社会問題小説・評論板
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- 暗闇学園
- 日時: 2015/11/28 14:03
- 名前: 雪 (ID: uCkrl5rm)
初めまして!
雪 と申します。
粗忽者ですがよろしくお願いします。
つまらないとは思いますが、少しでも見ていただけると幸いです。
〜 ご入室頂いた方々 〜
TUBAKI 様 著書:また明日
雪兎 様
バラバラ 様
ごめんなさい トリップの付け方がわかりませんでした!
- Re: 暗闇学園 ( No.70 )
- 日時: 2015/10/29 06:41
- 名前: 雪 (ID: YGE8ENnO)
殺意
わからない。
入学当時は殆どの問題がわかった...というより、分かっていた。最低でも一学年先の問題は
わかっていたのだが。分かっていたはず。考え事をしている間に、授業はかなり進んでいたようだ。
教師の言うこと半分ほどは理解できず、そのまま数学は終わってしまった。あんな暇な時間を過ごすくらいなら、勉強
していれば良かった。まずそれに、かなり後悔した。
愛夏と目が合った。なんとなく気まずくなり、目を逸らす。愛夏なんか見なければ良かった。それに、
2回目の後悔をした。後悔してばかり、もうイヤ。
私は愛夏が嫌い。愛夏も私を嫌い。そんな暗示を掛ける。
ーホントは嫌いなんかじゃないくせに。
親友だったくせに。親友でありたいくせに。今も、これからもずっとー。
違う。もうやめて。私は愛夏を好きなんかじゃない。裏切り者なんか好きじゃない。親友でもなかった。勘違いしていただけ。
親友でなんか、ありたくない。
愛夏なんか、愛夏なんか、大嫌い。
ーそうだ。
愛夏を、殺してしまえばいいんだ。
- Re: 暗闇学園 ( No.71 )
- 日時: 2015/10/29 20:20
- 名前: 雪 (ID: YGE8ENnO)
殺意 2
そうだ。愛夏を殺してしまえばいいんだ。殺してしまえば何も残らない。
完璧じゃないか。私は愛夏が嫌い。 愛夏は生きることに罪を感じている。
今はいじめなんてやっていない。ただ皆が愛夏を避けているなか、たった
一人で愛夏のそばにいるアイツ。
あいつは私がなにもしていないのを見たとたん、愛夏について行った。多分、正解を知っているのだろう。
ということは、やはりいじめが原因で転入してきたのか。
愛夏の死に顔を想像してみる。見慣れた優しそうな顔。でも私は、もうこの顔を懐かしく、嬉しく思うことは無い。
何故何千回も名前を呼んだ親友を殺してしまうの?今からでも遅くない、愛夏を殺さないで。
・・・ありきたりな綺麗事は今の私には通じない。
私は私を止められない。
- Re: 暗闇学園 ( No.72 )
- 日時: 2015/10/30 17:56
- 名前: 雪 (ID: YGE8ENnO)
「精神的不安定って、こういうことを言うのかな?
ごめんね、美紗記。せっかくずっと一緒にいてくれてるのに、こんな話になっちゃって。
あ、美紗記には感謝してるよ?あの女王様の制裁を浴びたら酷いことに、なっちゃうって...解ってるでしょ、美紗記なら?女王様だって、元々は大親友だった。宿題見せたり、一緒に先生に怒られたり...。毎日楽しかった。
女王様との絆は、だんだん薄れていったんだ。私が、試験に落ちちゃって、中学一緒じゃなかったから。
気の弱い私にとって、唯一無二の親友だった。でももうそろそろ潮時になっちゃった。まさかこうなるとは、思ってもみなかったけどね。いじめられるのはかまわない。私は女王様のために。女王様は私への制裁のために。
これがいい、って思った。だから私のところになんか、来なくていいよ。そんなことしてたら、美紗記まで嫌われちゃう。
イジメはしたくない?
...そう。美紗記はー、強いんだね。私なんかより、ずっと。美紗記、ありがとう。私に生きてる資格なんかない。
悪いのはみんな私なんだ。美紗記まで巻き込みたくない。
最低限、償いをする。」
彼女はそう言って、運動靴の靴紐を結び終えた。
「!?ちょっと待って、愛夏!」愛夏は立つと、少し微笑んだ。愛夏が、どんどん遠くに行ってしまう。
行かないで。
行かないで。
待ってよ、愛夏。
行かないで!
ああ、仲間がまた減っていく。
- Re: 暗闇学園 ( No.73 )
- 日時: 2015/10/30 21:41
- 名前: 雪 (ID: YGE8ENnO)
今は体育。先生が来るまで、学校のトラック5周。まだ来ていない者もいるが、殆どはもう来ているだろう。
...あ、愛夏が来た。その瞬間に怒声が飛び交う。
「もう戻ってくんな!」「遅えんだよ!」「凛音様を裏切ったくせに!」
知夏は腕組みをして、何やらぶつぶつ言っている。
「...美紗記?愛夏がうざいんだけど。いっつも一緒にいてあげて、美紗記も大変ね」
「凛音様に嫌われちゃうよ?それともあっちがしつこく誘ってくんの?それなら私が追い返すけど。」
「美紗記?」
「え?...あっ、うん。...そうなの。愛夏が話しかけてきて。ほんっと、うざい。...凛音、様に...
刃向かうなんて...良く出来たわよね」
つっかえつっかえだが、大切な友達の悪口を言ってしまった。苦い罪悪感が心に広がる。
愛夏は強い。だから無理して私にもきっと嘘ついてる。私は信用されてないんだ。きっと。
バタバタバタ...
凛音が走って来た。皆は一斉に愛夏を見ながらくすくす笑う。何か話している者もいるが、やはり皆笑っている。
「えっとぉ?愛夏がぁ、美紗記を困らせてるんですって。
酷いですよねぇ」
「凛音様を裏切った上に、他人にまで迷惑をかけるなんて!本当に、迷惑よねぇ。ね、美紗記?」
「そ...そうね。愛夏...愛夏なんか...」私の蚊の鳴く様な声は、知夏のわざとらしい声にかき消された。というより、
知夏がおどおどした私の声を掻き消したような感じだ。
「...ですって。もっと裁きが必要ですよね、凛音様!」段々と知夏の声は大きくなっていく。こんなに嫌な声を聞いたこと
なんてなかった。
『凛音様』は、焦点の合わない目で、どこかを見つめていた。
- Re: 暗闇学園 ( No.74 )
- 日時: 2015/10/30 21:52
- 名前: 雪 (ID: YGE8ENnO)
決行の日
愛夏。
愛夏なんか死んじゃえばいいんだよ。
愛夏なんか死んじゃえばいいんだよ。
愛夏のせいで。
愛夏がいたせいで。
愛夏のせいで...私は傷ついた。私は泣いた。気の弱い、どこにでもいそうな少女。
放火。
それは私が最も忌み嫌っていた犯罪だった。
「○○容疑者はビルにライターで火を付けたと供述しています」なんて言うニュースにため息をついてた。
ライター。
手に握ったライターを見る。愛夏の家の前。
これは愛夏だ。
坊主憎けりゃ袈裟まで憎い、と言うように「愛夏」に繋がるすべてに憤った。勿論、私も。
私は躊躇することなく家に火をつけて逃げ出した。逃げると、聞き慣れた声が、悲鳴が聞こえてきた。
火が、追ってきた。
「速報です。」アナウンサーが話し始める。...あの事件か。
「家から火が出て、死者が15人出ました。...」
嘘だ。
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