複雑・ファジー小説

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ルージュファイター
日時: 2017/04/19 14:38
名前: 梶原明生 (ID: W4UXi0G0)  

あらすじ

髪型はミディアムひし形カールボブ、時計はカルティエ、服はソア・リーク、コスメ口紅はシャネルを好み、バッグ小物はクロエにプラダ、靴はジミーチュウ。出没スポットは銀座、表参道、代官山、恵比寿。…そんな今時キレイめ女子な彼女の趣味は何と陸上自衛隊。中学時代にマニアとなり、高校時代におしゃれに目覚めても変わらなかった。そして大学時代には予備自衛官補となる。そんな彼女が卒業してスカウトされた職場は…警視庁公安部外事課新設班「R・D・A」だったのだ。「え、何で彼女が。」と思うのも無理はない。実は彼女には人に言えない秘密があり、また防衛省職員だった父の失踪の真実を聞かされた事も原因だった。若きやり手イケメン捜査員と老練な主任と共に外国人テロ事件などに立ち向かう。一方プライベートでは母と双子の妹には、大手広告代理店入社と偽る。恋に仕事に国家テロにと慌ただしい毎日。コードネーム「ルージュファイター」桃瀬桜の活躍は始まった。

Re: ルージュファイター ( No.54 )
日時: 2018/06/16 17:56
名前: 梶原明生 (ID: Q97r4MCO)

・・・そのセイフハウスには既に倖親子も到着していた。田川主任と宇佐美主任によって連れてこられていた。「パパ・・・」幼い娘が走り寄ってくる。「おお、無事だったか。よかった。」抱きしめる猪狩。「それでは猪狩さん、お話願えますか。」田川主任が口火を切る。「あなたは・・・」「申し遅れました。私、公安庁R・Ⅾ・Aで主任を勤めます田川と言うものです。協力次第で待遇もグンと違ってきますよ。先ずはセイフハウスへどうぞ。」促す田川主任。応接間で猪狩と数名のメンバーで話を聞く。「私は長年、資金洗浄と工作員の匿いや情報提供の手助けをしてきました。北朝鮮の軍諜報部にKクラブという極秘部署が置かれていまして、おもにそこから協力を依頼されていました。拉致の計画も。」言い出したところで桜は驚愕した。「待ってください。拉致って・・・もうないはずでは。」「あなたほどの人が知らないとは意外だな。たしかに表向きは・・・しかし、昔は巧みでない拉致ばかりしていた。そこで今はもっと巧妙な手口で拉致を行っている。北はそれを知られてはならないから必死だったんだ。その情報がこのUSBに。今の拉致は一般人より高官を狙った拉致が多い。特に防衛省や外務省職員等。」「防衛省・・・」思わず桜は口走った。まさか父の失踪もこれに関連しているのではないかと。「どうした桜。」「いえ、何でもありません。」その時、桂のセンサーに異変が起こった。手信号で田川、宇佐美に合図する。「馬鹿な。何故ここがわかった。」「どうしました。」「桜、拳銃の用意をしろ。後3分もなく武装した工作員がこちらに接近する。」「何ですって、そんな。」絶対にばれるはずのないセイフハウスが突き止められた。今田は自前のHK416アサルトライフルを取り出した。「俺と桂と正木で援護する。その間に猪狩さん達を。」「わかった。」すぐに動くものの、正木が奇声上げる。「えーんっ、俺戦闘苦手なのに。」「つべこべ言うなこの軟派野郎。」「うるせーこの筋肉脳味噌が。」互いに悪態突きながら構える。・・・続く。

Re: ルージュファイター ( No.55 )
日時: 2018/07/29 15:09
名前: 梶原明生 (ID: CrTca2Vz)

・・・そうこうしてる間に桂が浴室のシャワーを強めに出しっぱなしにして戻ってきた。「明かり消したほうがいいんじゃないか。」正木が呟く。「バカ。それじゃ何かあるって思われて警戒されるだろ。」「なーるほど。」鼻の下を伸ばして小ばかにする正木。そうしてる間に突入してきた工作員達。ak47などで撃ちまくるが誰もいない。「しまった罠か。」思ったが最後。今田のhk416小銃が火を吹いた。桂もp8拳銃で工作員を射殺していく。「パン、パン、パンッ。」撃ち合いになるものの、劣勢となった工作員達は車に乗り込み逃走した。「よせ、深追いするな。ファイター達を追うぞ。」「了解、暇だ隊長殿。」「バカ、正木ふざけるな、今田だ。今度ふざけたら本気で殴るぞ。」「おお怖・・・
」肩をすくめながら車に乗る。クラウンの助手席に座る桜は、必死に田川主任の心を読もうとした。しかしどうしても田川の心は万屋同然に読めなかった。「セイフハウスがそうそうばれるはずがない。この人は父の失踪を知っていた。なのに濁して真相を語りたがらない。おまけに一番疑われない役職にいる人物。情報を流していても疑われない。やはりこの人が怪しい・・・」彼女はそう思っていた。「うむ、田川だ。そうか、なら公安出動第4項は発令したか。・・・わかった。後は掃除屋に任せよう。」・・・続く。

Re: ルージュファイター ( No.56 )
日時: 2018/10/19 12:37
名前: 梶原明生 (ID: q6woXfHh)

…電話を切ると再び運転に集中する田川主任。一方、桜は自分の車を停めてある駐車場に近づいてると悟って、ある大胆な行動に出る。「田川主任、車を止めてください。何かおかしいんです。」「何、また奴らが…」「わかりません、とにかく止めてください、私見てきます。」わかった。今田と行け。」田川主任は今田に無線で知らせて路肩に全車両を停めさせた。桜と今田がドアを開けて出てくる。「動くなっ、さぁ、猪狩さん達、由衣さん、全員降りて。」何と田川主任や今田達に銃口を向けて構えだしたのだ。「お前どうした血迷ったか。」田川主任が驚愕するも、今田は見抜いた。「待ってください主任。万屋、桂、銃口を降ろせ。何があったファイター。お前らしくないぞ。訳を言え。」「いえ、訳はここでは話せません。一刻を争うんです早く。」「わかった。だが猪狩夫妻達をどうする気だ。」「私が責任を持って預かります。こちらから連絡しますからどうか黙って見過ごしてください。」今田は田川にバックミラー越しに相槌を打った。「良かろう。この田川が許す。ただし…絶対守れよこの四人を。」「了解しました。必ず。」やりとりの最中にも銃口を向ける万屋。「何してるマークス。下げろ。」桂が万屋のP8拳銃を抑える。それを無言で目撃する宇佐美主任。やがて銃口を向けたままの桜は後退りしながらもう片方の手で車のリモコンキーを取り出し、日産マーチに乗り込みながら猪狩達を乗せて一路とある場所へと向かった。遠退くエンジン音に取り残される面々。宇佐美主任が呟く。「あの子のことよ。きっと大丈夫。」その頃、成田空港から一人の韓国人ビジネスマンが到着していた。勿論偽装に偽名の人物だが。キムソンジン大佐。北朝鮮特殊軍団団長にしてKクラブトップである。「これはキム同士。お待ちしておりました。」「パクジョンホにチョンウンジョンか。チョン、君は相変わらず美しいな。「いえ、恐縮です。」「恐縮すべきは何故私が祖国からわざわざこの犬の国に呼び出されたかだ。そうは思わんかねチョン少尉。」パクが弁解に入る。「いえ、それがことのほかど素人の日本人が意外にも手強い相手でして…」「言い訳はいい。早速私の指示通り動け。」「は。」三人は颯爽と成田空港を後にした。 次回「暗雲」に続く。

Re: ルージュファイター ( No.57 )
日時: 2018/10/31 17:23
名前: 梶原明生 (ID: PvE9VyUX)

「暗雲」                                          宇佐美主任がR・D・Aの資料室でパソコンをいじっていた。「変ね。あの子不審な点は見つからないんだけど。」見ていた資料は万屋のものばかりだった。「私の思い過ごしかしら。」ペンを掌で回転させながら考えあぐねつつもノートパソコンを閉めた。その頃桜は某別荘地で夏休みを満喫していた自分の家族に合流していた。あのこと依然からもしもの時のために、誰にも知られていない別荘地に家を買って、母と妹を一週間のバカンスに出していたのだ。それは正解だった。日産マーチを止めてからしばらく今後のルールについて話した。「いいですか。この別荘は2戸建てが続きになってます。私の家族交えてしばらくここで寝泊まりしてもらいます。銃口を向けたのは謝ります。しかし皆さんももうお気付きとは思いますが、度重なる情報の漏洩。どう考えても私達R・D・Aの中に裏切り者がいる証拠です。こうするしか皆さんを守ることができなかった。・・・そこでお願いがあります。私の家族としばらく過ごすことになりますが、家族には広告代理店で勤めているとしか教えていません。」「わかるよ。スパイ稼業だもんな。つまり我々は招かれた君の会社の関係者で、遊びにきた設定にしてくれってことだな。一切を口外するな。そうだろ。」「さすがは猪狩さん。全くその通りです。」「わかった。誓おう。」「ありがとうございます。」桜はシートベルトを外して別荘から出てきた梅乃と会った。「ああ、お母さん。どう、この別荘気に入った。」「きにいったに決まってるじゃない。青々とした空、見渡す景色、緑の空気。・・・最高よここ。」「そう、良かった。あ、紹介するね。うちの代理店の上司で、この別荘を安く提供してくれた猪狩・・・じゃなかった井川部長。」「どうも井川です。家族とお隣で今日から過ごさせていただく者でして。今後お見知り置きを。」「いえいえ、娘がお世話になってます。まあ、可愛いお嬢さんがお二人も。うちもまだ双子の娘がいるんですよ。賑やかになってうれしいですわ。」その言葉に顔を曇らせる由衣。その後は4人共2戸建てのもう一つの家に入っていった。桜も入ろうとしたが、急にスマホが鳴り出した。「嘘、これ秘密にしてたスマホなのに何で?」駅のロッカーで私用公用スマホは預けてきて、非常時用のスマホを持ち出したから誰も知らないはず。今田からだった。「もしもし、ファイターですが。」「よせ。これも俺の非常時用のスマホからかけてる。暗号名はいらない。ところで例の件だが、お前の考えはわかる。裏切り者がいるからだろ。だから家族のいる別荘へ避難した。」「待ってください。どうしてそれを・・・」「俺の古巣の特戦群にコネは残ってるんでな。R・D・Aには内緒で調べてもらってたんだ。既に1小隊警護についてる。」「何ですって・・・」桜は辺りを見渡した。不覚だった。よく見れば犬の散歩のオジサン。散策するカップル。ジョギング中の若い男達が只者ではない。「で、これからどうする。」「裏切り者と黒幕を探し出します。」「そうか。実はな、さっき猪狩達を名指しで明け渡せと脅迫メールが警視庁に届いた。それからあのUSBメモリーも。30時間以内に明け渡さない場合は東京のどこかでイスラム国の爆弾テロを敢行すると。」・・・続く。

Re: ルージュファイター ( No.58 )
日時: 2018/11/02 21:04
名前: 梶原明生 (ID: vtamjoJM)

・・・「そんなバカな。イスラムテログループは壊滅したはず。まさか・・・」「そのまさかだ。イスラム国の名を借りた北朝鮮。いや、そのケークラブなる組織の犯行に違いない。お前の力が必要だ。警護はうちのチームに任せて東京に戻れ桃瀬。」「わかりました。いますぐ。」桜は日産マーチに戻り、今田のⅩトレイルと共に別荘地を後にした。その頃、松嶋未知は悩んでいた。霞が関のしがない事務所で事務をしていたのだが、好きなアーティストのライブでナンパしてきた青年と遠距離恋愛をしていた。それだけならいいが、悩みの種はそれだけではなかった。彼は高校二年生の17歳。自分は大卒の23歳。6歳も年が離れた未成年との恋。仕事が仕事なだけに誰にも言えずくるしんでいたのだ。彼の名は黒沢アルト。名古屋市一の宮出身である。この後この二人がとんでもない事件に巻き込まれようとしていたことなど、知る由もなかった。一方、ケークラブの本拠地を突き止めていた桜と今田は、田川主任の許しもなく今田と特戦軍主導でそのアジトに突入作戦を敢行した。「3,2,1、行け行けっ。」特戦群が突入したものの、返ってきた答えは意外なものだった。「いません。中は蛻の殻です。手がかりらしいものも一切残されていません。」桜が憤慨した。「馬鹿な。確かにUSBと猪狩社長の証言でここだと断定したはずなのに。」「ファイター、これはパターンを変えてきた可能性があるぞ。ひょっとするとこちらの裏の裏をかこうとしているのかも。大規模に警戒レベルを上げるしかない。」「待ってください。そうなると警視庁やR・D・Aを通さなければなりません。今私が拘束されるわけには。」「大丈夫だ。俺がついてる。」その言葉に桜は今田の瞳を見つめた。「何だ、どうした。」「いえ、何でもありません。とにかく爆弾とケークラブメンバーを追いましょう。」「ああ。」今田はまだ気付いていなかった。桜が今の言葉と,自分のためにここまで庇ってくれる姿に愛を感じていたことを。・・・続く。


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