社会問題小説・評論板

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暗闇学園
日時: 2015/11/28 14:03
名前: 雪 (ID: uCkrl5rm)

初めまして!
雪 と申します。

粗忽者ですがよろしくお願いします。
つまらないとは思いますが、少しでも見ていただけると幸いです。



〜 ご入室頂いた方々 〜


TUBAKI 様 著書:また明日

雪兎 様

バラバラ 様
ごめんなさい トリップの付け方がわかりませんでした!

Re: 暗闇学園 ( No.60 )
日時: 2015/10/17 21:18
名前: 雪 (ID: YGE8ENnO)

「あのさぁー?今日また数学忘れちゃったんだけどー、貸してくれない?...知夏ちゃん」
もう無視は慣れてきた。コツをつかんだ。いや、コツと言うよりは反射的にそうなってしまうのだけれど。

いつ復讐されるかわからない。でもそんな頭脳をアイツが持ち合わせているはずがないし。普通の人でも分からない
難問なんか解けないか。
そんな悩みで頭がいっぱいだったし、もう気にならない。いじめか。いじめ、いじめ、いじめ。
無視が一番辛いと思う。痛いより。

自分が何者かくらいはわかっている。多分、誰よりも。自分よりほかに自分を分かってくれる人なんかいないから。
私、性格は悪いし可愛くないし、美羽よりゴミだ。可愛くないなんて、私のせいじゃないから...
もう気にしていないけど。
いくら美紗記が接着剤のようにベタベタくっついてくるからと言っていじめなんかしてはいけないのだ。
美紗記だってイジメをされていたのかもしれない。イジメをされたから転入してきたのかもしれない。多分そうだ。

ーきっと明日はいい日になるよ、とか言われて。一回もなったことなんかない。

それを機に私は心を閉ざした。
でもそれは私のせいだから仕方ない。それも私の性格のせい。でも私は臆病だから私のせいじゃない、少なくとも。
昨日、ソファーで変な形で固まって考え事をしていたせいで、背中が痛い。強くなりたい。弱い私が嫌い。
やっぱり感情なんかいらない。微塵もなくていいものだ。わざわざ邪魔をしてくる悪いもの。

Re: 暗闇学園 ( No.61 )
日時: 2015/10/19 18:47
名前: 雪 (ID: YGE8ENnO)

「姉」のことを思い出す。
凛音には、一人っ子らしい、という事をやんわり伝えているけどばれるのも時間の問題だ。
姉の名は美紗記ー、転校生と同じ名前。小野美紗記は素晴らしい人間で、私と5歳年が離れている。
本当は十歳違うんじゃないかと言うほど出来が違う、だって私は弱いから。 ...私が可哀想だと思うくらいに。

じつは、この胸の内を誰にも明かしていない。...だって伝えられない。無理だ。
母は、私を産みたくなかったらしい。産むのも嫌だけと、胎堕はもっと嫌だった、とさ。これは、父の口から
飛び出た予想外の真実ー。「みさき」「あいか」と全然名前が似ていないのも、それだ。

優しかった、お母さんも美紗記も優しかった。

ーなのに、二人きりでいると二人で私の悪口を言っている気がする。

愛夏って頭悪いよね、美紗記に似てなくて可愛くないし。もうやめてくれ。二人で私の方を見ながら笑っているの
は目の奥に焼きつき、あのときの冷笑は耳にこびりついた。本当に悪口を言われていたこともあった。


ー産まなきゃ良かった。
...産まなきゃ良かった?生まれて初めての目眩がした。

そもそも、『私』とは何だったのだろうか。





凛音と私、愛夏の付き合いは喧嘩だった。弱すぎて負けていた。相手も大きくて怖くて、泣いていた。
そんな時、凛音が助けてくれた。お嬢様とは思えないほど強く、格好良かった。それがきっかけで私達は友達...、
いや親友になったのだ。初めての親友、心が踊った。格好よくて強い大親友。しばらくは周りに自慢していたと思
う。

そんな親友に、私は何もしてあげられなかった。一緒に暴力を受けるも、庇うも。


今なら間に合う気がする。言うんだ、私。

「凛音

それは...違うよ。
いじめは、正しくないよ!」


...周りの空気が凍りついたのが分かった。

Re: 暗闇学園 ( No.62 )
日時: 2015/10/20 18:35
名前: 雪 (ID: YGE8ENnO)

親友って?

記憶があやふやというか曖昧というかあまり覚えていないが、絶対に私は「親友」に裏切られた。それだけは間違いない。
果たして、本当に本当に、これは罪滅しではないのか?勘違いで、十年に一度程しか買えない親友の印を捨ててしまっ
た罪滅し、なのか?
愛夏、私の事嫌いだったの?私のこと裏切って楽しかったの?私は絶望したんだよ。それを笑ったの?
酷いよ、愛夏。酷い酷い酷い。親友でしょ?酷いよ?愛夏のために、愛夏を喜ばせるためにやったんだよ。
そんな気持ちでいっぱいだった。裏切られるのはもうたくさんだ。裏切り者。いじめでもさせなくては気が済まない。
絶対に、復讐してやる。親友だと思っていた分、ダメージはとても大きかった。知らない人間なら良かったのに。
一番、嫌な人だった...。嫌だ。これは現実世界で起きたことではなければいい。夢、悪い悪夢に魘されているのだ。覚めろ、覚めろ覚めろ覚めろ...手の甲をつねっても、現実世界の証拠しか出てこない。嫌な夢だと、思いたい。
「は?

死ねば...親友じゃなかったのね、私達。愛夏、あれ全部あんたの為だったのよ。




あんたなんか、大っ嫌い!」そう言って、頬をひっぱたいた私は多分とても醜かったんだろう。後になって分かったのだが。
ふっと涙が愛夏の目から頬を伝う。さっき、叩いて赤くなったところに涙が伝って、とても染みて痛そうだ。
こんなの序の口だ。本当に...、その気になれば殺すことだって出来るんだから。

Re: 暗闇学園 ( No.63 )
日時: 2015/10/23 18:55
名前: 雪 (ID: YGE8ENnO)

「やめてっ」って言いたくない。ほとんどの場合トラブルが起き、ほとんどの場合そのトラブルに巻き込まれるからだ。
でも、言おう。私の親友が、わかってくれるまで永遠に。
勇気を出して。
「何が、違うのよ!

あんたには、私を否定する権利なんかないんだから!私が...、私がどのくらい傷ついたか分かる?
全部、全部あんたのせいよ!」必死に涙を堪える凛音。

ああ、全部私のせいなんだ。

凛音は、また私の頬を叩いた。そしてよろけ、壁に腕をぶつけた。これは償い、わたしのせいなんだからしようがない。
そう思えば痛みなんか感じなくなった。

「やめて!
お願い、やめて...凛音!」


親友、凛音のためにー。

《二階堂美紗記》
腕に残る痣。

心に感じる痛み。

作り笑い。
全てはいじめから始まった。

笑顔。

楽しみ。
全てはいじめでなくした。

精神だけが傷つけられた訳じゃない。鉛筆もノートも教科書も消しゴムも筆箱も、古いものも新しいものも
すぐ無くなっていった。友達は、すぐにどこかへ行った。ゴミ袋をのぞくと、真新しい長い鉛筆と真っ白な
消しゴムが捨てられていた。でももう覚えていない。だがー。
火傷だ。
何故かはもう覚えていない。滴る血と泣き声と笑い声と叫びと痛みと苦しみが飛び交っていた地獄だけは覚えている。
火傷は、見えないところにあるのはいい。足の内側だから見える可能性はかなり低い。でも時々見てしまう。地獄と一緒に。だから私は感覚を研ぎ澄ませ、目を凝らし粗探しをすることを仕事にしなくてはいけない。編入だけで随分と両親に迷惑を
かけたのだから、テスト百点通知表最高ではないといけない。
私はどこでも見張られ、疑いの目で見られている。こんな地獄から、もう開放されたい。


まだあと1年以上、ここにいなくてはならないなんて。

Re: 暗闇学園 ( No.64 )
日時: 2015/10/23 21:35
名前: 雪 (ID: YGE8ENnO)

「ちょっと!床拭いてないじゃないの!今すぐ拭いて。今すぐよ!」
思い切り声を張り上げると、香織、という少女は眉をひそめ、頭を下げた。深く深く、と意識しているのが分かる。
とりあえず深く頭を下げれば、まあ騙されるだろうとでも思っているこの少女に、私は心底腹が立っている。
花瓶の周りに飛び散った水を見て、遠慮がちに口を挟んだ。

「すみませんお嬢様...まだ掃除が終わっていないので後にさせて」言い終わるのを待たずに箒を振り上げた。
香織が悲鳴をあげる。頭に命中するが、血が出るほど本気にはしなかった。私はそんな馬鹿じゃない。
「さっさと床を拭きなさい!お母様にご報告するわよ!それでもいいの?」

「すっすみませんお嬢様...もう少し...お待ち頂けないでしょうか?」
「まだそんな事を言ってるの!本当にお母様に言うわよ?仕事がなくなってもいいのかしら?」
これが私、凛音の日常だ。
荒ぶる感情のまま、お洒落な一角を通り過ぎていった。


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