複雑・ファジー小説

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ジアース 〜沈んだ大陸〜
日時: 2011/10/27 21:16
名前: ハネウマ ◆N.J./4eRbo (ID: sSCO5mTq)
参照: http://soysauce2010.blog82.fc2.com/

スレ設立日時 2011/09/02 22:01

初めまして。こんにちは。ハネウマと申す者です。
ここでは今年の七月九日ぐらいに完成した小説を一日一回のペースで少しずつ投稿していこうと思っています。
はっきり言って、駄作です。特に序盤なんか手探りな感じで・・・ちょちょっと待った、ブラウザバックしないでください!終盤になると幾分かマシになりますから!いやホントよろしくお願いします!
駄作とわかっているなら修正しろって話ですが、アレです。面倒くさい(殴
それとこの「沈んだ大陸」の続編を今執筆中でそれもいつか投稿する予定だからたとえ駄作でも載せとかないと嫌なのです。
コメントには誠意を持って返信したいと思います(訳:頼む・・・コメントを・・・コメントをくれぇ・・・)
多少のグロはあると思います。いやこれってグロって呼べるのか?ぐらいです。十二歳以上なら全く問題ないと思います。
コメディ・ライトの方では「茶飯事的な日常は奴らを乗せて回ってく」という小説を投稿しています。気が向いたら見てやってください。
参照のURL、ブログの方も毎日更新中なのでこれも気が向いたら見てやってください。
では物語へ。

Re: 沈んだ大陸 ( No.1 )
日時: 2011/09/02 21:38
名前: ハネウマ ◆N.J./4eRbo (ID: sSCO5mTq)
参照: http://soysauce2010.blog82.fc2.com/

▼水中の古城

 寒い。
 僕は冷たい大理石の床に横たわっていた。天窓から僅かにゆらゆらと揺れる光が差し、蝋燭を失ったシャンデリアを照らしている。
 痛む体を動かして起き上がるとかけられていた布がずり落ち、黴の臭いが鼻をつく。部屋を見回すが、暗くてよく見えない。裸の体は湿っていた。服は脇に広げて置かれていて、それもぐっしょり濡れている。
 頭を掻くと長い耳が手に触れ、ぞっとする。僕はこんな耳だったか? 顔をなでると閉じられた左目が手を触れ、ぞっとする。僕の左目は開かなかった。
「気が付いたカ」静寂の中で初めて音が生まれる。
 くぐもるような奇妙な声がした方向へ振り返ると、人間の形をした何かがそこにいた。スキンヘッドで体色は青く、腕からは魚のヒレが出ている。高い鼻に切れ長で黒目の大きい瞳。
「誰だ」声が上擦る。
「おっト失礼した。コの姿では驚くのも無理はないか」声の主はズルズルと音を立てて青白い体の中にヒレを沈みこませ、人間の体色を取り戻した。
「コういう能力なんだよ」男は怪物の姿から人間の姿へ完全に戻っていた。
「聞いた事くらいアるだろ? 魔法使いダとか、魔人って呼ばれてイる人間の存在を」
「……わからない」事実、僕は目の前で起こった事を理解できずにいる。「わからない」
 男はため息をつき、体を拭き始めた。男の体も、彼の脇に広げてある服のようにぐしょぐしょに濡れている。
 僕は痛む体をもぞもぞと動かし、自分の服を絞る。もう限界まで絞られていた服からは水滴が一、二滴垂れるだけ。かけられていた布にくるまり闇に慣れた目で辺りを見回すと、二人がいる部屋は相当広いことがわかる。全裸の男が広い部屋で二人っきりというのは滑稽な光景にも思えた。
「ここはどこなんだ」僕は服を着始めた男に訊く。「水中ダ」男は答える。
「水中だって!?」僕は頭上を見上げる。ゆらゆら光る天窓に魚の群れが映った。

「まぁ落ち着いて自己紹介しようジャないか」あぐらをかいて二人は向き合う。「俺はシビっていうんだ、ヨろしくな」
「僕は」言葉に詰まる。「すまない、何も覚えていないんだ」
「覚えていない?」
「ああ。自分の名前も何もかも」
「ソりゃあ」シビはふらふら手を振った。「笑えナいな」
「本当なんだ」僕は悲しくなる。自分の容姿すら分からない現実。
「聞きたイ事はいくつもあるんだが、ドうしてお前がここにいるかも分からないんじゃ聞いても意味が無イか」
「そうだよ、どうして僕はこんな……水中の建物の中にいるんだ?」
「コこは城の最上階」シビは何故か嬉しそうに話し出した。「大昔に建てらレたヒラル城だ。と、俺は推測しテいる。ヒラルの沈んダ大陸の遺産だよ。俺は最近コこを見つけて、能力で魔獣化して——ほラ、さっきの怪物の姿になって——色々調べてイたのさ。そしたら暗い水中にいきナり光が現れてよ、なんじゃーと思っタら人間が光の中から出てきて驚いたの何の」
「それが僕なんだ?」
「ソうさ。生きてるのか死んでるのかわかンなかったが、この海に浸かってると危ないからな。トにもかくにもここへ連れてきたんだ」
「命の恩人だ」
「ハハ、照れるジャないか」
 話は途切れ、僕は改めて天窓を見上げる。時折大きな魚が通り過ぎて光を遮る。夢を見ているのかとさえ疑う光景。自分のことは何も思い出せず、そうか、きっとこれは夢なんだと思った矢先、シビが口を開く。僕は奇妙な現実に引き戻される。
「ところデ、ソいつは何だ?」シビの視線の先には、納まるべき長剣を失った鞘が置かれていた。「お前さんが服以外に持ってイた唯一の品なんだが」
「それもわからない」僕は首を横に振る。「全然思い出せないんだ」
「ダメか……」シビも少しがっかりしたようで、禿げた頭を掻く。「何かのヒントになるかもシれない、そいつも持っていくんダな」
「聞きたい事はまだある」僕は若干恐る恐る、という感じで問う。「君は……怪物なのかい?」
 シビは無表情になる。「ソうだな、ある意味デは魔人は怪物だ」
「魔人?」「あア。魔力という、本来は精霊が持っテいる不思議な力を持っタ人間の事だ。人間の中デはイレギュラーな存在だよ。モっとも、俺は普通の魔人より特別なんダが……まァ、怪物でもお前さんをトって食うような真似はしナい」
「それがわかって安心したよ」
「しかしお前さんモ変わった風貌だよなぁ。隻眼で青い瞳に緑色の髪なんテ……俺が行ったどこの地方でもお目にかかれナいぜ」
「君ほどレアじゃないと思うけどな」二人は笑いあう。
「ところで俺はトもかく、お前さんはコこには長くは居られないだろ? こんなカビくせーとこロで長居してたら鼻が狂っちまウ」
「ああ」僕は応じる。「早くここから出てみたい」失った記憶を取り戻したい。
「ちょっト知り合いに話をしてくる。どうせ濡れるンだ、その服は着てオけ」
「ありがとう」「オウ」
 服を着ようとして、気づく。緑色のその服は破れた箇所がいくつもあり、焼けた跡も数箇所。なにより衝撃的だったのは、まだ新しい血がしみこんでいた事だった。

「ジョーズさんだ」シビは言った。「大キくて獰猛な魔獣だが、知能も持ち合わせてイる。安心しテ乗っていきな」
「乗っていく?」「そうだ。大きいかラ人間なら十人は乗れる」「怖いなそれは」
 シビの後について城の階段を下りる。すぐに海水が浸る所まで来たが、シビは構わず海水の中へ進んでゆく。「30秒は息を止めテおけ」体が青白く光り、顔がゆがみ、腕にヒレが現れる。「コっちだ」僕は息を思いっきり吸い込み、水の中へ入る。シビに手を引かれ、ぐいぐい進んでゆく。水中の割れた窓から、暗闇から抜け出した。
 ジョーズさんは巨大な鮫型の魔獣だった。シビがまず上に乗り、僕を引き上げる。「ヨろしくな、ジョーズさん」
「大丈夫なのか?」「俺とジョーズさんの仲だ、約束は守っテくれる」「約束?」「アあ。お前を食わなイっていう」
 ジョーズさんのごつい背びれに掴まり、準備は整った。
「じゃアな! えーっと……そういえバお前さん、名前はどウするんだ?」
 これから先、名前は必要になるだろう。「そうだね、何か良い名前はない?」
「シムン、ってのはドうだ?」「シムン?」「古代ヒリア語で『隻眼』を意味スる」
「ぴったりな名前だ」
「じゃアな、シムン」「またな、シビ」鮫は陸地を目指し泳ぎ始める。

Re: 沈んだ大陸 ( No.2 )
日時: 2011/09/03 11:38
名前: ハネウマ ◆N.J./4eRbo (ID: sSCO5mTq)
参照: http://soysauce2010.blog82.fc2.com/

▼スヌ

 男の名はルーコ・カガリといった。
 このジアースと呼ばれる世界の中でも東方、ルディア地方に位置するスヌ村の村長で、妻と二人の兄妹、三人の家族を養っていた。村民からの信頼も厚く、男はこの世に暮らす上で十分な幸せを手にしていた。
 その男が散歩に出たとき海岸に見知らぬ青年が倒れているのをみつけたのは、つい昨日の事だった。
「大丈夫か!?」呼びかけても返事がない。見ると体の所々が青く染まっており、男は「海浸病だ」と判断した。すぐに家に連れて帰る。「あら、その子どうしたんだい!?」「海浸病で倒れていたんだ。風呂に水を張ってくれ」
 海浸病は海水に長くつかっていると発症し体が動かなくなる病気で、魔獣以外の生物が存在しない海に出る者はサーフィン目的の血気盛んな若者ぐらいになった今ではほとんど見ることはない。
 真水を張った湯船に青年を浸からせると、体の青い斑点が徐々に消えていった。
「うーん……」「気が付いたかい?」「ここは……?」「俺の家さ。君は海浸病で倒れていたんだよ。今体を拭く布を持ってくる」男は部屋の奥へ消えた。
「海浸病……?」彼の頭の中には海浸病という単語は存在しなかった。
 水からあがり体を拭き、「こんなボロボロの服はもう着ないだろう?」と服も誰かのお下がりだろうか、取り替えて用意され、それを着た。
「シムンといいます。助けてくれて本当にありがとうございます」青年は5人のカガリ一家に挨拶した。
「おう、俺はルーコだ、ゆっくりしていきなよ」「しむんー!」「好きなだけ泊まっていきなさいな、旅人さん」
「早速なんですが、ベッドを貸してもらえないでしょうか……」
「構わないよ、二階の奥の部屋にあるのを使いな。ルイ、案内してやりな」「わかったよ、父さん」
 ルイという一番背の高い男の子がシムンを部屋へ連れて行った。「君はここの長男かい?」
「ううん、次男だよ。ルーウィンって兄ちゃんがいたんだけど、一年前に旅に出てから帰ってこないんだ」
「そうなんだ」「でも、寂しくないよ。手紙をくれるから」僕に優しくしてくれるのはその旅に出た兄と僕を重ねているからなのかもしれないな、とシムンは思った。
 ルーウィンのベッドの上でシムンは寝転び、唯一の持ち物であった長剣の鞘を手に取る。これが失った記憶を取り戻すカギとなるのだろうか。そうならないとしても、鞘を持っていると何故だか穏やかな気持ちになれた。
 鞘を持ったまま眠りに付くと、シムンは次の日の朝方まで目を覚まさなかった。

 朝とともに、魔人狩りはやってきた。
「ここに魔力を持つ人間はいないか?」
 低い声の男は背が高く体の全てが隠れるような濃紺のローブに身を包み、顔が隠れるほど大きなフードを被っている。全体的に不気味さがただよう人物で、ルーコは警戒を強める。
「魔人狩り、ですか」「そうだ。ここに魔力を感じた。魔人がいるな。出せ」
「……わかりました。心当たりがあります。連れてきましょう」ルーコは妻に、まだ眠っているシムンを起こしてくるよう伝えた。
 シムンはすぐに起きてきて、寝癖をしきりに気にしている。「あの……僕が、魔人……?」ルーコの妻はシムンが魔人らしいとわかった今では何故か汚らわしいものを見るかのような目つきでシムンから目を逸らした。それでも少しは気を使ってくれているようで、「そうみたいなのよ。おとなしく魔人狩りの人の言うことを聞いてね。でなければきっとひどい目にあうわ」と忠告した。
 そしてシムンはローブの男の前に姿を現した。
 その時だ。
「貴様…!」
 ローブの男は声を荒げた。手元に闇が突如として現れ、巨大な漆黒の鎌が現出する。何が起きたかシムンもルーコもわからぬまま、鎌は空を斬りシムンへ迫る。体を捻りかわした瞬間鈍い音が響く。ルーコは鎌に貫かれる。
 一瞬だった。血が飛び散る、妻は悲鳴を上げる、駆けつけた子供達は父の死体を目にする。そしてシムンの頭は本能的に、合理的に判断を下す。
「うわあああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!」
 シムンは一目散に逃げ出し、村人を突き飛ばし、ただ走り続けた。村から出た後も、盲目に走り続けた。

Re: 沈んだ大陸 ( No.3 )
日時: 2011/09/04 14:17
名前: ハネウマ ◆N.J./4eRbo (ID: sSCO5mTq)
参照: http://soysauce2010.blog82.fc2.com/


▼ヘルガ




 スヌ村から逃げ出した僕は、林の中をとぼとぼと歩いていた。つまずき、前のめりに倒れる。地べたの木の葉が音を立てて崩れる。震える体を起こし、また歩き始める。
 手には剣の鞘が強く握られていた。その鞘が心細い僕をギリギリの所で支えていた。脳裏に甦る血飛沫、ルーコの死、悲痛な叫び……。
「やれやれ。久しぶりに再会したってのにその態度は何だ?」
 背後の声に僕はおののき震える。現実を受け入れ振り返る。魔人狩りが濃紺のローブを身にまとった先程と同じ姿で亡霊のように佇んでいた。
「なんだよ……お前は誰なんだよ!」僕は混乱気味に叫ぶ。
「俺はザード」男は言う。「お前、本当に覚えていないのか? この俺が何者なのか……自分が何者なのか」
「お前には関係」「あるな。嫌というほどに」ザードと名乗ったその男は喋りながらこちらへ歩いてくる。僕は後ずさる。
「わかった、おとなしくお前についていけばいいんだろう? 死ぬくらいならその方がいい」
「素直でよろしい。だがお前は他の魔人とは違う。ここで死ななければならない」手のひらに現れる大鎌。
「ふ、ふざけるな! だったら言ってみろよ、僕が死ななければならない理由とやらを!」
「言っても信じないだろうな」ザードは大鎌を構える。僕の背中が木にぶつかる。
「お前は千年前——」
「そりゃあああっ!!!」
 上からオレンジ色の巨大な何かが落ちてきて、ザードの頭に直撃した。潰れる男。「巨大な何か」は人間の拳だと気が付くのは数秒遅れての事だった。
 ザードは地面にめり込み動かない。
 巨大になった拳を収縮させ、オレンジ色から白い肌に体色を変える。赤くボサボサの髪に色白の肌、大きく赤い瞳、小さい体。ザードを潰したのは小さな女の子だった。
「おっす!」少女は屈託ない笑顔でこちらを振り向く。
「お……おっす」

「きみ、追われてたんでしょ?この魔人狩りにさ」
「そうだけど……」
 少女が近づいてきて、まじまじと僕の顔を眺める。
「ねね、きみはどういう能力者?」と訊く彼女の目は好奇心に輝いている。
「接触致死系かなぁ? 間合いがつまるまで行動を起こさないとことかそれっぽいよねぇ」
「そ、それより」僕は戸惑う。「助けてくれてどうもありがとう」
「いいよー気にしなくて。むしろ戦いを邪魔してごめん!」
「僕はシムン。君は」「ヘルガ、っていうんだ。よろしく」
「ヘルガさん。よろしく」「やだなぁさん付けなんて。こっちの方が幼く見えるってのに」事実、少女—ヘルガの風貌は、十二歳やそこらかと思われるようなものだった。
「じゃあヘルガ、改めてありがとう」「よろしく、シムン」
 二人はどこへともなく歩を進める。「実は僕、魔人狩りについてほとんど知らない。どういう連中?」
「知らないの? 今時珍しいなぁ、皆知ってることだよ」
「いや、記憶をなくしてしまっている。だからわからない事だらけで……」
「記憶を!? それは大変だね……」ヘルガは同情の色を顔に浮かべる。
「魔人狩りというのは、魔力の強い魔人をスカウトして、レゼラの皇帝のもとに仕えさせることを目的とした人達だよ。その全てのメンバーに共通しているのが、魔人であり、それも魔力感知能力に優れている、って事だね」
 知らない言葉がポンポン出てきたが、気になる事を質問する。「皇帝のもとで働くことを拒否した場合どうなる?」大体の予想はつく。
「捕らえた後で処刑されるよ。逃げても追われるはめになる」
「酷い奴らだ」
「私はね」ヘルガが身の上話を始める。「ジアースの西の方からきたんだけど、知ってるかな? ガルト族、ていうんだけど」
「ごめん、知らない」
「拝魔の一族、て言えば分かる? とにかく、私みたいな赤髪の人がいっぱいいる民族なんだ。そこでの生活は退屈でさー、ニ年前、十六歳の時に私はそこから抜け出して旅に出たんだー。自由への逃避行、てやつ?」
 小石を蹴飛ばし蹴飛ばし、二人は林の中を進んでゆく。「それは大変だったろう」
「ううん、色んな事を知れるから旅は大好きだよ。で、色んな地方を見て廻って、最終的にここ、東方のルディア地方にたどり着いたんだ」
「魔人狩りには会わない?」僕は素朴な疑問を口にする。「もしかして会ったそばから倒してる?」
 ヘルガは笑う。「そんなわけないよ、逃げてばっか。さっきはたまたま。でも、マークされてるだろうねぇ」
「でさでさ、きみはどういう能力者? 接触致死系で合ってちゃったりしてる?」
「いや……わからない。自分に魔力があるのかどうかすら」
「ええっ、そうなの?追われるのは不本意だったろうね……。でも魔人狩りに狩られそうになってるんだからあんたも魔人なんだと思うよ」
「そうだろうか」自分が何か特別な存在なのかもしれないという思いは確かにあった。記憶喪失、水中の古城、魔人狩り……。
「じゃ、私の能力の説明といきますか!」僕の悲哀を含んだ複雑な感情とは裏腹にヘルガは元気に言う。「私の右腕には魔獣が棲んでいます!」
「そりゃすごい」
「本当だよ!? 故郷で得た能力で生まれつきじゃないんだけど、右腕が魔獣と同化してて、私はそれを操ってるんだー」
「巨大化とか?」
「そうそう、右腕限定の変形・硬化・怪力能力なんだよ」ヘルガは誇らしげだ。「重さも変えられます」
「なかなか便利そうだ」
「ま、この能力を得たせいで色々と危険とか制約もあるけどね」
「それで」僕は気が付く。「今僕らはどこへ向かってる?」
「私はここから北のザッパの村ってところに行こうかと思ってるよ。一緒に来る?」
「僕は、スヌ村へ戻る」僕はルーコの死に対して罪の意識を感じていた。自分が魔人でなければこうはならなかったはずなのだ。一度は逃げてしまったが、僕にはあの家族へ謝罪する義務がある、そう決意していた。

 死体は動き出す。
「考えてみれば、奴があのリレイな筈がないか」
 漆黒の大鎌を消滅させ、ザードは起き上がった。
「だが、あそこまで似ているという事はガランの復活と何か関係があるのかもしれない」
 無表情に呟くザードの体には傷一つない。
「調査する必要はあるだろうな……隻眼の男か」


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