複雑・ファジー小説
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- ルージュファイター
- 日時: 2017/04/19 14:38
- 名前: 梶原明生 (ID: W4UXi0G0)
あらすじ
髪型はミディアムひし形カールボブ、時計はカルティエ、服はソア・リーク、コスメ口紅はシャネルを好み、バッグ小物はクロエにプラダ、靴はジミーチュウ。出没スポットは銀座、表参道、代官山、恵比寿。…そんな今時キレイめ女子な彼女の趣味は何と陸上自衛隊。中学時代にマニアとなり、高校時代におしゃれに目覚めても変わらなかった。そして大学時代には予備自衛官補となる。そんな彼女が卒業してスカウトされた職場は…警視庁公安部外事課新設班「R・D・A」だったのだ。「え、何で彼女が。」と思うのも無理はない。実は彼女には人に言えない秘密があり、また防衛省職員だった父の失踪の真実を聞かされた事も原因だった。若きやり手イケメン捜査員と老練な主任と共に外国人テロ事件などに立ち向かう。一方プライベートでは母と双子の妹には、大手広告代理店入社と偽る。恋に仕事に国家テロにと慌ただしい毎日。コードネーム「ルージュファイター」桃瀬桜の活躍は始まった。
- Re: ルージュファイター ( No.19 )
- 日時: 2017/08/11 23:02
- 名前: 梶原明生 (ID: JnkKI7QF)
…今田が特殊警棒で金属バットを弾き返し、相手の頸動脈目掛けて思いっきり振りかぶる。「カハッ。」嗚咽するかのような断末魔で倒れ込む男。「危ない。」桃瀬が今田の背中に鉄パイプが飛んでくるところを空かさず特殊警棒で受け、その流れで水平に腕を叩きつけ、前蹴りで仕留める。「やるな、サンキュー。」今田と背中合わせになりながら応戦した。一方万屋と桂もまた数人の愚連隊を叩きのめしていた。桂が一本背負いして倒したところへ万屋が踏みつけ蹴りをお見舞いする。桂は万屋の後ろの二人を特殊警棒で縦横に鉄パイプの一撃を受け、一人に警棒で顔面、もう一人に脇腹へ回し蹴りを撃ち込む。もうほぼ全員をあっという間に倒され、一人二人になった残党は恐れをなし逃げ出した。「そうは行くかっ。」桜は特殊警棒を横向きに低く投げつけ、逃げようとした愚連隊の残党一人に当てた。足がもつれて倒れる残党。桜は走って追いつき、顔面にパンチを入れてから腕関節を後ろに取って引き上げた。「さぁ、誰に雇われたか言いなさい。」「だ、誰にも頼まれるかこのビッチが」桜は更に締め上げる。「あ、何だって、立場わかってるの。 そんなに腕いらないんだ。」腕が後一歩で折れるところまできた。「ああ、わかった、わかりましたよ。か、金を払ってくれたんだ。中東系の男で、もしこの通りに追いかけるやつらがいたら好きにしていいって。名前は確か…」「ハッサン」「そう、そんな名前だった。」「で、どこに向かった。」「わからない、ほ、本当だ。たから腕だけは…」「ふーん、ありがと。」桜は男を振り向かせたところでいきなら殴って気絶させた。「こいつらどうします。」万屋は今田に聞いてくる。「放っておけ。すぐに警察官が駆けつける。俺達は春日を追うぞ。」「了解」四人はまたもや飽くなき追跡をはじめた。「今田、聞こえる。」無線の主は宇佐美だ。「はい、こちらホーク。」「私達は春日を追って車で出た。ハッサン達も同じでもう車で出てる。あなた達も車で発信機を追って。」「了解、おい桂、スカイライン回してこい。途中で俺達を拾え。」「わかりました。」桂は一目散に走り出した。その頃車内では、アリがハッサンに食ってかかってた。「どういうことだハッサン。俺や真由美にまで銃口向けさせて。兄弟だぞ。」「ああすまない兄さん。こいつらまだ教育が足りなくてね。それにああでもしないとすぐに席を立ってくれそうになかったから。まぁ方便だと思ってくれ兄さん。」…続く。
- Re: ルージュファイター ( No.20 )
- 日時: 2017/08/16 20:24
- 名前: 梶原明生 (ID: UvBorD81)
…「全く。二度とあんなまねはするなよ。」「わかったよ兄さん。」アリはふんぞり返って窓外を見た。その頃桜は桂のスカイラインの中で、スマホを取り出し宇佐美に電話していた。「主任、もしかしたらまだ春日真由美が協力者と気付いてないかも知れません。多分アリを嗅ぎつけたと。」「ならこちらが一歩先ね。このままアジトに連れて行ってもらいましょ。」「それと…私の勘なんですが。アリはハッサンと共謀していなかったんじゃないでしょうか。」「と言うと。」「確かに今は爆弾テロに加担しようとしてます。しかし、話の内容からして今は単にハッサンにそそのかされただけなんじゃないかと。」「そうね。間違いない。」万屋は血相変えて電話に割り込んだ。「待ってください主任。ただの憶測ですよね。決めつけるのは危険では。」「桃瀬だからいいの。」「はぁ、意味がわかりませんが…」今田が助手席から割り込む。「主任がそう言うなら何か根拠があるんだろ。とにかく今は春日真由美の保護とハッサン達テロ行為の壊滅だろ。俺の特戦群チームにすでに下達してある。バックアップしてもらう。それまで俺達で持ちこたえないとな。各自拳銃の準備はいいな。」「了解。」三人で答えながらも、桜はUSP拳銃を抜いてスライドを引いた。鋭い金属音が響く。やがて田川のトヨタクラウンに追いついた。尾行するうち港区の廃工場にたどり着く。田川と桂は目立たない路肩に寄せて駐車した。「どうします田川主任。」桂が車から降りて開口一番に聞いた。「何はともあれ爆弾の確認だ。爆弾がないことには立証できない。春日真由美の身柄はその後だ。」桜が食ってかかる。「待ってください。春日真由美は民間人の協力者ですよ。彼女の命最優先では。」宇佐美が間に入る。「桃瀬。気持ちはわかるけど、私達の仕事は爆弾テロの抑止よ。それが最優先なの。」「そんな…」今田が桜を抑える。「桃瀬。今は議論してる暇はない。とにかく従え、いいな。」桜は渋々従う。やがて一列縦隊で拳銃を構えて、廃工場に向かった。窓の隙間から一眼望遠鏡で中を確認する今田。「アリ兄さん、見てくれこのドライブシャフト。警察もつけなおしたシャフトまで確認はしまい。この車を官僚のバカ息子がいる霞ヶ関とショッピングモールに駐車するだけだ。兄貴が車販売店やってて良かった。」「本当にそいつらだけが死ぬのか。」「当たり前だ。アラーの思し召しだ兄さん。」遂に爆弾を確認した。…続く。
- Re: ルージュファイター ( No.21 )
- 日時: 2017/08/20 20:53
- 名前: 梶原明生 (ID: UvBorD81)
…「爆弾の正体を確認。ドライブシャフトです。」今田の報告に田川が指示を出す。「よし、後は制圧のみだな。今田、特殊作戦群到着まで後どれくらいだ。」「ジャスト15分です。」「よし、それまで待機。」そう言った途端、桜は春日の盗聴器から聞こえる音声に違和感を覚えてイヤホンを抑えた。「ど、どうした真由美。」アリが気がつく。ある特定の男を見つけるなり、震えだしたからだ。「いや、いやーっ、あの男あの男…」ついに耐えきれず頭を抱えだした。「まさか、あの男か。そうなんだな真由美。…どういうことだハッサン。お前の仲間が真由美を…官僚の息子達じゃなかったのか。」頭の裏をかきながら天井を見るハッサン。「全く。まさか覚えていたとはな。バレたらしょうがない。実の兄とはいえ、ムスリムに逆らった異教徒だ。死んでテロの実行犯になってもらうしかないな。」「ハッサン、貴様っ、母さんが聞いたら」 「母さんは墓場だよ兄さん。親子仲良く、いや、嫁を連れてあの世に行けばさぞかし喜ぶぜ。」これを聞いた桜は突入しようとした。「待て桜。特殊作戦群がまだだ。」「しかし、真由美が。待ってたら死にます。」今田の制止を振り切ってUSP拳銃(P8)を構えながら突入した。桜の拳銃がハッサンの腕目掛けて発砲された。「パンッ」彼の拳銃はその衝撃ではじき返される。「あのバカ。」今田達は彼女のサポートに回った。…続く。
- Re: ルージュファイター ( No.22 )
- 日時: 2017/08/31 23:48
- 名前: 梶原明生 (ID: JnkKI7QF)
…「何だ貴様ら、この野良犬が。構わん撃て。」怒り狂ったハッサンは、右手を押さえながら手下に指示を出す。「警察だっ。銃を捨てて手を後ろに…」田川が叫ぶものの、構わず撃ってくる。「やべー、敵さんAK−47っすよ。割に合わない。」ダダダダッと連発で容赦なく撃ってくるハッサン達。「やむを得ない。撃てっ。」桂の言葉に田川は指示を出した。P8を構えて撃ちまくる。「真由美、来い。」「いやっ、いや。」ハッサンは彼女を捕まえて廃工場奥に一部の手下と共に消えていく。「ま、真由美っ。」アリが追いかけようとしたが手下の一人に殴られて気絶する。「ムシャヒリ…」桜は目撃すると叫んだ。「援護っ。」 「了解。」桂と今田がありったけの弾幕を張る。桜は横方向に走り出して、ハッサン達への近道を取った。「ボス、こっちだ。車がある。」手下二人がハッサンを誘導するが。「グハっ。」一人は飛び蹴りで倒され、もう一人にP8を向けた。「動くな。銃を捨てろ。」「クソ…」AKー47を向けようとしたので、やむなく発砲した。車のバンパーにぶつかりながら倒れる。「シシシシッさすが、ジャパンポリス。まさか、凄腕、いる、思いないね。でも真由美いる。さぁどうする、スーパーウマン…ハハハッ。」片言の日本語でまくし立てるハッサン。「ファイター、こちらホークス。そのまま話して気を惹きつけろ。」「ファイター了解。」桜は今田の無線に従った。「ねぇ、銃は置くからさ、観光の話でもしない。まだ浅草行ってないでしょ。」「ハァ…観光。気は確かかお前。」「ダンッ」一発の銃声が響き渡って、同時にハッサンが倒れてのた打ち回った。「キャーッ」真由美はショックで叫んだが、すぐに桜が抱きしめた。「もう大丈夫。大丈夫だから。終わったの。終わったのよ。ありがとう真由美さん。」「桃瀬さん。」泣き出す真由美をただただ宥めるしかなかった。「ナイススナイパー、ランマル。相変わらずいいM24の狙撃だな。」今田が特殊作戦群の狙撃手に無線で労っていた。残党は到着した特殊作戦群により掃討。…こうして一連のイスラム国の爆弾テロ事件は阻止できた。ハッサンは腕を撃たれ重傷。その後警視庁に身柄は渡された。「やれやれ。これだけ働いても結局刑事課の手柄。逮捕したこと以外は闇から闇ですか。」桜がスカイラインのドアに手をかけながら呟く。「仕方ないでしょ桃瀬。ボヤいてないで二人の身柄の送迎でしょ。」「は〜い。」…続く。
- Re: ルージュファイター ( No.23 )
- 日時: 2017/09/04 02:31
- 名前: 梶原明生 (ID: Xc48IOdp)
…宇佐美に言われて生返事の桜。そんな時、真由美を支えて出てきたアリは、刑事に連行されようとしていたハッサン目掛けて突進した。「バカ野郎っ、お前ってやつは。」殴りかかったアリを止めに入る桜。「やめなさいよ、後は警察に任せて。」「クソっクソっ。」アリはへたり込んでアスファルトを殴った。「たった一人の弟だったんだ。それなのに…」「裏切られた気持ちは分かるわ。他人ならまだしも兄弟だもんね。でもね、あなたには真由美さんがいる。幸せにできるのもあなた次第よ。」「真由美が…」桜は立って真由美を通させた。彼女は抱きつく。「アリ、アリ…」「真由美…」抱き合う二人をしばし待つ桜。「さて、帰りましょうか。スカイライン飛ばせばまだ会社に間に合うし。…」「はい。」真由美とアリはすっくと立ち上がり、車に乗車した。スカイラインは桂の運転で今田も助手席に同乗する。朝日を浴びながら走る車中で、真由美は宣言した。「桃瀬さん、会社には行きません。アリと同じ所に降ろして下さい。」「え、だ、大丈夫…なの。」「ええ。決めたんです。プライドと虚栄心だけでこの仕事をしても意味ないって。他に生き方の選択肢はあるって気づいたんです。自殺するくらいなら命を大事にして仕事する道もあるって。」「素晴らしいわ真由美さん。うん、それが一番ね。」桜は清々しい気持ちで二人の前途を祈っていた。やがてアリの中古車店まで送り、ひとまずR・D・A本部にてミーティングが行われた。「ご苦労だった。報告書はいずれ提出してもらうとして、今日は特別休暇だ。ゆっくり休んで明日に備えてくれ。以上だ解散。」田川の指示に従い、桜は真っ先に家族のいる我が家へ日産マーチで走った。「ああー疲れた。ゆっくりシャワーでも浴びたいわ。」一人呟きながら合い鍵で部屋に入る。「た、だいま〜んんっ」リビングに入ると見知らぬ男。「誰だお前。」「やぁ、おかえりー。待ってたよ。ああそう、申し遅れた。私、正木輝男。」「正木…てまさかあの正木。」「遅刻の常習犯でお馴染み。ルージュプレイとも言うかな、お見知りおきを。桃瀬桜さん。」ソファで堂々ガウン姿でコーヒーを嗜む正木。「てか、何で人んちにいるのよ。」母梅乃が台所から割り込む。「あら、帰ってたの。こちら正木さん。あなたの上司なんでしょ。」「上司っ、てか何で男入れてんのよお母さん。」桜は母の腕をとり、正木に背を向ける。「ありえないでしょ。」「あら、何勘違いしてんのよ。」…続く。
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