二次創作小説(新・総合)
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- 逃走中#CR04 虹の夢と王国の絆 【完結】
- 日時: 2020/07/30 22:02
- 名前: 灯焔 ◆rgdGrJbf0g (ID: gKP4noKB)
- 参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel7a/index.cgi?mode=view&no=1374
どうもです、灯焔です。
我が道中を進んでいく逃走中#CR04!『JOKER』の正体が遂に判明したり、道化師が本格的に動き出したりと大波乱が止まらない!
今回の舞台は、某リアルファイトゲーな『マリオパーティ5』より『レインボー・ドリーム』。人々の『そらのユメ』から生まれた天空のエリアを、逃走者達とハンターによる4度目の本気の鬼ごっこが今、始まる―――!
ジルクファイドが不穏な動きを見せて終了した前回の逃走中。道化師もどう動いてくるかわからん状況で逃走中#CRはどうなってしまうのやら…。『JOKER』、そして彼を巡る戦いは更にヒートアップ…していくのか?
ドラマは異常気象を解決する為夢の国へ!こちらもただ事じゃあなさそうですよ…?
種族を超えた絆を今、解き放つ時―――!命よ、魂よ、輝きを放て!
<ルール>
逃走エリア:『レインボー・ドリーム』
コネクトワールドの人々の『そらのユメ』から生まれた、天空にそびえる大きなエリア。
4つのエリアに分かれており、逃走者達は各々OPゲームで選ばれた場所から逃走をスタートすることになる。また、今回はミニドラマに対応する為『4つの国』のような景色に仕上がっている。
エリア詳細 >>1
ミニドラマ紹介 >>2
逃走時間:85分
賞金:51万(1秒100円)
ハンター:初期4体(OPゲーム会場のハンターボックスに4体)
自首方法:『雷の国』か『雪の国』にある自首用電話から自首する旨を電話する。
<参加者>
【pop'n musicシリーズ】より (3人) 詳細>>3
烈
風雅
塵
【ファイアーエムブレムシリーズ】より (3人) 詳細>>4
クリス
ルフレ
カムイ
【ダンガンロンパシリーズ】より (3人) 詳細>>5
舞園さやか
ソニア・ネヴァーマインド
天海蘭太郎
【どうぶつの森シリーズ】より (3人) 詳細>>6
むらびと
しずえ
たぬきち
【白猫プロジェクト】より (3人) 詳細>>7
シャルロット・フェリエ
ルカ・フォルティス
レクト・ラロ
【作者枠】 (3人) 詳細>>8
桜木霊歌
YUMA
夏風邪
【逃走中#02 MVP】 (2人) 詳細>>9
アルル・ナジャ
クレア・スチーブンソン
計20名
○逃走中#CR05 出場枠争奪クイズ 結果発表実施!
※締め切りました
◎AfterBreakTime
①『数多の可能性の世界へ』 >>10
②『松野家の七転八起』 >>36
③『とある神々の憂鬱』 >>56
④『その紅き目は虚空を仰ぐ』 >>68
⑤『現は夢、夢は現』 >>81
⑥『混沌落下☆注意報』 >>94
⑦『道化は鳥を嘲笑う』 >>124
⑧『異星の明星を見上げて』 >>133
⑨『みんなで脱出戦争』 >>144
⑩『打ち上げパーティ』 >>169-173
Extra『ウルトラワールドとの邂逅』 >>174-177
以上、逃走中#CR 運営本部がお送り致します。
- Re: 逃走中#CR04 虹の夢と王国の絆 ( No.141 )
- 日時: 2020/07/14 22:00
- 名前: 灯焔 ◆rgdGrJbf0g (ID: gK3tU2qa)
【10:48】
~太陽の国 商店街外れ~
ルカ「すみませーん!今ちょっといいですか?」
如何にも『太陽』という言葉が似合う男性に話しかけたルカ。男性は陽気な性格のようで、可愛い女の子が話しかけてきてくれたからか笑顔で迎え入れてくれました。
行商人(演:エル・ソルーナ(太陽))「チャオ!こんな明るい日差しが振りまく街でどうしたんだい?」
ルカ「実は私、今『太陽の秘宝』というものを探してまして。『太陽のように明るい商人』が売っているという情報を頼りに、貴方までたどり着いたんですが…それっぽいアイテムとか売ってませんか?!」
行商人「うーん…。『太陽の秘宝』か…。もしかして、『太陽王のティアラ』のことかな?ほら、太陽の宝石と言われている『サンストーン』が装飾の真ん中にあるんだよ!」
そういうと、行商人は棚から小奇麗なティアラを取り出しました。確かに真ん中に光り輝く宝石が嵌められています。ちなみにこれは元々マルスの私物です。
マルス『これだけじゃなくてティアラは沢山持ってるんだよ!』
ヴィル『MZDのサングラスのようなものなのか?』
MZD『意味合い的には同じだと思うぜ?』
売り物の中でひときわ淡い輝きを放つティアラ。ルカはもしかしたらそれが『太陽の秘宝』かもしれないと行商人に譲ってもらえないか交渉をしました。
しかし、かなり貴重なものらしく行商人は渋い顔をしながらこう言いました。
行商人「可愛い子からのお願いだから譲ってあげたいのは山々なんだけど、これかなり貴重なアイテムでね…。先代の行商人から『お眼鏡にかなわない客には売るな』って言われてるんだよ」
ルカ「そうなんですか…。いやしかし!そのアイテムが今必要なんです!どうにか譲っては貰えないでしょうか?」
行商人「うーーーん。そこまで言われると断るのも悪い気がするなぁ。……あっ。そうだ!『どんなにくしゃくしゃにしても破れない紙』を持っていたらこれを交換してあげるよ!」
ルカ「『どんなにくしゃくしゃにしても破れない紙』…?何に使うんですか?」
行商人「少しでいいんだよ。その紙を媒体にしてレプリカを作成して売りさばくのさ。『破れない紙』なんて画期的な発明だろう?」
ルカ「確かにそうですけど……。あれ?そういえば…」
行商人は『どんなにくしゃくしゃにしても破れない紙』となら『太陽王のティアラ』を交換してもいいと交渉をしてきました。そんなものがあるのか?と一瞬ルカは思いましたが、ふとOPゲームでカラ松が言っていたことを思い出します。
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しずえ「そういえばこのくじ、どんなに力強く引っ張っても破れませんし中を開けられませんよね!これも『神様の力』というものが関係しているんですか?」
カラ松「確かにくじに細工をしたのはあの2人だが、詳しいことはオレにも分からない。まあ、破かれるとこっちが困るから細工には感謝しているんだがな…」
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ルカ「―――私達が引いた『くじ』。確か神様の力でどんなに引っ張っても破れなかったような」
そう。OPゲームの時にしずえがそんなことを言っていました。ルカはポーチから自分のくじを取り出し、破こうと力強く引っ張ります。しかし。
ルカ「ぐぬ…ぐぬぬぬぬ…。普通の紙ならばとっくに破れているはずですが…。いくら引っ張っても破けない。もしかしてまだ『細工』とやらが効果を発揮しているのでしょうか?」
どんなに強く引っ張っても、びりびりに破こうとしても傷一ついていません。あるのは最初にくじを引く時にあった折り目だけ。
…ルカはそのことを行商人に話し、罪悪感はあるものの自分の持っていたくじを渡してみます。すると…?
行商人「おお!もしかしてこれが『神の力が宿った紙』なのかい?どれどれ…。ぐっ…こ、これは…!何故君がこんな貴重なものを…!」
ルカ「いや、流れというか…。特に使用しませんので必要ならば差し上げますけれど」
行商人「ありがとう!このアイテムを基にしてコピー品を作れば大儲けできるぞ~!お礼と言っては何だが、この『太陽王のティアラ』を受け取ってほしい!」
ルカ「本当ですか!ありがとうございます、助かります!」
行商人「いやいや、助かったのはこっちの方さ!それじゃあ君のやるべきことが成し遂げられるよう祈っているよ!チャオ!」
ルカ「(夏風邪さんが色々と反応…は、しないだろうなぁ)」
某おやっさんだと思ったら極悪人の話をしては駄目ですよ。とにかく、くじの引き換えと共に『太陽の秘宝』ゲットです!
ルカは貰ったティアラをポーチに仕舞い、夏風邪が捕まった場所へと急ぎます。
【10:14】
ルカ・フォルティス 太陽の秘宝『太陽王のティアラ』 入手
ルカ「『雨の秘宝』が夏風邪さんが確保された場所にあるはずです!それを回収しがてら天空の塔まで急ぎましょう!…えっと、一応そのことも含めメールで報告しておきますか」
走りながら器用にスマホをいじり、雨の秘宝も回収することを連絡するルカ。
送信ボタンを押した後、彼女は残っている体力をコントロールしながら国境まで急ぐのでした。
~雷の国 デカパン研究所付近~
クリス「ルカ殿も秘宝を手に入れたのか。…ということは、残りの秘宝は『雷の秘宝』だけか。おれが行くしかないが、『とある発明家』って誰だ…?研究所が怪しいが…」
残りは『雷の秘宝』のみ!ミッション終了まで5分を切った今、クリスに考えている時間的な余裕はありません!行動あるのみ!
逃走者3人vsハンター4体。ミッション④の行方はどうなる…?
- Re: 逃走中#CR04 虹の夢と王国の絆 ( No.142 )
- 日時: 2020/07/15 22:02
- 名前: 灯焔 ◆rgdGrJbf0g (ID: .uCwXdh9)
【09:51】
~雷の国 デカパン研究所付近~
クリス「ミッション③の時にも世話になったくらいだからな。もしかしたら『雷の秘宝』についても手掛かりを知っているかもしれない。行ってみよう」
アプリでヒントを見ながらクリスはデカパン研究所へと向かっていました。
雷の国で『発明』に携わっている場所と言えばここしか思いつかなかったからなのですが、本当にここで良いのかと彼は微かな不安も抱いていました。
しかし悩んでいる暇はありません。とにかく行ってみようと気持ちを切り替え研究所に向かって歩いていきました……が。
クリス「―――!誰かの気配がする。ハンターだったらまずい。どこかに隠れよう」
誰かが近づいてくる気配を察し、素早く物陰に身を潜めるクリス。障害物が多い雷の国で良かったですね。
近付いてきていた人影は――――――
ハンターPE「…………」
ハンターが近づいてきていました…!残り3人では見つかったら一貫の終わりでした。遠目で発見できて幸いでしたね!
そのままクリスは物陰からハンターの様子を伺います。
クリス「(この位置から動かなければやり過ごせそうだ。が…ミッションの残り時間的にハンターが過ぎ去ったらすぐに動かないと間に合わない可能性があるな)」
ハンターPE「…………」
クリス「(いちかばちか、見つかったら全力で逃げるだけだが…。見つからないよう祈るしかない)」
ハンターPE「…………」
クリス「…………」
ハンターPE「…………」
ハンターがクリスの目線から外れたタイミングを計らい、彼はそろそろと物陰から顔を出します。仮にハンターが振り返ったりでもしたらクリスは確実に捕まってしまいます。
見つからないように祈りながら少しずつその場から離れるクリス。彼の運命は―――
ハンターPE「…………」
クリス「(なんとか気付かれずに移動できたな…。急いで研究所まで行こう!)」
幸いハンターは振り返ることなくクリスから遠ざかっていきました…。良かった良かった。
クリスは急いで研究所へ。時間がありません、早く『雷の秘宝』について手掛かりを掴みましょう!
【08:37】
~雷の国 デカパン研究所~
クリス「失礼します!デカパン博士はいらっしゃいますか?」
デカパン「ホエホエ~。今日はお客さんが多いダスね~。おそ松さん3期決定したからみんな祝ってくれてるダスか?」
クリス「いやそれはおめでたいが…今回の目的はそうではない。貴方に折り入って訪ねたいことがあるのですが」
デカパン「訪ねたいこと?何ダスか?」
クリス「実は…」
研究所に向かうと、入口でコーヒーを飲みながらくつろいでいるデカパン博士がいました。今日は沢山お客さんが来るなぁ、と演技なのか何なのか分からない発言をする彼。
そういえばおそ松さん3期決定したんですよね!いやぁまさか平成のおそ松さんから令和のおそ松さんへと進化していくなんて。驚きですよ。
それはともかく。軽くお祝いの言葉を述べたクリスは早速『雷の秘宝』についての情報を得る為にヒントアプリの画面を博士へと見せます。
すると―――彼は思い出したように手を叩き、『もしかしたらワスの先祖が開発した『アレ』かもしれないダス。今探してくるダス~」とだけ言い残し部屋を後にしました。
クリス「あまり時間は無いが…ここで本当に良かったんだな。後はどうにかして譲ってもらわないと」
しばらく待っていると、デカパン博士が黄金色に輝く宝玉を持って帰ってきました。宝玉の中で時折雷が落ちるかの如く光っています。
クリスは気付きます。もしかしなくてもこれが『雷の秘宝』だと。何とかして譲ってもらおうと口を開いたその時、博士がすっと彼の目の前に宝玉を差し出してきました。
デカパン「チミには今これが必要なんダスよね。なら、差し上げるダス」
クリス「え?しかしそれを博士は生活に使用しているのでは…」
デカパン「それはワスのご先祖様のお話ダス。今は宝玉の力を借りなくても電力はしっかり賄えているし、必要な人の手に渡った方がご先祖様も喜ぶはずダス。ささ、持っていくダスよ」
クリス「博士…!ありがとうございます!この恩は必ずどこかで返します!」
デカパン「そんな丁寧にお礼を言われると照れるダス…。照れてる場合じゃないダス。これを持っていくダス!」
クリス「必ず使命はやり遂げてみせます。改めて、本当にありがとうございました!」
デカパン「おそ松さん3期もよろしくダス~!」
なんとデカパン博士、今は生活に使っていないからとクリスに『雷の秘宝』をあっさり譲ってくれたのです!これはラッキー!彼の気前の良さに深く頭を下げお礼を言いながら彼は宝玉を受け取ったのでした。
【07:18】
クリス 雷の秘宝『稲妻の宝玉』 入手
クリス「これで全ての秘宝が揃ったはずだ。時間もない、天空の塔に急がなければ!」
ミッション④終了まで残り2分弱!クリスは急いで天空の塔の入口へと向かいます!
逃走者3名の運命は?!次回、ミッション④完結!
- Re: 逃走中#CR04 虹の夢と王国の絆 ( No.143 )
- 日時: 2020/07/16 22:01
- 名前: 灯焔 ◆rgdGrJbf0g (ID: .uCwXdh9)
【06:38】
~太陽の国 天空の塔前~
ルカ「大丈夫ですかね、クリスさん…。『雷の秘宝』は見つかったみたいなのでこちらに向かっているのは間違いないんですが…」
むらびと「(焦る)」
ルカ「ですが、クリスさんが体力自慢なのは私も分かっております。来てくれると信じて待ちましょう!」
こちらは太陽の国。天空の塔の入口があるのがこの国だけなので、ルカとむらびとが既に合流してクリスを待っています。
ルカの手には『太陽王のティアラ』と『神秘の水瓶』が、むらびとの手には『溶けない雪だるま』があります。途中で捕まった天海くんや夏風邪の気持ちも一緒に持っていく、と彼女達は意気込んでいます。
ルカ「夏風邪さんに関しては私のハンターの逃走に巻き込んでしまったようなものですもん。それに私が捕まってしまえば彼の髪の毛が刈られてしまうので意地でも捕まりたくありません!」
むらびと「(刈られた夏風邪の想像をして『ガーン』!)」
ルカ「そうならない為にもむらびとさん、絶対に逃げ切りましょうね!」
むらびと「(コクコクと頷きながら向こうを見ている)」
ルカ「え?誰か近付いている?ハンターだったら嫌ですね…」
ふとむらびとが何かを発見したようで、ルカの発言に頷きながらも遠くを見ています。同じ方向を見てみると、確かに誰かが近づいているような影が見えました。
その正体は――――――
クリス「ルカ殿!むらびと殿!待たせてすまない!!」
ルカ「クリスさん!こっちです!早く来てください!」
むらびと「(大きく手を振ってこちらをアピールする)」
来ていたのはクリスでした!手にはしっかりと『稲妻の宝玉』が。クリスもルカ達に気付き、素早く彼女達に近付き合流。
これで4つの秘宝が全て揃いましたね!
クリス「残り1分を切りそうだ。急いで塔に侵入するぞ!」
ルカ「集まっても間に合わなければ意味がありませんものね!よーし、やったらーーい!!!」
むらびと「(素早く塔の中に入る)」
もうミッション終了まで1分を切りそうです!時間に間に合わなければどんなに頑張っても意味がありません。クリア出来なければハンター50体が逃走者3人を襲います。そんなの嫌ですよね。
急いで3人は塔に入り、『宝石』がある場所に向かって足を進めました。
~天空の塔 牢付近~
ジョマンダ「…待ってくれ。誰かの声が聞こえる」
ミミ「えっ?運営本部の人達が助けに来てくれたのかな?」
ニャミ「どうだろう?足音からして2、3人くらいみたいだけど…」
牢に閉じ込められているミミニャミが3人の靴音に気付き、運営本部ではないかと揃って口にします。
しかしジャックがそれを否定。『運営本部はエリア内に入れない』と持論を述べます。
ジャック「ジルクファイドを乗っ取っていた時のメフィストは『エリア内に障壁を張った』って言ってたよな?あれを打ち破れるのはあの中では上司だけだ。だが…上司も『わざと障壁を張ったことを言った理由』に気付いてるはずだ。…運営本部じゃないと思うぞ」
ニャミ「じゃあ誰なのかな?うーん…。まさか、逃走者だったりするのかな?」
リサ「分からない。が、『ミッション』とやらでこの塔に用事があれば必ずやってはくるだろうね」
そんな話を続けていると、足音は目の前まで近づきました。そして、彼女達を見て逃走者達は驚きました。
ルカ「え、ええっ?!皆さん牢の中に閉じ込められている?!」
クリス「何かあったのか?」
ミミ「わたし達メフィスト…『道化師』達に捕まって身動きが取れないんだよ!助けてくれないかな?」
ニャミ「いやいやミミちゃん。3人の手を見て。何かアイテムっぽい物を持ってる。もしかしなくてもリサさんの言う通り『ミッション』でここに来たんだよ。あたし達を助けてミッション失敗したら意味がないよ!」
むらびと「(おろおろ)」
クリス「………『ミッションをクリアしたら』必ずここに戻ってくる。それまでそこで待っていてくれ」
ルカ「はい!何で捕まったかは見当もつきませんが『守護天使』の名にかけて皆さん全員を必ず救出いたします!」
リサ「ありがとう。恩に着るよ…」
牢に捕らえられている5人を見た逃走者達は驚きを隠せません。しかし、今彼女達を助けていてはミッションクリアは絶対に不可能になってしまいます。
『ミッションクリア後に必ず助ける』と強く言い残し、3人は宝石がある場所まで階段を駆けて行ったのでした。
【05:35】
ルカ「ミッション終了まで残り30秒程です!」
むらびと「(走るスピードを上げる)」
クリス「最上階は見えている。大丈夫だ、おれ達ならやれる!」
ミッション終了まで残り30秒。頂はもう少し!急いでください逃走者達!
~天空の塔 最上階~
クリス「―――ついた!あれか!」
ルカ「宝石の目の前に4つの台座がある…。あれに『秘宝』を置けばいいんですね!」
むらびと「(頷きながら台座に近付く)」
最上階まで到着ー!そこには黒く濁った宝石と、その前に『秘宝を置いてください』と言わんばかりの赤い台座が4つ置かれています。
急ぎつつも落とさないようにアイテムを取り出した3人は、各々秘宝を置きました!すると……?
クリス「うっ…眩しい…!」
むらびと「(目を覆う)」
ルカ「な、何なんですかーーー?!」
4つの秘宝がまばゆいばかりに輝き出し、その光が濁った宝石へと吸い寄せられていきます!
そして…光が収まったそこには―――。神秘的な輝きを放つ、緑色の宝石が鎮座していました。
【05:07】
クリス ミッション④クリア
むらびと ミッション④クリア
ルカ・フォルティス ミッション④クリア
ルカ「―――!見て下さい!濁っていた宝石が光っています!」
むらびと「(ぴょんぴょん!ぴょんぴょん!)」
クリス「ということは…ミッション、クリアできたのか…!」
ルカ「やりました!やりましたよみなさーーーん!!!」
無事ミッション④クリア!ハンター50体放出を阻止できました!おめでとうございますー!
~牢獄ルーム~
ピリリ ピリリ
舞園「通知です!大丈夫だったんですかね…?」
ルフレ「読むよ!『クリス、むらびと、ルカ・フォルティスの活躍により、天空の塔に『4つの秘宝』が設置された。よって、50体のハンター放出は阻止された。ミッション④クリア』
―――ミッション④クリア!!みんなやってくれたよ!!」
烈「よっしゃーーーーー!!!これで逃走成功の可能性も見えてきたな!」
しずえ「一時はどうなるかと思いましたが無事にクリア出来てよかったです~…」
天海「みなさんやってくれたんですね。本当に良かった…。あとは3人の逃走成功を祈るだけですね」
夏風邪「………(^ω^)が見てる…」
(^ω^)<イツデモカレルヨウニスタンバイシテオクヨ!
シャル「いや?そう簡単に刈れると思ったら大間違いだかんな!ルカは運動神経めちゃめちゃ良いんだぞ!それに今回の逃走中に向けて自主練してきたって言ってたからな!」
YUMA「凄い情熱があるな、ルカ…」
たぬきち「むらびとくんも運動神経に関してはルカさんに負けてないだなも。是非逃走成功してもらって島の評判もバンバン上げていくだなもよ!」
風雅「たぬきちのマイナスイメージと相殺してプラマイゼロになったりして」
たぬきち「だから何でそうなるの~?!」
霊歌「日頃の行いだよ!」
カムイ「クリスさんも体力が自慢の方なんです!最後まで逃げ切ってくれると私は信じています!」
レクト「そう考えると、今回残った3人共誰が逃走成功してもおかしくないくらいだね…」
アルル「出来ればみんな逃走成功してほしいけど…残り5分間頑張って~!」
ミッションクリアの通知に安堵する牢獄ルームの面々。一時はどうなるかと思いましたが残り5分で3人。
誰が逃走成功してもおかしくない状況になってきましたね!
…まぁ、彼らには『もう一つ』やることがあるのですが。今回はそこまで見ていきましょう。
~天空の塔 牢付近~
ミミ「ふぅ…。3人共ありがとう~!運良く近くに針金があってよかったね!」
ヴァリス「(ありがとう!)」
ニャミ「早くここから出ないと!みんな心配してるだろうしね…」
ジャック「だが油断するなよ。逃走者達がミッションをクリアした以上、塔が崩れてもおかしくないんだからな」
クリス「ん?どういうことだ?」
ミミ「えーっと、実は…」
先程彼らが言った通り、現在ミミ達は逃走者の手によって救出されていました。運良く近くに針金が落ちていたので、それを利用して檻の鍵をむらびとが解除。その隙にルカとクリスが5人を救出しました。
ちなみにジルクは自分から『見張りを買って出る』と辺りを警戒しています。
ジャックが『何が起こるか分からない』と見当がつかないことを言った為それに関して問うクリス。それに答えるかの如くミミは自分達が捕まった経緯とメフィストが何かを仕掛けていったことを話しました。
ルカ「えっ?!私達がミッションをクリアしたら塔が壊れちゃうんですか?!」
ミミ「うん。確かにそう言ってたんだ。今はジルクさんの自我があるからあいつらも何も出来ないはずだよ。落ち着いて外に出れば大丈夫だと思うけど…」
クリス「相手にとって最善の選択をした可能性を予測していない敵はいない。その言葉が真実になる前に急いで塔を出るぞ!」
ジルク「俺がしんがりを務める。その間にみんなは塔を降りてくれ」
ジョマンダ「分かった。…くれぐれも怪我するなよジルクファイド」
ミッションを逃走者がクリアした今、メフィストが何か仕掛けてきてもおかしくありません。そうなる前に急いで塔から出る為に足を踏み出した、その時でした。
ゴゴゴゴゴゴ…………。
ミミ「何?!何ーー?!」
ニャミ「何か揺れてない?!」
クリス「―――この音は……!早く外に出るぞ!!」
彼らの勇気を嘲笑うかのように、『塔』は鳴り響いたのでした。
【05:00】 ミッション④終了時 逃走者詳細
確保者 16名
桜木霊歌 たぬきち 烈 シャルロット しずえ
YUMA 風雅 レクト カムイ
舞園さやか クレア ルフレ アルル 塵
天海蘭太郎 夏風邪
自首成立者 1名
ソニア
既存逃走者 残り3名
クリス
むらびと
ルカ
ミッション④をクリアしたのもつかの間、逃走者とミミ達に別の意味で襲い掛かる悲劇―――!
嫌な予感しかしません!急いで天空の塔から脱出してくださーい!
To be continued……
- ABT⑨『みんなで脱出戦争』 ( No.144 )
- 日時: 2020/07/16 22:08
- 名前: 灯焔 ◆rgdGrJbf0g (ID: .uCwXdh9)
『塔』が悲鳴をあげている―――。逃走者にもミミニャミ達にも悲劇が降りかかる…!
急げ!急いで塔から脱出してくださーい!時間も猶予もありませーん!!
------------------------
~天空の塔 牢前~
ミミ達5人と逃走者達が天空の塔を出ようと足を踏み出したと同時に、塔から何か大きな音が。
一部の面子は驚いて立ち往生してしまい、何が起こったのか分からず混乱していました。
むらびと「(慌てふためいている)」
ルカ「落ち着いてくださいむらびとさん!!……タイマーは5分のまま止まっています。この音の正体は運営本部でも把握できていない『異常事態』なのでしょうね、きっと!」
ミミ「嫌な予感しかしないんだけど?!何が起こってるの?!」
ジャック「このまま立ち往生してても意味がないだろ!音はかなり上の方から聞こえていているみたいだ。俺がちょっと見てるからお前らはその間に『逃げなサイ!!』 ……?!」
ニャミ「あなた…確か、3回目の時にMZDを連れ去った道化師の…!」
ジャック曰く音の方向は『上』。音の正体を突き止めれば対処法が分かるとでも思ったのでしょうか。彼は自分が塔の上を見て来ると口にしました。…しかし、それは『その場にいない別の人物』の声で遮られます。
その場にいないはずの声に混乱している一同の前に―――彼女は、『べリア』は現れたのです。
ジャック「お前…!!道化師の一味か!この期に及んで俺達に攻撃しようってのか!!」
ジョマンダ「待ってくれ!あいつ、こっちに攻撃する気はないみたいだぞ。…俺達に何の用だよ」
べリア「アンタ達、お喋りしている程余裕があるノネ。あ~あ、忠告して損シター」
クリス「どういうことだ?『忠告』?」
べリア「メフィストさまがこの『天空の塔』を崩したノヨ。たった今、ネ。逃走者がミッションをクリアしたから…あのお方はそう仰っていたワ。―――怪我したくなかったらさっさとこの塔から脱出することネ」
リサ「『塔の崩壊』だって…?!確かにあいつの言っていた『条件』には合っていたが、いくら何でも早すぎないか?!」
べリア「気が変わったんデショ?アタシ達『道化師』はコロコロ気分が変わる生き物ナノヨ。本部の面子を傷付けるだけじゃなく、『逃走者』も一緒に傷付ければ運営本部の責任はもっと重くなる。アイツらの『絶望』した顔が見れる…。そんな魂胆ヨ」
ミミ「え?でも、あなたは『逃げろ』って言ってるよね?もしわたし達を本気で傷つけるつもりなら、そんな忠告しないと思うんだけど…」
べリア「―――だから言ってんデショ?『道化師は気まぐれなのよ』」
一部の面子がべリアが襲い掛かってもいいように構えますが、どうやら彼女は彼らに『忠告』をしに来ただけの様子。彼女は『道化師の気まぐれ』とはぐらかしていますが、魔界で起きた出来事に心が揺さぶられているのでしょうか。
彼女は最後に真面目な顔で『死にたくなかったら全力で逃げなさい』とだけ言い残し、自分は瞬間移動で消えてしまいました。
―――それと同時に、天井から落下してくる『固いもの』…。それが、塔を形作っているものだと気付くのにそう時間はかかりませんでした。
彼女の言っていることは本当だ。『塔が、崩れる』―――。逃走者達とミミ達は考える暇もなく、階段をひたすら降りて行ったのでした。
しばらく無言で降りていた折、ルカがこんなことを口にします。
ルカ「あの。そういえば気になったんですけど…。ミッションでこの天空の塔に来た時、『宝石が黒く濁っていた』んです。それで、私達がアイテムを置いたら緑色に輝いた…。あの宝石、ドラマの中では『天気を司る』ものだと言っていましたよね」
ニャミ「―――あれっ?そういえば運営本部にメフィストが何か言ってる時…ソティスちゃんがそのことについて触れてたような…?」
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ソティス『な、なんじゃと?!その塔には実際にコネクトワールドの天気を司っておる宝石があるのじゃ!それに、最後のミッションで逃走者に集めて貰う『レプリカ』のオリジナルも祀られておる。そんな塔が爆発でもして消えてなくなってみよ。宝石にひびが入って消えたりでもしてみよ!現実世界の天気はドラマのように滅茶苦茶になってしまうぞ?!』
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ニャミ「確か、『実際にコネクトワールドの天気を司っている宝石がある』って言ってたよ。―――その宝石が壊れちゃったら…ドラマの最初であったみたいな異常気象が、コネクトワールドを実際に襲うって…」
ミミ「ヤバいじゃんそれ?!もしかしてメフィストはそれも計算してこの塔にわたし達を捕まえてたのかな?」
ジルク「…………」
クリス「だが宝石を取り戻している時間は無いぞ?!既に塔が崩れ始めている。今最上階に行ったとして無事に戻ってこれない可能性の方が高い!」
ジャック「くそ、装備一式全部本部に置いてきちまったからな。浮かべたら様子を見に行ったんだが…」
ジルク「…………」
ジョマンダ「飛べなくもない距離だが、俺の羽で瓦礫を避けられるかわから『お前は行くな!!』 親父…」
ルカ「私も飛びたいのは山々なんですが、ルールで飛行は禁止されてまして…。すみません」
むらびと「(焦りながら走る)」
そう。実は逃走者達が生命力を入れたあの宝石。実際にコネクトワールドの天気を司っているものなのです。なんでそんな大事なものを置いてある場所を逃走エリアにしたんだか非難が飛んできそうですが今は置いておきましょう。
メフィストが塔を崩してしまった以上、宝石が無事である確証はありません。今降りている場所はまだ瓦礫が落ちてきていない為、様子を見に行くことは不可能ではなさそうですが…恐らく崩れているのは『最上階』から。宝石は最上階に祀られていますので、降りてきた道を戻らなければなりません。
故に怪我をしてしまう確率もぐっと上がります。しかし、宝石を放置しておくと崩壊の衝撃で壊れてしまうでしょう。
―――自分達の命を取るか、怪我を承知でコネクトワールドの天気を守るか。降りている一同にまたもや重い選択がのしかかります。
…どうすべきか悩んでいる一同に、ふとジルクはこんなことを口にしたのです。
ジルク『―――俺が様子を見てくる』
ミミ「えっ?ジルクさん、何言ってるの?!クリスさんの話聞いてなかったの?!」
ジルク「聞いた上での判断だ。お前達みたいに俺は『生身じゃない』。仮に様子を見に行く途中で瓦礫に当たってもお前達よりは耐えられるはずだ」
ニャミ「でも!それじゃジルクさんが怪我しちゃ『…動けるのが俺しかいない以上、行くしかないだろ。それが…俺の意志なんだ』ジルクさん…」
彼は言いました。『自分が宝石の様子を見に行く』と。アンドロイドだから生身の逃走者達が様子を見に行くよりもずっと最適だと。そう口にしたのです。
しかし、アンドロイドとはいえ自分達の仲間。ミミニャミは彼のことをそう思っていました。行かせたくないと否定しますが、ジルクファイドは『それが自分に出来ること。自分の意志で決めたことだ』と優しく彼女達を諭します。その決意を秘めた目に―――彼女達は何も言えなくなってしまいました。
ジルク「俺は、神も。幽玄紳士も。暗殺者も。お前らも。…傷つけすぎた。この罪は消えやしない。だから…お前達を守る為、『世界を守る為』、今できることをやる。だから…ここは俺に任せてほしい」
ミミ「駄目…駄目だよ、ジルクさん」
ジルク「―――助けてくれてありがとう。俺に、『意志』を教えてくれてありがとう。沢山の愛を…『心』をくれて、ありがとう。
モードチェンジ。モード『フライ』。
――――――『ありがとう。さよなら』」
それでも尚彼の手を掴んで阻止しようとするミミの腕をすり抜けて、ジルクファイドは飛行モードに切り替わりそのまま上空へと猛スピードで飛んで行ってしまいました。
―――見えなくなった彼の方向を見ながら叫ぶ、ミミが彼を呼ぶ名前を残して…。
~メインサーバ~
ヴィル「―――戻ったぞ。何とか障壁を傷つけず消滅する魔法を開発した。成程な。発想の転換を利用…『相殺』するアイデアを思いつくとはクルークも成長したものだ」
MZD「おっかえりー。あれ、エイリークとクルークは?」
ヴィル「開発した魔法を封じた装置を所定の位置に置くよう頼んだ。だから戻ってくるのはもう少し後になるだろう」
サクヤ「お帰りなさいませ。…天空の塔が崩壊を始めました。メフィスト…逃走者、そして天気を司る宝石も巻き込むつもりだったのですね」
アクラル「俺達がミッション④を発動すること、それから逃走者達がそれをクリアしてくれることまで読まれてたっぽいからなー。今回は流石に相手に一本取られたわ…」
ニア「あら。ですが…相手方もそれほどまでに追い詰められている、ということでしょう…?ここで逃走者達が踏ん張ってくだされば…『探索者』としても優秀だと思います、わ」
サクヤ「こんな時に探索者を見定めないでください。障壁の問題が解決できれば、後の問題は塔だけになりますが…。これは逃走者とミミさん達を信じるしかなさそうですね」
MZD「障壁さえ何とかなれば神パワーをエリア内に放てる。それまで誰も怪我してくれんなよ…!」
一方のメインサーバ。障壁を『破壊』ではなく『相殺』する魔法を開発したとヴィルヘルムが戻ってきました。彼の言葉によると、エイリークとクルークが現在その魔法を展開する装置を設置しに行っている様子。
彼が『発想の転換』と言っていたように、アイデアの提案者がクルークだったようです。彼も成長しているんですねぇ。それに『相殺』はぷよ勝負においてとても大事なアイデンティティですからね!
メインサーバから見守ることしか出来ない今、逃走者とミミ達の無事を祈ることしか出来ません。どうか誰も怪我せずに戻ってこれますように…!
~天空の塔 最上階付近~
ジルク「ここか。緑色に光る石…あれか!」
一人宝石の様子を見に行ったジルクファイド。飛んでいる途中で瓦礫を回避できなかったのか、所々が痛々しい傷で覆われています。それでもなんとか最上階までたどり着き、彼女達が話していた『緑色の宝石』が無いか探し始めます。
すると―――目線の先に神々しく光る緑が。間違いありません。そこで光っているのが『天気を司る宝石』です!すぐに近づきひび割れていないか確認する彼。手に取ってみるとほんのりと暖かく、まるで『心臓の鼓動』のようにトクン、トクン、と機械の身体に伝わってきます。
ジルク「これを地上に持っていけば天気が崩れることはないはずだよな。早いところミミ達と合流しないと―――」
宝石は幸いどこも傷付いておらず、ジルクファイドの手の中で光っています。急いで地上へ降りようと再度飛ぼうとした彼に―――『絶望』は、迫ってきていました。
ガラガラと、背後で音がしました。思わず振り向くアンドロイドの目線の先には―――『瓦礫の山』がありました。
逃げる場所も、飛ぶ場所も、もうありません。瓦礫の中に閉じ込められたのです。それに気付いたと同時に瓦礫が崩れる音が強くなっています。
―――『あぁ。もう間に合わないのか』。脳内に刻まれるその言葉。傷付いている身体では槍を振るうことも出来ません。
ジルク「―――あの言葉、冗談にするつもりだったんだけどな」
ぽつり。弱弱しい言葉が彼の口から洩れます。…それは最早『アンドロイド』の仕草ではない、人間らしい…『ジルクファイド自身』の言葉でした。
だが、まだ思考回路が動いている以上やれることはある。彼は宝石だけは傷つけさせまいと自らの手の中で大事に握ります。
それと同時に、天井が遂に崩れました。目の前に落ちてくる瓦礫。自らを覆い尽くすのも時間の問題だろう。アンドロイドはそう考えていました。
ならばせめて。『世界を救う』と決めたのならばせめて。その思いだけは果たす。
瓦礫の雨が身体に降って来ても、彼がその思いを手放すことはありませんでした。
彼の思考が全てシャットダウンされたと同時に。天は。全て崩れ去った。
~天空の塔 入口前~
クリス「急げ!!瓦礫が落ちてくるスピードが速くなっている!完全に崩壊するのも時間の問題だ!!」
ルカ「もう少しで外に出られますよ!それまでの辛抱です、頑張ってください皆さん!!」
むらびと「(先頭をひたすら走っている)」
入口付近にも天井から崩れる瓦礫が迫っていました。幸いしんがりをクリスが引き受けてくれていた為、全員大した怪我もせず降りてくることが出来ました。
先頭を走るむらびととルカが自分達が入ってきた入口を指差します。もうすぐです!
ジョマンダ「親父!疲れてないで走れ!死にたくないだろ!!」
リサ「いやしかし…人生の中でこれまで走ることなど経験したことが無かったからね…。これは身体に堪えるよ…」
ヴァリス「(父さんは運動音痴だからね)」
ジョマンダ「んなこと言ってる場合か!!運動音痴でも死んだら何も意味がないんだよ!!全力で走れ!!」
ジャック「もう少しで外みたいだぞミミ、ニャミ!俺から離れるなよ」
ニャミ「分かってる!でも…。ミミちゃん、大丈夫?」
ミミ「ジルクさんは…?大丈夫だよね?」
ジャック「今あいつのこと考えてる場合じゃない。このまま足を進めなきゃ俺達が死ぬんだぞ!」
ミミ「わたし達が助かっても…ジルクさんも助からなきゃ意味がないよ!助けるって…わたし達が助けるって言ったのに…!」
ニャミ「ミミちゃん…。大丈夫、ジルクさん強いじゃん!操られてたとはいえあのMZDを一回圧倒してるんだよ?そんな簡単にやられるワケないから大丈夫!」
ミミ「でも…上からどんどん瓦礫が崩れてきてるし…。最上階辺りなんてもう形も残ってないんじゃないのかな…?ジルクさんが怪我しないで済むはずない!」
クリス「…マルス様がここにいらっしゃったら、きっと同じことを仰ったはずだ。だが…今は彼の心配をしている場合ではない。厳しいことを言うようだが、他人の命を心配するのは『自分の命があってこそ』だ。命の危険が迫っている今、思考に囚われていては助かる命も助からなくなる」
ミミ「…………」
ルカ「皆さん!入口が見えてきました!飛び込めば間に合うはずです!!!」
むらびと「(急いでー!と焦っている)」
背後に瓦礫が迫る中、入口は目と鼻の先!飛び込めばまだ間に合います!
ルカが力いっぱい声を張り上げます。走るスピードを上げる一同。
そして――――――
クリス「飛び込めーーーーー!!!」
クリスが入口に飛び込み、外に逃げたその瞬間―――。
塔が。『天気を司る塔』が。完全に崩れ落ちた。
- Re: 逃走中#CR04 虹の夢と王国の絆 ( No.145 )
- 日時: 2020/07/17 22:00
- 名前: 灯焔 ◆rgdGrJbf0g (ID: .uCwXdh9)
~太陽の国 天空の塔前~
クリス「はぁ…はぁ…。みんな…無事だな…?」
ジョマンダ「何とか…全員怪我もなく無事だ…」
崩れ去った塔の前で各々体勢を崩す逃走者と捕まっていた5人。大きな怪我もなく無事脱出できたみたいですね。良かった良かった。
卒倒している彼らの前に足音が近づいてきます。あれ?タイマーは止まっているのでハンターは止まっているはずでは…。
エイリーク「みなさーん!大丈夫ですかー!!」
クルーク「天空の塔が完全に崩れたって連絡が来たから慌ててここまで来たんだよ!」
現れたのはエイリークとクルーク。ヴィルヘルムに頼まれていた装置を設置し、障壁を『相殺』した後彼らを助けにそのままやってきたのです。
ということは。エリアに張り巡らされていたメフィストの障壁も無事解除できたのですね!良かった~。
クルーク「ボク達障壁を『破壊』することばっかり考えてたからね…。壊すのが無理なら、相殺してプラスマイナスゼロにしてしまえばどうかなってアイデアを言っただけなんだけどね」
エイリーク「しかし、クルーク殿のアイデアのお陰で障壁を解除できたのには変わりありません。本当にありがとうございます」
ルカ「障壁ィ?!私達がミッションを遂行している間にそんなものが張り巡らされていたんですか?!」
むらびと「(ガーン!)」
クルーク「実はそうなんだよ…。無理やり障壁を破壊したら君達に危害が確実に出るし、今まで手も足も出なかったんだ…」
逃走者達に事の顛末を話すと、ルカとむらびとが分かりやすくショックを受けています。そりゃ当然でしょう。
…改めて怪我人がいないことを確認する為再度その言葉を口にするエイリーク。―――すると、向こうで蹲っていたうさぎの少女がぽつりと零しました。
ミミ「助けられなかった…。ジルクさんを、助けることが出来なかった…!」
クルーク「えっ…?」
ニャミ「あの崩れた塔の中に…。ジルクさん、『天気を司る宝石』の様子を見に行ったっきり…。多分、崩壊に巻き込まれて…」
ジャック「…………」
クルーク「そんな…!」
エイリーク「ミミ殿達も、このコネクトワールドも、守ろうとして…散ったというのですね…」
ミミ「違う!わたし達が止められなかったから…!わたしがあの時止めていれば…!」
ミミは後悔していました。あの時…。ジルクファイドが様子を見に行くと言ったあの時。無理やりにでも止めていれば。彼が犠牲になることは無かった。崩れた塔に巻き込まれることは無かった。そのことを悔やんでいました。
しかし…彼を止めていれば『世界』がどうなっていたかは分かりません。そんなことは誰だって分かっています。誰かが宝石を守らなければ、今頃天気が異常を起こしそれどころではなかったでしょう。
クルーク「でも、そういう行動を取ったってことは…。ジルクファイドさんは『自我』を完全に得ていたってことになるよね?自分の意志でミミさん達を守ったってことになるんだよね?」
ミミ「でもさ!世界の平和が守られたってさ!生きてなかったら意味ないじゃん!自分が守った平和を感じることが出来なかったら、意味ないじゃん…!」
『確かにそうだな。でもな、ミミ。世界にはどうしようもない『理不尽』ってのは星の数ほど存在するの。…神から見てもどうもできない様なことが』
ニャミ「MZD…」
ミミの涙は留まることを知りません。そんな彼女を見かねたのか、MZDが逃走エリアに現れました。
エイリークとクルークにジョマンダ達3人とジャックを本部に連れていくように指示し、彼らはエリア内から去っていきました。
残された逃走者達とニャミは未だ悔やんでいるミミと、それを見守っているMZDの様子を伺うことしかできませんでした。
ルカ「私があの時ルール違反して飛んでいたらジルクファイドさんを救うこともできたんでしょうか。『守護天使』と言っておきながら犠牲を出してしまうなんて…。すみません!」
クリス「いや、これに関してはおれ達にもどうすることも出来なかった問題だ。…以前、マルス様に問いを投げかけられたことがあるんだ。『王は時に犠牲を選択しなくてはいけない時がある』と。目の前で友人を犠牲にすれば大勢の民を助けることが出来る状況の時、『友人を犠牲にして大勢の民を救う』か、『友人を救って民を犠牲にするか』とな。…勿論、王や皇帝として導く者ならばその友人を犠牲にする選択肢を取らねばならない、と。―――しかし、マルス様はその選択を出来ない心優しいお方だ。…きっと、ミミ殿も同じなんだろう」
むらびと「(しゅん…)」
ルカ「誰かがあの時動いていなければ、世界が終わっていた…。ジルクファイドさんの犠牲は『必要な犠牲』だったっていうんですか…?」
MZD「あんね、ミミ。ジルクのことはさ。確かに『仕方なかった』で片付けちゃ駄目な問題なんだよ。だけど…誰にもどうすることも出来なかった。誰も責められないし、誰も悪くないんだよ。そう考えるしかないの」
ミミ「わたしだって分かってるよそんなこと!でも…納得できないんだもん…。みんな生きて帰らなきゃ意味がないんだもん…!」
ニャミ「あたしもミミちゃんの気持ち痛いほど分かる。ジルクさんと一緒に外に出るべきだって思ってた。でも…ジルクさんが『宝石の様子を見に行く』って言った時…誰も反対できなかった。それくらいジルクさん本気だったんだ。
…あそこで無理やりあたし達が止めてたら、ジルクさんの決意を無駄にしてたんだって思ったら…止められなかった」
少年は優しくうさぎの少女を宥めますがなかなかうまくは行かず。猫の少女も同じことを考えていたようで、彼女の気持ちが痛いほど分かると同情します。
留まることを知らない彼女の涙を、悲しみを、彼は頭をなでることで慰めることしかできませんでした。
ニャミ「とにかく、さ。これ以上エリアに残ってても逃走中の邪魔になるだけだし…。ジルクさんのことは本部のみんなに任せようよ。もしかしたらゲーム終了後に瓦礫の中から見つけてくれるかもしれないしさ!…本当はあたし達が探せればいいんだけど。一旦戻ろう?ミミちゃん」
ミミ「うん…」
MZD「これが生身の人間だったら完全に手遅れだったけど…アイツが『アンドロイド』だって自覚してたからお前さん達の反対を振り切って様子を見に行ったんだろうな。―――神が神頼みっておかしいけどさ。ジルクが五体満足で埋まってたら何とかなるかもしれないぜ?…今は戻ろ?」
ミミ「うん…」
ニャミのいうことも一理あります。イレギュラーが襲い掛かってきたとはいえ、逃走中はまだ終わっていないのです。
ミミのことは一旦ニャミに任せ彼女達が本部に戻ったのを見届けた後、MZDは残っている逃走者3人に向き直り、深々と頭を下げました。
MZD「…さて、と。逃走者諸君、今回はオレ達運営本部の不手際で危険な目に遭わせて本当に申し訳なかった」
ルカ「いえいえ!頭を上げてください!まさか道化師が直接手を出してくるとは思いませんでしたが…。結果的には逃走者に関しては全員無事ですし!五体満足ですし誰も怪我をしてません!気にしないでください」
クリス「ルカ殿の言う通りだ。神様、どうか顔を上げてほしい」
むらびと「(ひたすら首を縦に振っている)」
MZD「次からしっかりエリア内の監視も強化しないとなぁ…。ともかく。オレがメインサーバに戻ったと同時に残り5分のタイマーが動き始める。残り5分、全力で逃げてくれ。……準備は良い?」
残り5分。とんだ邪魔が入りましたが3人には逃走成功の道が残されています。
最後まで走り切る目標は3人共同じ。各々気合を入れなおします。
クリス「そんなもの…。既に出来ているに決まっている。マルス様の為にも、おれは最後まで逃げ切る」
ルカ「私も最後まで逃げ切りますよ!その為に逃走中に参加したんですからね!」
むらびと「(やる気充分!)」
MZD「さっきまで大変な目に遭ってたっていうのに切り替え早いなお前さん達。…ま、その気持ちがあれば大丈夫か。それじゃ…最後まで頑張って!」
神の激励を受けた後、彼はそのまま瞬間移動でエリアを去りました。
と同時にタイマーが再度スタート!ハンターも動き始めます。
ルカ「…あっ!本当ですね、タイマーが動き始めました!」
クリス「残り5分…。逃走成功が見えてきたな。最後まで気を抜かずに逃走成功を目指すぞ!」
ルカ「はい!史上初の3人逃走成功も目標にしちゃいますからね!やったらーーい!!!」
むらびと「(えい、えい、おー!)」
さぁ、今回は誰か逃走成功できるんでしょうか?それとも全滅してしまうのか?
遂に最終局面!逃走者3名vsハンター4体の攻防の結果はどうなるでしょうか!次回へ続く!
~運営本部 外れ~
MZD「―――ヴィル?聞こえてる?ちょっと協力してほしいことあんだけど」
ヴィル『藪から棒になんだ。ジルクファイドのことは諦めた方が「ジルク、回路切れてるだけの可能性が出てきた。ゲーム終わったらアイツの身体一緒に探してほしいんだけど」 …どういうことだ?』
MZD「ミミ慰めてる間にこっそり瓦礫の中のココロネ探してたんだよね。そしたらさ…微かに反応があったんだよ。『青く光る魂が』」
ヴィル『―――!まさか、彼もまた『自我』を完全に得たというのか?ジャックのように』
MZD「その可能性が高い。回路が完全にぶっ壊れてるならオレにもどうしようもないけど…『切れてる』だけなら何とかできるかもしれない。―――でも、オレだけじゃ無理だからさ。一時的にでもジャックに魔力与えてたお前の力を借りたいの」
ヴィル『……成程な。だが、自らにまた呪縛を課すようなことはしたくないのだが』
MZD「大丈夫大丈夫。お前1人でもオレ1人でも出来ないことでも、『双反する力が合わされば』何とか出来ることってあると思うんだよね。…だからさ、力…貸してくんない?」
ヴィル『ミミとニャミに無茶振りをしなくなった分が私に飛び火しているのは気のせいか?―――まぁいい。新たな魔法を開発する参考にもなるかもしれん。その提案…乗ろう。我が魔力、使うがいい』
MZD「サンキュ。……まぁ、お前に無茶振りするのは『信頼している証』でもあるんだからな。そこんとこ忘れないでよね」
ヴィル『―――何を今更。既に痛いほど理解している』
身体を張って世界を守ったアンドロイドに『救いの手』が差し伸べられるまでも、もう少し。
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