複雑・ファジー小説

■漢字にルビが振れるようになりました!使用方法は漢字のよみがなを半角かっこで括るだけ。
 入力例)鳴(な)かぬなら 鳴(な)くまでまとう 不如帰(ホトトギス)

ジアース 〜沈んだ大陸〜
日時: 2011/10/27 21:16
名前: ハネウマ ◆N.J./4eRbo (ID: sSCO5mTq)
参照: http://soysauce2010.blog82.fc2.com/

スレ設立日時 2011/09/02 22:01

初めまして。こんにちは。ハネウマと申す者です。
ここでは今年の七月九日ぐらいに完成した小説を一日一回のペースで少しずつ投稿していこうと思っています。
はっきり言って、駄作です。特に序盤なんか手探りな感じで・・・ちょちょっと待った、ブラウザバックしないでください!終盤になると幾分かマシになりますから!いやホントよろしくお願いします!
駄作とわかっているなら修正しろって話ですが、アレです。面倒くさい(殴
それとこの「沈んだ大陸」の続編を今執筆中でそれもいつか投稿する予定だからたとえ駄作でも載せとかないと嫌なのです。
コメントには誠意を持って返信したいと思います(訳:頼む・・・コメントを・・・コメントをくれぇ・・・)
多少のグロはあると思います。いやこれってグロって呼べるのか?ぐらいです。十二歳以上なら全く問題ないと思います。
コメディ・ライトの方では「茶飯事的な日常は奴らを乗せて回ってく」という小説を投稿しています。気が向いたら見てやってください。
参照のURL、ブログの方も毎日更新中なのでこれも気が向いたら見てやってください。
では物語へ。

Re: 沈んだ大陸 ( No.29 )
日時: 2011/09/28 23:17
名前: ハネウマ ◆N.J./4eRbo (ID: sSCO5mTq)
参照: http://soysauce2010.blog82.fc2.com/

▼森の聖域 1

 光が差す。
 その光の束はコケの生えた祭壇のようなものを照らしている。崩れた壁にもコケが生えツタがからまり、古めかしさを強調している。
 像が立っていた。人のような形をした像で、片手に槍のようなものを持って立てている。像の大きさは、僕の背丈の二倍ほどだろうか。建てられた当時は無機質だったであろうこの石像には、コケが生えていて緑がかっている。
 木はなく、それは地面が石で固められているからだった。にも関わらず、その緑色を基調とした光景は森の木々の中と変わらない自然さ。
「ここが、森の聖域だ」フォレストが言う。
 フォレストについていく。森の中の廃墟。そう表現するのがぴったりだ。そこを歩き続け、何かの祭壇だろうか、そこにたどり着く。
 祭壇のような石の階段に、小さな少女が腰掛けて足をふらふらさせていた。緑色の服を着て、ショートな緑色の髪、青い瞳。僕の髪と瞳の色と同じだ。
「守護者様」フォレストが進み出て、会釈する。
「よく来たね、フォレスト。ヘルガ。そして」一旦間をあけ、少女はその言葉を感慨深そうに口にする。「勇者、リレイ」
 何だって?「僕は……シムンだ。リレイなんて名じゃない」
 少女——聖域の守護者はにっと笑って足を組む。「それより、みんな、さっきここに来た男の子を探しにきたんでしょ?」
「あ、いえ、それは」「いいのいいの。ほら、来な」
 崩れた壁の影から、黒髪の少年が現れた。殺戮能力を持った魔人だ。思わず身構えるが、相手側に殺気はない。
「君、生きてたんだね」黒髪の少年、クルヒが僕の方を向いて言う。「あの時、確かに殺したと思ったんだけど」
「潜在魔力量が半端じゃなく多いから、きみの能力でも殺すまでには至らなかったんだよ」と守護者。
「クルヒっていうんだ。よろしく」黒髪の少年はそう名乗る。
「お前は……」ふつふつと湧き上がる怒りの感情。脳裏に浮かぶ村人たちの遺体。「お前だけは許さない。僕と戦え!」
「戦わない」クルヒは両腕を垂らした自然体のままだ。「戦えない」
「ふざけるな! お前は今までに人を何人殺した? 『ただの暇つぶし』のために死んでいった人たちの無念さがお前に分かるか?」
「…………」
「ルイは僕に『恨んでない』と伝えてくれた。僕のせいで自分の父親が殺されたというのに! その優しささえ踏みにじったんだお前は!」
「……悪かった。ごめんなさい」
 黒々とした感情は僕の体を駆け巡る。「ふざけるな! ふざけるな! 何で謝るんだよ! 本当は悪いなんて欠片も思ってないんだろ!」
 僕は背中の剣を抜く。「落ち着いて、シムン!」ヘルガの静止を振り切り、僕はクルヒに斬りかかる。
「!?」僕の体にツタが素早く絡みつき、腕を押さえ込まれた。僕は後ろを向く。叫ぶ。「フォレストぉ!」
「そいつを殺したところで、死人が生き返るわけじゃない。そいつは人間のクズだ。シムン、お前が手を汚してまで殺すほどの価値は無い。わかったら剣を収めろ」
「わかってたまるか!僕はこいつを殺して手を汚す!そうしないと納得できない!」そうだ。僕はこいつを殺すことで死んでいった人々の無念を晴らす。
 するとクルヒは目の前で地べたに手をついて、土下座した。「悪かったと思っている。本当だ。殺されても仕方ないと思っている。そうする事で君の気が済むのなら、君の好きなようにしてくれ」
「……っ!」ふざけるな。そんな謝られたら……一体どこにこの怒りをぶつければいい。
 しばらくの沈黙の後、僕は脱力した。絡まるツタがほどけ、僕は剣を持った左腕をぶらさげる。カチン、と剣の切っ先が、石の床に当たる。
「終わった?」聖域の守護者が軽い調子で言う。自分は関係ないからだ。
「守護者様」フォレストがやや呆れ声で言う。「貴方が止めてくだされば良かったのに」
「私だって、聖域で人を殺める輩を見過ごすわけにはいかないよ」守護者は暢気に足をぶらぶらさせる。「フォレストが止めなければ私が止めてたよ」
「シムン……」ヘルガが僕の背に触れる。小さな手だ。「もういいんだよ、シムン。気に病まなくても」
「よくなんかない」
 クルヒは頭を下げ続けている。僕は剣を鞘に収め、「クルヒ、立って」と言った。クルヒは言われたとおり立ち上がる。
「僕はお前を許さない。きっと、未来永劫。でも」言葉は途切れ途切れに浮かんでくる。「反省しているっていうなら、誓えるか? もうこれ以上、無差別に人間の命を奪わないと」
「誓うよ」クルヒは僕の目をまっすぐに見つめる。「それに、僕はもう能力を使うことはできないんだ」
「私が能力を封じてあげたの」そう言い、聖域の守護者が短い足を組む。「本人の希望でね」
 鹿が遠くで草を食べているのが見える。のそのそと歩いている影は熊だろうか。
 鳴り響く鳥の鳴き声。羽ばたいてきた小鳥は聖域の守護者の小さな肩にとまり、僕らを見下ろす。
「封印した? 本人の希望で?」僕は聖域の守護者に問いただす。
「そ。理由は本人に聞いてみなよ」肩にとまっていた鳥は守護者の腕をぴょんぴょんと伝い、手首から飛び立ち、クルヒの肩にとまった。
 クルヒは鳥を愛おしそうに撫でる。「僕は思い出したんだ」
 そしてクルヒは語りだす、自らの過去について。

Re: 沈んだ大陸 ( No.30 )
日時: 2011/09/29 22:22
名前: ハネウマ ◆N.J./4eRbo (ID: sSCO5mTq)
参照: http://soysauce2010.blog82.fc2.com/

▼クルヒの過去

 僕は父親を殺した。
 僕と父母の三人家族はネルア地方のコポロという名の町に住んでいた。
 僕が八歳の時からだった。七年前だ。三国時代の終わりまで兵士として戦場に駆り出されていた父は、戦場から帰還して以来、母に暴力を振るうようになった。
 戦場で数々の友人を失ったらしい。戦場は人を変化させ過ぎる。
 父は、悪意を持って母に暴力を振るう時、必ず涙を流していた。罪悪感を伴うことだったのだろうが、幼い僕には父の行動が悪魔のようにしか見えず、父を憎んでいた。
 それでも折々見せる「昔の」父親の素顔を信じて、七年の間母と僕は父と暮らし続けた。
 母は苦しみ続けながらも健気に父と僕に尽くし続けた。七年間家庭が維持されていたのは母の存在によるところが大きかっただろう。
 三国時代を終えて七年目。僕は十五歳になり、しっかりと農作業を手伝えるようになっていた。
 父はというと、酒場に通っては酔って帰ってくるばかり。相変わらずだった。僕はそんな父を軽蔑し、そしてその感情が引き起こすある種の優越感に浸っていた。しかし父がああなってしまっていることによる悲しみは消えた事がない。
 ある冬の夜。一週間程度、父は暴力を振るっていなかった。僕はこのまま父が昔のように優しくなってくれることをただただ祈った。
 暖炉で寛いでいた母と僕は、父の怒号で立ち上がった。外に出てみると、父の友人が倒れていて、父に蹴りつけられていた。喧嘩だ。ただ、一方的だった。
「こいつが! 俺の頭には! 蛆が湧いてんじゃねぇかって! 馬鹿にしやがった!」
 仕方ないだろう、と僕は思った。家庭を支えられずに、過去に受けた傷を忘れられずにただひたすら酒を飲み続ける人生。そんな人生を送る父がそう言われても僕はなんの怒りも感じなかった。
 母が止めに入る。「もうやめて! 死んでしまうわ!」
 母の腕を振り払い、父は母を思いっきり殴った。「黙れ! 俺のやることに口を出すな!」
 僕が覚醒したのはその時だった。殺意が湧いた。久しぶりの暴力。死んでしまえばいいと思った。僕は父に詰め寄り、胸倉を掴んだ。
「このクソ親父が!」
 言い放ち、僕は父を投げ捨てた。動かなくなる父。投げ捨てる前には既に死んでいた、だが、僕は覚醒した自分の能力に気づかず、僕が父を殺した事に気づいていなかった。その場にいた誰もが。
 父は死んだ。原因は「わからない」。だが、僕は時が経つにつれ気づき始めていた。畑を荒らす害虫に殺意が湧くと、虫はコロリと死んでしまう。何故だ?
 僕が魔人になったのだと気づいた決定的瞬間は、魔人狩りに出会った時だった。僕は魔人なのか。虫を殺す、そういう能力なんだと、そう思った。だが心の奥底では思っていた、自分は人も殺せるのではないか、父を殺したのは自分なのではないかと。そう考えると怖くなった。父が死んだ時の母の哀しい顔が目に浮かんだ。
 僕は強制的に連れて行かれるという事を知りながら、魔人狩りの誘いを断っていた。僕が行ってしまっては母が独りになってしまう。
 そこで、僕は試したくなった。何の証拠もなく人を殺せるのだとしたら、魔人狩りから逃げるなんて造作もない事だ。
 我ながら悪魔のような思考だと思う。でも僕は母を守り続けていきたかった。最愛の母と暮らし続けていきたかった。
 僕は殺意を持って、魔人狩りの体に触れた。崩れ落ちる魔人狩り。その時、その様子を見ていた者がいた。父が死んだ夜に蹴りつけられていた、父のかつての友人だった。
 それから、噂が立ち始めた。あのクルヒって子、魔人だそうじゃないか。しかもその力は、「人を殺す」だとか。ああ恐ろしい。
 数日後。町のはずれの僕の家に、十人ほどの男がやってきた。僕は玄関先で応対した。
「あんた、魔人狩りを殺したそうだな」「……知りません」「殺したんだろう。彼が見ていた」そう言った男は背後の、父のかつての友人を指差した。殺気立った目でこちらを見据えている。
「町長からのお達しだ」男は続ける。「『魔人狩りを殺した男を捕らえるか、それが不可能ならば殺せ』とのことだ。どうだ、付いて来てくれるか?」
 返事はしなかった。僕はこの力に酔っていた。後先考えずに能力を発動し、男を殺害する。怒号が飛び交う。男たちは手に持った武器を構える。僕は大きな殺意を持って、能力を発動した。その瞬間、男たちは全滅した。僕が彼らに触れることもなく。
 素晴らしい。僕はそう思った。この力さえあれば何でも支配できる。町長どころか、レゼラ帝国の皇帝にだってなれるのではないか。
「クルちゃん……」呼ばれ、ぞっとした。母が後ろで見ていた。「い……今……何をしたの?」
「こっこれは」焦る。「これはっその……」今更になって気づいた。僕は取り返しのつかない、大変なことをしてしまった。母の表情が恐怖に支配されるのを僕は見た。
「違うんだ、これは」「来ないでっ!」母は腰を抜かして仰向けに倒れる。母の瞳に映る恐怖。僕は気づいた。
 僕はこの瞬間、誰からも愛されない存在になったのだ。
 信じ難い、しかし曲げようのない事実だった。僕は数歩後ずさり、そして駆け出した。絶望が脳内に溢れ出していた。
 スヌ村での大量殺戮まで、あと数ヶ月だった。

Re: 沈んだ大陸 ( No.31 )
日時: 2011/09/30 22:06
名前: ハネウマ ◆N.J./4eRbo (ID: sSCO5mTq)
参照: http://soysauce2010.blog82.fc2.com/

▼森の聖域 2

 石畳の向こうの木々に吹く風は枝を揺らしざわめかせる。コケに包まれた背の高い石像は微動だにせず僕らを見つめている。
 クルヒの肩の小鳥が、チチチ、と鳴く。
「僕はしばらく気が狂っていたのかもしれない」クルヒが言う。「いや、そんな言葉で言い訳する気はない。僕は最悪の人間だった。『暇潰し』と称して村人達を殺戮した理由は、気持ちよかったからなんだ。コロコロと人が死ぬ光景を見て……言いようのない快感に酔わされていた。この世の全てを壊したくて、それで森の聖域を目指したんだ。この世の始まりとも云われる、この地を」
 僕とヘルガとフォレスト、そして聖域の守護者は黙って聞いている。
「ジアースは、この世は僕を愛してくれない。そう思っていた。でも、森の聖域に入った瞬間、そんな思いは消えた。何故なのか未だによくわからない。だけど、きっとこの地に力強く大らかに根づく自然が僕に教えてくれたんだと思う。誰に愛される必要もない。問題なのは、自分を自分で愛せているかだ」
 クルヒの肩から小鳥が飛び立つ。
「樹海に自ら迷い込む人間は悩みを抱えていることが多い」守護者が言う。「クルヒはその典型例だったから、こっちからアプローチしたの。こちらから癒しの森の聖域へご招待、ってね」
「そんなことができるのか」「聖域の守護者は森については万能。そういうこと」
「守護者さんから聞いたよ」クルヒが言う。「僕の能力に頼ろうとしてここへ来させられたんだろう? でももう僕は能力を使えない。勿論守護者さんが僕に使った封印術を守護者さん自ら解くこともできるけど、そんなことをしてもらうつもりもない」
「ああ、わかった。ま、守護者様から聞いてるんだろうが、俺ら三人だけは君を仲間にするつもりじゃあなかった」とフォレスト。
「守護者さんってさ」ヘルガが質問口調で言う。「森の中で起きてる事は全てお見通しな感じ?」
「お見通しな感じ」守護者は屈託のない笑顔。「だから、リレイ、きみが何故ここへ来たがったかもお見通し」と僕を指差す。
 何なんだ、リレイって。「僕はシムンだって言ったはず」
「いいからいいから。今からあなたにかかっている封印術を解きます」守護者が真剣な顔つきになり、僕は息をのむ。
 守護者は目を閉じ、口を動かす。言葉は聞き取れないが、早口で何かを言っているようだ。そのうち守護者の小さな姿は光に包まれる。僕らは驚き後ずさる。
 僕は体内に現れる強い力を全身に感じている。心臓が早鐘を打ち、僕の体も光に包まれる。力は体内に収まらず迸り、僕の周囲に風が巻き起こる。増大してゆく魔力に恐怖すら感じる。気づけば叫んでいた。
「う……ああああああああああああああああああ!!」
 守護者が纏う光は消え失せる。だが、僕の周囲の光はおさまらない。視界は眩い光で覆われている。僕は朦朧とする意識の中で、声を感じた。
 ——リレイ……リレイ……やっと会えた……——
「君は……?」
 ——私はラフロル……あなたに宿っている太古の風の精霊……——
「ラフロル……風の……」
 ——行きましょう……一緒に……ルディアのもとへ……——
 行きましょう……
 巻き起こる風で少し浮いていた僕の体はすとん、と石の地面に降り立った。
 体に魔力が満ち溢れるのを感じる。「封印が解かれた……のか」
「これで本当のきみになったね」聖域の守護者が僕の顔を見てにっと笑う。「きみの本当の名前は『リレイ』。かつて精霊ルディアをその身に宿した『魔王』と戦った、精霊ラフロルをその身に宿した伝説の『勇者』」
 甦る記憶。
 王女は言った。この封印術は貴方も巻き添えになり、時空の歪みに貴方をいざなうでしょう。大陸は沈み、わずかな陸が残るのみとなるでしょう。されど、こうするしかなかったのです。
 王女は魔術の詠唱を始める。やれ!僕の叫びがこだまする。やめろ!魔王の叫びがこだまする。僕と魔王との剣と剣との鍔迫り合いは終わらない。
 王女の体は光に包まれ、じきに僕らが存在する空間に亀裂が走る。さようなら、魔王、そして勇者。王女が言い、周囲には光が溢れだす。
 空間が歪み、僕は亀裂に落ちてゆく。辺りは真っ白で眩しさが瞑った目を貫くかのようだ。意識は朦朧とし、消える。
 そして次の瞬間には、僕は痛む体を動かして水中の古城で目を覚ましていた。僕の記憶が失われてから今まで築き上げてきたわずかな記憶という物語の冒頭にあたる、その場所。
 僕は空間の歪みに落ちていく際失った記憶を少しだけ取り戻した。
「僕の名は」感慨深くその言葉を口にする。「リレイ。精霊ラフロルに選ばれた『勇者』」
 僕は振り返り、ヘルガたちの方を向く。「やっと……やっと思い出せた」
「リレイ。いい名前だね」ヘルガは満面の笑顔だ。「改めてよろしく、リレイ」
「リレイ。思い出せて良かったな」フォレストも口元に笑みをつくる。「改めてよろしくな、『勇者』サン」
「思い出した事は、まだある」僕は続ける。先程頭の中で再生された記憶の中での事だ。「僕が戦った『魔王』の名は、ガラン・ダルクロード。レゼラの皇帝と同じ名だ」
 その場にいた全員が——僕と聖域の守護者を除く——驚きの声を発した。
「まさか、私たちガルト族が呼び出したのって……魔王の魂!?」「そういうことになる」
「おいおい聞いてねえぞ。ガルト族? 呼び出した? 魔王? なんのこっちゃ」フォレストは混乱している様子だ。
「ガルト族は、拝魔の一族って言い換えればわかるでしょ? 呼び出したっていうのは、拝魔の一族が魔呼びの儀式を行ったって事。それで呼び出されたものがよりによって魔王の魂だったっていう事らしいね」ヘルガが説明する。
「『勇者』と『魔王』の因縁」聖域の守護者が言う。「今度こそ決着をつけなくちゃね、リレイ。じゃなきゃ」
「ジアースは闇の世界に支配される」僕はその一言を噛みしめる。「防がないと。何としてでも」
「おう、俺たち『レジスタンス』は、全力でお前をサポートするぜ」「今度は一人じゃない。私たちがいるよ」
「いい仲間を持ったね、リレイ」守護者の微笑。そのほほえみに既視感を抱くが、頭の中でもやもやとしていてその正体がわからない。
 荷物を背負う。「じゃあ、俺たちはこれで。ありがとうございました、守護者様」とフォレスト。
「うん、気をつけてね」
「クルヒは? 来ないの?」ヘルガに問われたクルヒは答える。「うん、今日はここで寝るよ。大勢の人と会うのは苦手だし」
「そっか。じゃあね」「またいつかな」
 僕はクルヒの方を向き、口を開く。「僕は君の事をいささか誤解していた」邪悪の権化、ただ最低最悪な人間だと思い込んでいた。
 でも今は違う。「生きてくれ。死んでいった人々の分まで。背負っていくものは君一人には大き過ぎるかもしれない。でもそれを前に諦めないで欲しい」
「その言葉、忘れないよ」クルヒは顎を引く。その目からは確かな決意が見て取れた。
 聖域の守護者とクルヒ、それに不思議な石像に見送られ、僕らは森の聖域をあとにした。

Re: 沈んだ大陸 ( No.32 )
日時: 2011/10/01 19:42
名前: 水瀬 うらら (ID: JNIclIHJ)

 こんばんは。
 私、水瀬うららと申します。

「水中の古城」
 読ませていただきました。
 描写がとても細かく、良いですね……。
 見習わせていただきます。

 シムンさんの今後が気になります!

 時間に余裕があったら、また読みに参ります。
 執筆、頑張ってください。
 陰ながら応援しております。
 では、失礼します。


 追記
 このコメントは後に編集される場合がありますので、ご了承ください。

Re: 沈んだ大陸 ( No.33 )
日時: 2011/10/01 23:50
名前: ハネウマ ◆N.J./4eRbo (ID: sSCO5mTq)
参照: http://soysauce2010.blog82.fc2.com/

水瀬うららさん、コメントありがとうございます!励みになります!
正直、こんな駄作を尊敬する方に見られるのは少々恥ずかしいです。特に最初の方はもう・・・だめだこりゃ・・・
でも褒めてもらえたのは嬉しいです。ありがとうございます!
Quiet Down!!は僕にとって衝撃でした。休載は残念ですが、またあなたの小説が読める日を楽しみにしています。
では、改めて、コメントありがとうございました。


Page:1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15



小説をトップへ上げる
題名 *必須


名前 *必須


作家プロフィールURL (登録はこちら


パスワード *必須
(記事編集時に使用)

本文(最大 7000 文字まで)*必須

現在、0文字入力(半角/全角/スペースも1文字にカウントします)


名前とパスワードを記憶する
※記憶したものと異なるPCを使用した際には、名前とパスワードは呼び出しされません。