二次創作小説(新・総合)

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東方×カービィ 幻想郷のキカイ化
日時: 2018/11/11 12:09
名前: ピコパ ◆aIf9C.jTkU (ID: aFJ0KTw3)

皆様はじめまして、ハルトマン社新人秘書のピコパです。今回は東方とカービィの小説を書かせていただきます。理由はどっちも好きであることと意外に共通点が多いことですね。

あらすじはこちら

ハルトマン社のマザーコンピューター『星の夢』の時空間転移プログラムをリニューアルし幻想郷のデータを獲得。魔法や神といった科学とはかけ離れた常識や豊富な資源を手にいれる為にハルトマン社は幻想郷キカイ化プロジェクトに乗り出した。科学と魔法、相反する2つの戦いが今始まろうとしていた。


この小説を読むにあたって
・この小説には作者による独自解釈や設定が含まれています。基礎情報は確認済みですがご了承下さい。
・とにかく話が広がり中々先に進まない場合があります。
・この小説オリジナルの技やキャラクターが出てくる場合があります。
・作者はあまり文才がありません、完全に行き当たりばったりで書いています。なので不備が生じることがありますのでその時は指摘をお願いします。
・この小説への荒らしや誹謗中傷のコメントはご遠慮下さい。

現在の物語
・デデデ編2

フェイズ0・幻想郷の存在
>>01 >>04 >>05
フェイズ1・幻想大侵攻
>>06 >>07 >>08 >>09 >>10 >>11 >>12 >>13 >>14 >>15 >>16 >>17 >>18 >>19 >>20 >>21 >>22
フェイズ2・幻想を越えた出会い
>>23 >>24 >>25 >>26 >>27 >>28 >>29 >>30 >>32 >>33 >>34 >>35 >>36 >>43 >>44 >>45 >>46 >>47 >>48 >>53 >>56 >>58 >>59 >>62 >>63 >>64 >>65 >>66 >>67 >>68 >>69 >>70 >>73 >>74 >>75 >>76 >>77 >>78
おまけ
>>31 >>37 >>49 >>50 >>60 >>61 >>62 >>71 >>72
レミリアの夏休み
>>38 >>39 >>40 >>41 >>42

Re: 東方×カービィ 幻想郷のキカイ化 ( No.16 )
日時: 2017/05/18 10:22
名前: ピコパ ◆aIf9C.jTkU (ID: v2BiiJyf)



14・黒き虹奪う者



魔法の森

魔法使いが住むと言われる幻想郷の中でも深い森。その中にはこぢんまりとした小さな家があり、窓には色々な衣装を着ている人形が座っていた。まるですべての国境を取り払ってできた国のような窓の向こうでは家の主が人形作りに勤しんでいる。幻想郷でも随一の器用さを誇る彼女の作る人形はとても繊細でまるで本物の人間のように見えた。

『おーい!アリスー!』

アリスと呼ばれた彼女は手を止めてドアを開ける。外には魔理沙がおり、彼女は家の中に魔理沙を入れた。人形を操り紅茶とお菓子を用意し魔理沙を丁寧にもてなす。

アリス「どうしたの?」
魔理沙「いや、ちょっと相談したいことがあるんだ……」

魔理沙は紫に言われたことをそのまま話した。紫はとらえどころがなく胡散臭いのでアリスは信じられないような顔をしていたが、その紫すら原因不明という嫌な予感の話をした途端、アリスの顔は曇っていた。現実味を帯び信じる気になったのだろう。しかし、戦争が始まるかもしれないといきなり言われても困るとアリスは言った。

魔理沙「これが異変によるものだったら霊夢と私で解決できるんだがなぁ……」
アリス「今までのよりも酷くなるかもしれないってことでしょ……?どうしたらいいの?」
魔理沙「それをお前に聞きに来たんだ、何かないのか?」
アリス「あなたのことだから犯人を見つけてやめさせるぐらいのことはやるもんだと思ってたんだけど。」
魔理沙「そりゃそうしたいけど……なんかこう、確信が持てないからうかつには動けないんだ。」
アリス「あなたらしくもない………」
魔理沙「だって戦争レベルなんだぜ?慎重にもなるさ。」
アリス「ますますもってあなたらしくもない……」
魔理沙「悪かったな!」







話を続けていると突然地面が揺れた。人形が棚から崩れ落ちアリスと魔理沙はテーブルの下に隠れる。やっと揺れが収まった頃、戦争の心配をしていたからか急に心配になってきた。

アリス「地震?いや、なんか違和感を感じるわ……」
魔理沙「戦争の始まりだな……アリスはここに残っててくれ、私が片付けてやる!」
アリス「ちょ、ちょっと魔理沙!」

魔理沙は家を飛び出した。森の外から侵略者の姿が見えそこに向かって突進した。作業をしていたロボット兵が慌てて迎撃する。

兵士「な、なんだお前は!?」
魔理沙「うるさい!幻想郷の侵略者なんて私が消してやるぜ!マスタースパーク!!」
兵士「ぐ、ぐわあぁ!なんだこのパワーは!?」

ハルトニウム合金のインベードアーマーを吹き飛ばすほどの威力を持つマスタースパーク。魔理沙はこれを連発しロボット兵を次々と倒していく。
半分以上のロボット兵を倒すと、空が急に暗くなり、闇に覆われた。そして黒い霧のようなものが集まり、1つの形を作り上げた。それは冷徹な目付きで魔理沙をゆっくりと見下す。その様はまさに暗黒の物質『ダークマター』だった。

マター「こんな小娘ごときに何をしている。」
魔理沙「お前が黒幕だな!幻想郷をこんなにして、なんのつもりだ!」
マター「貴様には関係のないことだ。聞きたければ力ずくで来い。」

ダークマターは闇の剣の矛先を魔理沙に向けた。魔理沙は待ってましたと言わんばかりに八卦炉の口をダークマターに向ける。そして光をためてダークマターに放つ。まさに影も霞むほど凄まじい輝きがダークマターを襲うも、軽く剣で払われてしまった。

マター「……終いか?それなら……………」
魔理沙「な、何をやって………ぐっ!?」

ダークマターが姿を消すと急に頭が急に痛くなり声が入ってきた。魔理沙はダークマターに取りつかれたのだ。必死に抵抗するも拘束が強く中々意識を保つことができない。時間が経つと勝手に体が動いてしまうほどになってしまった。

『これ以上我々の邪魔をしないよう、少々痛い目に遭ってもらうとしよう。』

魔理沙が手にしたのは闇の剣だった。震える手はしっかりと柄を握りしめ、魔理沙の体を思いっきり突き刺した。激痛に耐えかねた魔理沙は横になり、喚く。白黒の衣装には鮮やかすぎるほどの赤が体を包み込む。

魔理沙「ぐっ………うっ…………………」
マター「……とどめだ。」

『やめなさい!』

横から人形が飛びダークマターを切りつける。そこにいたのはアリスだった。

魔理沙「アリス……待ってろって………」
アリス「あなただけじゃ不安だもの………さぁ、連れていくなら私を連れていきなさい。」
魔理沙「お、おい、お前…………」
アリス「そいつはパワーだけが頼りだけど、私はそいつよりもいいものをたくさん持っているわ。」
マター「自らを盾にそいつを守るつもりか………?いいだろう、ならばお前を連れていってやろう。」

ダークマターは次元を切り裂き裂け目を作った。アリスは魔理沙に少しだけ微笑んだあと裂け目とともに消えてしまった。アリスは自分を犠牲にして魔理沙を守ったのだ、それに気づいた魔理沙はただただ痛みに耐えることしかできなかった。

兵士「それで、こいつはどうします?」
マター「どうせすぐに絶命するだろうが……一応捨てておくか。」

またも次元を切り裂き裂け目を作ると動けない魔理沙をそのまま投げ込んだ。

マター「さて……ここを切り開き、新たな文明を築くとしよう。」






『魔法の森、制圧。』




Re: 東方×カービィ 幻想郷のキカイ化 ( No.17 )
日時: 2017/05/05 23:46
名前: ピコパ ◆aIf9C.jTkU (ID: wXGYBxg0)




15・地底に広がる芸術



地霊殿

地面の奥深く、太陽の光すら届かない場所には大きな街があった。そこは『旧都』と呼ばれる街で鬼や妖怪達の住みかとなっている。怨念すら漂う都市の中心には旧都を治める主が住む地霊殿があり、すぐ真下にある灼熱地獄もここの主の管轄である。
地上での騒ぎの噂を耳にした主、さとりはここにも異変が起きてないかペットのお空とお燐に調査をさせた。今は心配そうに帰りを待っている。

お空「さとり様ー!調査終わりましたー!」
お燐「とくに変わったことは無いですよ。」
さとり「そう……それならよいのですが………お空、その手に持っているのはなんですか?」

さとりはそう尋ねるとお空はまるで宝物を見つけたこどものように満足げに掲げて見せた。それは魔女を描いた絵画だった。描かれた魔女は哀しみに満ちた瞳をしていたが、まるで本物のようなその瞳にさとりはすくんだ。

お空「それで、この絵画をエントランスに飾りたいんですけど……どうですかね?」
さとり「……やめなさいお空、その絵画は……何だか見ていて気味が悪いです。まるで生きているように私を見つめているようで…………」
お空「そうですかねぇ?まぁ確かにリアルな感じがしますけど………」
さとり「この絵画の作者には申し訳ありませんが……燃やしてしまいましょう。地上に異変が起きている今、その絵画にもからくりが無いとは言えませんし……呪われそうな感じがして………」
お空「はぁ……さとり様がそう言うのなら……」

『…………どい…………………』

お空が絵画を燃やそうと腕の砲口を向けた途端、どこからか呻き声が聞こえた。どうやらこの絵画から聞こえてくる。

『………ひどいわ…………あなたも…………そうやって…………私を……………!!!』

絵画からの呻き声はどんどん大きくなっていき、オーラがわき出てきた。そのオーラは額縁を包み込み宙に浮かせると、絵画そっくりの魔女が飛び出した。古びたローブの奥から覗かせる瞳に光は灯っておらず深い哀しみを湛えている。

ドロシア「誰も………『ドロシア』を見てくれない……人が作った作品を人が捨てる………当たり前のことだけど、それはとっても悲しいこと…………」
さとり「ま、魔女が飛び出した!」
お空「さとり様、ここは私が!」

お空が炎をドロシアに放つも、それは見えない壁のようなものによって阻まれる。ドロシアは何事もなかったかのように更に話を続ける。

ドロシア「私は呪いの絵画として潰れた美術館の倉庫にしまわれたわ。誰も私を怖がって見てくれない。新しい主が来たかと思えば狂って死んで流れての繰り返し………人は弱い生き物ね。」
さとり「なんて絵画なの………あなたが全てやっているのではないの?」
ドロシア「私を生み出したのは私の作者。その作者も狂って死んだわ、まだ名もない新人だったけど心が病んでいた。私は悪くないのにみんな私のせいにする。誰も見てくれないなら…………あなた達が私を燃やすというのなら………



こんな世界、消えてしまえばいい。」

ドロシアは禍々しい煙を吹き出すと地霊殿の壁が変色した。絵の具をぐちゃぐちゃにかき混ぜたように濁った色が地霊殿を覆い尽くすが、これだけでは魔女の復讐は終わらない。

お空「あ、あれ?体が動かないよー!」
お燐「お、お空!私達絵画になってるよ!」

さっきまでそばにいたお空とお燐が絵画となって額縁に閉じ込められてしまった。しかしさとりだけはなぜか絵画にならずに済んだようだ。

さとり「あなたの心は………寂しさでいっぱいですね………」
ドロシア「私の心を覗くあなたには……これがお似合いよ。」

ドロシアは異次元から蛇の目が描かれた絵画を取りだしさとりに掲げた。するとさとりの体がだんだんと石に変わっていく。気づいた時にはすでに足が動かなくなっていた。

さとり「な、か、体が…………動かな…………」
お空&お燐「「さとり様!?」」

足元からどんどん石になり、それが頭まで達した時にはさとりは物言わぬ石像と化していた。ドロシアは芸術品となった住人を飾ると今度は地霊殿の外に目をつけた。そして今度はもっと多くの煙を出し、旧都全てを芸術に変えようとする。
煙が晴れた時、さっきまで賑わっていた旧都は静かになった。鬼も妖怪も怨念も、全てが絵画や芸術品となってしまい、旧都自体も濁った世界となってしまった。誰もいない世界の真ん中、ドロシアは地霊殿を芸術品となった住人達を飾る美術館にした。絵画に描かれた住人達はみんな悲しい顔や苦しい顔でいっぱいだった。

Re: 東方×カービィ 幻想郷のキカイ化 ( No.18 )
日時: 2017/05/18 10:24
名前: ピコパ ◆aIf9C.jTkU (ID: v2BiiJyf)


16・封じられた者同士



命蓮寺

人里の近くにあるお寺、命蓮寺の境内では早くも戦闘が行われていた。寺の主、白蓮が相手にしているのは白い翼を宿した一頭身のナイトだった。しかし一頭身であれどもその立ち回りは白蓮とも互角、盾で攻撃を凌ぎ、槍で貫く。時折空を飛び空中戦に持ち込むがそれでも互角、お互い距離を置いて相手の出方を伺っている。
そばにはすでに倒れている住人がいた。山彦も船霊も入道使いも毘沙門天の部下も銀河最強の戦士には敵わなかったようである。

白蓮「いきなり現れて奇襲を仕掛けるとは……戦士の信念に背くのではありませんか?」
ギャラクティックナイト「お前には人間にはあるまじき気迫がある。それに今の私は戦士ではなく侵略者だ、正々堂々と戦う気は無い。………この程度で全力ではないだろう?封印が解けて間が経っていないかそれとも……平和ボケしたこの世界にどっぷり浸かって腕が鈍ったのか………」
白蓮「そちらこそ、銀河最強と言う割にはあまり体が動いていないように見えますが?あなたも長い間封印されていた……のかもしれませんね。」
ギャラク「フン………ではお互いまだやれるということだな。ウォーミングアップはここまでとしようか。」
白蓮「ええ………侵略者が相手なら手加減する必要も無いでしょうし。」

すると2人のパワーが急激に増大する。白蓮の体からは黄金のオーラが増し、ギャラクティックナイトの体からは白のオーラが増していた。強大な力がぶつかり合い空気を押し揺るがす戦いは熾烈を極めた。その迫力に倒れていた住人達は意識を取り戻した。

水蜜「うぅ……ひ、ひじり……?」
一輪「まだ………私達もやれます………!」
響子「不意打ちだったけど……今なら!」

住人達は力を振り絞りギャラクティックナイトに攻撃する。思わぬ所から攻撃を受けたギャラクティックナイトは一瞬怯んだがすぐに体勢を建て直し反撃を行った。力をため放った切り上げは空気を巻き込み大きな竜巻となって住人を巻き込む。

白蓮「皆さん!」
ギャラク「力の無いやつらが集まろうと同じことだ。そしてよそ見をする暇など無いぞ!」

白蓮が一瞬気を緩ませた瞬間、懐に潜り込み切りつける。魔力を集中させる暇もなく普通の人間並みになっていた体にはキツい一撃をくらってしまった。それでも住人を助けんと立ち上がる。

ギャラク「ほう………あの一撃をくらってもなお立ち上がるとはな……さすがは『人間をやめた大魔法使い』、こうでなくては面白くない。」
白蓮「『銀河最強の戦士』様にそう言っていただけるとは思いませんでした………しかし、これ以上境内を荒らされては困ります、次で終わりにしましょう………!!」
ギャラク「そうだな………この一撃を手向けとしよう。」

お互い力を最大まで高め一転に集中させて放つ。今まででいちばん大きなぶつかり合いはついに大地をえぐるレベルにまで達した。

白蓮「はあぁ………仁王爆掌!!」
ギャラク「うおぉ………時界大斬閃!!」

黄金の右手から放たれる気砲と時空を歪めた時の流れが衝突する。互角に見えた戦いだったが負傷もあってか徐々に白蓮が押されている。そして力が尽きた時、白蓮は時間の流れに巻き込まれた。世界の始まりから流れる時間が力となって襲いかかり、白蓮を圧倒した。

白蓮「がはっ…………」
ギャラク「私にこの技を使わせるとはな………待たせたなお前達、自由に占拠するがいい。」
兵士「はっ!」

邪魔者を排除し命蓮寺を改造するロボット兵達。住人を捕らえた後、1人の兵士があることに気づいた。

兵士「おい、あと1人いたはずだぞ?」
兵士「ネズミがいない………逃げたか。」
兵士「探せ!まだどこかにいるはずだ!」

ロボット兵はあと1人を捕まえる為にバラバラに捜索しにいった。そしてそれを影からこっそりと覗いている影があった。

小傘「うわ………なんか大変なことになってる……でもこんなに人がいれば驚いてくれるよね………」
ギャラク「………おい。」
小傘「異世界の人っぽいけど………驚いてくれるかなぁ………」
ギャラク「おい。」
小傘「よし…………張り切って…………」
ギャラク「おい!」
小傘「ひゃあっ!?………わ、わちきが驚かされた…………」
ギャラク「それで隠れていたつもりか、傘が出ていたぞ。」
小傘「え………あれ?そうだった?」
ギャラク「………いろいろと調子の狂うやつだ、こいつも連れていけ。」
小傘「え、いや、ちょっと、待ってよー!」






『命蓮寺、制圧』





Re: 東方×カービィ 幻想郷のキカイ化 ( No.19 )
日時: 2017/05/12 12:36
名前: ピコパ ◆aIf9C.jTkU (ID: MgUgGnIS)




17・楽園が墜ちた日



天界

幻想郷の遥か彼方の上空、天人しか入ることが許されない楽園があった。毎日のように歌い、踊り、食べて暮らせるこの楽園の片隅では退屈そうに空を眺める天人がいた。その天人の周りに人はおらずそこだけ嫌に静かである。毛嫌いしているのか腫れ物を見るような目で見られているにも関わらずその天人は同じなかった。
ひとつ伸びをすると雲の隙間から赤い何かが近づいてくる。それは派手な衣を身にまとった竜宮の遣い、衣玖だった。

衣玖「総領娘様、お話がございます。」
天子「あら衣玖、どうしたの?」
衣玖「下界で起きていることについてです。」

衣玖は下界での侵略騒ぎのことを話した。それを聞いていた天子の目は輝いて見えた、おそらく自分もその中に入りたいと考えているのだろう。しかし相手は異世界の技術と闇の軍勢、規模が計り知れない上に紫やレミリア、妹紅など幻想郷でも屈指の力を持つ人々を打ち負かすことができる。そのことを話してもなお天子は考えを改めることはなかった。むしろ燃えているようにも思えた。

天子「異世界からの侵略者………ふふ、戦いがいがあるわ!」
衣玖「まったく………振り回される私の身にもなってくださいよ。すこし身勝手すぎますって。」
天子「だってここ毎日毎日飲んで踊っての繰り返しなんだもん、飽きてきちゃった。周りからの視線もなんか痛いしストレス発散よ!」
衣玖「はぁ………」
天子「それに………ちょうどいい相手も見つかったことだしね。」

天子の指差した先にはロボット兵を引き連れた黒い影が現れた。強大な霊力を放つその影と圧倒的な数のロボット兵を見た天人達は大慌て。我先にと逃げ惑う中天子はやっと退屈しのぎができると喜んだ。

天子「あら?あなたはいつぞやの巫女様じゃない。いったいなんでそんな所に?」
黒霊夢「ここを我らの領土とするためよ。太陽の光をたくさん受けられるここでなら太陽光発電が捗るらしいから。」
天人「へぇ………太陽の光で発電できるなんて世の中も変わってくわねぇ。なら当然、私を倒さなきゃいけないわけでしょ?」
黒霊夢「そうね、邪魔するなら容赦はしないわ。なぜそんなに嬉しそうなのかは知らないけど。」
天子「せっかく退屈しのぎができるんだもの、全力で抵抗してみせるわ!」
黒霊夢「まあいいわ………殲滅開始よ。」

霊夢の影の号令と共にロボット兵達は天人を捕らえる。空を埋め尽くすほどの大群にもはや死角など存在せず贅沢の限りを尽くしてきた天人達はなすすべもなく捕らえられてしまう。
そんな中天子と衣玖だけは最後まで抵抗し続けた。要石を投げ、雷を起こし、数は圧倒的に少ないが侮れない実力を持つ2人にロボット兵は戦いた。

天子「何よ、こんなんじゃ全然満足できないわ!」
衣玖「とっととお帰りいただきたいのですが。」
黒霊夢「さすが、腐っても天人ってことね。でもこれはどうかしら?」

黒霊夢は禍々しい霊力を弾幕に変えて放つ。雨のように降り注ぐ弾幕だが天子は緋想の剣を用いてそれを弾いた。しかしたくさんの弾幕をいっぺんにうけ天子は徐々に疲弊していった。

黒霊夢「どうしたの?まだまだこんなもんじゃないでしょ?ま、1度私に負けたあなたが影である私に勝てるわけがないわよねぇ。」
天子「まだ、よ………まだ、満足してないわ……」



天子が耐えていると突然黒い歪みが現れた。そこからはなにやら多面体に目がついたようなものがゴロゴロと漂いながら現れた。その多面体はさっさととどめをささずモタモタしている黒霊夢を見かねて出てきたようだ。ミラクルマターと呼ばれるその多面体はゆっくり浮遊しながら天子に近づく。その声はなんだか低く薄暗くところどころノイズがかかっていた。

ミラクル「遅い…………いつまでやっているつもりだ………」
黒霊夢「あらごめんなさい、満足させることに集中しすぎてたわ。」
ミラクル「………まぁいい………おい………ここからは俺が相手だ…………すぐに終わるさ………」
天子「ま、まだ敵がいるの?いいわ、やってあげる!」

ミラクルマターは体を岩石に変化させた。岩を作ってぶつけたり体当たりを仕掛ける中、重い一撃は確実に天子にダメージを与えていた。

天子「ぐっ………」
ミラクル「これでとどめだ………」

強大な岩石となったミラクルマターは天子めがけて突進してきた。しかし吹っ飛ばされたのは天子ではなく盾となった衣玖だった。衝撃が強かったのかかなり遠くまで吹っ飛び天界を支える雲を突き抜け落ちてしまった。

天子「衣玖!どうして………ぐあっ!?」
ミラクル「よそ見をするとは………なめられたものだ………連れていけ。…………まったく、高いのは気位だけか………天人どもよ。」

ミラクルマターの一撃を受けて気絶してしまった天子。他の天人は全員捕らえられてしまい、唯一の楽園だったこの天界もとうとう墜ちてしまったようだ。

黒霊夢「さすがは闇の中の奇跡………とらえどころがない相手なんて不気味でしかないわね。」
ミラクル「お前のその霊力は…………オリジナルのなせる技か。」
黒霊夢「こうして生まれたんだもの、オリジナルなんて軽く超えてやろうじゃないの。」
ミラクル「ならば…………もっと腕を磨き、心を黒く染めることだな………」





『天界、制圧』




Re: 東方×カービィ 幻想郷のキカイ化 ( No.20 )
日時: 2017/05/15 21:01
名前: ピコパ ◆aIf9C.jTkU (ID: wXGYBxg0)




18・悪夢に包まれた里



人里

幻想郷の中にある人里、そこにはまだ侵略者の手は伸びていなかった。しかし周りから響く震動や悲鳴は住人の不安は募っていくばかりだった。
そこで人里の自警団は対策を考えようと慧音が教師をやっている寺子屋に集まった。

男性A「ただでさえ妖怪達が蔓延っていて大変なのに……どうすれば………」
男性B「俺も確認しにいったけど……明らかに人間じゃなかった。それに見たこともない機械を使ってた……このままじゃここも………」
慧音「皆、落ち着いてくれ。子供の手本となる我々がこれじゃどうしようもない。ひとまず生徒達は自宅待機ということにしているが………」
女性A「小鈴さんや阿求さんのお店にも行きましたが、関する資料がぜんぜん無かったんです。」
慧音「そうか………それでは対処のしようがないな……」

自警団の人々は未知の驚異になすすべが無かった。人里の子供達は恐怖の日の連続で悪夢を見るようになってしまったという。そういう子供達は慧音の訪問により不安を解消させようとしているが、それでも体調を崩してしまうらしい。子供だけでなく自警団以外の大人も悪夢を見るようになってしまったという報告も受けている。

慧音「悪夢、か…………」
女性A「はい……見たこともない化け物が襲ってくるんだって………朝ご飯も食べてなくて………」
男性B「俺んとこもそうだった。あれから部屋にこもりっきりでよ………」
慧音「皆一斉に悪夢を見る………というのは、なんだか妙だな。」
女性A「やはり………どうすることも………」



『大丈夫だ。すぐにお前達も………』



どこからともなく聞こえてくる声に慧音達は辺りを見回した。すると教室の電気が突然切れ、空が黒い雲で覆われてしまった。完全に暗くなってしまった教室に突然大きな化け物が現れた。それは子供達が言っていた夢の中に出てくる化け物の特徴と一致していたのだ。

慧音「な、なんだお前は!?………さてはお前が悪夢を………」
ナイトメア「悪夢を見せたのは私だ。しかし恐怖を募らせたのは私ではない。ここに手を出さなかったのは恐怖心を植えつけ悪夢を見せて衰弱化させるのが目的だったのだが………どうやらお前達は心が強いようだな…………」
男性B「このやろう……悪夢から開放しろ!」

男性が近くにあったホウキでナイトメアを殴る。しかし実体が無いのかいくら殴ってもまるで手応えを感じなかった。

ナイトメア「無駄だ、悪夢に恐れている者が私に勝てるはずが無い。」
男性B「なんだと………?」
ナイトメア「それに、お前達は私に屈することになる。見ろ。」

ナイトメアは異次元から子供達を呼び出した。子供達は苦痛の表情でうなされている。

慧音「なっ………!?」
ナイトメア「子供だけではない、お前達を除く全ての住人が既に私の手の中だ。このまま悪夢を更に強くして精神を壊すこともできるのだぞ。」
女性A「………何が目的なんですか?」
ナイトメア「我々の力となってもらおう……」
慧音「力?」
ナイトメア「『奴隷として働かせるようにしろ』としか言われていないのでな………いずれわかることだ。」
男性A「奴隷!?そんな………」
慧音「………………わかった。」

慧音がそう言った瞬間、その場にいた全員が振り向いた。いつもなら抵抗しそうな慧音が真っ先に折れたのだ。慧音は手を固く握り、うつむきながら震えていた。それを見ていた自警団員は慧音に声をかけるのをやめた。

慧音「だから………子供達にはこれ以上悪夢を見せるのをやめてくれ………」
ナイトメア「………いいだろう。では……この門へ。」
男性B「お、おい慧音先生!」
慧音「………子供達のためだ……………わかってくれ………頼む………」

威勢のいいいつもの慧音の姿はそこにはなく、声は絞り出したかのようにか細かった。全員が従う意思を見せたのを知ったナイトメアは暗い歪みを作り出した。そこを通ってしまってはもう後には戻れない、しかし慧音達に拒否権は無かった。子供達に苦しい思いをさせるわけにはいかない。慧音はずっと口ずさみながら団員を引き連れ門の中部屋に入っていった。

ナイトメア「私が悪夢を見せるのをやめようと、子供達は悪夢を見続けるだろう。恐怖に打ち克つ心をまだ持たない子供はずっと恐怖を背負い続ける。それが大人だろうと度重なる恐怖が続けば自ずと心は砕け散る。さぁ、どこまで耐えていられるかな………フハハハハ…………」

その日から人里は悪夢と轟音に包まれた。






『人里、制圧』



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