複雑・ファジー小説

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ルージュファイター
日時: 2017/04/19 14:38
名前: 梶原明生 (ID: W4UXi0G0)  

あらすじ

髪型はミディアムひし形カールボブ、時計はカルティエ、服はソア・リーク、コスメ口紅はシャネルを好み、バッグ小物はクロエにプラダ、靴はジミーチュウ。出没スポットは銀座、表参道、代官山、恵比寿。…そんな今時キレイめ女子な彼女の趣味は何と陸上自衛隊。中学時代にマニアとなり、高校時代におしゃれに目覚めても変わらなかった。そして大学時代には予備自衛官補となる。そんな彼女が卒業してスカウトされた職場は…警視庁公安部外事課新設班「R・D・A」だったのだ。「え、何で彼女が。」と思うのも無理はない。実は彼女には人に言えない秘密があり、また防衛省職員だった父の失踪の真実を聞かされた事も原因だった。若きやり手イケメン捜査員と老練な主任と共に外国人テロ事件などに立ち向かう。一方プライベートでは母と双子の妹には、大手広告代理店入社と偽る。恋に仕事に国家テロにと慌ただしい毎日。コードネーム「ルージュファイター」桃瀬桜の活躍は始まった。

Re: ルージュファイター ( No.39 )
日時: 2017/12/12 00:50
名前: 梶原明生 (ID: BJESuZEb)  

…やがて桜は、桐谷美智子が鳥山雅人と交際していることがわかった。しかし最近疎遠になり始めていることも。そしてその原因が雅人の浮気にあることを突き止めた。数日後、営業に出る雅人を耐えかねた美智子が呼び止める。「ねえ雅人。最近何で会ってくれないの。」「バカ、ここじゃその話はするなと言ったろ。」「だって…」「忙しいんだよ。大事なプレゼン抱えてるんだ。終わればまたそのうち会えるさ。心配すんな。」「嘘っ、他に女いるでしょ。」「何を言い出すんだ。いい加減にしないか。」雅人はビジネスバッグを取り、オフィスを出た。「雅人…」角に立って立ち聞きしていた桜は静かに立ち去る。その夜、残業終わりに退社する雅人を尾行することに決めた桜は、日産マーチで尾行を開始した。「19:00とは随分お早い帰りだこと。桐谷さんの話だと毎回23:00上がりと聞いてたけど。」呟きながら桜は車を走らせた。丁度港では花火大会が催されていて、渋滞に巻き込まれたものの、何とか駐車場に入る雅人と桜。「一人で花火見物。なわけないよね。」家族連れやカップルが多い中、桜は見失わないよう尾行した。「こちらファイター、ムサシへ。今の現在地送れ。」「ムサシ了解。今ターゲットの真後ろだ。」それは無線で答えた今田だった。「感謝します。見失うとこでした。」「後でキンキンに冷えたビール奢れよ。」「了解。」少しニヤつきながら応える桜。「こちらマークス。ターゲットは誰かと接触した模様。」別方向から来ていた万屋が無線に出る。「何。ファイター準備はいいか。」「了解。任せて下さい。 」…続く。

Re: ルージュファイター ( No.40 )
日時: 2018/01/05 19:41
名前: 梶原明生 (ID: MqiTTCa3)  

…花火が打ち上がりはじめ、喧騒のさなか、男二人は互いに耳を近づけ話している。桜は木陰からシャッターチャンスを狙ってカメラを構える。「撮れた。ミライ、送りますから顔認証してください。」「OK。任せとけ。」R・D・A本部のブースから桂がパソコンで画像検索を始めた。「こいつは…」桂の手が止まる。「どうした、ミライ。」今田が問いかける。 「金田修一ですよ。韓国食品輸入販売会社社長。」「どういうことです。」桜が聞き出す。「昔、拉致事件に関与していたのではという嫌疑がかけられた男だ。しかし証拠はなく、極めて白だと断定された。くそ、嘘だったのか。」思わずデスクを叩く桂。「とにかくその金田という男の尾行に切り替えます。鳥山をお願いします。」「わかった。」桜は金田の方を尾行し始めた。…続く。

Re: ルージュファイター ( No.41 )
日時: 2018/01/20 18:02
名前: 梶原明生 (ID: tf4uw3Mj)  

…金田は駅へ向かい、電車に乗って帰るようだ。無論、桜も乗る。「主任。」後ろから肩を掴んだのは宇佐美だった。「相変わらず単独行動が好きね。」「すみません。奴の動向を知りたくてつい…」「いいのよ。懸命な判断だった。それで、何かつかめた。」「さっき、鳥山は金田に何か渡していました。恐らく密入国に関わる何かかと。…」「なるほど。それじゃ尾行を続けるとしますか。」二人は駅に着いた電車から降りて、金田を尾行した。「ここ…」「変わり映えなくご自宅へ帰宅か。自宅兼、韓国商品輸入会社サムゲタンね。」桜の呟きに応える宇佐美。「ミライ、聞こえる。」「ばっちり相変わらずのお美しい声は聞こえております。」「お世辞はいいから、かつて金田の自宅を家宅捜索した時の見取り図あったら私とファイターのスマホに転送して。できるだけ早く。」「お安い御用で。」桜は怪訝そうに尋ねる。「もしかして、侵入する気ですか。」「勿論。正攻法ばかりが私達R・D・Aの捜査法じゃないのよ。寝静まるまでまだ時間あるわ。後ろには居酒屋もあるし、 一杯どう、奢るわよ。」「え、でも勤務中ですよ。」「当たり前でしょ。時間を潰すだけだから。」二人は反対側の通りに面した居酒屋に入っていった。「文也。…」席につくなり宇佐美のスマホが鳴り始めた。「出ないんですか主任。」「ん、いいのよ。」伏し目がちになる宇佐美。一方その文也は自分の引きこもった部屋でスマホを投げつけていた。「ほらな。あいつは母親なんかじゃない。」頭を抱える文也。…続く。

Re: ルージュファイター ( No.42 )
日時: 2018/01/29 16:50
名前: 梶原明生 (ID: BJESuZEb)  

…その光景は宇佐美にも容易に想像がついた。やがて時間は下がり、金田の会社事務所に侵入する二人。小型ライトを頼りに家捜しするものの、めぼしい物にありつけない。諦めかけたその時、桜は置物が置いてある床が気になった。ライトを斜めに当てると、僅かな埃がキレイに円を描いている。「主任、これ。最近動かした形跡があります。」「静かにずらしてみましょ。」二人は協力して置物を動かした。「ビンゴ。床下に金庫とはね。」「やめなさいファイター。パスワードとダイヤルコードがなければ開かない金庫よ。残念だけど時間がない。とりあえず今日はこの辺で退散した方がいい。」「ですね…残念。」二人は形跡を残してないかチェックしたあと、静かに事務所を出た。翌朝何事もなかったように出勤した桜は、昼休みに再び鳥山に口説かれていた。「どうだい、この前の話。気が変わってくれたかい。」「え、何でしたっけ。」「またまた桃園さん。しらばっくれて。」「ああ、歓迎会…でしたね。はい、覚えてますよ。」「で、返事は…」「わかりました。行きます。」「そうか、わかってくれたか。じゃあ明日の週末午後7時に居酒屋満天で。」桜は快く返事するふりして今田に連絡する。「そうか。多分尾行はバレてないと思うが、用心しろよ。我々も明日バックアップに回る。奴から直接何か情報をとれるかも知れんな。」「私もそう思います。」桜は回りに注意しながらスマホをしまった。…続く。

Re: ルージュファイター ( No.43 )
日時: 2018/02/15 12:30
名前: 梶原明生 (ID: QdW4Cr4d)  

…翌日19:00、桜は居酒屋満天にいた。予想通りと言うか何と言うか、来ていたのは鳥山だけ。「あれ、皆さんまだ来てないんですか?」「う〜ん、まだみたいだね。そんなことより駆けつけ三杯だ、ほら飲んで。」「いただきます。」乗せられるふりで飲んだ。「ふん、眠り薬は聞かない錠剤飲んでるから酔い潰そうなんて無駄な…あ、アレ…」心の中でそう呟いていたのだが、逆に本当に眠くなる。「バカな、こんな…」「どうしたんだい公安の犬さん。」「と、鳥山…」完全に眠った桜を、介抱するふりして店の裏口から出る鳥山。今田が叫ぶ。「おい、どうしたファイター。何か応答しろ。…マークス、裏口に何か変化はないか。」「いえ、異常ありません。」何故か鳥山はその裏口から出ていた。「俺が見てくる。」今田は嫌な予感がしてXトレイルから降りて居酒屋満天に向かった。「しまった。ファイターも鳥山もいない。」「何ですって…バカな。」万屋は仰々しく反応する。「クソ、どっからいつの間に居酒屋を出たんだ。ミライ、周辺の監視カメラ解析して怪しい車がなかったか調べろ。マークスと俺は桜を探すぞ。」「了解。」今田は早速車に乗り込み、発進させた。だが、一時間経っても見つからずにいる。その頃桜は見知らぬマンションの一室にいた。手足は縛られ、口にはガムテープ。聞き慣れないハングル語が聞こえてくる。「やぁ、お目覚めかい女スパイさん。」それは間違いなく金田だった。「危ない危ない。もしたれ込みがなかったら危うく将軍様に仕える我ら同胞のイスラムテロリストによる代理テロ計画が明るみになるところだったよ。君には消えてもらうが、その前に吐いてもらいたいことがあってね。拷問にかけると思うかい。ご冗談を、我々は昔の野蛮人ではないんだよ。それに君みたいなやつは拷問の訓練は積んでるしね。それよりもっと効果的な方法がある。自白剤だよ。…続く。


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