二次創作小説(新・総合)

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東方×カービィ 幻想郷のキカイ化
日時: 2018/11/11 12:09
名前: ピコパ ◆aIf9C.jTkU (ID: aFJ0KTw3)

皆様はじめまして、ハルトマン社新人秘書のピコパです。今回は東方とカービィの小説を書かせていただきます。理由はどっちも好きであることと意外に共通点が多いことですね。

あらすじはこちら

ハルトマン社のマザーコンピューター『星の夢』の時空間転移プログラムをリニューアルし幻想郷のデータを獲得。魔法や神といった科学とはかけ離れた常識や豊富な資源を手にいれる為にハルトマン社は幻想郷キカイ化プロジェクトに乗り出した。科学と魔法、相反する2つの戦いが今始まろうとしていた。


この小説を読むにあたって
・この小説には作者による独自解釈や設定が含まれています。基礎情報は確認済みですがご了承下さい。
・とにかく話が広がり中々先に進まない場合があります。
・この小説オリジナルの技やキャラクターが出てくる場合があります。
・作者はあまり文才がありません、完全に行き当たりばったりで書いています。なので不備が生じることがありますのでその時は指摘をお願いします。
・この小説への荒らしや誹謗中傷のコメントはご遠慮下さい。

現在の物語
・デデデ編2

フェイズ0・幻想郷の存在
>>01 >>04 >>05
フェイズ1・幻想大侵攻
>>06 >>07 >>08 >>09 >>10 >>11 >>12 >>13 >>14 >>15 >>16 >>17 >>18 >>19 >>20 >>21 >>22
フェイズ2・幻想を越えた出会い
>>23 >>24 >>25 >>26 >>27 >>28 >>29 >>30 >>32 >>33 >>34 >>35 >>36 >>43 >>44 >>45 >>46 >>47 >>48 >>53 >>56 >>58 >>59 >>62 >>63 >>64 >>65 >>66 >>67 >>68 >>69 >>70 >>73 >>74 >>75 >>76 >>77 >>78
おまけ
>>31 >>37 >>49 >>50 >>60 >>61 >>62 >>71 >>72
レミリアの夏休み
>>38 >>39 >>40 >>41 >>42

Re: 東方×カービィ 幻想郷のキカイ化 ( No.41 )
日時: 2017/08/26 20:54
名前: ピコパ ◆aIf9C.jTkU (ID: wXGYBxg0)




4・無垢なる暴君



不思議なタマゴは星空から落ちた星のように儚く光っている。カービィと同じくらいの大きさのタマゴだ。

レミリア「タマゴが、光ってる………?」
パチュリー「なんでタマゴがこんなところに……もしかして、竜の?」
メタナイト「まずいな………それが本当なら親が黙ってないだろう。」
美鈴「じゃあ……幻想郷が湖に沈むってことですか!?」
咲夜「まだそうと決まったわけじゃないわ。ひとまず孵してみましょうか。」
メルラン「え……?食べないの……?」
ルナサ「光ってるタマゴなんて食べたらお腹壊すわよ。」






しかし、そこにある兵士がやってきた。

兵士「お前らが紅魔館を奪還した先住民どもか!警告する、そのタマゴは危険だ!地面に置いてすぐそこから離れなさい!」
レミリア「いきなり何言ってるのよ!」
兵士「そのタマゴはドラゴンのタマゴだ、我々が特殊改造を施して造ったものだ。お前らに勝てる相手ではない!さぁ、それを渡せ!でなければお前らの世界は海に沈むぞ!」
咲夜「お嬢様、いかがいたしましょう?」
レミリア「目上の人に対する言い方ってものを知らないようね……それにさんざんキカイ化しておいてその上脅迫?……愚かしいにもほどがあるわ!」
兵士「警告はしたぞ……では見せてやろう!プロダクトNo.O-3425『タイダリアス』!」

兵士の声と共にタマゴの輝きが増す。そしてその殻を破り天を突き破るほどの黒い竜が姿を表した。竜の荒々しさや神々しさ、人工物の無骨さや飾り気の無さを組み合わせた人造竜の放つ威圧感は今までに感じたことがないものだった。兵士はリモコンを使い竜を従えようとしているようだ。

兵士「さぁ、反逆者を食らうがいい!」

しかし、竜は生みの親である兵士を食べようとしている。

兵士「お、おいやめろ……よせ………よせ!ぎゃああぁぁぁ!!」
咲夜「うそ…………」
メタナイト「おそらく無理矢理孵化させた為に理性がうまく働いていないのだろう。あの竜はまだ赤子同然だ、善も悪もわからない。だが自分が竜であり強大な存在であることを学んだようだ。これほど厄介な相手はないぞ……」
美鈴「まさか伝説の竜に会えるとは………感激です!」
パチュリー「あなた幻想郷が沈んだあとでも同じ事が言える?」
リリカ「わ、私達戦えないから隠れてるね……」
ルナサ「力が無くてごめんなさい……」
メルラン「みんな、がんばって!」

タイダリアスは湖に飛び込んだ。すると渦巻きを作りながら湖の水位が上昇していく。どうやらタイダリアスは水を操る程度の能力を持っているようだ。

レミリア「やるわよみんな!幻想郷が沈む前に!」
全員「「おー!!」」



タイダリアスは水しぶきをあげ飛びだしレミリアを飲み込まんと突進してきた。難なくかわしグングニルを突き刺したが鎧のような鱗に弾かれてしまった。長い胴体を翻し突進攻撃を繰り返すも全く当たらない。すると今度は湖の水で大きな水泡と水槍を作った。水泡はゆっくりと、水槍は一直線に進んでくる。水泡の中は渦を巻いていて泳いで出ることはできず、水槍は水でできているといえど地面を軽く穿つ威力をもつ。

メタナイト「あの泡と槍が厄介だ………カービィ!アイスモードで凍らせるんだ!」
カービィ「ぽよ!」
美鈴「となると相応の氷塊ができるはず………ここは私の出番ですね!」

ロボボアーマーのファンが冷たい風を送り出すと、水泡と水槍は凍りつき地面に落ちてきた。するとできた氷の塊を美鈴が思いっきり蹴り返しタイダリアスの顔に当てた。タイダリアスは一瞬怯んだがまだ倒れはしなかった。むしろ体に赤い線が通るほど怒り狂い攻撃が激化する。
怒り狂ったタイダリアスは水のブレスを吐き辺りを凪ぎ払う。そして湖の水が渦を巻き高く舞い上がり、増やし、大きな波を作り上げた。それは幻想郷の全てを押し流すには申し分ない水量だった。

パチュリー「まずいわね………こあ、カービィ!全力で凍らせるわよ!」
小悪魔「わかりました!」
カービィ「ぽよぽよ!」
パチュリー「合体魔法……グレイシャーストーム!!」

カービィの冷気をパチュリーの風魔法で増大させ、小悪魔の補助的魔力でさらに効果は増していく。全ての生を殺す氷河期をもたらすかのごとく荒れ狂う吹雪の嵐は波が押し通る前に凍らせた。レミリア達はなんとかこらえたがタイダリアスは浮いていた上に体も大きい。冷気の嵐にもまれ疲弊しきっていた。湖も凍りつき水泡も水槍も作れない。そんなことは知ったことかと何度も突進やブレスを繰り返す。親もおらず何もわからない、兵器として造られた命を持って暴れ狂うその姿は哀れな運命に抗っているようにも見えた。

レミリア「哀れな子ね…………せめて安らかに逝けるようにしてあげるわ。」
メタナイト「竜は追い詰められた時こそ本領を発揮する。気をつけなければ。」
咲夜「確かに……何か様子が変ですわ。」

タイダリアスの赤い線が白くなっていき、狂暴さが更に増していく。強烈な寒さに耐える為か体中のエネルギーをフル回転しているようだ。そしてすぐに無くなるエネルギーを確保する為にレミリア達を食べようとしている。

美鈴「つまり、耐えしのげばそのうちエネルギーが無くなって………」
咲夜「死ぬ……ということですね。」
メタナイト「ああ……だがこれは至難の業だ。なにしろ向こうは生死をかけた戦いだ、そう簡単に耐えさせてはくれないだろう。」
レミリア「それでもやらなきゃならないのよ、この世界の為にも!」


命をかけた竜は全ての存在を凌駕する。しかしやらなければならないのだ、脆く儚いこの世界を守る為に。


Re: 東方×カービィ 幻想郷のキカイ化 ( No.42 )
日時: 2017/09/01 09:04
名前: ピコパ ◆aIf9C.jTkU (ID: wXGYBxg0)




5・天に抗う者



グレイシャーストームの急速な冷気によりエネルギーをかなり消費したタイダリアスはレミリア達を食べようとしている。人が多い所へ行かないのはこの地をよく知らないことと一刻も早くエネルギーを獲たいことの表れか。攻撃も激しくなる一方でありレミリア達は必死でいつか来る滅びの時を待っていた。

美鈴「ひゃー!!どんどん激しくなってきますよ!!」
咲夜「しっかりなさい!耐えろっっつったのはあんたでしょ!」
メタナイト「また来るぞ!構えろ!」
レミリア「全く……とんでもない子ね。」

タイダリアスは長い体躯を生かし空中を凪ぎ払い体をしならせ襲いかかる。爪や牙を使っての攻撃や水泡と水槍の攻撃も激しくなっていく。水での攻撃は凍らせればなんとかなるが体を使った攻撃はどうしても避けるしか対処できない。なにしろ鱗が固くほとばしる白いエネルギーで覆われておりとてもじゃないが受けきれるものではないのだ。しかし確実にタイダリアスの生命力は落ちてきているのだが、どうしようもないときに隠された力を解放するのが竜なのだ。

美鈴「とてつもない程の気があの竜に向かってます、用心してください!」
メタナイト「空気が変わった………やつは次で完全に仕留める気だ。」
パチュリー「私の障壁や結界でなんとかなるかしら……」
咲夜「来ます!」

タイダリアスは目が眩むほどの閃光を放った。超新星爆発を思わせるほどの光と熱量を持ったブレスがレミリア達に向かい大地を抉る。

パチュリー「エメラルドメガロポリス!!ぐっ……押し戻されるわ、カービィ!私を支えなさい!!」
カービィ「ぽよよ!!」
レミリア「頑張ってパチェ!今はあなただけが頼りよ!」

ビルのような大きさのエメラルドを召喚しブレスの衝撃を抑えるもあまりの威力に押し戻されるパチュリー。そこにロボボアーマーの支えが加わり安定した守りを得た。エメラルドが押し破られたらまた次のエメラルドを呼び出す、威力と守りの真っ向勝負が続く。ブレスがだんだん弱くなってきているがパチュリーの魔力も底をつきそうだ。どちらかが力尽きるまでのデスレースの勝者は決まった。



『グオオオオオォォォォォォォォ…………………』



生命力を全て使い果たし、タイダリアスは力尽きた。それと同時にパチュリーも倒れこむ。

レミリア「パチェ、大丈夫!?」
美鈴「大丈夫ですか!?」
パチュリー「なんとかね………うぅ……グレイシャーストームといいエメラルドメガロポリスといい今日は魔力を使いすぎたわ…………」
メタナイト「どうやらエネルギーを全て使い果たしたようだな。」
咲夜「終わった……ようですわ。」

タイダリアスとの激闘の跡は凄まじいものだった。抉れた大地、凍った波、改めてタイダリアスの脅威を目の当たりにしたのである。そして紅魔館の瓦礫の下から三姉妹がひょっこりと顔を出した。どうやらブレスの予兆に気づき急いで穴を掘って隠れたらしい。

ルナサ「………終わっ………た?終わったの?」
レミリア「ええ、終わったわよ。」
メルラン「やったー!お疲れ様ー!!」
リリカ「うわ………すごいね………」
咲夜「避けるのに必死であなた達のことすっかり忘れていましたが……まさか穴を掘って生き延びるとは。」
メルラン「力仕事はすっかり慣れちゃった!これからはリフォームも仕事にいれちゃおうかしら。」
レミリア「そのうち無人島とか開拓したりしてね。」







その日の翌日、グレイシャーストームの冷気の影響か、なんと雪が降ってきたのだ。昨日までは薄着だった一同は冬服を引っ張り出して修復にあたる。やかんひとつだけでもなかなか温かい。

レミリア「まさか雪が降るなんて……今度は冬休みね。」
パチュリー「もう十分休んだでしょ?そろそろ出発すればいいのに。」
美鈴「そうですよ、ルナサさん達もいますしここは私達に任せて安心して世界を救って下さい!」
レミリア「………それもそうね、じゃあとっとと準備するわよ!」
リリカ「お気をつけてー!」


波瀾万丈の夏休み、十二分に羽を伸ばしきったレミリア達は再び幻想郷を救う旅に出発した。

Re: 東方×カービィ 幻想郷のキカイ化 ( No.43 )
日時: 2017/09/06 21:24
名前: ピコパ ◆aIf9C.jTkU (ID: wXGYBxg0)

frontstory >>10 >>15



35・妖精の星に奇跡を



守矢神社

突如現れたグリルの襲撃によって神奈子と諏訪子を失い、神社もボロボロにされてしまった。巫女である早苗は境内の真ん中に座り込んでいる。その顔は涙で溢れていた。静かな境内に響くのは変わり果てた妖怪の山の叫び、早苗は絶望していたのだ。

早苗「私が………未熟………だから………だから………」

声にならない悲しみの叫びを漏らしながら早苗はすすり泣く。自分には何もできなかった、侵略者を返り討ちにすることができなかった、神奈子様と諏訪子様を守ることができなかった………と何度も自分を責め続けた。それで何かが変わることもなく、ただただ自分を責めていた。自分が起こすことができる奇跡は起こせなかったのである。









その時、天から何かが落ちてきた。その内のひとつはカランと石畳の上に転がり、もうひとつはバサッと植え込みに落ちた。見に行くと石畳には見たこともない宝石が輝きながら落ちている。それもとても大きな宝石であり、早苗の顔が反射するほど。植え込みの方には宝石と同じくらいか少し小さめの妖精が突っ込んでいた。
気絶していた妖精は早苗の膝に寝かされていた。気がついた妖精は早苗の顔を見るやいなや飛び上がってしまい早苗の顎に直撃した。痛がる双方だったが最初に話しかけたのは早苗だった。

早苗「あの、大丈夫ですか?」
妖精「はい、なんとか……そ、それよりも助けて下さい!私の星が大変なんです!」
早苗「え……?」

リボンという妖精の話によると、マルクと赤い吸血鬼のロボットが故郷を殲滅したのだという。自分は秘宝であるクリスタルを持ち出し逃走に成功したが追っ手の攻撃による時空の歪みに巻き込まれここまできてしまったらしい。

リボン「今はあなたしか頼れる人がいないんです!お願いします!どうか……助けて下さい……」
早苗「そ、そんなこと言われても私には………」

私は誰も救えない、私は誰も守れない、そんな念が頭から離れない。しかしリボンは頼れる人がいないと泣いて早苗に頼んでいる。きっと故郷は友達がいて何気ない日常に包まれていたのだろう、しかし、早苗と境遇が同じでも彼女は『逃げる』という行動をやってのけたのだ。しかも早苗よりも小さくか弱い妖精の女の子が。だとすると今やるべきことはただひとつ、少なくともここでメソメソ泣いていることではない。

早苗「………わかりました、なんとかしましょう。」
リボン「ホントですか?……よかった…………」

しかし、そう簡単に時空の歪みは起こるわけでもなくリボンもわからない。しかし今の早苗には『自分にはできることがある』という証明が欲しかったのだ。幻想郷は今や無法地帯になりつつあり、リボンには戦う力はない。更にクリスタルには未知なる力が宿りエネルギー資源として狙われている。ハルトマン社の兵士が来るのも時間の問題だ。

早苗「ひとまずここは危ないです、どこか遠くに逃げましょう!」
リボン「は、はい!」

兵士1「エネルギー反応があった。おそらくリップルスターの宝だと思われる。」
兵士2「ホントか?フランボーグの攻撃でリップルスターは壊滅したと聞くが………」
兵士1「まだ生き残りがいたんだろう。ほら、徹底的に探すぞ。」

上空の遠くにロボットの小隊が見える。早苗達は下山しようと神社を離れた。






妖怪の山

舗装されており通りやすくはなったもののやはり違和感を感じる。それに動物といった類いが全く見られない。このまま下っていければよいのだが、クリスタルを持っているリボンをそう簡単には見逃してはもらえなかった。

椛「見つけましたよ!」

哨戒部隊の白狼天狗である椛に見つかり笛を吹かれた。ぞろぞろと敵が集まってくる。

リボン「あわわ…………」
早苗「大丈夫ですよ、絶対に助けてみせますから!」



大事なものを取り戻すために、早苗は自ら戦場に飛び込んだ。


Re: 東方×カービィ 幻想郷のキカイ化 ( No.44 )
日時: 2017/09/11 21:53
名前: ピコパ ◆aIf9C.jTkU (ID: wXGYBxg0)

frontstory >>43



36・歪みの彼方へ



妖怪の山

操られた椛によって包囲されてしまった早苗とリボン。屈強なインベードアーマー部隊に囲まれた2人に勝ち目はない。

兵士1「見つけたぞ!さぁそのクリスタルをよこせ!」
リボン「嫌です!これは大事な宝物なんです!」
兵士2「……やむをえん、むりやりでも!」

インベードアーマー部隊が取り押さえようとした途端、1機のインベードアーマーに異変が起きた。最初はプスプスと煙を立てたり動きにガタが来てたりしていたがだんだん煙が白から黒に変わってきた。

兵士1「な、なんだなんだ!?お前ちゃんとメンテナンスしたのか!?」
兵士2「したさ!でもおかしいんだ!」
兵士3「お、おい、お前燃料漏れてるぞ!?」
兵士4「爆発するぞ!退避、退避ー!!」

兵士がそう声を荒げ一斉に離れ、インベードアーマーが爆発した。そうして離れた隙を尽き、早苗とリボンはわき道に飛び込むが、爆発に巻き込まれ山を転げ落ちてしまう。なんとか木にしがみついて止まったが服が大分汚れてしまった。そこにやってきたのは赤い服をきた落ちついた佇まいの少女だった。










雛「あら、大丈夫?」
早苗「あなたは……雛さん?」
リボン「雛……なんだかお人形さんみたいですね。」
雛「ふふ、ありがとう妖精さん。あなたも綺麗なリボンね。」
リボン「え!?どうして私の名前を……?」
早苗「……さっきのも、あなたが?」
雛「私はそばにいただけなんだけどね。」

雛は厄をため込む程度の能力を持っている。雛を捕まえて飛んでいた運搬車が突如エンストを起こし爆発した。どうやら『めったに起きない』事故として認識されたらしい。その後なんとか抜け出してここまできたのだという。

早苗「お、お互い大変ですね………」
雛「そうなのよ、せっかくの一張羅が台無しよー。それで、どうしてあなた達まで追われてるの?」
リボン「それが………」

リボンはリップルスターに起こったことを話した。雛はじっくりとそれを聞いていた。そして何かを考えていたようだが、決意を固めたのかすくっと立ち上がった。

雛「よし!なら私も手伝わせてもらうわ。」
リボン「ええっ!?でもそんな………」
雛「今は人手が欲しいんでしょ?こんな私にもできることはあるわよ、きっとね。」
早苗「厄を撒き散らすことが仕事でも?」
雛「厄をためるのが仕事なの!」
リボン「でも、ここは違う世界みたいですし……リップルスターに戻る方法を考えないと……」

雛も加わった3人で別世界に行く方法を考える。あの時はマルクがブラックホールを作ったことで強制的に空間をねじまげ、それの副産物として時空の歪みが発生した。つまり空間そのものにダメージを与えれば歪みができるのである。
しかし3人ともそんなことはできない。途方に暮れていた時、早苗がリボンのクリスタルを見た。

早苗「それは……増幅系のクリスタルですか?」
リボン「はい、このクリスタルは与えられたエネルギーを大きくする力を持ってるんです。」
雛「ならそのクリスタルに魔力を注ぎこめば何か起きるんじゃない?やってみましょう!」
リボン「え!?ちょ、ちょっと!?」
早苗「それしかありませんね!」
リボン「え!?」

そう言うと早苗と雛はクリスタルに魔力を注ぎ始めた。溢れんばかりの魔力を注ぎ込まれたクリスタルは爆発寸前になっていた。そして魔力の注入をやめるとクリスタルの中で魔力が増幅、凝縮する。そして凝縮した魔力は出所を失いクリスタルにたまり続ける。

雛「今よリボンちゃん!魔力を放つのよ!」
リボン「は、はい!」

リボンは魔力を天空に向けて放った。大きな魔力は柱となりその衝撃は大気を押し揺るがし大地をえぐった。そして魔力は上空で霧散し、大きな渦を作った。それは大きな歪みとなって3人を彼方に吸い込んだ。









リップルスター

早苗「う………うーん………」
雛「どうやら……成功したようね……」
リボン「もう!無茶苦茶ですよ!壊れたらどうするんですか………え………」

なんと早苗達はリップルスターに到着していた。しかし花と虹に溢れた故郷はそこにはなかった。焦げた大地と瓦礫が広がる空間が広がっている、それを目の当たりにしたリボンはかつて早苗がしていた自責の念に包まれた目をしており、震えながらかつてあった王宮を見ていた。

Re: 東方×カービィ 幻想郷のキカイ化 ( No.45 )
日時: 2017/09/17 00:04
名前: ピコパ ◆aIf9C.jTkU (ID: wXGYBxg0)

frontstory >>44



37・枯れた妖精の星



リップルスター

王宮を見るリボンの目は震えていた。今まで過ごしてきた王宮が今や瓦礫の山である。早苗と雛は声をかけることができずただそばにいることしかできなかった。肩を揺らしすすり泣くリボンの泣き声はだんだん大きくなってしまい、早苗はリボンの肩に手を乗せた。するとリボンは早苗に抱きつきまた泣いた。早苗は優しくリボンの頭を撫でるとしばらく経つうちに眠ってしまったようだ。

早苗「辛かったでしょうね……」
雛「見知らぬ世界で一人ぼっちで、大きな脅威に追われて……私達も同じくらいの経験をしたけど、この子には辛すぎることだものね……」



『あの………』



奥から大きな女性が現れた。メガネをかけており王冠を被っている。背中に羽が生えていることからこの星の女王なのだろう。

早苗「あ、あの、あなたは………?」
女王「私はリップルスターの女王です。あなた達はここでは見ない顔のようですが、どうして……」

早苗と雛はここまでの状況を説明した。

女王「なるほど…リボンは頑張って助けてくれる方を探してたのですね………来てくださり本当にありがとうございます。服がボロボロですね、よろしければ近くに湖がありますのでそこで水浴びをしてみてはいかがでしょう?代わりの着替えも用意させますね。」
早苗「女王様以外にも住人はいるんですか?」
女王「リボンが隙を作ってくれたおかげで被害は最小限に済みました。本当に、あの子には感謝しなくては……」







水浴びをした後、早苗と雛は代わりの妖精の服に着替えた。全身を優しく包み込むような肌触りの生地とほんのり香る花の香りがなんとも気持ちいい。王宮に戻ると女王は住人に復興の指揮をとっていた。その中には目を真っ赤にしたリボンもいる。

早苗「リボンちゃん……大丈夫ですか?」
リボン「はい、もう大丈夫です。……申し訳ありません、あなた方も辛い思いをされているのに……」
雛「気にすることはないわ、今はできることをやっちゃいましょ!」
女王「まずは一刻も早く王宮を建て直さなくては……活動の中心となる場所ですから。」
早苗「ふっふーん!それなら私にお任せを!この奇跡の力で、どーんと直してみせます!」

早苗は離れているよう指示し、呪文を唱える。すると瓦礫の山が持ち上がり、時間を遡るようにして王宮が再建、復興していく。そうして王宮が元通りの状態になると早苗は呪文をやめヘトヘトになって座り込んだ。

リボン「さ、早苗さん………すごいです………」
早苗「これが……奇跡の………力よ………」
雛「あなたもよくやるわねぇ……」
リボン「雛さんにも何か能力が?」
雛「私の能力?私は無力な方がいいのよ、いろいろとね。」
(ここには不運に抗い希望に満ちた人が大勢いる。希望の中での私はきっと無力だけれど、それが原動力となっている皆の邪魔はできないわ。)
リボン「?」

早苗と雛の協力もあり、リップルスターの復興は予想以上に進んだ。枯れ果て荒れ果てたリップルスターの平原には少しばかりの草木が宿り、建物も少しずつ元通りになってきている。その手伝いをしている早苗の目にはもう自責の念はすっかり無くなっていた。むしろやる気と自信に満ちた目をするようになった。おそらく『やりがい』というものを感じるようになったのだろう。それは雛にも同様であった。
リップルスターの植物は頼もしいもので、花の種は数日するうちに花になり荒野だった星に彩りが戻った。あと1週間ほどで植えた花の種は全て咲くらしい。

早苗「妖精の国の植物ってずいぶんと力強いんですね。」
雛「そこに最後まで諦めなかった不屈の精神を持つ妖精さんがいるじゃない。」
早苗「もっとか弱い存在だと思ってましたからね、ビックリです。」
女王「お二人のおかげで植物達も喜んでいますわ。さて……今日はもう遅いですし、休みましょうか。明日にもやることはありますから。」
早苗「何かありましたら遠慮せずに頼って下さいね!」
雛「そうね、早く元の生活に戻してあげられるようにしましょう。」

1日を通して行われた復興作業はこうして幕を閉じた。最後まで自分のやるべきことをやりとげたリボン、自責の念に耐えやりがいを見つけた早苗、2人は希望に満ち溢れていた。










そして、それを見ていた目玉がひとつ。

リムラ「リップルスター、着々と復興が進んでいるようです。」
リムル「ミラクルマター様、いかがいたしましょう?」
ミラクル「希望を絶望に染め上げてこそ我らは成り立つ………あいつが異世界の者を連れてきたことは計算外だったが、まあいい………準備ができ次第、襲撃を仕掛けろ。」
マホロア「そんなことしてまで女の子を泣かせたいだなんて、君ってよっぽどゲスいんだネェ。」
ミラクル「絶望こそ我らの糧………闇の軍勢である我らに希望など不要………そして鏡の前でもう一度同じ事を言ってみろ。」





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