■ strawberry ■ 作者/碧琶 ◆xfa1dsRBJk

◆strawberry 2...苛立ち



「お疲れ様でしたーっ!!」
部員全員の声が体育館に響く。
今日は蒸し暑い。
体育館から出ると、苺が立っていた。

苺はずっと空を見ている。
何か考え事でもしているのか?
声をかけるべきなのか――・・・

でも、別れた奴なんて、話したくもないか。

俺は苺の横をすっと横切ると、自転車のある所まで小走りで行った。

「苺、待った?」

後ろから優飛の声がする。
少し苛立ちを感じた。

――馴れ馴れしい。
俺の脳裏にはこの言葉しかない。

「ううん。一緒に帰ろっ」

苺は前と変わらない可愛い声で返事をする。
そんな2人を俺は横目で見た後、自転車に乗った。

2人が見えなくなったところで、俺はこう呟く。

「本当むかつく・・・いまどき一緒に帰るとかありえないし」

俺と苺が付き合ってた頃は、別々で帰っていた。
だが、今付き合っている苺と優飛は一緒に帰っている。
そこがまた初々しいっつーか・・・

俺には出来ないだろう。
他の奴に見られるなんて恥ずかしいし。

そう言えば苺と付き合ってから、ろくに話してなかったっけ。
苺が話し掛けても適当に「うん」とかそう言う愛想のない返事ばっかで・・・・・・
優飛の方が俺よりも苺の事を大事にしてるってことか――・・・


もし苺ともう一度付き合えるのなら、俺は――・・・


    〝優飛以上に苺を大切にするから〟