二次創作小説(新・総合)

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逃走中#CR04 虹の夢と王国の絆 【完結】
日時: 2020/07/30 22:02
名前: 灯焔 ◆rgdGrJbf0g (ID: gKP4noKB)
参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel7a/index.cgi?mode=view&no=1374

どうもです、灯焔です。
我が道中を進んでいく逃走中#CR04!『JOKER』の正体が遂に判明したり、道化師が本格的に動き出したりと大波乱が止まらない!
今回の舞台は、某リアルファイトゲーな『マリオパーティ5』より『レインボー・ドリーム』。人々の『そらのユメ』から生まれた天空のエリアを、逃走者達とハンターによる4度目の本気の鬼ごっこが今、始まる―――!


ジルクファイドが不穏な動きを見せて終了した前回の逃走中。道化師もどう動いてくるかわからん状況で逃走中#CRはどうなってしまうのやら…。『JOKER』、そして彼を巡る戦いは更にヒートアップ…していくのか?
ドラマは異常気象を解決する為夢の国へ!こちらもただ事じゃあなさそうですよ…?
種族を超えた絆を今、解き放つ時―――!命よ、魂よ、輝きを放て!


<ルール>
逃走エリア:『レインボー・ドリーム』
コネクトワールドの人々の『そらのユメ』から生まれた、天空にそびえる大きなエリア。
4つのエリアに分かれており、逃走者達は各々OPゲームで選ばれた場所から逃走をスタートすることになる。また、今回はミニドラマに対応する為『4つの国』のような景色に仕上がっている。
エリア詳細 >>1
ミニドラマ紹介 >>2



逃走時間:85分

賞金:51万(1秒100円)

ハンター:初期4体(OPゲーム会場のハンターボックスに4体)

自首方法:『雷の国』か『雪の国』にある自首用電話から自首する旨を電話する。


<参加者>

【pop'n musicシリーズ】より (3人) 詳細>>3

風雅


【ファイアーエムブレムシリーズ】より (3人) 詳細>>4
クリス
ルフレ
カムイ

【ダンガンロンパシリーズ】より (3人) 詳細>>5
舞園さやか
ソニア・ネヴァーマインド
天海蘭太郎

【どうぶつの森シリーズ】より (3人) 詳細>>6
むらびと
しずえ
たぬきち

【白猫プロジェクト】より (3人) 詳細>>7
シャルロット・フェリエ
ルカ・フォルティス
レクト・ラロ

【作者枠】 (3人) 詳細>>8
桜木霊歌
YUMA
夏風邪

【逃走中#02 MVP】 (2人) 詳細>>9
アルル・ナジャ
クレア・スチーブンソン

計20名


○逃走中#CR05 出場枠争奪クイズ 結果発表実施! 
 ※締め切りました


◎AfterBreakTime

 ①『数多の可能性の世界へ』  >>10
 ②『松野家の七転八起』    >>36
 ③『とある神々の憂鬱』    >>56
 ④『その紅き目は虚空を仰ぐ』 >>68
 ⑤『現は夢、夢は現』     >>81
 ⑥『混沌落下☆注意報』    >>94
 ⑦『道化は鳥を嘲笑う』    >>124
 ⑧『異星の明星を見上げて』  >>133
 ⑨『みんなで脱出戦争』    >>144
 ⑩『打ち上げパーティ』    >>169-173

 Extra『ウルトラワールドとの邂逅』 >>174-177



以上、逃走中#CR 運営本部がお送り致します。

打ち上げ ③ ( No.171 )
日時: 2020/07/25 22:02
名前: 灯焔 ◆rgdGrJbf0g (ID: gKP4noKB)

~魔界 道化師のアジト付近~



べリア「なんで、なんでアタシはアイツらに…?」



ここは魔界。地下に位置する、人ならざる生命が生きる土地。―――以前も魔界での出来事の様子を見たと思いますが、その時べリアに何かおかしなことが起こっていましたよね。
…どうやらそれが強まっているようで、彼女はあの場から逃げ出した後魔界で一人考えていました。何故、彼らに『助け舟』を出したのか。



べリア「アタシは…アタシはアイツらの敵なのよ?!逃走者もろとも崩れ去るならそれでいいじゃない!敵が…減るんだから。逃走者にも傷がついて運営本部の信用はもろ崩れ。アイツらに反撃が出来たじゃない!なのに…どうして…」

『おやおやァ~?随分とお困りのヨウですが、ドウカされたんですか?』

べリア「アンタ…」



そう。魔族…『道化師側』からしてみれば、あの場で放置して自分だけ脱出した方が被害が大きく鳴る可能性は高かったはずです。まぁ、あの場での生き残りの逃走者が揃いも揃って運動神経抜群な人物ばかりが残っていた為、忠告せずとも全員大きな怪我無く脱出できたとは思いますが。
―――頭では分かっていました。しかし…彼女の『心』。なかったはずの『心』で、彼女は塔にいた逃走者達に忠告をしたのです。
訳も分からず自分に言い聞かせるように叫ぶべリア。そんな彼女を嘲笑うかの如く、『新たな道化師』はその場に現れたのです。



エピタフ「ア、ボクちゃんとしたことが自己紹介が遅れて申し訳ありまセン♪ワタシの名は『エピタフ』。闇纏う影の一族、あるいは………『道化』。なァ~んか面白そうな展開になって来ちゃってるんで、ちょっと手を貸しに来たただのピエロさんデス♪」

べリア「確か…『白猫の世界の道化師』ヨネアンタ?『JOKER』と同程度、或いはそれ以上の能力、そして残忍さを持つ『闇の勢力』…だったカシラ」

エピタフ「おやおや!まさかワタシのコトをそこまで良く知っておいでとは!ワタシの名がそれ程までに広く知れ渡っているなんて至極光栄でゴザイマス♪ま、自己紹介に関してはこれくらいでいいデショウ。アナタ、『メフィスト』というオトコの部下デショ?ボクちゃんこの場初めてデスノデ、右も左も分からないのデス…。どうにか案内をお願いしては貰えませんかねェ?」

べリア「癪に障る喋り方ネ…。アンタ程の力を持つヤツが、メフィストさまに何の用ナノヨ?―――別に案内くらいはいいけれど…」

エピタフ「単に『暇つぶし』ですよ『暇つぶし』♪それにィ、中々面白い『記憶』も分けられたことですしィ。それを利用して一度面白いアイデアを提供しようかと思いまして」



彼の名は『エピタフ』。白猫プロジェクトに登場する悪役であり、『闇の勢力』の幹部を名乗っている道化師姿の男です。こいつもまぁ残忍な性格で色々ゲーム内でも暴れてますよね…。
そんな人物がメフィストに用事とは。ただならぬ気配を感じます。しかし、案内するわけにもいかず。べリアは渋々メフィストのいる拠点まで彼を案内することに決めたのでした。










~魔界 道化師の拠点~



メフィスト「……ン?よーやく帰ってきたのかべリア。で、そこの男は誰?」

べリア「『エピタフ』ヨ。別の世界線の道化師名乗ってる男。……アンタに用事があるみたいなんだけど」

メフィスト「俺にィ?何のマネだ?オマエに従えってんならお断りだぜ?」

モノクマ「わぁ、随分と厄介な人連れてきちゃったねオマエ。敵味方これからどうなっても知らないよボク?」

べリア「フン。アタシはただ案内をしただけヨ。アイツの企みなんて微塵も興味がないワ」

ベリト「…………」

エピタフ「べリアチャンのご紹介に与りました、『エピタフ』デス。なぁんか神々に全面戦争仕掛けそうだって噂を聞きつけたのでェ、異次元から飛んできちゃいマシタ♪これからどうかごヒイキに~♪」

タナトス「…よろしいのですかメフィスト様?彼の内に秘める闇…あの『JOKER』である男と同一の強さに感じます」

メフィスト「―――ハっ。んなんどーでもいいんだよ。…エピタフとか言ったな。つまり、俺達の計画に協力してくれるって魂胆だよな?」

エピタフ「ハイ、もとよりそのつもりデス♪アナタ達の邪魔をするつもりは毛頭ございませんので、命じて下さればなんでも担当させていただきますよ~?……丁度『闇の王』もどこにいるんだか分かりませんし、『アノ女』も行方不明。これだけ有利な条件はままありませんからね…」



べリアがエピタフを連れて拠点まで戻ると、既にメフィスト率いる道化師達が帰りを待ちわびていました。彼女が逃走者達に忠告をしたことは知らないようで、単に彼女が帰還したと認識している様子。
そして、エピタフが改めてメフィストに自己紹介をし『道化師に助力する』と言いました。そりゃまぁそれが目的で来ましたからね。あーあ。厄介な人物が敵に回ってしまいました…。タナトスは彼の内に秘める闇についてメフィストに次げますが、彼は『関係ない』と一蹴。利用できるものは利用するみたいですね。足元を掬われないといいんですが。

彼の返答に満足そうに、わざとらしく喜んだエピタフは早速彼と次なる作戦に向けて打ち合わせを始めるのでした。―――最後ら辺にぼそぼそと何かを言っていましたが…。もしかして赤髪達みんな行方不明だったりするんですかね?

一旦この場は解散ということで皆各々去る一同。べリアも一旦は自分の部屋に戻って、自分の感情に整理を付けようと考えその場を去ったのでした。









べリア「(顔でも洗って頭を冷やした方が良さそうかもね…)」



自分の部屋に戻ったべリアはそう考え、髪飾りを取ろうと鏡を見ました。そこに映っていたのは―――。自分の姿ではありませんでした。
…自分と瓜二つの顔をした、『黒髪の少女』でした。



べリア「なんでっ…!こんなの、こんなの知らない!こんなのアタシじゃない!!」

『…本当に?』



鏡に向かって叫ぶと、帰ってこないはずの声が帰ってきました。聞き覚えの無い自分と同じ落ち着いた声に恐怖するべリア。思わず鏡を破壊しようと拳を振り上げると、『待って』と落ち着いた声は述べます。



『あんたが激昂するのも分かる。あたしが誰なのか分かんないのよね?』

べリア「そうヨ!!アンタの声が聞こえてきてからなんかおかしいノヨ!!頭では分かっているのに、心が拒否してんの!!だから…だから敵である運営本部達に助け舟を出した!!」

『そう。それなら…もう少しであたしのことも思い出せる。―――あんたはあたしだから』

べリア「前も言ったワヨネそれ。『あんたはあたし』。どういうことなのよ?!」

『言葉通りの意味よ。あんたは『記憶を捻じ曲げられてる』。それを…もうすぐ思い知るわ。その時にどちらを信じるべきかは…あんたがその眼で見て決めて』

べリア「―――ハァ?それ、ヒント?全く以て分からないんだけど?」

『大丈夫。あんたなら正しい選択をしてくれるとあたしは信じてる。―――『道化師』に、その心まで捻じ曲げられないで。お願い…』

べリア「何を言ってるの?何を―――。!!」



まくしたてるように鏡の中の黒い少女は自分に向かって言いました。自分の記憶が捻じ曲げられている?今記憶している『自分』は―――真実ではない?彼女はそう言っていました。
もっと詳しく聞こうと鏡を見ると―――そこには、随分と顔を歪ませた『見知った自分』が映っていました。黒い少女は、そこにはいませんでした。



べリア「何なのよ一体…。『記憶を捻じ曲げられてる』?『真実がもうすぐ分かる』?―――アタシ、は…?」



何の変化もない鏡に映る自分の顔を、彼女はその指でなぞることしか出来ませんでした。
―――何かが変わる。もうすぐ、真実が見える。どういうことなんでしょうね?
















~運営本部 打ち上げ会場~



十四松「にーさーん!そろそろサクヤさんにお休み貰うお願いしに行こうよ!ご飯ばっかり食べてたらタイミング逃しちゃうし!」

チョロ松「そうだね。幸いカオス軍団のみんなもしっぽり絞られてるみたいだし、今のうちにやることをやるべきだよ。ね、からま……そのお肉消化してからにしようか」

カラ松「ほうは?ほれはへんへんははいひょうふはほ?」(肉を頬張っている)

チョロ松「仮にも上司に肉頬張ったまま話しできるか!!さっさと食い切れ!!!」



所変わって打ち上げ会場。ジルクファイドや新しく本部入りするメンバーも含め、一同は打ち上げを楽しんでいました。
ふと十四松が兄2人に『休暇を貰いに行こう』と提案をします。そういや五つ子でランチをした時にそんなこと言ってましたね。未だに肉を頬張っているカラ松にさっさと飲み込むようツッコミも忘れずに、保留組は早速サクヤの元まで急ぐのでした。



チョロ松「サクヤさん、すみません。次回の逃走中のことなんですけど…」

サクヤ「はい。どうかなされましたか?」

カラ松「最近松野家に帰れてなくて。母さんに一度直接近況報告もしたくてな。…その、休暇を貰いたいんだが。1週間くらい」

チョロ松「え?!僕てっきり2、3日だと思ってたけど…。やっぱりニートの血が騒いだりしてる?」

十四松「ニートの血?ぼくは騒いでるよ!いまはたらいてる毎日もたのしいけど、やっぱりリフレッシュ期間も必要だよね!」

アクラル「休暇にかこつけて二度と戻ってこない、なんてねーよなー?お前らのことだからあり得そうなんだよな…」

チョロ松「とんでもない!せっかくいただいた職場を無下にすることはありません!もしニートに戻ろうとしようもんなら僕が責任を持ってケツ毛燃やしてでも帰ってこさせますから!」

カラ松「1人だけまともぶってるがお前にもちゃんと松野家の血が流れているんだからな。同罪だぞチョロ松」

チョロ松「なんの罪だよ!!!…まぁ、この調子なら大丈夫だと思いますが」



サクヤとアクラルがいる場所まで到着した彼らは、早速休暇がほしい旨を彼女達に話します。アクラルが『ニートに戻るつもりじゃないか』とカマをかけてきますがその言葉をチョロ松が一蹴。カラ松のボケを華麗にツッコミ返しながらもちゃんと戻ってくる気は満々のようで。それならば心配ないとサクヤも安心していました。



サクヤ「今の彼らならばちゃんと戻ってきていただけると心配はしてませんよ。…実は次の予定地すら決まっていない状態なので、次回の逃走中開催までに期間が開いてしまう可能性の方が高いのです。ですので、休暇を取っていただいても構いませんよ。その間のお仕事の割り振りはこちらで行いますので」

カラ松「本当か?!ありがとうございます!良かったなぁチョロ松、十四松!」

十四松「うん!かーさんにお土産もってかないとねー!」

チョロ松「じゃあさ、帰る前にチューンストリートのお菓子屋さん寄って行こうよ。『超美味しい』って評判のお菓子があるんだって!ミミちゃんとニャミちゃんが言ってたよ!」

十四松「おー?!いいですなー!さっそく準備ましょーやにーさんたちー!」

カラ松「それじゃあ早速準備するので、オレ達はこれで。本当にありがとうございました!」



…実は次回の逃走中、スペシャルなものではあるのですが計画も何も立ててない状況でして。場所のアポイントメントも取れていない状況なのです。寧ろ今休暇を取る、と言ってくれてタイミングが良かったのかもしれませんね。
あっさりとOKをくれたことに保留組は喜び、早速松野家へ帰宅する準備をする為打ち上げ会場を後にするのでした。
―――そんな彼らを優しく見守りながら、双子の神はこんなことを言い合ったのだとか。



サクヤ「―――松野家のお母様にも連絡をしたほうがいいでしょうか?」

アクラル「いいだろうなー。急に帰ってこられても驚かれるだけだし。寧ろ『何してるのニート達!仕事は?!』って言いそうだな」

サクヤ「それ程心配されているというものなのですよ。…恵まれた家族です、本当にね」

アクラル「家庭環境あんまりよくねー…つーか、家族奪われたり敵陣として戦ったり、って奴等がごまんといるからな、ここ。―――ちょっとの幸せでもしっかり噛み締めねーと、だよな」




松野家の平和が、幸せが。いつまでも続きますように。影になっていく3つのいのちを見守りながら、彼女達はそんなことを思ったのでした。

打ち上げ ④ ( No.172 )
日時: 2020/07/26 22:00
名前: 灯焔 ◆rgdGrJbf0g (ID: gKP4noKB)

こうして、今回は何事も無く終わりを迎えた逃走中#CR04。
打ち上げパーティの数日後、早速休暇を取った保留松は自分達が生まれ育った故郷、赤塚の松野家へと帰ってくるのでした。





~赤塚 松野家前~



カラ松「いや…何か月ぶりだ?家に帰ると決めたはいいが、緊張するな…」

チョロ松「いや家に帰るだけだから。緊張する必要性ないから。まぁ、僕も緊張してるんだけど…」

十四松「きんちょー?蚊をぶっとばーす!やつ?」

チョロ松「そうそう今の季節は蚊がうっとうしいからね…って違う!!それは『キンチョール』!!とにかく!ここで突っ立ってても意味ないし、早いところ入ろう!」

カラ松「そ、そうだな!」



いざ松野家を前にしてみると、いわれのない緊張感が3人を襲います。別に家出をしたわけでも、悪いことをして帰ってくるわけでもないのに。やはり一度『家を出た』という事実が3人がこんな気分にさせているのでしょうか。
いつものやり取りを終えた後、彼らは意を決して自分達の家の戸に手をかけました。すると…?
カラ松が戸を開けるよりも早く、その戸がガラガラと音を立てて開きます。彼らを見たその『人物』は、嬉しそうに3人に駆け寄るのでした。



松代「あら3人共、お帰りなさい。アンタ達のことはちゃんと本部の総長さんからお話し聞いてるわよ。ここまで遠かったでしょう。早く入んなさい」

チョロ松「母さん!僕達が帰ってくるの知ってたの?!」

松代「ええ。総長さんが気を利かせて私に連絡を寄越してくれてね?急に帰って来たら『仕事が嫌で投げ出したんじゃないか』って勘違いしそうだから、って」

十四松「さっすがサクヤさん、わかってるー!」

カラ松「いや、『分かってちゃ』駄目だろ。…ただいま、母さん!」



3人の元気そうな姿を見た松代はにっこり。家から逃げ出す前に見た顔よりも随分と成長したのだと感じていたのだそうな。
いつまでも玄関で話をするのもなんだと松代は3人を迎え入れ、居間へと通しました。遠かったのだからとトランクも彼女が片付けようとすると、3人は『自分達がやるよ』とそれを断ったのでした。

荷物を部屋に置き、居間へ入ってみると、そこにはオフ中だったのか一松とトド松の姿が。松代から知らされていなかったのか、3人が部屋に入ってきたことに驚いています。



トド松「えっ?!なんで3人が帰って来てるワケ?!まさか仕事クビになった?!」

チョロ松「なんで初っ端からそういう発言が出るんだよ!休暇を取って帰ってきたの!」

一松「……そっか。おれらと一緒だね。オーナーが『最近親御さんに会えてないから1週間くらい休んでいいよ』って休み貰ったんだ」

十四松「わー!そっちのオーナーさんもホワイトだね!」

トド松「仕事内容はだんだんブラックになって来てるけどね…。3人じゃ回すの大変になってきたからさ、新しい従業員を募集しようかなってオーナーと話してるんだ~」

カラ松「へぇー。料理が美味いから繁盛してるとは思っていたが、そこまでだったとはな!」

一松「おれもまさかあんなに繁盛するとは思わなかったし…。今度猫カフェデーの時に来てよ。おれの友達紹介する」

十四松「うん!いくいく!かーさんも一緒にいこ!」

松代「あら?私が行っても問題ないのかしら?」

トド松「当たり前じゃん!今なら家族サービスでお安くしとくよ~?」

松代「息子たちの仕事ぶりもちゃんと見に行かなきゃだし、今度暇な時にお父さんと一緒に行ってみるわね。私の好きそうなメニューあるかしら?」

十四松「やったーー!今度かーさんと一緒にカフェだー!!」

チョロ松「ちょっと。僕達には僕達の仕事があるんだからね!そこちゃんと覚えといてよ十四松!」



5人が各々自分達が仕事で何をやっている、だのこんな活躍をしたよ、だのニートであったならば絶対にしないような話を自分にしてきてくれる。松代はその話を聞くだけで嬉しい気持ちで一杯でした。
…そんな楽しい話を続けていた折、ふとカラ松がこんなことを切り出します。



カラ松「母さん。聞きたいことがあったんだ」

松代「あら、何かしら?」

カラ松「おそ松は今どうしているんだ?オレ、母さんに近況報告もだけど。おそ松とも話が来たくて休暇を貰ったんだ」

一松「……あ。おれも気になってたんだ。あの後兄さんおかしいところはなかった?」

松代「いいえ?ぜーんぜん。いつも通りニート生活を謳歌しているわよ。―――でも。そうねぇ。最近おそ松と全然話さなくなったわ」

トド松「母さんがおそ松兄さんと話さない?どういうこと?」



カラ松が聞きたかったのはおそ松のこと。一松とトド松から『おそ松の様子がおかしい』と話を聞いてからずっと気にかかっていた様子。それは一松もだったようで、彼の話に乗っかる形で松代へ質問を切り出します。
当の松代は『いつも通りだ』と答えました。しかし…おそ松と最近滅法言葉を交わさなくなったのだとか。どういうことでしょう?



松代「こっちから話しても上の空みたいな感じで。何回か呼びかけるとやっとこっちに気付いてくれるからまだいいんだけどね?なんか…『焦ってる』感じがするの。病気だったら心配だわ、母さん」

トド松「母さんもそう思ってたんだ…。だよね、おそ松兄さんなんか焦ってるよね?」

松代「何があったんだか知らないけれど、一回あんた達、おそ松と話をしてみた方がいいんじゃないかしら?もしかしたらあんた達に会えてないだけで拗ねてるだけかもしれないし」

カラ松「分かった。…みんなで押しかけるとなんか企んでると思われるかもしれないし、オレが話をつけてくるよ。仮に暴力振るわれたとしてもオレなら耐えられるし。みんな、それでいいよな?」

チョロ松「お前…!そうやってまた自分を犠牲にして!そうやった結果過去にあんな事件が起きたんだからな!それは忘れんなよ!」

十四松「そーだよにーさん!おはなしするだけならにーさん一人じゃなくてもいーじゃん!」

一松「……なら、おれも一緒についていくよ。おそ松兄さんに聞きたいことあるし。…それでいいよね?」

トド松「僕は反対したいところだけど…ま、止めても一松兄さんなら勝手に行くだろうし。いいよ。そのかわり!兄さんが拗ねてるだけっぽいならすぐ僕達のことを呼ぶこと。いいね!折角その為にスマホもみんなの分選んだんだからね」

チョロ松「え?一松お前スマホ買ったの?」

一松「うん。……殆ど猫の動画や写真しかないけど。後で見る?」

十四松「見る!見る!見たい!」

カラ松「後でな。母さん、おそ松は2階にいるんだよな?なら話をつけてくるよ」

松代「ええ。呼んで来た方がいい?」

一松「いや、おれ達が行くから大丈夫。…何かあって母さんが怪我したらたまったもんじゃないし」

松代「あら!おそ松はそんな暴力をすぐ振る子じゃありません!…でも、なんかあったらすぐ母さんにも言うのよ。分かったわね」

カラ松「分かったよ母さん。―――それじゃ、行ってくる」



おそ松は2階にいるようです。カラ松が『自分が話をしてくる』と言って弟達を下で待たせようとしていました。仮におそ松が暴力を振るってきても自分ならば受け止められる自信があったからです。しかし、その言葉にチョロ松を始めとした弟達が猛反対。話し合いの結果、弟代表として一松がカラ松に着いていくことになりました。
松代も『何かあったら自分に連絡してくれ』と言い残し、2人は2階への階段を上がって行ったのでした。








~松野家 2階~



カラ松「おそ松?入るぞ」

一松「兄さん。話しに来た。…入るね」



2階へとたどり着いたカラ松と一松。おそ松がいるであろう、六つ子でニートをしていた頃によく使っていた居間の戸を開きます。
すると、そこには窓際で胡坐をかき、煙草を吸っているおそ松の姿がありました。自分ではない人間が発したその音に彼は振り向き、自分が見知った顔に驚きました。



おそ松「……えっ?!お前ら帰ってきたの?!なんだよー!それなら俺にも事前に連絡しとけよなー!」

カラ松「直接連絡をしなかったのは謝る。…だけど、サクヤさんが母さんに俺達が来ること連絡してたぞ。聞かなかったのか?」

一松「おれも…。オーナーが一報入れてくれるって言ってたから、てっきりおれ達が帰って来てるの知ってるかと思ってた」

おそ松「…………。なんでぇ。お前ら仕事辞めてニートに戻るつもりで帰ってきたんじゃなかったのかよ。ちぇ、期待して損したー」

カラ松「まだそんなこと言ってるのか…」



おそ松はカラ松と一松に会えたことが心の底から嬉しかったのか、笑顔で彼らに飛び付きます。そして開口一番『仕事辞めたのか』と。2人が首を振るとつまらなそうに口を紡ぎ、その場に胡坐をかいて座ってしまいました。
彼のそんな子供っぽいところに呆れつつも、2人は話をする為に彼と向かいになる場所へ各々座りました。
―――中々言葉を切り出そうとしません。…その沈黙を破ったのは、おそ松でした。



おそ松「…で?俺に何の用な訳?まさか仕事しろっていうんじゃないよね?」

カラ松「違う。母さんや弟達から聞いたぞ。最近お前の様子がおかしいってな。それで一回ちゃんと話をしようと休暇貰ってきただけだ」

一松「おれはちょくちょく家に帰っては来てるけど…。兄さん、最近母さんにすら返事するの遅いじゃん。…何かあったの?」

おそ松「…………。…どーもしねーよ?まぁ母さんに反応遅くなったのは申し訳なく思ってるけどさ。―――それがお前らに何の関係がある訳?」

カラ松「お前っ…!人がどれだけ心配してると『カラ松、抑えて抑えて』……。お前が何考えてんのか分からないのは昔からだから今更とやかく言わない。けどな。母さんを心配させんな。ただでさえオレ達は母さんに迷惑かけっぱなしなんだから」

おそ松「……なら、『仕事辞めてニートに戻ればいい』のに」

一松「……は?何言ってんのおそ松兄さん?」



ふと、おそ松の空気が重くなるのを2人は感じました。これが彼が今まで隠していた『感情』なのか。まるで、自分達が仕事が順調に進んでいるのが疎ましいような。恨んでいるような。そんな気さえ思い起こさせるのでした。
―――言葉を失った2人を黙って見つめたまま、ぼそぼそとおそ松は続けます。



おそ松「…お前ら、あの変な柱壊してカラ松を置いて帰ってから何かがおかしくなったよな?『いつもの六つ子』が崩れたんだよ。あの『神』とか何とか言ってる奴らのせいで。そのままカラ松は帰ってこなくなったし、チョロ松も十四松もいなくなっちまうし。
    そしたら何だ?『逃走中』に出場してくれ、だぁ?最初はハンターから逃げるだけで金が貰えるってことで弟達と参加した。けどさ!!最初に捕まって、牢獄で弟達が生き生き働いてるの見て…『六つ子が壊された』って。思っちまったんだよ!!」

カラ松「お、おそ松…?」

おそ松「お前達には分かんないよなぁ俺の気持ちなんて!!いつもの光景だった『六つ子の日常』が壊される俺の気持ちなんて!!いつの間にか一松とトド松も就職しちゃうしさ!俺もあいつらのことだからすぐ辞めて帰ってくるんだとばかり思ってた。けど、違った。お前ら今でも働いてんじゃん!!なんで?!おかしいじゃん!!『松野家はニートなのが常識』なんだよ?!どうして辞めないんだよ!!」

一松「…おそ松兄さんの常識を振りかぶられても困るよ。おれ達も…この世界に混ぜられてから変わらなくちゃならなかったんだよ。あの時…『異世界のゲートを壊した』あの時から。だから、兄さんも変わらなきゃ『うるせえ!!』」

おそ松「変わるって何?!六つ子を崩してでも変わんなきゃなんない訳?!俺はそんなの耐えられない。耐える訳にはいかねーんだよ!!『六つ子』を壊すこの世界なんて大っ嫌いだ!!お前らが俺の方を向いてくれないこの世界なんて嫌いだ!!」

カラ松「オレ達の方を向いていないのはどっちだおそ松!!もし仲違いをして就職したってんなら、オレ達は今松野家に集まってないだろう!!それに…お前とも話をしに来ていない!!『六つ子は壊れてなんかいない』!!いい加減現実を見ろおそ松!!」

おそ松「うるさい!!長男に指図すんな!!いらない…こんな世界、嫌いだ…」



おそ松の言葉は感情のこもったものになり、2人に『なんで仕事辞めないんだ』と言いがかりをつけてきます。『六つ子の箱庭を壊した』、そう彼の中では結論づいているのでしょう。いくらカラ松が反論しても聞き入れません。
…いつもの日常が崩された。弟達が離れて行ってしまう。彼はそんな感情に支配され、焦っていたんでしょうね。松代の言葉に耳を傾けられなくなったのも。反応が遅くなったのも。―――様子がおかしかったのも。
そして―――。彼は立ち上がり、大きな声でこう叫んでしまうのです。














『六つ子を壊すこんな世界……いらねーんだよっ!!!』





「……ソウ、か。そうだよなぁ?いらねぇよなぁこんな世界。『六つ子』をバラバラにするこんな世界……消えちまった方がいいよなァ?」



「――――――あッ……?!」



『おそ松!!!』

『おそ松兄さん!!!』



おそ松の、影―――。以前『同じ種族だ』と言っていたとある男が忠告していたのをカラ松は思い出しました。



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『道化…も含めてなのだが、我々魔族には『他人の影を利用してその姿を潜められる習性』があってな。―――気にしすぎだとは思うが、どうか頭の片隅に入れておいてもらえると助かる』

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正にその男が言った通り……。おそ松の『影』から。毒々しい紫色の髪をなびかせた男が―――。あの時散々コケにしてくれたあの男が―――。





『メフィスト』が、彼の赤く光るココロネを握っていたのです。





メフィスト「その言葉を待ってたぜェおそ松。お前のその『負の感情』、世界を破壊する同志と認める程に大きくなってたんだなァ…?」

おそ松「な……なん、だ、おま、え……?」

カラ松「おそ松!!そいつから離れろ!!」

メフィスト「1人だけ置いてかれるの寂しいよなぁ?みんな別々の方向向いちまってさ。お兄ちゃんのことなんかなーんも気にしてくれない。そんなん嫌だよなぁ?だからさぁ、壊しちゃおうぜ?

      『六つ子を壊すこんな醜い世界、一緒に壊しちまおうぜ…♪』」



醜く笑う男が握ったココロネからどんどん色が失われていく―――。それは、『心』を奪う行為そのものでした。
カラ松がなんとかメフィストから兄を引き剥がそうと咄嗟に走り出し腕にしがみつきますが―――『予想外』の妨害を受けました。
……おそ松本人が、カラ松の腕を突き放したのです。彼の行動に対応できずカラ松は畳の上に頭からぶつかり倒れてしまいます。
そのまま―――彼の赤いココロネは『色を失い』、消えてしまいました。



一松「おそ松、兄さん…?」

おそ松「…………」





彼の身体にも変化が起きていました。


人間には生えていない小さな角。黒く伸びる尻尾。

人間とは思えないような青白い肌。

こちらを見下すように冷たく光る赤い目。


―――まるで『悪魔』だ。一松はそんな感触を目の前の兄に覚えたのでした。





一松「おい、おまえ何したんだよ…!」

メフィスト「あぁ?お前らがこいつといつまでたっても向き合わねーからこっちから迎えに来てやっただけじゃねェか。…ククク、恨むなら俺じゃなくて自分達の不甲斐なさを恨むんだなァ!!それに、こいつはもうお前達の『兄』じゃねぇ。俺達と目的を同じくする『同胞』だよ」

カラ松「……そうやって……何人も何人も、お前は人間を犠牲にしてきたのかっ…!」

メフィスト「―――『魔族』ってのはそういう生き物なんだよ。お前が信頼し尊敬しているあの『JOKER』だって、腹の内は何考えるかわっかんねぇぞぉ?クハハハハハ!!!」

カラ松「彼は貴様のように悪意を持ってなど……っうう…!」

一松「兄さん!怪我してるんだから黙ってなよ…!」

メフィスト「まぁいいや。俺の目的は果たしたんだし。『本来の作戦』実行の為にこいつを連れ帰んないとなんないんでなぁ?じゃーな。『元』ニート共」

一松「まって、まっておそ松兄さん!!」



そのまま悪魔になったおそ松の手を引き、メフィストはその場から消えてしまいました。
―――一松は兄を助ける為に動くことが出来ませんでした。カラ松が怪我をしたから。それもそうですが…。





自分達を見下すおそ松の目が、嫌に嘲笑っているように見えたからなのでした。

打ち上げ ⑤ ( No.173 )
日時: 2020/07/26 22:09
名前: 灯焔 ◆rgdGrJbf0g (ID: gKP4noKB)

残ったのは、沈黙。我に返った一松は慌ててカラ松の身体をゆすりますが、反応がありません。
まさかさっきの衝撃で死んでしまったのではないか…?!そう思い首に指をあててみるもちゃんと脈はあるようで。気絶してしまっただけだと分かり一旦は安心するのでした。
…しかし、黙ってはいられません。弟達と母に今起きたことを伝えようと襖を開けようとすると、それよりも早く戸が開きました。



チョロ松「一松!大きな音がしたから……ってカラ松?!カラ松!!」

カラ松「…………」

トド松「一松兄さん、何があったのか説明してもらえる?」

一松「う、うん。でも…カラ松にいさんが…!」

十四松「はなしをする前ににーさんの傷を治そう!ぼく、かーさんに伝えてくる!」

チョロ松「カラ松は僕が背負って下まで行くよ。トド松は一松連れて先に下まで降りてて」

トド松「了解!ほら、一松兄さん行くよ!」



やってきたのはチョロ松達でした。大きな音が聞こえてきた為、何かあったのだろうと急いで2階までやってきたのです。
横たわるカラ松と平常心ではない一松を見つけ、素早く今後の対策を練る三つ子。まずはカラ松の治療と一松を落ち着かせるため、一旦松代も交えての話し合いをすることになりました。

すぐに1階に降りたチョロ松達は松代にカラ松の治療を任せ、おそ松に何があったのかを一松に優しく問いました。一松は深呼吸をした後、弟達と松代に事の顛末を話しました。―――語り終えた時の松野家の表情は…各々酷いものでした。



チョロ松「なんだよ…メフィストの愚行もだけど、おそ松兄さんがそんなこと考えてただなんて…!それじゃおそ松兄さんの『様子がおかしかった』のって…」

十四松「にーさんが、ぼく達の仕事をやめさせようって思ってたから、なのかな?」

トド松「『松野家はニートなのが常識』って言ってたのも本心からだったんだね…。だからといって仕事は辞めないけど。折角前を向けたのに、もう一度ニートになんか戻りたくないよ!」

松代「まさか息子達からそんな言葉が出るとはね…。でも、おそ松寂しかったんじゃないかしら。弟達がみんな就職しちゃって、自分だけがそこに取り残されたみたいで。母さんも含めて、誰でもいいからその『寂しさ』に気付いてより添えられてあげてたら…。こんなことにはならなかったのかもしれないわね」

一松「…でも、誰かがそんなことをしたら絶対におそ松兄さん仕事辞めろって言ってくるだろうし。拒否したら『俺の弟を奪うな』って仕事場に乗り込んできそうだし…」

松代「あんた達が前を向いて歩いているから、母さんその邪魔はしたくなかった。それに、ちゃんと就職してくれてるのにおそ松のことなんて頼めないでしょう?…とにかく、その『道化師』とやらに連れてかれちゃったのなら…。ちゃんと話し合うべき人達がいるんじゃない?」

トド松「母さん…。―――チョロ松兄さん。スマホ鳴ってるよ?」

チョロ松「あっ 本当だ。ちょっと出てくる」



松代がおそ松の気持ちに気付いてあげられたら…と悔やむも、それは残された五つ子も同じ。しかし、彼のことを悔やんでばかりもいられません。道化師が関わっている以上、運営本部にも話を通さなければならない問題になっています。
そんな折、チョロ松のスマホが鳴り響きます。誰かから電話でしょうか。彼はその場に断りを入れ、廊下に一旦出てスマホの通話ボタンを押しました。



チョロ松「もしもし、チョロ松です」

MZD『ちはす。良かった、繋がって…。そっち今どうなってる?家族水入らず?』

チョロ松「神様!えーっと…実はそうもいかなくなってしまって…。実は、おそ松兄さんがメフィストに連れていかれてしまったんです。それも…『悪魔』にされちゃったみたいで。一松の話を聞いただけで、僕は実際には見てないんですけど」

MZD『……マジか、もうそこまで行ってんの?―――こっちでもちょっとヤバい事態になってきたんだ。申し訳ないけど、休暇延期にしてすぐ戻ってきてもらえる?サクヤにも了承は得てるからさ』

チョロ松「それは構いませんけど…。おそ松兄さんのことも話さなきゃですし。一松とトド松も連れて行ってもいいですか?」

MZD『勿論。お前さん達の兄貴がとんでもないことに巻き込まれちまったってんなら、関係あるヤツを蚊帳の外にしちゃ駄目だからな。すぐそっちにヘリ飛ばす。―――そんじゃ、待ってるから』



電話の相手はMZDでした。おそ松のことを軽く話すと声色が少し低くなったようにも聞こえます。そのことも踏まえて本部で少しまずいことになったと報告を受け、すぐに戻ってきてほしいとの通達が。直接話もしたかったところだったので、彼は一松とトド松も一緒に連れていくと伝えてMZDからの電話を切りました。

すぐに襖を開けて弟達の元へ戻ると、既にカラ松は起きていました。凄まじい回復力だったようで、松代も驚いています。
MZDから帰還命令が来たことを伝えるとすぐに『もどろう!』と催促する十四松。当事者同士ということで一松とトド松も連れていく、と松代に伝え、彼らはすぐに家を出る準備を始めました。



松代「あらあら、お仕事場が大変なのねえ」

カラ松「そうらしい。母さん、進捗何も話せなくてすまない」

松代「いいえ、あんた達が頑張ってる証拠じゃない。母さんへの土産話は、おそ松がちゃんと帰って来てからで構わないわ。…ちゃんとおそ松のこと、話してくるのよ」

トド松「うん。母さんも気を付けてね。松野家が狙われた以上、何されるか分かんないんだから」

十四松「あぶないと思ったらすぐぼく達に電話してね!ぼく、すぐとんでくから!」

チョロ松「本部と松野家までどんだけ距離あると思ってんだよ?!…十四松なら走れるかなぁ」

トド松「ツッコミ放棄してどうすんだよそれしか取り得ない癖に!!…とにかく、僕達もついていけばいいんでしょ?」

チョロ松「うん。直接見たっていうカラ松と一松の話が一番信用できるからね。さぁ、ヘリがくるまでに外に出よう!」

松代「あんた達!気を付けるのよ!!」

一松「母さんもね…」

カラ松「また絶対くるから!…今度はおそ松も一緒に!」



トランクケースを片手に、松野家の五つ子は玄関を出ます。松代が心配そうに見つめる中、戸を開くとそこには既にヘリが到着していました。中に何人か乗っていたようで、すぐさま彼らの荷物を中に預け入れます。



ノコノコ「クッパ軍団印のヘリコプター到着ですー!五つ子さん、すぐに乗ってください!本部まで飛ばしますからね!」

カロン「ノコノコは…一流の…パイロットだ…。乗り物関連の運転なら…安心して任せるといい…」

トド松「亀と骨が喋ってる?!」

十四松「なんか次からぼく達のお手伝いしてくれるんだって!早く乗ろうよ!」



5人が素早くヘリコプターに乗り込むと、ノコノコが『揺れます!捕まってください!』とだけ告げ機体は空へと舞いました。そのまま猛スピードで本部へと向かって飛んでいくそれを見送りながら、松代はこんなことを言ったそうな。





松代「…ちゃんとおそ松の心の闇を祓うのよ!『元』ニート達!」















~運営本部 メインサーバ~



カラ松「戻りました!それで『まずいことになった』とは…?」

サクヤ「お帰りなさいませ。軽くはえむぜさんから伺いましたが、おそ松さんが悪魔にされてしまったようですね。―――魔族が同胞を増やす為人間の『負の心』を利用し魔に堕とすという話は聞いていましたが…まさか実際にやる輩が出てしまうとは」

MZD「一部の神も同じような事やるからねー。それはともかく。お前さん達の兄貴が大変なことになってる間、ポップン支部が道化師に襲われてな。エクラが連れ去られた」

チョロ松「エクラ…さん?誰なんですか?」

ヴィル「あぁ、そうか。君達には言っていなかったか。エクラは我々と同じ世界の管理者『pop'n Masters』の一員で、MZDとはまた別の世界の神なのだ」

ミミ「『エクラル』って世界の神様で、何もないところからわたし達が世界創りのお手伝いをしたんだよね!」

ニャミ「そーそー。それが大変でさー。『音のかけら』ってやつを他のみんなからちょっとずつ借りなくちゃいけなくて。エクラルに渡れるのあたし達だけだったからさ、集める為に世界中奔走したよねー」

マルス「大変だったんだね…。でも、どうして今更道化師はポップン支部を襲撃してその…エクラさんをさらったんだろう?」



五つ子がメインサーバへと入ると、サクヤ達が既に対策会議を開いているところでした。彼女達の話によると、どうやらおそ松がメフィストに悪魔にされている間に別の襲撃も起こっていたようで。
ポップン支部が襲撃され、道化師にエクラが連れ去られてしまったというのです。何が目的かは分かりませんが、道化師…魔族は人間だけではなく『天使』や『神』をも魔に堕とす能力も持っています。恐らくそれ絡みなのでしょう。
何故エクラがさらわれたんだろう、とマルスが発すると…ふと、エフラムがこんなことを続けざまに言いました。



エフラム「そういえば…前回俺達が助かった後の打ち上げ。その時にテント姿の男…確か『テント・カント』だったか。そいつを連れ帰る為に来た女性が『エクラ』と呼ばれていたな。それで…その『エクラ』という女性が…俺達が知っている奴に雰囲気が瓜二つだったんだ」

エイリーク「思い出しました!私達が一時期お世話になっていた国…『アスク』というのですが、その時に私達を呼び出した召喚士の名前が『エクラ』だったのです。もしかしたら…私達が知っている『エクラ』と、貴方達が仰っている神様の『エクラ』…。関係があるのではないですか?」

ソティス「なんじゃと?確かに彼奴とわし等にはつながりがある。しかし…どうしてそれだけで音の世界との繋がりを懸念せねばならぬのじゃ。わしがこやつらを知ったのはこの世界に混ぜられてからだぞ!」

MZD「…成程。そういうことね。―――これでなんでアイツが自分の世界について話したがらないのか合点が行った」

ヴィル「しかし、それは―――。話してしまっていいのか?」

MZD「うん。いや、寧ろこいつらには今話すべきだよ。いいよね、サクヤ?」

サクヤ「構いません。―――もしかしたら、話したことによって『彼女達』をおびき寄せられるかもしれません」



そういえば前回ルネスの双子がエクラについて懐かしいような感じがする、とマルスに言っていましたね。そこから推測して、連れ去られたポップンのエクラと、自分達が知っているFEのエクラには関係があるのではないかと話すエイリーク。
それに続くようにMZDも何かに気付いたようでサクヤに発言を求めます。許可を貰った彼は少し間を置き、マルス達に『エクラの世界の正体』の推論を話し始めました。



MZD「恐らく…あのエクラの正体は…。お前さん達が言っている『召喚士』本人だ。で…『エクラル』って世界は…。何かが原因で滅びた『アスク王国』なんだとオレは思う」

マルス「なんだって?!でも、ぼく達が知っているエクラは神様じゃなくて普通の人間だったよ?ぼく達を呼び出す以外に戦う能力は持ってなかったみたいだし…。そもそも女性であるかも定かではなかったような気がするなぁ」

ヴィル「問題はそこなのだ。アスク王国がもし無事であれば、エクラが1人でいる意味がない。そして、マルス殿の話が本当であれば…彼女が『神』と名乗るはずがない。だから私達は1つ仮説を立てたのだ。『アスク王国は何者かに滅ぼされ、エクラが神として背負っていくしかなかった』とな」

ベレス「何者かに滅ぼされた可能性があるのは分かった。…けど、自分達はアスク王国が滅びたなんて記憶なんかない。―――ん?もしかして…『異界』?」

トド松「異界って何?そもそも僕達の世界ってそれぞれ別の次元にあったって話だよね?」

アシッド「そうだ。君達が元々いた世界は『別次元の世界』と呼ばれている。それで…その『別次元の世界』には数多の可能性があってね。今いる君達とは別の性格や技能、役割を持った同一人物がいる『異界』が星の数ほど存在しているんだよ。だから、君達が来た世界と、連れ去られたエクラが住んでいた世界は同じようで違うものなんだ」

アイク「ややこしいな…。それで、道化師はどういう目的があって、どこにエクラを連れ去ったんだ。話の根底はそこにあるだろう」

サクヤ「はい。連れ去られた場所に関しては現在テントさん達ポップン支部の方々が総力を挙げて『サクヤさーん!神様ー!分かりました!分かりましたよエクラさんの居場所!!』」



FE覚醒からの作品をプレイしている方々や、ドラガリアロストや白猫プロジェクトで4周年のイベントをプレイした方々ならば分かると思いますが。世界には様々な『可能性の世界』、すなわちパラレルワールドが存在しています。
もしかしたらエクラはFE世界の召喚士と同一の存在かもしれない、と仮説を立てたMZDとヴィルヘルムでしたが、どうやらその推論に確証が持てずにいたようです。

本題がずれているとアイクが指摘。連れ去られた場所についてはテント達が調べているとサクヤが告げた瞬間、テントから通信が来ました。随分と慌てた様子でしたが詳しい場所が判明でもしたのでしょうか。



テント『いきなりすみません!判明しましたよエクラさんが連れ去られた場所!それと、恐らくそこにいる五つ子さん達のお兄さんも一緒にいると思われます!』

一松「おそ松兄さんが?」

フローラ『あらあら!よくお顔が似ていると噂に聞いていましたが本当なのね!
     えむぜちゃん?一回しか言いませんからよく聞くんですのよ?わたくし、繰り返し物事を聞かされるのが大っ嫌いなんですの』

MZD「それは分かったから早く言ってくれ。一刻を争ってるんだから」

フローラ『まぁ。せっかちですわねぇ。エクラちゃんが連れ去られた場所は―――『学都プレロマ』。『エデン』という世界にある、かつて隆盛を誇った古代文明の研究者である学士たちが集っていたという地ですわ。…まぁ、最も。現在は建物自体が滅び、魔物の住処になっているようですが…』

テント『それに、どんどん生命反応がこの学都に集まっています。恐らく―――メフィストの一味が同志を集めて何か大きなことを仕出かそうとしているのではないでしょうか』

コハク「…『学都プレロマ』?!本当なのかよ?!」

カラ松「知っているのか?」

コハク「知ってるも何も、俺達の意志を受け継いだ『未来の人間がたどり着いた地』って文献に書いてあった。―――そこで俺達の超世話になった奴が『竜』として目覚めちまってンだよ」

マルス「その『超世話になった奴』って…どんな人物なんだい?」



『学都プレロマ』―――って!セブンスドラゴンに出てきた学術都市ではありませんか!どうやら滅びた状態で混ぜられたっぽいので現在は魔物の巣窟になっているようですが…。
コハクの言葉に引っ掛かりを覚え、その人物の詳細を聞こうとするマルス。コハクが言い渋っている中、それを引き継いだかの如くキョウカが口を開きました。



キョウカ「名を『エメル』という。キリノが怪我をし、総長を務められていなかった間―――我々を指揮してくださっていたお方なのだ。しかし…遠い未来『エデン』で彼女は―――





     竜への憎悪で精神を暴走させ、学都プレロマで果てに『帝竜』になったらしいんだ―――」



キョウカがそれを口にした途端、サクヤの脳裏にとある推論が浮かびます。そして…淡々とそれを告げたのです。



サクヤ「―――とんでもないことに気付いてしまいました」

アシッド「とんでもないこと?話してみるんだ」

サクヤ「おそ松さんを悪魔にしたのはメフィストさんの独断での行動…。そう思って間違いなさそうですが。エクラさんの方は厄介かもしれません。





    彼奴等、エクラさんを『邪神、もしくは帝竜にするつもりではないでしょうか』」





MZD「…本当だったらまずいじゃんそれ?!止めないとポップン支部どころか世界が滅んじゃうよ?!仮にも相手は『神』なんだから!」

サクヤ「―――そこで、です。『逃走中』を利用して、大々的に道化師をおびき寄せましょう。我々が介入するとなると、彼らも無視できなくなります。そこを―――叩きます。メフィストを…彼らの背後にいる『神』もろとも、引きずり出しましょう」



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なんかとんでもないことになってきましたよ?!ジルクファイドやリサ、ヴァリスが仲間になったのはいいものの。おそ松は悪魔になるしエクラは連れ去られるし道化師が大々的に動いてくるし!それにエピタフって。原作知ってればヤバい存在なのは明白。
それを利用してサクヤは道化師の背後にいる『神』もろとも引きずり出す決断をしました。…なんか一つの大きなターニングポイントになりそうな次回。どうなるのやら。
それでは皆様、次回の逃走中でお会いいたしましょう!Adieu!


逃走中#CR04 ~虹の夢と王国の絆~ THE END.

NEXT⇒ 逃走中#CR05 ~はじまりの炎と紋章物語~





―――Adieu、する前に何か忘れてないかって?忘れてませんよ。
それでは少し時間を巻き戻しまして、『とある世界』と邂逅したお話を振り返ってみましょう。

ABT.ex 『ウルトラワールドとの邂逅』-1 ( No.174 )
日時: 2020/07/27 22:04
名前: 灯焔 ◆rgdGrJbf0g (ID: gKP4noKB)

さーて。大変お待たせして申し訳ございません。始まりますよABTコラボ回!
ついでに今の季節夏なんでね!ね!運営本部の皆様にも夏を楽しんでもらいましょう!

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~運営本部 メインサーバ~



MZD「あっつー…。いつの間に季節は夏だよ…。逃走中の1回目始めたの確か冬だよね?あー。半年経ったのかー」

サクヤ「半年経ちましたねぇ。時が流れるのは早いと言うものです。この流れに沿ってとっととグレンさん2人目とヴィルさん新規ハリアイ絵を出してほしいものです。あ、ヴィルさんに関しては新規衣裳でも新アニメでもいいですよ。使い倒しますから」

ヴィル「リアルの情勢が落ち着いてからにしろ。主に世に蔓延る『あれ』が落ち着いてからだ。…そういえば、次の逃走中の案はどうするのだ?まだ大々的にしか決めていないのだろう」

サクヤ「案出し、思い切って高校生達に任せてみることにしました。今回の我々の仕事は出していただいた案の難易度やバランスの調整ですよ」

マルス「人、最初にやった時よりも大分増えたからね…。それくらい沢山の世界が1つになっちゃった、って意味でもあるんだけれど」

ソティス「何を辛気臭い顔をしておるのじゃ。せっかくおぬしの『近衛騎士』とやらと再会できたのじゃろう?何故喜ばぬ!」

ベレス「ソティス、マルスはそういう心配をしているんじゃないと思うよ?」



時は4回目の逃走中が始まる前に遡ります。3回目の逃走中を無事終え、運営本部の面子は次の大会に向け準備を進めていました。
季節は既に夏。本部も衣替えの季節です。半袖のジャケットにシンプルなタンクトップ、涼し気なキャップと薄着のMZDは暑いのか、机に項垂れていました。隣では上着を脱いで白ブラウスと黒いパンツスーツを身に纏ったヴィルヘルムが書類の整理を行っています。



ベレス「マルスも夏服に着替えればいいのに…って、王子様に夏服とかあるの?」

マルス「あるにはあるんだけど、持ってくる時間がなくて部屋にないんだよ。鎧を着けていても暑苦しいだけだし、後でマスターハンドに頼んでぼくの部屋にある夏服を送ってもらう予定だよ」

ソティス「おぬしらも大変じゃのう。ほっほう、わしは暑さも寒さも感じない身体じゃからのう!おぬしらの悩みとは無縁なのじゃ!」

MZD「なんで同じ神なのにこうも違うの?神パワーもこれじゃ暑くて使いたくないし…」

ベレス「神様は元々実体化出来てたけど、ソティスはそうじゃなかったからその違いかな?…自分もレアに買ってもらった『水着』という服が部屋に仕舞いっぱなしだったな」

サクヤ「大掛かりなイベントもなさそうですし、まだまだ案が固まるまでには時間もかかりそうですし。どこかプールの様な施設が開いていたら行っても良いとは思うのですがねぇ。
    …あ、そういえば」



マルスも暑いのか、いつも着けている鎧とマントを外しています。本当は上着も脱ぎたかったらしいですが、どこからともなく現れたアリティア騎士団に止められてしまい…。夏服はスマブラ支部の自分の部屋にあるみたいです。右手も気を利かせて持ってきてくれればいいのに。
そんなことを思いつつ仕事を進めようと各々解散しようとしたその時、サクヤがふとこんなことを口にしました。



サクヤ「えむぜさん。ヴィルさん。そういえば以前『ウルトラワールド』という世界に依頼をしたことがありましたよね?ごくそつくんが逃げ出した時のあれです」

MZD「あー。勝手にゲート使って異世界渡り歩いていたあれなー。あっちの世界のヤツ等の協力がなけりゃ確保できなかったし依頼してくれて助かったよ。アイツ、色んな世界の技術自分のものにして『世界を支配するロボットを作るんだよ~!』なーんてほざいてたし」

サクヤ「お邪魔した感想です。私や兄貴はこの世界の守護を司っている以上この世界から出ることがかないません。ですので、お話を聞くことでしか異世界の情報を得ることが出来ないのです。どうだったんです?」

ヴィル「どう、と言われてもな。平和で、穏やかな世界という感想しか浮かんでこない。最近は『ダークアイ帝国』とやらと攻防を繰り返しているようだが…。それに、あの世界には巨大な『図書館』があると噂を耳にした。…今度観光目的で忍び込んだ際に訪れてみようか」

MZD「変な知識持って帰ってこないで貰えます?また新しい魔法の実験につき合わされるのは目に見えてるんだから!別にいいけどさ」

ベレス「(コンスタンツェみたいなことやってるんだなぁ…)」

マルス「ぼくも行ってみたいなぁ。異世界にお邪魔しようとするとアリティアのみんなが心配してくれてさ。なかなかお忍びが出来ない状況なんだよね…」

サクヤ「楽しかったのなら何よりです。我々の世界とは別の『超高校級の生徒』がいるとの噂もございますし、一度私も訪れてみたいものですね」



何を話すかと思えば、以前依頼したごくそつくん捕獲の件でしたか。まぁあの時は色々とご迷惑をおかけしてしまいましたからねぇ。主に軍服の彼が。
どうやら世界征服の為には更なる『知』が必要だと考えているようで、異世界へ繋がるゲートを無断使用して様々な異世界へ渡り歩いていたんだとか。現在はテントさんとウーノさんにしっぽり絞られて、ちゃんと自分のするべき仕事をしている…と、思いたいんですが。

そうそう。説明しておかねばなりませんね。
サクヤを始めとするオリジナルキャラ。異世界への転送が出来ないのです。当たり前ですよね。ですので、異世界の情報は派遣に行った人物から直接話を聞くしかないようで。
彼女、ちょっとだけ異世界に行ってみたいという夢を抱いているみたいですね。まぁ、叶わぬ夢なのですが。
そんなことを話していると、メインサーバに入ってくる3つの影。『委員トリオ』とまとめて呼ばれている3人が部屋に入ってきました。



石丸「話し込んでいる最中申し訳ない!次回の逃走中の具体的な案がまとまったので、一度サクヤさんに見て貰おうと思ってな!代表で僕達が来たのだ!」

田中「ククク。学生だけでの魔術の紡ぎ合いは中々に豪勢なものだったぞ。この俺様が驚くような魔術が完成したのだ!」

罪木「えっとぉ、確か予算も大幅に増えるはずなんですよね?そ、それなら…大々的にこんな施設を借りたいなぁって思って…大丈夫ですかねぇ?」

サクヤ「早いですねぇ。やはり若人の知恵と言うものは湧いて出る泉の様なものなのでしょうか」

MZD「いやいやお前さん年寄っぽいこと言ってるけどオレより年下だからね?」

マルス「見た目で勘違いしそうだけど、この中だと神様が一番年上なんだよね…。ぼくもルキナにたまに『ご先祖様』って言われるけど、言っちゃ駄目だよね」

ヴィル「槍をその身に受けたいのであれば口にすればいい」

マルス「言っちゃ駄目なんだね、分かったよ」



どうやら次回逃走中の案が固まったようで、一度サクヤに見て貰おうと訪れていました。若いっていいですねぇ。
さっそく彼らが持ってきた紙の束を見ようと手を伸ばすと―――急にメインサーバの入口が光り出しましたよ?!



MZD「えっ?この光って―――『転移魔法』の類じゃね?」

ヴィル「何者かがここに転移、だと…?誰かの襲撃にでもあったのだろうか」

マルス「決めつけるのは早いよ。様子を見よう」



しばらくその光を見守っていると、徐々にその光は『4人の人影』を映し出し―――。そのまま、淡く消えてしまいました。
光の中から出てきた人物の正体は―――。
































『えっ?あれ?!ここどこ?!確かに僕『コネクトワールドに連れて行って!』ってかけらにお願いしたよ?!』

『お願いのシカタを間違ったのではないデスカ?訳の分からないトコロに飛ばされてしまったみたいデスシ…』

『うーん…。特にそんな感じじゃなさそうだけどぉ……。あ、あれ?』

『いや、逆に目的地についてんじゃねーかこれ?』

サクヤ「あらまぁ。お久しぶりにございます、と初めましてですかね」

MZD「―――あっ。もしかして依頼の報酬であげた『かけら』使った?」

マルス「かけら?」

ヴィル「あの異世界のゲートの効力を利用した『かけら』だ。生命を『自分の住んでいない世界』へ一時的に飛ばす魔法のプロトタイプとして開発したものなのだが…。成程な。無事にここにたどり着いたということは、実験は成功したということか」

マルス「他の世界の人達を実験に巻き込んじゃ駄目ですよ?!」



目の前に現れた4人の人影の正体。1人は3回目の時に逃走者として参戦した『おろさん』。作者勢の1人でした。
そして、恐らく彼の紡ぐ世界に住んでいるのであろう3人。1人はペラペラの黒い平面をしており、1人はウサギのように小柄な少女。もう1体は黄色い体毛をした、ねずみのようなポケモンです。



おろさん「あ、あれ…?見知った人達が目の前にいる。ということは…無事に到着出来たってこと?」

サクヤ「長旅お疲れ様です。そして、我がメンバーの実験に巻き込んでしまい申し訳ございません。まさか実験段階のアイテムだとは私も思わなくて…」

おろさん「いいんですいいんです!『終わり良ければ総て良し』ってことわざもありますし!お久しぶりです、サクヤさん!」

サクヤ「ええ、お久しぶりですおろさん様。先の依頼の件はえむぜさんとヴィルさんがお世話になりました」

おろさん「こちらこそだよ!楽しんでもらえたのなら良かった。それで…今回みんなでこっちの世界を楽しもう!って話になって…。せっかくだから依頼の報酬としてもらったかけらを使うことにしたんだ」

MZD「ふーん…。ってことは、こっちの世界には観光目的で来たワケか。―――タイミングいーね、お前さん達」

???「どういうことデスカ?」

ヴィル「丁度私達も仕事内間に何をしようかと今話していたところなのだ。…この案を見る限り、実装には少しばかり時間がかかりそうだからな」

石丸「やはりそうなのか。裁判場のアポイントメントもこれからとらねばなるまいし…」

サクヤ「では、せっかくですからこれからどこか楽しい場所に出掛けて遊びましょうか。今日はもう仕事はおしまいです」



ぱん、と1回サクヤは手を叩き、珍しく楽しそうな表情でみんなに自己紹介を促します。
そういえば長いこと見守ってきましたけれど、まともに自己紹介をするのってこれが初めてなんですよね。



サクヤ「皆様も知っての通り、私はこの『コネクトワールド』を守護する神が1人、『青龍』の神サクヤと申します。…おろさん様には『灯焔』なる存在と同一視されているかと思いますが、私とあの方は一応別人ですので…。よろしくお願いいたします。

    はい、皆さんも自己紹介してくださいね!ちゃっちゃと!」

MZD「自己紹介か!んじゃちゃんと名乗らないとな!
   ちはす!オレはMZD。ポップンワールドの神!んで、このコネクトワールドでは『音の神』って呼ばれてるぜ。世界を管理する集団『pop'n Masters』の総長も務めてまーす!よろしく頼むぜ!」

ヴィル「ヴィルヘルムだ。名前が長いなら『ヴィル』で構わない。『pop'n Masters』の総長補佐、兼『自称!』執事を務めている。よろしく頼む。……MZD、自己紹介の度に自称と挟むのはやめてくれないか」

MZD「え?だって事実じゃん」

マルス「えーと。次、ぼくいいかな?ぼくはマルス。アリティア王国の王子だ。でも、ここでは身分なんて関係ない。気軽に話してくれると嬉しいな。よろしくね」

ベレス「ベレスよ。元は『ガルク=マク』大修道院で教師を務めていたの。…今でもたまに修道院に戻って生徒達に授業をしている。よろしく」

ソティス「ソティスじゃ!『はじまりのもの』と呼ばれておる。気軽に話すがよいぞ!ほっほっほ!」

石丸「『超高校級の風紀委員』、石丸清多夏だ!座右の銘は質実剛健!よろしく頼むぞ!」

田中「俺様の名を心に刻みつけるがいい。俺様は『制圧せし氷の覇王』田中眼蛇夢…。いずれこの世界を支配し、『田中キングダム』として創世する男だ」

罪木「えっとぉ…。急に自己紹介なんて振られても久々過ぎてなんて言ったらいいか…。あ、あのぉ…。罪木、蜜柑ですぅ。よろしくお願いしますぅ…」



おろさん「ご丁寧にありがとう!こっちも自己紹介するね。僕はおろさん。おろさん『さん』ってなると思うけど…気にしないで呼んでくれると嬉しいな」

ゲムヲ(お)「ワタシはMr.ゲーム&ウォッチデス。ゲムヲと読んだ方が分かりやすいカト。ヨロシクオネガイシマス」

不二咲(お)「僕は不二咲千尋だよぉ。『超高校級のプログラマー』って呼ばれてます。よろしくねぇ」

ピカチュウ(お)「俺はピカチュウだ。ニックネームはないからな。普通に喋るけど…気にしないで接してくれ。よろしく頼む」

MZD「あ、それに関しては大丈夫。うちの世界ガワだけ人、中身は化け物の方が比率多いんだよ。だから、それくらいで驚くヤツの方が珍しいから。よろしくな!」



お互いの自己紹介を終え、サクヤとおろさんは親交の握手を交わしました。
…さーて、どこへ出かけます?普段出来ないことしたいですよねぇ。天の声としてはベレスの水着姿を見たいと存じております。



ベレス「別に見世物じゃないよ?」

マルス「そうだね…。どうして気にするんだろうね?」

チョロ松「(その豊満な胸が『見世物じゃない』んだったら何なんだよ…!)」



入るタイミングを見失ったツッコミ松は置いといて、早速どこに出掛けるか決めちゃいましょう!

ABT.ex 『ウルトラワールドとの邂逅』-2 ( No.175 )
日時: 2020/07/28 22:00
名前: 灯焔 ◆rgdGrJbf0g (ID: gKP4noKB)

サクヤ「どこかに出掛けるとは決まりましたが、さて。どこに出掛けましょうか」

MZD「遊びに行くっつったって、この時期じゃプールも混んでるだろうしなぁ…。あんまり人前に見せなくてもいいような遊び場ってなかったっけ?」

おろさん「見つかるとまずいことがあるの?」

ベレス「ある…わけではないと思うけど、立場的に遊んでいると…イメージが下がってしまうと思っている人達が多いからじゃないかな?」

おろさん「周りの人からのイメージって大事だよね、うんうん。分かる」

不二咲(お)「この時期だもんねぇ。ショッピングモールに大勢で出掛けるのもいいと思うけど、はぐれちゃったりしたら意味がないからねぇ」



どこかに遊びに行く、と決めたのはいいものの。肝心の『遊ぶ場所』が中々決まらず困っていました。今は夏のど真ん中。プール施設に行くとしても恐らく大量の人だかり。不二咲さんが言った通りショッピングモールに行くとしても大量の人だかり。他の世界の方々を迎え入れている以上、はぐれるなど言語道断です。
―――どうしたものかと悩んでいると、喧しいほどに暑苦しい声がサーバに聞こえてきました。



『開けろサクヤーーー!!!ビーチの貸し切り出来た!!今から2人でキャッキャウフフしに行こうぜー!!!』

サクヤ「開けなくて大丈夫です。空耳として聞き流してください」

アクラル「待てよおい!!今まさにどこに遊びに行くか決めてたところなんだろ?!無視されるとお兄ちゃん泣いちゃうぜ!!」

サクヤ「普通に開けてほしかったら普通に報告してください。兄貴とキャッキャウフフだなんて死んでも嫌です」

MZD「相変わらず妹溺愛っぷりは変わんねーなー。それで?『ビーチの貸し切り』ってどういうこと?アクラル」

おろさん「え、えっと…。この人は確かサクヤさんの双子のお兄さんで、『朱雀』の神様なんだっけ?」

ヴィル「…よく知っているな。勉強熱心なことだ」

おろさん「僕の世界の図書館の書物の1つに、君達の世界の情報が詰まったものがあってね。そこから学んだんだ」

ヴィル「異世界の蔵書もあるのか。―――今度お邪魔したら是非見せて貰いたいものだ」



けたたましい声を上げながらメインサーバに入ってきたのはアクラル。自信満々気に1枚の紙を見せびらかしてきます。先程の台詞に嫌悪感を抱いたのかサクヤは眉間にしわを寄せたまま。そんな彼女をなだめながらMZDが代理で紙を受け取り中身を見てみると、そこには確かに『リゾートアンセム Aビーチ アクラル様 貸し切り同意書』と書いてありました。



MZD「『リゾートアンセム』って。あのリゾートアンセム?!今の時期によく貸し切れたな!あそこって確か弐寺の皆伝ライセンス持ってるヤツしか入れないVIPリゾートだったはずだぜ?!」

アクラル「それは一部のエリアだけだよ!俺が今回貸し切ってもらったのはそこに入る前のビーチの一部!外側には露店が出てるエリアだからよ、遊びに行くならうってつけだと思って話を振ったんだぜ!」

ピカチュウ(お)「見た目も話し方もちゃらんぽらんなのに根はかなりまともなんだなこいつ…」

サクヤ「『極稀に』ですがね。…兄貴、今回ばかりは感謝を申し上げます。それにしても何故タイミング良く貸し切りOKになったのですか?一般人も入れるエリアを貸し切っていただいたとはいえ、『リゾートアンセム』は有名な観光地。そう簡単に貸し切りを赦してもらえる場所ではないはずです」

アクラル「ああ、それなんだがよ。リゾートアンセムの近くの森を下見に行ってたんだよ。ほら、お前今後の逃走中で『ホラー回をやりたい』って言ってただろ?エリアに使えないかと思ってさ。そしたらリゾートアンセムのビーチで砂浜で足もつれてるお婆ちゃんを見つけて。
     そんで助けた結果、そのお婆ちゃんが『リゾートアンセム』のオーナーの1人だったみたいでな。このビーチを貸してもらえることになったんだよ」

マルス「人助けの結果、ビーチを貸してもらえることになったんだね…。でも、これでどこにいくか探す必要は無くなったんじゃないかな?」

サクヤ「兄貴のお人好しもたまには役に立つということがよーく分かりましたよ。…私も兄貴の調査していたその『森』とやらも気になりますし、今回は心意気に甘えてリゾートアンセムで海水浴と洒落こみますか」

ヴィル「ホラー回か…」

MZD「そっちに反応するのね…」



『リゾートアンセム』。同名の某DJシミュレーション音楽ゲームをモチーフにした観光地です。一般の人達が入れる透明に広がる海が特徴的な『ビーチエリア』と、弐寺の『皆伝ライセンス』を持っている人間しか立ち入ることのできない『VIPエリア』に分かれているリゾート地です。コネクトワールドでも有名な海水浴場であり、ビーチの近くには数々の露店が並んでいることも特徴的です。
―――こんな場所をあっさりと借用してしまうなんて。神様といえど運命はどう転がるか分からないものですねぇ。あと、サクヤもお人好し度はアクラルと同じなんですからね?

それはともかく、せっかくアクラルがビーチの一部を貸し切りにしてくれたということで海水浴に行くことにした一同。しかし…不二咲さんが小さな声色でこんなことを言ったのです。



不二咲(お)「あ、あのぉ…」

罪木「どうしたんですか?も、もしかして日光が苦手、とか…。だ、大丈夫ですよぉ!パラソルとかちゃんと持っていきますので!は、はうぅ。心配しないでくださぁい!」

不二咲(お)「別にそういうことじゃないんだよねぇ。えっと…。僕達、『水着』持ってきてないんだぁ。どうしよう…」

マルス「そうだね…。海水浴をするつもりなら、『水着』がないと海に入れないね。アクラルさん、貸し切りはいつまでなんだい?」

アクラル「夜の11時!今朝の9時くらいだから、服屋の店が開いたら買った足で行けばいいんじゃねーか?」

MZD「あの場所から近い施設といえば…『ココナッツモール』か。確かマリオの知り合いのモンテ族が働いてる店があったと思うけど。せっかくだからおろさんさん達の水着も買っていこうぜ!」

おろさん「えっ?!僕自分で買うよ?!流石にお金の通貨は一緒だよね?」

ヴィル「こういう時は『長い物には巻かれろ』と言うように、立場の強い者のいうことを聞くものだぞおろさん殿。ついでに食料品売り場にも寄って行きたいんだがいいか?」

MZD「んー。全然OKだけど。ならパラソルの他にテーブルも持っていかないとねー。ヴィルの圧縮魔法借りていい?」

ヴィル「あぁ。寧ろ使ってくれ。この暑い中砂浜まで手で持っていく労力が勿体ない」

罪木「わぁ!じ、じゃあ、私が不二咲さんの水着を一緒に選びますねぇ!サイズを間違えてしまうかもしれませんが…えへへ、可愛い水着が良いですかねぇ」

不二咲(お)「罪木さん。気持ちは嬉しいんだけど…。僕、マルスさんに水着を選んでほしいなぁ。そ、そのぉ…べ、別に嫌って訳じゃないんだよぉ?だから泣かなくていいんだよぉ?!ふ、ふぇぇ…」

罪木「わだじじゃぢからぶぞくっでごどでずがぁ~…。ずみまぜん……ぐすっ……」

マルス「あはは…。大体の事情は何となく察したし、千尋殿はぼくが一緒に水着を選ぶよ。ベレスは確か水着があるって言ってたよね?」

ベレス「うん。だから、自分だけ先にスマブラ支部によって水着を取ってからココナッツモールに向かうよ。マリオに話を通しておいた方がいいかな?」

マルス「話してくれると助かるよ。服屋さんで働いているモンテ族がマリオの知り合いだから、もしかしたら顔パスが利くかもしれないし」

ベレス「了解したよ。ソティスはみんなと一緒に先にモールに行っててね…って、行く気満々だね」

ソティス「保健委員よ!おぬしに命じる!」

罪木「は、はいぃ…」

ソティス「わしの水着を選べ。似合うものを頼むぞ!」

罪木「は、はいぃ~!!」

石丸「僕は海に入る予定はないが、田中くんはどうする?」

田中「俺様には砂浜だけで充分だ…」

マルス「(一応彼らの分の水着も買った方がいいかもしれないね…)」



そういえば日常的な話なんて様子見たことありませんものねー。そりゃ水着なんてありませんよねー。ということで、リゾートアンセムのビーチに行く前にココナッツモールで買い出しをすることになった一同。
ココナッツモールは、リゾートアンセムの近場にある大きなショッピングモールです。『マリオカートWii』をプレイしたことがある方ならば名前を聞いたことがあるでしょう。そこです。
買うものを軽くサクヤがメモし、懐に仕舞います。そして、ある程度持っていくものが決まったところでサクヤが声をかけました。



サクヤ「今日は仕事のことは忘れて楽しむことだけを考えましょう!…買い物が長くなりそうであればココナッツモールのレストラン街でお昼を食べてから向かうというものアリですね。レストラン街にあるアイス屋さんのソフトクリーム、中々に美味なのですよね…」

MZD「今の時期ならトリプルアイスのフェアもやってるはずだぜ!サクヤ、ソフトじゃなくて三倍アイスにしよ!三倍アイスクリーム!水着買ったらお前さん達にもおごってやるよ!」

ゲムヲ(お)「期間限定のスイーツ?!た、食べたいデス!」

ピカチュウ(お)「ポケモンでも食えるスイーツがあればいいなぁ…」

アクラル「おっしゃ花火も買う!ヴィル、買い出し手伝うぜ!」

ヴィル「手伝ってくれるのは有り難いが…。辛い物は入れるなよ?」

サクヤ「それならば心配しないでください。私も付いていきますから。兄貴は何をしでかすか本当に分かりませんからね」

アクラル「そんなに俺と一緒にいたいのかよサクヤー!かわいいなーもうー!」

MZD「お前はその頓珍漢な頭を買い直して来い」

マルス「ま、まぁまぁ…。じゃあココナッツモールで各々買い物を終えたらレストラン街で集合ということで…。それで、大丈夫かな?」

サクヤ「はい、構いませんよ。では立ち話をしている時間も惜しいことですし、準備物を圧縮した後早速ココナッツモールまで行きましょう!」



『おーーー!!!』




威勢のいい掛け声を皮切りに、一同はメインサーバを後にしビーチへと行く準備を早速始めたのでした。
ココナッツモールでの買い物!海水浴!楽しみですね~!こんな日常100%のお話なんて滅多に見られませんからね!
最後までお見逃しなく!まだまだ続きますよ~!


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