神の力を受け継ぎし者 作者/粟生空

第12章 総本部と【崖】 もう1歩で



『・・・あ、そーいえばさぁ・・・

 ケインも【エクソシスト】だったんだよなー?』

あら、今頃気付いちゃったりしたんですか。

『こんな状況で、今頃気付いて言う人がいますか!』

ほ――っら。即座にツっこまれたじゃないですか。

『涼さっきから緊張感とか危機感、感じてませんよ』

ケイン、貴方は恐ろしく感じているでしょうとも。

あ、説明しましょう。

【こんな状況】ってどんな状況かと言うと

ただいま2人で、たっか――い崖を必死に登ってます

ま、簡潔に説明すればこんな感じですかね。

『何言ってんだよ、此処にいるじゃん

 【今頃気付いて言う人】が【目の前】にさ』

(・・・何か・・・開き直ってる(?)・・・)

はいはい、お2人そこまでにして。

崖を登っているのは確かに2人なのだが

正確に言えば、一生懸命登っているのは1人。

どっちか頑張って登っているか、分かりますよね。

『お――いっ、ケイン――遅ぇぞ――』

そうです。お察しの通り、ケインが頑張ってます。

碧ヰさんはと言うとですね。

【イノセンス】を使ってホイホイ登っちゃってます。

ちょっとは手助けとか、してあげたらどうですか?

ケインが(凄く)可哀相じゃありませんか。

『男なら、手助け無しで崖を登りきれ!』

碧ヰさん?貴女が言う言葉も権利も、ありませんよ。

さっきは、碧ヰさんは【イノセンス】を使って

登っていると言いましたね。では、説明しましょう。

≪ 刺黒金鉄 ≫をちょっと改造(?)して

またちょっと別の移動道具として、創り変えました。

手首から伸びる棒状を、背中に移転し

まるで【翼】のようにして、使ったのです。

こういう事だけに、頭を使うのは・・・。

いや!良いんですけどっ・・・ね。

そのやる気を、どうか勉学にも注いでくれたらね。

自分が言うには相応しくない、言葉ですけど。(汗)

『もう涼ってば・・・勝手に行っちゃって・・・』

お。ケイン君、ちょっとばかし弱音吐きましたね。


『ぐいっ』


『へ?』なんと間の抜けた声なんでしょうか。

『ケインっ遅ぇっつのっ』

おやおや、碧ヰさん優しいトコあるじゃないですか。

(おい、1回死んでみるか?作者野郎♪)

スイマセンでした。殺さないでください。(汗。)

『・・・っよっと』

『ドサッ』

崖の上に到着し、お荷物(=ケイン)を降ろした

『りょ・・・涼、ありがとうございました(恥)』

『ん?別にいい、ケインスゲェ軽かったから』

(ガンッ(ショック)←気にしてることを言われた。

『・・・お――い?ケイン?どっか打ったのか?』

彼女が心配するのも、そのハズ。

背中を丸くして、しゃがんでジメジメした空気と

キノコがケインの身体から、出ていましたから。

『・・・ぃぇ、別に・・・何でもないです・・・』

おやまぁ・・・可哀相スギます。(めっちゃ同感)

『スゲェ軽かった』と言われて、

喜ぶ男は(少なくとも)いませんから。

女の子は、跳びあがって喜びますけど。(作者も。)

『・・・ふぅ・・・やっと着いたな』

『そうですね』

崖の上には、目の前には大きな【門】があった

―――あと もう1歩だけ踏み出せばとどく―――