かくれんぼ 作者/皐月 ◆KgiN6IO9uU

◆strawberry3...写真
「ただいまー・・・・・・」
気だるそうな、重い声が響く。
靴を脱ぐと俺は真っ直ぐ自分の部屋へ向かった。
自分の部屋に着くと、俺はベッドに腰をかける。
ふと、ベッドの傍らの写真に目をやった。
そこには、幸せそうな2人の姿――・・・
この写真は、はじめて花火大会に行った夜の写真だ。
苺は満面の笑みで、俺は照れくさそうに顔を背けている。
思えば、この日が初めてのデートで――・・・
初めて手を繋いだ日。
浴衣の苺が可愛かったけど、俺は何も言わずにいた。
今だったら「似合ってる」ぐらいの一言が言えたのかなー・・・とか、色々考える。
もし、そう言っていたら苺はどんな顔を俺に見せただろう。
苺の色々な表情を思い浮かべながら、俺は静かに瞼を閉じる。
あの時、俺――何も言えなかったな・・・・・・
苺――・・・今更だけど、ごめんな?

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