複雑・ファジー小説

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ギルドカフェ 〜Dolce Del Canard〜 1
日時: 2013/05/23 22:08
名前: どる&柊 (ID: UgGJOVu5)

 明るくて陽気なミルクレープと、その師匠ノエル。
 そして少し馬鹿なプレッツェル君や、シスコンのシフォンさん、マフィンちゃん、不運なことにもマフィンちゃんに恋しちゃったマカロンさん。


 そしてある呪いから生まれた過去から今につながる魔法使いの壮大な物語が今ここに!

 おとぎ話が現実に?七人の人形遣い。消えた七人目はどこへ?
 そして人形遣いが言う『ソール』とは何者か?
 戦いへ踏み出す一歩を。
 ギャグもあるよ☆

第一魔法  1−11まで
第二魔法  12—23
第三魔法  24−36
第四魔法  37−48
第五魔法  49−50 

 私は一体誰なのか、
 この世界が消されようとしているのなら、私は守るよ。だって皆が大好きだから!!


 原作。どるさん。キャラクターデザイン(名前や性格など設定もろもろ)←神。

 書く人、だらだら長くてごめんね(泣)  緑ノ 柊

Re: ギルドカフェ 〜Dolce Del Canard〜 1 ( No.1 )
日時: 2013/04/20 21:58
名前: どる&柊 (ID: UgGJOVu5)

  第一魔法   (T_T)/~~~   勘違いと出会いと




「ミルクレープ!」
 ここは緑あふれるクーヴェルテイル。都心から離れている離島だ。
「はーい」
「なぁに?」とミルクレープと呼ばれた少女は振り返る。
「お前本当に行くきかい?」
 その質問にむっと頬を膨らませた。
「行くの行くって言ったら行くの!」
 と足をじたばたと動かした。
 その様子をみてお婆ちゃんはやれやれとため息を吐く。
「分かったわ。……まったく貴女は昔っから言いだしたら聞かないんだもの」
 ぶうとミルクレープは相変わらずむくれたまま。
 少し困ったような優しい表情をしてお婆ちゃんは笑う。
「……気を付けて行ってらっしゃいね」
 その途端少女の瞳は輝き出し、可愛らしい笑顔を浮かべた。
「……うんっ!」
 元気よく少しの衣服とお気に入りのお人形、少しの所持金をつめこんだショルダーバックを肩から提げた。
「行ってきます!」
 少女はスカートをひるがえし、まるで風と競争をしているかのように軽やかな足取りでこの地を去って行く。
 その後ろ姿を見つめながらお婆ちゃんは少し寂しそうに、
「……そう、あの子もう十六歳なのね」
 と呟いた。
 そう私ももう十六歳。それなら幼い頃から決めていたことを実行するまで!
 目的地はガナ—ド。私が昔から憧れていた大都市だ。
「よお。ミルちゃん御出掛かい?」
 突然声をかけられ、その方向に眼をやると、
「おじいちゃんこんにちは!」
 優しそうにいつも目を細めて、声をかけてくれる小父さん。
 ミルクレープは足を止め、小父さんの方向へ体を向ける。
「うん!ガナ—ドにね!」
 小父さんは「おや」と驚いたように細い眼を見開き、やがてまたいつもの笑顔を浮かべると、
「ならこれ持ってきな」
 と何かを放り投げた。
 私はそれを危うく落っことしそうになりながら、なんとかキャッチする。
 ほっと胸をなで下ろして、手を開くと、見事に熟れたおいしそうなリンゴがあった。
「うわぁー」と感嘆の声を漏らすと、小父さんは自慢げにによによと笑っていた。
「今朝とれたばかりで新鮮だ。持っていき」
「良いの?ホントに?良いの?」
 らんらんとした瞳をして小父さんに問いただすと、小父さんは目をパチクリとさせた後大きく頷いた。
「うわぁ。ありがとう!船の中で食べるね!」
 と言うと、少し意地悪げに、
「船酔いするなよ」
 と返って来た。
「しないもん!」
 ふいとそっぽを向くと丁度、
 ブォォォォォォォ
 と腹の底で轟く低い汽笛の音色が聞こえた。
 私は慌てて。
「ヤバイッ船が出ちゃう!小父さんじゃあまたね!」
 早口でそう告げ、身をひるがえし走り去って行った。
 横目小で父さんが「気をつけてなー!」と手をぶんぶんと振っている姿をちらりと見ると、私はにっと笑い。
 地面を踏み締めまた走った。
 それから今にも出発しそうな船を大声で呼び止めて、なんとか乗り込む。
 私を乗せてすぐ船は出発した。
 本当にギリギリだったんだな、と少し苦笑い。
 そしてどれくらい立ったのだろう。もう島も見えなくなっただろうか?
 そう思い木製の扉を開け外に出ると。
「うわぁー!」
 一面真っ青な海、海!スカイブルー!
 カモメはあおい空を飛び、まるで青のなかにポツンと白い丸を描いたようだった。
 潮風に髪を揺らして、おじちゃんにもらったリンゴに眼を落とす。
 齧ろうと口元にそれを持っていくが、ふと考えを改め止めた。
「……あとでいっか」
 そしてリンゴを清潔なハンカチで包み、カバンの中にそっと入れる。
 あともうすることはない。ぼうっとこの景色に眼を向けるくらい。
 そして私はふと本当に島を離れてしまった事を、改めて実感した。
 もうしばらく温かい人達、お婆ちゃんにも会えないと思うと涙が溢れそうになった。
 しかし私はぐっと下唇を噛みしめ、目元をごしごしと擦ると、顔を上げニッと笑った。
 何をメソメソすることがあるの。ミルクレープ。やっと憧れのガナ—ドに行けるのよ。喜ばないと!
 デッキの柵に頬杖をつき、ただただ広い青く澄んだ海を見つめる。
 ……待っててね。お婆ちゃん私絶対に……魔法使いになって帰ってくるから!

Re: ギルドカフェ 〜Dolce Del Canard〜 1 ( No.2 )
日時: 2013/04/20 21:59
名前: どる&柊 (ID: UgGJOVu5)

 そしてその頃、ガナ—ド(王都)では。
「……プレッツェル。前へ」
「はっ!」
 この日王国の兵士試験に受かった者達が、城に集められ国王から直々に剣や軍服などが与えられる授与儀式行われたのだ。
 やっと来たんだ。オレが憧れ続けていた兵士になれる日が!
 理由は昔であった命の恩人。オレにとってのヒーローに会うためっていう不純な動機だったけど。オレにとってはあの人に会うことが最大の目標で、あの人と同じ立場に立つことが、最大の憧れだった。
 今でも忘れない。あの軍服姿の後姿。腕にたくさんぶら下げた階級を表すバッチ。
 あんなカッコいい人になりたくて、ずっと追いかけてきて、やっとここまで来たのだけど。
 どうしよういざとなったらものすっごく緊張する……。
 国王の前で変な声とか出たらどうしよう……と顔を上げるとそこには、髭もじゃの顔の男性。
 もう比喩とかそうゆう事ではなく。本当毛だらけなのだ、でている顔のパーツと言ったら鼻ぐらい。
 ……は?
 ぽかんと口を開けたまま思わず国王を見つめていると、
「プレッツェル?」
 と声をかけられ我に返る。
「あっ、はい!」
 震える手を差し出して、国王直々に軍服と剣が今自分の手のひらに置かれる。
 それは思ったより軽くて、でも手の中にはハッキリとした感触が伝わり、「ああ本当に兵士になれたんだ」という幸福感が胸にじんわりと広がった。
 兵士試験に不合格だったその回数は十一回。ホント長い道のりだった……。
 でもこれでオレも、もうやっと、あの人と同じの。念願の兵士になれたんだ—!
 絶対馬鹿なことはしないようにしなくちゃ。順調に功績を積んでいって。絶対にあの人に追いついてやるっ!
 一人の若者は夢を叶え、責任感を感じるよりも、幸福感と満足感を噛みしめるかのように思わず顔がにやけてしまっているのであった。


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