二次創作小説(紙ほか)

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ろくきせ恋愛手帖 (祝☆完結!)
日時: 2024/07/16 22:34
名前: むう (ID: X4YiGJ8J)
プロフ: http://www.kakiko.cc/novel/novel3a/index.cgi?mode=view&no=18233

 「君に出会えてよかった」

 
 ********


 こんばんにちは、むうです!
 東方、鬼滅、花子くんにハマっている高1女子です。
 知ってるよーって方、いつも応援ありがとうございます。
 誰コイツって方、この機に是非名前を覚えて帰ってください。

 この小説は、六人の軌跡のスピンオフです。
 前作は参照のURLや、「完結小説図書館」にて読むことが出来ますよ。

 タイトルにもある通り、この小説はキャラ恋愛関係を始め、
 キャラの過去や裏話をぎゅっと集めた短編集になっています。


 また、話にはイメージ曲をつけているのもあります。
 私のおすすめの曲なので、聴いてもらえたら嬉しいです。

 あなたの推しの話が載るかも?
 楽しんで読んで頂けたらキャラも私も幸いです。
 では、短編集も完結までどうぞよろしくお願いいたします。



 〈作者からのお願い〉

「脱! 台本書き」目指して現在、セリフ量<場面描写の構成を頑張る日々。
 まだまだ普通の文章にはなかなかできず、台本のようになってしまうことがあります。
 ちょっと読みにくいかもしれません。すみません。
 温かい目で見ていただけると幸いです。


 〈注意〉

 ●スマホだと読みにくいかも
 ●ネタバレ入るかも
 ●オリキャラあり
 ●時々東方キャラ登場


 〈ルール〉

 ●拡散〇
 ●不定期更新
 ●中傷行為や荒らし、作品に対してのネット上での暴言×
 ●キャラの貸し出し〇(その場合コメント)
 ●また、ネット上での自作発言×
 ●リクエストなどはコメントにて
 



 上を読んで、OKな方はゆっくりしていってね!



 ▼むうの雑談掲示板もあるヨ。

「スレタイなんて知らないよ」

「【地縛少年花子くん】好きな人語ろ!」

 良かったらチェックしてみてね。

 
 ▼占いツクールでも執筆してるよ。

 よかったら『紅羽むう』で検索してみてね。
 評価してくれると嬉しいです。


 ▼2020年冬☆小説大会入賞!!

 ほんっとうに感謝です!
 ありがとうございました!
 受験受かりました!

 
  ーーーーーーーーーーーーーー

 【目次】♪→イメージ曲




 ◆◇企画コーナー◇◆

 キャラに○○してみる>>09>>53>>55>>78
 むうのおススメ本紹介>>13
 英語で鬼滅・花子くん!>>27
 ろくきせを知ったら知って欲しいもの>>96
 ろくきせ閲覧数10000突破記念>>118>>120>>121

 
 ◆◇むうの執筆裏話◆◇

 第1回「むうのリスタート」>>36
 第2回「遅くなりましたが受賞の言葉」>>34
 第3回「お知らせ! 必読お願い!」>>38
 第4回「むうと柱とカオ僕と」>>40
 第5回「花子くん考察と2話までの裏話」>>46
 第6回「第1回☆謝罪フェスティバル!!」>>58
 

 ◆◇オリキャラ設定集◇◆

 瀬戸山亜門>>31
 七不思議8番>>43
 

 ◆◇本編◇◆

 一気読み>>01-

☆1.トモダチ☆(by睦彦)

 ♪from Y to Y/初音ミク

 登場キャラクター紹介>>01
 時系列の図>>10
 Prologue>>02
 第1話「出会い」>>03-05
 第2話「嫌い。」>>06-08
 第3話「合同任務」>>11-12 >>14
 第4話「本当の気持ち」>>15-16
 第5話「早すぎる別れ」>>17

★2.踊り場の花子★(by花子隊)

♪春を告げる/Yama

 Prologue>>18
 第壱の怪「となりの怪異くん」>>19-21
 第弐の怪「……嘘でしょ!?」>>22-24
 第参の怪「黒札と白札」>>25-26
 第肆の怪「花子VS花子」>>28>>29>>32
 第伍の怪「月原八雲」>>35>>37>>39>>41-42


 ☆3.快晴☆(by有為)

 ♪快晴/orangestar

 登場キャラクター紹介>>80
 第1話「忌子」>>81>>82
 第2話「生きる意味」>>83>>84>>85
 第3話「懐古」>>86-89
 第4話「夜月家と宵宮家」>>90>>91>>92>>93>>94
 第5話「快晴」>>97

 
あとがき>>125
 
 
 

 
 
 

 
 2020.8.21 スレ立て、執筆開始
 2020.8.30 第1話執筆開始
 2020.9.01 第1話完結
 2020.9.02 第2話執筆開始
 2020.9.22 第2話完結
 2020.10.23 キメツ学園執筆開始
 2020.11.09 受験勉強のため更新停止予定。
 2020.02.13 ろくきせシリーズ一周年!! いえーい!
 2021.09.04 本編完結。
 

Re: ろくきせ恋愛手帖 【第4話EP2更新】 ( No.106 )
日時: 2021/02/13 16:18
名前: むう (ID: mkn9uRs/)

 さあさあこれで肩の荷も下りたし。
 続き!!

 〈宇髄side〉


 宇髄「っていうか煉獄はどこ行った?? 地味にいなくなりやがって!!」
 悲鳴嶼「………おお宇髄………久しぶりだな………(スタスタ)」
 宇髄「悲鳴嶼さん! 実は煉獄とはぐれちまってよ。さっきまで横にいたんだが」
 悲鳴嶼「そうか………そういえば今日は祭りがあるらしい……一緒にどうだ」

 宇髄「祭りか! なんでも花火が上がるらしい! この俺様にピッタリじゃねえか!」
 悲鳴嶼「………なるほど。宇髄は……花火が好きなのか」
 宇髄「祭りも花火も好きだ! 響き派手で!」

 実弥「オイオイオイオイ。こんなところで何してるお二人さんよォ」
 宇髄「どぅわっ。いきなり横から出てくんな。地味に驚いただろうが」
 実弥「アアン? 勝手に驚いたのはテメェだろォ? それよりさっき胡蝶とすれ違ったぞ」

 悲鳴嶼「………そうか……。非番で皆この市場に来ているんだな」
 宇髄「産屋敷から近いからなァ。胡蝶とも会えればいいがね。ついでに煉獄とも」
 しのぶ「あらぁ。三人固まっておられたんですか。探す手間が省けましたね」


 ~後ろからしのぶ一行が駆け寄ってきて~

 しのぶ「何なんでしょうか。冨岡さんといい宇髄さんといい、出会い方が神がかってますね」
 義勇「俺は何もしてない」
 蜜璃「と、とにかく、見つかって良かったわ。あとは煉獄さんと無一郎くんだけだし」
 伊黒「聞けば時透は竈門炭治郎たちと一緒にいるらしいな。あとは煉獄だがどこに行ったんだ」

 宇髄「そりゃ分からん。あいつと一緒に回ってたが……気づけば地味ィに消えてやがる」
 実弥「フン。それは妙だな。あいつほど声が大きけりゃ、数分足らずとも見つかるだろ」
 宇髄「いや俺も、そん時は揚げ餅屋の旦那ともめてたからよォ」

 蜜璃「もめたって……なんでもめたんですか?」
 宇髄「値切ろうとしたらあの野郎、うまい具合に交わしやがった。商売上手だわ」
 蜜璃「たった十銭の揚げ餅をよく値切ろうと思ったんですね……素敵だわ」
 しのぶ「甘露寺さんのストライクゾーンは無限城より広そうですね(ニッコリ)」




 無一郎「行くよ。せーのっ、炙りカルビ」
 有為「えーっと、炙りカルビ、炙りカルビ(ふぅー)」
 つかさ「炙りカルビ、あRりかぐり?」
 無一郎「はい、ということで君の負けだね。約束通りあとで何かおごって」

 つかさ「えぇー。『炙りカルビゲーム』やろうっていったのは俺なのにケチ……」
 ミツバ「あーあ、だからやめろって言ったのに」
 仁乃「それにつっかかったのはむいくんだよね。初めてなのに勝っちゃうなんて手強いなぁ」

 無一郎「じゃああそこの店の金平糖とおまんじゅう一個ずつね」
 伏黒「平然と人をこき使ってるな。たかが14のガキなのに」
 無一郎「………何か言った?」
 伏黒「何でも」


 しのぶ「会うタイミングが、神がかって……嫌この場合鬼がかると言えばいいのでしょうか?」
 伊黒「それは某テレビアニメの主人公のセリフだから使うな胡蝶」
 

 煉獄「悪かったな宇髄! はぐれてしまって不甲斐なし!!」
 宇髄「いや、逃がした魚は大きい……みたいなことになってて怒る気も失せるわ」
 実弥「全くだな。この前のガキも連れてきやがって」

 野薔薇「ハァァァァァ………。なんで任務帰りでこうなるわけぇぇぇ?」
 悠仁「お前の情緒が分かんないのオレだけ!? 引きずりすぎだろ!」
 五条「落ち着きなよ野薔薇。こっちにも寿司はあるんだしさぁ」

 花子「聞く限り、回らないとこだって。あとめっちゃおいしいらしい」
 桜「その代わり値段は張るけど、柱がお金は出してくれるらしいから気にしなくていいわよ」
 寧々「そうよ! うどんもお蕎麦もとっても美味しいのよ。花火見ながら食べれるんだって!」

 つかさ「ねー時透もういっかいやろーよお」
 無一郎「………嫌だよ。違う人とやりなよ」
 つかさ「むぅー。じゃああまねと4番。『キャラ縛りしりとり』やろー」


 ※キャラ縛りしりとりとは
 呪術廻戦、花子くん、鬼滅の用語だけでしりとりをすること。


 メイ「分かりました。相手してあげますぅ。アナタが負けたら絵の中に閉じ込めますねぇ」
 花子「それはやめて。マジでやめて」

 メイ「じゃあ行きますよぉ。『エソラゴト』」
 つかさ「えーっと、『とみおかぎゆう』」
 花子「う、う……?『噂』」
 メイ「『サイコロステーキ先輩』」
 つかさ「『伊地知』」」
 花子「ち、ち………?」


 睦彦「行くぞ伊之助! 胡桃沢! 負けたら黒歴史暴露ゲーム! せーのっ、炙りカルビ!」
 仁乃「炙りカルビ。炙りカルビ」
 伊之助「え、っと……あ、あぶりかるび、あぶりかるび」
 

 睦彦「なっんだとお前……。ふぅー。行くぞ! あぶりかぐり!」
 炭治郎「…………………どんまいだ睦彦くん」
 睦彦「もう一回! もう一回!!」


 炭治郎「ダメだぞ睦彦くん。自分で決めたんだろ?」
 煉獄「睦彦少年の黒歴史か! 家が神社だからサンタクロースがいると思ってたことしか知らん」
 睦彦「嘘それ言ったっけぇ!?」

 
 蜜璃「同期だった男の子と仲良くなりたくて、お師匠さんの子供と練習してたのよねえ」
 睦彦「それ誰にも言ってないのに何で知ってんの甘露寺さん??」
 蜜璃「仁乃ちゃんが教えてくれたの♪」
 睦彦「くるみざわぁぁぁぁぁぁぁぁ」


 五条「よし、お祭りまでの道中こっちもなんかやろうか」
 悠仁「なんかってなんだよ。カラオケとか?」
 野薔薇「いいわねカラオケ! 私の美声を響かせてやるわ!」

 伏黒「カラオケならカラオケ店でやればいいだろ」
 野薔薇「ケッ。あのねぇ伏黒。歌っていうのはどこで歌ってもいいんだよ!!」
 夏彦「同意ー。歌は世界を救う☆」
 野薔薇「それはよくわかんないけど、とにかくカラオケはカラ館っていう考えは古いのよ!」


 五条「いいねぇ皆。楽しんでるじゃない。僕人酔いしそうだよ」
 伏黒「それは意味分かりませんけど薬でも飲みます?」


 ネクスト→お祭り開始。次回もお楽しみに!
 
 


 
 

Re: ろくきせ恋愛手帖 【第4話EP2更新】 ( No.107 )
日時: 2021/02/10 21:13
名前: むう (ID: mkn9uRs/)

 〈執筆コソコソ噂話〉

 唐突に好きなアーティストと楽曲発表じゃじゃん!

 炭治郎「急だな」
 善逸「ぼかろ? ってやつ?」
 仁乃「楽しみ^^」

 YОASОBI→「夜に駆ける」
 ヨルシカ→「言って」「ヒッチコック」
 ずっと真夜中でいいのに。→「秒針を噛む」「Ham」
 Honeyworks→「スキキライ」「ヒロイン育成計画」
 米津玄師→「ゴーゴー幽霊船」「マトリョシカ」
 ナユタン星人→「惑星ループ」「ロケットサイダー」

 以上!!
 ろくきせやカオ僕など、色んな所でイメージ曲にしてるので気になったらまた調べて見て下さい!


 ********


 【お祭り開始】


 野薔薇「来たわね冬まつり! 見晴らしが良くて空が高いわ! 絶好の会場ね!」
 悠仁「向こうに寿司屋もあるってよ! 後で行こうぜ釘崎!」

 五条「良かった、野薔薇のテンションが戻って」
 伏黒「そうですか。良かったですね(棒)」
 五条「どしたの恵。ホームシック?」
 伏黒「いえ。なんでもないです」


 しのぶ「ハイハイ。それではみなさん、都合もあるようですしここで一旦解散にしましょうか」
 義勇「ホッ」
 光「っていうことはっこから自由行動ってことですか?」
 しのぶ「はい。みなさんお好きな方と、お好きな場所へ行ってください(ニコッ)」

 蜜璃「わぁ、楽しみ! えっと、誰と回ろうかしら……」
 伊黒「何をしている甘露寺。さっさと行くぞ」
 蜜璃「え? あ、ちょ、ちょっと待ってくださーい!」


 ☆おばみつチーム成立


 煉獄「甘露寺と伊黒が行ってしまったな! 宇髄、先ほどの件は悪かった!」
 宇髄「いいっていいって。んーそうだな。なら一緒に回るか煉獄?」
 煉獄「おう! 喜んで同行しよう!!」


 ☆煉獄&宇髄チーム成立


 しのぶ「さて冨岡さん。一緒に回る人がいないようでしたら私と如何ですか?」
 義勇「っ………あ、ま、まぁ…………」


 ☆ぎゆしのチーム成立


 実弥「さて俺は……一人で回るとすっかァ」
 悲鳴嶼「………ああなんと哀れな不死川……私も同行しよう……南無南無」
 実弥「!? い、いや俺は一人で……」
 悲鳴嶼「………一人で回る祭りほどむなしいものはないぞ………(ずいずい)」
 実弥「……仕方ねえ。暫く頼むぜェ悲鳴嶼さんよォ」


 ☆実弥&悲鳴嶼チーム成立




 炭治郎「それじゃあ俺たちも分かれようか」
 善逸「おい炭治郎! 禰豆子ちゃんは置いてけよ夜だし! 俺は禰豆子ちゃん一択だからな!?」
 炭治郎「分かったからどいてくれ善逸。今箱を降ろすから(よいっしょ)」

 善逸「やっと! やっと俺がイチャイチャできる時間来たぁぁ! うふふっ楽しみ♪」
 禰豆子「(箱から出て)ムームー!」
 善逸「うわぁぁい幸せ! さぁ行きましょうか禰豆子ちゃん!!」


 ☆ぜんねずチーム成立



 カナヲ「あ、炭治郎………」
 炭治郎「! カナヲ! アオイさんも! 来てたのか!」
 アオイ「どうも。(小声)ほらほら、今がチャンスだから頑張ってカナヲ!」


 炭治郎「? どうしたんだ?」
 カナヲ「あ、あのさ………お祭り、い、一緒に、回らない……?///」
 炭治郎「わぁ、嬉しいよ。ありがとう!」
 カナヲ「え、う、うんっ」


 ☆炭カナチーム成立


 花子「ようし、俺たちは花子隊で回るぞー! おー!」
 寧・光「オー!」
 もっけ「あめをかう」「あめかうぞ」「おとながいする」

 夏彦「ってことは俺たちはいつもどうりですかねぇ」
 桜「ええ。放送室メンバー+四番で回ることになりそうね」
 メイ「よろしくお願いしますぅ」
 ミツバ「……フン」

 
 ☆花子チーム成立
 ☆放送室チーム成立


 アオイ「では私は不足していた調理道具を……」
 伊之助「ジー――――――」
 アオイ「なんですか伊之助さん」
 伊之助「な、なんでもねぇっ(そわそわそわそわ)」

 アオイ「だからなんですかっ!」
 伊之助「い、やぁ、そ、その……(きょろきょろきょろ)」
 アオイ「(ハァ――――)お腹がすいたんですね。食べたいものを教えて下さい。私が出します」
 伊之助「は?? なんでお前が……」
 アオイ「行きますよ!!」


 ☆アオ伊チーム成立


 五条「ようしじゃあ僕たちも行こうか! あ、でもお金は自分で払ってネ」
 悠仁「バッチコーイ!! さあ行くぜぇお祭り!!」
 野薔薇「ようし、可愛いもの買いまくるわよぉ!!」
 伏黒「……………はぁ……」


 ☆一年ズチーム成立


 仁乃「それで、さっきからずっと赤い顔しているむっくんは誰と行くの?(ニヤニヤ)」
 睦彦「っ!? え、えっと………」
 仁乃「ほらほらー」
 睦彦「…………い、一緒に祭りまわりませんかっ!!?」
 仁乃「いいよっ」


 ☆にのむつチーム成立


 仁乃「毎回それ聞くけど、それって私が無理って言うと思ってるの?」
 睦彦「え、いや、そんなことは……」
 仁乃「それとも、私が誰かと一緒に行くのを避けたいのかな?」
 睦彦「え、……そ、それは」
 仁乃「むっくんは一途だねー(ニコニコ)」


 有為「(どうしよう……睦彦くんは仁乃さんと行くし……ボクは誰と回れば……)」
 無一郎「………(どうしよう……柱の中で僕だけ余ってる……)」
 二人「そう言えば………(チラリとお互いを見て)」


 有為「あ、あの………時透くん……」
 無一郎「………なに?」
 有為「あの、いやでなければボクと一緒に回りませんか?」
 無一郎「………」

 有為「いややっぱりだめですよねボクなんか……すみませんちょっと樹海行ってきますっ」
 無一郎「まあ、いいんじゃない」
 有為「………はい?」
 無一郎「お互い誘える相手もいないし、君と一緒に行っても影響はないよ。同年齢だし」


 有為「…………OKならちゃんとOKって言ってくださいよ」
 無一郎「君がそれ言える? 前までずっとトゲトゲしてたじゃん」
 有為「あ、あれは、」
 無一郎「それにさ。『自分なんか』って言うの、やめたほうがいいよ」
 有為「わ、分かりました。ごめんなさい」

 無一郎「後謝るの禁止ね」
 有為「注文多くないですか?」
 無一郎「それよりさっさと歩いたらどう? 一緒に回るんでしょ」
 有為「そうですね。行きましょうか」


 ☆ういむいチーム成立




























 


 ??『――ということで君がこっちに入れる時間は満月の間。分かったかな?』
 ??『分かるよそれくらい』









 ??『くれぐれも、後悔のないようにね』
 ??『それも分かってるよ。だって』
































 ??『感動の再会、だろ?』


 
 
 

 
 
 
 

Re: ろくきせ恋愛手帖 【第4話EP3更新】 ( No.108 )
日時: 2021/02/13 16:17
名前: むう (ID: mkn9uRs/)


 お知らせです!
 今日、2月13日でろくきせシリーズ一周年!
 ということでイラスト掲示板にイラストをUPしました!
 良かったら見て見て下さいね(^▽^)/
 と言うことで続きです。

 ********


 〈炭カナチーム カナヲside〉


 やばい、どうしよう。
 今、私こと栗花落カナヲは、ドクドクと暴れまわる心臓を必死に抑えている。
 顔がほてって、呼吸が苦しい。脳がくらくらする。

 あ、アオイのせいだ。
 アオイが、「炭治郎さんが来るから誘ってみたら?」何て言わなければ良かったんだ。
 そしたら、こんな気持ちに振り回されることもなかったのに。
 

 炭治郎「カナヲ、どこに行きたい? 色んな屋台があるけど」
 カナヲ「えっ、えっと………ど、どこでもいいよ」
 炭治郎「そっか。いっぱいあると迷っちゃうからな。ゆっくり回ろうか」
 カナヲ「う、うん」


 炭治郎の笑顔を見るたび、胸が苦しくなる。
 けれど、久しぶりに会えただけで宙に浮く気持ちになったり、彼の声や仕草、一つ一つに視線を
 移してしまったり。


 この感情を何て言うか、私はやっと知ることが出来た。
 世間一般が「恋愛」と呼んでいるもの………だろう。


 でも私は、それこそ仁乃ちゃんのようにグイグイいけないし。
 仲良くなりたいけれど、炭治郎と会うのは彼が蝶屋敷に来た時だけで、あまり会えないし。
 だから久しぶりに会えた今、どんな風に接せばいいんだろう。


 炭治郎「カナヲ! こっちのべっこう飴、色んな形があるぞ。色もカラフルだ(飴屋発見)」
 カナヲ「そ、そうだね。炭治郎どれ食べる?」
 炭治郎「うーん、俺はこの、鳥型の奴を頼むよ。カナヲは?」
 カナヲ「この、ピンクの、桜型のやつ……かな」


 今頃みんな、上手くやってるのかな。

 師範も水柱さんと相変わらず話しているのかな。
 蛇柱さんと恋柱さんはもともとお似合いだし、睦彦と仁乃ちゃんは心配いらない。
 

 ああ、こんなときどうするのか聞けばよかったな……。
 

 店主「ご注文はお決まりですか?」
 炭治郎「あ、えっと、そこの鳥と桜を一つずつお願いします!」
 店主「はーい。ちょっと待ってね~」


 炭治郎「久しぶりだなカナヲ。元気にしてたか? 今日は誘ってくれてありがとな」
 カナヲ「っ………う、うん……///」


 ずるいなあ。そんな顔するの、本当にずるいなあ。
 炭治郎は出会った時から、とってもとってもずるいことを無意識にやっちゃうからなぁ。
 そういうところが、かっこいいなって、私は思ってるけどね……。


 店主「はーい。どうぞー」
 カナヲ「あ、ありがとうございます……(飴を受け取って)」
 炭治郎「そう言えば、このお祭りって『お宮祭り』って言うのに、なんで神社でしないんだろう」
 カナヲ「……(ぺろぺろ)確かに、ただの商店街のお祭りだもんね」

 店主「ああ、この近くに神社があるってことだけで、そう呼ばれてるの」
 炭治郎「そうなんですか。なるほどぉ」
 店主「ご利用ありがとうございました。また来てくださいね(ニッコリ)」


 買ったべっこう飴を二人で舐めながら、私たちはゆっくりと屋台を眺め歩いた。
 揚げ餅に、髪飾り、仕立て屋に、和菓子。
 色々なお店が軒を並べていて、沢山のお客さんが道を歩いている。

 
 炭治郎「人、増えて来たな」
 カナヲ「そ、そうだね………」
 炭治郎「迷子にならないように、手を繋がないといけないな。はい、カナヲ(手を差し出して)」


 えっ………///
 目の前に差し出された手を、まじまじと見つめると、炭治郎はキョトンと首を傾げた。



 炭治郎「どうしたんだ? 迷子になるぞ?」
 カナヲ「あ、ご、ごめん (ぎゅっ)」


 炭治郎からすれば、ごく当たり前のことかもしれない。
 でも私は違った。こんなふうに手を差し伸べられたのは、もうずいぶん昔のことだ。
 しのぶ姉さんとカナエ姉さんに出会った時以来で、なんだかとても懐かしい。

 炭治郎の手のぬくもりを改めて感じる。
 私より若干大きい、鍛え抜かれた分厚い手の温かさ。


 カナヲ「…………………・…………///」
 炭治郎「カナヲ?」
 カナヲ「だ、だって………初めて……男の子と手つなぐから……」


 そ、それに男の子と女の子でお店を回ったりするのを。
 未来ではその、「でえと」って言うんだよね? 寧々ちゃんが言ってた。
 でえと。これはでえとなのかな?


 と、おそるおそる炭治郎の顔色をうかがった私は、彼の顔が赤いことに気づいた。
 いや、顔だけじゃなくて耳まで赤かった。

 とたんに私は恥ずかしくなり、そっぽを向く。
 炭治郎も反対方向に視線をそらした。


 二人「……………・…………」



 そのまま静かな時間が流れる。ああ、こういう時はどうすればいいんだろう。
 違うお店回らない?って話題を変えればいいのかな。
 それとも、最近どうしてた?って聞いてみればいいのかな。



 炭治郎「……………緊張、するな。こういう感じ……」
 カナヲ「………うん。でも、楽しいよ」
 炭治郎「それは俺も同じだよ。良かった、カナヲと会えて」



 炭治郎が私の目を見てにっこりと笑う。
 その笑顔がとても眩しくて、私は大好きだった。
 そしてこの気持ちが嘘ではないことを改めて感じる。



 私はやっぱり、炭治郎が好きなんだ、って。
 私と出会ってくれて、ありがとうって。


 人間どうしようもなく辛い事があって、自分じゃどうにもできなくなったときでも。
 横に胡桃沢がいれば、それだけで幸せなんだ。


 前に睦彦がそう言ってたことを思い出す。


 あぁ、全くその通りだ。
 横にいる大切な人と見たこの景色に、なんという名前を付けようかと。
 私はずっと、頭の中で考えていた。
 満たされたこの気持ちを、胸から落とさないように注意しながら。
 

Re: ろくきせ恋愛手帖 【第4話EP3更新】 ( No.109 )
日時: 2021/02/15 20:15
名前: むう (ID: mkn9uRs/)


 【執筆コソコソ噂話】

 そう言えば昨日はバレンタインデーでしたね。
 皆さん如何お過ごしになられたでしょうか。
 全国恋している皆さん、むうは応援してます。

 ******


 〈ういむいチーム 無一郎side〉


 宵宮さんのことを知ったのは、半年前の臨時柱合会議にて。
 六新鬼月を封じた陰陽師の子孫だと、お館様から説明があった。
 なのでどんな子だろうと内心ドキドキしていた。
 
 でも、僕の前に現れた少女は、ごくごく普通の同い年の女の子だった。
 サラサラの白髪はくはつに、伏し目がちの瞳。
 顔も手足も小っちゃくて、お人形さんみたいだなぁと出会った時思った。

 その小さな口かな放たれる言葉には若干の毒があったけれど、不思議と悪意は感じられない。
 真っ直ぐなその言葉や姿勢に、どこか引かれるものがあった。

 いつも虚勢を張っているという感じで、炭治郎たちと一緒にいるときもあんまりわらわない君。
 それが今では言葉も柔らかくなって、はっきりこっちの目を見てくれる。

 本当はずっと前から話してみたいと思っていた。
 だなんて言ったら驚くだろうか。


 無一郎「………おいしい? さっき買った揚げ餅」
 有為「(もっち もっち )ふぁ?」


 無一郎「確か人気商品って書かれてあったから、どうなのかなって思って」
 有為「(もっち もっち)時透くんは買わなかったんですか?」
 無一郎「………うん」

 お餅ならこの前、柱全員の年越し会で嫌というほど頂いたし。
 でも、横を歩く宵宮さんの、幸せそうな笑顔に食欲がそそられる。

 あぁ、そんな顔もできるんだなあ……と僕は心の中で呟いた。
 まあ、自分が言えることではないのだろうけれど。


 有為「もしかして、食べたいとか思ったりしてます?」
 無一郎「……………いや」
 有為「時透くんが食べたいかなと思って、もう一つ買っておいたんですけど」


 宵宮有為という陰陽師の少女は、年齢の割には結構頭の切れる子供だった。
 この前炭治郎から聞いたが、なんでも彼女の過去がかなり残酷なものだったらしい。
 その時の経験から、妙に卓越した自我を持っているのに驚かされる。


 無一郎「………食べるなんて言ってない」
 有為「そうですか。ならボクが食べます」
 無一郎「………あ、」


 二つ目の揚げ餅の箱の中から、カリカリに揚げたお餅がチラリと除く。
 その一つをつまようじでとった宵宮さんは、お餅を口に運ぼうとして……。

 さっきからお餅に目が留まっている僕に視線を移し、大きく息をついた。
 呆れたように肩をすくめて、彼女は言う。

 有為「なんですか? いるんですか、いらないんですか」
 無一郎「…………………ありがとう」
 有為「どうも」



 話がなかなか続かないことに僕は焦りを感じる。
 もともと忘れっぽい性質たちなので、人との会話が得意ではない。
 柱の中にも同い年の子供はいないし、炭治郎たちはいつもかまぼこ隊で話しているから、いきなり自分が間に割り込むのも気が引ける。

 
 宵宮さんは、かまぼこ隊と一緒に行動してはいるけれど……。
 メンバーと一対一で話しているのはあまり見たことがない。
 何だか自分と同じものを感じた。だから仲良くなりたい。
 しかしどうすればいいか分からない。


 無一郎「……(そうだ。さっきやったゲームとか、そういう遊びをやったりとかはどうだろう)」
 有為「わぁ、綺麗な星空! 確かオリオン座ですよね。こう、砂時計みたいな形の」

 月明かりに照らされた、彼女の横顔につい見とれてしまう自分がいる。
 精神年齢は高いものの、そこを取ればただの年相応の女の子だった。


 無一郎「……ねえ、ゲームをしない?」
 有為「? はい、いいですよ。どんなゲームですか?」
 無一郎「…………炙りカルビゲーム」


 最初の人が『炙りカルビ』、次の人が『炙りカルビ+1』と交互に言っていく早口ゲームだ。
 もちろん、噛んだら負け。


 無一郎「……これに、負けた人が罰ゲームをつけて……」
 有為「……なるほど。罰ゲームとはどのようなものでしょうか」
 無一郎「…………た、例えば、宵宮さんが負けたら………」


 さっき一瞬、胸の中に浮かんでは消えたセリフ。
 これを今、口にしていいのだろうか。
 横目でチラリと宵宮さんを見つめる。彼女は怪訝な顔つきのまま僕を見つめた。



 無一郎「…………宵宮さんが負けたら、僕のことを『むいくん』……って言うのはどう?」
 有為「……………ふぁっ??///」


 瞬間、これまでずっと平静だった宵宮さんの肩が跳ね、顔にサッと朱が刺した。
 僕も自分で言ってて恥ずかしくなり、慌てて下を向く。


 無一郎「く、胡桃沢さんでさえそう呼んでるのに、君が呼べないってことはないよ……ね?」
 有為「か、か、か、簡単に、い、言わないでください!!」


 人が相手を呼び捨てで言うのにどれほど苦労してると思いますか!?と続ける宵宮さん。
 興奮しているのか、早口でまくしたてる。


 有為「そ、それに、そっちだけ罰ゲームを決めるのは不公平ですよっ」
 無一郎「…………なら君も決めれば? 罰ゲーム」
 有為「いいでしょう!! じゃあ時透くんが負ければ、………その……」



 有為「ボクのことを『有為ちゃん』と呼んでください…………!!」
 無一郎「…………うっ!?? ///」


 
 人が相手を呼び捨てするのにどれほど苦労してるかだって?
 こっちのセリフだよ。たかが一歳二歳年下の女の子も名前で呼べないし。
 でも、だからって、そんな、人格ごと支配されるようなのは………。



 有為「これが成立しなければそっちだけ有利です。さあ、呑みますか!?」
 無一郎「…………う゛……………。わ、分かったよ……」


 さすが……。



 有為「じゃあ先行はゆずります。どうぞ」
 無一郎「…………せーのっ、炙りカルビ」
 有為「炙りカルビ、炙りカルビ(ふぅ)」
 無一郎「…………あぶりかるび、あぶ…りかるび、あぶりかるびっ(危なっ)」
 有為「ふぅ――。炙りカルビ炙りカルビ炙りカルビ炙りカルビっ」


 無一郎「……(強っ!?)あぶりかるび、あぶりかぶりっ」
 有為「……おや?」
 無一郎「……………な、」

 有為「噛んだのは時透くんですよね? 明らかに」
 無一郎「……………さ、さあ………」
 有為「じゃあ、罰ゲーム、行ってもらえますか」


 な、なんで宵宮さんそんなに滑舌いいの……?
 陰陽師の呪文を毎日唱えてるから??
 さらさらと言ってのける彼女の態度に、僕の背中から冷たい汗が流れ落ちた。



 無一郎「……………罰ゲームって、なんだったっけ……」
 有為「とぼけないでください。ボクのことをチャン付で呼ぶことです」
 無一郎「……………え―――っと」
 有為「もしかして恥ずかしいんですか? 自分で乗ったのに怖気づくなんて……」


 無一郎「う、うるさぁい!! い、言うもん!!」
 有為「どうぞ?」
 無一郎「…………………う………」
 有為「う?」


 無一郎「う、有為ちゃん…………」
 有為「はいっ」


 僕が照れながらも必死に言葉を絞り出す一方で、名前を呼ばれた宵宮さ……いや有為ちゃんはニッコリと満面の笑みを向けた。
 その笑顔がとても眩しくて、明るくて、可愛いなと僕は思った。
 そして、自分の本音をここまで引きずり出せる宵……有為ちゃんの存在に内心ビックリもした。



 有為「誘ってくれてありがとう……むいくん」
 無一郎「………え?」


 今、聞き間違いでなければ、はっきりと『むいくん』と……。
 思わずバッと振り向くと、有為ちゃんは恥ずかしそうにはにかんだ。
 星空をバックに、小さな少女は力なく笑った。



 有為「わたし……今とても楽しいです」




『ボク』ではなく『わたし』と自分を呼んだ彼女の真っ直ぐな言葉が、僕の胸にしみこんでいった。
 思わず泣きそうになって下を向いた僕の前を、彼女は背中を伸ばして歩き始める。
 宵宮有為という人間の記憶の片隅に、僕と言う存在を映し出せたこと、それがとても嬉しかった。




 ******


(え、めっちゃいい感じやんういむい……試しに書いてみたけど想像以上!! v( ̄Д ̄)v イエイ)

 





 


 
 

Re: ろくきせ恋愛手帖 【第4話EP3更新】 ( No.110 )
日時: 2021/03/20 09:12
名前: むう (ID: mkn9uRs/)

 いや別に恋愛ジャンルが得意とかそういうわけではないですよ。
 まぁその、日常がテーマなので時々こういう甘酸っぱいのもいれたいなぁってことで。
 あとタイトルに恋愛って書いてるのにずっと重い話が続いてたじゃないですか。
 だからまぁいいかなってことなんですよ。(謎の弁解)

 苦手な人はブラウザバック推奨。
 

 さあ、このシーンは!! むうが顔が爆発するのを覚悟で書いたのだ!!
 準備OKですか?? さあ、どうぞ!
 ******


 〈仁乃睦チーム 睦彦side〉


 時々見る夢がある。
 その夢にはいつも、あの時のアイツが出てきて、何度も何度も俺を蹴る。
 なんでお前だけ幸せになって、なんで自分だけ不幸になって。
 夢が覚めるまで、ずっと、ずっと、もう死んだアイツが自分を叩く夢を。


 その夢には胡桃沢はいつも出てこない。
 あくまでその夢の登場人物は、俺とアイツの二人だけで。
 俺が望んでいるのは別れのシーンなんかじゃなくて、続くはずだった未来なのに。


 なんでだろう。もう諦めも覚悟も決まったのに、あの時の記憶が胸の中から溢れ出す。
 それも決まって、アイツと出会った頃の話。
 アイツと別れる直前の、まだ未来が続くと思っていたころの出来事。
 それがなんどもフラッシュバックして、頭の中から逃げ去ってくれない。

 提灯のほのかな灯りが闇を照らす中、右手は横の少女の手を掴んでいるのに。
 今この場において、俺と一緒に過ごしているのは胡桃沢だけなのに。
 俺の左手は、なぜかもういない誰かを探していた。



 仁乃「むっくん? ……どうしたの?」
 睦彦「え? ……あぁ。………ごめん。ちょっと、疲れちゃって」
 仁乃「無理もないよ。こんなに人が多いんだもん。休む?」
 睦彦「………いや。大丈夫」


 好物のわらび餅が入った木箱を小脇にかかえる胡桃沢が、心配そうな表情で黙りこむ。
 自分の中の黒い靄が、増えていく感じがして、俺は彼女の左手を強く握りしめた。


 仁乃「痛っ」
 睦彦「………あ、ごめん……」
 仁乃「どうしたの? なんでそんな、苦しそうなの? なにかあったの?」


 満たされているほど、将来が不安になるのはなんでだろうか。
 欲しいものもちゃんとあって、自分の存在や才能を認めてくれる人もいるのに。
 心の中に、急に冷たい風が吹くことがあるのは、なんでだろう。


 睦彦「………あの時も、今日みたいな雪が降ってたなぁって」
 仁乃「あの時?」
 睦彦「……………あの時はまだ三人だったよな」


 俺が何を伝えようとしているのかようやくわかり、胡桃沢は下唇を軽くかんだ。
 上を向く。分厚い雲から白い粉雪が、ひらひらと落ちていった。


 睦彦「……夢を見るんだよ。アイツがいなくなる夢」
 仁乃「…………」
 睦彦「……なぁ……。いいのかな、こんな………俺だけ、こんな………幸せになって……」


 アイツだって死にたくて死んだわけじゃねぇんだよ。
 殴りたくてオレを殴ったわけじゃねぇんだ。
 あの時は分かったつもりになってたけど、今は違うんだ。


 仁乃「………違うよ。むっくんだけが幸せで、他の皆が不幸せになってるなんて間違いだよ」
 睦彦「……で、でも俺は………だって……っ」
 仁乃「大丈夫だよ。嬉しかったって言ってたもん。私たちと一緒に居られて、良かったって」


 鬼殺隊に入隊するうえで、人の死に際に応対することは避けて通れないと思っていた。
 まだ当時13だった俺でも、それくらいの覚悟はしてきたつもりだった。

 でも。でもさ。
 鬼に食われて死んだんじゃない。
 病気になって死んだんだんなら、それはもう、どうしようもないじゃねぇか。


 睦彦「……アイツ、言ったんだろ!? 
   お前に好きだって、言ったんだろ!? 俺が横取りしたってことだろ!? 
   アイツの気持ちも知らずに! 勝手に自分の都合だけ……っ」


 つい三日前、宵宮の家で年越しをしていた時、「話がある」と胡桃沢に連れ出された。
 そこで打ち明けられたのは、彼女が俺に隠していた、あの日のアイツとの会話。
 なんで隠していたのか、何で打ち明けなかったのか、今ならわかる。けど、けど……!


 睦彦「……何で俺だけ……っ。
    色んな人がいるんだよ。皆が大切な人を失って、前向きになってるのに俺はまだ……」



 馬鹿だ俺は。あれだけ偉そうにタンカを切っておいて、あれだけ偉そうな態度を取っておいて。
 本当は、あれもこれも全部、自分の弱さを守るためで。
 そのくせ大事なことは後になって気づくし、無意識に他人に気を使わせて。


 

 睦彦「……あの日さ。胡桃沢は俺に言ったよな。『君の事が好き』って」
 仁乃「…………うん」
 睦彦「…………失礼だと思うけどさ。俺本当は今も疑ってるんだよ」


 
 胡桃沢の表情に迷いが生じる。泣きだしそうな瞳。きつく結ばれた口。震えている手。
 そんな顔をさせてしまったことに後悔しつつも、俺は早口でまくしたてる。


 睦彦「……胡桃沢は、本当に俺が好きなのか!? ほ、本当に俺でいいのか?」
 仁乃「むっくんがいいの!!」
 睦彦「…………なんで!?? 俺なんかのどこが――」
 仁乃「なんでも!! 私は、むっくんのことが好きなのっ!!」

 涙をいっぱいにためた目で、目の前の少女は怒鳴る。
 小さな体全身で怒りを表現して。

 睦彦「…………だって、俺はアイツを……それに、臆病だし、全然……」
 仁乃「むっくんは強いしっ、優しいしっ!! 私が、そう思いたいのっ!!」


 人の好意を、今俺は充分すぎるくらいに踏みにじっている。
 最低なことをしたと、痛いほどわかっている。
 なのに、その言葉だけではどうしても納得できない自分がいた。



 睦彦「そんなの、まやかしだ!!」
 仁乃「違う!! 私はっ、むっくんに嘘を言ったことは一度もないっ」
 睦彦「俺なんか! どこも!! お前と吊り合えない!!」
 仁乃「そんなことない! ………そんなことない……………っ」


 両目からとめどなく流れる涙を乱暴に腕で拭って、胡桃沢は真っ直ぐにこっちを見つめる。
 その透き通った瞳に、俺まで泣きそうになってしまい、慌てて涙をこらえた。



 仁乃「なんで、はこっちが聞きたいよ。なんで疑うの? 何で信じてくれないの?」
 睦彦「……………信じたいけど、信じるのが、………怖い」
 仁乃「じゃあ私が好きって言うのも嘘なの? あの時の言葉は冗談なの??」
 睦彦「………違う!! 俺は、……ずっと、お前のことが好きだ!!」


 好きなのに、好きでたまらないのに、お前を信じるのをあの日の記憶が許してくれないんだ。
 そりゃあ俺だってお前を信じたい。
 だけど、そうしてしまえば、アイツの気持ちを踏みにじりそうで……。


 仁乃「なら……信じてくれても、いいじゃん……。
    辛い事、今までいろいろあったけど、
    むっくんが頑張っているのを見て、私も頑張れたんだから。
    ずっと一緒にいたもん。今更、むっくんの弱いとこを悪く言ったりしない」


 睦彦「………アイツは俺を許さない」
 仁乃「そんなことない。……そんなことないよ。だって、むっくんのこと、大好きだったよ」
 睦彦「………怖い。ずっと怖い。家族を失った。アイツを失った。お前まで鬼化した……」
 仁乃「………あれは、………あれは……」


 どうすればいいのか分からない。何を信じていいかも、何が目標だったのかも分からない。
 これでいいのか? こんな俺をアイツは認めてくれるのか? 
 こんなにも過去にこだわっている俺を、本当にアイツは許してくれたのか?



 睦彦「………なぁ…………俺、誰を信じればいい……?」



 胡桃沢は何も言わない。ただじっと、黙って話を聞いていた。
 そして何かを呟き、そっと距離を詰めてくる。
 びっくりして一歩後ろに下がろうとする俺の手首をつかんで手元に引き寄せた胡桃沢は、強引に顔を近づけてきた。




 睦彦「………え」
 仁乃「……………女の子に二度もこんなことやらせるなんて、ビンタ百回じゃ足りないからね」



 呆れたように彼女が笑い、直後。
 唇に、甘いものが触れた。


 


  ちゅっ




 睦彦「…………………!???」
 仁乃「……………………………ん」



 至近距離でかかる彼女の髪・息を感じ、俺の中の何かが爆発した。
 数秒後、ゆっくりと離れていく彼女の身体。
 思わず自分の頬に触れると、平温をとっくに超えているのが分かる。

 そして、どんなに恥ずかしいシーンでも平静としていた胡桃沢の頬も、ほんのりと赤かった。
 

 睦彦「……………(え?? こ、これって………………うあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!??)」
 仁乃「…………むっくんの、ドアホっ(ボソッ)」

 仁乃「ブンッッ(渾身のキック)」
 睦彦「いっだだだだだだだ! そこ義足んとこ!! いだだだ!!」

 
 仁乃「このあんぽんたん!! バーカバーカッッ ざまあみろバーカッッ」
 睦彦「おまっ」
 仁乃「意識させてやったぞバーカッッ もともと『信じれない』とか言う権利ないんだよ!!」
 睦彦「やめッ、殴んな! やめろ!!」


 何度も何度も細い右足を突き出してくる彼女の攻撃を避けていた俺は、彼女の髪がしっとりと濡れていることに気づいた。
 泣きすぎて目のまわりが赤くはれていることも。


 仁乃「むっくんのバカッ 馬鹿ッ むっくんのバカチン!」
 睦彦「……………ごめん」
 仁乃「何かあったら頼れって言ってるのに! 男の子っていつもこうなんだから!!」
 睦彦「……………ごめんってば」


 睦彦「……………ありがと。胡桃沢」
 仁乃「今度同じこと言ったら許さな―――」





 『ばかやろー』








 二人「(バッと振り向いて)」
 仁乃「……………今、誰かが横通らなかった?」
 睦彦「……………さあな。寂しくなってこっちに降りて来たんじゃねえのか」
 仁乃「あはははははは、あははははははっ」
 睦彦「……………ふふっ あはははははは」



 
 俺は弱いです。憶病で、泣き虫で、どうしようもない人間です。
 人に誇れることなどあまりないのかもしれないけれど、そんな俺を好きだと思ってくれる人がちゃんといます。
 
 
 だから、きっと大丈夫です。
 今は闇から出られないかも知れないけど、幸せの芽を摘んでいけば、きっと出口に辿り着ける。
 だから、負けないでください。自分の力を信じて下さい。横にいる人の力を信じて下さい。
 

 そうすればきっと、何かが変わるはずだから。
 


 

 

 



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