二次創作小説(新・総合)

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東方×カービィ 幻想郷のキカイ化
日時: 2018/11/11 12:09
名前: ピコパ ◆aIf9C.jTkU (ID: aFJ0KTw3)

皆様はじめまして、ハルトマン社新人秘書のピコパです。今回は東方とカービィの小説を書かせていただきます。理由はどっちも好きであることと意外に共通点が多いことですね。

あらすじはこちら

ハルトマン社のマザーコンピューター『星の夢』の時空間転移プログラムをリニューアルし幻想郷のデータを獲得。魔法や神といった科学とはかけ離れた常識や豊富な資源を手にいれる為にハルトマン社は幻想郷キカイ化プロジェクトに乗り出した。科学と魔法、相反する2つの戦いが今始まろうとしていた。


この小説を読むにあたって
・この小説には作者による独自解釈や設定が含まれています。基礎情報は確認済みですがご了承下さい。
・とにかく話が広がり中々先に進まない場合があります。
・この小説オリジナルの技やキャラクターが出てくる場合があります。
・作者はあまり文才がありません、完全に行き当たりばったりで書いています。なので不備が生じることがありますのでその時は指摘をお願いします。
・この小説への荒らしや誹謗中傷のコメントはご遠慮下さい。

現在の物語
・デデデ編2

フェイズ0・幻想郷の存在
>>01 >>04 >>05
フェイズ1・幻想大侵攻
>>06 >>07 >>08 >>09 >>10 >>11 >>12 >>13 >>14 >>15 >>16 >>17 >>18 >>19 >>20 >>21 >>22
フェイズ2・幻想を越えた出会い
>>23 >>24 >>25 >>26 >>27 >>28 >>29 >>30 >>32 >>33 >>34 >>35 >>36 >>43 >>44 >>45 >>46 >>47 >>48 >>53 >>56 >>58 >>59 >>62 >>63 >>64 >>65 >>66 >>67 >>68 >>69 >>70 >>73 >>74 >>75 >>76 >>77 >>78
おまけ
>>31 >>37 >>49 >>50 >>60 >>61 >>62 >>71 >>72
レミリアの夏休み
>>38 >>39 >>40 >>41 >>42

Re: 東方×カービィ 幻想郷のキカイ化 ( No.26 )
日時: 2017/06/09 21:20
名前: ピコパ ◆aIf9C.jTkU (ID: wXGYBxg0)

frontstory >>24 >>25



24・行け!ロボボアーマー!



紅魔館周辺

紅魔館を奪還するために紅魔館に向かおうとするカービィと咲夜、しかし丸腰で乗り込む訳にも行かず作戦を練っている。難しい顔をしながら考え込んでいる咲夜の横ではカービィは兵士が残したインベードアーマーに興味を示していた。そして搭乗し色々なボタンを押して遊んでいる。

咲夜「ちょ、ちょっとあなた何やってるの?危ないから離れなさ………キャッ!」

カービィが赤いボタンを押すと突然インベードアーマーが光り出した。そして立ち上がったと思いきや銀色のボディがピンク色に染まっていき、今までの兵器としての武骨さは無くなった。

咲夜「あなた………どうやったの?」
カービィ「ぽよ?」
咲夜「わからないの?………取り敢えず操縦できる?」
カービィ「ぽよ!」

カービィは取り敢えずでたらめに操作した。最初はぎこちない動きしかしなかったがやり方を覚えたのか徐々にちゃんとした動きができるようになった。溢れ出す無限大のパワーを秘めたロボボアーマーを味方につければ紅魔館を奪還できる、咲夜はそう考えた。

咲夜「今、私達は敵と同質の戦力を持ったわ。さあとっとと終わらせてご飯にしましょうか。」
カービィ「ぽよ!」



紅魔館

大きな門の向こうには真っ赤な工業地帯が広がっていた。飛び交う輸送マシン、中庭を埋め尽くすほどのベルトコンベア、せわしなく動くクレーン、今まで暮らしていた紅魔館とは比べ物にならないぐらいに変貌していた。

咲夜「ここが、紅魔館……?まるで工場みたいだけど……それになぜ妖精メイドが働いているのかしら。」
カービィ「ぽよ!ぽよ!」
咲夜「ああ、ごめんなさい。行きましょう……と言いたいところだけど、まずはご挨拶したい人がいるのよ。美鈴っていう門番さんにね。」

工業地帯を進んでいくと部品を運んでいるメイドの中に美鈴が混ざっているのを見た。他のメイドよりも何倍も大きい部品を担ぐ美鈴の顔に辛さは無いようであり、咲夜を見つけた時もいつも通りの対応だった。

美鈴「咲夜さん!無事だったんですね、よかった………」
咲夜「ねぇ、あのあとどうなったの?」
美鈴「結局数に負けて捕まってしまいました……今では労働者として働かされてます。逆らうと電流が流れる細工もされてしまったそうで。」
咲夜「それは大変!早くなんとかしないと………」
美鈴「いえ、私よりもパチュリーさんを助けて下さい!魔力を根こそぎ吸いとられてマシンの原動力にされてるんです………24時間休み無しでですよ!いくら魔法使いだと言っても心配です………」
咲夜「そう………わかったわ。」
美鈴「気をつけて下さいね………中はもっと警備が厳重です。」

紅魔館の内部に侵入した咲夜とカービィ。見渡す限り機械ばかりでとにかく広い。取り敢えずパチュリーのいそうな図書館を目指してとにかく破壊して突っ走る。カービィの操縦さばきも手慣れたものになっており細かい動きもこなせるようになっていた。

兵士1「な、なんだこいつら!」
兵士2「侵入者だ!直ちに排除しろ!」
咲夜「能力が使えばこっちのものですわ……カービィはとにかく道を作って!私は援護するわ!」
カービィ「ぽよ!」

強引に道を作り先に進むカービィ、取りこぼした雑魚を時間を止めてからの奇襲で一掃する咲夜、2人の息はピッタリ合い怒濤の速度で進撃していた。
更にロボボアーマーはコピーができる。咲夜から渡されたナイフをスキャンするとアーマーが緑色に変わり、腕が大きなビームソードになった。高出力の電気の剣から放たれる一撃はどんな物でも真っ二つ。図書館への道は近づきつつあった。







レミリア「これはどういうことかしら?」
メタナイト「………………」

紅魔館にたどり着いたレミリアとメタナイト。完全な変貌を遂げた紅魔館を見てレミリアは絶句していた。メタナイトはレミリアをなんとかなだめて工業地帯を進む。

美鈴「あ、お嬢様…………よくぞご無事で………」
レミリア「美鈴………」
美鈴「申し訳ありません!紅魔館を………守りきることができませんでした…………」
レミリア「いいのよ。相手は未知の軍団、それにこれから取り戻せばいいんだから……」
美鈴「そうですか………咲夜さんも戻ってきたし、やっと希望が持てそうです!」
レミリア「咲夜もきてるの?」
美鈴「はい、パチュリーさんを助けに図書館へ向かって行きましたよ。中で相当暴れてるみたいですから今なら警備の目は薄いかもしれません!」
レミリア「まったく………何考えてんのよ………」

紅魔館の中は荒れ果てていた。機械はバラバラ、『綺麗に』真っ二つになっている壁、倒れている兵士の頭にはナイフが刺さっているものもあった。

レミリア「これ、全部咲夜がやったのかしら……いくら咲夜でもロボットを壊せるようなパワーは無かったと思うんだけど。」
メタナイト「恐らく他に協力者が見つかったのだろう。しかし恐ろしいほどのパワーだ……」
レミリア「図書館の方に向かってるみたい………待ってて咲夜、パチェ、今行くわ!」









図書館前

工場には似合わない木でできた扉の前に咲夜とカービィはいた。そして今まさにむりやり扉を破壊しようとした時

『あんたどこまで私の紅魔館を壊す気?』

背後から声が聞こえた。

咲夜「お嬢様!よくぞご無事で!」
レミリア「まったく……そっちはピンピンしてるわね、心配して損した。」
メタナイト「カービィ………まさかお前がロボットを乗りこなすとはな………」
カービィ「ぽよ!」

メタナイト「さて………パチュリーとやらがいるのはこの先か。」
咲夜「お嬢様……この方は?」
レミリア「メタナイトよ、別世界からきた私のガードマン。」
メタナイト「………あなたが咲夜殿か。レミリア殿から名前は聞いた。よろしく頼む。」
咲夜「よほど信頼されているのね、わかったわ。」
レミリア「さて、それじゃ行くわよ。」

レミリアが扉を開けると、そこにあったのは近未来的な設備を備えた図書館と拘束され魔力を搾取されているパチュリーだった。

Re: 東方×カービィ 幻想郷のキカイ化 ( No.27 )
日時: 2017/06/14 12:23
名前: ピコパ ◆aIf9C.jTkU (ID: FpNTyiBw)

frontstory >>26



25・知識と日陰の魔女



魔法図書館・メインエリア

レミリア達は機械に繋がれ魔力を搾取されているパチュリーと出会った。既にかなりの量を搾取されているようでかなり痩せこけていたがまだ意識はあるようだ。

レミリア「パチェ!大丈夫!?」
パチュリー「レミィ……咲夜……どうして……」
レミリア「ここは私の家よ、だから取り返すのは当然でしょう。」
メタナイト「この規模………恐らくここで動いている機械はほぼ彼女の魔力が使われているのだろう。」
咲夜「なんて酷い………」
レミリア「待ってて、今すぐ助けて……」
パチュリー「だめ!それ以上は………キャッ!」

機械がパチュリーを取り込み格納してしまった。無数の警報音が鳴ると本棚の奥からセキュリティサービスが現れた。完全に囲まれたレミリア達は武器を構えて臨戦態勢を取る。

レミリア「なんなのよこいつら……邪魔するなら容赦しないわよ!」
咲夜「武装も強力な物が増えていますね………」
メタナイト「心配はいらん。3人で攪乱しつつカービィのロボボアーマーで吹き飛ばせばいい。」
カービィ「ぽよ!」

素早い動きでセキュリティサービスのセンサーを掻い潜る3人。誘導地雷やプラズマソードの猛攻を耐えつつロボボアーマーの拳がセキュリティサービスの胴体をえぐり吹き飛ばす。自爆なんてさせるものかと怒濤の勢いで殴るカービィに3人も続いていく。

レミリア「これで……とどめよ!」
咲夜「はぁっ!」
メタナイト「見るがいい……」
カービィ「ぽよ!」

全てのセキュリティサービスを倒すと今度はパチュリーを取り込んだリアクターが動き出した。魔力を無理矢理コントロールし武装する。

パチュリー「うっ……うぅ…………はぁ………」
リアクター『防衛システム作動、アグニシャインプログラム起動。』

両脇についたオプションからものすごい勢いの炎が吹き出した。逃げる侵入者達を執拗に追いかけやきつくす。ちなみに本は燃えない。追いかけるのをやめたリアクターは今度はグルグルと回転し炎の渦を作り出した。熱い空気が図書館を包み込む。

レミリア「あ、熱い!日焼けしてしまうわ!」
咲夜「気にする所はそこですかお嬢様……」
メタナイト「ぐっ………なんて威力だ………オプションさえ止められれば………」
カービィ「ぽよ……ぽよ!」

カービィはセキュリティサービスの残骸をリアクターに向かって投げつけた。するとリアクターを損傷し回転が停止した。メタナイトはこの隙を見逃さず見えないくらいの速さでオプションを破壊した。

リアクター『損傷カクニン………次ノプログラムニ移行シマス。シルバードラゴンプログラム起動。』

リアクターはドラゴンと戦闘機を混ぜたような姿に変形し襲いかかる。ツメや牙、ブレスや尻尾など大きな攻撃をかわしつつ攻撃のチャンスをうかがう。

レミリア「あの尻尾、あなたのロボでつかんで投げる!みたいなことできないの?」
メタナイト「試してみる価値はあるかもしれないな、行けるか?」
カービィ「ぽよ!」

カービィは尻尾攻撃を受け止めガッチリと掴んだ。そしてグルグルと振り回し壁に激突させる。本棚が揺れ並んでいた本が落ち埋もれたリアクターは再度復帰した。

リアクター『損傷カクニン………次ノプログラムニ移行シマス。ロイヤルフレアプログラム、起動。』

今度は大砲のような姿に変形したリアクター。眩しい光が爆発を伴って炸裂する。

レミリア「眩しーい!これじゃ灰になっちゃうわ。」
咲夜「しかしこれでは迂闊に近づけませんね………」
メタナイト「しかし後ろに回り込めば攻撃は当たらない。本体も光で我々が見えないだろうからな。」

4人は1度バラバラに散った。標的を失ったリアクターは1人を執拗に追いかけることしかできない。そしてその隙に後ろにまわりこみ、重い一撃を叩き込む。

メタナイト「シャトルループ!」
レミリア「デーモンキングクレイドル!」
咲夜「殺人ドール!」

いっぺんに大きな攻撃を受けたリアクターは火花と煙を立てながらゆっくりと落っこちていく。そこから放り出されるようにしてパチュリーが飛び出してきた。






パチュリー「うっ……うぅ………」
レミリア「大丈夫、パチェ?」
パチュリー「えぇ………頭がクラクラするわ………まったく酷いことするわねぇ。」
メタナイト「動力源が無くなった今、ハルトマン社の者は撤退したようだ。私達を追い出そうとしない辺りここを放棄しても問題はないということか。」
レミリア「さんざん改造しておいて最後は放棄……とことん私を怒らせるのが得意な連中ね。」
咲夜「しかし紅魔館を奪還できたのは大きいですよお嬢様。恐らく美鈴や他の妖精メイドも拘束を解かれて自由になっていることでしょうし。」
レミリア「そうね………」

パチュリーの無事を確認し安堵しているとカービィの腹の音が聞こえた。あれからずっとまともな物を食べていないカービィはもう腹ペコのようだった。

咲夜「さて、それでは晩餐にしましょう。メタナイト様もご一緒に。」
メタナイト「それはありがたい。」
レミリア「とことん食べて力をつけて、いつか必ず借りを返してやるわ!」

その日の晩餐会は遅くまで続いていたという。レミリア曰く「こんなに賑やかな晩餐会を開いたのは久しぶり」らしい。
翌朝、レミリアはカービィ達と共に行くことを告げた。

レミリア「美鈴やパチェもいるから大丈夫よ。用がないならもう襲ってくることもないだろうし。」
美鈴「頑張って下さいね!」
パチュリー「足手まといになるだろうから今回はパス。なんとかやっとくわ。」
メタナイト「それはちょうどいい。この世界の住人がいれば安心だ。」

こうして4人は気持ちを新たにキカイ化された幻想郷を救う旅に出た。






『紅魔館、奪還』





Re: 東方×カービィ 幻想郷のキカイ化 ( No.28 )
日時: 2017/06/18 10:05
名前: ピコパ ◆aIf9C.jTkU (ID: wXGYBxg0)

frontstory >>08 >>11



26・異空間での邂逅



異空間

デデデ「うおりゃああああ!!」
バンワド「たああぁっ!!」

襲い来るスフィアローパーを倒し出口を探すデデデとバンワド。マホロアの復活に戸惑いながらもハンマーを持つ手に休みは無かった。迷路のような道を進んでいくとスフィアローパーに囲まれている少女がいた。少女は深い傷を負い倒れている女性を庇い必死に応戦していた。

デデデ「俺達の他にも異空間に飛ばされた奴がいるぞ!」
バンワド「すぐに助けましょう!」









ローパー『ウオォォォ……………ウオォォォ……………』
橙「ら、藍しゃまは私が守ります!」
藍「橙……ダメだよ………私を置いて………」
橙「嫌です!藍しゃまを置いてなんていけません!」
藍「橙……」

小さい体をひたすら動かしてスフィアローパーを撃退する橙。見たことのない敵に震える足を抑えながらも必死に応戦していた。しかし何度倒してもやってくるスフィアローパーに橙はだんだんと疲れを見せる。それでも藍の為なら命すら差し出す覚悟でいた。
それを止めたのは後ろからやってきた2人の戦士だった。2人はスフィアローパーを難なく退けた。

デデデ「何やってんだお前!ひとまずずらかるぞ!おいバンワド!このキツネっぽいの担げ!」
バンワド「はい!」
橙「ちょっと!何よあなた達!」
デデデ「話は後だ!行くぞ!」






なんとかスフィアローパーを撒いたデデデ。バンワドは藍の傷の手当てをするためにバンダナから救急セットを出した。手際よく手当てを施した結果なんとか藍は立てるようになるまで回復した。

藍「ありがとう………助けてくれて。私は八雲藍、こっちは橙。謎の青い魔術師に襲われて………」
デデデ「お前らもか………アイツ、何を考えてやがるんだ……」
バンワド「エナジースフィアが出すエネルギーとあなた達の使う魔力の波長が似てるのが増殖の原因ですね………」
デデデ「とりあえずここじゃあまた襲ってくるかもしれねえ、歩くか。」

4人はそれぞれ別の世界の住人であることを話した。デデデ達は正体不明の要塞に襲われマホロアに遭遇し、藍達もマホロアによってここに飛ばされた。いくらマホロアでも全く別の世界にまでやってくることは無いのかと思われていたが、どうやら時空の旅人には容易いこどったようだ。とりあえず協力してここを出ることにした。

デデデ「ラージローパーっつースフィアローパーの親玉を倒せばここを出られるはずだ。どこに出るかは知らんがな。」
藍「ここのことを知っているの?」
デデデ「マホロアとは何度か会ったことがあるからな、とらえどころがなくて何考えてんのかわからねえ雲みてえなやつだよ。」

マホロアのことについて話していると目の前にはスフィアローパーの大群があった。1匹のスフィアローパーがこちらに気づくと合体を始めた。数十匹のスフィアローパーは大きなラージローパーとなり大口を開けてデデデ達を威嚇した。デデデ達もここを出る為に武器を構える。
大きくなったラージローパーの攻撃の規模は桁違いだ。きりもみ突進、魔力球、爆発、どれも威力と範囲が大きすぎる。細かい攻撃を重ねるがダメージを食らっている感じはなく戦いは続いていく。
すると藍が詠唱の為の護衛を要求した。デデデ達はすぐに引き受け詠唱が完了するまで藍を守る。その間もラージローパーは手加減することもなく攻撃を繰り返す。

藍「詠唱完了!奥義………天からのナインテール!撃てーっ!」

藍は魔方陣から9つの光の玉を作り出した。そして号令と共に玉から9本のレーザーがラージローパーを撃つ。体が大きい分避けづらいのか全てのレーザーを食らったラージローパー、フラフラになりながらも藍を食わんと襲いかかる。そして隙をついたバンワドの一撃によりラージローパーは消え去った。デデデは藍の魔力は凄まじいものだと改めて実感した。しばらくすると星形の時空の裂け目が現れた。

デデデ「お、やっぱり出てきたか時空の裂け目。」
藍「ひとまず脱出しよう。幻想郷に出たら私達が詳しいし、あなたの世界に出たらあなた達の方が詳しいからね。」






デデデ「マジルテか?ここ。」
バンワド「いえ、そもそもここはプププランドではないみたいです。」
藍「私もこの穴は見たことないな…………」

時空の裂け目から抜け出したデデデ達。そこに見たのは薄暗い縦穴の入り口だった。底が見えないくらい深い穴はどこか恐ろしい雰囲気に満ちていた。すぐそこには鎖で編まれたはしごのようなものが下げられている。デデデ達は注意深くはしごを下りる。下に行けば行くほど暗闇が辺りを包みだんだん手元が見えなくなってくる。慎重に行けよと呼び掛けるデデデは内心とてもビクビクしていた。なにしろ『暗闇』にはいい思い出が無いのだ。
しばらく下りていると灯りが現れた。灯りの正体は壁についているランプであり下に行くほど増えていく。さらに降りてようやく底についたデデデ。底の世界にあったのは家が立ち並ぶ街だった。

橙「幻想郷の地下にこんなおっきな街があったんですねー!」
藍「ここが旧地獄……のはずなんだろうけど、やけに静かだ。」
デデデ「それになんだかこの街の色が変だ……絵の具をごちゃまぜにしてぶちまけたような………」
バンワド「あそこに屋敷がありますけど………」

バンワドが指差したのは旧地獄の中で一番大きな屋敷『地霊殿』だった。

Re: 東方×カービィ 幻想郷のキカイ化 ( No.29 )
日時: 2017/06/30 17:58
名前: ピコパ ◆aIf9C.jTkU (ID: wXGYBxg0)

frontstory >>17 >>28



27・忘却の展覧会



旧地獄

家や店が多く立ち並ぶ商店街を歩くデデデ達。普段は賑やかなのだろうが、今では行き場を失った怨霊がふよふよと漂っているだけの不気味な空間と化している。濁った外観も相まってここは文字通り地獄と化していた。
次にデデデ達は大きな橋に差し掛かる。渡る者の途絶えた橋を渡ろうとすると、軋む音の他に助けを求める声がした。そこには裏返しになった額縁があった。デデデが恐る恐るひっくり返してみるとまるで『本物』のような絵画だった。

デデデ「おぉ、これはまた上手い絵だ………」
バンワド「大王様の肖像画も描いてもらいましょう!」
藍「瞳や肌の陰影もくっきりしてる……まるで本物みたいね。」

???「本物よ!!」

急に喋りだした絵画に驚いてデデデは手を離してしまった。慌てて絵画を立てると描かれた緑眼の女性は頭をさすっていた。よく見ると額縁には『Parsee』と彫られている。

パルスィ「よくも落っことしたわね……」
デデデ「す、すまん……まさか喋るとは思わなかった……」
バンワド「アドレーヌさんも来てるんですかね?」
藍「パルスィさん……と言いましたか、なぜ絵の中に?」
パルスィ「知らないわよ……地霊殿の方から不気味な煙が凄い勢いで下ってきて、気づいたらこうなってたわ。あのあと魔女みたいな人がやってきて絵画を取ってってたけど………私には見向きもしなかったわね………妬ましいわ!!」
デデデ「魔女……?おい、その魔女について詳しく聞かせてくれ!」
パルスィ「はぁ?んなこと言ったって………紫のローブを着込んでたことくらいしかわかんないわよ。」

デデデとバンワドは察した。全てを絵画にする力を持ち、紫のローブを着込み、自分を忘れた世界に復讐しようとする魔女、ドロシアを知っていたからだ。確かに元のドロシアの世界はかなり濁り不気味な色合いをしていた。今はまだ地底だけだが放っておくと幻想郷を絵画にしかねない。デデデ達は急いで地霊殿に向かった。

パルスィ「待って!せめてどこかに飾って!」






地霊殿

禍々しい空気を放つ大きな屋敷のエントランスにはここの住人であろう人々の絵画が飾ってあった。悲鳴、怒号、歓喜……展示場はある意味いつも通りの賑やかさだった。
ふとデデデは中央にある少女の像を見た。あどけない顔の下には第三の目とも言えるものがついている。像の表情は心なしか苦痛を訴えるように見えた。まるで抵抗する姿をそのまま固めたように……
像の近くには他とは違った絵画が飾ってあった。鬼や蜘蛛、桶や猫、烏と様々だ。デデデ達がそれを見ると、やはり絵画は動き出した。

お燐「あー!やっと人が来てくれたー!」
お空「うわーん!もうだめかと思ったよー!」
藍「と言うことは、あなた達も魔女に……」
勇儀「ああ、情けない話だよ。あたしがなんの抵抗も出来ずにやられちまうとはね………」
ヤマメ「動きづらいんだよこれー!早くなんとかしてー!」
キスメ「魔女を…………倒して…………そうすれば……さとり様もきっと…………!」
デデデ「さとりって………あの像のことか?フン、任せときな!」
お燐「ありがとう………魔女はあのおっきな額縁に入って行ったよ!」



大きな額縁の向こうはドロシアの世界だった。絵の具をゴシャゴシャにしたような色、無数に並ぶトゲの山、そしてケタケタと不気味に笑う絵画………ドロシアの世界は正に狂ったキャンパスそのものだった。橙はビクビクしながら藍の尻尾にくるまっている。

橙「こ、怖いよう…………藍しゃまぁ…………」
藍「大丈夫だよ橙。私がしっかり守ってあげるからね。」
デデデ「なぁバンワド………なんか前より酷くなってないか?」
バンワド「ですね………早くなんとかしないと………」

しばらく歩いているとどこからともなくキャンパスと筆が現れた。筆はキャンパスにトゲや爆弾を描くと煙のように消えてしまった。一瞬何が起きたかわからなかったデデデとバンワドだったがすぐに察知し藍と橙に叫んだ。

デデデ「マズい!おい皆、今すぐ走れ!トゲと爆弾が襲ってくるぞ!」
藍「何!?どういうこと!?」
バンワド「とにかく今は走って下さうわぁっ!?」

地面がボコボコと盛り上がったあと鋭く大きなトゲがデデデ達を突き刺そうとする。さらに空からパラシュートをつけた爆弾が落ちてくる。上と下、両方からの攻撃を避けながらデデデ達は逃げ続けた。

藍「な、なんでこんなことに………」
デデデ「バレたか……?でも近いはずだ、頑張れ!」

逃げた先に大きな扉がある。デデデはそれを思いっきり開けると広い空間に出た。そこは美術館の一室のようであり、様々な絵画が飾られていた。その部屋のまん中には絵の入っていない額縁があり、魔女はそこにたたずんでいた。

ドロシア「………本当は………私がこの額縁に入るはずだったのに………呪いだなんておかしな噂を信じこんで………しまわれて………忘れられて…………」
デデデ「やっぱりお前だったか………おい、気持ちはわかるが………」
ドロシア「いいえ、あなたにはわからないわ………だって、あなたを慕ってくれる人がいるんだもの………」
デデデ「………………」
ドロシア「あなたがなんと言おうと私の思いは変わらないわ。忘れられることがどんなに辛いことか、すぐにあなたもわかる日がくるわ。」
藍「どんな理由であれ、幻想郷に危機をもたらすのなら、倒さないわけにはいかないわね。」
橙「そ、そうです!怖い魔女さんは嫌いです!」

ドロシア「あなた達も参りましょう、忘却の果てに開かれる展覧会へ!」
デデデ「皆に愛されたかったらまず全部変えてこい!思いも服も、まとめて全部だ!」


Re: 東方×カービィ 幻想郷のキカイ化 ( No.30 )
日時: 2017/07/11 13:17
名前: ピコパ ◆aIf9C.jTkU (ID: xMxTbxuA)

frontstory >>29



28・復讐の魔女



ザ・ワールド・オブ・ドロシア

復讐に囚われた魔女は全てを絵画にしようと襲ってきた。自分の存在を隠された世界を、不自然な現象を信じこんだ人々を、慕ってくれる人がいるデデデ達を、ドロシアは許せなかった。嫉妬と憎悪を持ったドロシアはただただデデデ達を絵画にすることに専念した。魔力球や僕であるパラ・ソーサレスの攻撃に加え、額縁を投げつけたり絵の具爆弾を撃ったりと格段にパワーアップしている。デデデ達は怒涛の攻撃の裏にあるドロシアの復讐の念を嫌でも感じざるを得なかった。

ドロシア「………憎い…………あなたも………世界も…………」
デデデ「この………いい加減目覚めやがれ!」

デデデは魔力球を当たる寸前で打ち返しドロシアに命中させた。するとドロシアを包んでいたバリアが消え、その隙に藍と橙、バンワドが攻撃を集中させる。耐えられなくなったドロシアは瞬間移動で消え去った。

藍「なるほど………ああやればバリアが消えるのね。」
橙「でも、忘れられるってなんだかかわいそうですよね………」
デデデ「復讐は何も生み出さないとはよく言ったもんだ。あいつはもう復讐心の塊だ、何を言ったって届かねえだろうよ。言ったってしょうがねえなら体を張ってわかってもらうしかねえだろ。」

ドロシアの奇襲に備えていると突然モクモクと煙がたった。煙が晴れると現れたのは100門を越える大砲の絵画だった。その砲口は全てこちらがわに向かれている。

藍「大砲の絵?すごい、本物みたい!」
デデデ「いや、気をつけろ。あいつは絵画を実体化できる。こいつぁ厄介だ!」

ペラペラの砲口からは凄まじい勢いで砲弾が発射される。即座に藍が結界で対処したが雨とも言えるほどの量の攻撃は藍に大きな衝撃を与えた。

藍「うぅっ!……完全に甘く見てた………」
橙「ら、藍しゃまに痛いことするなんて………橙は怒りました!」
橙「ちょっと、橙!?どこいくの!?」
バンワド「危ないですよ!」

制止を聞かず橙は大砲に向かって全力で駆け出した。猫ならではの俊敏かつしなやかな動きでスタイリッシュに砲弾の間を縫っていく。大砲にたどり着くと爪で額縁を切り裂き、額縁から額縁へと飛び移りまた爪で裂いていく。約半分の大砲を破壊した橙は魔法陣の書かれたいくつかの卵を投げた。

橙「いっけー!鳳凰卵!」

すると卵が割れ中から炎の塊が生まれた。花火のように広がった炎は大砲の絵画を全て焼きつくし、100門を越える大砲は全て破壊された。小さくても可愛くても橙は立派な妖怪であることをデデデとバンワドは改めて思い知らされた。

橙「やりました藍しゃま!」
藍「橙……いつの間にこんなに強くなったの?藍様感激!」
デデデ「やい、そろそろ姿を現しやがれ!」

『この憎しみを………絵画に込めてあなたにも送ってあげるわ………』

ドロシアがケタケタ絵画と共に現れた。不適笑うケタケタ絵画は早く標的を仕留めんとゴトゴトと動いている。号令と共に放たれたケタケタ絵画は噛みついてきたり絵の具を吐いたりと様々な動きをする。大砲と違い『動く』ので一筋縄ではいかないのだ。
しかし、ドロシアは元々こちらの世界の敵。それにこっちは何回も世界を救ってきたのだ。故に2人はいつものことをするかのように鮮やかにケタケタ絵画を倒していく。かたやハンマーでへし折り、かたや槍で突き破り。柔よく剛を制す2人の攻撃は見事に噛み合っていた。

デデデ「どおらあっ!!」
バンワド「せいやぁっ!!」

藍と橙のアシストもあり、とうとうドロシアだけになった。それでもドロシアは攻撃の手を緩めることなく追い詰める。バリアを壊すには魔力球を跳ね返すしか方法は無く、戦況は未だ五分五分となっている。
しばらくするとドロシアは巨大なキャンパスと蛇の目玉がついた筆を取りだし蛇の絵を描いた。これぞさとりを石像にさせた『メドゥーサの眼筆』の力である。

ドロシア「悠久の芸術になるがいいわ………!」
デデデ「うおっ………体が………動かねぇ………」
バンワド「だ、大王様!?」

不意をつかれた大王は蛇の目を見てしまった。体が硬直しだんだんと動かなくなり、数分経つと立派な石像となった。

バンワド「だ、大王様……………」
橙「い、石になっちゃいましたね………」
ドロシア「まずは…………1人………え?」

デデデの石像がプルプルと揺れる。すると今まで石になって動かなかった腕が動くようになった。続いて足、胴体と動く箇所はさらに増え、ハンマーで顔の石を叩き割るとそのままドロシアを殴りつけた。バリアはいつも張ってあるわけではなく時々無くなる時があるとわかったのはそのときだった。

デデデ「はぁ………はぁ………なんとかなったか…………おい、バンワド!……ああもう泣くな泣くな!俺が悪いみたいじゃねえか!泣くな!」
ドロシア「な、なんで………?」
デデデ「呪いなんかにやられるほど俺は弱くなんかねえんでな!」
ドロシア「呪い…………そう。」
藍「橙!今よ!」
橙「はい!鳳凰卵!」

適当に投げた卵から炎が出てくる。無作為に広がる炎は蛇の絵を焼きつくした。

ドロシア「でも……………そろそろ終わりよ………あなた達を絵画にして、この世界を修正する。」

ドロシアは最大まで大きくした魔力球を放った。ドロシアの身長の何倍も大きな魔力球をデデデは受け止める。しかし魔力球の威力は大きく徐々にデデデを押しのけていく。じっと踏ん張って耐えていると背中に暖かい感触があった。

デデデ「お前ら………」
バンワド「ここは僕達が支えます!」
藍「さあ!幻想郷の平和の為に!」
橙「思いっきりやっちゃって下さい!」
デデデ「へっ………うおぉぉぉぉ!!!」

バンワド達の支えを頼りにデデデは魔力球に打ち勝った。打ち返された魔力球はそのままドロシアを飲み込み爆発した。



『世界中の人が………あなたみたいな人だったら…………私……は…………』



そう言葉を残し、ドロシアは消えた。

デデデ「さ、帰ろうぜ。」
バンワド「はい!」
橙「疲れました………」
藍「ほら、あともうちょっとだよ。」






地霊殿

地霊殿はドロシアの呪いから解放された人々で溢れ帰っていた。騒がしいのは前と変わらず、思い思いの言葉を投げかけながら街へと戻っていった。

勇儀「へぇ………あんた魔女に打ち勝ったのかい?やるねえ!」
パルスィ「なかなかやるじゃないあなた達………妬ましいわ…………」
キスメ「ありがとう…………皆さん………!」
ヤマメ「ふぁー……一時はどうなることかと思ったよー!」
お燐「助かった………助かったんだねあたい達!」
お空「わーい!これで思いっきり遊べるねー!」

しばらくすると奥からさとりが現れた。

さとり「旅の方………地底を救っていただき、ありがとうございます。」
デデデ「おう、困ったときはお互い様だ!」
さとり「地上が征服されたと聞いてここの警備を強化させていたのですが……まさか絵画にやられるとは思いませんでした。」
デデデ「そうだよな……んで、その絵画はどうすんだ?」

デデデはドロシアが描かれた絵画を指す。ドロシアの目にはもう復讐の炎は灯っていなかった。

さとり「そのまま飾っておきます。呪いの絵画だとか言われていますが……ここの住人は呪いなんかには負けないので。」
(それに………魔女の方もそれを望んでいるようでしたし。)
デデデ「そうか………まぁ、何かあったらすぐ呼んでくれ!」

一通りの挨拶を交わした後デデデ達はまた旅に出た。しばらくすれば地霊殿もいつもの活気を取り戻すと信じて。





『地霊殿、奪還』






さとり「あれ?そういえばこいしは?」
お燐「え?見てませんよ?」
さとり「こいしー!どこなのー!こいしー!」



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