている、土籠。
 そして、腕を組みながら話し合いを見守っていた、七不思議が8番。


 つかさ「………ふーん。イガイだね。5番はあまねの言うコトなんでも聞きそうだけどな」
 土籠「………は?」
 輝「まあ、先生は七番のことが大好きですからね。僕も意外でしたけど(ニコッ)」

 つかさと源(兄)の言葉を聞き、蜘蛛野郎は一瞬凍った。
 ギョッとした顔つきで二人の顔を順番に眺め、

 土籠「だれが七番サマを好きだって?」
 花子「エッ違うの!?」
 土籠「お前はちょっと黙ってろ!」

 ふぅーっと蜘蛛野郎はキセルを吹き、チラッと横目で花子を見ると、もう一度溜め息をついた。
 

 土籠「確かに俺はコイツ(つかさ)に協力してるが、全てを許しちゃいない。そこの8番もだ」
 八雲「ええ。死を乗り越えていかなければ、何も変わらない」

 土籠「死に関する記憶を消す、ねェ……。コイツに協力している限り、反することはできない。そもそも俺は、瀬戸山の未来も刻羽の未来も知っている。口出しするだけ無駄だ。……だからあるヒントを与えるだけにした」

 ヒント?
 一同が首を傾げるのと同時に、刻羽が16時の書庫の本をペラペラとめくりながら言葉を紡ぐ。
 誰かに聞かせるためでもなく、自分のために言っているようだった。
 独り言、それと同じ感じだったけど、独り言とは違う言葉の一つ一つの重みがあった。


 睦彦「なんでこの本が黒いのか、なんで未来に関する記述がないのか、早く分かればよかった…」
 亜門「………そういうことか」


 僕はもう死んでいる。
 人が一度死んだら未来はもうない。
 どんなに足掻こうが、世界の仕組みにあらがろうが、結局灰になってハイサヨナラだ。
 過去に叶えられなかったことはもう叶えられない。
 それが死者に与えられた決まり。

 睦彦「記憶に干渉されてるせいかな。何度読んでも、内容が全く頭に入ってこなかった。さっき読んで理解したはずの内容も、全部忘れてしまう。おかげで俺は亜門に何があったのか、結局知ることは出来なかった。………知ってるハズなのに」


 でもさ。
 

 睦彦「でもさ。俺と亜門を会わせてくれたこと、すっげー嬉しかった!」



 そう言って刻羽は笑った。
 すげー明るい、おひさまみたいな笑顔だった。
 真夏のひまわりのような、そんな笑顔が彼にはよく似合う。


 なんでそんなに喜べるんだよ。
 だって、僕は、僕たちは、お前の記憶を奪ったあげく、お前の気持ちも聞かずに話を進めて。
 本当は、怒ってるんじゃないのかよ。
 なんでそんなに、なんでいつもお前は―――。


 亜門「な、なんで」
 睦彦「確かに、ちょっとショックもあるけど。それでも………」


 もったいつけるようにそこで一旦言葉を切り、刻羽はニヤニヤとこっちを見た。
 なんだよ、とこっちも口をとがらしてやると、そのニヤニヤはニタニタに変わって。


 睦彦「お前がそんなに俺のことが好きだったなんてな!」
 亜門「……………ち、違っ」
 睦彦「初対面で俺のこと殴ったくせに、結局そーいうことだろ。このツンデレ馬鹿が」

 誰だ、コイツに要らない知恵を入れやがったのは。
 思わず周囲を見渡し、僕はある人物を視界にとどめる。
 そいつは刻羽と同じくニタニタしながら、僕たち二人のやりとりを見物していた。

 やっぱりてめーか、花子!!
 刻羽をからかうだけでは飽き足らず、果ては僕や胡桃沢さんまでする気だな。
 

 亜門「う、う、うっせーな!! チビに言われたくねえよこの、チビチビチビチビ!!」
 睦彦「チッ……チビじゃねーよ、だいたい158のやつが157㎝をチビっていうのは違う!!」
 亜門「と、と、とにかくお前のことはっ!!」


『お前がそんなに俺のことが好きだったなんてな!』


 悪いかよ。文句でもあんのかよ。
 いいだろ、好きになったって。
 僕はお前に出会い頭に暴力を振るったし、本音は言わないし、感じ悪かった。
 でも、何でそんなことをしちゃったのかって考えたら、全ては一つの感情からだった。


 嫉妬。
 刻羽みたいになりたい。刻羽みたいに強くなりたい。
 なんで僕だけ、なんでお前だけ。
 そう言う感情に、自分が勝手に支配されてただけだ。

 
 睦彦「俺のことは?」
 亜門「お、……お前のことはっ………嫌いじゃない!!」
 睦彦「俺も、お前のことが好きだ」


 本当にずるいよな、お前って言う人間は。
 照れることなく素直に好きって言えるんだから。
 そっちだってあんなに僕のことを嫌ってたくせに。


 
 睦彦「運命なんて変えられるわけない、だっけ? じゃあ大丈夫だ!」
 亜門「何がだよ」
 睦彦「なにせ、俺らは【奇跡起こしの達人】だからな!」


 まず、胡桃沢やお前と出会ったのがはじまり。
 そのあとにかまぼこ隊に会って、花子達に会って、宵宮の家に行ったこと。
 一緒に鬼を倒して、東方キャラに会ったこと。
 一緒に笑い、恋し、泣き、ケンカし、また笑ったこと。


 睦彦「だから、大丈夫だ!」
 亜門「……………ありがと」


 なにが大丈夫だ。
 何を根拠に、そんなことが言えるんだ。
 でも、根拠のない言葉こそ、一番勇気を貰えるって分かっているから。
 
 四年前、最後に交わした『また明日』という言葉。
 刻羽がお見舞いに来る前に、ちょうど余命宣告をされた。
 そんな僕にかけてくれた、『また明日』という言葉がどれだけ嬉しかったか。

 だから僕は、にっこりと笑い返した。
 

 亜門「ぜってーに負けないからな! 色対抗リレー!」
 

 


 

 

Re: ろくきせ恋愛手帖【短編集】 ( No.67 )
日時: 2020/10/25 16:56
名前: むう (ID: 9Yth0wr6)

 ということで借り物競争に戻りたいと思います。
 ちなみに走順はコチラ。
 只今は、睦彦VSミツバのとこです。

【紅組メンバー】


 炭治郎(禰豆子) 輝 善逸 ミツバ しのぶ(計5{6}名)


 走順:しのぶ→ミツバ→炭治郎&禰豆子→善逸→輝

【白組メンバー】
  睦彦 つかさ 霊夢 フラン 美鈴(計5名)


 走順:霊夢→睦彦→美鈴→つかさ→フラン


 ****************************


 〈花子side〉

 ミライ騒動が一段落して、俺たちは再び競技を進めることになった。
 もちろん、この運動会が終われば瀬戸山はこの世を去る。
 運動会の間だけという、制限時間付きの楽しみ。


 桜『それでは、気を取り直して借り物競争リスタートです』
 夏彦『紅組のミツバVS白組の睦彦。どうぞお楽しみにー!』

 睦彦「行くぞ胡桃沢! 転ぶなよ」
 仁乃「う、うん。任せて!」

 ミツバ「よ、よし行くよ、宵宮さん!」
 有為「はいっ」

 本当にこんなことで良かったんだろうか。
 刻羽は嬉しかったって言ったけど、それは本当の気持ちなのかな。
 もしかして、俺たちを安心させるために、そういう嘘をついたなら……。

 
 寧々「花子くん、……どうしたの?」
 花子「あ、ああいや、なんでもない」
 寧々「睦彦くんのことなら、大丈夫よ。それに、私たちが暗い顔してちゃ、ダメじゃない」
 
 なんでヤシロは俺の気持ちが分かるんだろう。
 不思議だな……。
 でも、そうだよね。一番悲しいのに、精一杯笑っているのは俺じゃなくて刻羽たちだもん。
 俺がこんな顔しちゃ、いけない。

 
 花子「うん、ありがとうヤシロ(思わず寧々の手を掴んで)」
 寧々「……は、花子くん?」
 茜「…………………なんで七番様がアオちゃんの手なんか掴んでいるんですか」


 ………ん?
 恐る恐る視線を下に向けると、ヤシロの手を掴んだはずの指は、アオイちゃんの手の中にあった。
 あからさまに嫌そうな顔で、Gでも見るみたいに俺を睨む1番。

 葵「え、えっと……」
 花子「アオイちゃん………俺、本当は君のことが……」
 茜「フーッ フーッ アアァァァァァァァァァァ!!(花子に金属バットを向けて)」
 花子「え゛」

 何もってんのこの人。
 そ、そ、それ……金属バッド、何で持ってんのさッ!!

 そして、背中からも冷たい視線を感じる。
 ゆっくりと振り向くと、俺の視線と彼の視線がパチッとぶつかる。
 そいつは腰に下げた剣の鞘から、退魔用の剣を取り出すと、刃先を俺の喉元に当てた。

 輝「はい動かない」
 光「輝兄! ちょ、ちょ、ちょっと待ってくれよ!」
 輝「僕の言ったことは正しかっただろ」


 花子「お、俺はただ、ちょっとからかっただけで……わうッ」
 茜「七番様ァァァァァァァァァァァァ!!(# ゚Д゚)」
 花子「…………しょ、少年……(両手を上げて)」

 茜「あああ、あんなに可愛いアオちゃんの手を掴んで、その挙句………許さないッッ」
 花子「お、落ち着いて話し合おう……ヒェッ」

 1番が俺に向かって金属バッドを振りかざす。
 それと、少年のお兄ちゃんが霊刀を抜くのがほぼ同時だった。
 冷や汗がダラダラと流れ、視線だけ横にずらすと、少年が俺を庇うように手を広げている。

 花子「しょ、しょうねん………!」
 光「だだだ、大丈夫だ花子! オレがなんとかするからな……ッ」
 輝・茜「光(後輩)、どきなさい(どいてくれるかな?)ニコッ」

 花子「ギャ―――――――――――――――――――ッッッ!!!」
 炭治郎「お、お、落ち着いて話し合いましょう!」
 しのぶ「仲良くしましょう。ね、冨岡さん」
 義勇「コクコクコク」


 もっけ「くっくっく」
 もっけ「ななふしぎ、よわってる」
 もっけ「我ら、このときをまっていた」

 もっけ「ななふしぎ、ころすぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!(ズドドドドドドドド)」
 花子「わぅわぅあぅあぅ―――――――――ッッ!」

 八雲「柚木くん来世で会いましょ!」
 花子「8番!!? つ、つかさ助けてぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!」

 必死の叫びも、遠くのテントで放送に集中しているつかさには全く届いていない。
 じりじりと、1番と源会長の悪の手が伸びる。
 ヤシロと少年が必死に庇ってくれるけど、ヤバい死にそう………。


 遠くで、ピストルの発砲音が聞こえ、黄色い歓声が聞こえた気がするけど、余裕がない俺には聞こえていないのと同じ。
 あ、刻羽も3番も、今は走らなくていいからこっちを見てよ………。


 1番の金属バッドと源会長の霊刀が眼前に迫る。
 やばいやばいやばいやばいっ。


 花子「白杖だ―――」
 輝「杖代は呼ばせないよ」

 ど、どうしようどうしようどうしようっ。
 一回、この人の攻撃食らったことあるけど、マジで痛いんだよっ。
 それに、ヤシロや少年を守りながら包丁で戦うのはかなりキツイ。

 茜「覚悟!!」
 

 1番のバッドが俺の脳天に当た……………らなかった。
 え? と、思わず、固くぶっていた目を開いた。
 1番の金属バッドを両手でつかみ、鈍器が俺の脳天を打ち砕くのを防いでくれたのは。


 中学校指定の長袖体操服に、同じく体操服の短パン。
 やたらと背が引くく、黒い眼鏡を付けている女の子。
 

 花子「お、遅いよ…………むう」
 むう「みんなお待たせっ! ろくきせ作者のむう、ただいま参上!」


 むうってば、いつもいつも俺らを虐める癖に、物語の進行がおかしくなる時に限って現れる。
 ……自分で書いたくせに……。
 おっと、これを言っちゃうのはどうやらダメみたいだ。
 ということでここからは、むうに代わって話を語ってもらおう。

 
 

 

 

Re: ろくきせ恋愛手帖【短編集】 ( No.68 )
日時: 2020/10/26 18:07
名前: むう (ID: 9Yth0wr6)


 〈ろくきせシリーズ初の! むうside☆〉

 みなさんこんばんにちは!
 ろくきせ物語の立役者にして、物語のスムーズな進行を監督する美少jy)殴
 紅羽くれはむうです☆ 
 あ、ちなみに紅羽っていうのは、ろくきせの皆が考えてくれた苗字なんだ。
 元ネタは仁乃の……アレね。アレアレ!(どれだよ)

 こっそりキメツ学園に忍び込んだ私は、キャラたちが変なことをしないか監視していました♪
 ちなみに私は、七不思議が4番シジマメイちゃんと能力が似てる。
 紙とペンさえあれば、キャラたちを自由自在に動かせられるんです。
 ってことで、今回はメイちゃんと協力して、みんなの行動を監視してたんだけど……。


 ・・・・・・・・・・・


 茜「覚悟おおおおおおおお!」
 むう「ちょ、ちょっと待った――――――――――っ!!」

 みんなと久しぶりに顔を合わせようと、応援席のテントからコーナーへ足を踏み入れた私。
 そこで見たのは、花子くんが茜くんと源会長にガチで殺されそうになっているという修羅場。
 

『よーぃ、どん!』
『よっし行くぜ胡桃沢、ぶっ飛ばすぞぉぉ! って、わっ、ちょ、お前速っ、うおっ』
『いけいけミツバ―ーーー!』
『睦彦いっけえええええええ!!』
『ミツバ―! グシャ―――ッっと頼むねー!』
『バカ言わないで! 僕可愛いんだから!』

 向こうで聞こえる歓声と、ピストルの発砲音。
 会場全体が熱気に包まれて、ワーッという叫び声が次々に上がっている。
 
 そんなときにこのお二人は一体何をしているんだろうか。
 ねえ、茜くん! 源先輩!

 輝「むうさん。久しぶりだね。ちょっとどいてもらえる? ………虫が湧いちゃってるから」

 ひいッ。
 いつもはニコニコと穏やかな源先輩が、今は笑顔っちゃ笑顔なんだけど、裏にどす黒い何かが。
 
 源会長に霊刀を突きつけられた花子くん。
 庇ってくれる寧々ちゃんや光くんを避けて戦いたいけど、相手が相手だけに何もできないようだ。
 その横では三人の様子に気づいた炭治郎やカナヲ、柱のみんなや紅魔館メンバーたちがオロオロ。

 
 花子「たたたた助けてむうっ! つ、つかさったら全ッ然気づいてくんなくてさぁ!!」
 茜「チッ。下劣なエロガキが。こっち見ないでくれます?」
 花子「じゃあ、どこ見ればいいのさッ」
 茜「ハァ――――ッ。床と壁でも見とけ」

 むう「落ち着こう茜くん! ちょっと落ち着こう!! ほら、ほらぁアオちゃんが引いてるよぉ」
 葵「茜くん……? な、なにして……」
 茜「あああ、アオちゃんッ!? 大丈夫! ただの野球だから!」


 桜『おっと、仁乃睦コンビ速いです。有為ミツコンビも段々追い上げて行っています』


 流石にそれは……無理がありすぎるんじゃない?
 葵ちゃんは、有為ちゃんの能力で霊力を分けてもらってるから、怪異の姿が見えてる。


 ミツバ『宵宮さんもうちょっとスピードあげるけどいい!?』
 有為『はい。あのカッコつけ野郎をフルボッコにすればいい話ですね?』
 ミツバ『そう、あのクソダサツンデレヘボ太郎を、この可愛い僕が倒す話!』

 むう「エロビデオみたいに?」
 ミツバ『そう、エロビデオみたいに! って、わ、近眼先輩っ、急に話に入ってこないでよっ』
 むう「近眼先輩ってなに!?」

 ま、まあいいや。コホンコホン。
 近眼なのはしょうがないし、マジカルアイの本でも見て視力付けよっと。

 葵ちゃんの目に映っている光景は。
 金属バッド片手に、鬼の形相で花子くんを見下ろしている茜くん。
 野球だうわ―いではない。絶対。


 むう「言っとくけどね、ここは私のノートの上! 私を怒らせたら、ただじゃ済まないから!」
 睦彦「おおお、むう邪魔ぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」


 と、どんどん加速する仁乃ちゃんに引っ張られながらコースを走っていた睦彦が、向こうから駆けて来た。


 ……ちょうど私が立っている位置は、コーナーのど真ん中だった。
 つまり、必死に走っている走者にとっては物凄いメーワクなところにいたのだ。
 そして、そんなところにいたものだから、私たちは派手にぶつかる。


 むう「ぎゃああああああああああああああっ」
 睦彦「て、テメーがそんな位置に立ってるからだろーが! じゃあなこのヘボ眼鏡っ」

 大丈夫?の三文字さえ交わしてくれない睦彦は、気の毒そうにこっちを見つめる仁乃ちゃんの手首をつかんで、走って行ってしまった。
 コーナーに仰向けに倒れる私の上を、もっけちゃんがドスドス踏みまくる。

 そして。

 もっけ「ぶざまー」「ぶざまー」「へぼめがねー」
 むう「へ、ヘボ眼鏡………」
 ミツバ「やーいヘボ眼鏡ー」
 有為「そんなところで転ぶとフレーム曲がりますよ? 近眼先輩」
 むう「う゛っ」

 もっけちゃんもミツバくんも有為ちゃんも酷い!
 有為ミツコンビめぇぇえ、毒舌×毒舌=毒舌の二乗。
 悪意のない『眼鏡』いじりがグサグサとか弱いハートに突き刺さった。

 

Re: ろくきせ恋愛手帖【短編集】 ( No.69 )
日時: 2020/10/27 20:25
名前: むう (ID: 9Yth0wr6)


 〈桜side〉

 本部のテントで放送をしていた私は、思わずホッとため息をついた。
 只今、仁乃睦コンビと有為ミツコンビの接戦。仁乃睦コンビが若干速いかしら。
 持参した水筒の水で喉を潤し、私は再びマイクに口を近づけた。


 桜『只今、白組が仁乃睦コンビから炭治郎くんに代わりました。紅組も美鈴さんに交代です』
 夏彦『両者、お題ボックス目掛けて走っていきます』


 睦・仁「頼んだぞ美鈴!!」
 美鈴「はい、お任せください~」

 ミツバ「頼んだ竈門くん!」
 炭治郎「了解!!」

 遠くからワーッと歓声が上がる中で、さっき睦彦くんと派手にぶつかったむうの悲鳴が混じる。
「へ、ヘボ眼鏡じゃないもん……」としくしくと泣いている。

 ああ、あのもっけと有為ミツコンビにやられたのね。
 乱暴しないように言っておいたんだけど、あの二人話を聞かないから。

 夏彦「おい、チビ。さっき七不思議様が呼んでた気がしたんだけど」
 つかさ「んー?」
 夏彦「お前あんまり兄ちゃんを困らせるんじゃねぇぞ~」
 つかさ「しないよ。だって俺、あまねスキだもん」

 あっけからんとこの子が言い、机に置いていた白のハチマキをしめて椅子から立ち上がる。
 体操服が若干大きくて、まるでハロウィンのお化けのようだ。

 つかさ「ジャー俺、そろそろ出番だから行くね!」
 夏彦「おう。行ってらっしゃい。頼むから殺しだけはしないようにな」
 つかさ「はーい。ネーネーサクラ、応援してくれるよね?」
 桜「……期待してるわ」

 私はそう答えると、再びコーナーに視線を移した。
 炭治郎くんと美鈴さんが、設置されたお題ボックスから引いたくじを眺め、各自「うおっ」とか、「ええええ?」とか言っている。


 夏彦『おっと、お題はなんだったのでしょうか。お嬢は何だと思います?』
 桜『そうね……。炭治郎くんはどうやらこっちに向かってるけど……』


 炭治郎くんの姿が次第に近づいてきて、その足は私たちがいるテント前で止まった。
 はァはァと息を切らしながら炭治郎くんは、横で競技の様子を眺めている夏彦をチラリ。

 炭治郎「すみません桜さん。一旦、夏彦さんもらってもいいですか?」
 桜「ええ、あれは空気みたいなものだから。いてもいなくても異常はないわ」
 夏彦「え?」

 どうやらお題は夏彦に関係があるものだったようね。
 何が書いてあったのかしら。
 
 桜「それで、お題は何だったの?」
 炭治郎「はい、こちらです」


 私は彼から渡された紙を開き、そして。
 盛大に吹いた。




 『お題。連絡先を交換してくれる人』

 

 


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