複雑・ファジー小説

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ルージュファイター
日時: 2017/04/19 14:38
名前: 梶原明生 (ID: W4UXi0G0)  

あらすじ

髪型はミディアムひし形カールボブ、時計はカルティエ、服はソア・リーク、コスメ口紅はシャネルを好み、バッグ小物はクロエにプラダ、靴はジミーチュウ。出没スポットは銀座、表参道、代官山、恵比寿。…そんな今時キレイめ女子な彼女の趣味は何と陸上自衛隊。中学時代にマニアとなり、高校時代におしゃれに目覚めても変わらなかった。そして大学時代には予備自衛官補となる。そんな彼女が卒業してスカウトされた職場は…警視庁公安部外事課新設班「R・D・A」だったのだ。「え、何で彼女が。」と思うのも無理はない。実は彼女には人に言えない秘密があり、また防衛省職員だった父の失踪の真実を聞かされた事も原因だった。若きやり手イケメン捜査員と老練な主任と共に外国人テロ事件などに立ち向かう。一方プライベートでは母と双子の妹には、大手広告代理店入社と偽る。恋に仕事に国家テロにと慌ただしい毎日。コードネーム「ルージュファイター」桃瀬桜の活躍は始まった。

Re: ルージュファイター ( No.64 )
日時: 2018/12/09 17:56
名前: 梶原明生 (ID: j4S7OPQG)

・・・やがて夜は更けていき、新しい朝を連れてきた。梅乃達と別れて帰路に着いた桜は今田と共に猪狩達を空港まで送り届けた。「ありがとう桃瀬さん。何から何まで。」「いえ、それほどでも。奥さんと娘さんを大事にしてあげてください。」ハワイ行きの便に搭乗する三人。由衣は心なしかそんな猪狩をガラス越しに見つめる。「由衣さん。」「わかってます。・・・お世話になりました。」彼女は気丈に松嶋未知と黒沢アルトがいるゲートに歩いていった。そんな時だった。誰かに見られているような気がして振り向いた瞬間、秀隆の姿が。「お父さん・・・」その影を追ったが見失った。「確かにお父さんが。」歩く人ごみに佇む桜。一方由衣が通り過ぎた待合の座席に背中合わせで座り込む今田と正木の姿があった。新聞を読むふりする正木。「いいのか。別れの挨拶もしないで。」「いいんですよ。この方が返って彼女のためになる。俺みたいな奴の影はちらつかないほうが幸せだ。」新聞越しに由衣の背中を見つめる正木だった。その頃、楓、紅葉の姉妹は、とある広告代理店ビルにあった。そこで衝撃的事実を知らされる。「二度お調べいたしましたが、当社においてそのような方は勤めておりません。」「え・・・」愕然とする双子。其の様子を監視カメラで見ていた宇佐美は近くを巡回中の万屋に連絡を入れた。「大変。マークス、対処第2項発生。すぐに向かって。」「了解しました。」・・・続く。

Re: ルージュファイター ( No.65 )
日時: 2018/12/22 00:30
名前: 梶原明生 (ID: 0zy7n/lp)  

…彼女はホンダシビックで急行した。「あ、ちょっとすみません、よろしいですか。」「え、はい。」「桃瀬さんの妹さんじゃないですか。」「どうしてそれを…」歩道で何やら話し込む三人。数時間後、諸々の仕事を終えて帰宅する桜。「ただいま。」「桜…。」振り向きざま仁王立になっている梅乃の姿を見てただならぬ気配を感じた。親子だからか、大抵何か重大なことがある時母はいつもこうだと何となくわかる。「何、お母さん。私何かやらかした。…」「やらかしたじゃないわよ。聞いたわよ、楓、紅葉から。あなた電光の社員じゃないでしょ。よくも私を騙してくれたわね。」桜はいよいよバレたかと覚悟を決めた。母の第六感は当たると言うし、まして自分の能力を考えたら母に多少その気がないわけはない。深呼吸して打ち明けた。「あのね、お母さん私公安…」「デリヘル平安でしょ。うわーっ」「へ…」泣き出す梅乃に半ば拍子狂わされた。「恋愛だって性だって黙認してきたのは事実よ。でもまさかあなたがそこまで落ちぶれてただなんて。私の育て方が悪かったのかしら。グスン…」「あの、お母さん、違うって。」「何も言わないで。吉原とかその辺でしょ。アリバイ工作バッチリで貴女をサポートとか組織ぐるみでやるんでしょ。知ってるんだからね。どうりで給料高いはずよね。」梅乃からそんな言葉が出たほうが桜にはショックだったろう。「いや、その、何と言うか。」「もしかして今田さん達もグルの一味なの。もうやだ桜。」「お母さん。」軽く抱きしめる先に楓に紅葉の姿。「あんたら…」冷血な睨みつけに部屋に引っ込む双子。その頃、父秀隆は中国安全部の工作員と合流していた。「我々Kクラブの目的は変わらない。北朝鮮が失敗してもあなた方がいる。」「しかしいいのか。簡単に寝返って。我々は同志であっても仕える国家が違う。」「なーに。この日本を拠点に計画を進めることに変わりはない。我らKクラブの同志として。」「たしかに。ブラメンコフ氏に伝えておこう。」言うだけ言って互いに別れた。秀隆は一体何を目論んでいるのか。…続く。

Re: ルージュファイター ( No.66 )
日時: 2018/12/30 19:34
名前: 梶原明生 (ID: 0zy7n/lp)  

…その頃、桜は単身R・D・Aの本拠地を訪れていた。「一体どういうことです。対処第2項は発令されなかったんですか?」デスクにいた宇佐美が対応していた。「そんなはずはないわよ。第一私が直接万屋を指揮したんですもの。対処はしたはず 。」「じゃ、何で電光の社員じゃないってバレたんです。」「そんなバカな。」宇佐美が立ち上がったところでその万屋が上司を引き連れ訪れた。「その答えがこれよ。」「よ、万屋…解雇通告書。」「そうよ。あなたはもうR・D・Aの捜査員じゃない。だから対処第2項は発令されない。わかったかしら。」長官が前に出る。「彼女の言う通りだ。」「待ってください岩舘長官。この件は保留だと…それにスカイツリー爆破事件を防いだのも、猪狩夫妻を守ったのも桃瀬です。」「それとこれとは別だ。同僚に銃口を向けるような裏切り者は置いておけん。万屋君の報告通り、処分は決定した。桃瀬桜、身分証と通行IDを出しなさい。」「待ってください岩舘長官。彼女は…」「宇佐美主任。君は妹さんの件で彼女に私情を挟んでいるんじゃないのかね。似ているから。」宇佐美の表情が急に苦渋をかじるような顔になる。「そ、それは…」「とにかくだ。会議の結果決まった処分だ。覆ら…」「バンッ。」桜はいきなり身分証と通行IDを机の上に叩きつけた。「いいんです宇佐美主任。短い間でしたが、お世話になりました。」深々と頭を下げてオフィスを出る桜。「桃瀬…」立ち去る彼女に何も言えなくなる宇佐美だった。万屋だけが立ち去る背中にニヤリと笑みを投げかける。…続く。


Re: ルージュファイター ( No.67 )
日時: 2019/01/22 16:46
名前: 梶原明生 (ID: 97SCsTUE)  

…そんな桜は今田と合流した。「そうか、そんなことが。まだ対処はしてくれると思っていたが。森川群長にも問い合わせた、岩舘長官の意思は曲げられないそうだ。仕方ない、防衛省傘下のダミーを使うか。お母さんには俺の方から言っとくよ。」「ダメですよ、今田さんが言ったら私余計吉原のデリヘル嬢扱いされますもん。」「心配するなって。…それにしてもお前くらいなもんだぞ。公安にいて親姉妹と同居だなんて。普通は秘密保持のため一人暮らしが基本だ。」「し、仕方ないですよ、事情があるんですから。」「悪かった。そう膨れるな。それはそうと、お前は防衛省に向かえ。挨拶がまだだろ。」「わ、わかりました。」互いに車に戻ってそれぞれの場所へと向かった。緑の二つ屋根を持つ防衛省庁舎が見えてきた。「伊丹広告サービスです。」「ああ、伊丹広告さんね。広報室には第3駐車場に停めてから行ってください。」「ありがとうございます。」日産マーチで通用門を抜けると「第二広報課」と呼ばれる部署に向かう。「失礼します。」ドアを開けて入った途端目に飛び込んできたのは…「どうぞ、待ってたよ桃瀬君。」広報課とは似ても似つかない所だった。小柄だが、筋肉質の中年男性がソファに座りながら89式小銃とHK416小銃の分解と手入れをしている。中には男女合わせて9人はいる。皆陸自迷彩服だが、奥のデスクに座っている初老の男性だけ黒スーツに水色ネクタイだった。野田武人陸将補。通常は「長官」と呼ばれている。「君が桃瀬桜君だね。森川郡長から聞いてるよ。見て驚いたかね。ここは広報課にして広報課にあらず。R・D・Aにいた君に言うまでもないだろうがね。」「いえ、そんな。」野田長官が歩み寄りながら話すのを割り込みする身長178の太ましい男。「いやー可愛いしお綺麗だこと。ここの女と大違い。俺、川田洋平。ヘリコプターと女の操縦はピカイチなんだよね〜。」P8拳銃を握って手入れしていた若い女性隊員が睨む「ここの女ってどこの女ですかね川田曹長。」「いやいやその…危ないだろ銃口むけんなよ。ああ、こちらは岡山明美三曹。身長167、地理判読と格闘技を得意とするバスト92のナイスバ…」「殺しますよ。」「ああわかった。だから薬室に弾入れんなって。」無視するように握手を買って出る岡山。「よろしく桜さん。」「よ、よろしく。」「次は俺かな。このチームを任されてる隊長の至善明生一尉だ。こいつは石鍋雅裕三尉。元海自特殊部隊SBU…続く。

Re: ルージュファイター ( No.68 )
日時: 2019/01/28 00:40
名前: 梶原明生 (ID: 99wOCoyc)  

…に所属してた。狙撃の腕は超一流。見ての通りの背高のっぽの192センチだ。」「そういうお前はチビマッチョだろ。」「お、言うか石鍋。」互いに拳を当て合う二人。「それから彼女は…」「ああ、説明いらないから。鈴木かおり。元医者だけどね。」「自衛隊の四十路ブラックジャックと呼ばれてる。」「一言多い。」睨みつける鈴木。「俺は爆弾担当の寺嶋鉄郎曹長。ワイフとお姫様二人は別居中。離婚調停中でね。はい、次。」言われてひとりの少女に注目があつまる。「え、え、私。えーとうーんと、特にない…じゃなかった。辻倉瞳子19歳。少年院行くかハッカーとして協力するかってオジサンが。今時ハッカーなんて言わないのに。」全員が爆笑するなか、野田長官だけが咳払いする。「んん…さて、私で最後だな。この第二広報課の責任者にしてこのチームの責任者。野田武人元陸将だ。」「は、これは。」桜が敬礼しようとしたが制した。「よしたまえ。元だよ。今は単なる民間依託会社社長だ。表向きはだが。」目配せで至善に一任する野田。「わかりました。…じゃあ桃瀬一士。これまでの概要を話そう。」いよいよ本題に入った。…続く。


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