社会問題小説・評論板

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はりぼて王国の女王様。
日時: 2017/08/16 01:42
名前: 小麦 (ID: Uk0b6ssr)





私立黎明女子学園。——屈指のお嬢様学園。
選りすぐりのお嬢様達が通う、正に白亜の宮殿のような学園。
しかしその中にも、やはり『格差』が有った。

私、——伊集院小瑠璃こそがそのピラミッドの頂点。
容姿端麗、文武両道、大企業伊集院グループ会長の一人娘。

私はこの宮殿の女王様。
下級生は勿論、同級生、上級生も私には敬語を使う。
私の命令は絶対。逆らうなんて絶対に有り得ない。

—こんなに完璧な私も、ストレスは溜まる。
高貴な家柄だから、作法には気をつけなくてはならない。
屋敷内の乱れた言葉はけして許されない。
常に文武ともに学園のトップでなければならない——。

そのストレスを発散するには人間を甚振るのが一番。
逆らう生意気な小娘は、私が自らの手で『制裁』する。—学園の掟。
小娘は私たちの格好の玩具になって、壊れて果てる。

だって私は女王様、周りの小娘はすべて奴隷なんだから。

Re: 女王様の制裁。 ( No.1 )
日時: 2014/11/21 01:26
名前: 小麦 (ID: n6vtxjnq)

1.小瑠璃様の美麗なるお遊び

弱肉強食。誰が作ったかは知らないけれど、とても素晴らしい言葉。
そう、弱い者は常に強き者の餌食。それは当たり前、世の中の常——。

私のお城、中等科1年校舎廊下に一歩足を踏み入ると、賑やかだった廊下は一瞬沈黙に包まれ次第にざわつく。
どの生徒も私が前を横切る度に目を見開き、羨望と恐怖に満ちた視線を送られる。私が目を合わせると、萎縮した小鹿のようになりながら、「お早う御座います!」と頭を深く深く下げ、決まって最後に私の顔をちらりと伺う。
私がにこやかに「お早う」と口にすると、どの娘も安堵に満ちた笑顔を綻ばせる。

1年1組、私の教室に入る。それまで気楽に駄弁っていた娘達は途端に表情を変え、一斉に私に向かって「お早う御座います!」と頭を下げる。気にせず自分の机に向かい、荷物を下ろすと、数少ない気を許している2人の娘が寄ってくる。

「お早う御座います、小瑠璃様。…髪型変えられたのですか?」

そう言ったのは有名弁護士の一人娘、西条可憐。私には及ばないけれと整った顔をした可憐は、さらに続ける。
「その髪型…小瑠璃様の綺麗な黒髪が映えて、とてもお似合いです」
「有難う。貴方のポニーテールも、とても似合ってるわよ。美しいわ」
「お褒めに預かり、光栄です!私なぞ、小瑠璃様の美しさに足元も及びませんが…たいへんもったいないお言葉、有難うございます!」
終始感謝の言葉を繰り返す可憐を尻目に、私は声をかけた。

「…ところで、美鈴。」
とある大病院の娘、白柳美鈴ははっとした顔になり、顔を上げる。
「…今月の、玩具の事で御座いますか?」
「ええ。私も最近ストレスが溜まってきてね…玩具になってくれる、手頃な小娘を探してくれる約束だったわよね」
美玲は真剣な顔で首を上下に動かす。
「もちろん…探して参りました、小瑠璃様。」
「へぇ…早速紹介していただける?」

教室内はわざとらしい程に静まり返った。無理もない。中等科1年の中の誰かが、この私の、伊集院小瑠璃の玩具—いわばストレス解消役として犠牲になるのだ。廊下からもちらちらと視線を感じる。別のクラスの連中は、息を潜めて聞かんとしている。

美鈴がノートをぺらぺらと捲り、有るところで手を止め、息をすぅと吸った。

「1年3組、有栖川 清華」

廊下が騒がしくなる。開けっ放しにされたドアから、「うそ…」「清華ちゃん…?」と言うような声が幾つも聞こえる。廊下の連中の視線の先には、目を涙に潤ませ、顔を真っ青にした清華が居た。為すすべもなく、立ち竦んでいるようだった。
「この娘、…何か私に逆らったのかしら?」
「ええ、許せないことです。これをお聞きください…」
美鈴は薄桃色の携帯電話をいじった後、私にそれを手渡した。
「友人から送られてきた者です…本当に、最低です。小瑠璃様をこんな風に…っ」
音量を最大にしてから、再生ボタンを押す。たちまち清華の下品な声が廊下まで響き渡った。

『伊集院…って、ちょっと偉そうにしすぎじゃない…?』
『ちょっとお金持ってるからって…女王様気取りして…』

私はくすりと笑う。可憐はわなわなと震え、「最低…」と呟く。
「…そこまで私のことが嫌なのかしら?」
携帯電話をぱたんと閉じて廊下の清華に言う。
「いっ、嫌…ごめんなさい…嫌…っ…」
「もっと頭を床につけて謝りなさいよ?」可憐は嘲笑に満ちた声で言う。
清華は足をがくがくとさせながら、膝まづき、土下座の体勢になった。

「ごめんなさい、申し訳ございません、お許し下さい、お許し下さい、なんでもいたしますから許してください小瑠璃様っ…!」
「もっと許しを請うべきじゃない?」
私は清華に歩み寄り、その頭を踏みつけた。顔が押しつぶされたのか、「ぐえっ」という情けない声が聞こえる。
私は踏みつけたまま、宣告する。


「今月の玩具、有栖川清華に決定致します♪」


Re: 女王様の制裁。 ( No.2 )
日時: 2014/11/21 01:40
名前: 小麦 (ID: n6vtxjnq)

校舎はざわつきに満ちた。
「当然の事よ!小瑠璃様に出来る限りの償いをするべきだわ!」
美鈴は声を張り上げ、跪いた清華の膝を横から思い切り蹴った。

体育会系の美鈴の脚力はかなりのものだ。清華は声にもならない声を微かに出し、下品に床に倒れ込んだ。更に可憐が思い切りみぞおちを踏みつけた。
「うぐぇっ…止めて…ゲホッ…あ…ああ…」
涙で顔をくしゃくしゃにした清華は廊下をのたうち回った。沢山の生徒が罵声を浴びせる。

「小瑠璃様の悪口なんて最低!」「不細工の分際で!」「気持ち悪いのよ!」
たちまち人がハイエナのように集まり、清華は殴られたり踏まれたり、生徒が去った頃にはもう顔は真っ赤、制服は汚れ、髪は乱れていた。

「ねぇ清香さん」私は膝を曲げ、倒れ込んだ清華に話しかける。
「お昼休み、奥の空き教室に来ていただけない?皆も待ってるわ」

清香への女王様の制裁—それは暴力や罵倒なんて物ではない。それを十分に知っている哀れな少女清香は、その場に泣き崩れた。

Re: 女王様の制裁。 ( No.3 )
日時: 2015/01/17 18:08
名前: 小麦 (ID: SEcNJIKa)

授業はあっという間に終了し、昼食を終えた私たちは、約束の空き教室へと足を運んだ。既に空き教室は噂を聞きつけた生徒たちで一杯だった。

民衆を退けた先には、怯えた子鼠のような弱々しく汚らしい様子で立ってる清華が居た。
「こんにちは、清華さん?怯えなくてもいいのよ、別に」可憐は顔いっぱいに嫌味たらしい笑顔を広げた。
「だって、私たち、清華さんと楽しく遊びたいだけだものねぇ」可憐の笑顔はさらに嫌味たらしくなり、私をちらりと見た。「ねぇ、小瑠璃様?」
私は首をゆっくりと上下に振り、可憐のように態とらしげな笑顔を浮かべた。清華は今までにないほど怯えた表情になり、へなへなと地べたに座り込んだ。

「私、清華さんはとぉっても可愛いと思うんだけどね?」可憐は清華にゆっくりと歩み寄りながら言う。「髪を短くしたら、もっと可愛いと思うの」
美鈴が民衆をかき分けて出てくる。その手には大きなハサミが握られていた。
「私たちが、代わりに切ってあげるから、ね?」

清華は真っ黒で綺麗な長い髪を振り乱しながら首を振る。しかしもう遅い。可憐は既に後ろに回り込んでいたのだ。すかさず清華を押さえ込み、美鈴は暴れる清華の頭を押さえ込んでハサミを入れた。


——ざく、り


清華の足元には、大量の黒髪が落ちていた。清華は俯いて雄叫びを上げる。
民衆の幾人かは前に出てきて、清華に下品な罵声を浴びせたり、豪快な蹴りを入れたり、めちゃくちゃに殴ったり—。清華は涙に顔を濡らし、顔をクシャクシャにしながら紅潮させた。汚らしい顔。

「泣いてるのぉ?小瑠璃様にあんなことを言っておいて?」
「まだ償いのつの字も済んでないわよ」
ざくざくざく、という豪快な音に清華の甲高い悲鳴が重なる。
普通ならここで満足するだろう。でも私はこれで終わらせない。
「私、清華さんの体もとっても素敵だって思うわ」
「真っ白よね。すべすべで、お人形さんみたいな白さ。」

「—その白い肌をもっと映えさせるには、真っ黒な、これが良いと思うのよ」

私は真っ黒な画鋲を手のひら一杯に溢れさせ、上品に微笑んだ。

Re: はりぼて王国の女王様。 ( No.4 )
日時: 2014/11/21 22:57
名前: シンジ (ID: BoToiGlL)

オリキャラって募集していますか?


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