複雑・ファジー小説
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- ルージュファイター
- 日時: 2017/04/19 14:38
- 名前: 梶原明生 (ID: W4UXi0G0)
あらすじ
髪型はミディアムひし形カールボブ、時計はカルティエ、服はソア・リーク、コスメ口紅はシャネルを好み、バッグ小物はクロエにプラダ、靴はジミーチュウ。出没スポットは銀座、表参道、代官山、恵比寿。…そんな今時キレイめ女子な彼女の趣味は何と陸上自衛隊。中学時代にマニアとなり、高校時代におしゃれに目覚めても変わらなかった。そして大学時代には予備自衛官補となる。そんな彼女が卒業してスカウトされた職場は…警視庁公安部外事課新設班「R・D・A」だったのだ。「え、何で彼女が。」と思うのも無理はない。実は彼女には人に言えない秘密があり、また防衛省職員だった父の失踪の真実を聞かされた事も原因だった。若きやり手イケメン捜査員と老練な主任と共に外国人テロ事件などに立ち向かう。一方プライベートでは母と双子の妹には、大手広告代理店入社と偽る。恋に仕事に国家テロにと慌ただしい毎日。コードネーム「ルージュファイター」桃瀬桜の活躍は始まった。
- Re: ルージュファイター ( No.69 )
- 日時: 2019/02/06 22:39
- 名前: 梶原明生 (ID: 97SCsTUE)
…パネルを使って説明に入る。「先ずこれまでの一連の騒動はKクラブなる謎の組織により引き起こされた。この組織はあらゆる諜報機関、軍、警察内部にネットワークを築き上げ、諸外国を意のままに操っている。その動きにいち早く気づいたのが桃瀬秀隆一尉だった。すなわち君のお父さんだ。そして直属の上司である湯沢一佐に報告。すぐさまKクラブの解明とスパイを探るために日本大使館の武官として着任。その渦中に突然失踪。そして今になって何故か日本に帰国して工作活動に従事している。…つまり桃瀬、察しの通り君のお父さんは生きてる。」「やっぱり…」疑惑は確信へと変わった。「だが厄介なのは君のお父さんの目的だ。Kクラブに寝返ったのか、それとも二重スパイなのか。湯沢一佐が殺害された今となっては判断できない。」「待って下さい。湯沢一佐は事故死じゃないんですか。」「残念ながら鉄砲玉による偽装殺人だ。しかもその鉄砲玉も交通刑務所で心臓発作で亡くなってる。」「口封じ…」愕然とする桜。「さて、そこからが肝心だ。Kクラブの目的は…日本を要衝として、中国、朝鮮、ロシアとアメリカ、日本という対立構造を築き上げ、緊張と紛争により特需を生み出そうとしている。言わば漁夫の利が目的だ。テロもそうだ。やつらの株価が上がる。俺達の使命はそれを何としても阻止することと、君のお父さんを確保することにある。わかるな。」「はい。」桜は決意したように返事した。…続く。
- Re: ルージュファイター ( No.70 )
- 日時: 2019/02/15 18:45
- 名前: 梶原明生 (ID: UvBorD81)
…「さて、桃瀬秀隆がKクラブとの繋ぎ役として雇っているのが…驚くな、何と高校生だ。 鷹野羽学園二年生の小山徹平だ。」桜は驚愕する。「待ってください。鷹野羽学園て、 うちの妹が通ってる…」「その通りだ。しかも幸か不幸か、その君の妹二人の好きな先輩だ。」「ちょっと、やめてくださいよ。まだあの子達高校一年ですよ。」「まだじゃなく、もう高校一年の間違いじゃないか桃瀬。君もその頃はいい具合いだったんじゃないか。」「いい具合いって、そんな言い方。…」「まぁ とにかくだ。君の二人の妹が小山に恋心を抱いてる。このまま二人を彼に近づけさせて情報を取ろう。」「できません。妹が 知ったら傷つく。」「桃瀬。気持ちはわかる。我々も全力でサポートするから大丈夫だ。小山を連行して吐かせるのも手だろう。しかしそうすれば奴は間違いなく自殺するし、気付いた秀隆一尉は二度と近寄らない。先ずは疑われないところから近づくしかないんだ桃瀬。協力してくれ。」渋々納得する桃瀬。やがて紅葉、楓の監視と尾行は始まった。…続く。
- Re: ルージュファイター ( No.71 )
- 日時: 2019/03/14 10:53
- 名前: 梶原明生 (ID: 70vEHkeO)
…「桃瀬さん。差し入れ。」日産マーチで盗聴していた桜に身長185センチのセミロングな髪を靡かせた若い男が助手席に乗ってきた。「俺だけ自己紹介してませんでしたね。なんせ辻倉より新人扱いされてますから。沢本英明三曹22歳です。元は特殊作戦群にいましたが、至善一尉の弟子だったもので引き抜かれました。」「とんどもない。あなたみたいなイケメン、玄人にしか見えないよ。」「ありがとうございます。あ、これコーヒー。」「サンキュー。」そうしている間に紅葉に変化が。「こ、小山先輩。付き合ってく、ください。」「なんだって紅葉、あんた。」「よく声だけでわかりますね。」「姉妹だもの。聞き分けくらいできるのよ。それより…」イヤホンを押さえて聞き入った。「ちょっと紅葉、抜け駆けはダメでしょ。」「楓ちゃん、何で」「あなたのおかしな行動くらいわかるよ。小山先輩。私もあなたが好きです。付き合ってください。」「え、ええ、そんなこと言われてもな。」小山は突然の告白にたじろいだ。「もう、小山先輩。私と楓ちゃんどっちがいいんですか。」「Macに寄りましょうよ。放課後紅葉と私どっちがいいか話し合いましょう。」 「ええ、そんな…」話し合いは勝手に楓紅葉の二人で進む。やがて放課後、Macに入る三人に付いて変装した桜が店内に入った。…続く。
- Re: ルージュファイター ( No.72 )
- 日時: 2019/03/26 23:57
- 名前: 梶原明生 (ID: 87ywO7pe)
…「あ、Macshakeで。」注文しつつ二階席を階段越しに見る桜。席に着くと開口一番に小山の声が聞こえてきた。「ごめん。すごくうれしいんだけど、明後日まで返事は待って。そうしたら仕事が片付くから。」「仕事…明後日…」その言葉に桜は食らいついた。「至善一尉、聞こえましたか。」「ばっちり聞こえた。高校生が仕事なんて単語不自然だ。おまけに日付まで。間違いない、テロは明日だ。桃瀬、予定変更だ。急を要する、妹さんが別れてから確保だ。すぐに俺達も向かう。」「わかりました。」もはやゆっくり探る余裕はなくなったようだ。三人はMacを出て、桜は尾行を開始した。小山が閑静な住宅街に差し掛かった時、待機していた至善、今田、石鍋が路地を歩いてくる。動物的な勘を働かせた小山は、白いイヤホンを耳から取った。「まさかあいつら…」反対方向に戻ろうとしたら、その先には桜、沢本、鈴木の3人も立ちはだかる。窮鼠猫を噛むとはこのことか。バッグの中から拳銃を出そうとした。しかし構える間もなく今田や桜達のP8拳銃を構えるのが速かった。「とととっ、バカな考えは命取りだ。ゆっくりバッグを下に置け。早く。」悔しがりながらバッグを足元に置いて両手を挙げた。「お…お姉ちゃんこれどういうこと。」「え、…」聞き慣れた声に思わず背中が凍りついた。「ドッキリじゃ…ないよね…これ…」いつの間にいたのか、そこには紅葉と楓の姿が。不覚とはまさにこれか。「あ、あんた達なんでここに。…」鈴木二尉が叫ぶ。「ファイター、仕方ない。彼女達にも来てもらう。」そう言われた時にはすでに今田達により小山は手錠をかけられていた。「説明してお姉ちゃん。これ何なのっ。」P8拳銃を下げながらただ茫然と妹達を見つめていた。…次回 「奇襲」に続く。
- Re: ルージュファイター ( No.73 )
- 日時: 2019/04/05 16:56
- 名前: 梶原明生 (ID: wh1ndSCQ)
「奇襲」……
防衛省関連施設の地下にある取り調べ室で、隣り合わせの部屋で尋問を受ける小山と桜の妹達。「無駄ですよ。 パソコンもスマホも解析したって何も出ないし僕自身も喋りはしない。心も読めない。」言われて桜はドキッとした。確かに霧がかかったように心を読むことができないでいた。一方マジックミラー越しに紅葉、楓が殺風景な銀色ステンレスの机と壁の部屋で座らされていた。「ごめんなさい、説明がまだだったね。」慌ただしく鈴木ニ尉が入ってくる。「ここはどこですか。あなた方は警察ですか。」楓がお姉さんらしく最初に口火をきった。「いいえ。ある意味似たようなものかしらね。ある国家機関の公務員て点では同じかも知れないけど。残念ながらそれ以上は言えないわね。」「お姉ちゃんは何なんですか。あんな拳銃持ってるなんて…それに何で小山先輩が捕まってるんですか。」「いい、これから言うことをよく聞いて。彼はとあるテログループに加担している疑いがあるの。だから拘束したのよ。それにあなた達には偶然お姉さんの素性を見られてしまった。あなた達にも守秘義務が課せられることになったのよ。」「もしかしたら公安捜査官…ですか。」少しドキッとしたが、鈴木ニ尉は落ち着いて話す。「そうね。大まかに言えばそうなるわね。」「すっごーい、お姉ちゃん映画かドラマみたいっ。西島さんかトムクルーズみたいな…」「紅葉ちゃんっ。」楓は紅葉を叱りつけた。隣ではマジックミラー越しにワザと楓紅葉を見せながら今田が尋問する。「なぁ、彼女達を何故明日のテロ計画に利用しなかった。カップルを装えば怪しまれないだろうに。…お前、まだ人の心があるんじゃないか。いや、恋心がある。違うか。」「違う、彼女達は関係はない、離してやれよ。」「そうムキになるところからして怪しいな。お前次第だ。解放するか死なせるか。」「今田さん…」思わず小声を漏らす桜。「うるせーっ、お前らに何がわかるんだよ。あの子達を解放しろ。それにあの人はな、この国を心から救おうとしたんだ。」「あの人、桃瀬のことか。」「うっ、く、…」押し黙る小山。…続く。
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